JP2010116496A - A重油組成物 - Google Patents

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Yuji Suzuki
祐史 鈴木
Shigeru Koyama
成 小山
Ken Obata
健 小畠
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Abstract

【課題】セタン価、セタン指数は高いが低温流動性の悪いパラフィン分からなる基材を用いて、燃料油の低温流動性を悪化させることなく、燃焼性と低温流動性の双方が優れたA重油組成物を提供する。
【解決手段】パラフィン含有量が95容量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βを、以下の式(1)および式(2)を満たすように配合して得られるA重油組成物。
42.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 82.21−(A−B)×2.05 (1)
17.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 57.79+(A−B)×2.05 (2)
(式中、Aは基材αの徐冷曇り点(℃)、Bは基材βの徐冷曇り点(℃)を示し、Xは基材αの配合割合(容量%)、Yは基材βの配合割合(容量%)を表す。ただし、0<X,Y<100である。)
【選択図】なし

Description

本発明はA重油組成物に関し、特に外燃機器用ボイラーやディーゼル発電機における排出ガスの効果的な低減と良好な低温性能を両立させたA重油組成物に関する。
A重油組成物は、ボイラー等の外燃機器燃料、小型漁船や建設機械等のオフロード用ディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などとして広く用いられている。
A重油組成物を用いる各種燃焼機器には、燃料油中の異物を除去する目的で、燃料系統に目開き5〜250μmのフィルターが設けられている。このような燃焼機器を冬季に使用すると、A重油組成物から析出したワックスなどにより、フィルターの閉塞が起こりやすくなる。
さらに近年A重油組成物に使用されるボイラーやエンジンの高出力化及び低燃費化等に伴い、A重油組成物としては、より高性能化の要望が年々高まっている。
着火性の指標であるセタン指数の高い基材としてはノルマルパラフィンや低分岐のイソパラフィン等のパラフィン類が知られているが、一方融点の高いパラフィン分を燃料油中に多く配合すると低温でのワックス析出が顕著となり低温流動性が悪化してしまうおそれがある(非特許文献1)。
小西誠一著、「燃料工学概論」、裳華房、1991年3月、p.119−144
本発明はセタン価およびセタン指数は高いが低温流動性の悪いパラフィン分からなる基材を用いて、燃料油の低温流動性を悪化させることなく、燃焼性と低温流動性の双方が優れたA重油燃料を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下に規定する方法でパラフィン分を配合したA重油組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パラフィン含有量が95容量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βを、以下の式(1)および式(2)を満たすように配合して得られるA重油組成物に関する。
42.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 82.21−(A−B)×2.05 (1)
17.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 57.79+(A−B)×2.05 (2)
(式中、Aは基材αの徐冷曇り点(℃)、Bは基材βの徐冷曇り点(℃)を示し、Xは基材αの配合割合(容量%)、Yは基材βの配合割合(容量%)を表す。ただし、0<X,Y<100である。)
また本発明は、前記記載のA重油組成物に、10%残留炭素分が1.0質量%以下となる範囲で残留炭素基材を配合して得られるA重油組成物に関する。
さらに本発明は、低温流動性向上剤を50〜500mg/Lを含有することを特徴とする前記記載のA重油組成物に関する。
本発明により、セタン価およびセタン指数は高いが低温流動性の悪いパラフィン分からなる基材を用いて、燃料油の低温流動性を悪化させることなく、燃焼性と低温流動性の双方が優れたA重油燃料を得ることができる。
以下、本発明について説明する。
本発明のA重油組成物は、パラフィン含有量が95容量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βを、以下の式(1)および式(2)を満たすように配合することにより得られることを特徴とする。
42.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 82.21−(A−B)×2.05 (1)
17.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 57.79+(A−B)×2.05 (2)
上記式(1)および式(2)中、Aは基材αの徐冷曇り点(℃)、Bは基材βの徐冷曇り点(℃)を示し、Xは基材αの配合割合(容量%)、Yは基材βの配合割合(容量%)を表す。ただし、0<X,Y<100である。
