JP2010122238A - 生体液のプロテオーム分析 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、生体液のプロテオームの同定、胎児起源の母体状態、染色体異数性、及び胎児の成長及び成熟に関連する胎児の疾患を含む、母体/胎児の状態の状況の決定におけるそれらの使用に関する。特定的には、本発明は、羊膜液のプロテオーム同定(複数のタンパク質は羊膜液の組成を表す)及び正常なプロテオームにおける特性変化と種々の病的な母体/胎児の状態、例えば羊膜内感染、又は染色体不全との相関に関する。本発明は、生体液のプロテオミクス分析による、病的な胎児/母体の状態を初期診断、予後のための、及び監視するための、非侵襲及び感受性の方法を提供する。
【選択図】図1A
Description
(発明の分野)
本発明は、生体液のプロテオームの同定、胎児起源の母体状態、染色体異数性、及び胎児の成長及び成熟に関連する胎児の疾患を含む、母体/胎児の状態の状況の決定におけるそれらの使用に関する。特定的には、本発明は、羊水のプロテオーム同定(複数のタンパク質は羊水の組成を表す)及び正常なプロテオームにおける特性変化と種々の病的な母体/胎児の状態、例えば羊膜内感染、又は染色体不全との相関に関する。
プロテオミクス
タンパク質発現パターンの大スケール分析は、現在のDNA クローニング及び遺伝子プロファイリングアプローチに対する重要かつ必要な相補体として現れた(Pandey and Mann,Nature 405:837−46(2000))。DNA配列情報は、ホモロジー方法に基づくいくつかの構造的及び潜在的なタンパク質改質を推定するのに役立つが、翻訳後改質、タンパク分解又は区画化を介するタンパク質機能の制御についての情報を与えない。
伝統的なゲルベースの方法、例えば、一次元及び二次元ゲル電気泳動は、小スケールのタンパク質(<1,000タンパク質)検出に有用であるが、これらは大量のサンプルを必要とする(Lilley KS,Razzaq A,Dupree P:Two−dimensional gel electrophoresis:recent advances in sample preparation,detection and quantitation.Curr Opin Chem Biol.6(1):46−50,2002)。この制限を克服するためのアプローチとしては、サンプル中のタンパク質の質量を示すプロフィールを正確に作成するマトリックス支援又は表面増強レーザー脱離/イオン化(MALDIまたはSELDI)飛行時間質量分析計が挙げられる。これらのパターン又はプロフィールは、種々の疾患を同定及び監視するために使用することができる。同定の第2のレベルは、ペプチドフラグメントからアミノ酸配列情報を作成するためにカップリングペプチドマッピングからタンデム質量分析に由来する。これは、四極飛行時間MS(Qq−TOF MS)にMALDI/SELDI又はESIをカップリングすることによって達成可能である。後者の方法はさらに、特定のペプチドの定量に使用することができる(ICAT技術)。
母体及び/又は胎児又は新生児の健康を含むか、又はいくつかの場合には、母体及び/又は胎児又は新生児の生命を脅かす、妊娠中に進行し得る多くの病的な母体及び胎児の状態、例えば、羊膜内感染(IAI)、子かん前症、早期出産及び早期分娩、及び染色体異数性が存在する。このような状態の初期診断は、適切な時期の処置及び介入を可能にするのに必須である。残念なことに、心象的な徴候及び症状は遅く表れ、しばしば非特異的で一致しないため、これらの状態のほとんどの初期診断は困難である。例えば、IAIの臨床的症状としては、典型的には、母体の発熱及び白血球増加症が挙げられるが、これらの症状はしばしば後で起こり、鋭敏でもなく特異的でもない。このように、Gravett et al.,Am.J.Obstet.Gynecol.171:1660−7(1994)は非ヒト霊長類モデルを利用し、グループBの連鎖球菌を用いた実験的羊膜内感染の後、熱及び白血球増加症が、実験的感染の28時間〜40時間後に生じる感染により誘発される早期分娩が発症時には50%しか存在しないことを示した。それ故に、診断の遅れを避けるために、疑惑の高い指標及び補助的な実験室的試験の適切な使用が保証される。IAIを診断するために通常使用される臨床的基準としては、以下の症状の2つ以上を伴う母体の発熱(≧37.8℃)が挙げられる:母体白血球増加症(315,000/mm3)、母体又は胎児の心急搏症、子宮圧痛、又は羊水の悪臭。
本発明は、生体液のプロテオミクス分析による、病的な胎児/母体の状態を初期診断、予後のための、及び監視するための、非侵襲及び感受性の方法を提供する。
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程であって、上記プロテオミクスプロフィールが上記サンプル中に存在するタンパク質又はそれらのタンパク分解性のフラグメントの量の情報を与える、工程;及び
(b)上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが3〜5kDa及び/又は10〜12kDa分子量範囲で固有の発現サインを示す場合、上記哺乳動物を羊膜内感染であると診断する工程を含む方法に関する。
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)IGFB−1、プロフィリン、セルロプラスミン、及びL−プラスチン、カルグラヌリン、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質が上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現される場合に上記哺乳動物を羊膜内感染であると診断する工程を含む、方法に関する。
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程であって、上記プロテオミクスプロフィールが上記サンプル中に存在するタンパク質又はそれらのタンパク分解性のフラグメントの量の情報を与える、工程;及び
(b)上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが4〜15kDa分子量範囲で固有の発現サインを示す場合、上記哺乳動物を染色体異数性であると診断する工程を含む方法に関する。
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)少なくとも1つのアクチン調整タンパク質、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体が前記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現する場合、上記発育不全の存在を確認する工程を含む方法に関する。
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)マクロファージキャッピングタンパク質(MCP)、白血球エラスターゼ、好中球ゼラチナーゼ関連リポカルシン(lipcalcin)(NGAL)、ミエロペルオキシダーゼ、L−プラスチン、カルグラヌリン(calgranulin)、FALL−39、アジロシジン(azyrocidin)(CAPS7)、プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質が上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現する場合、上記母体又は胎児の感染又は免疫応答に関連する障害を確認する工程を含む方法に関する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
母体又は胎児の状態を決定するための方法であって、
哺乳動物被検体から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は上記状態に特徴的な少なくとも1つの固有の発現サインを含む参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程と、
上記母体又は胎児の状態を決定する工程とを含む、
方法。
(項目2)
上記哺乳動物被検体が妊娠したメスである、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記妊娠したメスがヒトである、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記母体の状態が、羊膜内感染、子かん前症、及び早期陣痛からなる群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記胎児の状態が、染色体異数性、先天性奇形、在胎齢及び成熟度からなる群から選択される、項目3に記載の方法。
