以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
図2は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像形成システムを示す図、図3は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるプリンタの概略図である。
図に示されるように、101はプリンタ、59は上位装置としてのホストコンピュータ、202は前記プリンタ101とホストコンピュータ59とを接続するネットワークであり、ホストコンピュータ59は、演算装置としてのCPU301、表示部としてのディスプレイ302、及び操作部としての、かつ、入力部としてのキーボード303を備える。
そして、前記プリンタ101の本体、すなわち、装置本体31の下部に、媒体としての用紙Pを収容する媒体収容部としての給紙カセット11が配設される。また、12は、該給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを1枚ずつ分離させて矢印B方向に繰り出す給紙部材としての給紙ローラであり、該給紙ローラ12から給紙された用紙Pは、搬送路13を通過し、搬送部材としての搬送ローラ14に送られ、その後、第1の転写部材としての搬送ベルト17が走行させられるのに伴って、該搬送ベルト17によって搬送され、複数の画像形成部としての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cと、第2の転写部材としての転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cとの間を通過する。
なお、前記搬送ベルト17は、第1のローラとしての駆動ローラR1と第2のローラとしてのアイドル(従動)ローラR2との間に張設される。また、搬送ベルト17、駆動ローラR1、アイドルローラR2、転写ローラ51Bk、51Y、51M、51C等によって転写器が構成される。
なお、本技術の形態においては、用紙Pの搬送方向における上流側から下流側にかけて、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの順に配列されるようになっているが、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Bkの順に配列することもできる。
次に、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の現像剤としての図示されないトナーに基づいて、像担持体としての感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面に各色の現像剤像としてのトナー像を形成し、前記転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cは、搬送される用紙Pに各トナー像を順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する。
続いて、カラーのトナー像が形成された用紙Pは、定着装置としての定着器18に送られる。該定着器18は、加熱体25を備えた定着ローラ24及び加圧ローラ26から成り、用紙P上のカラーのトナー像を定着させ、カラーの画像を形成する。そして、定着器18から排出された用紙Pは、搬送部材としての搬送ローラ19、20によって矢印B方向に搬送された後、排出部材としての排出ローラ22によって装置本体31外に排出される。
前記感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面を露光して静電潜像を形成するために露光装置としての各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cが、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに隣接させて、かつ、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cと対向させて配設される。前記各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cは、複数の発光素子としての図示されないLEDを配列することによって形成された発光素子アレイとしてのLEDアレイ、各LEDを発光させることによって発生した光を収束するロッドレンズアレイ等を備える。そして、前記各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cを画像データに基づいて駆動すると、各LEDが選択的に発光させられ、発光させられたLEDの光がロッドレンズアレイによって収束され、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cの表面を照射する。
前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、装置本体31に対して着脱自在に配設され、そのために、装置本体31の上部に上部カバー23が開閉自在に配設される。なお、前記各LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cは上部カバー23によって保持される。
また、27は、搬送ベルト17に形成されたトナー像の濃度を、画像濃度として検出する濃度検出部としての濃度センサであり、該濃度センサ27は、転写器の下方において駆動ローラR1の近傍に、搬送ベルト17と対向させて配設される。そして、32は、搬送ベルト17のトナー像を掻き取るクリーニング部材としてのクリーニングブレードであり、該クリーニングブレード32は、転写器の下方においてアイドルローラR2の近傍に、搬送ベルト17と当接させて配設される。前記クリーニングブレード32によって掻き取られたトナー像のトナーは廃トナーとして回収される。
なお、103は第1の制御部としての画像形成制御部、104は第2の制御部としてのプリンタ制御部である。
次に、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cについて説明する。なお、該画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、いずれも構造が同じであるので、画像形成ユニット16Bkについてだけ説明し、画像形成ユニット16Y、16M、16Cについては説明を省略する。
図4は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像形成ユニット及びその周辺を示す図である。
前記画像形成ユニット16Bkは、感光体ドラム52Bk、該感光体ドラム52Bkの表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ30、トナー33を保持する現像剤担持体としての現像ローラ28、該現像ローラ28にトナー33を供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ29、前記トナー33を収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ35等を備える。なお、現像ローラ28、トナー供給ローラ29等によって現像装置が構成される。
