JP2010120935A - 多環式化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機リチウム化合物とハロゲン化合物との遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応をマイクロリアクターを用いて行う、下記一般式(I)で表わされる多環式化合物(式中、Aで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環であり、Bで表わされる環は、芳香環、ヘテロ芳香環、飽和炭素環、部分不飽和炭素環などであり、A環、B環は置換基を有していても良く、また他の環との縮合環でも良い)を高収率で製造する方法である。また、多段式マイクロリアクターを用い、前段のマイクロリアクターで上記の有機リチウム化合物を合成し、引き続き、後段のマイクロリアクターで連続してクロスカップリング反応を行う前記の一般式(I)で表わされる多環式化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
その理由の一つは、この反応ではパラジウム系触媒が用いられるが、パラジウム金属、及び0価のパラジウム触媒や配位子は非常に高価な原料であるためで、たとえ触媒量の使用量であっても汎用製品のキログラムやトンの工業的製造に対して使用することには経済的な問題があり、製品は非常に高価なものになるという問題がある。そこで、パラジウム触媒の使用量を削減したり、また配位子構造を改良したり、更にパラジウム触媒に変えて安価なニッケル系触媒や鉄系触媒を使用したり、触媒を固体の担体に担持させて繰り返し回収再使用を行う、といった改良法に関する研究が盛んに行われている。しかし、適用可能な化合物構造の制限や、選択性においてなおも問題が残されている。
第3の理由は金属反応剤の取扱い時の安全性の問題である。ホウ素やマグネシウム、亜鉛、スズ、ケイ素等の金属反応剤は通常、有機リチウムやグリニヤール試薬からの金属交換反応により合成されるが、有機リチウムやグリニヤール試薬のスケールアップ製造はそれが反応性が高く取扱いが容易でないことである。
また、ローディア社の公表特許には、カップリング触媒としてニッケル触媒を使用する実施例が記載されている(特許文献1参照)。しかし上記2件の報告で用いることが出来る有機リチウム化合物はいずれも常温で安定なリチウム化合物である必要があるが、一般に有機リチウムは常温で不安定であり、上記の方法に用いることが出来る対象は限られている。
(1)マイクロリアクターを用いて、ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を遷移金属触媒の存在下流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
(2)前後多段型のマイクロリアクターを用いて、第1段のマイクロリアクターで芳香族有機リチウム化合物を流路中で製造し、引き続き第2段のマイクロリアクターでハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を有効量の遷移金属触媒の存在下で流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
(3)芳香族ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、反応温度が−10〜40℃かつ滞留時間が0。001〜10秒の条件下でマイクロリアクターを用いて流路中で反応させ芳香族有機リチウム化合物を得ることを特徴とする、(2)に記載の製造方法。
(4)第2段のマイクロリアクターの流路内の反応温度が、0〜80℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多環式化合物の製造方法。
(5)遷移金属触媒として、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド,または(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドを用いる(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
(6)ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物と遷移金属触媒との混合反応を、等価直径が10μm〜1mm以下の流路内で互いに接触させて行うことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
(7)前記の流路中での反応の際に遷移金属触媒とともにアミン化合物を存在させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
本発明の工程1の製造方法に用いられる芳香族ハロゲン化合物(1)は、少なくとも一つのハロゲン原子(X1)(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)によって置換された芳香族化合物である。芳香族ハロゲン化物に置換しているハロゲン原子は塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、その中でも臭素、ヨウ素は反応性が高く好ましい。芳香族化合物とは、環上のπ電子系に含まれる電子の数が(4n+2)個(n=0、1、2、3、などの整数)の不飽和環状化合物を表し、単環であっても、縮合環であっても良い。本発明の製造方法では、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの炭素環状化合物の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含むピリジン環、フラン環、チオフェン環、チアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾチアジアゾールなどの複素環状化合物のいずれも用いることができる。
遷移金属触媒(4)はあらかじめハロゲン化環状化合物(5)の溶液に溶解させて使用されるが、遷移金属触媒の溶液として、3液混合型のマイクロリアクター(3つの液体の供給口を有し、同時にもしくは逐次的に流体混合を行う流路構造を有するマイクロリアクター)に有機リチウム試薬溶液と遷移金属触媒、並びにハロゲン化合物溶液を供給して反応を行っても良い。
パラジウム触媒反応の反応機構は、先ずパラジウム(0価)触媒とハロゲン化合物との酸化的付加反応が行われ、引き続き有機リチウム化合物とのトランスメタル化が行われ、更に還元的脱離反応が行われて多環式化合物とパラジウム(0価)触媒が生成し、触媒サイクルが回ると推定される。本発明における触媒選定においては、上記の3つの反応をバランス良く、高活性化制御することが重要である.
