JP2005104871A - ハロゲン−リチウム交換反応を用いる有機化合物の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学工業の分野、特に医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で有用な化合物合成に工業的に好適なハロゲン−リチウム交換反応を、超低温冷却設備を使用することなく低コストで、且つ安全に行い、合成的に極めて高い実用性を有する製造方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、少なくとも1個の連続式反応器で反応させて式(I)で表わされるリチウム化合物を製造し、更に必要に応じて、求電子電子化合物と反応させて式(II)で表わされる化合物を製造する(式中、Aで表される環は、芳香環、飽和環、部分飽和環又はヘテロ環を表し、Yは求電子基を表す)。
【化1】
Figure 2005104871

【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で有用な化合物の好適なハロゲン−リチウム交換反応を用いる有機化合物の製造法に関する。
ハロゲン置換有機化合物のハロゲン原子を他の求電子基に変換する合成手法の一つとして、ハロゲン−金属交換反応が知られている(非特許文献1、非特許文献2参照)。ここで用いられるメタル化試薬は、グリニヤール試薬や有機リチウム試薬、及びリチウムマグネシウムアート錯体やリチウム銅アート錯体等が挙げられる。
これらの中で、グリニヤール試薬は一般に反応性が低く、反応の基質としてアリールクロリドまたはアリールブロミドを用いる反応では反応可能な基質が限定され、また反応を完結させるためには過剰量の使用や、長い反応時間を必要とするなどの問題がある(非特許文献3参照)。また、反応の基質としてアリールヨージドに対しては反応性が高いが、原料へのヨード基の導入は高価であり、工業的には好ましくない。
有機リチウム試薬は反応性が高く、適用基質の適用範囲が広いため、実験室スケールでは有用性が高い。しかし、バッチプロセスでハロゲン−リチウム交換反応を行う場合、通常では−78℃もの超低温条件で反応が実施される。これは生成するリチウム化合物の反応性が高く、かつリチウム化合物の熱安定性が低いためであり、副反応を抑制するために超低温で冷却して反応速度を低下させたり、または結晶状態にすることで反応性を低下させる対策が取られている。また、ハロゲン−リチウム交換反応、及び生成したリチウム化合物と求電子試薬との反応は両者ともに発熱反応であり、その高い反応熱のために滴下反応時間が長時間必要とされ、滴下中にリチウム化合物の劣化反応により不純物が増加するという問題点がある。滴下に長時間を要する大きなスケールで反応を実施することは製品品質の低下に繋がるため、大きなスケールでは実施は困難である。また、超低温の冷却設備は設備建設・維持コストが高く、実験室の小さなスケールでの実施は容易であるが、釜容積の大きいバッチプラントの実施は建設コストが高く、工業的に困難である(非特許文献4参照)。
適度な反応性と安定性を有する試薬として、有機リチウムマグネシウムアート錯体を使用する方法(特許文献1参照)や有機リチウム銅アート錯体を使用する方法(非特許文献5参照)が報告されている。これらの方法は、反応活性の異なる反応基質に対して、アート錯体の置換基のアルキル鎖の種類や反応温度を工夫することで反応性を調節することができ、極低温条件を必要としないため工業的に有用である。しかし、反応に使用する都度、アート錯体を調整する必要があり、製造工程が1工程増えるため、製造が煩雑になる。
工業的規模での有機リチウム試薬や有機リチウムマグネシウム試薬の使用は安全問題と危険と大きく関わっている。第一に、禁水性の危険物であるこれら有機金属化合物が大量に使用されること、第二にハロゲン−金属交換反応は発熱反応であり、反応暴走も懸念され、これら反応が工業的規模で行われたならば危険性は増大する。
しかしながら、上記のハロゲン−金属交換反応で得られる化合物は、医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で合成中間体として有用性が高い。一例を挙げると、2−ブロモピリジンを原料として合成される2−リチオピリジンは、ファルマコアとして有用である2,4−ビピリジン誘導体の合成中間体である。この2,4−ビピリジン誘導体は、例えばtetrabenazine antagonist(非特許文献6参照)、α1A receptor antagonist(特許文献2参照)、5−HT1A receptor antagonist(特許文献3参照)、α1A receptor antagonist(特許文献4参照)等の合成中間体に用いられている。
一方、近年、マイクロリアクター等の連続式反応装置を用いた化学反応が研究されている(非特許文献7、非特許文献8参照)。マイクロリアクターでは正確な流れの制御、温度制御や迅速な混合が可能となると考えられており、従来実施されているバッチ反応と比較して収率や選択性の向上が期待され、高効率な生産方法としてして注目されている。ドイツのIMM研究所やFZK研究所は、混合や熱交換、触媒反応、電気化学反応のためのマイクロリアクターを開発しており、これらのリアクター部品を使用したミニプラント建設を提案している。しかし、従来の合成方法をそのまま全く同じ条件でマイクロリアクターに置き換えただけでは、反応釜に比べて時間当たりの生産量が低下するため、工業的なスケールでのコストメリットは望めない。マイクロリアクターの特性を生かし生産性を向上させる工業的プロセスは色々試みられているが、まだ探索途上の状況である。
