JP2010120919A - フルオロ硫酸エステル類の製造方法 - Google Patents

フルオロ硫酸エステル類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フルオロ硫酸エステル類の実用的な製造方法を提供する。
【解決手段】アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、フルオロ硫酸エステル類を製造することができる。原料基質としては、光学活性2級アルコール類が好ましく、光学活性α−ヒドロキシエステル類および光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましい。さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことにより、所望の反応が特に良好に進行する。本発明は従来技術の問題点を全て解決し、工業的にも実施可能な製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬中間体として重要なフルオロ硫酸エステル類の製造方法に関する。
フルオロ硫酸エステル類は、医農薬中間体として重要である。本発明に関連する製造技術として、フルオロ硫酸無水物[(FSOO]を用いる方法(特許文献1)や、アルコール類のO−N,N−ジアルキルスルファミン酸エステルまたはイミダゾール硫酸エステル誘導体を経由する方法(特許文献2、非特許文献1)が開示されている。
本出願人は、スルフリルフルオリド(SO)と有機塩基の組み合わせによるアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応を開示している(特許文献3、4)。
スペイン国特許公報第2136028号 特表2002−512999号公報 特開2006−290870号公報 特開2008−201770号公報 Tetrahedron Letters(英国),1996年,第37巻,p.17−20
本発明の目的は、フルオロ硫酸エステル類の実用的な製造方法を提供することにある。そのためには、従来技術の問題点を解決する必要がある。
特許文献1に対しては、大量規模での入手が困難で非常に高価なフルオロ硫酸無水物を用いる必要がある。また、本反応剤は2つのフルオロスルホニル(FSO)基を有するが、目的生成物に導入されるのはこの内の1つだけであり、アトムエコノミーの観点からも好ましくない。
特許文献2および非特許文献1に対しては、反応性中間体を経由する間接的な製造方法であり、操作の増加に伴う煩雑さや廃棄物の増加が問題である。
特許文献3および4に対しては、活性中間体としてフルオロ硫酸エステル類が生成しているが、反応系内に副生したフッ素アニオン(F)との置換反応が極めて速いため、フルオロ硫酸エステル類を選択的に製造することができなかった(スキーム1を参照)。原料基質の立体や電子的効果を利用して引き続くフッ素置換を遅らせることも可能であるが、この場合には基質適応範囲の広い製造方法とは言えない。
この様に、大量規模での入手が容易でアトムエコノミーの高い安価な反応剤を用いることができ、合成手法が直接的で(操作が簡便で廃棄物の少ない)、さらに基質適応範囲の広い、実用的な製造方法が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した結果、アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、フルオロ硫酸エステル類が製造できることを見出した。さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことにより、所望の反応が特に良好に進行することも明らかにした。また、原料基質としては、光学活性2級アルコール類が好ましく、光学活性α−ヒドロキシエステル類および光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましく、得られる光学活性フルオロ硫酸エステル類は医農薬中間体として非常に重要である。
本発明の製造条件は、特許文献3および4で開示した脱ヒドロキシフッ素化反応のものに類似するが、水の存在下で反応を行うか否かによってフルオロ硫酸エステル類とフッ素化物の生成比が大きく逆転することを見出した。本発明の好適な原料基質である光学活性α−ヒドロキシエステル類を用いた時の生成比の比較を表−1に示すが、水の非存在下ではフッ素化物が、水の存在下ではフルオロ硫酸エステル類がそれぞれ選択的に得られる。反応系内に副生したフッ素アニオンが水の存在により引き続くフッ素置換に旨く関与できず(フッ素アニオンの求核性の低下や水層への固定化等により)、その結果として中間体であるフルオロ硫酸エステル類が選択的に得られたものと考えられる。
この様に、フルオロ硫酸エステル類の製造方法として極めて有用な方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は[発明1]から[発明8]を含み、フルオロ硫酸エステル類の実用的な製造方法を提供する。
[発明1]
一般式[1]
で示されるアルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[2]
で示されるフルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。R、RおよびRの3つの置換基の内、水素原子とシアノ基の置換基の合計が0または1の場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。]
[発明2]
発明1において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、発明1に記載のフルオロ硫酸エステル類の製造方法。
[発明3]
一般式[3]
で示される光学活性アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[4]
で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
[式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、RとRは同一の置換基を採らない。RまたはRがシアノ基を採らない場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。]
[発明4]
発明3において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、発明3に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