触媒はパラジウム金属と配位子とが結合した化合物が好ましく用いられるが、かさ高い配位子は還元的脱離反応を促進し、また配位子の強いσ電子供与能はパラジウム金属と強く結合してパラジウム金属の解離を防止し、触媒活性は高くなる。この観点から本発明においては、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド,及び(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドの使用は特に好ましく、短時間で有機リチウム化合物を用いるクロスカップリング反応系の設計が可能である。
遷移金属は非常に高価であり、製造プロセス設計において遷移金属触媒の使用量の設定は非常に重要である。化学量論的にはハロゲン化合物の1モルに対して必要な遷移金属触媒の量は1モルであるが、触媒は反応後に触媒再生されるため、遷移金属触媒は1モル未満の量で反応が可能になる。しかし、遷移金属触媒の量が少なすぎると反応速度が低下するため、転化率を高めるために反応時間が長くなり、長時間の加熱によって生成物の劣化や過剰反応の進行、触媒劣化などの不具合が生じる。遷移金属触媒の量が大過剰の場合には反応阻害を起こすことはないが、高価な遷移金属触媒の大量使用は製造コストを増加させるため、工業プロセスとしては採用されない。固体触媒を充填した流通型触媒リアクターを使用する場合には、触媒は廃棄することなく連続再使用することが可能なため触媒コストは初期導入費用のみで済む。リアクター内に過剰量の触媒が在っても反応に問題を生じることはなく、むしろ化学量論的に等モル以上の触媒利用が可能となることから、反応速度の増加、反応時間短縮等のメリットが生じる。
本発明においては遷移金属触媒の使用量は過剰でも反応に影響は生じないが、コストの観点から触媒使用量は少ないことが望ましく、反応触媒に溶解性の高い場合は、少ない触媒使用量で目的化合物の収率を高めることができる。通常は、触媒使用量はハロゲン化環状化合物(5)の1モルに対して少なくとも0.0001モル用いればよく、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.02モル以上である。上限はいずれの場合も10モル以下である。
反応溶媒中に触媒を溶解させて行う場合は触媒として上記の例示したものの中の反応溶媒に溶解するものを選ぶのが好ましい。
好ましくは、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン(パラダサイクルを形成してもよい)、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノ−1,1’−ビフェニル、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾル−2−イリデンなどのホスフィンミミック配位子であり、更に好ましくは,1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾル−2−イリデンなどのホスフィンミミック配位子であり、特に好ましくは、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライドである。
本発明におけるマイクロリアクター(マイクロフローリアクター)とは、複数の物質を混合する混合部(マイクロミキサー)とそれに続く所望の反応を生じさせる流路(リアクター)からなる微小流通式反応器であり、混合部および反応部の流路断面の最小長さが数μmから数千μmのものが代表的である。目的に応じて、流路断面の最小長さおよびそれ以外の長さを適宜選択することができる。前記マイクロリアクターの流路断面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円形、矩形、半円形、三角形等が挙げられる。また、液体を内部で複数の流路に分けて流通させることもできる。前記マイクロリアクターの反応流路の流れ方向の長さや形状については、特に制限はなく、反応の種類や反応時間等に応じて適宜選択することができる。
前記マイクロリアクター全体あるいは一部を恒温槽内に設置する方法、及び流路付近に
設置した別の流路の中を熱媒(冷媒)を流通させる方法、流路付近に冷却器あるいは加熱
器を設置する方法等によって反応温度を制御することができる。
前記マイクロリアクターを複数連結して用いる方法、及び複数のマイクロリアクターを組み込んだ装置を用いる方法により多段階の反応を行うことができる。
マイクロリアクターは、通常数mm以下、好ましくは1000μmより小さな等価直径の微小流路(マイクロチャンネル)を有し、その微小流路内で反応を行う装置として定義され、小型流動反応器、または静的マイクロミキサー(スタティックマイクロミキサー)を使用して定常状態で反応を実施するための反応装置である。ここで、等価直径とは流路断面を円形に換算した場合の直径である。静的マイクロミキサーとは、例えばWO96/30113号に記載されているような、混合のための微細な流路を有しているミキサーに代表される装置であり、また「“マイクロリアクターズ”第3章、W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Lowe著、Wiley−VCH社刊」に記載されている混合機(ミキサー)である。
本発明で用いるマイクロミキサーは、液体または溶液状の化合物を互いに混合する小さな流路を有することが好ましく、また2つのサブストリームを混合させる単純なT字型流路のティーを用いても、縮流効果や高流速での流れの乱れを利用することで十分な混合・反応性能が得られる。マイクロミキサーの内部では混合により反応が開始され、同時に反応による発熱が発生する。流路断面積が大きい従来サイズのケニック型スタティックミキサーは、流路サイズが広いために混合反応において十分な混合性能が得られず、また反応時に発生する発熱量の徐熱能力も不十分であり、本発明で用いるマイクロミキサーとは区別される。2つのサブストリームを混合させて反応を行う場合、通常、サブストリームの断面積は用いるミキサーの流路の断面積で決定される。本発明のマイクロミキサーの流路は通常は100μm2〜16mm2、好ましくは1000μm2〜4.0mm2、より好ましくは10000μm2〜2.1mm2、特に好ましくは190000μm2〜1mm2の断面積を有する。また、流路の断面形状は特に限定されるものではなく、円形でも、矩形、半円、三角でも構わない。
