JP2010120935A - 多環式化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】医薬品、農薬、液晶、電子写真、染料や有機EL等の合成中間体として有用なビアリールやビピリジン等の多環式化合物の製造方法を提供する。また、有機リチウム化合物とハロゲン化合物との遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応による、簡便かつ純度良く得る、多環式化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】有機リチウム化合物とハロゲン化合物との遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応をマイクロリアクターを用いて行う、下記一般式(I)で表わされる多環式化合物(式中、Aで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環であり、Bで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環、飽和炭素環、部分不飽和炭素環などであり、A環、B環は置換基を有していても良く、また他の環との縮合環でも良い)を高収率で製造する方法である。また、多段式マイクロリアクターを用い、前段のマイクロリアクターで上記の有機リチウム化合物を合成し、引き続き、後段のマイクロリアクターで連続してクロスカップリング反応を行う前記の一般式(I)で表わされる多環式化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロリアクターを用いた医薬品、農薬、液晶、電子写真、染料や有機EL等の分野で有用なビアリール類やビピリジン類等の多環式化合物の製造方法に関する。
ビアリール構造を有する化合物は、医薬、農薬、液晶、有機EL等の合成中間体として有用である。液晶表示方式であるTN、STN、TFTに使用される液晶表示化合物としてはビアリール骨格を有する種々の化合物が用いられている。医薬品や農薬においてもビアリール骨格を持った生理活性物質が多くある。また、IT素材である有機EL等の使用される発光表示素子の分子構造中にもビピリジン等のビアリール構造を持った化合物が多くある。
従来用いられてきたビアリール類の合成法としては、Ullmann反応が挙げられ、対称ビアリール構造の合成方法として利用される。
異なるアリール基同士が結合した構造の非対称ビアリール類の合成法としては、金属反応剤とハロゲン化アリール類と遷移金属触媒とのクロスカップリング反応等が挙げられ、金属反応剤としては比較的安定な化合物であるホウ素やマグネシウム、亜鉛、スズ、ケイ素、及びこれらのアート錯体等が用いられる(非特許文献1参照)。
最近、芳香族ボロン酸と有機ハロゲン化合物とのクロスカップリング反応による合成は鈴木カップリングと言われ、多くの報告がされている。この方法では、遷移金属触媒としてパラジウム系の触媒、及び配位子が使用され、比較的高い収率で選択的にクロスカップリング生成物が得られることから、サンプル開発においては良く使用される。しかし鈴木カップリング反応の実施には非常にコストがかかるため、工業的には更に効率的かつ経済的な製造法の確立が要望されている。
その理由の一つは、この反応ではパラジウム系触媒が用いられるが、パラジウム金属、及び0価のパラジウム触媒や配位子は非常に高価な原料であるためで、たとえ触媒量の使用量であっても汎用製品のキログラムやトンの工業的製造に対して使用することには経済的な問題があり、製品は非常に高価なものになるという問題がある。そこで、パラジウム触媒の使用量を削減したり、また配位子構造を改良したり、更にパラジウム触媒に変えて安価なニッケル系触媒や鉄系触媒を使用したり、触媒を固体の担体に担持させて繰り返し回収再使用を行う、といった改良法に関する研究が盛んに行われている。しかし、適用可能な化合物構造の制限や、選択性においてなおも問題が残されている。
クロスカップリング反応による製造コストを上げる第2の理由は、高価な金属反応剤を用いても、得られる目的化合物の収率は限られるという点である。
第3の理由は金属反応剤の取扱い時の安全性の問題である。ホウ素やマグネシウム、亜鉛、スズ、ケイ素等の金属反応剤は通常、有機リチウムやグリニヤール試薬からの金属交換反応により合成されるが、有機リチウムやグリニヤール試薬のスケールアップ製造はそれが反応性が高く取扱いが容易でないことである。
すなわち、有機リチウムは反応性が高く、常温では不安定であるため、製造には通常−80℃や−100℃の超低温条件が必要であり、バッチ設備による大量製造は困難である。一方、グリニヤール試薬は0℃〜80℃程度の温度で合成されるが、全ての化合物のグリニヤール試薬が製造可能であるとはいえない。また有機リチウム、グリニヤール試薬は共に禁水性物質であり、大量製造する場合には反応暴走という大きなリスクを伴う。そのため、安全確保のための特別な設備化が必要となり、設備コストも増加する。また有機リチウムやグリニヤール試薬からの有機ホウ酸化合物の合成反応は、一般にスケールアップが難しく、選択性低下や収率低下を生じる。
ビアリール類を安価に製造する方法として、高価なホウ素やマグネシウム、亜鉛、スズ、ケイ素等の金属反応剤を使用せずに、有機リチウム化合物やグリニヤール試薬をそのまま反応に使用するクロスカップリング反応が考えられる。
このグリニヤール試薬を金属反応剤として使用する反応は玉尾―熊田反応として知られている。この反応を利用する方法においては、遷移金属触媒としては、比較的高価なニッケル触媒が使用される。また、反応はグリニヤール試薬が合成可能な基質に限定され、触媒の使用量が多い、充分な変換効率を得るためにはヨウ化アリールを基質として使用する必要がある、等の課題が残されている(非特許文献2参照)。
有機リチウムを金属反応剤として使用する反応に関しては、遷移金属触媒の存在下、芳香族ハロゲン化合物の溶液中に、安定な芳香族有機リチウムを長時間かけて滴下反応する方法が報告されている。村橋らは、塩化パラジウムートリフェニルホスフィンーメチルリチウムから調製した触媒溶液を用い、ヨードベンゼンとの反応によりビフェニルが合成されることを示した(非特許文献3参照)。
また、ローディア社の公表特許には、カップリング触媒としてニッケル触媒を使用する実施例が記載されている(特許文献1参照)。しかし上記2件の報告で用いることが出来る有機リチウム化合物はいずれも常温で安定なリチウム化合物である必要があるが、一般に有機リチウムは常温で不安定であり、上記の方法に用いることが出来る対象は限られている。
本発明者らはマイクロリアクターを用いてハロゲン化合物とリチウム試薬とを反応させてリチウム化合物を合成し、これに求電子化合物を反応させる製造方法を提案している。この方法では反応温度が−10〜40℃と、従来のバッチプロセスの温度に比べて極めて高い温度で反応実施でき、また室温では不安定なリチウム化合物やヘテロ環のリチウム化合物の反応にも適用可能ということが特徴である。しかし、この特許文献にはクロスカップリング反応を行うことについての記載はない。(特許文献2、特許文献3参照)
特表2003−522744号公報 公開2005−104871号公報 公開2006−241065号公報 Chem.Rev.,95,2457(1995), Chem.Lett.,301(1977), J.Amer.Chem.Soc.,101(17),4992(1979), J.Org.Chem.,42(10)1821(1977), J.Organomet.Chem.,118,349(1976), Tetrahedron Lett.,845(1980) Bull.Chem.Soc.Jpn.,49(7),1958(1976) J.Org.Chem.,44(14),2408(1979), J.Organomet.Chem.,653,27(2002), Org.Synth.,7,172(1990)
本発明の目的は、医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で有用なビアリール類等の多環式化合物を、超低温のような特別な冷却を不要とし、安価で安全、かつ公害の問題を生じない製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、有機リチウム化合物とハロゲン化合物と遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応をマイクロリアクターを用い、流路中で行うことにより、ビアリール等の多環式化合物を簡便かつ純度良く製造することができることを見出した。また本発明者らは前後多段型のマイクロリアクターを使用し、前段のマイクロリアクターで芳香族ハロゲン化合物から有機リチウム化合物を合成し(工程1)、この生成物を外部に取り出さないで引き続き、後段のマイクロリアクターで有機リチウム化合物とハロゲン化合物と遷移金属触媒とのクロスカップリング反応を行うことにより(工程2)、ビアリール等の多環式化合物を連続的に収率良く製造することができることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成させるに至った。
本発明の課題は以下の手段によって達成された。
(1)マイクロリアクターを用いて、ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を遷移金属触媒の存在下流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
(2)前後多段型のマイクロリアクターを用いて、第1段のマイクロリアクターで芳香族有機リチウム化合物を流路中で製造し、引き続き第2段のマイクロリアクターでハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を有効量の遷移金属触媒の存在下で流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
(3)芳香族ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、反応温度が−10〜40℃かつ滞留時間が0。001〜10秒の条件下でマイクロリアクターを用いて流路中で反応させ芳香族有機リチウム化合物を得ることを特徴とする、(2)に記載の製造方法。
(4)第2段のマイクロリアクターの流路内の反応温度が、0〜80℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多環式化合物の製造方法。
(5)遷移金属触媒として、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド,または(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドを用いる(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
(6)ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物と遷移金属触媒との混合反応を、等価直径が10μm〜1mm以下の流路内で互いに接触させて行うことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