前記感光体ドラム52Bkは、アルミニウム等から成る導電性基層、及び有機感光体から成る表層によって形成され、帯電ローラ30は、導電性の金属シャフトにエピクロルヒドリンゴム等の半導電性のロール状のゴムを被覆することによって形成され、現像ローラ28は、導電性の金属シャフトにシリコーン等の半導電性のゴムを被覆して形成され、トナー供給ローラ29は、導電性の金属シャフトに、トナー33の搬送性を向上させるために、混練時に、発泡剤を添加して形成されたゴムを被覆して形成される。
前記帯電ローラ30及び現像ローラ28は前記感光体ドラム52Bkと接触させて配設され、前記トナー供給ローラ29は現像ローラ28と接触させて配設される。図示されない現像用の電源及びトナー供給用の電源が、それぞれ前記現像ローラ28及びトナー供給ローラ29と接続され、現像ローラ28及びトナー供給ローラ29にバイアス電圧を印加する。
また、前記画像形成ユニット16Bkの外側にLEDヘッド21Bkが配設され、該LEDヘッド21Bkによって放射された光が、感光体ドラム52Bkの回転方向(画像を形成する際の回転方向)における帯電ローラ30より下流側で、かつ、現像ローラ28より上流側において感光体ドラム52Bkの表面に照射される。
前記構成の画像形成ユニット16Bkにおいて、印刷時に、現像ローラ28及びトナー供給ローラ29は、現像剤供給用の駆動部としての図示されない駆動モータを駆動することによっていずれも、図において反時計回りに回転させられ、トナー供給ローラ29によって現像ローラ28にトナー33が供給される。そして、現像ローラ28に供給されたトナー33は、現像ローラ28の回転に伴って現像ローラ28と図示されない現像ブレードとの接触部に送られ、現像ブレードによって余剰のトナー33が掻き落とされ、薄層化され、その後、現像ローラ28の回転に伴って感光体ドラム52Bkに送られる。
一方、該感光体ドラム52Bkは、画像形成用の駆動部としての図示されないドラムモータを駆動することによって、図において時計回り(矢印A方向)に回転させられ、感光体ドラム52Bkの表面は、帯電ローラ30によって一様に帯電させられ、LEDヘッド21Bkによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に前記現像ローラ28上のトナー33が静電的に付着させられてトナー像が形成される。なお、51Bkは転写ローラ、55は電圧供給部、61はLEDヘッド制御部、Pは用紙である。
次に、プリンタ101の制御装置について説明する。
図1は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図、図5は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における印刷制御選択画面を示す図である。
図において、プリンタ101は、ホストコンピュータ59と接続される受信部としてのインタフェース(I/F)102、画像形成制御部103及びプリンタ制御部104から成る。
前記画像形成制御部103は、加熱体(F)25、帯電ローラ(CH)30、トナー供給ローラ(SB)29、現像ローラ(DB)28、転写ローラ(TR)51Bk、51Y、51M、51C、LEDヘッド21Bk(図3)、21Y、21M、21Cの制御を行うLEDヘッド制御部61、前記加熱体25、帯電ローラ30、トナー供給ローラ29、現像ローラ28及び転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cの制御を行う電圧供給部55、定着器18の制御を行う定着器制御部63、転写器の制御を行う転写器制御部64、及び画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの制御を行う画像形成ユニット制御部65を備える。
また、前記プリンタ制御部104は、コンピュータとして機能する演算装置としてのCPU71、ワークエリアとして使用される第1の記憶装置としてのROM72、及び第2の記憶装置としてのRAM73を備える。
そして、ROM72は、動作制御プログラム記憶部75、画像形成パラメータ記憶部76、濃度変換記憶部としての濃度−ドット径変換部77、濃度補正用パターン記憶部78及び濃度判定部79の各領域を備え、RAM73は、画像データ記憶部81、画像形成パラメータ一時記憶部82、基準濃度記憶部83、及び補正変量記憶部としての、かつ、露光出力記憶部としてのLEDヘッド点灯時間記憶部84の各領域を備える。
操作者が前記プリンタ101を起動させ、印刷(画像の形成)を行う場合、ホストコンピュータ59の印刷制御プログラムが起動され、ホストコンピュータ59のCPU301(図2)の図示されない表示処理手段(表示処理部)は、表示処理を行い、ディスプレイ302に、図5に示されるような設定画面としての印刷制御選択画面201を形成する。
そして、印刷制御選択画面201は、画像の解像度を表す印刷品質を選択するための印刷品質選択部q1、画像の明るさを選択することによってカラー調整を行うためのカラー調整部q2、印刷枚数を指定するための印刷枚数指定部q3、用紙Pの種類を指定するための用紙種類指定部q4、用紙Pのサイズを指定するための用紙サイズ指定部q5、ドットの大きさを表すドット径(ドットサイズ)を指定するためのドットサイズ指定部q6等を備える。なお、前記ドット径は、ドットに関する素点情報を表す。
この場合、操作者が、キーボード303を操作して、画像データに基づいて印刷を行おうとする画像の印刷品質、画像の明るさ等を選択したり、印刷枚数を指定したり、印刷の対象となる用紙Pの種類、サイズ、厚さ等を指定したりして、印刷情報を入力する。このとき、印刷しようとする画像を構成するドットのドット径を正確に指定したい場合、操作者は、前記印刷制御選択画面201のドットサイズ指定部q6に所望のドット径を印刷情報として入力することができる。
なお、印刷情報として、前記印刷品質、画像の明るさ、印刷枚数等によって印刷設定情報が、用紙Pの種類、サイズ、厚さ等によって媒体情報が、ドット径によってドット情報が構成される。
次に、入力された印刷情報に基づいて、CPU301の図示されない印刷制御処理手段(印刷処理部)は、印刷制御処理を行い、印刷制御プログラムに従って印刷画像のイメージデータを生成し、該イメージデータを、前記印刷設定情報、媒体情報及びドット情報と共にプリンタ101に送信する。そして、該プリンタ101において、CPU71の図示されない画像形成処理手段は、画像形成処理を行い、前記イメージデータ、印刷設定情報、媒体情報及びドット情報をプリンタ制御情報として受信すると、ROM72及びRAM73から所定の情報を読み出し、プリンタ制御情報に基づいて画像を形成する。
そのために、前記画像形成処理手段の画像形成条件設定処理手段(画像形成条件設定処理部)は、画像形成条件設定処理を行い、前記イメージデータを、RAM73内の画像データ記憶部81に記憶させるとともに、印刷設定情報及び媒体情報に基づいてROM72内の画像形成パラメータ記憶部76から各画像形成パラメータ(印刷パラメータ)を読み出し、RAM73内の画像形成パラメータ一時記憶部82に記憶させる。
なお、画像形成パラメータ記憶部76には、プリンタ101が印刷動作を行う際に使用される定着器18における定着温度、帯電ローラ30に印加される電圧を表すドラム帯電電圧、現像ローラ28に印加される電圧を表す現像バイアス電圧、トナー供給ローラ29に印加される電圧を表す供給バイアス電圧、転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cに印加される電圧を表す転写電圧等の画像形成条件である画像形成パラメータが記憶させられていて、画像形成条件設定処理手段は、印刷設定情報及び媒体情報の内容に対応させて、画像形成パラメータを一意的に選択し、読み出す。
