JP2010117615A - 感光性組成物および焼成体の形成方法並びにフラットディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

感光性組成物および焼成体の形成方法並びにフラットディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い粘度を有すると共に、現像残渣の発生を抑制することのできる感光性組成物を提供することにある。また、良好な形状のパターンを有する焼成体を容易に得ることのできる焼成体の形成方法および良好な形状の構成要素を容易に形成することのできるフラットディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
【解決手段】感光性組成物は、(A)少なくともガラス粉末を含有する無機粒子、(B)アルカリ可溶性重合体、(C)特定の多官能アクリレート化合物および(D)光重合開始剤を含有してなることを特徴とする。また、この感光性組成物は、官能基数2〜3のアクリレート化合物を含有することが好ましい。焼成体の形成方法およびフラットディスプレイパネルの製造方法においては、上記の感光性組成物を材料として用いることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性組成物および焼成体の形成方法並びにフラットディスプレイパネルの製造方法に関し、更に詳しくは、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイのディスプレイパネルの構成要素を形成するための材料として好適に用いることのできる感光性組成物、および当該感光性組成物によってパターンを有する焼成体を形成するための焼成体の形成方法、並びに当該感光性組成物を材料として用いた構成要素を備えたフラットディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、平板状の蛍光表示体として、プラズマディスプレイが注目されている。
このプラズマディスプレイは、ディスプレイパネルとしてフラットディスプレイパネルを有するものである。
図1は、フラットディスプレイパネルの一種である交流型のプラスマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう。)の断面形状を示す模式図である。同図において、1および2は対向配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔壁3によりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透明電極4の抵抗を下げる目的で、当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およびバス電極5を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体層、9はアドレス電極6は被覆するようガラス基板2の表面に形成された誘電体層、Pは例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。
また、カラーPDPにあっては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板1と誘電体層8との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
ブラックマトリックスが設けられたPDPにおいて、このブラックマトリックスを形成する方法としては、例えば黒色顔料、ガラス粉末、アルカリ可溶性重合体、光重合性単量体および光重合開始剤を含有するペースト状の感光性組成物を調製し、この感光性組成物をスクリーン印刷法によってガラス基板1の表面に塗布して乾燥することにより感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層に対して、所要のパターンのフォトマスクを介して光を照射することによって露光処理した後に現像処理することによってパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、感光性組成物の焼成体よりなる層としてブラックマトリックスを形成するフォトリソグラフィー法が知られている。
このようにフォトリソグラフィー法によってPDPの構成要素を形成するために用いられる感光性組成物においては、光重合性単量体として、光重合開始剤の存在下における露光によって重合することにより、現像液(アルカリ現像液)に対する溶解性が減少してアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性となり、露光部と未露光部との現像液に対するコントラストが付けやすく、従って十分な現像マージンを得ることができるとの観点から、多官能アクリレート化合物などが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような感光性組成物においては、塗工性などの観点から組成物自体の粘度を高くしようとする場合には、基板上に形成された感光性樹脂層に対して現像処理を行ってパターンを形成する過程において、基板表面における未露光部が形成されていた部分に現像残渣が生じてしまう、という問題がある。
特開2006−8792号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、高い粘度を有すると共に、現像残渣の発生を抑制することのできる感光性組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、良好な形状のパターンを有する焼成体を容易に得ることのできる焼成体の形成方法を提供することにある。
さらに、本発明の更に他の目的は、良好な形状の構成要素を容易に形成することのできるフラットディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
本発明の感光性組成物は、
(A)少なくともガラス粉末を含有する無機粒子、
(B)アルカリ可溶性重合体、
(C)下記一般式(1)で表わされる化合物および
(D)光重合開始剤
を含有してなることを特徴とする。
Figure 2010117615
〔式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、Xは、−O−基、−O(CH2 CH2 a O−基(但し、aは1〜8の整数である。)または−O(CH2 CH2 CH2 b O−基(但し、bは1〜8の整数である。)を示し、Yは、メチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基、無置換または置換基を有するフェニレン基、および無置換または置換基を有するシクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基においてその一部が不飽和結合である基よりなる群から選ばれる基を示す。nは、1〜4の整数である。〕
本発明の感光性組成物は、官能基数2〜3のアクリレート化合物を含有することが好ましい。
本発明の感光性組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースを、組成物全体に対して、0.1〜10質量%含有することが好ましい。
本発明の焼成体の形成方法は、前記の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層に対して露光処理を行いパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、パターンを有する焼成体を得ることを特徴とする。
