JP5476895B2 - ヒドロキシル基置換生成物の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシル基置換生成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医農薬中間体として重要なヒドロキシル基置換生成物の製造方法に関する。
ヒドロキシル基置換生成物は、医農薬中間体として重要である。本発明に関連する製造技術としては、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)とトリフェニルホスフィンを用いる光延反応(特許文献1)や、脱離基のメシルオキシ基に変換した後で求核剤と反応させる方法(非特許文献1)が開示されている。
本出願人は、スルフリルフルオリド(SO22)と有機塩基の組み合わせによるアルコール類の脱ヒドロキシフッ素化反応を開示している(特許文献2)。
特表2007−537300号公報 特開2006−290870号公報 Bioorganic & Medicinal Chemistry(米国),2008年,第16巻,p.578−585
本発明の目的は、ヒドロキシル基置換生成物の工業的な製造方法を提供することにある。そのためには、従来技術の問題点を解決する必要がある。
特許文献1に対しては、大量規模での使用において比較的高価なアゾジカルボン酸ジエチルやトリフェニルホスフィンを用いる必要がある。また、目的化合物との分離が難しい副生成物を量論的に与えるため、カラムクロマトグラフィー等の煩雑な精製を必要とする。
非特許文献1に対しては、反応性中間体を経由する2工程からなる製造方法のため、操作の煩雑さや、それに伴う廃棄物の増加が問題である。
特許文献2に対しては、反応系内で共に生成したフルオロ硫酸エステル類とフッ素アニオン(F-)の置換反応が極めて速いため、本発明の様に、フッ素アニオン以外の求核剤(X-)の存在下に反応を行っても、本発明の目的生成物であるヒドロキシル基置換生成物がフッ素化物に優先して選択的に得られるか否かは全く不明であった(スキーム1を参照)。
Figure 0005476895
この様に、大量規模での使用において安価な反応剤を用いることができ、さらに操作や精製が簡便に行えて廃棄物の少ない、工業的な製造方法が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を踏まえて鋭意検討した結果、アルコール類を有機塩基と、特定の求核剤の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、ヒドロキシル基置換生成物が製造できることを見出した。原料基質としては、光学活性アルコール類が好ましく、光学活性α−ヒドロキシエステル類および光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましく、得られる光学活性ヒドロキシル基置換生成物(特に光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類および光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類)は医農薬中間体として非常に重要である。
本発明の製造条件は、特許文献2で開示した脱ヒドロキシフッ素化反応のものに類似するが、フッ素アニオン以外の特定の求核剤の存在下に反応を行うことによって、求核剤に由来する種々のヒドロキシル基置換生成物がフッ素化物に優先して選択的に得られることを明らかにした。求核剤は、X-で表される1価のアニオンであり、該求核剤(X-)を構成するXとしては、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロオキシ基、シアノ基、チオシアナト基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基が挙げられる。その中でも塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基および置換アリールカルボニルオキシ基が好ましく、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子およびアジド基が特に好ましく、所望の反応が非常に良好に進行する。
この様に、ヒドロキシル基置換生成物の製造方法として極めて有用な方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は[発明1]から[発明4]を含み、ヒドロキシル基置換生成物の工業的な製造方法を提供する。
[発明1]
一般式[1]
Figure 0005476895
で示されるアルコール類を有機塩基と求核剤(X-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[2]
Figure 0005476895
で示されるヒドロキシル基置換生成物を製造する方法。
[式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。水素原子、ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Xは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロオキシ基、シアノ基、チオシアナト基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基を表す]
[発明2]
一般式[3]
Figure 0005476895
で示される光学活性アルコール類を有機塩基と求核剤(Y-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[4]
Figure 0005476895
で示される光学活性ヒドロキシル基置換生成物を製造する方法。
[式中、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、R4とR5は同一の置換基を採らない。ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Yは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基を表す。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する]
[発明3]
一般式[5]
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類を有機塩基と求核剤(Z-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[6]
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類を製造する方法。
[式中、R6およびR7はそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Zは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子またはアジド基を表す。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する]
[発明4]
一般式[7]
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類を有機塩基と求核剤(Z-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[8]
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類を製造する方法。
[式中、R8は2級アミノ基の保護基を表し、R9はカルボキシル基の保護基を表す。Zは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子またはアジド基を表す。2つの*はそれぞれ不斉炭素を表し、反応を通して2位の不斉炭素の立体化学は保持され、4位の不斉炭素の立体化学は反転する]