国際公開第01/57046号 国際公開第99/07695号 国際公開第99/03847号 米国特許第6159990号 "ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(The Journal of organic chemistry)"、1982年 47巻 p.331 "ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(The Journal of organic chemistry)"、1986年 52巻 p.473 "アンゲバンテ ヘミィ インターナショナル イングリッシュ エディション(Angewante Chemie International English Ed.)"、2000年 39巻 p.4414 "ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(The Journal of Medicinal Chemistry)" 、1999年 42巻 p.1088 "アンゲバンテ ヘミィ インターナショナル イングリッシュ エディション(Angewante Chemie International English Ed.)"、2002年 41巻 p.3263 "ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(The Journal of Medicinal Chemistry)" 、1984年 27巻 p.1182 "チミア(Chimia)" 、2002年 56巻 p.636 "テトラヘドロン(Tetrahedron)" 、2002年 58巻 p.4735
本発明の目的は、医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で有用な化合物のハロゲン−リチウム交換反応による有機化合物の製造法を、特別な装置を用いず安価で安全、かつ公害の問題を生じないで実施可能な製造方法を提供することである。
本発明のリチウム−ハロゲン交換反応の如く、高い発熱を伴うような反応速度が速い反応のプロセス安定化のためには、溶液全体の攪拌混合の均一化や原料混合時に生じる反応熱の蓄熱防止が重要である。本発明者らは、連続式反応器の特長である効率の高い混合能力および温度制御の可能性に着目し鋭意検討した結果、リチウム−ハロゲン交換反応において連続式反応器を用いることによって、定常状態で安定した連続操作が可能となり、また比較的穏やかな低温条件で、高収率で中間体のリチウム化合物を得ることが可能となった。更に、連続式反応器を用いて連続操作で反応を行うことにより、中間体である不安定なリチウム化合物を貯めることなく効率良く次工程へ導入することが可能となり、工業的に非常に汎用性の高い製法であることも併せて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、前段の連続式反応器でハロゲン化合物と有機リチウム試薬のハロゲン−リチウム交換反応によりリチウム化合物を製造する方法に関し、更に後段の連続式反応器で求電子化合物を連続反応させて、目的化合物を製造する方法に関するものである。本発明を実施することにより、下記の化合物を安価で安全に製造することができ、本発明の上記目的が達成される。
(1)ハロゲン化合物と有機リチウム化合物とを、少なくとも1個の連続式反応器で反応させることを特徴とする下記一般式(I)で表されるリチウム化合物の製造方法。
Figure 2005104871
式(I)中、Aで表される環は、芳香環、飽和環、部分飽和環又はヘテロ環を表す。
(2)ハロゲン化合物と有機リチウム化合物とを、少なくとも1個の連続式反応器で反応させ、次いで求電子化合物と反応させることを特徴とする下記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
Figure 2005104871
式(II)中、Aで表される環は、前記と同様の意味を表す。Yは求電子基を表す。
本発明の製造方法によれば、化学工業の分野、特に医薬品、農薬、液晶、電子写真や染料等の分野で有用な化合物の工業的に好適なハロゲン−リチウム交換反応を、超低温冷却設備を使用することなく低コストで実施可能である。また、禁水性危険物である有機リチウム化合物を密閉系で取り扱うことから、製造時の安全性が確保される。従って、本発明の製造方法は合成的に極めて高い実用性を有するものである。
以下に、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の製造プロセスを簡潔に説明すると、ハロゲン化合物と有機リチウム試薬を、少なくとも1個の連続式反応器で混合し、前記一般式(I)で表されるリチウム化合物を得る。次いで、このリチウム化合物と求電子化合物とを反応させて目的物を得る。
以下に有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムを、求電子化合物にクロロトリメチルシランを用いた本発明の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005104871