本発明のフラットディスプレイパネルの製造方法は、前記の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層に対して露光処理を行いパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる構成要素を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明の感光性組成物によれば、光重合性単量体として、特定の構造を有する多官能アクリレート化合物が含有されており、当該特定の構造を有する多官能アクリレート化合物が、官能基としてカルボン酸基を有するものであって現像液に対して良好な溶解性を有すると共に、無機粒子を構成するガラス粉末との相互作用に基づいて組成物の粘度を大きくすることのできるものであるため、高い粘度を有すると共に、感光性組成物よりなる感光性樹脂層を現像処理する場合において、現像残渣の発生を抑制することができる。
また、本発明の感光性組成物においては、光重合性単量体として、特定の構造を有する多官能アクリレート化合物と共に、2〜3個の官能基を有する他のアクリレート化合物が含有されていることにより、この2〜3個の官能基を有する他のアクリレート化合物により、特定の構造を有する多官能アクリレート化合物の作用によって組成物の粘度が過剰に大きくなることのないように調整することができるため、高い粘度を有すると共に、感光性組成物よりなる感光性樹脂層を現像処理する場合において、現像残渣の発生を十分に抑制することができる。
本発明の焼成体の形成方法によれば、その構成材料として、上記の感光性組成物が用いられるため、形成過程の当該感光性組成物を基板上に塗布する際に良好な塗工性が得られると共に、現像処理において、現像残渣の発生が抑制されることから、良好な形状のパターンを有する焼成体を容易に得ることができる。
本発明のフラットディスプレイパネルの製造方法によれば、その構成要素の形成材料として、上記の感光性組成物が用いられるため、当該構成要素の形成過程の当該感光性組成物を基板上に塗布する際に良好な塗工性が得られると共に、現像処理において、現像残渣の発生が抑制されることから、所望の形状の構成要素を容易に形成することができる。
以下、本発明の感光性組成物について詳細に説明する。
本発明の感光性組成物は、少なくともガラス粉末を含有する無機粒子よりなるA成分と、アルカリ可溶性重合体よりなるB成分と、上記一般式(1)で表わされる化合物(以下、「特定多官能アクリレート化合物」ともいう。)よりなるC成分と、光重合性開始剤よりなるD成分とを含有してなるものである。
この感光性組成物は、例えばPDP(プラスマディスプレイパネル)などのフラットパネルディスプレイのディスプレイパネル(フラットディスプレイパネル)の構成要素を形成するための材料として好適に用いられるものである。
〔A成分〕
A成分として用いられる無機粒子は、ガラス粉末を必須成分とするものであるが、本発明の感光性組成物により形成される焼成体の用途(フラットディスプレイパネルの構成要素の種類)に応じて適宜選択することができる。
ここに、フラットディスプレイパネルを構成する「誘電体」または「隔壁」を形成するための組成物に含有される無機粒子は、ガラス粉末のみよりなるものであることが好ましい。
A成分として用いられるガラス粉末としては、熱軟化点が300〜650℃、好ましくは350〜600℃の低融点ガラス粉末を挙げることができる。
ガラス粉末の熱軟化点が上記範囲よりも低い場合には、感光性組成物によって形成される感光性樹脂層の焼成工程において、樹脂(アルカリ可溶性重合体)などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうことに起因して、形成される部材中に有機物質の一部が残留し、その結果、誘電体層や隔壁などの部材が着色されて、その光透過率が低下するおそれがある。一方、ガラス粉末の熱軟化点が上記範囲を超える場合には、感光性組成物によって形成される感光性樹脂層を高温で焼成する必要があるために、当該感光性樹脂層を形成している基板(例えばガラス基板)に歪みなどが発生しやすい。
ガラス粉末としては、例えば、(1)Bi2 3 −ZnO−B2 3 系、(2)Bi2 3 −SiO2 −B2 3 系、(3)Bi2 3 −SiO2 −B2 3 −Li2 O系、(4)Bi2 3 −SiO2 −B2 3 −Na2 O系、(5)Bi2 3 −SiO2 −B2 3 −K2 O系、(6)Bi2 3 −SiO2 −Li2 O系、(7)Bi2 3 −SiO2 −Na2 O系、(8)Bi2 3 −SiO2 −K2 O系、(9)Bi2 3 −SiO2 −B2 3 −ZnO系、(10)SiO2 −B2 3 −Li2 O系、(11)SiO2 −B2 3 −Na2 O系、(12)SiO2 −B2 3 −K2 O系、(13)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −MgO系、(14)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −CaO系、(15)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −MaO系、(16)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −SrO系、(17)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −Li2 O系、(18)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −Na2 O系、(19)SiO2 −B2 3 −ZrO2 −K2 O系、(20)Al2 3 −B2 3 −SiO2 −BaO−CaO−Li2 O−MgO−Na2 O−SrO−TiO2 −ZnO系、(21)Al2 3 −B2 3 −SiO2 −BaO−CaO−Li2 O−MgO−Na2 O−TiO2 −ZnO系、(22)Al2 3 −B2 3 −SiO2 −BaO−CaO−Li2 O−MgO−Na2 O−Fe2 3 −TiO2 −ZnO系などのガラス粉末を挙げることができる。
フラットディスプレイパネルを構成する「誘電体」または「隔壁」を形成するための組成物において、A成分としての無機粒子を構成するガラス粉末は、その形状が特に限定されるものではない。
また、ガラス粉末としては、1種類を単独でまたは2種以上を組み合わせて、すなわち例えば異なる組成を有するもの、異なる熱軟化点を有するもの、異なる形状を有するもの、異なる平均粒子径を有するものなどを組み合わせて使用することができる。
ガラス粉末は、より高精細化のパターニングを得るために、酸化珪素を5〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、更に10〜30質量%の範囲で含有することがより好ましい。酸化珪素は、ガラスの緻密性、強度および安定性を向上させる働きを有すると共に、ガラスの低屈折率化にも効果がある。また、熱膨張係数をコントロールすることによってその表面に感光性樹脂層を形成している基板としてのガラス基板とのミスマッチによる剥離等を防ぐこともできる。
酸化珪素の含有量が5質量%以上であることにより、熱膨張係数を小さく抑え、感光性樹脂層を形成するための基板としてガラス基板を用いた場合には、このガラス基板に焼き付けた時に起こるクラックの発生を低減することができるとともに、屈折率を低く抑えることができる。また、酸化珪素の含有量が50質量%以下であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く抑え、感光性樹脂層を形成するための基板としてガラス基板を用いた場合には、このガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
また、ガラス粉末は、酸化ホウ素を10〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、更に20〜45質量%の範囲で含有することがより好ましい。
酸化ホウ素の含有量が10質量%以上であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く抑え、感光性樹脂層を形成するための基板としてガラス基板を用いた場合には、このガラス基板への焼き付けを容易にすることができる。また、酸化ホウ素の含有量が50質量%以下であることにより、ガラスの化学的安定性を維持することができる。なお、酸化ホウ素は低屈折率化にも有効である。