(a)X線リソグラフィと電気メッキを組み合わせたLIGA技術
(b)EPON−SU8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法
(c)機械的マイクロ切削加工(ドリル径がマイクロオーダのドリルを高速回転するマイクロドリル加工等)
(d)Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法
(e)Hot Emboss加工法
(f)光造形法
(g)レーザー加工法
(h)イオンビーム法
本発明で用いるマイクロリアクターは上記のどの微細加工技術を用いていても良く、特に制限されない。
図1において各符号は次の意味をもつ。
区間1〜3: 溶液Aの温度調節区間
区間2〜4: 溶液Bの温度調節区間
点1,2: マイクロリアクターへの原料供給口
点3,4: マイクロミキサーへの原料供給口
点5: 溶液Aと溶液Bの混合開始点
区間5〜6: 溶液Aと溶液Bの反応区間
点6: リアクターの出口
区間21〜24: 溶液Aの温度調節区間
区間22〜25: 溶液Bの温度調節区間
区間23〜26: 溶液Cの温度調節区間
点21,22,23:マイクロリアクターへの原料供給口
点24,25,26:マイクロミキサーへの原料供給口
点27: 溶液Aと溶液Bと溶液Cの混合開始点
区間27〜28: 溶液Aと溶液Bと溶液Cの反応区間
点28: リアクターの出口
区間31〜33: 溶液Aの温度調節区間
区間32〜34: 溶液Bの温度調節区間
点31,32: マイクロリアクターへの原料供給口
点33,34: マイクロミキサーへの原料供給口
点35: 溶液Aと溶液Bの混合開始点
区間35〜36: 遷移金属触媒を有する触媒リアクター
(溶液Aと溶液Bの反応区間)
点36: リアクターの出口
図1は本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)とマイクロチューブ(R)で構成される。マイクロリアクター(MR)には2つの原料供給口(点1,点2)と、1つの生成物出口(点6)があり、原料供給口の一方には有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口にはハロゲン化環状化合物と遷移金属触媒を溶解させた溶液(溶液B)を供給する。溶液A及び溶液BはマイクロミキサーMの点5で接触し混合し、点5から点6の区間で反応が完了し、生成物が得られる。
図2もまた、本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)とマイクロチューブ(R)で構成される。図1に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、マイクロミキサー(M)は3つの液体を同時に混合できるということである。マイクロリアクター(MR)には3つの原料供給口(点21,点22,点23)と、1つの生成物出口(点28)があり、一方の供給口(点21)に芳香族有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口(点22)にはハロゲン化環状化合物を溶解させた溶液(溶液B)を供給し、別の供給口(点23)には遷移金属触媒を溶解させた溶液(溶液C)を供給し、溶液Aと溶液B、溶液Cはミキサー内部の点27で接触し混合し、点27から点28の区間で反応が完了し、生成物が得られる。
図3は本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M)と触媒リアクター(R3)から構成される。図1,2に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒は固体状態のものを使用するところである。マイクロリアクター(MR)には2つの原料供給口(点31,点32)と、1つの生成物出口(点36)があり、原料供給口の一方には芳香族有機リチウム化合物の溶液(溶液A)を供給し、もう一方の供給口にはハロゲン化環状化合物を溶解させた溶液(溶液B)を供給する。溶液A及び溶液BはマイクロミキサーMの点35で接触し混合し、点35から点36の区間に担持された触媒表面で反応が完了し、生成物が得られる。
区間41〜43: 溶液Aの温度調節区間
区間42〜44: 溶液Bの温度調節区間
区間47〜48: 溶液Cの温度調節区間
点41,42,47: マイクロリアクターへの原料供給口
点43,44,46,48: マイクロミキサーへの原料供給口
点45: 溶液Aと溶液Bの混合の混合開始点
点49: 溶液Cとの反応の混合開始点
区間45〜46: 溶液AとBの混合区間
区間49〜40: 溶液Cとの反応区間
点40: リアクターの出口
区間51〜53: 溶液Aの温度調節区間
区間52〜54: 溶液Bの温度調節区間
区間57〜58: 溶液Cの温度調節区間
点51,52,57: マイクロリアクターへの原料供給口
点53,54,56,58: マイクロミキサーへの原料供給口
点55: 溶液Aと溶液Bの混合の混合開始点
点59: 溶液Cとの反応の混合開始点
区間55〜56: 溶液AとBの混合区間
区間59〜50: 溶液Cとの反応区間
点50: リアクターの出口
区間61〜63: 溶液Aの温度調節区間
区間62〜64: 溶液Bの温度調節区間
区間67〜68: 溶液Cの温度調節区間
点61,62,67: マイクロリアクターへの原料供給口
点63,64,66,68: マイクロミキサーへの原料供給口
点65: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点69: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間65〜66: 工程1の反応区間
区間69〜60: 工程2の反応区間
点60: リアクターの出口
区間71〜73: 溶液Aの温度調節区間
区間72〜74: 溶液Bの温度調節区間
区間77〜78: 溶液Cの温度調節区間
点71,72,77: マイクロリアクターへの原料供給口
