JP2010122145A - シリコンウェハ欠陥検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多結晶シリコンウェハであっても欠陥を適切かつ明確に検出することができるシリコンウェハ欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】被検体7に赤外レーザー光線を照射する赤外レーザー光源1と、被検体7を透過した赤外レーザー光線を受光する開口部4を有し、その内部で赤外レーザー光を拡散させる中空の受光ユニット2と、受光ユニット2の空間部2bに検出部を露出し、被検体7を透過した赤外レーザー光の光量を検出する赤外光検出センサー3とを備え、赤外光検出センサー3は、被検体7を透過し、開口部4を通じて受光ユニット2内に入射され、受光ユニット2の内部で拡散された赤外レーザー光の光量を検出することで、検出結果を画像に変換した際に、多結晶シリコンウェハの結晶の粒界7aの明暗模様が著しく軽減され、欠陥を明確に検出することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、赤外レーザー光線を利用したシリコンウェハの欠陥検査装置に係るものであり、特にウェハ内に発生したクラック等の欠陥の有無を検出する欠陥検査装置に関するものである。
近年、単結晶や多結晶の結晶系太陽電池素子の基板等として用いられるシリコンウェハは、コストダウンやシリコン材料の削減等の理由により薄型化が進められており、そのため、シリコンウェハを製造する工程やセル工程においてクラックが発生し易くなっている。
例えば、太陽電池素子においては、複数枚の太陽電池素子を組み合わせてモジュール化した場合、クラックのある太陽電池素子が1枚でも存在すると、そのモジュールの出力電力を大きく低下させてしまうことになる。また小さなクラックにおいても、太陽電池素子の製造工程が進むに連れてクラックが拡大し、致命的なサイズに至ることもある。このため太陽電池素子をモジュール化する以前にクラックの有無を精度良く検出し、欠陥のある太陽電池素子を除去しておくことが重要である。
シリコンウェハのクラックの検出方法の第一の従来技術としては、シリコンウェハに衝撃を加えて振動を発生させ、この振動周波数を、センサーを介して電気信号に変換し、この振動周波数のパワースペクトラムを解析してクラックの有無を検出する方法がある。
また、第二の従来技術としては、赤外光をシリコンウェハに照射し、その反射光あるいは透過光による赤外線画像をCCDカメラで検出し、微小なクラックを検出する検査方法がある。詳しくは、赤外光をシリコンウェハに照射した際、クラック等の欠陥の無い部分においては、赤外光が一様な光量で反射あるいは透過するが、クラック等の欠陥が存在する部分では、赤外光の吸収及び散乱が局所的に起こって光量に変化が生じ、赤外線画像において影として出現するので、画像処理によって微小なクラックが視覚化され、クラックを発見できるという検出方法である(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−218638号公報
しかしながら第一の従来技術では作業員によって打音検査を行うため、ウェハの薄型化に伴い、人手によるハンドリングが困難になりつつある。
また、第二の従来技術では、結晶表面に複数の面方位を有するような多結晶シリコンウェハの検査を行う場合、シリコンウェハ表面に照射され、透過した赤外光は、照射角度と同角度を保持したまま透過した正透過光と、不規則に並ぶ結晶の面方位によって拡散された拡散透過光とに分かれるが、この拡散透過光の進行方向が結晶の面方位によって異なるため、透過光量が面方位毎に異なることとなる。この状態で、焦点距離を30cm程度としたCCDカメラで撮像すると、面方位毎に光量の異なる透過光を直接撮像することとなり、撮像画像に結晶の粒界の明暗模様が顕著に現れる。なお、シリコンウェハ表面に赤外光を照射し、反射光を撮像した場合でも同様に結晶の粒界の明暗模様が顕著に現れる。そのため、結晶の粒界の明暗模様とクラックとを明確に区別することが困難となり、誤検出あるいは見逃しを発生させるといった課題があった。