(項目6)
上記生体液が、羊膜液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、母乳、粘液、及び唾液からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記生体液が羊膜液又は母体の血清である、項目3に記載の方法。
(項目8)
上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが、少なくとも2つのタンパク質の情報を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記プロテオミクスプロフィールがマススペクトルである、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記プロテオミクスプロフィールが、マススペクトルの3〜5kDa範囲で少なくとも1つの固有の発現サインを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記プロテオミクスプロフィールが、マススペクトルの10〜12kDa範囲で少なくとも1つの固有の発現サインを含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
上記母体状態が羊膜内感染であり、上記固有の発現サインが上記試験サンプル中の10〜12kDa分子量範囲における余剰ピークであり、これが羊膜内感染の指標である、項目9に記載の方法。
(項目13)
上記生体液が羊膜液又は母体の血清である、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記プロテオミクスプロフィールがWesternブロット分析によって生成される、項目1に記載の方法。
(項目15)
上記生体液がヒトの生体液であり、プロテオミクスプロフィールが以下:マクロファージキャッピングタンパク質、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン、ミエロペルオキシダーゼ;L−プラスチン;アズロシジン;抗菌性タンパク質FALL−39;Gp340改変タンパク質;Ebner唾液腺タンパク質ホモログ(GenBank受託番号355392);白血球エラスターゼインヒビター;カルグラヌリンA;カルグラヌリンB;コフィリン;モエシン;プロフィリンI、クロニン様タンパク質p57;アネキシンII、フィブロネクチン;グリアから誘導されるネキシン;アンチトロンビン−III;扁平上皮細胞癌腫抗原1、扁平上皮細胞癌腫抗原2;セルピン12;シスタチンA;シスタチンB;シスタチンC;IGFBP−1;ビタミンD−結合タンパク質;アポリポタンパク質A−I;14−3−3タンパク質シグマ;14−3−3タンパク質ゼータ/デルタ;ゲルゾリン;ラクトトランスフェリン;ホスホグリセレートキナーゼ1;ホスホグリセレートムターゼ1;及びトランスケトラーゼ;又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現情報を含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
上記プロテオミクスプロフィールが上記タンパク質の2つ以上の発現情報を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記プロテオミクスプロフィールが上記タンパク質の全ての発現情報を含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
上記生体液が羊膜液である、項目15に記載の方法。
(項目19)
上記プロテオミクスプロフィールが正常サンプルのプロテオミクスプロフィールである、項目15に記載の方法。
(項目20)
上記プロテオミクスプロフィールが上記試験サンプル又は参照サンプルのプロテオミクスプロフィールである、項目15に記載の方法。
(項目21)
上記タンパク質の1つ以上が、上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現される、項目15に記載の方法。
(項目22)
上記プロテオミクスプロフィールが以下:マクロファージキャッピングタンパク質;好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン;ミエロペルオキシダーゼ;L−プラスチン;アズロシジン;抗菌性タンパク質FALL−39;白血球エラスターゼインヒビター;カルグラヌリンA;カルグラヌリンB;プロフィリンI,グリアから誘導されるネキシン;セルピン12;シスタチンA;及びIGFBP−1;又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現情報を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記プロテオミクスプロフィールが上記タンパク質の2つ以上の発現情報を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記プロテオミクスプロフィールが上記タンパク質の全ての発現情報を含む、項目22に記載の方法。
(項目25)
上記被検体が羊膜感染と診断される、項目22に記載の方法。
(項目26)
上記患者が発育不全であると診断される、項目22に記載の方法。
(項目27)
上記発育不全が臓器系の発育における不全である、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記臓器系が中枢神経系又は心臓血管系である、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記発育不全が筋骨格の奇形である、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記発育不全が染色体の異数性から生じる、項目28に記載の方法。
(項目31)
上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが上記正常サンプルのプロテオミクスプロフィールと本質的に同じであり、上記被検体が上記母体又は胎児の状態を有さないと決定される、項目22に記載の方法。
(項目32)
上記プロテオミクスプロフィールが、表3及び4に列挙されるタンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現情報を含む、項目22に記載の方法。
(項目33)
上記プロテオミクスプロフィールが、上記参照サンプルと同じ固有の発現サインを含む、項目22に記載の方法。
(項目34)
上記固有の発現サインが羊膜内感染に特徴的である、項目32に記載の方法。
(項目35)
上記被検体が羊膜内感染であると診断される、項目34に記載の方法。
(項目36)
羊膜内感染を診断するための方法であって、
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと、正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程であって、上記プロテオミクスプロフィールが上記サンプル中に存在するタンパク質又はそれらのタンパク分解性のフラグメントの量の情報を与える、工程;及び
(b)上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが3〜5KDa及び/又は10〜12KDa分子量範囲で固有の発現サインを示す場合、上記哺乳動物を羊膜内感染であると診断する工程
を含む方法。
(項目37)
上記プロテオミクスプロフィールがマススペクトルの形態で表される、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記哺乳動物が霊長類である、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記霊長類がヒトである、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記羊膜内感染の推移を監視する工程をさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記生体液が羊膜液又は母体の血清である、項目39に記載の方法。