本発明のA重油組成物を構成するパラフィン含有量が95容量%以上である基材αは、原油由来の留出油から抽出したものでも、動植物油脂を水素化処理して得られたものでも、合成ガスからFT合成により得られたものでも、エチレンを重合したものを水素化して得られたものでも良く、またこれらノルマルパラフィン主体の基材を異性化させて一部をイソパラフィンに転換したものでも良い。ここでノルマルパラフィン主体の基材を異性化させる方法としては特に限定されるものではなく、例えば、固体酸(シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、シリカジルコニアアルミナ、アルミナボリアなどのアモルファス固体酸、あるいはゼオライトなどの結晶性固体酸等)に活性金属(金属種については特に限定されるものではなく、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ニッケルなどの周期表第8族金属から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。)を担持することで調製される固体酸触媒を用いて、水素の存在下で該固体酸触媒と異性化させたいノルマルパラフィン系基材とを接触させてノルマルパラフィンの異性化反応を進行させる方法等が挙げられる。なお、ノルマルパラフィンを異性化することで得られるイソパラフィンは一般的に分岐度が小さいため(モノ−メチル体、ジ−メチル体、トリ−メチル体程度)、融点の高いノルマルパラフィンと比べるとその融点は低下しているが、その低下幅は十分とはいえない。さらに前述の異性化反応によって得られた生成油は、異性化反応工程において、副反応である分解反応の防止の観点からノルマルパラフィンの転化率を100%にしないため、融点の高いノルマルパラフィンと低分岐イソパラフィンの混合物となり、低温性能の良化は限定的になっている。
基材αは、これらパラフィンを主体とする基材のうちの1種類であっても良く、また2種類以上の混合物であっても良く、パラフィン含有量が95容量%以上であれば上記記載以外の基材を任意に混合しても構わない。なお、2種類以上の混合物である場合は、式(1)および式(2)で定義されるAの値は、これらの混合物からなる基材αの徐冷曇り点を意味する。
基材α中のパラフィン含有量は、96容量%以上が好ましく、より好ましくは98容量%以上である。なお、パラフィン含有量が95容量%未満となる場合はセタン価向上効果が低くなることや、後記する共晶現象が起こりにくくなり低温性能の悪化が懸念されるため好ましくない。
ここで、パラフィン含有量とは、ASTM D2786“Standard Test Method for Hydrocarbon Types Analysis of Gas-Oil Saturates Fractions by High Ionizing Mass Spectrometry”に準拠して測定されるパラフィン分(アルカン)の容量百分率(容量%)を意味し、燃料油中に含まれるノルマルパラフィンとイソパラフィンの合計量であり、ナフテン分(シクロアルカン)、オレフィン分、芳香族分の量は含まない。
なお、基材α中のノルマルパラフィンの含有量については特に制限はされないが、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
ここで、ノルマルパラフィン含有量とは、無極性カラムとFID(水素炎イオン化検出器)を装着し、所定の温度プログラムで作動させたガスクロマトグラフより定量したノルマルパラフィン含有量をいう。なお、ガスクロマトグラフとは、試料中の各組成物の物性(沸点、極性等)を利用して各組成物を分離・定量分析する分析手法のことである。
本発明のA重油組成物を構成する芳香族含有量が30容量%である基材βは、原油由来の直留軽油留分、直留灯油留分、常圧蒸留装置の残渣油を減圧蒸留して得られる減圧軽油留分、水素化分解装置から得られる軽油留分、重質油接触分解装置(FCC)から得られる軽油留分(LCO)、もしくはこれらの留分にそれぞれ水素化処理を施したもの、および合成ガスから調製したFT合成油を異性化や水素化分解して得られる基材、オイルサンドやオイルシェール、オリノコタールなどの非在来型原油を水素化分解や水素化脱硫して得られる基材、動植物油脂を水素化や異性化して得られる基材、動植物油脂をエステル交換して得られる基材(脂肪酸をメタノールやエタノールなどの任意のアルコールでエステル交換して得られたFAME、FAEE等)などが挙げられる。基材βは、それらのうちの1種類であっても良く、また2種類以上の混合物であって良い。また、芳香族含有量が30容量%以上の範囲に入るのであれば上記記載以外の基材を任意に混合しても構わない。なお、2種類以上の混合物である場合は、式(1)および式(2)で定義されるBの値は、これらの混合物からなる基材βの徐冷曇り点を意味する。
なお、芳香族含有量が30容量%未満となる場合、A重油組成物の密度が低下し、容量当たりの発熱量が低下してしまい、燃料消費量の悪化を招く等、経済性の観点から好ましくない。
ここで、芳香族含有量とは、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」により測定される値を意味する。