[発明5]
一般式[5]
で示される光学活性アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[6]
で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
[式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。RおよびRは、炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。]
[発明6]
発明5において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、発明5に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
[発明7]
一般式[7]
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[8]
で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
[式中、Rは2級アミノ基の保護基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表す。2つの*はそれぞれ不斉炭素を表し、それぞれ独立にR体またはS体を採ることができ、反応を通して2つの不斉炭素の立体化学は保持される。]
[発明8]
発明7において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、発明7に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
本発明が従来技術に比べて有利な点を以下に述べる。
本発明で用いるスルフリルフルオリドは、燻蒸剤として広く利用されており、大量規模での入手が容易でアトムエコノミーの高い安価な反応剤である。また、合成手法が直接的なため、操作が簡便で廃棄物も少ない。さらに、引き続くフッ素置換の制御が原料基質の特性によるものではなく製造条件によるため、適応できる基質範囲が格段に広い。
また、本発明では分離の難しい不純物を殆ど副生しないため、目的生成物を高い化学純度で得ることができる。さらに、反応を通して不斉炭素の立体化学が保持されるため、光学純度の高いアルコール類を用いることによりフルオロ硫酸エステル類を高い光学純度で得ることができる。
この様に、本発明は従来技術の問題点を全て解決し、工業的にも実施可能な製造方法である。
本発明のフルオロ硫酸エステル類の製造方法について詳細に説明する。
本発明は、一般式[1]で示されるアルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、一般式[2]で示されるフルオロ硫酸エステル類を製造する方法である。
一般式[1]で示されるアルコール類のR、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。その中でも、3つの置換基の内、1つは水素原子で、残る2つは同一の置換基を採らず、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を採る光学活性な化合物が好ましく、3つの置換基の内、1つは水素原子で、さらに1つはアルコキシカルボニル基または置換アルコキシカルボニル基で、残る1つはアルキル基または置換アルキル基を採る光学活性な化合物、および2級アミノ基とカルボキシル基が保護基で保護された光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましい。
アルキル基は、炭素数が1から18の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。本明細書におけるアルケニル基は、前述のアルキル基の、任意の隣り合う2つの炭素原子の単結合が二重結合に、任意の数で置き換わり、該二重結合の立体化学はE体、Z体、またはE体とZ体の混合物を採ることができる[ヒドロキシル基が結合した炭素原子にアルケニル炭素(SP炭素)が直接、結合しない場合も含まれる]。本明細書におけるアルキニル基は、前述のアルキル基の、任意の隣り合う2つの炭素原子の単結合が三重結合に、任意の数で置き換わることができる[ヒドロキシル基が結合した炭素原子にアルキニル炭素(SP炭素)が直接、結合しない場合も含まれる]。芳香環基は、炭素数が1から18の、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香族炭化水素基、またはピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子または硫黄原子等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基を採ることができる。アルキルカルボニル基(−COR)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アリールカルボニル基(−COAr)のアリール基(Ar)は、前述の芳香環基と同じである。アルコキシカルボニル基(−COR)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アミノカルボニル基は−CONHで表される。アルキルアミノカルボニル基(−CONHRまたは−CONR)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アリールアミノカルボニル基(−CONHArまたは−CONAr)のアリール基(Ar)は、前述の芳香環基と同じである。