(7)前記の流路中での反応の際に遷移金属触媒とともにアミン化合物を存在させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、芳香族有機リチウム化合物とハロゲン化環状化合物と遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応により、ビアリール等の多環式化合物を簡便かつ純度良く好収率で製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、芳香族ハロゲン化合物からの芳香族有機リチウム化合物の合成(工程1)のマイクロリアクターと、芳香族有機リチウム化合物とハロゲン化環状化合物と遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応(工程2)のマイクロリアクターとを流路で連結して、1つの連続した工程として行うことができる。そしてこのことによりビアリール系多環式化合物の製造を効率良く、安全に、安定化して実施できる。すなわち、従来方法では常温では取扱いができなかった不安定な芳香族有機リチウム化合物を原料に用いる反応であっても、超低温条件としなくても芳香族有機リチウム化合物を製造でき、工程1と工程2が連結できるので危険性の高い芳香族有機リチウム化合物を大量に保管することなく(取り出すことなく)安全に、簡便かつ純度良く、ビアリール等の多環式化合物を製造できる。
本発明で用いることのできるマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできるさらに別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。 本発明で用いることのできる別のマイクロリアクターの概略図である。
本発明の多環式化合物の製造方法を下記スキームによって示す。
Figure 2010120935
式中、Aで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環であり、Bで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環、飽和炭素環、部分不飽和炭素環であり、A環、B環は置換基を有していても良く、また他の環との縮合環でも良く、A環とB環は異なっていても同じでも良い。R、Rは水素原子又は後述する置換基を示し、X、Xはハロゲン原子を示す。Rは後述するようにアルキル基などを示す。スキームではR、Rが1個の例を示したが、これらの置換基が複数であってもよい。
以下に、上記スキームの一つの具体例として工程1の芳香族ハロゲン化合物に4−ブロモアニソールを、有機リチウム試薬にn−ブチルリチウムを、工程2のハロゲン化環状化合物にブロモベンゼンを、遷移金属触媒に(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、工程1,工程2共に連続したマイクロリアクターを用いた場合の本発明の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2010120935
次に、本発明の製造方法に用いられる化合物について説明する。
本発明の工程1の製造方法に用いられる芳香族ハロゲン化合物(1)は、少なくとも一つのハロゲン原子(X)(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)によって置換された芳香族化合物である。芳香族ハロゲン化物に置換しているハロゲン原子は塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、その中でも臭素、ヨウ素は反応性が高く好ましい。芳香族化合物とは、環上のπ電子系に含まれる電子の数が(4n+2)個(n=0、1、2、3、などの整数)の不飽和環状化合物を表し、単環であっても、縮合環であっても良い。本発明の製造方法では、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの炭素環状化合物の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含むピリジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾチアジアゾールなどの複素環状化合物のいずれも用いることができる。
工程1の芳香族ハロゲン化合物のAで表わされる芳香族環は、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の単環式または多環式の6〜10員の芳香環;チオフェン、フラン、ピラン、ビリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ビリミジン、ビリダジン 、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホ リン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン 、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有する芳香族ヘテロ環を表す。好ましくはベンゼン環、ヘテロ芳香環であり、より好ましくはベンゼン環、5または6員環のヘテロ環であり、更に好ましくはベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、チアゾール、チアジアゾールであり、特に好ましくはベンゼン、ピリジン、チオフェンである。
Aで表される環は更に置換基を有していても良く、置換基の数や種類は特に制限されない。置換基は具体的には、メチル、エチル、プロピル、プチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキルによって置換されたアルキルも含む);ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、へブタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジェニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐、または環状の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル、ブチニル、ペンチニル、へキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル等の直鎖、分岐または環状の炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル、ナフチル、アントラニル等の5〜10員の単環式または複環式アリール基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、へキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ等の炭素数1〜20のアルコキシ基;フエノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、プチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、オクタデシルチオ等の炭素数1〜20のアルキルチオ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等の炭素数2〜20のアシル、およびベンゾイル、ナフトイル等の置換カルポニル基;メトキシカルポニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、フエノキシカルボニル等の置換オキシカルボニル基;アセチルオキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ等の炭素数2〜20のアシルオキシ、およびベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等の置換カルポニルオキン基;メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、プチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等の置換スルホニル基;N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたカルバモイル基;N−フェニルスルファモイル、N,N−ジエチルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたスルファモイル基;アセチルアミノ、tert−プチルカルボニルアミノ、n−ヘキシルカルボニルアミノ等の炭素数2〜20のアシルアミノ、およびベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等の置換カルボニルアミノ基;N−メチルウレイド、N,N−ジエチルウレイド等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたウレイド基;メチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ等の炭素数1〜20のスルホニルアミノ、およびフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等の置換スルホニルアミノ基;メチルアミノ、フェニルアミノ、tert−ブトキシカルポニルアミノ、ビバロイルアミノ、ベンジルアミノ、フタロイルアミノ、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等のモノ置換またはジ置換アミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリメチルシリル、トリエチルシリル等の置換シリル基;フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原子;チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環残基等が挙げられる。