さらに、本発明のA重油組成物にはA重油の免税条件を満たすために、基材αと基材βに加えて必要に応じて残留炭素付与基材を混合しても構わない。また、残留炭素付与基材を混合する際には予め混合前の基材αおよび/または基材βに混合させても良いし、混合後のA重油組成物に添加しても良い。
残留炭素付与基材の種類としては特に限定するものではないが、常圧残油、残油脱硫重油、減圧残油、スラリー油、エキストラクト油、動植物油脂等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
ここで、常圧残油とは、常圧蒸留装置で原油を常圧において蒸留して得られる残油である。残油脱硫重油とは、残油脱硫装置において常圧残油または減圧残油を脱硫したときに得られる重油である。減圧残油とは、減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる残油である。スラリー油とは、流動接触分解装置から得られる残油である。エキストラクト油とは、潤滑油原料用減圧蒸留装置からの留分を、溶剤抽出法により抽出分離したもののうち潤滑油に適さない芳香族成分のことである。
本発明におけるA重油組成物の10%残留炭素分は、A重油としての免税条件を満たすためには0.2重量%以上であることが好ましい。しかし、10%残留炭素分が1.0質量%を超える場合はドライスラッジが増加し、常温で機器の燃料供給ラインのフィルターを目詰まりさせやすくなる、低温流動性に悪影響を及ぼす等のおそれがあるために好ましくなく、1.0質量%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。
なお、本発明において、10%残留炭素分とはJIS K 2270「石油および石油製品―残留炭素分試験方法」に準拠して得られた値である。
本発明のA重油組成物は、パラフィン含有量が95容量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βを、前記した式(1)および式(2)を満たすように配合することが必要である。
かかる式(1)および式(2)を満たすように基材αと基材βを配合することにより、パラフィンによる優れたセタン価向上効果を得られるばかりか、得られたA重油組成物の徐冷曇り点を、お互いの基材の配合割合に応じて各々の基材の徐冷曇り点の値を線型結合して得られる徐冷曇り点の値である(A×X+B×Y)/100よりも著しく低下させることを可能としたものである。すなわち、基材αと基材βの最適な配合により、燃焼性と低温流動性の双方が優れたA重油組成物となし得たものである。
本発明のA重油組成物においては、基材αの配合割合X(容量%)および基材βの配合割合Y(容量%)は、下記式(3)および式(4)を満たすことがより好ましく、下記式(5)および式(6)を満たすことが特に好ましい。
45.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 79.21−(A−B)×2.05 (3)
20.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 54.79+(A−B)×2.05 (4)
49.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 75.21−(A−B)×2.05 (5)
24.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 50.79+(A−B)×2.05 (6)
なお、式(1)〜(6)において、XおよびYは、それぞれ0<X<100、0<Y<100の範囲内で上記式を満たすものである。本発明は、セタン価およびセタン指数は高いが低温流動性の悪いパラフィン分からなる基材を用いて、燃料油の低温流動性を悪化させることなく、燃焼性と低温流動性の双方が優れたA重油燃料を提供するものであることから、基材αの配合割合X(容量%)は1容量%以上であることが好ましく、より好ましくは3容量%以上であり、また99容量%以下が好ましく、より好ましくは97容量%以下であり、その範囲内において式(1)〜(6)を満たす量が好適であると言える。
式(1)〜(6)の関係は、本発明者らが鋭意検討したことにより得られた成果であり、2つの基材αおよび基材βの極性差を利用し、いわゆる共晶現象に似た現象に着目して成し得たものである。共晶現象とは、2つの純物質を混ぜた際に、2つの純物質同士がお互いに対しての溶媒として働くことで混合物の融点を、元の2つの純物質よりも低下させることのできる現象である。かかる共晶現象は、理想希薄溶液仮定下での溶解度式で表現することができ、該溶解度式を計算するには、各物質の融解エンタルピーと融点が必要となる。なお、この共晶現象は混ぜ合わせる2つの物質の性質が似ていると、混ぜ合わせたもの同士がお互いを溶媒として認識しないため、融点が降下する共晶現象は起こらない。
そこで発明者らは鋭意検討を重ねた結果、パラフィン含有量が95質量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βという2種類の極性の異なる基材を用いることで共晶現象を起こさせ、通常の基材同士を混合した場合に比べて、共晶現象によりワックス結晶が析出してくる温度である徐冷曇り点を低下させることに成功した。さらに、共晶により徐冷曇り点の降下する領域は、種々の実験と考察から、徐冷曇り点を最も降下させることのできる範囲が式(1)、(2)で表され、より好ましい範囲が式(3)、(4)、さらに好ましい範囲が式(5)、(6)で表せることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明において、徐冷曇り点とは、曇り点より10℃以上高い温度から曇り点を検知するまでは0.5℃/分で徐冷し、0.1℃単位で検知して得られた曇り点(℃)のことである。徐冷曇り点の検知方法は、試料に光を照射し、試料容器底のアルミ面における反射光が所定量低下(厚さ15mmの試料液の底面より3mmの高さから照射した光の反射光が7/8以下に低下)した点を徐冷曇り点とする。