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、多結晶シリコンウェハであっても欠陥を適切かつ明確に検出することができるシリコンウェハ欠陥検査装置を提供することにある。
そこでこの発明のシリコンウェハ欠陥検査装置は、被検体7に赤外レーザー光線を照射する赤外レーザー光源1と、前記被検体7を透過した赤外レーザー光を受光する開口部4を有し、その内部で赤外レーザー光を拡散させる中空の受光ユニット2と、前記受光ユニット2の空間部2bの赤外レーザー光の光量を検出する赤外光検出センサー3とを備えたシリコンウェハ欠陥検査装置であって、前記受光ユニット2の内部での赤外レーザー光の光量の変化を検出することでシリコンウェハのクラック等の欠陥を検出することを特徴としている。
また、前記赤外レーザー光源1から照射された赤外レーザー光線を第一の方向に走査させる走査機構と、被検体7を第一の方向と略直交する第二の方向に搬送可能な搬送手段6と、前記赤外光検出センサー3によって検出された光量信号を二次元画像に変換する画像処理手段を備えた制御手段とを備えたシリコンウェハ欠陥検査装置であって、走査機構による赤外レーザー光線の走査動作と同期して、被検体7を透過した赤外レーザー光の光量を検出する工程と、被検体7が赤外レーザー光線の照射径と略同幅の移動距離をもって第二の方向に搬送される工程からなる一連の工程が、前記被検体7の検査範囲内で連続して行われ、前記赤外光検出センサー3によって検出された光量信号とともに赤外レーザー光線照射位置の情報が画像処理手段に入力され、二次元画像に変換されることを特徴としている。
さらに、前記赤外レーザー光線の波長は、1〜15μmの範囲内であることを特徴としている。
さらにまた、前記赤外レーザー光線の照射径は、被検体7の厚さと略同幅以下とすることを特徴としている。
また、前記赤外光検出センサー3で検出された光量が閾値より低い場合、前記被検体7の赤外レーザー光線照射箇所にクラック11又は異物が存在すると判定する判定手段を備えていることを特徴としている。
さらに、前記赤外光検出センサー3で検出された光量が閾値より高い場合、前記被検体7の赤外レーザー光線照射箇所に貫通クラック又はピンホール14が存在すると判定する判定手段を備えていることを特徴としている。
さらにまた、前記被検体7が多結晶シリコンウェハであることを特徴としている。
この発明のシリコンウェハ欠陥検査装置によれば、単結晶シリコンウェハの赤外レーザー光線照射箇所にクラック等の欠陥が生じていた場合、照射された赤外レーザー光線が欠陥によって吸収あるいは拡散され、受光ユニットの開口部から受光ユニット内に入射する透過光量が変化することから欠陥を明確に検出することができる。
また、被検体が複数の面方位を有する多結晶シリコンウェハであっても、受光ユニットに設けられた開口部によって、照射角度と同角度を保持したまま透過した正透過光とともに、不規則に並ぶ結晶の面方位によって拡散された拡散透過光を受光ユニット内に入射させることができるため、受光ユニット内に入射される透過光量が結晶の面方位によって殆ど変化することなく、ほぼ一定の光量となる。そして、正透過光と拡散透過光の双方を受光ユニットの内部で一様に拡散させた後、透過光量を検出することで結晶の面方位による影響を受けにくくなる。
そして、走査機構による赤外レーザー光線の走査動作と同期して、被検体を透過した赤外レーザー光の光量を検出する工程と、被検体が赤外レーザー光線の照射径と略同幅の移動距離をもって第二の方向に搬送される工程からなる一連の工程が、被検体の検査範囲内で連続して行われ、赤外光検出センサーによって検出された光量信号とともに赤外レーザー光線照射位置の情報が画像処理手段に入力され、二次元画像に変換された場合、受光ユニット内に入射される透過光量が、結晶の面方位によって殆ど変化することなく、ほぼ一定の光量であるため、誤検出や見逃しの原因となっていた結晶の粒界の明暗模様が著しく軽減され、その結果、クラック等の欠陥の有無や大きさ、欠陥箇所を明確に検出することが可能になる。
また、赤外レーザー光源から被検体に向けて照射される赤外レーザー光線の波長を1〜15μmの範囲内としていることによって、被検体であるシリコンウェハを十分に透過させることができ、シリコンウェハ内部に生じた欠陥を検出することができる。