本発明が従来技術に比べて有利な点を以下に述べる。
本発明で用いるスルフリルフルオリドは、燻蒸剤として広く利用されており、大量規模での使用において安価な反応剤である。また、本発明の製造方法は1工程であり、さらに分離の難しい副生成物を与えないため、操作や精製が簡便に行えて廃棄物が少ない。さらに、反応を通して不斉炭素の立体化学が高度に反転するため、光学純度の高いアルコール類を用いることにより、立体化学が反転したヒドロキシル基置換生成物を高い光学純度で得ることができる。
この様に、本発明は従来技術の問題点を全て解決し、工業的にも実施可能な製造方法である。
本発明のヒドロキシル基置換生成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明は、一般式[1]で示されるアルコール類を有機塩基と求核剤の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、一般式[2]で示されるヒドロキシル基置換生成物を製造する方法である。
一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。その中でも、3つの置換基の内、1つは水素原子で、残る2つは同一の置換基を採らず、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を採る、光学活性アルコール類が好ましく、3つの置換基の内、1つは水素原子で、さらに1つはアルコキシカルボニル基または置換アルコキシカルボニル基で、残る1つはアルキル基または置換アルキル基を採る、光学活性α−ヒドロキシエステル類、および2級アミノ基とカルボキシル基が保護基で保護された光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましい。
アルキル基は、炭素数が1から18の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を採ることができる。本明細書におけるアルケニル基は、前述のアルキル基の、任意の隣り合う2つの炭素原子の単結合が二重結合に、任意の数で置き換わり、該二重結合の立体化学はE体、Z体、またはE体とZ体の混合物を採ることができる[ヒドロキシル基が結合した炭素原子にアルケニル炭素(SP2炭素)が直接、結合しない場合も含まれる]。本明細書におけるアルキニル基は、前述のアルキル基の、任意の隣り合う2つの炭素原子の単結合が三重結合に、任意の数で置き換わることができる[ヒドロキシル基が結合した炭素原子にアルキニル炭素(SP炭素)が直接、結合しない場合も含まれる]。芳香環基は、炭素数が1から18の、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香族炭化水素基、またはピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子または硫黄原子等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基を採ることができる。ホルミル基は−COHで表される。アルキルカルボニル基(−COR)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アリールカルボニル基(−COAr)のアリール基(Ar)は、前述の芳香環基と同じである。アルコキシカルボニル基(−CO2R)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アミノカルボニル基は−CONH2で表される。アルキルアミノカルボニル基(−CONHRまたは−CONR2)のアルキル基(R)は、前述のアルキル基と同じである。アリールアミノカルボニル基(−CONHArまたは−CONAr2)のアリール基(Ar)は、前述の芳香環基と同じである。
該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香環基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基およびアリールアミノカルボニル基は、任意の炭素原子上に、任意の数でさらに任意の組み合わせで、置換基を有することもできる(それぞれ置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換芳香環基、置換アルキルカルボニル基、置換アリールカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基および置換アリールアミノカルボニル基に対応する)。係る置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基等の低級ハロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の低級アルコキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基等の低級ハロアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の低級アルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の低級アルキルチオ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基等の低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基等の不飽和基、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の芳香環基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基等の芳香環オキシ基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリニル基等の脂肪族複素環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基(アミノ酸またはペプチド残基も含む)、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が挙げられる。
なお、本明細書において、次の各用語は、それぞれ次に掲げる意味で用いられる。“低級”とは、炭素数が1から6の、直鎖または枝分れの鎖式、または環式(炭素数が3以上の場合)を意味する。“不飽和基”が二重結合の場合(アルケニル基)は、E体またはZ体の両方の幾何異性を採ることができる。“ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基およびカルボキシル基の保護基”としては、ProtectiveGroups in Organic Synthesis,Third Edition,1999,John Wiley & Sons,Inc.に記載された保護基等を用いることができ
る(2つ以上の官能基を1つの保護基で同時に保護することもできる)。また、“不飽和基”、“芳香環基”、“芳香環オキシ基”および“脂肪族複素環基”には、ハロゲン原子、アジド基、ニトロ基、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、低級ハロアルコキシ基、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ基、シアノ基、低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基の保護体、アミノ基、アミノ基の保護体、チオール基、チオール基の保護体、アルデヒド基、アルデヒド基の保護体、カルボキシル基、カルボキシル基の保護体等が置換することもできる。これらの置換基の中には、有機塩基と求核剤の存在下にスルフリルフルオリドと反応する場合もあるが、好適な反応条件を採用することにより所望の反応を良好に行うことができる。