該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香環基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基およびアリールアミノカルボニル基は、任意の炭素原子上に、任意の数でさらに任意の組み合わせで、置換基を有することもできる(それぞれ置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換芳香環基、置換アルキルカルボニル基、置換アリールカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基および置換アリールアミノカルボニル基に対応する)。係る置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の低級アルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の低級アルキルチオ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基等の低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基等の不飽和基、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の芳香環基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基等の芳香環オキシ基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリニル基等の脂肪族複素環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基(アミノ酸またはペプチド残基も含む)、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が挙げられる。
なお、本明細書において、次の各用語は、それぞれ次に掲げる意味で用いられる。“低級”とは、炭素数が1から6の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を意味する。“不飽和基”が二重結合の場合(アルケニル基)は、E体またはZ体の両方の幾何異性を採ることができる。“ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基およびカルボキシル基の保護基”としては、ProtectiveGroups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.に記載された保護基等を用いることができる(2つ以上の官能基を1つの保護基で同時に保護することもできる)。また、“不飽和基”、“芳香環基”、“芳香環オキシ基”および“脂肪族複素環基”には、ハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルコキシ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、シアノ基、低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が置換することもできる。これらの置換基の中には、塩基と水の存在下にスルフリルフルオリドと反応する場合もあるが、好適な反応条件を採用することにより所望の反応を良好に行うことができる。
一般式[1]で示されるアルコール類のR、RおよびRが全て異なる置換基の場合は、ヒドロキシル基が結合した炭素原子は不斉炭素になるが、反応を通して該不斉炭素の立体化学は保持される。目的化合物が光学活性体の場合には、原料基質として光学活性アルコール類を用いることができる(当然、目的化合物に応じてラセミのアルコール類を用いることもできる)。
一般式[1]で示されるアルコール類のR、RおよびRの3つの置換基の内、水素原子とシアノ基の置換基の合計が0または1の場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類のRおよびRは、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、RとRは同一の置換基を採らない。これらの置換基は、一般式[1]で示されるアルコール類のR、RおよびRにおいて記した、それぞれに対応する置換基と同じである。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類のRまたはRがシアノ基を採らない場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる(例えば、光学活性ヒドロキシシクロアルカン類等)。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類の*は、不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類の不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じてR体またはS体を適宜用いることができる。係る光学純度は、70%ee以上を用いれば良く、通常は80%ee以上が好ましく、90%ee以上が特に好ましい。
一般式[5]で示される光学活性アルコール類のRおよびRは、それぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。これらの置換基は、一般式[1]で示されるアルコール類のR、RおよびRにおいて記した、それぞれに対応する置換基と同じである。
一般式[5]で示される光学活性アルコール類のRおよびRの2つの置換基は、炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる(例えば、光学活性α−ヒドロキシラクトン類等)。
一般式[5]で示される光学活性アルコール類の*は、不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。
一般式[5]で示される光学活性アルコール類の不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じてR体またはS体を適宜用いることができる。係る光学純度は、80%ee以上を用いれば良く、通常は90%ee以上が好ましく、95%ee以上が特に好ましい。
本発明の好適な原料基質である、一般式[5]で示される光学活性アルコール類は、Synthetic Communications(米国),1991年,第21巻,p.2165−2170等を参考にして、市販されている種々の光学活性α−アミノ酸類から同様に製造することができる。また、該アルコール類の幾つかは市販されており、実施例で用いた(S)−乳酸のエチルエステルは市販品を利用した。一般式[1]で示されるアルコール類および一般式[3]で示される光学活性アルコール類もその多くが市販されている。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類のRは、2級アミノ基の保護基を表し、係る保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。