さらに、赤外レーザー光源から被検体に向けて照射される赤外レーザー光線の照射径を被検体の厚さと略同幅以下とすることで、被検体内に形成された被検体の厚みより小さなクラック等の欠陥及び欠陥箇所を精確に検出することができる。
さらにまた、赤外光検出センサーで検出された赤外レーザー光の光量が閾値より低い場合、被検体の赤外レーザー光線照射箇所にクラック又は異物が存在すると判定する判定手段を備えていることで、被検体に存在する欠陥を明確に検出することができる。
また、赤外光検出センサーで検出された光量が閾値より高い場合、被検体の赤外レーザー光線照射箇所に貫通クラック又はピンホールが存在すると判定する判定手段を備えていることで、被検体に存在する欠陥を明確に検出することができる。
さらにまた、前記被検体が多結晶シリコンウェハであっても、結晶の面方位による透過光量の変化の影響を殆ど受けないため、赤外光検出センサーによって検出された光量信号を二次元画像に変換した場合、誤検出あるいは見逃しの原因となる結晶の粒界の明暗模様が著しく軽減され、被検体に存在する欠陥のみを明確に検出することができる。
次に、この発明のシリコンウェハ欠陥検査装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この発明の実施形態に係るシリコンウェハ欠陥検査装置は、図1に示すように、被検体であるシリコンウェハ7を載置及び搬送可能な搬送装置6と、赤外レーザー光線をシリコンウェハ7に照射する赤外レーザースキャナー1と、赤外レーザースキャナー1から照射され、シリコンウェハ7を透過した赤外レーザー光線を受光する中空箱型の受光ユニット2と、受光ユニット2内の空間部2bに検出部を露出させた赤外光検出センサー3と、赤外光検出センサー3に接続され、赤外光検出センサー3で検出された赤外レーザー光量に応じた電気信号を適当な信号電圧値に増幅するセンサー信号増幅器13と、赤外レーザースキャナー1と搬送装置6の制御及びセンサー信号増幅器13によって増幅された電気信号を二次元的な画像に変換し、クラック11等の欠陥の検出を行う画像処理基板(画像処理手段及び判定手段)を備えたコンピュータ5(制御手段)から構成されている。
本実施形態で用いられる赤外レーザースキャナー1の光源は、被検体となる単結晶あるいは多結晶のシリコンウェハ7が、概ね1〜15μmの赤外線を透過することから、その範囲での波長を照射できるものが用いられる。また、赤外レーザースキャナー1から照射された出射光8のシリコンウェハ7上でのスポットサイズ(照射径)は、シリコンウェハ7の厚みと同程度かそれ以下となるよう調節されている。なお、光源は、入手の容易さ等から例えば波長1.3〜1.5μmの半導体レーザーが適宜である。
赤外レーザースキャナー1は、シリコンウェハ7に対して、斜め上方から赤外レーザー光線を照射できるよう、被検体であるシリコンウェハ7の上方に設置されており、シリコンウェハ7の移動方向(後述する搬送装置6のレールと平行方向)の直交方向に赤外レーザー光線を走査可能なレーザー走査機構を備えている。なお、レーザー走査機構として、例えばポリゴンミラー、ガルバノメータ、MEMSスキャナー等があるが、シリコンウェハ7を包括できる長さの走査領域を持っていれば手段は問わない。
搬送装置6は、赤外レーザースキャナー1の下方に設置され、互いに略平行に配設された2本のレールを備えており、被検体であるシリコンウェハ7は2本のレールに跨るように載置され、赤外レーザースキャナー1の照射位置となる受光ユニット2の上方へと搬送可能となっている。
受光ユニット2は、図2及び図3に示すように、平面視略長方形でかつ中空箱型であり、搬送装置6のレールと直交する方向に長手方向を向けて、シリコンウェハ7及び搬送装置6の下方に、シリコンウェハ7と1〜数mm程度の隙間をあけて設置されている。また、受光ユニット2の上面には、搬送装置6のレールと直行する方向に、シリコンウェハ7の略同幅以上の幅を持つスリット状の開口部4が形成されている。