さらに、前記ROM72には、濃度−ドット径変換部77が配設され、該濃度−ドット径変換部77に、後述される方法によって得られ、ドット径、画像濃度、及び補正変量としての、かつ、露光出力としての点灯時間の関係を表す関係式が記憶させられる。なお、点灯時間は、LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cの露光(駆動)時間であり、各LEDを発光させて1ドットを形成するための時間を表す。
そして、イメージデータが画像データ記憶部81に記憶させられ、画像形成パラメータが画像形成パラメータ一時記憶部82に記憶させられると、画像形成処理手段の動作制御処理手段(制御処理部)は、動作制御処理を行い、動作制御プログラム記憶部75内の動作制御プログラムに従って印刷動作を開始する。
すなわち、前記動作制御処理手段は、画像形成ユニット制御部65、転写器制御部64、定着器制御部63、図示されない給紙・搬送制御部、ローラ類駆動制御部等に印刷動作の命令を送り、画像形成ユニット制御部65、転写器制御部64及び定着器制御部63は、画像形成パラメータ一時記憶部82に記憶させられたパラメータ値を読み出し、電圧供給部55に制御信号を送り、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cにドラム帯電電圧を印加し、現像ローラ28及びトナー供給ローラ29に、現像バイアス電圧及び供給バイアス電圧をそれぞれ印加し、帯電ローラ30に帯電電圧を印加し、転写ローラ51Bk、51Y、51M、51Cに転写電圧を印加して、用紙Pに対する印刷を行う。
ところで、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33(図4)の経年変化、環境の変化等によって、同じ画像形成条件であっても、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の表面の電位が変化し、トナー層を形成するトナー33の量、すなわち、トナー量が変化することがある。例えば、トナー量が変化し、少なくなったときに、同じ画像濃度を維持しようとすると、LEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cの点灯時間を変化させ、長くする必要がある。
図6は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるドットのドット径と画像濃度との関係図である。なお、図において、横軸にドットのドット径及びLEDヘッド21Bk(図3)、21Y、21M、21Cの点灯時間を、縦軸に画像濃度を採ってある。
図において、L1は、後述されるように、あらかじめ別途高精度に得られたドットのドット径と画像濃度との関係を表す線、L2は、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の経年変化、環境の変化等がない場合の点灯時間と画像濃度との関係を表す線、L3は、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の経年変化、環境の変化等によって点灯時間と画像濃度との関係が遷移した状態を仮想的に表した線である。
ところで、例えば、操作者が、ドットサイズ指定部q6(図5)においてドット径daを指定し、入力すると、CPU71は、濃度−ドット径変換部77を参照し、画像を形成するのに当たり必要とされる画像濃度ODaを算出する(読み出す)。また、CPU71は、濃度−ドット径変換部77を参照し、線L2によって表される点灯時間と画像濃度との関係に基づいて、画像濃度ODaに対応するLEDヘッド21Bk、21Y、21M、21Cの点灯時間STBaを取得し、該点灯時間STBaを印刷を行う際の点灯時間とする。なお、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の経年変化、環境の変化等がない場合、線L2自体は変化せず、濃度センサ27によって計測される画像濃度もODaの近傍の値を示す。
ところが、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の経年変化、環境の変化等がある場合、入力されたドット径がdaであっても、濃度センサ27によって実際に計測される画像濃度は、本来得られるべき値であるODaではなく、例えば、ODb(<ODa)まで低下すことがある。これは、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52C及びトナー33の経年変化、環境の変化等によって、あたかも画像濃度とLED点灯時間との関係が線L2から線L3へと遷移したように表れる。
この場合、画像濃度とLED点灯時間との関係が線L3で表されるべきところ、装置自体は線L3に遷移したことを知ることはできず、線L2に基づいてLED点灯時間をSTBaで出力してしまう。したがって、必要とされる画像濃度ODaではなく、ODbに基づいた印刷が行われてしまうことがあるが、その場合、あたかも線線L1上の点b、すなわち、ドット径dbが入力されたことに相当し、画像品位が著しく低下してしまう。
そこで、本技術の形態においては、前述されたように、ドットサイズ指定部q6においてドット径が指定された場合、CPU71の図示されない濃度補正処理手段(濃度補正処理部)は、濃度補正処理を行い、指定されたドット径に基づいて画像濃度を補正するようにしている。
そのために、感光体ドラム52Bk、52Y、52M、52Cのうちの所定の感光体ドラム、本技術の形態においては、ブラックの感光体ドラム52Bkが選択され、濃度−ドット径変換部77に、補正の基準となるドットのドット径と画像濃度との関係を表す関係式があらかじめ記憶させられる。なお、濃度−ドット径変換部77に、前記関係式に代えて、ドット径と画像濃度との関係をテーブルで記憶させることもできる。
図7は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における濃度補正処理手段の動作を示すフローチャートである。
まず、濃度補正処理手段の基準濃度算出処理手段(濃度読出処理部)は、基準濃度算出処理を行い、ドット径d1が指定され、入力されると、ドット径d1を読み込み、濃度−ドット径変換部77(図1)を参照し、ドット径d1に対応する基準の画像濃度を基準濃度OD1として読み出し、RAM73の基準濃度記憶部83に記憶させる。なお、前記基準濃度OD1によって画像濃度情報が構成される。
続いて、前記濃度補正処理手段の補正変量算出処理手段としての露光出力算出処理手段は、補正変量算出処理としての露光出力算出処理を行い、ドット径d1を読み込み、濃度−ドット径変換部77を参照し、ドット径d1に対応するLEDヘッド21Bk(図3)の点灯時間STBを読み出(算出)し、RAM73のLEDヘッド点灯時間記憶部84に記憶させる。なお、ドット径d1に対応する点灯時間STBによって、基準補正変量としての基準点灯時間が構成される。
次に、前記濃度補正処理手段の濃度補正用画像形成処理手段は、濃度補正用画像形成処理を行い、濃度補正用パターンの画像、すなわち、濃度補正用画像を搬送ベルト17上に形成する。この場合、濃度補正用画像は、画像形成ユニット16Bkにおいて、ブラックのトナーを使用することによって形成される。