好ましくは、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数2 〜16のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜16のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜16のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数2〜17の置換カルポニル基、炭素数2〜16の置換オキシカルポニル基、炭素数2〜17の置換カルポニルオキシ基、炭素数1〜16の置換スルホニル基、炭素数2〜17のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数1〜16のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数2〜17の置換カルポニルアミノ基;炭素数2〜17のモノ置換またはジ置換ウレイド基;炭素数1〜16の置換スルホニルアミノ基;炭素数1〜161〜16のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜16の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基が挙げられる。より好ましくは、炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜8のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数2〜9の置換カルポニル基、炭素数2〜9の置換オキシカルポニル基、炭素数2〜9の置換カルポニルオキシ基、炭素数1〜8の置換スルホニル基;炭素数2〜9のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数1〜8のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数2〜9の置換カルポニルアミノ基、炭素数2〜9のモノ置換またはジ置換ウレイド基、炭素数1〜8の置換スルホニルアミノ基、炭素数1〜8のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜8の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基等が挙げられる。特に好ましくは、炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜8のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数5〜9の置換カルボニル基、炭素数5〜9の置換オキシカルポニル基、炭素数5〜9の置換カルポニルオキシ基、炭素数4〜8の置換スルホニル基、炭素数5〜9のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数4〜8のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数5〜9の置換カルポニルアミノ基;炭素数5〜9のモノ置換またはジ置換ウレイド基、炭素数4〜8の置換スルホニルアミノ基、炭素数4〜8のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜8の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基である。
また、Aで表される芳香族環の置換基がカルポニル基の場合、有機リチウム試薬(2)との反応の際に副反応の進行を防止できることから、tert−ブチル基の如き炭素数4以上の嵩高い、立体障害が大きい基が置換していることが好ましい。これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、反応に関与しないものであれば特に制限されない。更なる置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えばメチル、エチル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、ヘテロ環類などを挙げる事ができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。また、置換基は、ハロゲン原子が結合した芳香環と縮合環を形成しても良い。
本発明の工程1の製造方法に用いられる有機リチウム試薬(2)(R−Li)は、従来公知の有機リチウム化合物を使用することができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、メトキシメチルリチウム、エトキシメチルリチウム等のアルキルリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウム等のアルケニルリチウム;エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンテニルリチウム、ヘキセニルリチウム等のアルケニルリチウム;ベンジルリチウム、フェニルエチルリチウム等のアラルキルリチウム等炭素数が1〜18の飽和脂肪族炭化水素、炭素原子数2〜18の不飽和炭化水素、炭素原子数3〜18の脂環式炭化水素、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、有機基であって上記のリチウム化合物(3)を与えうるものであれば特に制限はない。この中で好ましくはアルキルリチウム、アルケニルリチウム、アルキニルリチウムであり、その中でもメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、ビニルリチウム、アリルリチウム、メトキシメチルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、2−チエニルリチウム、トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウムが好ましく、更にはn−ブチルリチウムが好ましい。
有機リチウム試薬(2)の使用量は用いる芳香族ハロゲン化合物(1)の種類によって異なるが、該芳香族ハロゲン化合物1モルに対して通常0.01〜10モル、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.3モル、更に好ましくは0.9〜1.1モルである。
本発明の製造方法の工程2に用いられるハロゲン化環状化合物(5)は、少なくとも一つのハロゲン原子(X)(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)によって置換された環状化合物である。環に置換しているハロゲン原子は塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、その中でも臭素、ヨウ素は反応性が高く好ましい。
工程2のハロゲン化環状化合物(5)のBで表わされる環は、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の単環式または多環式の6〜10員の芳香環;チオフェン、フラン、ピラン、ビリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ビリミジン、ビリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有する芳香族ヘテロ環;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の飽和炭素環、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等の部分不飽和炭素環;ピロール、モルホリン等の飽和ヘテロ環を表す。好ましくはベンゼン環、ヘテロ環、飽和炭素環、部分不飽和炭素環であり、より好ましくはベンゼン環、ヘテロ環、飽和炭素環、であり、更に好ましくはベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、5または6飽和炭素環であり、特に好ましくはベンゼン、ピリジン、チオフェン、シクロヘキサンである。
ハロゲン化環状化合物(5)の使用量は、芳香族有機リチウム化合物(3)1モルに対して、通常0.01〜20モル、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.5モル、更に好ましくは0.9〜1.1モルである。
本発明の工程2の製造方法に用いられる遷移金属触媒(4)は、有機合成のクロスカップリング用触媒として知られているすべての遷移金属触媒が使用でき、遷移金属単独または遷移金属にリガンドを結合させた錯体を使用しても良く、また2種類またはそれ以上の移金属触媒を混合物でも良い。更に、遷移金属触媒にリガンドを添加して組み合わせて使用しても良い。遷移金属触媒としてはパラジウム触媒、ニッケル触媒、鉄触媒などのいずれも用いることが出来る。好ましくは、遷移金属としてパラジウムやニッケルを含む触媒であり、パラジウムの場合は0価のパラジウムや2価のパラジウム、およびパラジウムを含む塩や錯体などのパラジウム化合物を用いることができる。
遷移金属触媒(4)はあらかじめハロゲン化環状化合物(5)の溶液に溶解させて使用されるが、遷移金属触媒の溶液として、3液混合型のマイクロリアクター(3つの液体の供給口を有し、同時にもしくは逐次的に流体混合を行う流路構造を有するマイクロリアクター)に有機リチウム試薬溶液と遷移金属触媒、並びにハロゲン化合物溶液を供給して反応を行っても良い。
また本発明の工程2の製造方法に用いられる遷移金属触媒(4)は固体触媒も使用できる。固体触媒は活性炭やシリカゲル、アパタイト、アルミノシリケート、メタロシリケート、ゼオライトなどの粒子の固体表面細孔に吸着、担持された形態のものであっても良く、また担体固体表面と化学結合した形態でも、担体固体表面をリンカー分子で化学修飾した粒子と化学結合させた形態であっても良い。また、遷移金属触媒の形状は球状粒子でも破砕状粒子であっても構わなく、3次元構造を有するモノリスやエレメント構造体であっても良い。遷移金属触媒の粒子の大きさには限定されないが、粒子径は小さい程、体積当たりの表面積は増加し、反応活性は増加する。
本発明の工程2の製造方法に用いられる遷移金属触媒(4)は、具体的には、パラジウム(0)/炭素、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ビスベンゾニトリルジクロロパラジウム(II)、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジアセテート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、アリル[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン]パラジウム(II)クロライド、アリル[1,3−ビス(メシチル)イミダゾル−2−イリデン]パラジウム(II)クロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライド、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライド:銅(I)ヨージド、[1,2,3,4−テトラキス(メトキシカルボニル)−1,3−ブタジエン−1,4−ジイル]パラジウム(II)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド,などが使用できるが上記物質が全てではない。好ましくは,アリル[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン]パラジウム(II)クロライド、アリル[1,3−ビス(メシチル)イミダゾル−2−イリデン]パラジウム(II)クロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライド、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライド:銅(I)ヨージド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドである。特に好ましくは、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドである。本発明において有機リチウム化合物は有機ホウ素化合物に比べて反応性が高いが、熱不安定な化合物が多いため、有機リチウム化合物の寿命以内に、短時間でクロスカップリング反応を行うための反応系の設計、すなわち触媒選定が重要である。
パラジウム触媒反応の反応機構は、先ずパラジウム(0価)触媒とハロゲン化合物との酸化的付加反応が行われ、引き続き有機リチウム化合物とのトランスメタル化が行われ、更に還元的脱離反応が行われて多環式化合物とパラジウム(0価)触媒が生成し、触媒サイクルが回ると推定される。本発明における触媒選定においては、上記の3つの反応をバランス良く、高活性化制御することが重要である.