一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3において、水素原子、ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。
一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3が全て異なる置換基の場合は、ヒドロキシル基が結合した炭素原子は不斉炭素になるが、反応を通して該不斉炭素の立体化学は反転する。目的化合物が光学活性体の場合には、原料基質として光学活性なアルコール類を用いることができる(当然、目的化合物に応じてラセミのアルコール類を用いることもできる)。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類のR4およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、R4とR5は同一の置換基を採らない。これらの置換基は、一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3において記した、それぞれに対応する置換基と同じである。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類のR4およびR5において、ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる(例えば、光学活性ヒドロキシシクロアルカン類等)。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類の*は、不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する。
一般式[3]で示される光学活性アルコール類の不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じてR体またはS体を適宜用いることができる。係る光学純度は、70%ee(エナンチオマー過剰率)以上を用いれば良く、80%ee以上が好ましく、90%ee以上が特に好ましい。
一般式[5]で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類のR6およびR7は、それぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。これらの置換基は、一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3において記した、それぞれに対応する置換基と同じである。
一般式[5]で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類のR6およびR7において、2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子(窒素原子、酸素原子または硫黄原子等)を介する共有結合により環状構造を採ることもできる(例えば、光学活性α−ヒドロキシラクトン類等)。
一般式[5]で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類の*は、不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する。
一般式[5]で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類の不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じてR体またはS体を適宜用いることができる。係る光学純度は、80%ee以上を用いれば良く、90%ee以上が好ましく、95%ee以上が特に好ましい。
本発明の好適な原料基質である、一般式[5]で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類は、Synthetic Communications(米国),1991年,
第21巻,p.2165−2170等を参考にして、市販されている種々の光学活性α−アミノ酸類から同様に製造することができる。また、該エステル類の幾つかは市販されており、実施例で用いた(S)−乳酸のエチルエステルは市販品を利用した。一般式[1]で示されるアルコール類および一般式[3]で示される光学活性アルコール類もその多くが市販されている。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類のR8は、2級アミノ基の保護基を表し、係る保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。その中でもベンジルオキシカルボニル基およびtert−ブトキシカルボニル基が好ましく、tert−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類のR9は、カルボキシル基の保護基を表し、係る保護基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、トリクロロエチル基、フェナシル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基等が挙げられる。その中でもメチル基、エチル基、tert−ブチル基およびベンジル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
本発明の好適な原料基質である、一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類は、第4版 実験化学講座22 有機合成IV 酸・アミノ酸・ペプチド(丸善,1
992年,p.193−309)等を参考にして、市販の光学活性4−ヒドロキシプロリンから製造することができる。また、2級アミノ基の保護基R8とカルボキシル基の保護基R9の組み合わせによっては市販されているものがあり、これらを利用することもできる。また、一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の内、2級アミノ基の保護基R8がtert−ブトキシカルボニル基で、カルボキシル基の保護基R9がメチル基である化合物(2位S配置、4位R配置)は、Tetrahedron Lett
ers(英国),1998年,第39巻,p.1169−1172に従い、光学活性4−ヒドロキシプロリンメチルエステルの塩酸塩から容易に製造できる。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の2つの*は、それぞれ不斉炭素を表し、反応を通して2位の不斉炭素の立体化学は保持され、4位の不斉炭素の立体化学は反転する。
一般式[7]で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類の、2つの不斉炭素の立体化学は、目的化合物の立体化学に応じて2位R配置/4位R配置、2位R配置/4位S配置、2位S配置/4位R配置または2位S配置/4位S配置を適宜用いることができる。係るエナンチオマー過剰率は、80%ee以上を用いれば良く、90%ee以上が好ましく、95%ee以上が特に好ましい。係るジアステレオマー過剰率は、80%de以上を用いれば良く、90%de以上が好ましく、95%de以上が特に好ましい。
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,3,4−コリジン、2,4,5−コリジン、2,5,6−コリジン、2,4,6−コリジン、3,4,5−コリジン、3,5,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセ−5−エン(TBD)、BEMP、tert−Bu−P4等が挙げられる。その中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンが好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンが特に好ましい。これらの有機塩基は単独または組み合わせて用いることができる。