点73,74,76,78: マイクロミキサーへの原料供給口
点75: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点79: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間75〜76: 工程1の反応区間
区間79〜70: 工程2の反応区間
点70: リアクターの出口
区間81〜83: 溶液Aの温度調節区間
区間82〜84: 溶液Bの温度調節区間
区間87〜88: 溶液Cの温度調節区間
点81,82,87: マイクロリアクターへの原料供給口
点83,84,86,88: マイクロミキサーへの原料供給口
点85: 第1工程(溶液AとBの反応)の混合開始点
点89: 第2工程(溶液Cとの反応)の混合開始点
区間85〜86: 工程1の反応区間
区間89〜80: 工程2の反応区間
点90: マイクロミキサーの出口
区間90〜80: 工程2の反応温度可変区間
点80: リアクターの出口
図5もまた、本発明の工程2で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図1に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒溶液の溶液(A液)と有機リチウム化合物の溶液(B液)をマイクロミキサーM1で連続混合して触媒を活性化した後で、引き続きマイクロミキサー(M2)に供給して、ハロゲン化環状化合物(溶液C)との反応を行うところである。
図6は本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。
図7もまた、本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図6に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、遷移金属触媒を固定状態のものを使用するところである。
図8もまた、本発明の工程1から工程2の連続工程で用いることのできるマイクロリアクター(MR)の概略図であり、マイクロミキサー(M1,M2)とマイクロチューブ(R1,R2)で構成される。図6に示したマイクロリアクター(MR)と異なる点は、工程2の反応温度可変区間を設けた点である。
キレート化剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTTA)などの3級アミンを使用することができる。
下記化合物中の略号は次の通りである(以下、同様)。
Me:メチル Ph:フェニル Bu:ブチル
Et:エチル Pr:プロピル
実施例1 <マイクロリアクターによる4−メトキシビフェニルの合成>
表1に示す反応原料を用い、以下の通り工程2を実施した。
芳香族有機リチウム化合物としてフェニルリチウム、ハロゲン化環状化合物として4−ブロモアニソール、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを各々用い、図1に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターはマイクロミキサーとマイクロチューブから構成され、マイクロミキサーは内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)を使用し、マイクロチューブは、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間1から区間6、及び区間2から区間6までを恒温水槽に埋没させて、50℃に設定した。
芳香族有機リチウム化合物溶液(A液)は、−78℃で、脱水THF溶媒中でブロモベンゼンと1.60モル/l濃度のn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液の反応からハロゲン−リチウム交換反応により合成したフェニルリチウム溶液を、脱水THFで希釈して0.310モル/l濃度に調整したものを使用した。ハロゲン化環状化合物(5)及び遷移金属触媒溶液(B液)は、4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈して0.517モル/l濃度の溶液に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(4−ブロモアニソールに対して10モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は3.0ml/分とし、このとき図1の区間5〜6間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をはGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率79%であった。
触媒量、反応温度、滞留時間を表2に示す条件に変更した他は、実施例1と同じ条件で実施した。
磁気攪拌子を入れた100mLシュレンク管を脱水アルゴンガスで置換し、0.310モル/lのブロモベンゼンの脱水THF溶液を7.5ml仕込み、磁気攪拌機を用いて攪拌しながら、ドライアイス−アセトン浴に浸して−78℃に冷却した。次に、1.55モル/lのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液をマイクロシリンジに吸い込み、0.3ml/分の速度で1.5mlを5分間かけて滴下し、滴下終了後、−78℃で10分間攪拌して、フェニルリチウム溶液(A液)を調製した。
4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈して0.517モル/l濃度の溶液に調製した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを4−ブロモアニソールに対して10モル%の量を添加して溶解させた溶液(B液)をマイクロシリンジに吸い込み、−78℃に冷却したA液の入ったシュレンク管に3ml/分の速度で3mlを1分間かけて滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間攪拌した。反応終了後、−78℃でメタノールを加えて反応を停止した。得られた溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析した結果、目的物の収率は0%であった。
