JP2014051591A - C重油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】着火性能、燃焼性能が優れ、外燃機器、ディーゼル機器、ガスタービン機器などの燃焼機器を安定に運転することが可能なC重油組成物を提供する。
【解決手段】 以下の(式1)にて導かれる着火性指標Iが0以上15未満であることを特徴とするC重油組成物。
I=exp(−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90))
・・・(式1)
((式1)中のdは15℃における密度であり、Vは50℃における動粘度であり、Tm10、Tm50、Tm90は、それぞれ熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度、50%重量減少温度、90%重量減少温度である。)
【選択図】なし

Description

本発明はC重油組成物に関し、詳しくは、ボイラー、ディーゼル機器、ガスタービン機器等の燃焼機器や船舶用の燃料として用いられるC重油組成物に関する。
C重油は、ボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などとして広く用いられている。
様々な用途に用いられるC重油の中で、特に船舶用C重油は、諸外国などで積み込まれることもあり、燃焼障害が原因のエンジントラブルがしばしば生じており、大きな問題となっている。このため、着火性能、燃焼性能に優れ、燃焼障害を発生しないC重油の要望が高まっている(非特許文献1参照)。
このようなC重油の燃焼性を改善するものとして、特許文献1(特開平8−277396号公報)には、重質油を水および特定の非イオン性界面活性剤により水中油滴型重質油エマルジョンとして、エマルジョン粒子径および粘度を特定の範囲に制御して、さらに予備加熱後に燃焼させる方法が開示されている。
また、特許文献2(特開2003−96474号公報)には、接触分解軽質軽油(LCO)を50%以上含有し、かつセタン指数を規定することにより燃焼性の改善を図る方法が開示されている。
一方、C重油の着火性を物理性状から推定する検討がなされており、例えば非特許文献2では15℃における密度、および50℃における動粘度から計算され、燃料の芳香族性を表すCCAIが提案され、広く使用されてきた。
しかしながら、上記のように、近年、船舶用燃料油の品質は低質化が著しく、スラッジ生成や着火性および燃焼性が低下している。このために搭載する大型ディーゼル機関において燃焼障害が頻繁に発生し、発煙、排気温度の上昇、排気系の汚染、シリンダ、リングなどの異常摩耗などの原因ともなっているが、CCAIのみでは燃料の着火性を担保することが不十分であるにもかかわらず、現在は簡易的に着火性を表す指標は存在しない。すなわち、CCAIが850程度でも、着火性、燃焼性が劣るC重油もあり、CCAIのみでは燃料の着火性、燃焼性を担保することは十分ではない。
特開平8−277396号公報 特開2003−96474号公報
野村宏次,「舶用燃料の科学」,成山堂,1994年,p.164−166 Zeelenberg,「The ignition perforance of fuel oils in marine diesel engines」,CIMAC Conference,1983年
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、着火性能、燃焼性能が優れ、外燃機器、ディーゼル機器、ガスタービン機器などの燃焼機器を安定に運転することが可能なC重油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に規定する着火性指標Iが一定の範囲にあるC重油組成物により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]以下の(式1)にて導かれる着火性指標Iが0以上15未満であることを特徴とするC重油組成物。
I=exp(−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90))
・・・(式1)
((式1)中のdは15℃における密度であり、Vは50℃における動粘度であり、Tm10、Tm50、Tm90は、それぞれ熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度、50%重量減少温度、90%重量減少温度である。)
[2]全芳香族炭化水素含有量が30容量%以上、2環芳香族炭化水素含有量が5容量%以上30容量%以下である前記[1]に記載のC重油組成物。
[3]15℃における密度が0.85〜1.05g/cm、50℃における動粘度が400mm/s以下、硫黄分が3.5質量%以下、窒素分が1.0質量%以下、引火点が70℃以上である前記[1]または[2]に記載のC重油組成物。
本発明のC重油組成物は、着火性、燃焼性に優れ、ボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などの燃料として非常に有用である。
以下、本発明について説明する。
本発明のC重油組成物は、以下の(式1)にて導かれる着火性指標Iが0以上15未満であることを特徴とする。
I=exp(−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90))
・・・(式1)
((式1)中のdは15℃における密度であり、Vは50℃における動粘度であり、Tm10、Tm50、Tm90は、それぞれ熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度、50%重量減少温度、90%重量減少温度である。)