有機塩基の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.6モル以上を用いれば良く、0.7から10モルが好ましく、0.8から5モルが特に好ましい。
求核剤(X-)を構成するXは、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロオキシ基、シアノ基、チオシアナト基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基を表す。その中でも塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基および置換アリールカルボニルオキシ基が好ましく、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子およびアジド基が特に好ましい。ニトロオキシ基はONO2で表され、ホルミルオキシ基はOCOHで表される。アルキルカルボニルオキシ基(OCOR)および置換アルキルカルボニルオキシ基(OCOR’)のアルキル基(R)と置換アルキル基(R’)は、一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3において記した、それぞれに対応する置換基と同じである。アリールカルボニルオキシ基(OCOAr)および置換アリールカルボニルオキシ基(OCOAr’)のアリール基(Ar)と置換アリール基(Ar’)は、一般式[1]で示されるアルコール類のR1、R2およびR3において記した、それぞれに対応する置換基と同じである。
求核剤(X-)は、カウンターカチオンと組み合わせた塩の形で供することができる。もしくはX原子が共有結合した中性分子の形で供することもできる。中性分子の場合も、反応系内ではX-が遊離し、求核剤として機能する。
求核剤(X-)のカウンターカチオン[または中性分子を構成する共有結合基(共有結合の相手方置換基)]としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の1価カチオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の2価カチオン、銅、銀等の11(IB)族遷移金属の1価または2価カチオン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウムの1価カチオン、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等の4級ホスホニウムの1価カチオン、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリルの1価共有結合基、ジフェニルホスホリル等のホスホリルの1価共有結合基等が挙げられる。その中でもアルカリ金属の1価カチオン、アルカリ土類金属の2価カチオン、4級アンモニウムの1価カチオンおよび4級ホスホニウムの1価カチオンが好ましく、アルカリ金属の1価カチオン、アルカリ土類金属の2価カチオンおよび4級アンモニウムの1価カチオンが特に好ましい。これらの求核剤のカウンターカチオン(または中性分子を構成する共有結合基)は単独または組み合わせて用いることができる。4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等は有機合成において相間移動触媒として利用されており、「アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩」と「4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩」の組み合わせは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩との反応を相間移動触媒の存在下に行ったものと同等の効果を得ることができ、本発明の好ましい態様の1つである。
カウンターカチオン(または中性分子を構成する共有結合基)と求核剤(X-)を構成するXの組み合わせとしては、アルカリ金属の1価カチオン/ハロゲン原子、アルカリ土類金属の2価カチオン/ハロゲン原子(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/ハロゲン原子、4級ホスホニウムの1価カチオン/ハロゲン原子、アルカリ金属の1価カチオン/アジド基、アルカリ土類金属の2価カチオン/アジド基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/アジド基、4級ホスホニウムの1価カチオン/アジド基、アルカリ金属の1価カチオン/ホルミルオキシ基、アルカリ土類金属の2価カチオン/ホルミルオキシ基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/ホルミルオキシ基、4級ホスホニウムの1価カチオン/ホルミルオキシ基、アルカリ金属の1価カチオン/アルキルカルボニルオキシ基、アルカリ土類金属の2価カチオン/アルキルカルボニルオキシ基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/アルキルカルボニルオキシ基、4級ホスホニウムの1価カチオン/アルキルカルボニルオキシ基、アルカリ金属の1価カチオン/置換アルキルカルボニルオキシ基、アルカリ土類金属の2価カチオン/置換アルキルカルボニルオキシ基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/置換アルキルカルボニルオキシ基、4級ホスホニウムの1価カチオン/置換アルキルカルボニルオキシ基、アルカリ金属の1価カチオン/アリールカルボニルオキシ基、アルカリ土類金属の2価カチオン/アリールカルボニルオキシ基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/アリールカルボニルオキシ基、4級ホスホニウムの1価カチオン/アリールカルボニルオキシ基、アルカリ金属の1価カチオン/置換アリールカルボニルオキシ基、アルカリ土類金属の2価カチオン/置換アリールカルボニルオキシ基(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/置換アリールカルボニルオキシ基および4級ホスホニウムの1価カチオン/置換アリールカルボニルオキシ基が好ましく、アルカリ金属の1価カチオン/ハロゲン原子、アルカリ土類金属の2価カチオン/ハロゲン原子(2個)、4級アンモニウムの1価カチオン/ハロゲン原子、アルカリ金属の1価カチオン/アジド基、アルカリ土類金属の2価カチオン/アジド基(2個)および4級アンモニウムの1価カチオン/アジド基が特に好ましい。
また、「塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素のハロゲン化水素、アジ化水素、硝酸、シアン化水素、チオシアン酸、ギ酸、脂肪族カルボン酸、置換脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸または置換芳香族カルボン酸(以下、Aとする)」と「本発明で用いる前述の有機塩基(以下、Bとする)」からなる「塩または錯体」も好適な求核剤(X-)として利用できる。該「塩または錯体」のAとBのモル比としては、100:1から1:100の範囲で用いれば良く、50:1から1:50が好ましく、25:1から1:25が特に好ましい。これらの「塩または錯体」は、発熱に注意してAとBを所望の割合で混合することにより容易に調製することができ、特に後述の反応溶媒中で調製して直接、反応に供することが簡便である。当然、市販品を利用することもできる。スキーム1で示したスルホニル化は塩基性条件下で良好に進行するため、Aのモル比がBに比べて格段に高い場合には、前述の有機塩基の使用量を増やして反応系を塩基性に制御することが効果的である。