また、ガラス粉末は、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を、その合計量が1〜30質量%の範囲となるように含有することが好ましく、更に2〜20質量%の範囲となるように含有することがより好ましい。これらの成分は、熱膨張係数の調整に有効であり、焼成時において感光性樹脂層を形成している基板の変形を防止する効果、電気絶縁性を付与する効果、形成される部材(例えば、隔壁)の安定性および緻密性を向上する効果などを有する。
これらの含有量が1質量%以上であることにより、ガラスの結晶化による失透を防ぐこともでき、また、30質量%以下であることにより、熱膨張係数および屈折率を小さく抑えることができるとともに、化学的安定性を維持することができる。
また、ガラス粉末は、酸化アルミニウムを1〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。酸化アルミニウムは、ガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、感光性組成物のポットライフ延長にも有効である。
酸化アルミニウムの含有量が前記範囲内であることにより、ガラス転移点および荷重軟化点を低く保ち、感光性樹脂層を形成している基板への密着性を向上することができる。
また、ガラス粉末は、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムのうち少なくとも1種を、その合計量が1〜20質量%となるように含有することが好ましい。これらの成分は、ガラスを溶融しやすくするとともに、熱膨張係数を制御する効果を有する。
これらの含有量が1質量%以上であることにより、ガラスの結晶化による失透を防ぐことができ、また、20質量%以下であることにより、ガラスの化学的安定性を維持することができる。
ガラス粉末は、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムのアルカリ金属酸化物を1〜20質量%の範囲で含有することが好ましい。アルカリ金属酸化物は、ガラスの熱軟化点および熱膨張係数のコントロールを容易にするとともに、ガラス粉末としての屈折率を低くする効果を有する。アルカリ金属酸化物は、イオンのマイグレーションや拡散を促進することがあるので、合計量を20質量%以下とすることにより、ガラスの化学的安定性を維持するとともに熱膨張係数を小さく抑えることができる。
ガラス粉末は、上記成分に加えて、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等を含有してもよい。
ガラス粉末の平均粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、パターン形成上、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。また、ガラス粉末の比表面積は0.1〜300m2 /gであることが好ましい。
このようなガラス粉末は、フラットディスプレイパネルの誘電体および隔壁以外の構成要素(例えば電極、抵抗体、蛍光体およびカラーフィルター・ブラックマトリックス等)を形成するための組成物中に含有されていてもよい。
この場合のガラス粉末の含有量は、用途によって異なるが、ガラス粉末を含む無機粒子全量100質量部に対して、通常、60〜90質量部であり、好ましくは70〜90質量部である。
フラットディスプレイパネルを構成する「電極」を形成するための組成物に含有されるガラス粉末以外の無機粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、CuおよびCrなどの金属よりなる導電性粒子を挙げることができる。
これらの中では、大気中で焼成した場合においても酸化による導電性の低下が生じず、比較的安価なAgを用いることが好ましい。
フラットディスプレイパネルを構成する「電極」を形成するための組成物において、A成分としての無機粒子を構成する導電性粒子は、その形状が特に限定されるものではなく、例えば、粒状、球状、フレーク状などであってもよく、さらに、そのすべてが同一形状を有するものであっても、異なる形状を有する2 種類以上を組み合わせて用いることもできる。
また、導電性粒子の平均粒径は、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μmであり、異なる平均粒径を有する2 種類以上を組み合わせて用いることもできる。
このようにして、A成分としての無機粒子として、ガラス粉末と共に導電性粒子を用いる場合においては、ガラス粉末の含有割合は、通常、無機粒子の全量100質量部に対して、通常、45〜90質量部であり、好ましくは50〜90質量部、さらに好ましくは55〜86質量部である。
また、フラットディスプレイパネルを構成する「電極」のうちの「透明電極」を形成するための組成物に含有される無機粒子としては、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)、並びに、Al、Co、Fe、In、SnおよびTiから選ばれた1種もしくは2種以上の金属を含有する酸化亜鉛微粒子などを挙げることができる。
ここに、「透明電極」を構成要素として備えたフラットディスプレイパネルとしては、LCD(リキッドクリスタルディスプレイ)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、プリント回路基板、多層回路基板、モジュール、インダクタ、LSI(ラージスケールインテグレーション)などが挙げられる。
フラットディスプレイパネルを構成する「抵抗体」を形成するための組成物に含有されるガラス粉末以外の無機粒子としては、RuO2 などからなる粒子を挙げることができる。
フラットディスプレイパネルを構成する「蛍光体」を形成するための組成物に含有される無機粒子としては、赤色用蛍光物質、緑色用蛍光物質および青色用蛍光物質などの各色の蛍光物質などからなる粒子を挙げることができる。
ここに、赤色用蛍光物質としては、例えばY2 3 :Eu3+、Y2 SiO5 :Eu3+、Y3 Al5 12:Eu3+、YVO4 :Eu3+、(Y,Gd)BO3 :Eu3+、Zn3 (PO4 2 :Mnなどが挙げられる。
緑色用蛍光物質としては、Zn2 SiO4 :Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO4 :(Ce,Tb)、Y3 (Al,Ga)5 12:Tbなどが挙げられる。
青色用蛍光物質としては、Y2 SiO5 :Ce、BaMgAl1017:Eu2+、BaMgAl1423:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO4 6 l2:Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどが挙げられる。
フラットディスプレイパネルを構成する「カラーフィルター」を形成するための組成物に含有されるガラス粉末以外の無機粒子としては、Fe2 3 、Pb3 4 などの赤色用物質、Cr2 3 などの緑色用物質、2(Al2 Na2 Si3 10)・Na2 4 などの青色用物質などからなる粒子を挙げることができる。
フラットディスプレイパネルを構成する「ブラックマトリックス」を形成するための組成物に含有されるガラス粉末以外の無機粒子としては、例えばCo、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Ti、Znなどの金属およびその酸化物、複合酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、珪化物、ホウ化物やカーボンブラック、グラファイトなどからなる粒子を挙げることができ、これらの中では、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、NiおよびTiの群から選ばれた金属粒子、金属酸化物粒子および複合酸化物粒子が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、その平均粒径としては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、特に好ましくは0.1〜2μmである。