受光ユニット2の開口部4は、赤外レーザースキャナー1と対向する位置に設けられており、赤外レーザースキャナー1から照射され、シリコンウェハ7を透過した赤外レーザー光線を受光ユニット2内に入射できるように形成されている。
受光ユニット2の内側面2aは、赤外レーザー光線の反射率の高い材料で作製され、積分球(積分受光器)のように、シリコンウェハ7を透過して開口部4から入射された赤外レーザー光線を一様に拡散(及び反射)できるようになっている。なお、受光ユニット2の内側面2aを赤外レーザー光線の反射率の高い材料で形成する代わりに、例えば硫酸バリウム等の反射率の高い白色粉体を噴霧又は塗布し、受光ユニット2の内側面2aに微小な凹凸を形成しても良い。
また、受光ユニット2の内側面2aには、赤外光検出センサー3の検出部を受光ユニット2の空間部2bに露出させるための開口部4aが設けられており、赤外光検出センサー3が、この開口部4aを塞ぐようにして受光ユニット2の外側面に取り付けられている。
赤外光検出センサー3は、赤外レーザースキャナー1の光源に使用された赤外線波長を検出可能な例えば半導体フォトダイオードまたは光電子増倍管から構成されており、赤外レーザー光の光量の正確な検出が可能となっている。また、赤外光検出センサー3は、センサー信号増幅器13と信号伝達可能な状態に接続されており、センサー信号増幅器13においては、赤外レーザースキャナー1と搬送装置6と赤外光検出センサー3とセンサー信号増幅器13の制御を行い、画像処理基板が内蔵されたコンピュータ5と信号伝達可能な状態に接続されている。
上記に各部位の詳細な説明を行ったが、次にシリコンウェハ7の検査手順について詳細に説明する。被検体であるシリコンウェハ7は、搬送装置6の互いに略平行に設置された2本のレールに跨るようにして載置され、レールと平行方向に移動し、赤外レーザースキャナー1の赤外レーザー光線照射位置へと搬送される。照射位置へと搬送されたシリコンウェハ7に対して、赤外レーザー光線が、赤外レーザースキャナー1からシリコンウェハ7の上面に対し、例えば45度程度の斜め方向から照射される。つまり、照射された出射光8(赤外レーザー光線)は、シリコンウェハ7に対して斜め方向から入射することとなる。そして、出射光8は、図2に示すように、シリコンウェハ7の表面で反射する反射光9と、シリコンウェハ7を透過する透過光10に分かれる。
被検体が多結晶のシリコンウェハ7の場合、結晶表面に複数の結晶の面方位を有するため、シリコンウェハ7を通過した透過光10は、図2に示すように、照射角度と同角度を保持したまま透過した正透過光10aと、結晶の面方位に従った方向に拡散された拡散透過光10bに分かれることとなる。
シリコンウェハ7を透過した正透過光10a及び拡散透過光10bは、受光ユニット2の上面に設けられ、正透過光10a及び拡散透過光10bを受光し得る十分な大きさで形成された開口部4を通って、受光ユニット2の空間部2bに入射される。そのため、結晶の面方位によって透過光10の透過光量が殆ど変動することなく、ほぼ一定の光量が受光ユニット2の空間部2bに入射することとなる。なお、赤外レーザースキャナー1と受光ユニット2の位置関係は図1の形態にこだわらず上下配置が逆でも良い。
受光ユニット2の内側面2aは、赤外レーザー光線の反射率の高い材料で作製され、表面に微小な凹凸が形成されているか、あるいは硫酸バリウム等の反射率の高い白色粉体が微小な凹凸を形成するように受光ユニット2の内側面2aに噴霧又は塗布されており、受光ユニット2の開口部4から入射した正透過光10a及び拡散透過光10bは、受光ユニット2の内側面2aの微小な凹凸によって一様に拡散(及び反射)される。なお、受光ユニット2の空間部2bの形状は、透過光10を一様に拡散できれば十分であることから、球型、円筒型、直方体型等のいずれでも良い。
そして、受光ユニット2の空間部2bに検出部を露出させるようにして設置された赤外光検出センサー3が、受光ユニット2の内側面2aの微小な凹凸で一様に拡散(及び反射)された透過光10の光量を検出し、光量の強度を電気信号に変換して、信号をセンサー信号増幅器13へと送信する。
センサー信号増幅器13は、赤外光検出センサー3から送られてきた信号を適当な信号電圧値に増幅した後、コンピュータ5に送信する。