求核剤(X-)の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.6モル以上を用いれば良く、0.7から10モルが好ましく、0.8から5モルが特に好ましい。
スルフリルフルオリドの使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.7モル以上を用いれば良く、0.8から10モルが好ましく、0.9から5モルが特に好ましい。
反応溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン等のアミド系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その中でもn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、メシチレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリルおよびジメチルスルホキシドが好ましく、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルが特に好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて用いることができる。
反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示されるアルコール類1モルに対して0.05L以上を用いれば良く、0.1から20Lが好ましく、0.2から10Lが特に好ましい。
反応温度は、−60から+100℃の範囲で行えば良く、−40から+80℃が好ましく、−20から+60℃が特に好ましい。
反応時間は、48時間以内の範囲で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、反応終了液を必要に応じて濃縮し、有機溶媒(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル等)で希釈し、水、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸等)の水溶液または無機塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の水溶液で洗浄し(さらに必要に応じて無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し)、回収した有機層を濃縮することにより、一般式[2]で示されるヒドロキシル基置換生成物を粗生成物として得ることができる。粗生成物には4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等が残留する場合もあるが、該塩と目的化合物に対して溶解度差のある有機溶媒(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン等)を用いて抽出することにより、濾過等の簡便な操作で容易に分離することができる。また、シリカやアルミナ等のショートカラムも該塩の除去に効果的である。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い化学純度に精製することができる。目的化合物であるヒドロキシル基置換生成物が不安定な場合は、回収した有機層を直接、次反応に供することができる。
本発明においては、アルコール類を有機塩基と求核剤の存在下にスルフリルフルオリドと反応させることにより、ヒドロキシル基置換生成物を製造することができる(態様1)。
態様1の中でも、原料基質として、3つの置換基の内、1つは水素原子で、残る2つは同一の置換基を採らず、それぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を採る、光学活性アルコール類が好ましく、求核剤のXとしては、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基および置換アリールカルボニルオキシ基が好ましい(態様2)。本態様の原料基質と求核剤の組み合わせにより、所望の反応が非常に良好に進行し、得られる光学活性ヒドロキシル基置換生成物は医農薬中間体として非常に重要である。
態様2の中でも、原料基質として、3つの置換基の内、1つは水素原子で、さらに1つはアルコキシカルボニル基または置換アルコキシカルボニル基で、残る1つはアルキル基または置換アルキル基を採る、光学活性α−ヒドロキシエステル類が特に好ましく、求核剤のXとしては、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子およびアジド基が特に好ましい(態様3)。本態様の原料基質と求核剤の組み合わせにより、所望の反応が極めて良好に進行し、得られる光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類は医農薬中間体として極めて重要である。
また、態様2の中でも、原料基質として、2級アミノ基とカルボキシル基が保護基で保護された光学活性4−ヒドロキシプロリン類が特に好ましく、求核剤のXとしては、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子およびアジド基が特に好ましい(態様4)。本態様の原料基質と求核剤の組み合わせにより、所望の反応が極めて良好に進行し、得られる光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類は医農薬中間体として極めて重要である。
[実施例]
実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。Me、Et、BocおよびAcは、それぞれメチル基、エチル基、tert−ブトキシカルボニル基、アセチル基を表す。
[実施例1]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類(S体、98%ee以上)4.73g(40.0mmol、1.00eq)、アセトニトリル40mL(1.00M)、ジイソプロピルエチルアミン4.65g(36.0mmol、0.90eq)と臭化テトラブチルアンモニウム11.6g(36.0mmol、0.90eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド8.16g(80.0mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間50分攪拌した。反応混合液の一部を酢酸エチルで希釈して水洗し、ガスクロマトグラフィー分析を行った。その結果、変換率は81%であり、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類(R体)の面積百分率は73.8%であり、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物の面積百分率は2.3%であった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類とフッ素化物の面積百分率の比は97:3であった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類(R体)の光学純度は91.8%eeであった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類の1H−NMRを下に示す(4級アンモニウム塩は殆ど含まれていなかった)。
1H−NMR[基準物質;(CH34Si、重溶媒;CDCl3]、δ ppm;1.