反応温度を表2に示す条件に変更した他は、比較例1と同じ条件で実施した。
ハロゲン化環状化合物を表3に記載したものに変え、表4の反応条件で合成を行った。その結果を表4に示す。
第1工程で芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソール、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムとの反応により、4−メトキシフェニルリチウムを合成し、引き続く第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼン、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用いるクロスカップリング反応を、図6に示すマイクロリアクター装置を用いて実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は、内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)を使用し、マイクロチューブR2は、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、を使用して製作した。マイクロリアクターの区間61から区間66、及び区間62から区間66までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間67から区間60までを液温−20℃の恒温水槽に埋没させて冷却した。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.292モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.45モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図6の区間65〜69間の滞留時間は2.6秒、区間69〜60間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率53%であった。
実施例8において、反応温度、滞留時間及び触媒量を表6に示す条件に変更した他は、実施例8と同様の操作で合成を行った。
第1工程で芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソール、有機リチウム試薬としてのn−ブチルリチウムとの反応により、4−メトキシフェニルリチウムを合成し、引き続く第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼン、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用いるクロスカップリング反応を、図6に示すマイクロリアクター装置を用いて実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は、内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)を使用し、マイクロチューブR2は、内径0.5mm、外径1/16インチ、長さ40mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、及び内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、を使用して製作した。マイクロリアクターの区間61から区間66、及び区間62から区間66までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間67から区間60までを液温50℃の恒温水槽に埋没させて加熱した。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.292モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.45モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々ステンレス製シリンジに吸い上げた後、ハーバード社製PHD−4400型高圧シリンジポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図6の区間65〜69間の滞留時間は2.6秒、区間69〜60間の滞留時間は16.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ目的化合物の収率80%であった。
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応温度、滞留時間及び触媒量を表6に示す条件に変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応条件を表6に示す条件に定めて、C液の遷移金属触媒を、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドから1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドに変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
実施例14において、反応原料を表5に示す化合物に、反応条件を表6に示す条件に定めて、C液の溶媒をTHFから1,2−ジメトキシエタンに変更した外は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
磁気攪拌子を入れた100mLシュレンク管を脱水アルゴンガスで置換し、0.292モル/lの4−ブロモアニソールの脱水THF溶液を7.5ml仕込み、磁気攪拌機を用いて攪拌しながら、ドライアイス−アセトン浴に浸して−78℃に冷却した。次に、1.45モル/lのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液をマイクロシリンジに吸い込み、0.3ml/分の速度で1.5mlを5分間かけて滴下し、滴下終了後、−78℃で10分間攪拌して、4−メトキシフェニルリチウム溶液を調製した。
ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.487モル/lの濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドをブロモベンゼンに対して10モル%の量を添加して溶解させた溶液(B液)をマイクロシリンジに吸い込み、−78℃に冷却した、4−メトキシフェニルリチウム溶液の入ったシュレンク管に3ml/分の速度で3mlを1分間かけて滴下した。滴下終了後、−78℃で2時間攪拌した。反応終了後、−78℃でメタノールを加えて反応を停止した。得られた溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析した結果、目的物の収率は0%であった。
比較例1において、反応温度を表6に示す条件に変更した他は、比較例1と同様の操作で合成を行った。
実施例14において、第1工程の反応温度を20℃、滞留時間を1秒に変更した他は、実施例14と同様の操作で合成を行った。
実施例14において、反応原料を表5に示すようにし、表6に示す反応条件で触媒量を減少した以外は、実施例18と同様の操作で合成を行った。
実施例8〜22、比較例4〜6の結果を表6に示す。
実施例21において、n−ブチルリチウムを1.6モル/l濃度のものを使用し、ミキサーM1、ミキサーM2、マイクロチューブR1、マイクロチューブR2、第2反応ミキサーの内径およびチューブ内径を表7に示す条件に変更した他は、実施例21と同様の操作で合成を行った。実施例23〜31の結果を表7に示す。
実施例14において、芳香族ハロゲン化合物とハロゲン化環状化合物を表8に示したものに変え、表9に示した反応条件で合成を行った他は、実施例14と同様の操作で実験を行った。実施例32〜39の結果を表9に示す。
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として4−ブロモアニソールを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用い4−メトキシフェニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温30℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は4−ブロモアニソールを脱水THFで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は15.7秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は84%であった。
実施例40における区間89〜80での滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例40と同じ条件で実施した。
実施例40における区間90〜80の恒温水槽を液温50℃にした以外は、実施例40と同じ条件で実施した。
実施例44における区間89〜80間の滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例44と同じ条件で実施した。
実施例40における区間90〜80の恒温水槽を液温70℃にした以外は、実施例40と同じ条件で実施した。
実施例48における区間89〜80間の滞留時間を、表10に記載の値に設定した以外は実施例48と同じ条件で実施した。実施例40〜51の結果を表10に示す。
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用いて2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図6に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温50℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水THFで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水THFで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC-20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は31.4秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は55%であった。
実施例52における区間89〜80での滞留時間を表11に記載の値に設定した以外は実施例52と同じ条件で実施した。
実施例52における区間90〜80の恒温水槽を液温70℃にし、区間89〜80での滞留時間を表11に記載の値に設定した以外は以外は、実施例52と同じ条件で実施した。実施例52〜58の結果を表11に示す。
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用いて2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物としてブロモベンゼンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温70℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水CPMEで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、ブロモベンゼンを脱水CPMEで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2−ブロモチオフェンと同モル)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は94.2秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は80%であった。