触媒はパラジウム金属と配位子とが結合した化合物が好ましく用いられるが、かさ高い配位子は還元的脱離反応を促進し、また配位子の強いσ電子供与能はパラジウム金属と強く結合してパラジウム金属の解離を防止し、触媒活性は高くなる。この観点から本発明においては、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド,及び(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドの使用は特に好ましく、短時間で有機リチウム化合物を用いるクロスカップリング反応系の設計が可能である。
遷移金属触媒(4)は市販品をそのまま使用しても良いが、また所望する触媒をインサイチュ(in situ)で調製した触媒溶液を使用しても良い。触媒の構造によっては空気に不安定であったり、熱安定性が良くないものもあり、これらの安定でない触媒はマイクロリアクターを用いて必要量を連続製造して、保管せずに連続使用するプロセスを構築することが好ましい。
本発明において触媒は反応溶媒に溶解させるか、又は触媒を担体に担持させて、例えば流通型触媒リアクターとして用いられるが、反応溶媒に溶解させて行う方法が好ましく用いられる。
遷移金属は非常に高価であり、製造プロセス設計において遷移金属触媒の使用量の設定は非常に重要である。化学量論的にはハロゲン化合物の1モルに対して必要な遷移金属触媒の量は1モルであるが、触媒は反応後に触媒再生されるため、遷移金属触媒は1モル未満の量で反応が可能になる。しかし、遷移金属触媒の量が少なすぎると反応速度が低下するため、転化率を高めるために反応時間が長くなり、長時間の加熱によって生成物の劣化や過剰反応の進行、触媒劣化などの不具合が生じる。遷移金属触媒の量が大過剰の場合には反応阻害を起こすことはないが、高価な遷移金属触媒の大量使用は製造コストを増加させるため、工業プロセスとしては採用されない。固体触媒を充填した流通型触媒リアクターを使用する場合には、触媒は廃棄することなく連続再使用することが可能なため触媒コストは初期導入費用のみで済む。リアクター内に過剰量の触媒が在っても反応に問題を生じることはなく、むしろ化学量論的に等モル以上の触媒利用が可能となることから、反応速度の増加、反応時間短縮等のメリットが生じる。
本発明においては遷移金属触媒の使用量は過剰でも反応に影響は生じないが、コストの観点から触媒使用量は少ないことが望ましく、反応触媒に溶解性の高い場合は、少ない触媒使用量で目的化合物の収率を高めることができる。通常は、触媒使用量はハロゲン化環状化合物(5)の1モルに対して少なくとも0.0001モル用いればよく、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.02モル以上である。上限はいずれの場合も10モル以下である。
反応溶媒中に触媒を溶解させて行う場合は触媒として上記の例示したものの中の反応溶媒に溶解するものを選ぶのが好ましい。
また、本発明の工程2の製造方法に用いられる遷移金属触媒(4)には、配位子を加えて反応を行うこともできる。配位子としては、トリフェニルホスフィン(PPh)、メチルジフェニルホスフィン(PhPCH)、トリフリルホスフィン(P(2−furyl))、トリ(o−トリル)ホスフィン(P(o−tol))、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン(PCy)、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン(PhPCy)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(P(t−Bu))、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、2,2’−ビス[(ジフェニルホスフィノ)ジフェニル]エーテル(DPEphos)(テトラへドロン・レターズ(Tatrahedron Letters)第39巻、第5327頁(1998年)参照)、ジフェニルホスフィノフェロセン(DPPF)、1,1’−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン(DtBPF)、N,N−ジメチル−1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン、1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルメチルエーテル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニル(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Journal of the American Chemical Society)第120巻、第9722頁(1998年)参照)、スピロ型ホスホニウム塩(アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition)第37巻、第481頁(1998年)参照)などのホスフィン系配位子や、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾル−2−イリデンなどのホスフィンミミック配位子(アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angewandte Chemie International Edition in English) 第36巻、第2163頁(1997年)参照)などが挙げられる。パラジウムと配位子上の置換基とで反応してパラダサイクル(アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angewandte Chemie International Edition in English)第34巻、第1844頁(1995年)参照)を形成していてもよい。
好ましくは、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン(パラダサイクルを形成してもよい)、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニル、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾル−2−イリデンなどのホスフィンミミック配位子であり、更に好ましくは,1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾル−2−イリデンなどのホスフィンミミック配位子であり、特に好ましくは、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライドである。
配位子の使用量は、過剰でも反応に影響は生じないが、プロセスコスト設計の観点から触媒使用量は少ないことが望ましく、通常は、ハロゲン化環状化合物(5)の1モルに対して、0.0001〜10モルが使用されるが、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.02モル以上である。
次に本発明で用いるマクロリアクターについて説明する。
本発明におけるマイクロリアクター(マイクロフローリアクター)とは、複数の物質を混合する混合部(マイクロミキサー)とそれに続く所望の反応を生じさせる流路(リアクター)からなる微小流通式反応器であり、混合部および反応部の流路断面の最小長さが数μmから数千μmのものが代表的である。目的に応じて、流路断面の最小長さおよびそれ以外の長さを適宜選択することができる。前記マイクロリアクターの流路断面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円形、矩形、半円形、三角形等が挙げられる。また、液体を内部で複数の流路に分けて流通させることもできる。前記マイクロリアクターの反応流路の流れ方向の長さや形状については、特に制限はなく、反応の種類や反応時間等に応じて適宜選択することができる。
前記マイクロリアクター全体あるいは一部を恒温槽内に設置する方法、及び流路付近に
設置した別の流路の中を熱媒(冷媒)を流通させる方法、流路付近に冷却器あるいは加熱
器を設置する方法等によって反応温度を制御することができる。
前記マイクロリアクターを複数連結して用いる方法、及び複数のマイクロリアクターを組み込んだ装置を用いる方法により多段階の反応を行うことができる。
マイクロリアクターは、通常数mm以下、好ましくは1000μmより小さな等価直径の微小流路(マイクロチャンネル)を有し、その微小流路内で反応を行う装置として定義され、小型流動反応器、または静的マイクロミキサー(スタティックマイクロミキサー)を使用して定常状態で反応を実施するための反応装置である。ここで、等価直径とは流路断面を円形に換算した場合の直径である。静的マイクロミキサーとは、例えばWO96/30113号に記載されているような、混合のための微細な流路を有しているミキサーに代表される装置であり、また「“マイクロリアクターズ”第3章、W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Lowe著、Wiley−VCH社刊」に記載されている混合機(ミキサー)である。
微小流路がマイクロスケールであるマイクロリアクターの世界においては、寸法及び流速の何れも小さくレイノルズ数は200以下であり、層流支配の流れとなる。反応を行う流体同士は流路内を層流状態となって流れながら、分子の自発的挙動だけで拡散しながら反応を行う。マイクロリアクターでは反応はフローで行うため、マイクロリアクター内の滞留時間により反応時間のコントロールがし易く、且つ比表面積(反応に関与する流体の単位体積当たりの表面積)が大きいことから熱収支を効率的に管理でき、反応を行う際の温度制御を精密且つ効率良く行うことができる。そのため、反応、特に高速反応の選択性を格段に向上させることができる。また、拡散理論に従うと熱交換(熱伝達)時間(t)はd/α(d:微小流路幅、α:液の熱拡散率)に比例するので、微小流路幅を小さくすればするほど熱交換効率は向上する。
本発明で用いるマイクロリアクター自体は、既知のものや市販品、目的とする反応のために新規に設計し試作されたものから選択して使用することができる。市販されているマイクロリアクターとしては、例えばインターディジタルチャンネル構造体を備えるマイクロリアクター、インスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサーおよびキャタピラーミキサー;ミクログラス社製ミクログラスリアクター;CPCシステムス社製サイトス;山武社製YM−1、YM−2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティーおよびティー(T字型コネクタ、Y字型コネクタ);マイクロ化学技研社製IMTチップリアクター;東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー;中心衝突型ミキサー(K−M型)等が挙げられ、いずれも本発明に使用することができる。
本発明で用いるマイクロリアクターの最小構成単位は、マイクロミキサーとチューブリアクターである。また、マイクロミキサー、チューブリアクターを複数個接続し、多段反応用マイクロリアクターを構築することもできる。合成反応では、マイクロリアクターを組み込んだフロー反応装置を構築する必要があり、その場合の装置構成は、マイクロミキサー、チューブリアクター、マイクロリアクターに原料薬液を供給するための供給ポンプ、恒温槽及び循環サーキュレータ、温度調整のための熱交換器、温度センサー、流量センサー、配管内圧力を測定するための圧力センサー、生成品溶液を貯蔵するための製品タンク、等である。