そのために、濃度補正用画像形成処理手段は、まず、画像形成ユニット制御部65及びLEDヘッド制御部61に対して、感光体ドラム52Bk上に濃度補正用パターンのトナー像を形成するように指示する。そして、前記画像形成ユニット制御部65は、指示に従って、帯電ローラ30(図4)によって感光体ドラム52Bkの表面を帯電させ、LEDヘッド制御部61は、濃度補正用パターン記憶部78から濃度補正用パターンの画像データを読み出し、該画像データに従ってLEDヘッド21Bkを駆動し、所定のLEDを点灯時間STBで発光させ、感光体ドラム52Bkを露光し、感光体ドラム52Bkの表面に濃度補正用パターンの静電潜像を形成する。
続いて、前記画像形成ユニット制御部65は、静電潜像にトナー33を付着させ、濃度補正用パターンのトナー像を形成する。そのために、トナーカートリッジ35の底部に当接させて配設されたトナー供給ローラ29には、負の極性の供給バイアス電圧が印加され、トナーカートリッジ35内のトナー33を現像ローラ28に供給しながらトナー33を帯電させる。
そして、トナー33は、現像ローラ28に供給され、現像ローラ28によって更に帯電させられ、均一な厚さのトナー層を形成し、感光体ドラム52Bkの表面に付着させられて、ブラックのトナー像を形成する。
続いて、前記濃度補正用画像形成処理手段は、転写器制御部64に対して、感光体ドラム52Bkの表面に形成されたトナー像を搬送ベルト17に転写するように指示する。前記転写器制御部64は、転写ローラ51Bkに、正の極性の転写電圧を印加し、搬送ベルト17における感光体ドラム52Bk及び転写ローラ51Bkによって挟まれた箇所にトナー像を転写する。
このようにして、搬送ベルト17の表面に濃度補正用パターンのトナー像が形成され、該トナー像が濃度補正用画像になる。
続いて、搬送ベルト17の走行に伴って濃度補正用画像が濃度センサ27と対向する位置に到達すると、濃度センサ27は、濃度補正用画像の画像濃度を検出し、センサ出力をCPU71に送る。
そして、前記濃度補正処理手段の濃度比較処理手段(濃度比較処理部)は、濃度比較処理を行い、濃度判定部79に対して、濃度センサ27によって検出された画像濃度と、基準濃度記憶部83に記憶させられた基準濃度OD1とを比較するように指示する。濃度判定部79は、指示に従って、濃度センサ27から送られたセンサ出力を画像濃度(検出濃度)OD2に変換し、基準濃度記憶部83から基準濃度OD1を読み込み、画像濃度OD2と基準濃度OD1とを比較する。
次に、前記濃度補正処理手段の補正変量調整処理手段(補正変量調整処理部)としての露光出力調整処理手段は、補正変量調整処理としての露光出力調整処理を行い、濃度比較処理手段による比較結果に基づいて前記点灯時間STBを調整する。
すなわち、画像濃度OD2が基準濃度OD1より低い場合、入力されたドット径d1に対応する基準濃度OD1より低い画像濃度OD2で濃度補正用画像が形成されたことが分かるので、露光出力調整処理手段は、点灯時間STBを変更して微小な調整量Δtだけ長くする。これは、点灯時間が長いほど画像濃度が高くなるという周知の傾向に基づいて行われる。この場合、点灯時間STBが長くされた分だけドット径d1が大きくなる。なお、前記調整量Δtは、図6に示された点灯時間STBa、STBbの差δTより十分に小さくされる。
一方、画像濃度OD2が基準濃度OD1より高い場合、入力されたドット径d1に対応する基準濃度OD1より高い画像濃度OD2で濃度補正用画像が形成されたことが分かるので、露光出力調整処理手段は、点灯時間STBを変更して微小な調整量Δtだけ短くする。この場合、点灯時間STBが短くされた分だけドットのドット径d1が小さくなる。
続いて、前記濃度補正用画像形成処理手段は、変更された点灯時間STBを画像形成ユニット制御部65に通知するとともに、画像形成ユニット制御部65及びLEDヘッド制御部61に対して、再び感光体ドラム52Bk上に濃度補正用パターンのトナー像を形成するように指示する。そして、前記画像形成ユニット制御部65は、指示に従って、帯電ローラ30によって感光体ドラム52Bkの表面を帯電させ、LEDヘッド制御部61は、前記濃度補正用パターンの画像データに従ってLEDヘッド21Bkを駆動し、所定のLEDを変更された点灯時間STBで発光させ、感光体ドラム52Bkを露光し、感光体ドラム52Bkの表面に濃度補正用パターンの静電潜像を形成する。
そして、同様に、濃度補正用パターンの静電潜像は現像されてトナー像になり、該トナー像は搬送ベルト17に転写されて濃度補正用画像になる。続いて、濃度補正用画像が搬送ベルト17の走行に伴って濃度センサ27と対向する位置に到達すると、濃度センサ27によって濃度補正用画像の画像濃度OD2が検出され、検出された画像濃度OD2と基準濃度OD1とが比較される。
このように、画像濃度OD2と基準濃度OD1とが比較され、画像濃度OD2と基準濃度OD1とが異なる場合、点灯時間STBが変更され、変更された点灯時間STBに基づいて搬送ベルト17上に濃度補正用画像が形成され、この動作が、画像濃度OD2と基準濃度OD1とが等しくなるまで繰り返される。
そして、画像濃度OD2と基準濃度OD1とが等しくなると、前記濃度補正処理手段は、そのときの点灯時間STBをLEDヘッド点灯時間記憶部84に記憶させ、処理を終了する。
このようにして濃度補正処理が終了すると、前記画像形成処理手段は、LEDヘッド点灯時間記憶部84に記憶させられた点灯時間STBに基づいて、用紙Pに対する通常の印刷を開始する。
本技術の形態において、濃度補正用画像は、画像形成ユニット16Bkにおいてブラックのトナー33を使用することによって形成されるようになっているが、他の画像形成ユニット16Y、16M、16Cにおいて他の色のトナー33を使用することによって形成することもできる。その場合、濃度−ドット径変換部77には、他の色のトナー33について、ドット径と基準濃度とが対応させて記憶させられる。
なお、本技術の形態においては、プリンタ101における各画像形成プロセスのうちの、静電潜像を形成する露光プロセスにおいて、補正変量としての点灯時間STBを変更することによって画像濃度を補正するようになっているが、他の画像形成プロセス、例えば、ドラム帯電プロセス、トナー帯電プロセス、現像プロセス、転写プロセス等において、所定の補正変量、例えば、帯電ローラ30に印加されるドラム帯電電圧、トナー供給ローラ29に印加される供給バイアス電圧、現像ローラ28に印加される現像バイアス電圧、転写ローラ51Bkに印加される転写電圧等を変更することによって、画像濃度を補正したり、複数の画像形成プロセスを組み合わせ、所定の補正変量を変更することによって、画像濃度を補正したりすることができる。
例えば、前記現像プロセスにおいて、画像濃度を補正する場合、画像濃度OD2が基準濃度OD1より低い場合、入力されたドット径d1に対応する基準濃度OD1より低い画像濃度OD2で濃度補正用画像が形成されたことが分かるので、補正変量調整処理手段としての電圧調整処理手段は、補正変量調整処理としての電圧調整処理を行い、現像ローラ28に印加される現像バイアス電圧を変更して微小な調整量Δvだけ絶対値で高くする。
一方、画像濃度OD2が基準濃度OD1より高い場合、入力されたドット径d1に対応する基準濃度OD1より高い画像濃度OD2で濃度補正用画像が形成されたことが分かるので、前記電圧調整処理手段は、現像ローラ28に印加される現像バイアス電圧を変更して微小な調整量Δvだけ絶対値で低くする。このようにして、画像濃度OD2と基準濃度OD1とを等しくすることができる。
また、例えば、露光プロセスとトナー帯電プロセスとを組み合わせた場合、補正変量として、点灯時間STB及び供給バイアス電圧を変更することによって、画像濃度OD2と基準濃度OD1とを等しくすることができる。