コンピュータ5は、赤外レーザースキャナー1からの出射光8の走査と同期してセンサー信号増幅器13から送られてきた透過光10の光量変化信号を取り込み、同時に搬送装置6によってシリコンウェハ7を移動させる。そして、赤外レーザー光線の照射、透過光量の検出、シリコンウェハ7の移動からなる一連の動作を、シリコンウェハ7表面の全域に亘って行い、出射光8の走査方向を水平方向(搬送装置6のレールと直行方向)とし、搬送装置6によるシリコンウェハ7の移動方向を垂直方向(搬送装置6のレールと平行方向)として、透過光10の光量変化信号とともに赤外レーザー光線照射位置の情報をコンピュータ5に内蔵された画像処理基板に入力し、二次元的な画像として取り込む。この際、上記に示したように、受光ユニット2内に入射される透過光10の光量は、結晶の面方位に左右されることが殆ど無く、ほぼ一定に保たれていることから、結晶の粒界7aの明暗模様が著しく軽減され、コンピュータ5で画像処理を行うことによって、透過光10のクラック11等の欠陥による光量変化のみを濃淡で視覚化でき、シリコンウェハ7に存在するクラック11等の欠陥の有無及び欠陥箇所を判定し、検査を完了する。
上記にシリコンウェハ7の検査手順を示したが、次に、シリコンウェハ7に欠陥が存在した場合における欠陥検出の基本原理を詳細に説明する。上記に示したように、赤外レーザースキャナー1の出射光8は、45度程度の斜め方向からシリコンウェハ7に入射し、出射光8の一部はシリコンウェハ7表面での反射光9となってしまうが、シリコンウェハ7の内部を透過した光は透過光10として受光ユニット2に入り込み、受光ユニット2内で一様に拡散された後、赤外光検出センサー3によって検出される。一方、クラック11が存在する箇所に出射光8が入射すると、図3に示すように、入射光8の一部がクラック11の界面で反射してクラック界面反射光12となり、受光ユニット2の開口部4に入射されないことから、クラック11の有無によって赤外光検出センサー3で検出される透過光10の光量強度が変化することになり、図4(a)に示すように、クラック11が存在した箇所だけ透過光10は減衰し、ピークが現れる。この透過光10の光量変化信号を二次元的な画像として取り込み、コンピュータ5で画像処理を行った場合、欠陥の無い箇所と比べて暗部として鮮明に現れる。
また、本実施形態は、クラック11の他に、シリコンウェハ7に存在する異物の検出にも有効な手段となり得る。異物が存在すると、異物によって出射光8が反射あるいは吸収されて、クラック11と同様に赤外光検出センサー3で検出される透過光10の光量強度は減衰し、透過光10の光量変化信号を二次元的な画像として取り込み、画像処理を行った場合、欠陥の無い箇所に比べて暗部として鮮明に現れることになる。
さらに、シリコンウェハ7にピンホール14あるいは極めて巨大な貫通クラック欠陥が存在する場合にも有効な検出手段となる。それらの欠陥の場合は、出射光8が、シリコンウェハ7の材料を介在せずに直接通過して受光ユニット2の開口部4に入射するため、図4(b)に示すように、赤外光検出センサー3で検出される透過光10の光量強度の変化は明るい方向になり、透過光10の光量変化信号を二次元的な画像として取り込み、画像処理を行った場合、欠陥の無い箇所に比べて明部として鮮明に現れることになる。
上記実施形態のシリコンウェハ欠陥検査装置によれば、被検体7が多結晶シリコンウェハであっても、正透過光10aとともに、結晶の粒界による明暗模様の原因となる結晶の面方位によって拡散された拡散透過光10bを、受光ユニット2に設けられた開口部4を通して受光ユニット2内に入射させることができるため、結晶の面方位に殆ど左右されること無く、ほぼ一定の透過光量を受光ユニット2内に入射させることができる。受光ユニット2内に入射された正透過光10aと拡散透過光10bは、受光ユニット2の内部で一様に拡散された後、赤外光検出センサー3によって検出されるため、検出結果を二次元的な画像として取り込んだ場合、結晶の粒界7aの明暗模様は著しく軽減され、クラック11等の欠陥による濃淡のみが画像に現れることから、クラック11等の欠陥を明確に検出することができる。