本発明においては、前記スキームに示す工程1のマイクロリアクター中の生成物のフローに対し、マイクロミキサーを用いて工程2の複数の反応原料(触媒を含む)を混合し、ないしは混合しながら導入し、前記工程1の生成物と混合して反応させる。
本発明で用いるマイクロミキサーは、液体または溶液状の化合物を互いに混合する小さな流路を有することが好ましく、また2つのサブストリームを混合させる単純なT字型流路のティーを用いても、縮流効果や高流速での流れの乱れを利用することで十分な混合・反応性能が得られる。マイクロミキサーの内部では混合により反応が開始され、同時に反応による発熱が発生する。流路断面積が大きい従来サイズのケニック型スタティックミキサーは、流路サイズが広いために混合反応において十分な混合性能が得られず、また反応時に発生する発熱量の徐熱能力も不十分であり、本発明で用いるマイクロミキサーとは区別される。2つのサブストリームを混合させて反応を行う場合、通常、サブストリームの断面積は用いるミキサーの流路の断面積で決定される。本発明のマイクロミキサーの流路は通常は100μm〜16mm、好ましくは1000μm〜4.0mm、より好ましくは10000μm〜2.1mm、特に好ましくは190000μm〜1mmの断面積を有する。また、流路の断面形状は特に限定されるものではなく、円形でも、矩形、半円、三角でも構わない。
マイクロミキサーの後部に接続されるリアクターとしてのチューブは、原料の拡散混合および混合反応、反応熱除去の機能を有する。チューブ内径はより小さい方が拡散距離が短くなるため反応速度は大きくなり、反応時間を短縮するには有利である。また、チューブ内径のより小さい方が熱交換能力が大きくなり、大きな発熱を伴う反応にも有効である。しかし、チューブ内径が小さい程液体を流す際の圧力損失が増加するため、使用するポンプを特別な高耐圧仕様のものにしなければならず、また送液流量が制限されるのでマイクロミキサーの構造をも制限することになり、不都合を生じる。本発明におけるチューブの流路断面最少長さは、第1反応では10μm〜5000μm、好ましくは200μm〜3000μm、より好ましくは250μm〜2000μm、特に好ましくは500μm〜1000μm、第2反応では10μm〜10000μm、好ましくは10μm〜8000μm、より好ましくは10μm〜6000μm、特に好ましくは10μm〜5000μmを有する。
本発明のマイクロミキサーやチューブリアクター(以下、単にチューブということがある。)の材質は、耐熱、耐圧及び耐溶剤性、加工容易性等の要求に応じて、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属、ガラス、フォチュランガラス、各種セラミックス、ピーク樹脂、ポリイミド樹脂、縁プラプラスチック、シリコン、及びPFA、TFAAなどのテフロン(登録商標)樹脂等を好適に使用できる。
マイクロリアクターは微細加工技術によって製作されるが、マイクロリアクターに適した微細加工技術としては次のようなものがある。
(a)X線リソグラフィと電気メッキを組み合わせたLIGA技術
(b)EPON−SU8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法
(c)機械的マイクロ切削加工(ドリル径がマイクロオーダのドリルを高速回転するマイクロドリル加工等)
(d)Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法
(e)Hot Emboss加工法
(f)光造形法
(g)レーザー加工法
(h)イオンビーム法
本発明で用いるマイクロリアクターは上記のどの微細加工技術を用いていても良く、特に制限されない。
本発明で用いるマイクロリアクター装置の模式図を図1〜図7に示す。
各図について以下に説明する。
図1において各符号は次の意味をもつ。
区間1〜3: 溶液Aの温度調節区間
区間2〜4: 溶液Bの温度調節区間
点1,2: マイクロリアクターへの原料供給口
点3,4: マイクロミキサーへの原料供給口
点5: 溶液Aと溶液Bの混合開始点
区間5〜6: 溶液Aと溶液Bの反応区間
点6: リアクターの出口
図2において各符号は次の意味をもつ。
区間21〜24: 溶液Aの温度調節区間
区間22〜25: 溶液Bの温度調節区間
区間23〜26: 溶液Cの温度調節区間
点21,22,23:マイクロリアクターへの原料供給口
点24,25,26:マイクロミキサーへの原料供給口
点27: 溶液Aと溶液Bと溶液Cの混合開始点
区間27〜28: 溶液Aと溶液Bと溶液Cの反応区間
点28: リアクターの出口
図3において各符号は次の意味をもつ。
区間31〜33: 溶液Aの温度調節区間
区間32〜34: 溶液Bの温度調節区間
点31,32: マイクロリアクターへの原料供給口
点33,34: マイクロミキサーへの原料供給口
点35: 溶液Aと溶液Bの混合開始点
区間35〜36: 遷移金属触媒を有する触媒リアクター
(溶液Aと溶液Bの反応区間)
点36: リアクターの出口
図1は本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)とマイクロチューブ(R)で構成される。マイクロリアクター(MR)には2つの原料供給口(点1,点2)と、1つの生成物出口(点6)があり、原料供給口の一方には有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口にはハロゲン化環状化合物と遷移金属触媒を溶解させた溶液(溶液B)を供給する。溶液A及び溶液BはマイクロミキサーMの点5で接触し混合し、点5から点6の区間で反応が完了し、生成物が得られる。
図2もまた、本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)とマイクロチューブ(R)で構成される。図1に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、マイクロミキサー(M)は3つの液体を同時に混合できるということである。マイクロリアクター(MR)には3つの原料供給口(点21,点22,点23)と、1つの生成物出口(点28)があり、一方の供給口(点21)に芳香族有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口(点22)にはハロゲン化環状化合物を溶解させた溶液(溶液B)を供給し、別の供給口(点23)には遷移金属触媒を溶解させた溶液(溶液C)を供給し、溶液Aと溶液B、溶液Cはミキサー内部の点27で接触し混合し、点27から点28の区間で反応が完了し、生成物が得られる。
図3は本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)と触媒リアクター(R3)から構成される。図1,2に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒は固体状態のものを使用するところである。マイクロリアクター(MR)には2つの原料供給口(点31,点32)と、1つの生成物出口(点36)があり、原料供給口の一方には芳香族有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口にはハロゲン化環状化合物を溶解させた溶液(溶液B)を供給する。溶液A及び溶液BはマイクロミキサーMの点35で接触し混合し、点35から点36の区間に担持された触媒表面で反応が完了し、生成物が得られる。
次に図4〜図8について説明すると、まず図4において各符号は次の意味をもつ。
区間41〜43: 溶液Aの温度調節区間
区間42〜44: 溶液Bの温度調節区間
区間47〜48: 溶液Cの温度調節区間
点41,42,47: マイクロリアクターへの原料供給口
点43,44,46,48: マイクロミキサーへの原料供給口
点45: 溶液Aと溶液Bの混合の混合開始点
点49: 溶液Cとの反応の混合開始点
区間45〜46: 溶液AとBの混合区間
区間49〜40: 溶液Cとの反応区間
点40: リアクターの出口
図5において各符号は次の意味をもつ。
区間51〜53: 溶液Aの温度調節区間
区間52〜54: 溶液Bの温度調節区間
区間57〜58: 溶液Cの温度調節区間
点51,52,57: マイクロリアクターへの原料供給口
点53,54,56,58: マイクロミキサーへの原料供給口
点55: 溶液Aと溶液Bの混合の混合開始点
点59: 溶液Cとの反応の混合開始点
区間55〜56: 溶液AとBの混合区間
区間59〜50: 溶液Cとの反応区間
点50: リアクターの出口
図6において各符号は次の意味をもつ。
区間61〜63: 溶液Aの温度調節区間
区間62〜64: 溶液Bの温度調節区間
区間67〜68: 溶液Cの温度調節区間
点61,62,67: マイクロリアクターへの原料供給口
点63,64,66,68: マイクロミキサーへの原料供給口
点65: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点69: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間65〜66: 工程1の反応区間
区間69〜60: 工程2の反応区間
点60: リアクターの出口
図7において各符号は次の意味をもつ。
区間71〜73: 溶液Aの温度調節区間
区間72〜74: 溶液Bの温度調節区間
区間77〜78: 溶液Cの温度調節区間
点71,72,77: マイクロリアクターへの原料供給口
点73,74,76,78: マイクロミキサーへの原料供給口
点75: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点79: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間75〜76: 工程1の反応区間
区間79〜70: 工程2の反応区間
点70: リアクターの出口
図8において各符号は次の意味をもつ。
区間81〜83: 溶液Aの温度調節区間
区間82〜84: 溶液Bの温度調節区間
区間87〜88: 溶液Cの温度調節区間
点81,82,87: マイクロリアクターへの原料供給口
点83,84,86,88: マイクロミキサーへの原料供給口
点85: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点89: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間85〜86: 工程1の反応区間
区間89〜80: 工程2の反応区間
点90: マイクロミキサーの出口
区間90〜80: 工程2の反応温度可変区間
点80: リアクターの出口
図4もまた、本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図1に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒溶液の溶液(A液)とハロゲン化環状化合物の溶液(B液)をマイクロミキサーM1で連続混合した後で、引き続きマイクロミキサー(M2)に供給して、有機リチウム化合物(溶液C)との反応を行うところである。
図5もまた、本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図1に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒溶液の溶液(A液)と有機リチウム化合物の溶液(B液)をマイクロミキサーM1で連続混合して触媒を活性化した後で、引き続きマイクロミキサー(M2)に供給して、ハロゲン化環状化合物(溶液C)との反応を行うところである。