このようにして、A成分としての無機粒子として、ガラス粉末と共にこれらのガラス粉末以外の粒子を用いる場合においては、ガラス粉末の含有割合は、通常、無機粒子の全量100質量部に対して、通常45〜90質量部であり、好ましくは50〜90質量部、さらに好ましくは55〜86質量部である。
〔B成分〕 B成分として用いられるアルカリ可溶性重合体は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものである。
アルカリ可溶性重合体の具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性重合体のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体などのアクリル樹脂を挙げることができる。
モノマー(イ):
モノマー(イ)は、カルボキシル基含有モノマー類であって、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
モノマー(ロ):
モノマー(ロ)は、OH基含有モノマー類であって、その具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などが挙げられる。
モノマー(ハ):
モノマー(ハ)は、モノマー(イ)またはモノマー(ロ)と共重合可能なモノマー類であって、その具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;メチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレートなどのα−ヒドロキシメチル基を有するアクリレート;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類などが挙げられる。
上記のモノマー(イ)およびモノマー(ハ)の共重合体や、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、モノマー(イ)に由来する共重合成分の存在により、アルカリ可溶性を有するものとなる。これらのうちでは、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、A成分である無機粒子の分散安定性や後述するアルカリ現像液に対する溶解性が良好な点で、特に好ましい。
このような共重合体におけるモノマー(イ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%であり、モノマー(ロ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜60質量%、特に好ましくは5〜50質量%である。
本発明の感光性組成物において用いられるアルカリ可溶性重合体として特に好ましいものとしては、メタクリル酸/(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体や、メタクリル酸/コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)/(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体などが挙げられる。
アルカリ可溶性重合体の分子量としては、重量平均分子量Mwが5,000〜5,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000である。
また、本発明の感光性組成物におけるアルカリ可溶性重合体の含有割合としては、無機粒子100質量部に対して、通常、5〜70質量部であり、好ましくは、5〜50質量部、特に好ましくは、10〜40質量部である。
〔C成分〕
C成分として用いられる特定多官能アクリレート化合物は、光重合性単量体であり、後述する光重合開始剤の存在下に、露光によって重合することにより、現像液に対する溶解性が減少する、すなわちアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性となる物質である。このような露光によりアルカリ不溶性または難溶性となる物質を用いることにより、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対するコントラストを付けやすくなり、パターンの高精細化やパターン形状をコントロールしやすくなるという利点がある。
特定多官能アクリレート化合物を示す一般式(1)において、nは1〜4の整数であり、R1 は、水素原子またはメチル基を示すものである。
また、一般式(1)において、Xは、−O−基、−O(CH2 CH2 a O−基(但し、aは1〜8の整数である。)または−O(CH2 CH2 CH2 b O−基(但し、bは1〜8の整数である。)を示すものである。
また、一般式(1)において、Yは、メチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基、無置換または置換基を有するフェニレン基、および無置換または置換基を有するシクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基においてその一部が不飽和結合である基 (以下、「不飽和ヘキシレン基」ともいう。)よりなる群から選ばれる基である。
基Yを示す炭素数2〜8のアルキレン基としては、直鎖および分岐鎖のいずれであってもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられるが、このうちでは、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。
基Yを示す炭素数2〜8のアルケニレン基としては、直鎖および分岐鎖のいずれであってもよく、例えばビニル基、1−メチリデン−エチレン基(−C(=CH2 )CH2 −)などが挙げられる。
基Yを示す不飽和結合シクロヘキシレン基としては、例えばシクロヘキセニレン基などが挙げられる。
また、フェニレン基、シクロヘキシレン基、不飽和シクロヘキシレン基に置換し得る基としては、例えばメチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基などが挙げられる。
そして、基Yは、メチレン基または炭素数2〜4のアルキレン基であること好ましく、メチレン基であることが好ましい。
このような特定多官能アクリレート化合物の好ましい具体例としては、下記式(1−1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2010117615
また、本発明の感光性組成物における特定多官能アクリレート化合物の含有割合としては、通常、無機粒子100質量部に対して、1〜50質量部であり、好ましくは、1〜30質量部、特に好ましくは、5〜20質量部である。
特定多官能アクリレート化合物の含有割合が過大である場合には、基板上に形成された感光性樹脂層に対して現像処理を行ってパターンを形成する過程において、基板表面における未露光部が形成されていた部分に現像残渣が生じてしまうおそれがある。
一方、特定多官能アクリレート化合物の含有割合が過小である場合には、露光部と未露光部との現像液に対するコントラストが付けにくく、十分な現像マージンが得られないおそれがある。
〔D成分〕 D成分として用いられる光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の感光性組成物における光重合開始剤の含有割合としては、特定多官能性アクリレート化合物100質量部に対して、通常、5〜100質量部であり、好ましくは、10〜70質量部である。
〔E成分〕
本発明の感光性組成物には、E成分として、官能基数2〜3のアクリレート化合物 (以下、特定2〜3官能アクリレート化合物」ともいう。)が含有されていることが好ましい。