その中でもベンジルオキシカルボニル基およびtert−ブトキシカルボニル基が好ましく、tert−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類のRは、カルボキシル基の保護基を表し、係る保護基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、トリクロロエチル基、フェナシル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基等が挙げられる。その中でもメチル基、エチル基、tert−ブチル基およびベンジル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。本発明の好適な原料基質である、一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類は、第4版 実験化学講座22 有機合成IV 酸・アミノ酸・ペプチド(丸善,1992年,p.193−309)等を参考にして、市販の光学活性4−ヒドロキシプロリンから製造することができる。また、2級アミノ基の保護基Rとカルボキシル基の保護基Rの組み合わせによっては市販されているものがあり、これらを利用することもできる。また、一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の内、2級アミノ基の保護基Rがtert−ブトキシカルボニル基で、カルボキシル基の保護基Rがメチル基である化合物(2位S配置、4位R配置)は、Tetrahedron Letters(英国),1998年,第39巻,p.1169−1172に従い、光学活性4−ヒドロキシプロリンメチルエステルの塩酸塩から容易に製造できる。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の2つの*は、それぞれ不斉炭素を表し、反応を通して2つの不斉炭素の立体化学は保持される。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の、2つの不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じて2位R配置/4位R配置、2位R配置/4位S配置、2位S配置/4位R配置または2位S配置/4位S配置を適宜用いることができる。係るエナンチオマー過剰率は、80%ee以上を用いれば良く、90%ee以上が好ましく、95%ee以上が特に好ましい。係るジアステレオマー過剰率は、80%de以上を用いれば良く、90%de以上が好ましく、95%de以上が特に好ましい。
スルフリルフルオリドの使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,5,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセ−5−エン(TBD)、BEMPおよびt−Bu−P4等のホスファゼンベース等の有機塩基、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基が挙げられる。その中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが特に好ましい。これらの塩基は単独または組み合わせて用いることができる。有機塩基と無機塩基の組み合わせにより良好な反応性と高い選択性(生成比;フルオロ硫酸エステル類>フッ素化物)が得られる場合がある。
有機塩基と無機塩基を組み合わせて用い、本発明の好適な製造条件である、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うと、有機塩基は有機層に、無機塩基は水層にそれぞれより多く分配する。有機層では有機塩基によりスルホニル化が効果的に進行し、水層では副生したフッ素アニオンがアルカリ金属塩(フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム)等の形で効果的に固定化され、良好な反応性と高い選択性が得られる。この好適な製造条件を採用することにより、大量規模でも再現性良く目的化合物を製造することができる。本明細書における“2相系”は、液相の状態だけを対象とした表記であり、スルフリルフルオリドが存在する気相も含めると厳密には“3相系”である。
塩基の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。塩基を組み合わせて用いる場合は、トータルの使用量を表し、塩基性の強い方を触媒的(例えば、アルコール類1モルに対して0.1モル)に用いることもできる。
水の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.05L(リットル)以上を用いれば良く、0.1から30Lが好ましく、0.2から20Lが特に好ましい。本発明の製造方法において水の使用量は重要なファクターであり、少な過ぎると高い選択性が得られず、多過ぎると生産性の低下を招き、さらに廃水処理の経済的負担も大きくなる。
水と混和しない反応溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系等が挙げられる。その中でもn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルおよび酢酸エチルが好ましく、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、tert−ブチルメチルエーテルおよび酢酸エチルが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
水と混和しない反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.01L以上を用いれば良く、0.03から30Lが好ましく、0.05から20Lが特に好ましい。
反応温度は、−10から+150℃の範囲で行えば良く、−5から+125℃が好ましく、0から+100℃が特に好ましい。
反応時間は、48時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および製造条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、反応終了液を2相分離して有機物または有機層を回収し、必要に応じて有機溶媒(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル等)で希釈し、水、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸等)の水溶液または無機塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の水溶液で洗浄し(さらに必要に応じて無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し)、回収した有機物または有機層を濃縮することにより、一般式[2]で示されるフルオロ硫酸エステル類を粗生成物として得ることができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い化学純度に精製することができる。目的化合物であるフルオロ硫酸エステル類が不安定な場合は、回収した有機物または有機層を直接、次反応に供することができる。