30(t、7.2Hz、3H)、1.83(d、6.8Hz、3H)、4.23(q、7.2Hz、2H)、4.36(q、6.8Hz、1H)。
[実施例2]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類(S体、98%ee以上)4.73g(40.0mmol、1.00eq)、アセトニトリル40mL(1.00M)、トリエチルアミン4.86g(48.0mmol、1.20eq)、臭化テトラメチルアンモニウム6.16g(40.0mmol、1.00eq)と臭化テトラブチルアンモニウム13.3g(41.3mmol、1.03eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド8.16g(80.0mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間攪拌した。反応混合液の一部を酢酸エチルで希釈してシリカショートカラム(原点除去)を通し、ガスクロマトグラフィー分析を行った。その結果、変換率は100%であり、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類(R体)の面積百分率は94.5%であり、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物の面積百分率は1.8%であった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類とフッ素化物の面積百分率の比は98:2であった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類(R体)の光学純度は88.3%eeであった。光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類の1H−NMRは実施例1と同様であった(4級アンモニウム塩は殆ど含まれていなかった)。
[実施例3]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)5.00g(20.4mmol、1.00eq)、アセトニトリル20mL(1.02M)、トリエチルアミン4.13g(40.8mmol、2.00eq)と臭化テトラブチルアンモニウム13.1g(40.6mmol、1.99eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド4.16g(40.8mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間30分攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を約1/3量に減圧濃縮し、トルエン100mLで希釈し、水50mLで6回洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類(2位S配置/4位S配置)の粗生成物を6.40g得た。収率は定量的であった。粗生成物の1Hおよび19F−NMR
分析より、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物は全く含まれていなかった(3モル%未満)。光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の1H−NMRを下に示す(4級アンモニウム塩は殆ど含まれていなかった)。
1H−NMR[基準物質;(CH34Si、重溶媒;CDCl3]、δppm;1.42(s、9Hの一部)、1.47(s、9Hの一部)、2.42(m、1H)、2.84(m、1H)、3.73(m、1H)、3.77(s、3H)、4.06(m、1H)、4.20−4.50(m、2H)。
上記式で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類は、特許文献1およびJournal of Medicinal Chemistry(米国),2006年,第49巻,p.307−317等を参考にして、下記式
Figure 0005476895
で示されるアジド体(2位S配置/4位R配置)を経て、下記式
Figure 0005476895
で示されるアミノ体(2位S配置/4位R配置)に変換することができる。
[実施例4]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)49.1g(200mmol、1.00eq)、トルエン195mL(1.03M)、アセトニトリル200mL(1.00M)、トリエチルアミン40.5g(400mmol、2.00eq)と臭化テトラブチルアンモニウム133g(413mmol、2.07eq)を加え、食塩氷冷下でスルフリルフルオリド40.8g(400mmol、2.00eq)をボンベより吹き込み、食塩氷冷下で2時間攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を水300mLで洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類(2位S配置/4位S配置)の粗生成物を145g得た。粗生成物の1Hおよび19F−NMR分析より、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物は全く含まれていなかった(3モル%未満)。粗生成物には4級アンモニウム塩が相当量含まれていた(目的化合物と4級アンモニウム塩のモル比は53:47であった)。粗生成物68.4g(94.3mmolとする)にトルエン51mL(1.85M)とn−ヘプタン120mL(0.786M)を加え、室温で2時間攪拌した。結晶(4級アンモニウム塩)を濾過し、残渣を少量のn−ヘプタンで洗浄し、濾液を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、上記式で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の精製品を28.4g回収した。精製品の1H−NMR分析より4級アンモニウム塩は完全に除去できていた(3モル%未満)。収率は98%であった。光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の1H−NMRは実施例3と同様であった。
上記式で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の精製品11.8g(38.3mmol、1.00eq)に、N,N−ジメチルホルムアミド77mL(0.497M)とアジ化ナトリウム2.74g(42.1mmol、1.10eq)を加え、室温で2日間攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応
終了液を酢酸エチル200mLで希釈し、水100mLで3回洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 0005476895
で示されるアジド体(2位S配置/4位R配置)の粗生成物を12.5g得た。粗生成物の1H−NMR分析(定量)より目的化合物は9.16g含まれていた(N,N−ジメチ