(項目42)
羊膜内感染を診断するための方法であって、
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと、正常サンプルのプロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)IGFB−1、カルグラヌリン、アズロシジン、プロフィリン、セルロプラスミン、及びL−プラスチン、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質が上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現される場合に上記哺乳動物を羊膜内感染であると診断する工程
を含む、方法。
(項目43)
上記哺乳動物が霊長類である、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記霊長類がヒトである、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記生体液が羊膜液又は母体の血清である、項目44に記載の方法。
(項目46)
IGFBP−1、カルグラヌリン、アズロシジン、プロフィリン、及びセルロプラスミン、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体の少なくとも1つが上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて過剰発現する、項目42に記載の方法。
(項目47)
L−プラスチンが上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて過剰発現する、項目42に記載の方法。
(項目48)
IGFBP−1の存在が図12に示されるタンパク分解性のフラグメント又はそれらのフラグメントを同定することによって検出される、項目46に記載の方法。
(項目49)
上記羊膜内感染の状況を監視する工程をさらに含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
染色体異数性を診断するための方法であって、
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと、正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程であって、上記プロテオミクスプロフィールが上記サンプル中に存在するタンパク質又はそれらのタンパク分解性のフラグメントの量の情報を与える、工程;及び
(b)上記試験サンプルのプロテオミクスプロフィールが4〜15KDa分子量範囲で固有の発現サインを示す場合、上記哺乳動物を染色体異数性であると診断する工程
を含む方法。
(項目51)
上記染色体異数性がダウン症候群である、項目50に記載の方法。
(項目52)
胎児の発育不全を診断するための方法であって、
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと、正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)少なくとも1つのアクチン調整タンパク質、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体が上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現する場合、上記発育不全の存在を確認する工程
を含む方法。
(項目53)
上記アクチン調整タンパク質がモエシン、p57、ゲルソリン、及び14−3−3タンパク質からなる群から選択される、項目52に記載の方法。
(項目54)
母体又は胎児の感染又は免疫応答に関連する障害を診断するための方法であって、
(a)妊娠したメスの哺乳動物から得られる生体液の試験サンプルのプロテオミクスプロフィールと、正常サンプルのプロテオミクスプロフィール又は参照プロテオミクスプロフィールとを比較する工程;及び
(b)マクロファージキャッピングタンパク質(MCP)、白血球エラスターゼ、好中球ゼラチナーゼ関連リポカルシン(lipcalcin)(NGAL)、ミエロペルオキシダーゼ、L−プラスチン、カルグラヌリン、FALL−39、アジロシジン(azyrocidin)(CAP37)、プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質が上記正常サンプルと比較して上記試験サンプルにおいて異なって発現する場合、上記母体又は胎児の感染又は免疫応答に関連する障害の存在を確認する工程
を含む方法。
(項目55)
新生児セプシスを診断するための方法であって、妊娠したメス哺乳動物から得られる生体液のプロテオミクスプロフィールにおいてGp−340の存在を検出する工程を含む方法。
(項目56)
マクロファージキャッピングタンパク質、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン、ミエロペルオキシダーゼ;L−プラスチン;アズロシジン;抗菌性タンパク質FALL−39;Gp340改変体タンパク質;Ebner唾液腺タンパク質ホモログ(GenBank受託番号355392);白血球エラスターゼインヒビター;カルグラヌリンA;カルグラヌリンB;コフィリン;モエシン;プロフィリンI、クロニン様タンパク質p57;アネキシンII、フィブロネクチン;グリアから誘導されるネキシン;アンチトロンビン−III;扁平上皮細胞癌腫抗原1、扁平上皮細胞癌腫抗原2;セルピン12;シスタチンA;シスタチンB;シスタチンC;IGFBP−1;ビタミンD−結合タンパク質;アポリポタンパク質A−I;14−3−3タンパク質シグマ;14−3−3タンパク質ゼータ/デルタ;ゲルゾリン;ラクトトランスフェリン;ホスホグリセレートキナーゼ1;ホスホグリセレートムターゼ1;及びトランスケトラーゼ;又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現情報を含む、生体液のプロテオミクスプロフィール。
(項目57)
マクロファージキャッピングタンパク質;好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン;ミエロペルオキシダーゼ;L−プラスチン;アズロシジン;抗菌性タンパク質FALL−39;白血球エラスターゼインヒビター;カルグラヌリンA;カルグラヌリンB;プロフィリンI、グリアから誘導されるネキシン;セルピン12;シスタチンA;及びIGFBP−1;又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現情報を含む、生体液のプロテオミクスプロフィール。
(項目58)
表3及び4に列挙されるタンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の情報を含む、生体サンプルのプロテオミクスプロフィール。
(項目59)
上記1つ以上のタンパク質、又はそれらのフラグメント、前駆体、又は天然に生じる改変体の存在を確認する、項目56〜58のいずれか1項に記載のプロテオミクスプロフィール。
(項目60)
IGFB−1,プロフィリン、セルロプラスミン、L−プラスチン、及びカルグラヌリンからなる群から選択されるタンパク質の存在を確認する情報を含む、羊膜内感染に特徴的な生体液のプロテオミクスプロフィール。
(項目61)
上記生体液中に存在するタンパク質又はそれらのタンパク質分解性フラグメントの分子量の情報を提供する形態で表され、3〜5KDa及び/又は10〜12KDa分子量範囲で固有の発現サインを含む、羊膜内感染に特徴的な生体液のプロテオミクスプロフィール。
(項目62)
マススペクトルとして表される、項目60に記載のプロテオミクスプロフィール。
(項目63)
上記生体液が羊膜液又は母体血清である、項目61に記載のプロテオミクスプロフィール。
(項目64)
図1A〜1Cのいずれか1つに本質的に示されるようなプロテオミクスプロフィール。
(項目65)
図2A〜Cのいずれか1つに本質的に示されるようなプロテオミクスプロフィール。
(項目66)
図3A〜Cのいずれか1つに本質的に示されるようなプロテオミクスプロフィール。
(項目67)
図4A又は4Bに本質的に示されるようなプロテオミクスプロフィール。
(項目68)
図6〜10のいずれか1つに本質的に示されるようなプロテオミクスプロフィール。
(項目69)
マイクロアレイフォーマットにおいて分析される、項目63〜67のいずれか1項に記載のプロテオミクスプロフィール。