本発明のA重油組成物は、フィルターの閉塞防止の点から低温流動性向上剤を含有することが好ましい。
低温流動性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニルコハク酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、フタル酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸又はその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンの反応生成物からなる極性窒素化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤の1種または2種以上が使用できる。この中でも汎用性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤を好ましく使用することができる。低温流動性向上剤を添加する場合の添加量は、50〜500mg/Lであることが好ましく、50〜300mg/Lであることが特に好ましい。なお、低温流動性向上剤と称して市販されている商品は、低温流動性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈されていることがあるため、こうした市販品を本発明のA重油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
また、本発明のA重油組成物には、必要に応じて低温流動性向上剤以外の添加剤も配合することができる。
ここでいう添加剤としては、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられ、これら添加剤を適宜加えることができる。
本発明のA重油組成物の流動点は、燃料ラインでの流動性確保の点から、5℃以下であることが好ましく、−2.5℃以下であることがより好ましく、−7.5℃以下であることがさらに好ましく、−15.0℃以下であることが最も好ましい。ここでいう流動点とは、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される値を意味する。
本発明のA重油組成物の目詰まり点は、フィルター閉塞性防止の点から、5℃以下であることが好ましく、−1℃以下であることがより好ましく、−5℃以下であることがさらに好ましく、−10℃以下であることが特に好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。ここでいう目詰まり点とは、JIS K2288「軽油−目詰まり点試験方法」により測定される値を意味する。
本発明のA重油組成物のセタン指数は、エンジン着火性の点から、35.0以上であることが好ましく、40.0以上であることがより好ましく、42.0以上であることがさらに好ましく、43.0以上であることが最も好ましい。ここでいうセタン指数とは、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により測定、算出される値を意味する。
本発明のA重油組成物の窒素分については特に制限はないが、排ガス中の有害物質を低減するには、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において窒素分とは、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のアスファルテン分は特に制限はないが、色相やドライスラッジによる常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等の点から、0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましく、0.002質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、アスファルテン分とは、IP143「アスファルテン分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のドライスラッジ量については特に制限はないが、常温でのフィルター目詰まりが起こり難くなる点から、2.0mg/100ml以下であることが好ましく、1.5mg/100ml以下であることがより好ましく、1.0mg/100ml以下であることが最も好ましい。
本発明において、ドライスラッジ量とは、常温において、試料を目開き1.2μmのフィルターで吸引ろ過し、ろ過後のフィルター及びフィルター上の残留物をn−ヘプタンで洗浄し乾燥後残留物の質量から、試料100ml当りの残留物の質量で表される値を意味している。
また、本発明のA重油組成物の蒸留性状について何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすものが用いられる。