本発明においては、アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、フルオロ硫酸エステル類を製造することができる(態様1)。
態様1の中でも、原料基質として、3つの置換基の内、1つは水素原子で、残る2つは同一の置換基を採らず、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基である、光学活性2級アルコール類が好ましい(態様2)。本態様の原料基質は入手が比較的容易であり、得られる光学活性フルオロ硫酸エステル類も医農薬中間体として特に重要である。
態様2の中でも、さらに、3つの置換基の内、1つは水素原子で、さらに1つはアルコキシカルボニル基または置換アルコキシカルボニル基で、残る1つはアルキル基または置換アルキル基である、光学活性α−ヒドロキシエステル類が特に好ましい(態様3)。本態様の原料基質は入手が容易であり、得られる光学活性フルオロ硫酸エステル類も医農薬中間体として極めて重要である。
また、態様2の中でも、原料基質として、2級アミノ基とカルボキシル基が保護基で保護された光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましい(態様4)。本態様の原料基質は入手が容易であり、得られる光学活性フルオロ硫酸エステル類も医農薬中間体として極めて重要である。
態様1、2、3または4の中でも、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことにより、所望の反応が特に良好に進行する(それぞれ態様5、6、7、8)。
[実施例]
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
で示されるアルコール類(ラセミ体)1.00g(8.465mmol、1.00eq)、トルエン8.5mL(1.00M)、トリエチルアミン1.03g(10.179mmol、1.20eq)と水8.5mL(1.00M)を加え、氷浴に浸し、スルフリルフルオリド1.73g(16.951mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、室温で終夜攪拌した。反応終了液(有機層)の1H−NMR分析より変換率は81%であった。反応終了液(有機層)の1H−NMR分析より生成比は、上記式で示されるアルコール類が19.4であり、下記式
で示されるフルオロ硫酸エステル類(ラセミ体)が80.6であり、下記式
で示されるフッ素化物(ラセミ体)が痕跡量であった。
反応終了液を2相分離して回収した有機層を減圧蒸留(沸点〜90℃、減圧度533Pa)することにより、フルオロ硫酸エステル類の精製品を0.37g得た。収率は22%であった。精製品のガスクロマトグラフィー純度は97.3%であった。
フルオロ硫酸エステル類の1Hおよび19F−NMRを下に示す。
1H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDCl]、δ ppm;1.33(t、7.2Hz、3H)、1.72(d、6.9Hz、3H)、4.31(q、7.2Hz、2H)、5.22(q、6.9Hz、1H)。19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;−63.40(s、1F)。
[実施例2]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
で示される光学活性アルコール類(S体)20.00g(169.3mmol、1.00eq)、トルエン141mL(1.20M)、トリエチルアミン20.56g(203.2mmol、1.20eq)と炭酸カリウム水溶液176.10g[炭酸カリウム35.10g(254.0mmol、1.50eq)と水141mL(1.20M)から調製]を加え、氷浴に浸し、スルフリルフルオリド34.56g(338.6mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で3時間30分攪拌した。反応終了液(有機層)のガスクロマトグラフィー分析より変換率は96%であった。変換率測定時のガスクロマトグラフィー純度は、下記式
で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類(S体)が82.9%であり、下記式
で示される光学活性フッ素化物(R体)が4.4%であった。光学活性フルオロ硫酸エステル類と光学活性フッ素化物の生成比は95:5であった。反応終了液(有機層)のキラルガスクロマトグラフィー分析より光学活性フルオロ硫酸エステル類の光学純度は97.6%ee(S体)であった。
反応終了液を2相分離して回収した有機層を減圧蒸留(沸点89℃、減圧度3.6kPa)することにより、光学活性フルオロ硫酸エステル類の精製品を21.13g得た。収率は62%であった。精製品のガスクロマトグラフィー純度と光学純度は、それぞれ92.5%、96.9%ee(S体)であった。
光学活性フルオロ硫酸エステル類の1Hおよび19F−NMRは実施例1のラセミ体と同等であった。光学活性フッ素化物の1Hおよび19F−NMRを下に示す。
1H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDCl]、δppm;1.32(t、7.2Hz、3H)、1.58(dd、23.6Hz、6.9Hz、3H)、4.26(q、7.2Hz、2H)、5.00(dq、49.0Hz、6.9Hz、1H)。19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δppm;−21.88(dq、48.9Hz、24.4Hz、1F)。