このE成分としての特定2〜3官能アクリレート化合物は、光重合性単量体であり、C成分として用いられる特定多官能アクリレート化合物と同様に、前述した光重合開始剤の存在下に、露光によって重合することにより、現像液に対する溶解性が減少する、すなわちアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性となる物質である。
この特定2〜3官能アクリレート化合物は、2〜3個の官能基を有するものであるが、当該特定2〜3官能アクリレート化合物の有する官能基の好ましい具体例としては、−O−基、−O(CH2 CH2 a O−基(但し、aは1〜8の整数である。)または−O(CH2 CH2 CH2 b O−基(但し、bは1〜8の整数である。)などが挙げられる。
このような特定2〜3官能アクリレート化合物の具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールに係るジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールに係るジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールに係るポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂などのオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体に係るジ(メタ)アクリレート類、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フォスフェートなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、3価以上の多価アルコールに係るポリ(メタ)アクリレート類が好ましく、その具体例としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられ、これらのうちにおいては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましく用いられる。
また、特定2〜3官能アクリレート化合物の分子量は、200〜1000であることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物における特定2〜3官能アクリレート化合物の含有割合としては、無機粒子100質量部に対して、1〜50質量部であり、好ましくは、1〜40質量部、特に好ましくは、3〜30質量部である。
特定2〜3官能アクリレート化合物の含有割合が過大である場合には、感光性組成物に十分高い粘度が得られなくなるおそれ、また、基板上に形成された感光性樹脂層に対して現像処理を行ってパターンを形成する過程において、この特定2〜3官能アクリレート化合物が現像液に対する溶解促進効果を有するものであることに起因して露光部と未露光部との現像液に対するコントラストが付けにくくなり、十分な現像マージンが得られないおそれがある。
一方、特定2〜3官能アクリレート化合物の含有割合が過小である場合には、特定多官能アクリレート化合物が大きな粘調性を有することに基づいて組成物の粘度が極めて大きくなるおそれ、また、この特定多官能アクリレート化合物がガラス粉末に吸着することによって現像残渣が発生することとなるため、現像残渣の発生を十分に抑制することができなくなるおそれがある。
〔F成分〕
本発明の感光性組成物には、F成分として、ヒロドキシプロピルセルロースが含有されていることが好ましい。
このヒロドキシプロピルセルロースは、極性基を有する高分子化合物であって増粘剤として作用するものであり、感光性組成物に含有されることにより、その含有割合が小さくとも、組成物の粘度を高くすることができ、かつスクリーン印刷法によって組成物を基板に塗布する際に必要とされるチクソ性を付与することのできるものである。
ここに、本発明の感光性組成物においては、ヒロドキシプロピルセルロースを含有することなく、B成分としてのアルカリ可溶性重合体の極性基含有量を高くすることによっても、組成物の粘度を高くすることが可能であるが、感光性組成物中におけるアルカリ可溶性重合体の含有割合が大きいことから、このアルカリ可溶性重合体がA成分を構成するガラス粉末と反応することに起因して組成物の粘度が経時に変化するおそれがある。従って、このような弊害が生じることがなく、またその添加量が少量であっても十分な作用が得られることから、組成物の粘度の調整には、ヒロドキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。
本発明の感光性組成物におけるヒドロキシプロピルセルロースの含有割合としては、感光性組成物100質量部に対して、0. 1〜10質量部であることが好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースの含有割合が0. 1質量部未満である場合には、感光性組成物の粘度が極めて小さくなり、当該感光性組成物を基板に塗布する際に塗布ムラが生じて均一な膜を形成できなくなるおそれがある。一方、ヒドロキシプロピルセルロースの含有割合が10質量部を超える場合には、感光性組成物の粘度が極めて大きくなり、当該感光性組成物を基板に塗布する際に、特にスクリーン印刷法で塗布する場合には、版との離型性が悪く均一な膜を形成できなくなるおそれがある。
〔溶媒〕
本発明の感光性組成物には、通常、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために溶剤が含有される。用いられる溶剤としては、無機粒子との親和性、アルカリ可溶性重合体等との溶解性が良好で、得られる感光性組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が100〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
かかる特定溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、ジヒドロキシターピネオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類を例示することができ、これらのうち、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、ジヒドロキシターピネオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどが好ましい。これらの特定溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
特定溶剤以外に用いることができる溶剤の具体例としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
本発明の感光性組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
〔添加剤〕
また、本発明の感光性組成物には、任意成分として、可塑剤、分散剤、現像促進剤、接着助剤、カップリング剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤が含有されてもよい。
〔感光性組成物〕
本発明の感光性組成物は、上記の無機粒子、アルカリ可溶性重合体、特定多官能アクリレート化合物、光重合開始剤、溶剤、並びに必要に応じて用いられる特定2〜3官能アクリレート化合物、ヒドロキシプロピルセルロースおよび添加剤を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
このようにして調製される感光性組成物は、その粘度が、通常、3,000〜50,000cP、好ましくは5,000〜30,000cPである。
以上の感光性組成物によれば、光重合性単量体として、C成分としての特定多官能アクリレート化合物が含有されており、当該特定多官能アクリレート化合物が、官能基としてカルボン酸基を有するものであって現像液に対して良好な溶解性を有すると共に、A成分としての無機粒子を構成するガラス粉末との相互作用に基づいて粘度を大きくすることのできるものであるため、3,000cP(3,000mPa・s)以上もの高い粘度を有すると共に、感光性組成物よりなる感光性樹脂層を現像処理する場合において、現像残渣の発生を抑制することができる。