(項目70)
固体支持体上に固定された表2〜4に列挙されるタンパク質から選択される1つ以上のタンパク質を含む、タンパク質アレイ。
(項目71)
固体支持体上に固定された表2〜4に列挙される1つ以上のタンパク質に特異的に結合する抗体を含む、抗体アレイ。
A.定義
他に定義されない限り、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)は、本出願中で使用される用語の多くに対する一般的なガイドを当業者に提供する。
本発明は、母体又は胎児の生体液のプロテオミクスプロフィールに基づく、母体及び胎児の状態の初期の、信頼性のある非侵襲試験のための方法及び手段に関する。本発明は、例えば、以下の文献に記載されるような当該技術において公知のプロテオミクス技術を利用する(これらの内容は参考としてここに組み込まれる):Proteome Research: New Frontiers in Functional Genomics(Principles and Practice).M.R.Wilkins et al., eds.,Springer Verlag,1007;2−D Proteome Analysis Protocols,Andrew L Link,editor, Humana Press,1999;Proteome Research:Two−Dimensional Gel Electrophoresis and Identification Methods(Principles and Practice),T.Rabilloud editor,Springer Verlag,2000;Proteome Research:Mass Spectrometry(Principles and Practice).P.James editor,Springer Verlag,2001;Introduction to Ploteomics.D.C.Liebler editor,Humana Press,2002;Ploteomics in Practice:A Laboratory Manual of Ploteome Analysis.R.Westermeier et al., eds.,John Wiley & Sons,2002。
本発明によれば、生体液のプロテオミクス分析は、当該技術分野で公知の種々の方法を用いて行うことができる。
a.羊膜内感染
羊膜内感染(IAI)は、妊娠中の羊水及び子宮内成分の急性バクテリア感染である。予想試験は、IAIが全ての分娩の4〜10%生じることを示す(Newton,E.R.,Prihoda,T.J., and Gibbs,R.S.:Logistic regression Analysis of risk factors for intraamniotic infection.Obstet.Gynecol.73:571,1989;Soper,D.E.,Mayhall,C.G.,and Dalton,H.P.:Risk factors for intraamniotic infection:a prospective epidemicologic study。American Journal of Obstetrics and Gynecology 161:562,1989;and Lopez−Zeno,J.A.,Peaceman,A.M.,Adashek,J.A.,and Socol,M.L.:A controlled trial of a program for the active management of labor.N.Engl J.Med.326:450,1992)。IAIを記載するために使用される他の用語としては、羊水感染、羊膜炎、及び臨床的絨毛羊膜炎が挙げられる。羊膜内感染は、母体の発熱、子宮圧痛、白血球増加症、及び胎児心急搏症によって臨床的に診断され、組織学的な絨毛羊膜炎とは区別されるべきである。羊膜内感染は、母体及び新生児の罹患率の重要な原因である。羊膜内感染は、産褥期における発熱性罹患率の原因の10〜40%を占め、初期新生児セプシス及び肺炎の原因の20〜40%に関連する(Newton,E.R.:Qiorioamnionitis and intraamniotic infection.Clin.Obstet.Gynecol.36:795,1993)。母体菌血症は、IAIを患う患者の2〜6%に生じ、産褥感染の罹患率は増加する。IAIを患う患者の間で、不完全な分娩及び帝王切開による分娩のリスクが増加する。Duffらは、分娩中に進行した羊膜内感染をもつ患者の中で、不完全な分娩の発生率が75%であり、帝王切開による分娩の発生率が34%であることを報告した(Duff,P.,Sanders,R. and Gibbs,R.S.:The course of labor in term pregnancies with chorioarnnionitis.American Journal of Obstetrics and Gynecology 147:391, 1983)。羊膜内感染はさらに、特に早期新生児の間で、早期進行した新生児罹患率及び死亡率と関連する。概して、母体のIAIに対して生まれる低体重新生児の中では、周産期死亡率が3〜4倍増加する(Gibbs,R.S.,Castillo,M.A., and Rodgers,P.J.:Management of acute chorioarnnionitis.American Journal of Obstetrics and Gynecology 136:709,1980;Gilstrap,L.C.,III,Leveno,K.J.,Cox,S.M.,Bums,J.S.,Mashburn,M., and Rosenfeld,C.R.:Intrapartum treatment of acute chorioarnnionitis:impact on neonatal sepsis.Am.J.Obstet.Gynecol.159:579,1988)。呼吸困難症候群、心室内出血、及び新生児セプシスの増加も存在する。Morales,W.J.:The effect of chorioarnnionitis on the developmental outcome of preterm infants at one year。Obstetrics and Gynecology 70:183,1987)。近年、IAIは、新生児脳室周囲白質軟化症及び脳性小児麻痺に関係があるとされており;大脳白室損傷及び脳性小児麻痺のリスクは、羊膜内感染の背景において9倍高まる。Bejar,R.,Wozniak,P.,Allard,M.,Benirschke,K.,Vaucher,Y.,Coen,R.,Berry,C.,Schragg,P.,Villegas,I., and Resnik,R.:Antenatal origin of neurologic damage in newborn infants.I.Preterm infants.Am.J.Obstet.Gynecol.159:357,1988;Grether,J.K. and Nelson,K.B.:Maternal infection and cerebral palsy in infants of normal birth weight. JAMA 278:207,1997)。最後に、潜伏性IAIは、インタクトな胚膜をもつ早期分娩の女性の少なくとも10%に見出され、このことは、IAIが未熟児の、重要な潜在的に予防可能な原因であることを示唆する(Romero,R.,Avila,C.,Brekus,C.A., and Morotti,R.:The role of systemic and intrauterine infection in preterm parturition.Annuals of the New York Academy of Sciences 622:355,1991)。Newtonによってまとめられた文献は、27週よりも低い在胎齢で臨床的なAIAの発生率が41%であり、27〜37週の在胎齢で15%の発生率であり、妊娠38週以上では2%であることを示した(Newton et al.,前出)。下部生殖路(lower genital