第1工程の芳香族ハロゲン化合物として2−ブロモチオフェンを、有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを用い2−チエニルリチウムを合成し、次いで第2工程でハロゲン化環状化合物として2−ブロモピリジンを、遷移金属触媒として(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライドを用い、図8に示すマイクロリアクター装置を用いてクロスカップリング反応を実施した。
マイクロリアクターは2個のマイクロミキサー(M1、M2)と2個のマイクロチューブ(R1、R2)から構成され、マイクロミキサーM1は内径Φ0.5mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.20mm2)、マイクロチューブR1は内径0.5mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)、マイクロミキサーM2は内径Φ0.25mmのミキシングティー(ジーエルサイエンス社製、断面積0.05mm2)を使用し、マイクロチューブR2は内径1.0mm、外径1/16インチのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス社製)を使用して製作した。マイクロリアクターの区間81から区間90、区間82から区間90、および区間87から区間90までを液温0℃の恒温水槽に埋没させて冷却し、区間90から区間80までを液温50℃の恒温水槽に埋没させた。
芳香族ハロゲン化合物(A液)は2−ブロモチオフェンを脱水CPMEで希釈し、0.33モル/lの濃度に調整した溶液を使用した。有機リチウム試薬(溶液B)は1.65モル/l濃度のn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を使用した。ハロゲン化環状化合物及び遷移金属触媒溶液(C液)は、2−ブロモピリジンを脱水CPMEで希釈して0.55モル/l濃度に調整した溶液の中に、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド(ブロモベンゼンに対して5モル%)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(2−ブロモチオフェンに対し2倍モル)を添加して溶解させたものを使用した。A液、B液、C液は、各々島津製作所社製LC−20ATプランジャーポンプを用いてマイクロリアクターに送液した。A液のマイクロリアクターの供給流量は7.5ml/分、B液の供給流量は1.5ml/分、C液の供給速度は3.0ml/分とし、このとき図8の区間85〜89間の滞留時間は2.6秒、区間89〜80間の滞留時間は94.2秒である。リアクター出口から流出する反応液は、3分間の待機期間が経過した後、メタノール5mlの入ったサンプリング管に60秒間サンプリングし、25℃で10分間攪拌した。反応後の溶液をGCを用いて分析し、標準物質を用いる内部標準法により定量分析を行ったところ、目的化合物の収率は87%であった。
すなわち、熱不安定な有機リチウム化合物を用いるクロスカップリング反応においては、バッチプロセスでは有機リチウム化合物を−80℃といった超低温条件で合成して保管する必要があり、またクロスカップリング反応の収率は極めて低い。しかし、本発明のマイクロリアクターを用いる連続反応では、クロスカップリング反応の反応温度と滞留時間を制御することで、高温かつ短時間の反応により目的生成物を収率良く合成することが可能である。本製造方法はピリジン誘導体のようなヘテロ環化合物にも適用可能であり、有用性が高い。
M:マイクロミキサー
R:マイクロチューブ
Claims (7)
- マイクロリアクターを用いて、ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を遷移金属触媒の存在下流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
- 前後多段型のマイクロリアクターを用いて、第1段のマイクロリアクターで芳香族有機リチウム化合物を流路中で製造し、引き続き第2段のマイクロリアクターでハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物を有効量の遷移金属触媒の存在下で流路中で反応させることを特徴とする多環式化合物の製造方法。
- 芳香族ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、反応温度が−10〜40℃かつ滞留時間が0.001〜10秒の条件下でマイクロリアクターを用いて流路中で反応させ芳香族有機リチウム化合物を得ることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
- 第2段のマイクロリアクターの流路内の反応温度が、0〜80℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多環式化合物の製造方法。
- 遷移金属触媒として、(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロライド、または(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)(3−クロロピリジル)パラジウム(II)クロライドを用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
- ハロゲン化環状化合物と芳香族有機リチウム化合物と遷移金属触媒との混合反応を、等価直径が10μm〜1mm以下の流路内で互いに接触させて行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
- 前記の流路中での反応の際に遷移金属触媒とともにアミン化合物を存在させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多環式化合物の製造方法。
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