本発明で用いる連続式反応器は、液体または溶液状の化合物を、流動液体および溶液の運動エネルギー、更に必要に応じて機械的剪断エネルギー及び/又は振動エネルギーによって混合する装置を意味する。具体的には、2液を混合して反応させるために、反応器(ある容積をもった空間・パイプ)に2液を別々に送り込むものであり、混合は、初めに、(i)2液の接触界面で開始され、(ii)物質拡散力で混合(静的混合)し、(iii)場合によっては、液を送った駆動力によって混合される。流速と反応器の形状(接液部分の3次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、など)の関係によって、静的混合(層流)から動的混合(乱流)へと変化させることができる。乱流の方が層流に比べて混合効率が良く、混合速度が速いため、好ましい。プロセスの場合に応じて、乱流混合にして混合を促進するために、反応器の外部より低周波振動などの振動エネルギー加えることや、反応器のパイプの内部にローター/ステーターを有するインラインミキサーを用いて機械的剪断力(エネルギー)を加えることもできる。
連続式反応器としては、市販品や新規に設計し試作されたものを使用することができる。例えば、定常マイクロ反応器やインラインミキサーが挙げられる。
定常マイクロ反応器とは、小型流動反応器、または静的マイクロミキサー(スタティックマイクロミキサー)を使用して定常状態で反応を実施するための反応装置である。静的マイクロミキサーとは、例えばWO96/30113号に記載されているような、混合のための微細な流路を有しているミキサーに代表される装置である。市販されている定常マイクロ反応器としては、例えばインスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサーおよびキャタピラーミキサー;ミクログラス社製ミクログラスリアクター;CPCシステムス社製サイトス;山武社製YM−1型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティーおよびティー;マイクロ化学技研社製IMTチップリアクター、等が挙げられ、いずれも本発明で使用することができる。
インラインミキサーは、ラインミキサーやパイプラインミキサーとも呼ばれており、連続した流れの中で複数の液体を攪拌混合する装置であり、複数の液体の混合比率を正確に制御することができるという特長を有し、スタティックミキサーやプロペラ式ミキサー、タービン式ミキサー、ローター/ステーター式ミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザーのようなものが含まれる。市販されているインラインミキサーとしては、例えば、東レ製Hi−Mixer;ケニックス社製スタティックミキサー;特殊機化工業製パイプラインホモミキサー;西華産業製OHRラインミキサー等が挙げられ、いずれも本発明で使用することができる。
本発明において、好ましくは定常マイクロ反応器である。定常マイクロ反応器を用いることにより、原料溶液の迅速な混合や流れの制御、および反応熱の部分蓄熱の防止や反応温度の精密な制御が可能となる。合成反応を定常状態で安定して実施できるため、安定化した合成プロセスが実現される。
また、本発明で用いる連続式反応器は、液体または溶液状の化合物を互いに混合する小さな流路を有することが好ましい。本発明における連続式反応器の流路は好ましくは100μm2〜2000cm2、より好ましくは1000μm2〜100cm2、特に好ましくは10000μm2〜50mm2の断面積を有する。
連続式反応器に送液される際の流速は、反応する基質、連続式反応器の種類、および連続式反応器の流路断面積によって最適値は異なるが、例えば定常マイクロ反応器の場合は、好ましくは0.1μl/分〜1000ml/分、より好ましくは1μl/分〜100ml/分、特に好ましくは10μl/分〜10ml/分である。
本発明において、反応時間は原料液体が連続式反応器に入り、反応器内のチューブを通って流れ、出口へ出るまでの時間で表される。連続式反応器が複数連結している場合、最初の反応器に入って最後の反応器の出口へ出るまでの時間を指す。連続式反応器とチューブの総内容積が一定の場合、液の流速を変化させることで反応時間を調節することができる。また、液の流量が一定の場合はチューブの長さを変化させることで反応時間を調節できる。本発明における反応時間は、使用するハロゲン化合物や有機リチウム試薬、求電子化合物の反応性や反応温度、希望する目的物収率によって異なるが、24時間以下、好ましくは3時間以下、特に好ましくは1時間以下である。
本発明で用いる連続式反応器は、冷却または加熱が可能であるが、連続式反応器からチューブに送液後、チューブ内でも拡散により反応が行われるのでチューブ部分も冷却および加熱が可能なものが好ましい。
連続式反応器での滞留時間は、例えば、使用するハロゲン化合物や有機リチウム試薬の反応性、試薬濃度、反応温度、リチウム化合物の安定性などのパラメーターによって変動する。そこで、滞留時間とこれらのパラメーターを最適化することで、目的製品の製造条件を最適化することが好ましい。滞留時間の調節は、連続式反応器への原料送液速度により調整することが可能である。
本発明の製造方法では、反応温度が40℃以下、好ましくは20℃以下、特に好ましくは−10〜10℃の範囲でハロゲン−リチウム交換反応を実施することが可能である。従来用いられているバッチ生産方式によるリチウム化合物の反応では超低温冷却設備が必要であり、大量生産のためには技術障壁が高く、工業的利用は困難であった。しかし本発明の製造方法では汎用のナイブライン冷凍設備での生産が可能であり、高価な超低温冷却設備は不要で、設備コストが削減できる。