tract)に対する既存のバクテリアはさらに、臨床的な羊膜内感染の徴候なくインタクトな胚膜をもつ早期分娩において全ての女性の10〜20%の羊水から回収され(Romero et al.,前出)、23〜24週で妊娠を終了する早期分娩の女性の67%までの羊水から回収された(Watts,D.H.,Krohn,M.A.,Hillier,S.L., and Eschenbach,D.A.:The association of occult amniotic fluid infection with gestational age and neonatal outcome among women in preterm labor。Obstet Gynecol 79:351,1992)。これらの患者のほとんどは迅速に分娩し、臨床的に明らかなIAIが多くにおいて進んでいる。これらの観察結果は、仮新構成の初期の潜伏性の子宮内感染が早期分娩に先行し、極端な早期分娩の重要な原因となる場合があるという説を支持する。
子かん前症(タンパク尿、水腫、又はその両方を伴う母体の高血圧として定義される)は、最初のトリメスターにおいて妊娠が中断しない妊娠の7%に生じる。原因は知られていないが、妊娠可能年齢の極値の母体の糖尿病、多胎妊娠を有する妊娠、及び既に存在していた母体の腎臓疾患又は高血圧において、さらによく見られる。子かん前症は、周産期死亡率の増加と関連し、子かんを生じる場合があり、母体の発作によって特徴付けられ、母体の死亡率を高める。現在、子かん前症のための治療の主要な方法は、分娩及び硫酸マグネシウムを用いた抗痙攣薬による予防である。硫酸マグネシウム治療が出現する前には、観察された母体死亡率は20〜30%であった。しかし、迅速な診断と共に、硫酸マグネシウムを用いた抗痙攣薬、抗高血圧在による治療及び分娩により、母体の死亡率はほぼ0%にまで減った。
早期出産は、妊娠が完結する37週の前に出生することと定義される。アメリカ合衆国での早期出生の発生率は、全ての生きた状態での出生の10〜11%であり、早期分娩の積極的な処置にもかかわらず増加している。全体として、未成熟及びその結果は、先天性奇形をもたらさない周産期の脂肪の80%の原因となり、国のヘルスケア予算に年間約50億ドルが追加される。早期出生のためのリスク因子としては、白人でないこと、年齢が若いこと、社会的なステイタスが低いこと、母体の体重が55kg未満であること、未経産であること、最初のトリメスター出血であること、多胎妊娠であることが挙げられる(Meis PJ,Michielutte R,Peters TJ et al., Factors associated with preterm birth in Cardiff,Wales:H Indicated and spontaneous preterm birth.Am J Obstet Gynecol 173:597−602,1995)
不幸なことに、自然発生的な早期出生のリスクを持つ患者の予測は一般的に期待はずれである(Creasy RK,lams JD.Preterm labor and delivery.In Maternal−Fetal Medicine.Creasy RK,Resnik R(eds.).W.B.Saunders Company,Philadelphia,PA 4th edition,1999.Page 498−531)。早期出生の最も大きなリスクをもつ集団を定義し、それによって初期介入からの潜在的な利益を得ようとする以前の試みは、リスクスコアリング指標(risk−scoring indices)、胎児フィブロネクチンの生化学的検出、頚部の長さの超音波測定、及ぶ生息地となる子宮の活性の監視を含んでいた。これらのプログラムは、高価であり、患者が初期の介入又は予防から利益を受ける程度の正確性を持って予測することができなかったということによって阻まれていた。全ては、約30%のわずかに陽性の予想値を持ち、患者の大多数が満期での分娩の「リスク保持者(at risk)」であると定義された。子宮収縮を阻害するための薬理学的処置を含む介入は有効であるが、早期分娩の初期の信頼できる診断に依存する。それ故に、早期出生の最も大きなリスクを持つ患者を同定するための初期の信頼できるマーカーは、早期出生に関連する莫大なコスト及び新生児死亡率及び罹患率を減らすために必要である。
染色体異常は、周産期罹患率及び死亡率の頻度の高い原因である。染色体異常は、200人の生児出生あたり1の発生率で生じる。これらの異常の主な原因は染色体異数性であり、染色体の異常の多くは親からの遺伝である。最も頻繁な染色体異数性の1つはトリソミー−21(ダウン症候群)であり、800人の生児出生あたり1の発生率を有する(Hook EB,Hamerton JL:The frequency of chromosome abnormalities detected in consecutive newborn studies:Differences between
studies:Results by sex and by severity of phenotypic involvement.In Hook EB,Porter IH(eds.):Population Cytogenetics, pp 63−79.New York,Academic Press,1978)。トリソミー−21の一次リスク因子は、母体の年齢が35歳を超えていることであるが、トリソミー−21をもつ子供の80%は、35歳より若い女性から生まれている。他の一般的な異数体状態としてはトリソミー13及び18、ターナー症候群及びクラインフェルター症候群が挙げられる。
本発明は、生体液、例えば、羊水、血清、血漿、尿、能脊髄液、母乳、粘液、又は唾液のプロテオミクスプロフィールによって上述及び他の類似の母体/胎児の状態を診断するための、初期及び信頼できる、非侵襲方法を提供する。
本発明のプロテオミクスプロフィールはさらに、特定の母体/胎児の状態の処置のために、候補薬物を同定するためのスクリーニングアッセイにおいてさらなる有用性を見出す。このようなスクリーニングアッセイは、試験分子が、処置される母体/胎児の状態に特徴的な発現サインを含有するプロテオミクスプロフィールを発現サインを欠いたプロテオミクスプロフィールに変換する能力に基づく。1つの特定の実施形態では、試験化合物が病的な発現プロフィールを正常な発現プロフィールに変換する能力が試験され、別の実施形態では、スクリーニングアッセイは、試験化合物が、病的な状態に特徴的な固有の発現サインを対応する正常な発現サインに変換する能力を試験する。このようなスクリーニングアッセイは、疾患の生物学的サンプルを処置し、処置前と処置後のプロテオミクス発現プロフィールを比較することによって、インビトロで行うことができる。それに代えて又はそれに加えて、標的の病的な母体/胎児の状態を示す実験動物を試験化合物で処置し、処置前及び処置後の動物の生体液を採取し、2つのサンプルのプロテオミクスプロフィールを比較することによって、薬物スクリーニングを行うことができる。このアッセイでは、生体液のサンプルを処置後の種々の時間点で、及び処置後の時間推移に沿って採取することも可能である。これらの方法論は、薬学的薬剤の毒性を特徴決定するため、及び特定の治療のための最適候補物を同定するために適用してもよい。
上に議論される診断アッセイ及びスクリーニングアッセイの両方は、タンパク質アレイを用いて行うことができる。近年、タンパク質アレイは、タンパク質を検出し、それらの発現レベルを監視し、タンパク質相互作用及び機能を観察するための強力な手段として広く認識されている。それらは、自動化手段を用いて多くの数の決定を同時に行うことができる場合、高スループットタンパク質分析を可能にする。DNAアレイのために元々開発されたマイクロアレイ又はチップフォーマットでは、大量のデータを作成しつつ最小限の物質の使用でこのような決定を行うことができる。
一般的なプロトコル
羊膜内感染の霊長類モデル
このプロトコルは、Institutional Animal Care Utilization Committee of the Oregon National Primate Research Centerによって承認され、ヒトのケアのためのガイドラインに従った。時間通りの妊娠状態の19匹の妊娠したアカゲザル(Macaca mulatta)を、慢性的にカテーテル挿入し、以前に記載されているとおりに手術後に維持した(Haluska GJ,et al.,Temporal changes in uterine activity and prostaglandin response to RU 486 in rhesus macaques in late gestation.,Am J Obstet Gynecol 157:1487−95(1987);and Gravett MG,et al.,An experimental model for intra−anmiotic infection and preterm labor in rhesus monkeys.Am J Obstet Gynecol 171:1660−7(1994))。