このように、本技術の形態においては、あらかじめ記憶させられた濃度補正用パターンに基づいて画像濃度を精度良く補正することができる。また、装置本体31内外にドットのドット径を測定するための高解像度の読取装置を配設する必要がないので、画像濃度を補正するための作業を簡素化することができる。
しかも、実際の印刷を行う直前に濃度補正処理が行われるので、プリンタ101の使用環境、印刷枚数等のように、プリンタ101の状態の変化に関わらず、常に安定した画像濃度で画像を形成することができ、ドット再現性を高くすることができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 ドット径d1が入力されるのを待機する。ドット径d1が入力された場合、ステップS2に進む。
ステップS2 入力されたドット径d1の基準濃度OD1を読み出す。
ステップS3 ドット径d1に対応するLEDヘッド21Bkの点灯時間STBを読み出す。
ステップS4 濃度補正用画像を形成する。
ステップS5 濃度補正用画像の画像濃度OD2を検出する。
ステップS6 画像濃度OD2と基準濃度OD1とが等しいかどうかを判断する。画像濃度OD2と基準濃度OD1とが等しい場合はステップS7に、画像濃度OD2と基準濃度OD1とが等しくない場合はステップS8に進む。
ステップS7 点灯時間STBを記憶させ、処理を終了する。
ステップS8 画像濃度OD2が基準濃度OD1より低いかどうかを判断する。画像濃度OD2が基準濃度OD1より低い場合はステップS10に、画像濃度OD2が基準濃度OD1より高い場合はステップS9に進む。
ステップS9 点灯時間STBから調整量Δtを減算した値を点灯時間STBにセットし、ステップS4に戻る。
ステップS10 点灯時間STBに調整量Δtを加算した値を点灯時間STBにセットし、ステップS4に戻る。
次に、前記濃度−ドット径変換部77に記憶させられた関係式を算出する方法について説明する。
図8は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第1の図、図9は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第2の図、図10は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第3の図、図11は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第4の図、図12は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第5の図、図13は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における画像パターンを示す第6の図、図14は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるデューティを変更したときのドット径と画像濃度との相関を示す図である。
この場合、基準濃度OD1を算出するために、図8〜13に示されるように、デューティ(duty)を異ならせ、20〔%〕、40〔%〕、60〔%〕、70〔%〕、80〔%〕及び90〔%〕の6段階に設定し、各デューティごとの画像パターンを作成した。前記デューティは、画像の印刷密度であり、印刷領域内の総ドット数に占める印字ドット数の割合を表す。なお、画像パターンは、主走査方向において960ドット(dot)のドットが、副走査方向において720ライン(line)分マトリックス状に並べることによって作成される。
本技術の形態においては、デューティを6段階に設定し、6個の画像パターンを作成したが、デューティを更に多くし、画像パターンを多くすることができる。
そして、印刷制御選択画面201(図5)においてドット径を入力し、画像担持体としての1枚の用紙P(図3)上に前記各デューティの画像パターンを並べて印刷する。続いて、濃度測定器(エックスライト社製「x−rite528」)及びドット径測定器(Techkon社製「Techkon DMS 910 IR」)によって、印刷された各デューティの画像パターンごとに画像パターンの画像濃度及びドット径を測定する。なお、この場合、濃度測定器は濃度センサ27より高い精度(繰り返し精度(OD値):±0.005)を有し、ドット径測定器は±1〔μm〕以下の精度を有する。なお、前記濃度センサは27は±0.1(OD値)の精度を有する。これにより、図14に示されるように、一つのドットのドット径について、各デューティごとの画像パターンの6個の画像濃度を取得し、縦に並べてプロットすることができる。
そして、ドット径を変えて前記動作を繰り返し、5個のドット径について、6個の画像濃度を測定することによって、図14に示されるグラフが得られる。
次に、各デューティごとに各画像濃度の相関係数を算出し、最も相関係数が高いデューティの各画像濃度に基づいて、最小自乗法によって回帰曲線(最小自乗近似曲線)を算出する。図14においては、80〔%〕のデューティの各画像濃度が最も相関係数が高く、各画像濃度に基づいて算出された回帰曲線(図14における直線)kを、ドット径と画像濃度との関係を表す関係式とし、該関係式を濃度−ドット径変換部77(図1)に記憶させる。
なお、デューティを変化させてドット径と画像濃度との関係を見ると、低デューティ及び中デューティ(20〔%〕以上、かつ、70〔%〕以下のデューティ)の画像パターンにおいては、ドット径を変化させたときの画像濃度の変化が小さい。これは、画像濃度を測定する際に、画像パターンの画像を形成するトナー像の濃度に対する背景の用紙Pの濃度の影響が大きく、画像濃度を正確に測定することができないためである。
一方、高デューティ(すなわち、90〔%〕デューティ)の画像パターンにおいては、ドット径を大きくすると、隣接するドット同士が接近しすぎてしまい、画像濃度を正確に測定することができないためである。
このことから、80〔%〕のデューティの画像パターンにおいて、ドット径を変化させたときの画像濃度の変化が最も正確な相関を表す。
そこで、80〔%〕のデューティを、規定デューティとし、該規定デューティの画像パターンを、濃度補正用パターンとして設定する。この場合、画像ドット径をdとし、画像濃度をODとすると、前記関係式は式(1)で表される。
OD=6.60E−3×d+0.430 ……(1)
本技術の形態においては、ドット径を指定して印刷を行う場合、実際の印刷が行われる前に必ず濃度補正処理が行われるようになっているが、ドット径を指定しないで印刷を行う場合、及びドット径を指定して印刷を行う場合のいずれにおいても、トナー33(図4)の感光体ドラム52Bkへの付着量に変化が生じない範囲で、プリンタ101の使用頻度に応じて、又はトナーカートリッジ35からのトナー33の供給量(吐出し回数)、感光体ドラム52Bkの累積の回転数等に応じて、定期的に濃度補正処理を行うことができる。
ところで、用紙Pの種類によって、用紙Pの表面の平滑度は異なり、平滑度が異なると、同じドット径のドットを形成しても、画像濃度は異なる。そこで、用紙Pの表面の平滑度に応じて画像濃度を補正することができるようにした本発明の説明の前提となる第2の技術の形態について説明する。なお、第1の技術の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同技術の形態の効果を援用する。