ルホルムアミドが相当量含まれていた)。収率は89%であった。アジド体の1H−NM
Rを下に示す[4位エピマー(4位S配置)は全く含まれていなかった(3モル%未満)]。
1H−NMR[基準物質;(CH34Si、重溶媒;CDCl3]、δ ppm;1.42(s、9Hの一部)、1.47(s、9Hの一部)、2.18(m、1H)、2.33(m、1H)、3.42−3.84(m、2H)、3.74(s、3H)、4.20(m、1H)、4.38(m、1H)。
上記式で示されるアジド体の粗生成物12.5g(33.9mmolとする、1.00eq)に、メタノール34mL(0.997M)と5%パラジウム/活性炭2.89g(50%含水品、0.679mmol、0.02eq)を加え、水素ガス(H2)の圧力を0.15MPaに設定し、室温で終夜攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換
率は100%であった。反応終了液をセライト濾過し、濾液に35%塩酸3.53g(33.9mmol、1.00eq)を加え、室温で15分間攪拌し、減圧濃縮し、トルエン100mLで2回共沸脱水し、真空乾燥することにより、下記式
Figure 0005476895
で示されるアミノ体(2位S配置/4位R配置)の塩酸塩の粗生成物を11.1g得た(N,N−ジメチルホルムアミドとトルエンが少量含まれていた)。収率は定量的であった。塩酸塩の粗生成物全量(33.9mmolとする)に、酢酸エチル30mL(1.13M)、n−ヘキサン30mL(1.13M)とイソプロパノール6mL(5.65M)を加えて加熱溶解し、室温まで降温し、析出した結晶を濾過し、少量のn−ヘキサンで洗浄し、真空乾燥することにより、上記式で示されるアミノ体の塩酸塩の精製品を3.95g回収した。精製品のガスクロマトグラフィー純度(フリー塩基)は99.2%であった。再結晶までの収率は41%であった(再結晶条件は非最適化)。アミノ体の塩酸塩とフリー塩基の1H−NMRを下に示す。
塩酸塩)1H−NMR[基準物質;(CH34Si、重溶媒;CD3OD]、δppm;1.42(s、9Hの一部)、1.47(s、9Hの一部)、2.39(m、2H)、3.54(m、1H)、3.75(s、3Hの一部)、3.76(s、3Hの一部)、3.80(m、1H)、3.93(m、1H)、4.45(m、1H)/NH2とHClのプロトンは帰属できず。
フリー塩基)1H−NMR[基準物質;(CH34Si、重溶媒;CDCl3]、δ ppm;1.41(s、9Hの一部)、1.46(s、9Hの一部)、1.91−2.19(m、2H)、3.06−3.24(m、1H)、3.65−3.76(m、2H)、3.73(s、3H)、4.39(m、1H)/NH2のプロトンは帰属できず。
[実施例5]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)736mg(3.00mmol、1.00eq)、アセトニトリル3mL(1.00M)、トリエチルアミン610mg(6.03mmol、2.01eq)とテトラブチルアンモニウムアジド1.71g(6.01mmol、2.00eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド610mg(5.98mmol、1.99eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間45分攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で5回洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥し、残渣をシリカショートカラム(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で処理することにより、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類(2位S配置/4位S配置)の粗生成物を600mg得た。粗生成物の1Hおよび19F−NMR分析より、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物が含まれていた。光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類とフッ素化物のモル比は57:43であった。よって、光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の収率は44%であった。また、光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類に4位ジアステレオマーは含まれていなかった。
[実施例6]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)736mg(3.00mmol、1.00eq)、アセトニトリル3mL(1.00M)、トリエチルアミン610mg(6.03mmol、2.01eq)、テトラブチルアンモニウムアジド1.71g(6.01mmol、2.00eq)とアジ化ナトリウム390mg(6.00mmol、2.00eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド610mg(5.98mmol、1.99eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で1時間攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。また、反応混合液のガスクロマトグラフィー分析より、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類(2位S配置/4位S配置)と、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物の面積百分率の比は84:16であった。また、光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類に4位ジアステレオマーは含まれていなかった。
[実施例7]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)736mg(3.00mmol、1.00eq)、アセトニトリル3mL(1.00M)、トリエチルアミン610mg(6.03mmol、2.01eq)とテトラブチルアンモニウムチオシアネート1.80g(5.99mmol、2.00eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド610mg(5.98mmol、1.99eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間40分攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。また、反応混合液のガスクロマトグラフィー分析より、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類と、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物の面積百分率の比は70:30であった。また、光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類に4位ジアステレオマーが含まれていた。ジアステレオマー比[2位S配置/4位S配置(推定):2位S配置/4位R配置(推定)]は79:21であった。