以前に記載されるように、University of Washington Medical Center又はシアトルの関連病院で1991年6月25日〜1997年6月30日まで、インタクトな胚膜を持つ妊娠22〜34週での早期分娩で入院した309人の女性から研究集団を抜き出した(Hitti J,et al.,Amniotic fluid tumor necrosis factor−α and the risk of respiratory distress syndrome among preterm infants.Am J Obstet Gynecol 177:50−6(1997))。全ての女性は、書面によるインフォームドコンセントを受けておリ、試験プロトコルは、全ての参加病院についてInstitutional Review Boardsによって承認された。全ての参加者は、研究登録時にインタクトな胚膜を有していた。早期分娩は、>1cmの頚部の変化又は頚部の膨張又は>50%の頚部成熟度のいずれかを伴って、≦10分の頻度での規則的な子宮収縮として定義された。
(表1A)
試験集合の特性
(表1B)
スクリーニング結果
(表1C)
試験結果をスクリーニングするためのFisher試験の有意性値
LC−MS/MS分析によるタンパク質同定
コントロールサンプル及び感染サンプル由来の羊水100μgを、ヨードアセトアミドで還元し、15% SDS−PAGEゲルで分離した。80Vで電気泳動を行ない、サンプル中のタンパク質を分離した。電気泳動の後、ゲルをCoomassie blue R−250で染色し、画像をBio−Rad GS800デンシトメーター及びPDQUESTソフトウェアで集めた。各レーンからの個々のバンドをゲルから切断し、脱色し、Courchesne及びPatterson(Methods Mol Biol 112:487−511(1999))の方法を用いて、ゲル中でトリプシンで37℃で24〜48時間消化した。ペプチドを0.1%TFAで抽出し、スピードバキューム(speedvac)中で乾燥した。抽出物を0.1%TFAに溶解し、Zip Tipc18ピペットチップ(Milliporeから)を用いて、CapLC(Waters,Inc)に接続したQ−Tof−2質量分析計(Micromass,UK)を用いて、及び/又は110 キャピラリーLCシステム(Agilent Technologies,Foster City,CA)に接続したイオン捕捉(LCQ,ThermoFinnigan,San Jose,CA)を用いて、精製した(Marvin L.,et al.Identificaton of proteins from one−dimensional sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide gel electrophoresis using electrospray quadrupole−time−of−flight tandem mass spectrometry.Rapid Commun Mass Spectrom.14(14):1287−92,2000)。
羊水(400〜2000μg)(アルブミンを含むものと含まないもの)をIEFバッファーに溶解し、IPG片(pH3〜10)24cmに室温で12時間再水和させた。再水和後、IPG片を70〜90kVhrsで1次元電気泳動にかけた。次いで、IPG片をDTT平衡バッファーI及びIAA平衡バッファーIIを用いて順次15分間平衡化させ、その後2次元SDS−PAGE分析を行った。次いで、IPG片を4〜20%SDS−PAGEゲルに入れ、120Vで12時間ゲル電気泳動し、2次元でタンパク質を分離した。ゲルをCoomassie Blue R−250で染色し、Bio−Rad GS800デンシトメーター及びPDQUESTソフトウェアを用いて画像化した。個々のスポットをゲルから切断し、脱色し、ゲル中でトリプシンで37℃で24〜48時間消化した。ペプチドを0.1%TFAで抽出し、Zip Tipc18ピペットチップ(Milliporeから)を用いて精製した(2−D Proteome analysis protocols:Methods in Molecular Biology:112,1999)。
アルブミン及びIgGを除去した後のヒト羊水サンプル(1〜15mgタンパク質)を20mM Tris−HCl(pH7.5)に溶解した。オートサンプラー及びUV吸収検出器を取り付けたWaters 1525 HPLC上でTSKゲルDEAE−5PWカラムを用いてアニオン交換クロマトグラフィーを行った。直線的な塩溶離勾配を用いてタンパク質を分画した。フラクションを1分ごとに集めた。フラクションをプールし、トリプシンで消化し、ペプチド混合物を質量分析計(Q−Tof−2)を用いて分析した。
(1)Q−Tof−2
ゲル中で消化した後のサンプルをMicromass CapLCに接続したMicromass Q−Tof−2質量分析計で分析した。Q−Tof−2に規則的なZ−スプレー又はナノスプレー源を取り付け、Integrafrit C18 75um ID×15cm石英ガラスキャピラリーカラムに接続した。Windows(登録商標) NT及びMassLynx3.5ソフトウェアを入れたCompaqワークステーションで、装置を制御し、データを得た。CapLC内に直接注入又は注射することによってQ−Tof−2をGlu1Fibrinopeptide Bを用いて較正した。MS/MSMS調査方法を使用して、MS/MSMSスペクトルを得た。MS調査について質量400〜1500をスキャンし、MSMSについて質量50〜1900をスキャンした。Windows(登録商標)2000及びSEQUEST(バージョン1.3)及び/又はLUTEFISKを入れたPCで一次データ分析を行った。ピークピッキングのためのビルトイン自動化機能を用い、各ピークについて質量中心−フィッティングを適用して、ピークリストを作成した。
乾燥したCoomassie blue染色したゲルからのタンパク質スポットを切除し、20mM炭酸水素アンモニウム、50%アセトニトリル溶液0.5ml中で30分間再水和/洗浄した。次いで、ゲル領域を真空遠心分離によって乾燥し、Courchesne及びPatterson,Identification of proteins by matrix−assisted laser desorption/ionization masses,Methods Mol.Biol.112:487−511(1999)の方法を用いて、20nMシーケンスグレード改変トリプシン(ProMega,Madison,WI,USA)中で再水和させることによって系中で消化した。次いで、トリプシン消化物を真空遠心分離によって濃縮し、逆相クロマトグラフィーによって分離し、ペプチドをモデルLCQイオン捕捉質量分析計(ThermoFinnigan,San Jose,CA)によって分析した。サンプルを、10μLmin−1流速及び勾配0〜40%B(水中の75%アセトニトリル)を1時間かけて、Zorbax C−18 0.5mm×150mmミクロボア(microbore)カラムを用いて、1100キャピラリーLCシステム(Agilent Technologies,Foster City,CA)を用いて分離した。標準的なThermoFinnigan電気スプレー源にペプチドを直接導入した。標準的なLCQソフトウェアを用いて自動化様式でMS/MSスペクトルを得て、次いで、SEQUEST(ThermoFinnigan)を用いてさらに分析した。さらなる詳細のために、Courchesne,P.L.and Patterson,S.D.(前出)を参照。
(1)Sequest及びDTASelect SEQUESTソフトウェア(ThermoFinnigan)を用いて、Yates et al.,Methods Mol.Biol.112:553−69(1999)に記載されるように、タンデムマススペクトル(MS/MS)の自動化分析を行った。SEQUESTは、データベースペプチド配列に対して連続的なタンデムマススペクトルを一致させる。索引付きの重複のないProtein Information Resource(公開日)及びSwissProt(公開日)から得られたタンパク質配列のデータベースを組み合わせて使用して、デフォルトパラメーターを用いてサーチを行った。Xcalibur Database Manager(ThermoFinnigan)を用いてデータベースを構築した。S−カルボキシアミド化システインは、単なる改変であるとみなされた。