また、この感光性組成によれば、当該感光性組成物よりなる感光性樹脂層を焼成処理する場合において、この感光性樹脂層に優れた脱泡性が得られることとなるため、複数の感光性樹脂層が積層されてなる積層体を一括して焼成処理した場合であっても、得られる焼成体に泡が残存することがない。
更に、この感光性組成物においては、光重合性単量体として、C成分としての特定多官能アクリレート化合物と共に、E成分としての特定2〜3個官能アクリレート化合物が含有されており、この特定2〜3個官能アクリレート化合物により、特定多官能アクリレート化合物の作用によって組成物の粘度が過剰に大きくなることのないように調整することができるため、高い粘度を有すると共に、感光性組成物よりなる感光性樹脂層を現像処理する場合において、現像残渣の発生を十分に抑制することができる。
〔焼成体の形成方法〕
本発明の焼成体の形成方法は、前述した本発明の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層を露光処理してパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、パターンを有する焼成体を得ることを特徴とするものである。
すなわち、感光性組成物を基板の表面に塗布して乾燥処理することにより、当該基板上に感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層を露光処理することにより、当該感光性樹脂層に形成すべきパターンの潜像を形成し、これを現像処理することにより、樹脂パターン層を形成し、この樹脂パターン層を焼成処理することにより、目的とするパターンを形成することができる。
(i)樹脂層の形成工程:
感光性樹脂層の形成は、基板上に感光性組成物を塗布し、得られた塗膜を乾燥処理することにより行われる。
感光性樹脂層は、感光性組成物の塗布および塗膜の乾燥処理の工程を1回行うことにより、単層の感光性樹脂層とされてもよいが、感光性組成物の塗布および塗膜の乾燥処理の工程を複数回繰り返すことにより、積層体からなる感光性樹脂層とされてもよい。
感光性組成物を基板に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法を利用することができる。
塗膜の乾燥処理条件としては、例えば、乾燥温度が50〜150℃、乾燥時間が0.5〜30分間である。また、乾燥後における溶剤の残存割合(感光性樹脂層中の含有率)は、通常2質量%以内である。
感光性樹脂層の厚さは、無機粒子の含有率やサイズなどによっても異なるが、例えば1〜500μmである。
基板としては、例えばガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材を用いることができる。この板状部材の表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような適宜の前処理を施されていてもよい。
(ii)露光処理工程:
感光性樹脂層の露光処理は、露光用マスクを介して紫外線などの放射線を感光性樹脂層に選択的に照射する方法や、感光性樹脂層にレーザー光を走査する方法などによって行われる。
ここに、放射線照射装置としては、フォトリソグラフィー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置、レーザー装置などを用いることができるが、特に限定されるものではない。
(iii )現像処理工程:
感光性樹脂層の現像処理は、アルカリ現像液によって感光性樹脂層における未露光部分を溶解した後、例えば水によって洗浄することにより行われる。
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
アルカリ現像液は、上記のアルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調製することができる。
現像処理方法としては、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法などを利用することができる。
現像処理の具体的な条件、例えば現像時間および現像温度は、用いられる感光性組成物の種類、現像液の種類や、その組成および濃度、現像方法などに応じて適宜設定される。
(iv)焼成処理工程:
樹脂パターン層の焼成処理は、樹脂パターン層を加熱することにより行われる。
また、焼成処理は、樹脂パターン層中の有機物質が焼失する条件で行われ、通常、焼成処理温度が400〜600℃、焼成時間が10〜90分間である。
このような焼成体の形成方法によれば、その構成材料として、本発明の感光性組成物が用いられるため、形成過程の当該感光性組成物を基板上に塗布する際に良好な塗工性が得られると共に、現像処理において、現像残渣の発生が抑制されることから、良好な形状のパターンを有する焼成体を容易に得ることができる。
また、この焼成体の形成方法においては、感光性組成物よりなる感光性樹脂層を焼成処理する場合において、この感光性樹脂層が優れた脱泡性を有するものであるため、複数の感光性樹脂層が積層されてなる積層体を一括して焼成処理した場合であっても、得られる焼成体に泡が残存することがない。
〔フラットディスプレイパネル〕
本発明のフラットディスプレイパネルの製造方法は、前述した本発明の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層を露光処理してパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる構成要素を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
すなわち、前述した焼成体の形成方法に基づいて、具体的には、樹脂層の形成工程、露光処理工程、現像処理工程および焼成処理工程をこの順に経ることによって目的とするフラットディスプレイパネルの構成要素(具体的には、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックス)を形成することができる。
本発明のフラットディスプレイパネルの製造方法によれば、その構成要素の形成材料として、本発明の感光性組成物が用いられるため、当該構成要素の形成過程の当該感光性組成物を基板上に塗布する際に良好な塗工性が得られると共に、現像処理において、現像残渣の発生が抑制されることから、所望の形状の構成要素を容易に形成することができる。 ここに、この製造方法によれば、PDPの他、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、FEDディスプレイ、SEDディスプレイなどのようなフラットディスプレイを構成するフラットディスプレイパネルを形成することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
〈実施例1〉
(1)感光性組成物の調製:
A成分として、酸化コバルトよりなる黒色顔料100部、およびBi2 3 −ZnO−B2 3 系ガラス粉末450部と、B成分として、メタクリル酸10. 0質量%、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル40. 0質量%、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル15.0質量%および(メタ)アクリル酸エトキシエチル35.0質量%の共重合体(Mw:30,000、Tg:8.4℃)よりなるアルカリ可溶性重合体90部と、C成分として多官能アクリレート化合物「M520」(東亜合成株式会社製)、すなわち一般式(1)において、R1 が水素原子、Xが−O−基、Yがエチレン基、nが1である化合物よりなる特定多官能アクリレート化合物40部と、E成分として多官能アクリレート化合物「M321」(東亜合成株式会社製)、すなわちトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート(以下、「アクリレート化合物(1)」ともいう。)20部と、D成分として光重合開始剤「Irg. 970」(チバガイギー社製)、すなわち2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン(以下、「光重合開始剤(1)」ともいう。)20部、および光重合開始剤「DETX−S」(日本化薬株式会社製)、すなわち2, 4−ジエチルチオキサントン(以下、「光重合開始剤(2)」ともいう。)10部と、溶剤としてのジヒドロターピネオール100部とを攪拌脱泡装置で混練りした後、三本ロールで分散することにより、感光性組成物(1 )を調製した。