蒸留初留点 :130〜230℃
10容量%留出温度:180〜270℃
50容量%留出温度:240〜340℃
90容量%留出温度:300〜380℃
本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
本発明のA重油組成物の動粘度については特に制限はないが、通常30℃における動粘度が3〜5mm2/s、50℃における動粘度が2〜3.5mm2/sであることが好ましい。
本発明において、動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の引火点については特に制限はないが、通常50〜120℃であることが好ましい。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の総発熱量については特に制限はないが、通常35000〜50000J/gであることが好ましい。
本発明において、総発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の水分含有量については特に制限はないが、通常0.05容量%以下であることが好ましい。
本発明において、水分含有量とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の密度については特に制限はないが、通常0.8〜0.92g/cmであることが好ましい。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の導電率は特に限定されるものではないが、安全性の観点から50pS/m以上であることが好ましい。本発明のA重油組成物には、導電率を改善するために、適宜、帯電防止剤等を添加することができる。ここでいう導電率とは、JIS K2276「石油製品−航空燃料油試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜7、比較例1〜12]
表1にパラフィン含有量が95容量%以上の基材α(2種類)、パラフィン含有量が95容量%未満の基材α’−3、表2に芳香族含有量が30容量%以上である基材β(3種類)の徐冷曇り点を示す。
上記基材αまたは基材α’と基材βを各種割合で配合して得られるA重油組成物について徐冷曇り点を測定した。その結果を表3〜表7にまとめた。
表3では、本発明で規定する式(1)および式(2)を満たすように基材αと基材βが配合された実施例1では、徐冷曇り点がお互いの基材の配合割合に応じて各々の基材の徐冷曇り点の値を線型結合して得られる値である(A×X+B×Y)/100よりも4.4℃も低く、また徐冷曇り点も−5.6℃である。これに対し、基材αと基材βの配合割合が式(1)および式(2)を満たさない比較例1および2では徐冷曇り点は実施例に比べてお互いの基材の配合割合に応じて徐冷曇り点の値を線型結合して得られる値である(A×X+B×Y)/100からの低下幅が実施例より小さく、徐冷曇り点自体も実施例より高いものであった。
同様に表4〜6において、本発明で規定する式(1)および式(2)を満たすように基材αと基材βが配合された実施例2〜7では、徐冷曇り点が線型結合して求められる値より3℃以上も低く、また徐冷曇り点も低いものであった。これに対し基材αと基材βが同じ組み合わせの比較例3〜8において、配合割合が式(1)および式(2)を満たさないときは徐冷曇り点が実施例に比べて、お互いの基材の配合割合に応じて各々の基材の徐冷曇り点の値を線型結合して求められる値:(A×X+B×Y)/100からの低下幅が小さく、徐冷曇り点も実施例より高いものであった。
一方、表7において、パラフィン含有量が67.1容量%の基材α’−3を用いた比較例9〜12の場合には、式(1)および式(2)を満たす場合および満たさない場合ともに、徐冷曇り点はお互いの基材の配合割合に応じて各々の基材の徐冷曇り点の値を線型結合して得られる値:(A×X+B×Y)/100からの低下幅が他の実施例と比べて小さいものであった。
Figure 2010116496
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Claims (3)

  1. パラフィン含有量が95容量%以上である基材αと芳香族含有量が30容量%以上である基材βを、以下の式(1)および式(2)を満たすように配合して得られるA重油組成物。
    42.21−(A−B)×2.05 ≦ X ≦ 82.21−(A−B)×2.05 (1)
    17.79+(A−B)×2.05 ≦ Y ≦ 57.79+(A−B)×2.05 (2)
    (式中、Aは基材αの徐冷曇り点(℃)、Bは基材βの徐冷曇り点(℃)を示し、Xは基材αの配合割合(容量%)、Yは基材βの配合割合(容量%)を表す。ただし、0<X,Y<100である。)
  2. 請求項1に記載のA重油組成物に、10%残留炭素分が1.0質量%以下となるように残留炭素基材を配合して得られるA重油組成物。
  3. 低温流動性向上剤を50〜500mg/L含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のA重油組成物。
JP2008291170A 2008-11-13 2008-11-13 A重油組成物 Pending JP2010116496A (ja)

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