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、赤外レーザースキャナーから照射された出力光のシリコンウェハ上のスポットサイズは、好ましくはシリコンウェハの厚みと同程度かそれ以下であるが、シリコンウェハの厚み以上であっても欠陥を検出することができる。また、搬送装置のレールは2本に限らず、1本若しくは3本以上であっても良いし、レールを使用しない搬送機構を用いても良い。さらに、例えば被検体ではなく、赤外レーザースキャナーを移動させる機構とする等、検査装置を被検体の検査箇所に対して相対的に移動させる機構であれば欠陥検査は可能である。さらにまた、被検体を多結晶シリコンウェハとしていたが、単結晶シリコンウェハにおいても本発明は有効であり、欠陥を明確に検出することができる。
この発明のシリコンウェハ欠陥検査装置の一実施形態を示すブロック図である。 同じくその被検体を多結晶シリコンウェハとした要所断面図である。 同じくその欠陥検出の基本原理を示した要所断面図である。 同じくその欠陥部位における検出信号を示した検出結果である。
符号の説明
1・・赤外レーザースキャナー、2・・受光ユニット、2a・・内側面、2b・・空間部、3・・赤外光検出センサー、4・・開口部、5・・コンピュータ、6・・搬送装置、7・・シリコンウェハ(被検体)、11・・クラック、14・・ピンホール

Claims (7)

  1. 被検体7に赤外レーザー光線を照射する赤外レーザー光源1と、
    前記被検体7を透過した赤外レーザー光を受光する開口部4を有し、その内部で赤外レーザー光を拡散させる中空の受光ユニット2と、
    前記受光ユニット2の空間部2bの赤外レーザー光の光量を検出する赤外光検出センサー3と、
    を備えたシリコンウェハ欠陥検査装置であって、
    前記受光ユニット2の内部での赤外レーザー光の光量の変化を検出することでシリコンウェハのクラック等の欠陥を検出することを特徴とするシリコンウェハ欠陥検査装置。
  2. 前記赤外レーザー光源1から照射された赤外レーザー光線を第一の方向に走査させる走査機構と、
    被検体7を第一の方向と略直交する第二の方向に搬送可能な搬送手段6と、
    前記赤外光検出センサー3によって検出された光量信号を二次元画像に変換する画像処理手段を備えた制御手段と、
    を備えたシリコンウェハ欠陥検査装置であって、
    走査機構による赤外レーザー光線の走査動作と同期して、被検体7を透過した赤外レーザー光の光量を検出する工程と、被検体7が赤外レーザー光線の照射径と略同幅の移動距離をもって第二の方向に搬送される工程からなる一連の工程が、前記被検体7の検査範囲内で連続して行われ、前記赤外光検出センサー3によって検出された光量信号とともに赤外レーザー光線照射位置の情報が画像処理手段に入力され、二次元画像に変換されることを特徴とする請求項1記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
  3. 前記赤外レーザー光線の波長は、1〜15μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
  4. 前記赤外レーザー光線の照射径は、被検体7の厚さと略同幅以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
  5. 前記赤外光検出センサー3で検出された光量が閾値より低い場合、前記被検体7の赤外レーザー光線照射箇所にクラック11又は異物が存在すると判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
  6. 前記赤外光検出センサー3で検出された光量が閾値より高い場合、前記被検体7の赤外レーザー光線照射箇所に貫通クラック又はピンホール14が存在すると判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
  7. 前記被検体7が多結晶シリコンウェハであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリコンウェハ欠陥検査装置。
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