得られた感光性組成物(1)について、粘度計「TVE−33H」(東機産業株式会社製)を用い、ずり速度20s-1の測定条件において粘度を測定した。結果を表1に示す。
(2)感光性組成物の評価:
得られた感光性組成物(1)について、下記の方法により、現像マージンおよび現像残渣の発生量、並びに焼成体中における気泡の発生有無を確認した。結果を表1に示す。
ガラス基板上に感光性組成物(1)をスクリーン印刷により塗布した後、120℃のクリーンオーブンで20分間乾燥処理することにより、厚さ3.7μmの樹脂層を形成することにより、ガラス基板上に樹脂層が形成されてなる構成の試料を3個作製した。
1個目の試料を用い、ガラス基板上に形成された樹脂層に対して、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、シャワー法によって樹脂層の現像処理を行い、現像処理を開始してから(現像液が樹脂層に触れた瞬間)、樹脂層が完全に除去されるまで(樹脂層が除去される瞬間)に要する時間(以下、「TTC」ともいう。)を測定した。
2個目の試料を用い、先ず、ガラス基板上に形成された樹脂層に対して、ライン幅100μm、スペース幅100μmのストライプ状ネガ用露光用マスクを介して、超高圧水銀灯によりg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射することにより、樹脂層の露光処理を行った。露光量としては、365nmのセンサーで測定した照度換算で150mJ/cm2 とした。
次いで、露光処理された樹脂層に対して、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、シャワー法によって樹脂層の現像処理を行い、現像処理を開始してから(現像液が樹脂層に触れた瞬間)、樹脂層の露光部が剥離し始めるまで(樹脂層の露光部が剥がれ始めた瞬間)に要する時間を測定し、その測定値のTTCに対する比を現像マージンとして算出した。
3個目の試料を用い、先ず、ガラス基板上に形成された樹脂層に対して、ライン幅100μm、スペース幅100μmのストライプ状ネガ用露光用マスクを介して、超高圧水銀灯によりg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射することにより、樹脂層の露光処理を行った。露光量としては、365nmのセンサーで測定した照度換算で150mJ/cm2 とした。
次いで、露光処理された樹脂層に対して、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、シャワー法によって樹脂層の現像処理を TCCの1.5倍の時間(TCC×1.5秒間)行い、超純水を用いて水洗を行った。これにより、樹脂層における紫外線が照射されていない未露光部を除去し、樹脂パターン層を形成した。
この樹脂パターン層を光学顕微鏡にて観察し、基板における未露光部が形成されていた部分における現像残渣の有無を確認し、平均粒径1 μm程度の大きさの現像残渣の存在がない場合を「○」、10μm2 あたりに1個以上5個未満の現像残渣が存在する場合を「△」、10μm2 あたりに5個以上の現像残渣が存在する場合を×と評価した。
また、上記において得られた厚さ3.7μmの樹脂パターン層上に、Bi2 3 −ZnO−BaO系ガラス粉末(熱軟化点:575〜580℃、平均粒径:2.3 μm )、エチルセルロースおよびジヒドロターピニルアセテートを含有するガラスペースト材料(以下、「ガラスペースト材料(1)」ともいう。)よりなるガラスペースト層を積層し、この積層体を、焼成処理温度580℃の条件で30分間焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、感光性組成物(1)に由来のガラス焼結体よりなる厚さ1.3μmの黒色パターン層および厚さ18.0μmのガラスペースト材料(1)に由来の誘電体層が積層されてなる焼成体を形成した。
得られた焼成体を光学顕微鏡によって500倍の倍率で観察し、誘電体層中(黒色パターン層上または黒色パターン層間)に外径10μm以上の気泡の発生がない場合を、良好な焼成体が得られているとして「○」、誘電体層中に外径10μm以上の気泡の発生がある場合を「×」と評価した。
〈実施例2および実施例3〉
A成分としてのガラス粉末の量、C成分としての多官能アクリレート化合物「M520」(東亜合成株式会社製)の量、およびE成分としてのアクリレート化合物(1)(多官能アクリレート化合物「M321」(東亜合成株式会社製))の量の各々を、表1に示す量に変更したこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(2)および感光性組成物(3)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、感光性組成物(2)および感光性組成物(3)を用い、実施例1と同様にして、表1に示す厚さを有する樹脂層の形成、露光処理および現像処理、並びに焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
〈実施例4〉
A成分として、平均粒径2.2μmの銀粒子100部およびBi2 3 −SiO2 −B2 3 −ZnO系ガラス粉末8部、B成分として、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル35. 0質量%、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル37. 5質量%、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル15.0質量%およびメタクリル酸12.5質量%の共重合体(Mw:43,000、Tg:2.4℃)よりなるアルカリ可溶性重合体13部、C成分として、多官能アクリレート化合物「M520」(東亜合成株式会社製)4部、E成分として、アクリレート化合物(1)2部、D成分として、光重合開始剤(1)2部および光重合開始剤(2)1部、カップリング剤としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1部、溶剤としてのジヒドロターピネオール24部を用い、実施例1と同様にして、感光性組成物(4)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、感光性組成物(4)を用い、実施例1と同様の手法によって厚さ10μmの樹脂層の形成を行い、またライン幅30μm、スペース幅30μmのストライプ状ネガ用露光用マスクを用い、露光量を100mJ/cm2 として露光処理を行ったこと以外は実施例1と同様の手法によって露光処理および現像処理を行うと共に、実施例1と同様の手法によってガラス基板の表面に、感光性組成物(4)に由来のガラス焼結体よりなる厚さ4.8μmの電極パターン層および厚さ18.0 μmのガラスペースト材料(1)に由来の誘電体層が積層されてなる焼成体を形成する焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
〈実施例5〉