図15は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態におけるプリンタの概略図、図16は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における光沢度センサの構造を示す図、図17は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態におけるプリンタの制御装置の要部を示すブロック図、図18は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における各種の用紙の表面に形成されたドットの模式図、図19は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における各種の用紙に対して印刷を行ったときのドット径と画像濃度との相関を示す図である。
図において、91は媒体としての用紙Pの光沢度を検出する光沢度検出部としての光沢度センサであり、該光沢度センサ91は用紙Pの搬送方向における搬送部材としての搬送ローラ14より上流側に配設される。また、92は光沢度センサ91によって検出された光沢度に基づいて用紙Pの種類を判別する媒体判別処理手段としての媒体判別部である。
前記RAM73は媒体種類記憶部111の領域を備え、前記媒体種類記憶部111には、各種の用紙Pの光沢度が記憶させられる。したがって、前記媒体判別部92は、媒体判別処理を行い、光沢度センサ91のセンサ出力を読み込み、前記媒体種類記憶部111を参照し、センサ出力に対応する用紙Pの種類を判別する。
ところで、前記光沢度センサ91は、図16に示されるように、筐体401を備え、該筐体401の底部には、用紙Pの光沢度を検出するための被測定部Q1と対応させて開口402が形成される。また、光沢度センサ91は、前記筐体401内において、前記被測定部Q1に向けて配設された光源94、該光源94と開口402との間に配設された収束部材としてのレンズ304、開口402を挟んで光源94と反対側に、前記開口402に向けて配設された受光器97、該受光器97と開口402との間に配設された収束部材としてのレンズ305等を有する。
前記構成の光沢度センサ91において、光源94から放射され、光源開口部95を通過して、用紙Pの表面から上方に延びる法線に対して角度θで用紙Pの表面に照射された光は、前記被測定部Q1で反射する。この場合、光は、一定の割合で用紙Pの表面の状態によって乱反射し、光の一部は、同じ角度θで鏡面反射する。そして、受光窓96を通過した光だけが受光器97によって受光される。
なお、用紙Pは、表面が平滑であり、平滑度が高いほど、乱反射する光の量が少なくなり、受光器97によって受光される光の強さが大きくなり、それに伴って、光沢度が高くなる。一方、用紙Pの表面に凹凸があり、平滑度が低いほど、乱反射する光の量が多くなり、受光器97によって受光される光の強さが小さくなり、それに伴って、光沢度が低くなる。すなわち、平滑度と光沢度とは所定の対応関係にある。
そこで、本技術の形態においては、前述されたように、媒体判別部92は、光沢度センサ91のセンサ出力を読み込み、前記媒体種類記憶部111を参照し、センサ出力に対応する用紙Pの種類を判別する。
ところで、用紙Pの種類が異なると、用紙Pの表面に形成されるドットの形状が異なる。例えば、図18において、P1は表面の平滑度が低い用紙であるラフ紙、P2は表面の平滑度が一般的な用紙である上質紙、P3は表面の平滑度が高い用紙である光沢紙、37はラフ紙P1の表面に形成されたドット、38は上質紙P2の表面に形成されたドット、39は光沢紙P3の表面に形成されたドットである。
前記ラフ紙P1に形成されたドット37のドット径をdrとし、上質紙P2の表面に形成されたドット38のドット径をdmとし、光沢紙P3の表面に形成されたドット39のドット径をdgとすると、各ドット径dr、dm、dgは、
dr<dm<dg
になる。
したがって、第1の技術の形態と同様に、操作者が、印刷制御選択画面201(図5)のドットサイズ指定部q6に所望のドット径を印刷情報として入力した場合、用紙Pの種類によって、実際に形成されるドットのドット径が異なると、画像濃度を精度良く補正することができない。
そこで、ROM72は、用紙Pの種類ごとに、濃度変換記憶部としての濃度−ドット径変換部A113〜C115の領域を備え、濃度−ドット径変換部A113〜C115に、それぞれ、ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3について、感光体ドラム52Bk及びトナー33の経年変化、環境の変化等のない場合の、ドット径、画像濃度、及び補正変量としての、かつ、露光出力としての点灯時間の関係を表す関係式が記憶させられる。
例えば、操作者が、ドットサイズ指定部q6においてドット径を指定し、入力すると、まず、濃度補正処理手段の前記基準濃度算出処理手段は、ドット径を読み込むとともに、媒体判別部92によって判別された用紙Pの種類を読み込み、濃度−ドット径変換部A113〜C115のうちの用紙Pの種類に対応する濃度−ドット径変換部を選択して参照し、用紙Pの種類及びドット径に対応する基準の画像濃度を基準濃度OD1として読み出し、RAM73の基準濃度記憶部83に記憶させる。
なお、操作者は、用紙種類指定部q4において用紙Pの種類を指定することができるので、前記媒体判別部92は、用紙種類指定部q4において指定された用紙Pの種類を読み込み、用紙Pの種類を判別し、前記基準濃度算出処理手段は、濃度−ドット径変換部A113〜C115のうちの用紙Pの種類に対応する濃度−ドット径変換部を選択して参照し、用紙Pの種類及びドット径に対応する基準の画像濃度を基準濃度OD1として読み出すこともできる。
次に、濃度−ドット径変換部A113〜C115について説明する。
この場合、第1の技術の形態と同様に、画像担持体としての1枚の各ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3上に、各デューティの画像パターンが並べて印刷され、各デューティごとに各画像濃度の相関係数が算出され、最も相関係数が高いデューティの各画像濃度に基づいて、最小自乗法によって回帰曲線が算出される。図19に示されるように、80〔%〕のデューティの各画像濃度が最も相関係数が高く、各画像濃度に基づいて算出された回帰曲線(図19における直線)kA〜kCが、ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3におけるドット径と画像濃度との関係を表す関係式とされ、該各関係式が、それぞれ、濃度−ドット径変換部A113〜C115に記憶させられる。そして、80〔%〕のデューティの画像パターンが濃度補正用のパターンとして設定される。
また、図19に示されるように、一般的な上質紙P2と比較して、ラフ紙P1においては、濃度補正用パターンの画像濃度を高くしてもドット径は小さくなり、一方、光沢紙P3においては、濃度補正用パターンの画像濃度を低くしてもドット径は大きくなる。
これは、図18に示されるように、形成されたドット37〜39のトナーが、ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3の表面の凹凸にどの程度吸収されるかによって変化する。すなわち、ラフ紙P1に形成されたドット37は、表面の凹凸に多くのトナーが入り込むためにドット径は小さくなり、光沢紙P3に形成されたドット39は、表面の凹凸が小さく、トナーが表面に広がるので、ドット径は大きくなる。