図6は本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。
図7もまた、本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図6に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒を固定状態のものを使用するところである。
図8もまた、本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図6に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、工程2の反応温度可変区間を設けた点である。
本発明に用いられるマイクロリアクターに供給される原料溶液の流速は、マイクロミキサーの混合方式、構造、及び流路及びチューブの等価直径によって好ましい流速は異なる。例えば、内径Φ0.5mmのミキシングティー(以下、単に「Tee」と表記することがある。)と内径Φ500μmのチューブを用いる場合、通常は0.1μl/分〜1000ml/分であり、好ましくは0.1ml/分〜100ml/分、より好ましくはlml/分〜70ml/分、特に好ましくは5ml/分〜50ml/分の範囲である。また、複数個ある原料の、マイクロリアクターに供給される流速は各々が同じ流量であっても異なる流量であっても良い。送液用のポンプは工業的に使用される送液ポンプの何れでも使用可能だが、できるだけ送液時に脈動を生じない機種が望ましい。好ましくは、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプ等である。
マイクロリアクター内では、液体または溶液状の化合物が流動液体および溶液の運動エネルギーによって混合され反応するが、必要に応じてマイクロリアクター外部から振動エネルギーなどの混合促進のためのエネルギーを加えても良い。混合は、流速・流速と反応器の形状(接液部分の三次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、等)によって、静的混合(層流)から動的混合(乱流)へと変化させることができ、乱流または層流の何れで混合しても良い。
本発明では、工程2で用いる芳香族有機リチウム化合物(3)は工程1で製造したものを使用しても良いし、市販されている芳香族有機リチウム化合物を使用しても良い。マイクロリアクターを用いて工程1と工程2を連続して反応を行う場合、工程1では−100℃の超低温冷却は必要ではなく、−10〜40℃での穏やかな冷却条件での反応実施が可能となり、設備コスト、エネルギーコストにおいてメリットが大きい。また、反応時間は工程1から工程2を含め数分以内に反応が終了するため、時間当たりの生産量を高くすることが可能になる。
本発明で用いることができるマイクロリアクターは、マイクロミキサー単独、マイクロチューブ単独、またはマイクロミキサーとマイクロチューブ(チューブリアクター)が連結された構造体であり、工程1と工程2を連続して反応を行う場合には、前述したマイクロミキサーとマイクロチューブを必要に応じて複数個を組み合わせた形の構造体が使用され、また複数個のマイクロリアクターをチューブで連結して使用しても良い。マイクロミキサー、及びマイクロチューブの形状、寸法は目的生成物の収率が高くなるように最適化することもできる。
また本発明の第2工程で用いられるマイクロリアクターは、カップリング用固体触媒をリアクター内部に有する構造体、例えば、触媒を担体上に化学的または物理または粉末充填型や壁面担持型、壁面化学結合型構造などで代表される触媒リアクターの機能を有しても良く、触媒の利用形態には限定されない。遷移金属触媒は高価であり、カップリング用固体触媒をリアクター内部に有する構造体は、反応液からの触媒分離が容易であり、プロセスコストの低下が可能になる。
また本発明で用いられるマイクロリアクターは冷却や加熱が可能であるが、本発明におけるマイクロリアクターの温度調節方法は特に限定されない。反応温度制御はマイクロリアクターの流路壁面から熱媒体との熱交換により行なわれるが、マイクロリアクターに導入する原料薬液をあらかじめ熱交換器により所望の温度に調製したものを供給しても良く、例えば、反応が発熱反応の場合にはマイクロリアクターに供給する原料薬液は冷却しても良い。
本発明において、マイクロリアクターを用いて第1工程と第2工程を連続して行う場合、第1工程においては、第1のマイクロリアクターでの芳香族ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とのハロゲンリチウム交換反応の反応温度は目的物である芳香族有機リチウム化合物の収率が最大になるように設定され、通常は−10〜40℃、好ましくは−10℃〜35℃、特に好ましくは0〜35℃である。この温度は低すぎると反応時間を長くする必要があり、温度が高すぎると生成した芳香族有機リチウム化合物の劣化や不均化などの副反応が進行する。有機リチウムの劣化や副反応は温度による影響が非常に大きく、温度が高い程、劣化の進行は顕著になる。
一方、本発明の第2工程においては、第2のマイクロリアクターでの反応温度はマイクロリアクター内の滞留時間以内に芳香族リチウム化合物が分解せずに、目的とするハロゲン化合物とのカップリング反応を十分な反応率で行うことができる温度範囲にあることが必要であり、第2のマイクロリアクターでの反応温度は通常は−30〜100℃、好ましくは−20〜90℃、より好ましくは−10〜80℃、特に好ましくは0〜80℃である。
本発明における反応時間は、原料液体がマイクロミキサー入り口に導入され、マイクロミキサー出口に接続されたチューブリアクターを通って出口から外へ出るまでの滞留時間で表わされる。各工程におけるマイクロリアクター内での滞留時間は、ハロゲン化合物や有機リチウム試薬の反応性、試薬濃度、反応温度、リチウム化合物の安定性等のパラメーターによって異なる。各工程における滞留時間は、使用するマイクロリアクターの内部空間容積に応じて原料薬液の供給速度を変更することで設定を行うが、原料薬液の供給時間が決まっている場合にはマイクロリアクターの内部空間容積を変更することで設定しても良く、マイクロチューブの断面積および長さを調節することにより設定をする。
本発明において、マイクロリアクターを用いて第1工程と第2工程を連続して行う場合、第1工程のマイクロリアクターで行うハロゲン−リチウム交換反応の滞留時間は0.001秒〜10秒、好ましくは0.001秒〜5秒、より好ましくは0.001秒〜4秒、特に好ましくは0.01〜3秒である。ハロゲン−リチウム交換反応は極めて速い反応であるが、第1工程の滞留時間は短すぎると反応が完全に終了せず、原料の芳香族ハロゲン化合物および有機リチウム試薬が残存し、第2工程の反応収率に影響を及ぼす。逆に滞留時間が長すぎると、生成するリチウム中間体の熱安定性が低いことから、生成した芳香族有機リチウム化合物(3)の劣化や副反応を生じ、第2工程の反応収率に影響を及ぼすため好ましくない。
第2工程のマイクロリアクターで行う芳香族有機リチウム化合物(3)とハロゲン化環状化合物(5)との触媒を用いるカップリング反応の滞留時間は0.001秒〜10分、好ましくは0.005秒〜5分、より好ましくは0.01秒〜3分、特に好ましくは0.1秒〜2分である。第2工程の滞留時間は短すぎると反応が完全に終了しない。逆に滞留時間が長すぎると、生成物からの副反応を生じるため好ましくない。
本発明では、反応の経過は公知の種々の分析機器を使用してモニターすることができる。反応率は、例えば高速液体クロマトグラフィー、キャピラリーガスクロマトグラフィー等で確認することができる。また、オンラインFT−IR分光分析計やオンラインNIR分光分析計を用いて吸光度の変化を追跡することにより、反応をオンラインでモニタリングすることが可能である。
本発明方法において芳香族ハロゲン化合物(1)、有機リチウム試薬(2)、ハロゲン化環状化合物(3)は液体又は溶液状態で反応させることができる。上記の原料が液体でない場合には、反応に不活性な溶媒に溶解させて反応に用いる必要がある。本発明の工程1、及び工程2で使用できる溶媒としては、公知のハロゲン−金属交換反応に用いられる溶媒がいずれも使用できる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジフェニルメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素化合物類; ピリジン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、デカン、パラフィン等のアルカン類、及びパーフルオロアルカン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DMEと略記する)、石油エーテル、テトラヒドロフラン(THFと略記する)、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン、トリオキサン、ジグリム等のエーテル類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類等、極性、非極性溶媒を問わずいずれも利用し得る。好ましくは、THF、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、キシレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくはTHF、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエンである。これらの溶媒は単独または2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。溶媒の使用量は基質である各々の化合物1モルに対し、通常1〜10000mlの範囲で用いられ、好ましくは300〜6000ml、より好ましくは600〜3000mlである。
本発明の製造方法では、有機リチウム試薬(2)および芳香族有機リチウム化合物(3)を活性化するために3級アミン等のキレート化剤を添加することが可能である。キレート化剤の使用量は有機リチウム試薬および芳香族有機リチウム化合物1モルに対し、通常0.01〜10モルの範囲で用いられ、好ましくは0.05〜5モル、より好ましくは0.1〜2.0モルである。
キレート化剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTTA)などの3級アミンを使用することができる。
以下に、本発明の方法により得られる前記の一般式で表わされる多環式化合物(6)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記化合物中の略号は次の通りである(以下、同様)。
Me:メチル Ph:フェニル Bu:ブチル
Et:エチル Pr:プロピル
Figure 2010120935
Figure 2010120935
Figure 2010120935
Figure 2010120935
本発明の方法で得られる、前記スキーム中で表される多環式化合物(6)は、公知の方法で単離することができる。例えば、有機溶剤を用いた抽出法、蒸留法、有機溶媒や水または有機溶媒と水の混合物を用いた再沈殿法、またはカラムクロマトグラフィーを、必要に応じて単独または適宜組み合わせて用いて単離精製することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