A成分として、二酸化チタン(TiO2 )よりなるフィラー5部およびBi2 3 −SiO2 −Al2 3 系ガラス粉末50部、B成分として、メタクリル酸2−エトキシエチル15.0質量%、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル35.0質量%、メタクリル酸10質量%、スチレン5質量%およびメタクリル酸ベンジル35質量%の共重合体(Mw:20000、Tg:40℃)よりなるアルカリ可溶性重合体25部、C成分として、多官能アクリレート化合物「M520」(東亜合成株式会社製)10部、E成分として、アクリレート化合物(1)2.5部、D成分として、光重合開始剤(1)0.1部および光重合開始剤(2)0.04部、カップリング剤としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3部、溶剤としてのジヒドロターピネオール20部を用い、実施例1と同様にして、感光性組成物(5)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、感光性組成物(5)を用い、実施例1と同様の手法によって厚さ81μmの樹脂層の形成を行い、またライン縦幅40μm、ライン横幅30μm、スペース幅200μmの格子状ネガ用露光用マスクを用い、露光量を110mJ/cm2 として露光処理を行ったこと以外は実施例1と同様の手法によって露光処理および現像処理を行うと共に、実施例1と同様の手法によってガラス基板の表面に、感光性組成物(5)に由来のガラス焼結体よりなる厚さ59.0μmの隔壁パターン層が積層されてなる焼成体を形成する焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
ここに、焼成処理において得られた焼成体に係る焼成体中における気泡の発生有無の確認は、隔壁パターン層中において行った。
〈実施例6〉
E成分としての多官能アクリレート化合物を用いず、C成分としての多官能アクリレート化合物「M520」(東亜合成株式会社製)の量を60部としたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物(6)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、感光性組成物(6)を用い、実施例1と同様にして、厚さ4. 0μmの樹脂層の形成、露光処理および現像処理、並びに焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
〈比較例1〉
C成分としての多官能アクリレート化合物を用いず、光重合性単量体として、E成分としてのアクリレート化合物(1)(多官能アクリレート化合物「M321」(東亜合成株式会社製))の量を60部としたこと以外は実施例1と同様にして、比較用感光性組成物(1)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、比較用感光性組成物(1)を用い、実施例1と同様にして、厚さ3.4μmの樹脂層の形成、露光処理および現像処理、並びに焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
〈比較例2〉
C成分としての多官能アクリレート化合物を用いず、光重合性単量体として、多官能アクリレート化合物「M360」(東亜合成株式会社製)、すなわちトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(以下、「アクリレート化合物(2)」ともいう。)60部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較用感光性組成物(2)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、比較用感光性組成物(2)を用い、実施例1と同様にして、厚さ3.5μmの樹脂層の形成、露光処理および現像処理、並びに焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
〈比較例3〉
C成分としての多官能アクリレート化合物を用いず、光重合性単量体として、多官能アクリレート化合物「KAYARAD DPCA−60」(日本化薬株式会社製)、すなわちジペンタエリスリトールペンタヘキサ変性アクリレート(以下、「アクリレート化合物(3)ともいう。)60部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較用感光性組成物(3)を調製し、その粘度の測定を行った。
また、比較用感光性組成物(3)を用い、実施例1と同様にして、厚さ3.5μmの樹脂層の形成、露光処理および現像処理、並びに焼成処理を行うことにより、感光性組成物の評価を行った。以上、結果を表1に示す。
Figure 2010117615
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6に係る感光性組成物においては、高い粘度を有すると共に、現像残渣の発生を抑制することができることが確認された。また、実施例1〜5に係る感光性組成物は、いずれも、十分な現像マージンを得ることのできるものであることが確認された。
また、特に実施例1〜5に係る感光性組成物は、特定多官能アクリレート化合物と共に特定2〜3官能アクリレート化合物が含有されているため、特定多官能アクリレート化合物が含有されているものの、特定2〜3官能アクリレート化合物が含有されていない実施例6に係る感光性組成物に比して特に現像残渣の発生の抑制効果において優れた特性を有するものであることが確認された。
これに対して、比較例1〜3は、各々、特定多官能アクリレート化合物が含有されていないため、組成物の粘度を高くすることと共に、現像残渣の発生を十分に抑制することとの両立が図られていないものであった。
フラットディスプレイパネルの一種である交流型のプラスマディスプレイパネルの断面形状を示す模式図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
P 保護層

Claims (5)

  1. (A)少なくともガラス粉末を含有する無機粒子、
    (B)アルカリ可溶性重合体、
    (C)下記一般式(1)で表わされる化合物および
    (D)光重合開始剤
    を含有してなることを特徴とする感光性組成物。
    Figure 2010117615
    〔式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、Xは、−O−基、−O(CH2 CH2 a O−基(但し、aは1〜8の整数である。)または−O(CH2 CH2 CH2 b O−基(但し、bは1〜8の整数である。)を示し、Yは、メチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルケニレン基、無置換または置換基を有するフェニレン基、および無置換または置換基を有するシクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基においてその一部が不飽和結合である基よりなる群から選ばれる基を示す。nは、1〜4の整数である。〕
  2. 官能基数2〜3のアクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
  3. ヒドロキシプロピルセルロースを、組成物全体に対して、0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層に対して露光処理を行いパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、パターンを有する焼成体を得ることを特徴とする焼成体の形成方法。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感光性組成物よりなる感光性樹脂層を基板上に形成し、形成された感光性樹脂層に対して露光処理を行いパターンを有する潜像を形成した後、この感光性樹脂層を現像処理して露光処理によって形成されたパターンに対応するパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、隔壁、電極、抵抗体、誘電体層、蛍光体、カラーフィルターおよびブラックマトリックスから選ばれる構成要素を形成する工程を含むことを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造方法。
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