[実施例8]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類(2位S配置/4位R配置、98%ee以上、98%de以上)736mg(3.00mmol、1.00eq)、アセトニトリル3mL(1.00M)、トリエチルアミン610mg(6.03mmol、2.01eq)とテトラブチルアンモニウムアセテート1.81g(6.00mmol、2.00eq)を加え、氷冷下でスルフリルフルオリド610mg(5.98mmol、1.99eq)をボンベより吹き込み、氷冷下で2時間30分攪拌した。反応混合液の1H−NMR分析より変換率は100%であった。反応終了液を酢酸エチルで希釈し、水で5回洗浄し、回収した有機層を減圧濃縮し、真空乾燥し、残渣をn−ヘキサンで攪拌抽出(固形分のテトラブチルアンモニウム塩を濾過分離)することにより、下記式
Figure 0005476895
で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の粗生成物を572mg得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー分析より、下記式
Figure 0005476895
で示されるフッ素化物が含まれていた。光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類とフッ素化物の面積百分率の比は98:2であった。よって、面積百分率の比をモル比と仮定すると光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類の収率は65%であった。また、光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類に4位ジアステレオマーが含まれていた。ジアステレオマー比(2位S配置/4位S配置:2位S配置/4位R配置)は72:28であった。

Claims (4)

  1. 一般式[1]
    Figure 0005476895
    で示されるアルコール類を有機塩基と求核剤(X-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[2]
    Figure 0005476895
    で示されるヒドロキシル基置換生成物を製造する方法。
    [式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、芳香環基、置換芳香環基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表す。水素原子、ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Xは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ニトロオキシ基、シアノ基、チオシアナト基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基を表す]
  2. 一般式[3]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性アルコール類を有機塩基と求核剤(Y-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[4]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性ヒドロキシル基置換生成物を製造する方法。
    [式中、R4およびR5はそれぞれ独立にアルキル基、置換アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、置換アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、置換アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、置換アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、置換アリールアミノカルボニル基またはシアノ基を表し、R4とR5は同一の置換基を採らない。ホルミル基、アミノカルボニル基およびシアノ基以外の2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Yは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、アジド基、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、置換アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基または置換アリールカルボニルオキシ基を表す。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する]
  3. 一般式[5]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性α−ヒドロキシエステル類を有機塩基と求核剤(Z-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[6]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性α−ヒドロキシル基置換エステル類を製造する方法。
    [式中、R6およびR7はそれぞれ独立にアルキル基または置換アルキル基を表す。2つの置換基は炭素原子同士またはヘテロ原子を介する共有結合により環状構造を採ることもできる。Zは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子またはアジド基を表す。*は不斉炭素を表し、反応を通して不斉炭素の立体化学は反転する]
  4. 一般式[7]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性4−ヒドロキシプロリン類を有機塩基と求核剤(Z-)の存在下にスルフリルフルオリド(SO22)と反応させることにより、一般式[8]
    Figure 0005476895
    で示される光学活性4−ヒドロキシル基置換プロリン類を製造する方法。
    [式中、R8は2級アミノ基の保護基を表し、R9はカルボキシル基の保護基を表す。Zは塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子またはアジド基を表す。2つの*はそれぞれ不斉炭素を表し、反応を通して2位の不斉炭素の立体化学は保持され、4位の不斉炭素の立体化学は反転する]
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