[実施例3]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置)20.0g(81.5mmol、1.00eq)、トルエン68mL(1.20M)、トリエチルアミン9.90g(97.8mmol、1.20eq)と炭酸カリウム水溶液84.9g[炭酸カリウム16.9g(122mmol、1.50eq)と水68mL(1.20M)から調製]を加え、氷浴に浸し、スルフリルフルオリド16.6g(163mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で終夜攪拌した。反応終了液(有機層)の液体クロマトグラフィー分析より変換率は86%であった。反応終了液(有機層)の19F−NMR分析では、下記式
で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類(2位S配置/4位R配置)のみが検出され、下記式
で示される光学活性フッ素化物(2位S配置/4位S配置)は全く検出されなかった(3モル%未満)。反応終了液を濾過して2相分離し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、上記式で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類の粗生成物を得た(室温保存にて不安定)。粗生成物を19F−NMRにより定量したところ目的化合物が15.5g含まれていた。収率は58%であった。
光学活性フルオロ硫酸エステル類の1Hおよび19F−NMRを下に示す(tert−ブトキシカルボニル基に由来する異性体が存在)。
1H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDCl]、δ ppm;1.43(s、9Hの一部)、1.48(s、9Hの一部)、2.34(m、1H)、2.74(m、1H)、3.77(s、3H)、3.79(m、1H)、3.99(m、1H)、4.47(m、1H)、5.45(m、1H)。19F−NMR(基準物質;C、重溶媒;CDCl)、δ ppm;201.66(s、1Fの一部)、201.80(s、1Fの一部)。
トルエン4.5mL(0.75M)に、上記式で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類の粗生成物1.11g(3.38mmolとする、1.00eq)と臭化テトラブチルアンモニウム3.27g(10.0mmol、2.96eq)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を水2mLで6回洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
で示される光学活性臭化物(2位S配置/4位S配置)の粗生成物を0.447g得た。収率は43%であった。
光学活性臭化物の1H−NMRを下に示す(tert−ブトキシカルボニル基に由来する異性体が存在)。
H−NMR[基準物質;(CHSi、重溶媒;CDCl]、δ ppm;1.42(s、9Hの一部)、1.47(s、9Hの一部)、2.42(m、1H)、2.84(m、1H)、3.73(m、1H)、3.77(s、3H)、4.06(m、1H)、4.20−4.50(m、2H)。

Claims (8)

  1. 一般式[1]
    で示されるアルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[2]
    で示されるフルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
    [式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。R、RおよびRの3つの置換基の内、水素原子とシアノ基の置換基の合計が0または1の場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。]
  2. 請求項1において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロ硫酸エステル類の製造方法。
  3. 一般式[3]
    で示される光学活性アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[4]
    で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、RとRは同一の置換基を採らない。RまたはRがシアノ基を採らない場合は、2つの置換基の炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。]
  4. 請求項3において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、請求項3に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
  5. 一般式[5]
    で示される光学活性アルコール類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[6]
    で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
    [式中、RおよびRはそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。RおよびRは、炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は保持される。]
  6. 請求項5において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、請求項5に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
  7. 一般式[7]
    で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類を塩基と水の存在下にスルフリルフルオリド(SO)と反応させることにより、一般式[8]
    で示される光学活性フルオロ硫酸エステル類を製造する方法。
    [式中、Rは2級アミノ基の保護基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表す。2つの*はそれぞれ不斉炭素を表し、それぞれ独立にR体またはS体を採ることができ、反応を通して2つの不斉炭素の立体化学は保持される。]
  8. 請求項7において、さらに水と混和しない反応溶媒の存在下に2相系で反応を行うことを特徴とする、請求項7に記載の光学活性フルオロ硫酸エステル類の製造方法。
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