二段階遅延抽出源を備えた特注の飛行時間反射質量分析計(Jensen ON,et al.,Direct observation of UV−crosslinked protein−nucleic acid complexes by matrix−assisted laser desorption ionization mass spectrometry.Rapid Commun Mass Spectrom 7(6):496−501(1993))を用いて、MALDI質量分析法を行った。約1μLのサンプル溶液を1μlのSA(60:40水/アセトニトリル 0.1%TFA最終濃度中のシナピン酸)と混合した。この検体/マトリックス溶液の1.0μLの液滴をマトリックス前結晶化サンプルプローブ上に付着させ、空気中で乾燥させた。(355nm)Nd:YAGレーザー(Spectra Physics)を用いてサンプルを照射し、23kVで700ns/1.0kVの遅延を有したイオン源を操作することによって、マススペクトルを作成した。20の連続したスペクトルの合計として各マススペクトルを記録し、それぞれ光子の単独のパルスによって作成された。追加した標準からのイオンを質量較正に使用した。
羊水サンプルからの全0.5〜3.0ugタンパク質でNormal Phase NP20(SiO2表面)、Reverse Phase H4(疎水性表面:C−16(長鎖脂肪族)、又は固定化ニッケル(IMAC)SELDIタンパク質Chip(登録商標)アレイ(Ciphergen Biosystems,Inc.Fremont,CA)上に点を付けた。室温で1時間インキュベーションした後、NP1及びH4チップを5ulの水洗浄液にさらし、結合していないタンパク質及び干渉物質(すなわち、バッファー、塩、洗剤)を除去した。2〜3分空気乾燥した後、50%アセトニトリル(v/v)中のシナピン酸の飽和溶液0.5ulを2回適用し、0.5%トリフルオロ酢酸(v/v)を添加し、Ciphergen Protein Biology System II(PBSII),Issaq,J.H,et al.:The SELDI−TOF MS Approach to proteomics:Protein Profiling and Biomarker Identification。Biochem Biophys Res Commun.5;292(3):587−92,2000中の飛行時間質量分析計によって質量分析を行った。
ポリクローナル抗体及びWesternイムノブロッティング
対応するタンパク質由来の免疫抗原性のペプチドを使用してウサギポリクローナル抗体(DSL Laboratories,Webster,TX)を作成し、次いで、アフィニティー精製した抗体をWesternブロットのために使用した。100μgのAFタンパク質を4−20%SDS−PAGEで分離し、PVDF膜に移した。母体血清から、300μgのタンパク質をIGFBP1モノクローナル抗体(DSLLaboratories)を用いた免疫沈降のために使用し、生成物をWesternブロットした。母体血清中のカルグラヌリン(calgranulin)Bの検出のために、150μgのアルブミンを除去した母体血清をWesternブロットのために使用した。PBST中の5%脂肪除去牛乳を用いて室温で45分間、膜をブロックし、1μg/mlの一次抗体(IGFBP−1、アズロシジン、ビタミン−D結合タンパク質及びカルグラヌリン(calgranulin)−B、DSL Inc., Santa Cruz,CAから)を用いて4℃で一晩インキュベートした。TBSTで3回洗浄した後、IgG−HRP二次抗体(シグマ)を用いて膜をインキュベートし、高められた化学ルミネセンスを用いて視覚化した。
羊水中で発現したタンパク質及びポリペプチドの同定
実施例1に記載された物質及び方法を用いて、正常羊水及び感染羊水中で発現したタンパク質及びポリペプチドを同定した。ヒト及び霊長類の羊水サンプル(プールしたもの及び個々のもの)を、実施例1に記載されるようなタンパク質分離技術で分離した(1−D、2−D及びHPLC分画)。分離したタンパク質(ゲルバンド、スポット及びフラクション)をトリプシンで消化して、ペプチドプールを作成した。ペプチドプールをタンデムMSを用いて分析して、それらのアミノ酸配列及び組成を解読した。
(表2)
ヒト羊水中で最初に発見されたタンパク質及びポリペプチド
#これらのタンパク質を表すペプチドは、感染した羊水中でより豊富であるか、又は固有に検出される。
(表3)
人羊水中に存在することが以前に知られており、デノボ配列決定を用いて同定されたタンパク質及びポリペプチド
子宮内の状態のための診断マーカー:
上の表に列挙されたたんぱく質は、子宮内状態を検出し監視するための有望な候補である。このような状態及び対応するタンパク質マーカーのいくつかの例を以下でさらに詳細に議論する。
表2の構造タンパク質の中に列挙されるモエシン(膜を組織化する伸長スパイクタンパク質)は、膜貫通タンパク質のアクチン細胞骨格に対する結合に関与し、種々の細胞シグナル伝達経路に関係していることが知られている(Speck O,et al.:Moesin functions antagonistically to the Rho pathway to maintain epithelial integrity.Nature 2;421(6918):83−7,2003)。Rho−ファミリーGTPase及びそれらのエフェクターが、アクチン改変分子、例えばコフィリン及びプロフィリン(これらも表2の構造タンパク質として列挙されている)の活性を調整し、その結果、増殖の円錐伸長又は収縮に関連する細胞骨格に変化を生じることが知られていた(Tang BL.Inhibitors of neuronal regeneration:mediators and signaling mechanisms.Neurochem Int,42(3):189−203,2003)。コロニン様タンパク質p57(表2において列挙される別の構造タンパク質)はさらに、アクチン架橋及びキャッピングに関与し(Weitzdoerfer R et al.:Reduction of acrin−related protein complex 2/3 in fetal Down syndrome.Biochem Biophys res Commun.293:836,2002)、既知の発育不全において調節異常を示す。別のアクチン調整タンパク質であるゲルゾリン(表2中のトランスポーター/結合タンパク質の列挙されるゲルゾリン前駆体を参照)はさらに、発育において制御され、臓器系において重要であることが知られている(Arai M,Kwiatkowski DJ.Differential developmentally regulated expression of gelsolin family members in the mouse.Dev Dyn,215,297,1999)。14−3−3タンパク質はさらに、シグナル伝達及び分化経路にかかわる既知の上皮マーカーであり、脳及び他の生体臓器の正常な発育に必須である(Wu C,Muslin AJ.Role of 14−3−3 proteins in early Xenopus development.Mech Dev,119,45,2002)。
マクロファージキャッピングタンパク質、白血球エラスターゼ、好中球ゲラテナーゼ関連リポカリン(lipocalicn)、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)、L−プラスチン(リンパ球サイトゾルタンパク質)及びカルグラヌリン(calgranulin)(表2中の免疫応答関連遺伝子の列挙を参照)の感染した羊水での本発明の検出は、最初にこれらのタンパク質の羊膜内感染における存在および調整を示す。これらのタンパク質のいくつかは、感染、炎症及びストレスに対する応答において免疫細胞の既知のレスポンダーである。マクロファージキャッピングタンパク質(MCP)は、アクチンフィラメントを調整し、炎症プロセスに関与するCa(2+)−感受性タンパク質である(Dabiri GA,Molecular cloning of human macrophage capping protein cDNA.A unique member of the gelsolin/villin family expressed primarily in macrophages J Biol Chem 15;267(23):16545−52,1992)。同様に、カルグラヌリン(calgranulin)は、外傷及び創傷治癒において役割を果たすことが知られているカルシウム結合タンパク質である(Thorey IS.et al. The Ca2+−binding protein S100A8 and S100A9 are encoded by novel injury−regulated genes.J Biol Chem 21;276(38):35818−25,2001)。白血球エラスターゼ及び好中球ゼラチナーゼに関連するリポカルシン(NGAL)は、静菌機構及び溶菌機構に関与する(Goetz DH.et al.The neutrophil lipocalin NGAL is a bacteriostatic agent that interferes with siderophore−mediated iron acquisition.:Mol Cell 10(5):1033−43,2002)。