そして、一般的な平滑度の上質紙P2に形成されるドット38と同じ関係式を使用すると、画像濃度に大きな誤差を生じるので、各ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3の平滑度に応じて、以下のような異なる関係式を導く必要がある。この場合、画像のドット径をdとし、ラフ紙P1、上質紙P2及び光沢紙P3を使用したときの各画像濃度をODA〜ODCとすると、各関係式は式(2)〜(4)で表すことができる。
ODA=9.4E−3×d+0.172 ……(2)
ODB=6.6E−3×d+0.430 ……(3)
ODC=5.4E−3×d+0.437 ……(4)
このようにして算出された用紙Pの種類ごとの関係式は、濃度−ドット径変換部A113〜C115にそれぞれ記憶させられる。
したがって、濃度補正処理手段の前記基準濃度算出処理手段は、ドット径が指定され、入力されると、ドット径を読み込み、用紙Pの種類に応じて、濃度−ドット径変換部A113〜C115を参照し、ドット径に対応する基準の画像濃度を基準濃度OD1として読み出し、RAM73の基準濃度記憶部83に記憶させる。
このように、本技術の形態においては、表面の平滑度の異なる用紙Pの種類に応じて、ドット径から基準濃度を決定する濃度−ドット径変換部A113〜C115が複数配設されるので、用紙Pの種類に関わらず、画像濃度を精度良く補正することができる。
なお、本技術の形態においては、種類の異なる用紙Pの表面の平滑度に応じてドット径と画像濃度との関係式を濃度−ドット径変換部A113〜C115に記憶させるようになっているが、用紙Pの他の媒体特性値、例えば、電気的抵抗値、用紙Pの厚さ等によるトナー33と用紙Pの表面との親和性の差に基づいて関係式を算出したり、複数の媒体特性値を組み合わせることによって関係式を算出したりすることができる。
次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。なお、前記第1、第2の技術の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同技術の形態の効果を援用する。
図20は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図、図21は本発明の第1の実施の形態におけるステルストナーの特性を示す図、図22は本発明の第1の実施の形態における印刷制御選択画面を示す図である。なお、図21において、横軸に波長を、縦軸に吸収率を採ってある。
図20において、16S、16Y、16M、16Cは複数の、本実施の形態においては、四つの画像形成部としての画像形成ユニットであり、そのうちの画像形成ユニット16Sは、特殊な現像剤としての、かつ、不可視現像剤としてのステルストナーが使用され、媒体としての用紙Pの搬送方向における他の画像形成ユニット16Y、16M、16Cより上流側に配設される。この場合、ステルストナーが、まず転写ベルトに転写されるので、転写抜けが発生することがない。なお、必要に応じて画像形成ユニット16Sを用紙Pの搬送方向における他の画像形成ユニット16Y、16M、16Cより下流側に配設することができる。この場合、濃度センサ27による赤外線がステルストナーに直接照射されるので、検出精度を高くすることができる。
次に、ステルストナーについて説明する。
図21において、L11は濃度検出部としての濃度センサ27の発光波長、L12はステルストナーの赤外光の吸収波長である。前記ステルストナーは、透明な樹脂材料に赤外光(赤外線波長帯域の光)を吸収する材料(以下「赤外光吸収材料」という。)を含有するトナーであり、所定の情報を埋め込まれる画像、すなわち、識別情報としての情報画像を形成するために使用される。なお、この場合、情報画像によって、埋め込まれた情報を識別するための識別情報が構成され、該識別情報は上位装置としてのホストコンピュータ59から送られる。
本実施の形態において、赤外光吸収材料として、図21に示されるように、800〔nm〕未満の波長領域、すなわち、可視光領域において、光を吸収せず、透明又は白色になり、800〔nm〕〜1000〔nm〕の波長領域、すなわち、非可視光領域において光を吸収する材料、例えば、CuOをドープしたガラス粉、ポリマー中に銅イオンを導入した樹脂等を使用することができる。なお、前記赤外光吸収材料によって光吸収材料が構成される。また、赤外光吸収材料は、可視光領域において光を吸収せず、非可視光領域において光を吸収するので、情報画像によって不可視像が構成される。
また、前記透明な樹脂材料として、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等のような、前記可視光領域において透明な樹脂を使用することができる。
そして、ディスプレイ302(図2)に、図22に示されるような設定画面としての印刷制御選択画面201が形成され、印刷制御選択画面201に、情報画像を形成するための現像剤としてのトナー33(図4)の種類を選択するための情報画像形成部q7が形成される。該情報画像形成部q7において、操作者は、識別情報に基づく情報画像の形成(印刷)を指示するためにトナーの種類を指定することができる。前記情報画像形成部q7によって、現像剤指定部としてのトナー種類指定部が構成される。
前述されたように、第1、第2の技術の形態においては、通常のトナー33を使用して用紙P上に画像を形成する際のドット径及び画像濃度を調整するようになっているが、本実施の形態においては、ステルストナーのトナー像を、通常のトナー33のトナー像に重ねるようになっている。
前記構成のプリンタ101において、受信部としてのインタフェース102が、ホストコンピュータ59から送られた識別情報及び画像データを受信すると、CPU71の図示されないデータ判別部は、前記識別情報と画像データとを判別し、CPU71の図示されない第1の印刷制御部は、第1の画像形成部としての画像形成ユニット16Sによって、不可視現像剤としてのステルストナーを使用し、識別情報に基づく情報画像を形成し、CPU71の図示されない第2の印刷制御部は、第2の画像形成部としての画像形成ユニット16Y、16M、16Cによって、イエロー、マゼンタ及びシアンの可視現像剤としてのトナーを使用し、可視情報に基づく画像を形成する。
このように、本実施の形態においては、前記ステルストナーを使用することによって、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー像による可視情報に加えて、別の情報を用紙P上に埋め込むことができる。なお、それに伴って画像品位が低下することはない。
したがって、可視情報及び識別情報を同一の用紙に重ねて形成したときに、識別情報を正確に認識することができる。
本実施の形態においては、第1の技術の形態と同様に、操作者が、キーボード303を操作して、印刷しようとする画像の印刷品質、画像の明るさ等を選択したり、印刷枚数を指定したり、印刷の対象となる用紙Pの種類、サイズ、厚さ等を指定したり、ドット径を指定したりして、印刷情報を入力する。また、情報画像形成部q7において、印刷情報として情報画像に使用されるトナーを選択することができる。
なお、前記印刷品質、画像の明るさ、印刷枚数等によって印刷設定情報が、用紙Pの種類、サイズ、厚さ等によって媒体情報が、ドット径によってドット情報が、情報画像に使用されるトナーによって現像剤情報が構成される。
次に、入力された印刷情報に基づいて、CPU301の前記印刷制御処理手段は、印刷制御プログラムに従って印刷画像のイメージデータを生成し、該イメージデータを、前記印刷設定情報、媒体情報、ドット情報及び現像剤情報と共にプリンタ101に送信する。そして、該プリンタ101において、CPU71の前記画像形成処理手段は、前記イメージデータ、印刷設定情報、媒体情報、ドット情報及び現像剤情報をプリンタ制御情報として受信すると、ROM72及びRAM73から所定の情報を読み出し、プリンタ制御情報に基づいて画像を形成する。