生成物の構造はNMR、IR、ミリマス測定により同定を行った。また、標準物質が市販されているものについては、目的物の反応率はガスクロマトグラフィー(GC)により標準物質との面積比から算出して定量分析法により算出した。標準物質が市販されていないものは、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離収率を求めた。
芳香族有機リチウム化合物(3)とハロゲン化環状化合物(5)との遷移金属触媒存在下でのカップリング反応の実施例を説明する。
実施例1 <マイクロリアクターによる4−メトキシビフェニルの合成>
表1に示す反応原料を用い、以下の通り工程2を実施した。
芳香族有機リチウム化合物としてフェニルリチウム、ハロゲン化環状化合物として4−ブロモアニソール、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを各々用い、図1に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターはマイクロミキサーとマイクロチューブから構成され、マイクロミキサーは内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm)を使用し、マイクロチューブは、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間1から区間6、及び区間2から区間6までを恒温水槽に埋没させて、50℃に設定した。
芳香族有機リチウム化合物溶液(A液)は、−78℃で、脱水THF溶媒中でブロモベンゼンと1.60モル/l濃度のn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液の反応からハロゲン−リチウム交換反応により合成したフェニルリチウム溶液を、脱水THFで希釈して0.310モル/l濃度に調整したものを使用した。ハロゲン化環状化合物(5)及び遷移金属触媒溶液(B液)は、4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈して0.517モル/l濃度の溶液に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(4−ブロモアニソールに対して10モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は3.0ml/分とし、このとき図1の区間5〜6間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をはGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率79%であった。
実施例2〜4
触媒量、反応温度、滞留時間を表2に示す条件に変更した他は、実施例1と同じ条件で実施した。
比較例1 <バッチ式による4−メトキシビフェニルの合成>
磁気攪拌子を入れた100mLシュレンク管を脱水アルゴンガスで置換し、0.310モル/lのブロモベンゼンの脱水THF溶液を7.5ml仕込み、磁気攪拌機を用いて攪拌しながら、ドライアイス−アセトン浴に浸して−78℃に冷却した。次に、1.55モル/lのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液をマイクロシリンジに吸い込み、0.3ml/分の速度で1.5mlを5分間かけて滴下し、滴下終了後、−78℃で10分間攪拌して、フェニルリチウム溶液(A液)を調製した。
4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈して0.517モル/l濃度の溶液に調製した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを4−ブロモアニソールに対して10モル%の量を添加して溶解させた溶液(B液)をマイクロシリンジに吸い込み、−78℃に冷却したA液の入ったシュレンク管に3ml/分の速度で3mlを1分間かけて滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間攪拌した。反応終了後、−78℃でメタノールを加えて反応を停止した。得られた溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析した結果、目的物の収率は0%であった。
比較例2、3
反応温度を表2に示す条件に変更した他は、比較例1と同じ条件で実施した。
Figure 2010120935
Figure 2010120935
表2の結果から、フェニルリチウムのTHF溶液にハロゲン化合物と遷移金属触媒を滴下して反応させるバッチ合成法では、フェニルリチウムの分解や劣化が進行するために目的物の収率は低く、反応終了させるためには長時間が必要である。しかし、マイクロリアクターを使用する連続合成法では高い温度で短時間で反応を終えることが可能であるため、副反応が抑制され、目的化合物の収率が著しく高い。
実施例5〜7
ハロゲン化環状化合物を表3に記載したものに変え、表4の反応条件で合成を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2010120935
Figure 2010120935
実施例8 <マイクロリアクターによる4−メトキシビフェニルの合成>
第1工程で芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソール、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムとの反応により、4−メトキシフェニルリチウムを合成し、引き続く第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼン、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用いるクロスカップリング反応を、図6に示すマイクロリアクター装置を用いて実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm)、マイクロチューブR1は、内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm)を使用し、マイクロチューブR2は、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、を使用して製作した。マイクロリアクターの区間61から区間66、及び区間62から区間66までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間67から区間60までを液温−20℃の恒温水槽に埋没させて冷却した。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.292モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.45モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図6の区間65〜69間の滞留時間は2.6秒、区間69〜60間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率53%であった。
実施例9〜13
実施例8において、反応温度、滞留時間及び触媒量を表6に示す条件に変更した他は、実施例8と同様の操作で合成を行った。
実施例14
第1工程で芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソール、有機リチウム試薬としてのn−ブチルリチウムとの反応により、4−メトキシフェニルリチウムを合成し、引き続く第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼン、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用いるクロスカップリング反応を、図6に示すマイクロリアクター装置を用いて実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm)、マイクロチューブR1は、内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm)を使用し、マイクロチューブR2は、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、を使用して製作した。マイクロリアクターの区間61から区間66、及び区間62から区間66までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間67から区間60までを液温50℃の恒温水槽に埋没させて加熱した。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.292モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.45モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図6の区間65〜69間の滞留時間は2.6秒、区間69〜60間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率80%であった。
実施例15〜18
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応温度、滞留時間及び触媒量を表6に示す条件に変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
Figure 2010120935
実施例19
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応条件を表6に示す条件に定めて、C液の遷移金属触媒を、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドから1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドに変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
実施例20
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応条件を表6に示す条件に定めて、C液の溶媒をTHFから1,2−ジメトキシエタンに変更した外は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
比較例4
磁気攪拌子を入れた100mLシュレンク管を脱水アルゴンガスで置換し、0.292モル/lの4−ブロモアニソールの脱水THF溶液を7.5ml仕込み、磁気攪拌機を用いて攪拌しながら、ドライアイス−アセトン浴に浸して−78℃に冷却した。次に、1.45モル/lのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液をマイクロシリンジに吸い込み、0.3ml/分の速度で1.5mlを5分間かけて滴下し、滴下終了後、−78℃で10分間攪拌して、4−メトキシフェニルリチウム溶液を調製した。
ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/lの濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドをブロモベンゼンに対して10モル%の量を添加して溶解させた溶液(B液)をマイクロシリンジに吸い込み、−78℃に冷却した、4−メトキシフェニルリチウム溶液の入ったシュレンク管に3ml/分の速度で3mlを1分間かけて滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間攪拌した。反応終了後、−78℃でメタノールを加えて反応を停止した。得られた溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析した結果、目的物の収率は0%であった。
比較例5、6
比較例1において、反応温度を表6に示す条件に変更した他は、比較例1と同様の操作で合成を行った。
実施例21
実施例14において、第1工程の反応温度を20℃、滞留時間を1秒に変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
実施例22
実施例14において、反応原料を表5に示すようにし、表6に示す反応条件で触媒量を減少した以外は、実施例18と同様の操作で合成を行った。
実施例8〜22、比較例4〜6の結果を表6に示す。
Figure 2010120935
表2、表4、表6の結果から、以下のことが明らかである。第1工程の生成物である芳香族有機リチウム化合物であるフェニルリチウムおよび4−メトキシフェニルリチウムは室温では熱不安定なため、バッチ合成法では−78℃の超低温条件で合成を行う必要があるが、一方、第2工程の反応に必要な高温の温度条件では芳香族有機リチウム化合物は低寿命となるため、目的物の収率は低い。ところが、マイクリアクターを用いた連続合成法では、第1工程で合成された芳香族有機リチウム化合物を時間のロス無く、第2工程の高温条件の反応に用いるため、熱不安定な芳香族有機リチウム化合物を中間体として経由する製造プロセスであっても高収率で行うことができる。マイクロリアクターによる迅速混合反応、反応温度制御、滞留時間制御が効果的に行われた結果、目的物が高収率で得られた。更に、芳香族有機リチウム化合物の合成において超低温条件が不要となるため、エネルギー的にも安価なプロセス構築が可能になる。
実施例23〜31
実施例21において、n−ブチルリチウムを1.6モル/l濃度のものを使用し、ミキサーM1、ミキサーM2、マイクロチューブR1、マイクロチューブR2、第2反応ミキサーの内径およびチューブ内径を表7に示す条件に変更した他は、実施例21と同様の操作で合成を行った。実施例23〜31の結果を表7に示す。
Figure 2010120935
実施例32〜39
実施例14において、芳香族ハロゲン化合物とハロゲン化環状化合物を表8に示したものに変え、表9に示した反応条件で合成を行った他は、実施例14と同様の操作で実験を行った。実施例32〜39の結果を表9に示す。
Figure 2010120935
Figure 2010120935
実施例40<マイクロリアクターによる4−メトキシビフェニルの合成>
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソールを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用い4−メトキシフェニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温30℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は15.7秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は84%であった。
実施例41〜43
実施例40における区間89〜80での滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例40と同じ条件で実施した。
実施例44
実施例40における区間90〜80の恒温水槽を液温50℃にした以外は、実施例40と同じ条件で実施した。
実施例45〜47
実施例44における区間89〜80間の滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例44と同じ条件で実施した。
実施例48
実施例40における区間90〜80の恒温水槽を液温70℃にした以外は、実施例40と同じ条件で実施した。
実施例49〜51
実施例48における区間89〜80間の滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例48と同じ条件で実施した。実施例40〜51の結果を表10に示す。
Figure 2010120935
実施例52<マイクロリアクターによる2−フェニルチオフェンの合成>
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用いて2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図6に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温50℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水THFで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC-20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は31.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は55%であった。
実施例53、54
実施例52における区間89〜80での滞留時間を表11に記載の値に設定した以外は実施例52と同じ条件で実施した。
実施例55〜58
実施例52における区間90〜80の恒温水槽を液温70℃にし、区間89〜80での滞留時間を表11に記載の値に設定した以外は以外は、実施例52と同じ条件で実施した。実施例52〜58の結果を表11に示す。
Figure 2010120935
実施例59<マイクロリアクターによる2−フェニルチオフェン合成>
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用いて2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温70℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水CPMEで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水CPMEで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2−ブロモチオフェンと同モル)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は94.2秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は80%であった。
実施例60<マイクロリアクターによる2−(2−チエニル)ピリジン合成>
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用い2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物として2−ブロモピリジンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温50℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水CPMEで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、2−ブロモピリジンを脱水CPMEで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2−ブロモチオフェンに対し2倍モル)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は94.2秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は87%であった。
以上の結果から以下のことが明らかである。
すなわち、熱不安定な有機リチウム化合物を用いるクロスカップリング反応においては、バッチプロセスでは有機リチウム化合物を−80℃といった超低温条件で合成して保管する必要があり、またクロスカップリング反応の収率は極めて低い。しかし、本発明のマイクロリアクターを用いる連続反応では、クロスカップリング反応の反応温度と滞留時間を制御することで、高温かつ短時間の反応により目的生成物を収率良く合成することが可能である。本製造方法はピリジン誘導体のようなヘテロ環化合物にも適用可能であり、有用性が高い。
MR:マイクロリアクター
M:マイクロミキサー
R:マイクロチューブ

Claims (7)

  1. マイクロリアクターを用いて、ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を遷移金属触媒の存在下流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
  2. 前後多段型のマイクロリアクターを用いて、第1段のマイクロリアクターで芳香族有機リチウム化合物を流路中で製造し、引き続き第2段のマイクロリアクターでハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を有効量の遷移金属触媒の存在下で流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
  3. 芳香族ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、反応温度が−10〜40℃かつ滞留時間が0.001〜10秒の条件下でマイクロリアクターを用いて流路中で反応させ芳香族有機リチウム化合物を得ることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 第2段のマイクロリアクターの流路内の反応温度が、0〜80℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多環式化合物の製造方法。
  5. 遷移金属触媒として、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド、または(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドを用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
  6. ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物と遷移金属触媒との混合反応を、等価直径が10μm〜1mm以下の流路内で互いに接触させて行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
  7. 前記の流路中での反応の際に遷移金属触媒とともにアミン化合物を存在させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
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