表2に列挙されたGp−340改変体タンパク質は、ヒトの感染羊水中で検出され、肺において以前に同定されたスカベンジャーレセプターである。このタンパク質は、バクテリア(連鎖球菌及び改変体)に結合することが知られている。感染した羊水におけるこのタンパク質の検出は、IAIのためのバイオマーカーを同定するための本発明の感受性のプロテオミクスアプローチを補完する。従って、感染した羊水中で同定されたGp−340改変体タンパク質は、それ自身で新生児セプシスを検出するのに有用である)。
表2に示されるように、IGFBP−1は、感染した羊水中で示差的に発現することが示された。インスリン様増殖因子(IGF)系は、胎児及び胎盤の成長に決定的に関与し、自己分泌/パラ分泌機構を介する子宮内膜中のステロイドホルモン作用を調整する。IGF−I及びIGF−IIは、増殖及び分化を刺激し、インビトロでいくつかの細胞種において分化した細胞機能を維持した。子宮内膜間質細胞はIGF−I及びIGF−IIを産生し、さらに高アフィニティーのIGF結合タンパク質(IGFBP)を産生する。IGF作用を調整可能な6つの高アフィニティーIGFBPのmRNAは、ヒト子宮内膜中で発現される。ヒト子宮内膜中で最も豊富なIGFBPはIGFBP−1であり、これは、後期分泌段階及び妊娠中において、前脱落膜化/脱落膜化子宮内膜間質細胞によって分泌される。このことは、臨床的な産科学及び婦人科学について示唆を有し、ここに子かん前症、子宮内成長阻害、多嚢胞性卵巣症候群及び栄養芽細胞及び子宮内膜の新生物におけるIGFBP−1の病態生理学的な役割の証拠が存在する。
子宮内感染後の霊長類及びヒト羊水のタンパク質発現プロフィール
化学的に定義された正常相のチップアレイに結合したAF抽出物の235レーザー強度で集めた全スペクトルSELDI−TOF MS分析において、3〜5kDa及び11〜12kDa領域において、感染及び非感染の霊長類及びヒトのAF間でいくつかのピーク強度が異なることがわかった
対応する正常な発現プロフィールと比較した場合の子宮内感染後の霊長類羊水のタンパク質発現プロフィールを図1A〜Cに示す。図1A〜Cに示されるように、コントロール及び感染羊水の全体的なタンパク質発現プロフィールは異なる。小さな質量範囲における羊水プロフィールの詳細なスペクトル(図1B及び1C)は、約3〜5kDa及び10〜12kDa範囲において、コントロールと感染サンプルとのタンパク質発現プロフィールが別個のものであり、特徴的に異なることを示す。このことは、子宮内感染に応答するタンパク質発現の全体的な調整を示し、子宮内感染を診断する固有の発現サインを検出する能力を示す。
実施例4
示差質量分析計を用いた診断プロフィールの作成
診断タンパク質発現プロフィールは、異なる種類の質量分析計を用いて検出することができる。異なる質量分析計が類似の診断プロフィールを作成するか否かを試験した。診断プロフィールが実質的に質量分析計の種類に依存しない場合、羊水中で検出された示差的なタンパク質発現は、子宮内感染の診断サインを与えることができる。
complexes by matrix−assisted laser desorption ionization mass spectrometry.Rapid Common Mass Spectrom 7(6):496−501(1993))。
実施例5
診断的及び予防的に監視するための羊水におけるタンパク質及びポリペプチド発現の定量
SDS−PAGE:
多量の塩を含有するヒト羊水(AF)由来のタンパク質をアセトンで沈殿させた。100μgの羊水タンパク質を15%SDS−PAGEにかけた。ゲルをCoomassie Blue R−250で染色した。ゲル画像をBio−RadゲルScannerでスキャンした。
子宮内感染由来の羊水のWesternブロット分析
100μgのAFタンパク質を4〜20%SDS−PAGEに200Vで60分かけ、PVDF膜に90mMで75分移した。膜を5%ミルクPBSTで室温で45分間ブロックし、1μg/mlの一次抗体(Santa Cruz and Dako)で4℃で一晩インキュベートした。TBSTで3回洗浄した後、膜を二次抗体IgG−HRP(シグマ)で室温で90分間インキュベートし、ECL(Pierce)で視覚化した。
子宮内感染由来の羊水の免疫沈降分析
2μgの一次抗体を600μgのAFタンパク質と混合し、4℃で一晩インキュベートした。15μlのタンパク質G Sepharoseビーズを追加し、シェーカー上で室温で60分インキュベートした。ビーズをIPバッファーで6回洗浄した。
ヒト羊水及び母体血清における示差的なタンパク質発現の検出
羊水中で示差的に発現するタンパク質を、母体血清における同様のタンパク質を測定するための手がかりとして使用することができるか否かを試験した。これにより、診断及び監視のための迅速な非侵襲試験を開発することが可能になる。結果を図8に示す。ここで、(A)はコントロールサンプル(プールされた)であり、(B)は感染サンプルである(プールされた)。
子宮内感染由来の羊水のタンパク質マイクロアレイ分析
抗体:IGFBP−1(DSL);補体C3、Desmin、好中球エラスターゼ、NSE抗体(DAKO);カルグラヌリン(calgranulin)、セルロプラスミン、TIMP−1、プラスチン及びプロファイリング(Santa Cruz)。
感染した羊水の固有の診断サイン中に表されるタンパク質のさらなる分析
コントロール及び感染した羊水のSELDI−TOFプロフィールが、陽性に感染したサンプルの代表例で、10〜12KDaの質量範囲で固有のサインを示すことが示された(図1、2及び3)。コントロール及び感染した羊水を1−Dゲルで分離し(図5)、プールされたか又は独立した感染羊水サンプル中でさらに豊富な、10〜12KDaの質量範囲におけるバンドを示す。これらの1−Dゲルバンドの単離及び図13に示すようなLCQ−MSを用いたさらなる分析により、IGF−BR−1及びS−100カルシウム結合タンパク質の代表例であるペプチドを同定した。
ID NO:2及び3)。感染羊水由来のトリプシン消化した約10.5〜12kDaバンドの1−Dゲル中で検出されたIGF−BP−1のタンパク分解性のフラグメント(低分子量範囲、図5)、Westernブロット(図6)、及びMS/MS分析(図13)は、下線を引いた配列の領域で現される(SEQ ID NO:4)。
IAIバイオマーカーの免疫検出
IAIにおいて同定されるタンパク質の示差発現を確認するために、全体的なタンパク質発現分析において同定された11−kDa SELDI−TOF MSプロフィール(カルグラヌリン(calgranulin)B及びIGFBP−1)、1つの免疫制御分子(アズロシジン)、及び制御されていないタンパク質(ビタミンD結合タンパク質)から2つのマーカーを選択した。図16に示されるように、Westernブロット分析は、全ての3つのバイオマーカーが、IAI羊水で行われたタンパク質同定実験と一致する示差的な発現を示すことを確認した。
染色体異数性に特徴的な診断プロフィール
母体血清スクリーニングを用いてトリソミー−21をより正確に同定するためにプロテオームプロファイリングの有用性を試験した。この研究は、パネル(コントロール(n=6)、トリソミー−21(n=6)及びトリソミー−18(n=4)、十分に特徴決定された母体血清サンプル(同じ症例についての羊水サンプルのマッチングは、標準的な染色体マッピング方法及び陽性確認されたトリソミーの存在により試験した)で行ない、子宮内感染モデルについて上に記載されるようなSELDI−TOF方法論を用いて分析した。
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