本発明により得られたリチウム化合物と求電子化合物による反応は、バッチ式(回分式)またはセミバッチ式(半回分式)で実施することもできるが、更に連続式反応器を連結させて行うことが好ましい。特に、最初の反応工程で生成するリチウム化合物の安定性が高くない場合は連続式反応器を連結させることが好ましい。ここで連結させて用いる連続式反応器は、前記で述べた連続式反応器と同様に、液体または溶液状の化合物を、流動液体および溶液の運動エネルギー、更に必要に応じて機械的剪断エネルギー及び/又は振動エネルギーによって混合する装置を指し、定常マイクロ反応器(インスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサーおよびキャタピラーミキサー;ミクログラス社製ミクログラスリアクター;CPCシステムス社製サイトス;山武社製YM−1型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティーおよびティー;マイクロ化学技研社製IMTチップリアクター等)や、ラインミキサー(東レ製Hi−Mixer;ケニックス社製スタティックミキサー;特殊機化工業製パイプラインホモミキサー;西華産業製OHRラインミキサー等)等が挙げられる。好ましくは定常マイクロ反応器である。
本発明の製造方法では、反応の経過は公知の種々の分析機器を使用してモニターすることができる。反応率は好ましくは高速液体クロマトグラフィー、キャピラリーガスクロマトグラフィーによって確認することができる。
本発明の方法により得られる、一般式(II)で表されるハロゲン化合物のハロゲン原子と求電子基とを置換した化合物は、公知の方法で単離することができる。例えば、有機溶剤を用いた抽出法、蒸留法、有機溶媒や水または有機溶媒と水の混合物を用いた再沈殿法、またはカラムクロマトグラフィーを、必要に応じて単独または適宜組み合わせて用いて単離精製することが可能である。
尚、本発明の変換法は公知のハロゲン−金属交換反応の改良方法であることから、本発明の該工程に用いられる製造条件は、有機リチウム試薬などのハロゲン−金属交換反応および求電子試薬との反応に使用されている反応生成物の精製法を含め、反応温度以外の製造条件を全て採用することができる。
次に本発明で使用する化合物について説明する。
本発明で用いるハロゲン化合物は、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物等が挙げられるが、その中でも臭素化合物、ヨウ素化合物が反応性が高く好ましい。
本発明の一般式(I)で表されるリチウム化合物において、Aで表される環は具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の単環式または多環式の6〜10員の芳香環;シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の単環式または多環式の3〜10員の飽和環;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、インダン等の単環式または多環式の3〜10員の部分飽和環;チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環を表す。好ましくは単環の芳香環、または単環のヘテロ環であり、より好ましくはベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、オキサゾール、チオフェン、チアゾールである。
また、Aで表される環は更に置換基を有していても良く、置換基の数や種類は特に制限されない。置換基は具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキルによって置換されたアルキルも含む);ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐、または環状の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル等の直鎖、分岐または環状の炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル、ナフチル、アントラニル等の5〜10員の単環式または複環式アリール基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ等の炭素数1〜20のアルコキシ基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、オクタデシルチオ等の炭素数1〜20のアルキルチオ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等の炭素数2〜20のアシル、およびベンゾイル、ナフトイル等の置換カルボニル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等の置換オキシカルボニル基;アセチルオキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ等の炭素数2〜20のアシルオキシ、およびベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等の置換カルボニルオキシ基;メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等の置換スルホニル基;N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたカルバモイル基;N−フェニルスルファモイル、N,N−ジエチルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される2個の基によって置換されたスルファモイル基;アセチルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、n−ヘキシルカルボニルアミノ等の炭素数2〜20のアシルアミノ、およびベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等の置換カルボニルアミノ基;N−メチルウレイド、