また、CPU71の前記濃度補正処理手段は、印刷が開始される前に、指定されたドット径に基づいて画像濃度を補正する。
ところで、濃度補正用画像の画像濃度を検出するために濃度センサ27が配設され、該濃度センサ27は、第1の転写部材としての搬送ベルト17上に形成された通常のトナー33によって形成されたトナー像の画像濃度、及びステルストナーによって形成されたトナー像の画像濃度を検出する。
また、濃度センサ27には、近赤外LEDを光源とするフォトリフレクタが配設され、該フォトリフレクタによって近赤外光を発生させることにより、画像濃度を検出する。ところが、図21に示されるように、濃度センサ27の近赤外LEDの発光波長L11は、約1000〔nm〕にピークがあるが、ステルストナーの赤外光の吸収波長L12は、約900〔nm〕にピークがある。
すなわち、前記フォトリフレクタは、通常のトナー33によって形成されたトナー像の画像濃度を測定するのに適した発光波長の光を発生させるが、ステルストナーの赤外光の吸収特性は、前述されたように、専用の測定器における赤外光の吸収特性に合わせて選択される。
したがって、濃度センサ27によって、ステルストナーによって形成されたトナー像の画像濃度を検出すると、通常のトナー33によって形成されたトナー像の画像濃度の約85〔%〕の値になる。この場合、通常のトナー33と同じ関係式でドット径を画像濃度に変換すると、誤差が発生する。そこで、ステルストナーによって形成された画像のドット径をdとし、画像濃度をOD’とすると、関係式は式(5)で表すことができる。
OD’=(6.6E−3×d+0.430)/1.18 ……(5)
このようにして導かれたステルストナー用の関係式は、ROM72(図1)の濃度−ドット径変換部77に記憶させられる。
なお、画像形成ユニット16Sによって形成された画像、及び画像形成ユニット16Y、16M、16Cよって形成された画像を図示されない検出部によって検出し、該検出部による画像の検出結果に基づいて、前記画像形成ユニット16S、及び画像形成ユニット16Y、16M、16Cの印刷条件を変更するための第1、第2の補正量を算出することができる。そして、該第1、第2の補正量に基づいて、CPU71の印刷条件変更処理部は、前記画像形成ユニット16S、及び画像形成ユニット16Y、16M、16Cの印刷条件を変更する。
なお、本実施の形態においては、ステルストナーとして、赤外光吸収材料を含む透明な樹脂材料が使用されるようになっているが、濃度センサ27に応じて別の波長帯域の光(例えば、紫外光)を吸収する材料、すなわち、光吸収材料としての紫外光吸収材料を使用することもできる。
また、本実施の形態においては、ブラックのトナーに代えてステルストナーを使用するようになっているが、単色のプリンタにおいて、ブラックのトナーに代えてステルストナーを使用することができる。
ところで、前記第1、第2の技術の形態及び第1の実施の形態を、文書の改ざん、偽造等を防ぐための印刷技術(「バルコード」(沖電気工業株式会社製))に適用することができる。前記印刷技術においては、例えば、文字、数字等を印刷する際に、用紙Pの背景に複数のドットが所定のパターン、すなわち、アノトパターン(アノト社)で印刷されるようになっている。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の技術の形態及び第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同技術の形態及び実施の形態の効果を援用する。
この場合、ROM72(図1)に所定の記憶部が形成され、該記憶部に、濃度補正用画像、識別情報、及び該識別情報の素点に関する情報(ドットサイズ)が記憶され、画像形成部としての画像形成ユニット16S、16Y、16M、16Cは、前記記憶部から前記識別情報、又は濃度補正用画像を読み出し、画像を形成する。そして、濃度変換記憶部には、ドットに関する素点情報と画像濃度情報とが対応させて記憶される。
図23は本発明の第2の実施の形態における基本パターンを示す図、図24は本発明の第2の実施の形態におけるアノトパターンを示す図である。
この場合、アノトパターンは、特徴的な模様を形成する画像パターンであり、円形(ドット形)の形状を有する複数のマークmを印刷することによって形成され、互いに直交させて形成される複数のラスター線u同士の交点fと、所定のラスター線u上に形成されたマークmとの位置関係によって、識別情報が形成される。
図23の(a)〜(d)は、交点fに対するマークmの位置を異ならせた基本パターンを表し、各基本パターンにおいて、交点fとマークmとの距離を異ならせ、前記位置と距離との組合せによって、識別情報が表わされる。
前記マークmは、約0.04〔mm〕のドット径を有し、約0.3〔mm〕の間隔で配置され、6×6のマトリックスを形成し、該マトリックスによって一つの識別情報が形成される。
この場合、前述された方法で、各マークmの画像濃度を補正することによって、各マークmに基づいて、識別情報を正確に認識することができる。
なお、前記第1、第2の技術の形態及び第1、第2の実施の形態においては、一例として、ホストコンピュータ59上の印刷制御プログラムに従って印刷を行う構成(すなわち、印刷制御選択画面201においてドット径を指定して印刷を行う。)としているが、プリンタ101の操作部としてのオペパネルを操作することによって印刷設定を行うこともできる。
また、所定のステルストナーによる特殊パターン画像(例えば、アノトパターン)の印刷を行うかどうかの選択情報を入力するための入力部を、前記印刷制御プログラム又はプリンタ101のオペパネルに配設することができる。この場合、所定のドットサイズ及び印刷条件を、あらかじめ設定したデフォルト設定値(固定値)を濃度補正パターン記憶部78に登録しておく必要がある。そして、前記入力部によってステルストナーによる特殊パターン画像の印刷を行う旨の選択情報が入力された場合には、濃度補正パターン記憶部78から前記デフォルト設定値を適宜読み出してステルストナーの画像の印刷が行われる。さらに、前記第1の実施の形態における印刷制御選択画面201においては、ステルストナーについてドットサイズを指定するようになっているが、該構成のほかに、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナーごとにドットサイズを指定することができる。この場合、各トナーにそれぞれ対応するドット径及び画像濃度を、濃度−ドット径変換部77に記憶させることができる。各トナーごとに波長特性(光の吸収率)が異なるので、各トナーにそれぞれ対応する発光波長のピーク値を有するLEDを備えた濃度センサを検出部として配設するか、又は、白色LEDを備え、回折格子によってトナーに応じて分光させることもできる。
また、前記各実施の形態においては、カラーのトナー像を用紙Pに直接転写する直接転写方式について説明しているが、直接転写方式に代えて、カラーのトナー像を、一旦中間転写体に転写し、その後、用紙Pに転写するようにした中間転写方式を使用することもできる。
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタに適用した例について説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。