N,N−ジエチルウレイド等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたウレイド基;メチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ等の炭素数1〜20のスルホニルアミノ、およびフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等の置換スルホニルアミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;tert−ブトキシカルボニル基、ピバロイル基、ベンジル基、フタロイル基等の保護基で置換されたアミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリメチルシリル、トリエチルシリル等の置換シリル基;フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または二環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、アリール基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、フッ素原子、塩素原子が挙げられる。
これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、反応に関与しないものであれば特に制限されない。更なる置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキル基やフェニル、ナフチル等のアリール基、塩素、フッ素等のハロゲン原子が挙げられる。
本発明で用いる有機リチウム試薬は、従来公知の有機リチウム化合物を使用することができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、メトキシメチルリチウム、エトキシメチルリチウム等のアルキルリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウム等のアルケニルリチウム;エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンチニルリチウム、ヘキシニルリチウム等のアルキニルリチウム;ベンジルリチウム、フェニルエチルリチウム等のアラルキルリチウム;フェニルリチウム、ナフチルリチウム等のアリールリチウム;2−チエニルリチウム、4−ピリジルリチウム、2−キノリルリチウム等のヘテロ環リチウム;トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウム、トリメチルマグネシウムリチウム等のアルキルリチウムマグネシウムコンプレックス等が挙げられる。この中で好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、ビニルリチウム、アリルリチウム、メトキシメチルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、2−チエニルリチウム、トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウムであり、より好ましくはn−ブチルリチウムである。
有機リチウム試薬の使用量は、用いるハロゲン化合物の種類によって異なるが、ハロゲン化合物1モルに対して通常0.01〜20モル、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.3モルである。
本発明で使用することができる求電子化合物は、電子受容能を有する官能基をもつ化合物であれば特に制限されないが、電子密度の大きい官能基や非共有電子対と反応する化合物が好ましい。また当該化合物には既知の有機リチウム試薬を使用したハロゲン−金属交換反応で使用される求電子化合物が全て含まれる。
本発明で用いる求電子化合物は、具体的には、塩素分子、臭素分子、ヨウ素分子等のハロゲン分子;固体状硫黄、二酸化硫黄、酸素等の無機物類;二酸化炭素;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ベンゾフェノンイミン、アセトフェノンイミン等のイミン類;クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン等のハロゲン化シリコン類;ニ塩化ジブチルスズ、ニ臭化ジフェニルスズ等のスズ化合物類;パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ニコチンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、2−ブタノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、N,N−ジメチルホルムアミド、tert−ブチル 4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート等のケトン類;クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸フェニル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸オクチル、酢酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル等のエステル類;無水酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等の酸無水物類;アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド、2−ピリジンカルボニル クロライド等のハロゲン化アシル類;オキシラン、2−メチル−オキシラン等のオキシラン類;6−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン、7−アザビシクロ[4,1,0]ヘプタン等のアジリジン類;3−オキソー1,3−ジフェニルー1−プロペン、2−メチルー3−オキソ−3−ジフェニルー1−プロペン等のα、β−不飽和ケトン類;ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ヘキシル、臭化オクチル、1,2−ジヨードエタン、1,2−ジブロモエタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジブロモオクタン、1,2−ジブロモシクロペンテン等のハロゲン化アルキル類;N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモフタル酸イミド等の酸イミド類;ジメチルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド等のジスルフィド類;クロロジフェニルホスフィン、クロロジメチルホスフィン等のホスフィン類;クロロジフェニルホスフィンオキシド、クロロジメチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類が挙げられる。これらの中で好ましくは、クロロトリメチルシラン、ベンズアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミドである。
これら求電子化合物の使用量は、ハロゲン化合物1モルに対して、好ましくは0.01〜20モル、より好ましくは0.1〜2.0モル、更に好ましくは0.5〜1.3モルである。
以下に、本発明の方法により得られる一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005104871
Figure 2005104871
Figure 2005104871
本発明の製造方法では、使用するハロゲン化合物、有機リチウム試薬および求電子化合物は液体または溶液状態であることが必要である。従って、これらの化合物が液体でない場合には、反応に用いる前に反応に不活性な溶媒に溶解させる必要がある。使用する溶媒としては、公知のハロゲン−金属交換反応で使用される溶媒はいずれも使用できる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジフェニルメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素化合物類;ピリジン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等のアルカン類、及びパーフルオロアルカン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類等、極性、非極性溶媒を問わずいずれも利用し得る。好ましくは、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、キシレンであり、より好ましくはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、トルエン、キシレンである。これらの溶媒は単独または2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。溶媒の使用量は基質である各々の化合物1モルに対し、通常1〜10000Lの範囲で用いられ、好ましくは300〜6000ml、より好ましくは600〜3000mlである。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、目的物の収率は、ガスクロマトグラフィーを使用して定量分析行い、標準物質とのクロマト面積の比較から算出した。
実施例1<(3−メトキシフェニル)トリメチルシランの合成>
n−ブチルリチウムを用いた3−ブロモアニソールのハロゲン−リチウム交換反応をインスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサー(流路断面積12,000μm2、ニッケル オン カッパー インレイ)を用いた定常マイクロ反応器内で行った。このシングルミキサーは分割された流路から得られる多数の副流を接触させることにより混合を行う方式のものであり、定常マイクロ反応器の出口には外径Φ1.58mm、内径Φ0.8mmのSUS316製キャピラリーをHPLCコネクターを用いて接続し、キャピラリーの出口は一方にドレン流路の付いた三方バルブを介し、クロロトリメチルシランのテトラヒドロフラン溶液を入れてあるアルゴンガス置換済みの100ml二口フラスコに導いた。また定常反応器とSUSキャピラリー、二口フラスコの温度は恒温冷却水槽の冷媒中で0℃に温度設定した。
3−ブロモアニソール2.46gをテトラヒドロフランで全量50mlに希釈し、濃度0.26mol/lの溶液に調整した。n−ブチルリチウム溶液は市販試薬の1.58mol/ln−ヘキサン溶液を購入し、含量を滴定で求めて使用した。100ml二口フラスコにクロロトリメチルシラン1.5gとテトラヒドロフラン9mlを加え、攪拌した。3−ブロモアニソール溶液とn−ブチルリチウム溶液はガラスシリンジに吸い上げた後、それぞれHARVARD APPARATUS INC.社製PHD2000型計量ポンプ、Kd Scientific社製Model100型計量ポンプを用いて、IMM社製シングルミキサー(流路断面積12,000μm2、ニッケル オン カッパー インレイ)を用いた定常マイクロ反応器に送液した。3−ブロモアニソール溶液とn−ブチルリチウム溶液の送液速度は、それぞれ5.0ml/min、1.0ml/minに設定した。混合した反応溶液は始めの1分間はドレン側に捨てた後、三方バルブを切り替え、100ml二口フラスコ側に7分間通過させた。得られた反応液を定量分析した結果、目的物の収率は95%だった。
次に、目的生成物を単離するために、反応液に水20mlを加え、3回の酢酸エチル20mlで抽出した後、低沸点成分を濃縮除去して無色液体1.6gを得た。更に、減圧蒸留を行い、無色液体1.4g(収率84%)を得た。ミリマス測定(DI−EI/MS)の結果、目的物の分子量と一致した。
Measured MS(180.0987)、Calcurated MS(180.0970)。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):0.29(9H,s),3.84(3H,s),6.91(1H,dd,J=2.8,7.2Hz),7.07(1H,d,J=2.8Hz),7.10(1H,d,J=7.2Hz),7.31(1H,t,J=7.6Hz)
実施例2及び3
定常マイクロ反応器に、T字型に流体を衝突させる方式のT字型ミキサー(SUS316製、流路内径0.8mm、流路断面積0.5mm2)を用いて、実施例1と同様の条件で合成を行った。結果を表1に示す。
比較例1
アルゴンガスで置換した100ml二口フラスコにn−ブチルリチウム7mlとテトラヒドロフラン35mlを仕込み、ドライアイスーアセトン浴に浸して−78℃に冷却した。、攪拌下、3−ブロモアニソール1.72gを滴下して−78℃で30分間攪拌した。次に、この中にクロロトリメチルシラン1.5gとテトラヒドロフラン9mlの混合溶液を滴下して−78℃で20分間攪拌した後、徐々に室温まで30分間かけて昇温した。得られた反応液を定量分析した結果、目的物の収率は90%だった。
比較例2
アルゴンガスで置換した100ml二口フラスコに3−ブロモアニソール1.72gとテトラヒドロフラン35mlを仕込み、ドライアイスーアセトン浴に浸して−78℃に冷却した。この中に攪拌下、n−ブチルリチウム7mlを滴下して−78℃で30分間攪拌した。次に、この中にクロロトリメチルシラン1.5gとテトラヒドロフラン9mlの混合溶液を滴下して−78℃で20分間攪拌した後、徐々に室温まで30分間かけて昇温した。得られた反応液を定量分析した結果、目的物の収率は88%だった。
比較例3及び4
反応温度を0℃とした他は、それぞれ比較例1及び2と同様の条件で実施した。
比較例5
アルゴンガスで置換した100ml二口フラスコを恒温冷却水槽の冷媒中で0℃に温度設定した。実施例1と同様に、3−ブロモアニソール溶液とn−ブチルリチウム溶液はガラスシリンジに吸い上げた後、それぞれHARVARD APPARATUS INC.社製PHD2000型計量ポンプ、Kd Scientific社製Model100型計量ポンプを用い、100ml二口フラスコの中に、攪拌下同時に7分間送液した。この時の3−ブロモアニソール溶液とn−ブチルリチウム溶液の送液速度は、それぞれ5.0ml/minと1.0ml/minに設定した。次に、この反応液に、クロロトリメチルシラン1.5gとテトラヒドロフラン9mlの混合溶液を滴下して0℃で20分間攪拌した後、徐々に室温まで30分間かけて昇温した。得られた反応液を定量分析した結果、目的物の収率は80%だった。
比較例6
反応温度を20℃とした他は、それぞれ比較例5と同様の条件で実施した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2005104871
実施例4〜12
定常マイクロ反応器に、実施例2で用いたT字型ミキサー(SUS316製、流路内径0.8mm、流路断面積0.5mm2)を用い、表2に記載したハロゲン化合物および求電子化合物に変えた以外は実施例1と同様の条件で合成を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2005104871
表1及び2に示された結果から以下のことが明らかである。
すなわち、バッチプロセスでは−78℃もの超低温冷却が必要な反応が、本発明の製造方法である、マイクロ流路を用いた定常反応器を反応に使用してフロー系で実施する方法を使用することで、超低温冷却を必要とせず、0℃という温和な冷却条件で有機リチウム試薬を用いたハロゲン−リチウム交換反応を実施できる。本製造方法はベンゼン誘導体のみならず、ナフタレン誘導体や、ピリジン誘導体の様な複素環化合物にも適用可能であり、有用性が高い。

Claims (2)

  1. ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、少なくとも1個の連続式反応器で反応させることを特徴とする下記一般式(I)で表されるリチウム化合物の製造方法。
    Figure 2005104871


    式(I)中、Aで表される環は、芳香環、飽和環、部分飽和環又はヘテロ環を表す。
  2. ハロゲン化合物と有機リチウム試薬とを、少なくとも1個の連続式反応器で反応させ、次いで求電子化合物と反応させることを特徴とする下記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
    Figure 2005104871
    式(II)中、Aで表される環は、芳香環、飽和環、部分飽和環又はヘテロ環を表す。Yは求電子基を表す。
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