本発明において15℃における密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を、50℃における動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明において熱重量−示差熱分析とは、試料を所定の温度条件で昇温し、気化・熱分解等に伴う重量減少と気化・酸化・熱分解等に伴う熱量の変化を同時に計測する分析方法である。具体的には、試料約10mgを内径5mmの白金製パンに秤り取り、RIGAKU社製Thermoflex TAS300にセットする。次に、窒素雰囲気下(100ml/分)で試料を室温から1000℃まで20℃/分で昇温する。試験前の重量から10%減少した温度をTm10、50%減少した温度をTm50、90%減少した温度をTm90とした。
従来から用いられてきたCCAIでは、C重油の着火性および燃焼性を十分に担保することができず、CCAIが小さい場合でもエンジンの燃焼障害を起こす場合があるため、C重油の着火性および燃焼性を担保する指標が求められていた。
本発明者らは、着火性および燃焼性に影響を与える性状として、密度、動粘度の他に、熱重量−示差熱分析による重量減少温度の影響が大きいことを見出し、数多くのサンプルデータについて重回帰分析を行い、着火遅れとの相関性が高い(式1)を導出するに至った。
以下に、(式1)を導いた過程について説明する。
まず、従来から用いられてきたCCAIと着火遅れの単回帰分析を行った結果、あてはまり度合いを表す決定係数Rは0.56であり、CCAIのみでは着火遅れの予測に不十分である。
次に、CCAIを導いた際のサンプルとは傾向が異なることが原因で予測が不十分な可能性があるため、CCAIの算出に用いられている密度、動粘度を説明変数、着火遅れを目的変数として重回帰分析を行った。その結果、あてはまり度合いを表す決定係数Rは0.58であり、密度、動粘度では着火遅れの予測に不十分である。
CCAIや密度、動粘度から着火遅れを予測するとあてはまりが不十分なのは、C重油が軽質基材から重質基材まで多種多様な基材を用いて製造されるため、同一密度、同一動粘度でも組成が異なることが原因である。
本発明者らは、密度、動粘度以外にC重油の着火性および燃焼性に影響を与える性状として、全芳香族分、2環芳香族分、硫黄分、残留炭素分、引火点及び熱重量−示差熱分析による重量減少温度に着目し、これらの変数の種々の組み合わせについて重回帰分析を行った。なお、重回帰分析を行うことによって、各説明変数に対する係数が付与された各種相関式が得られる。
通常、各種目的変数を選んで重回帰分析を行う場合、得られた式について決定係数Rが1に極力近い式が相関が良いことから、その式を採用することとなる。
本発明においては、上述のように、密度、動粘度、全芳香族分、2環芳香族分、硫黄分、残留炭素分、引火点及び熱重量−示差熱分析による重量減少温度を変数とし、これらの変数の種々の組み合わせについて重回帰分析を行った。
後述のように、重回帰分析の結果、(式1)のときの決定係数Rは0.93で最も大きく、熱重量−示差熱分析による重量減少温度の影響が大きいことを見出した。すなわち、重量減少温度の中でも特に、軽質留分を代表するTm10、中間留分を代表するTm50、重質留分を代表するTm90の影響が大きかったことから、密度、動粘度、Tm10、Tm50、Tm90を説明変数、着火遅れを目的変数として重回帰分析を行った。また、着火遅れの値は理論上マイナスの値にならないことから、重回帰分析の目的変数は着火遅れの自然対数をとった。また、密度以外の動粘度、Tm10、Tm50、Tm90は、着火遅れとの相関が高くなるよう自然対数をとった。
重回帰分析の結果、自然対数をとった着火遅れの予測式ln(I)=−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90)が示された。この式を変形し、I=exp(−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90))が得られた。
この式の自然対数の着火遅れと各性状の当てはまり度合いを表す決定係数Rは0.93であり、着火遅れの予測に十分であった。
以下、(式1)について説明する。
C重油の着火性および燃焼性に影響を与える成分としては芳香族炭化水素が挙げられ、含有量が大きいほど悪化する。芳香族炭化水素はその他の炭化水素と比較して高密度、低粘度という特徴を持っており、(式1)のように密度が大きいほど、動粘度が小さくなるほど指標Iが大きくなり着火性および燃焼性が悪化する。また(式1)の熱重量−示差熱分析による重量減少温度は、温度ごとの留出特性(いわゆる蒸留性状)を意味している。同一の炭化水素組成では軽質留分ほど着火性および燃焼性は悪化し、(式1)のTm10およびTm90がその性質を表している。一方、Tm50は近年C重油基材として使用される頻度が高まっている接触分解残油の配合割合の大小を意味している。接触分解残油は芳香族分が多く着火性、および燃焼性が悪い基材であるが、その蒸留性状は350℃〜550℃程度であり、配合量が多い場合はTm50も大きくなり着火性および燃焼性が悪化する。
重回帰分析により(式1)の各係数は自動的に得られるものである。各説明変数の値はそれぞれ桁数も違い、大小があるので、この係数の大小で各説明変数の影響度合いの大小を一概に論ずるのは難しいが、(式1)の場合、密度d、Tm50の係数の絶対値が大きいことから着火性、燃焼性に影響度が大きいことを意味している。すなわち、前述の高密度、低粘度である芳香族炭化水素はその他の炭化水素と比較して、着火性および燃焼性が悪化することを表している。また、その他の係数は密度d、Tm50の係数の絶対値に比較して小さめであり、着火性、燃焼性に影響度はやや小さいと考えられるが、(式1)全体として着火性、燃焼性を示す指標として欠かせない項目であることがわかる。
本発明は、C重油の着火性および燃焼性を担保する指標として、前記の(式1)で示される着火性指標Iを用いることにより、C重油組成物の着火遅れを高精度に予測することができる。すなわち、(式1)で示される着火性指標Iが0以上15未満である場合に、着火性および燃焼性が良好なC重油組成物が得られる。着火性指標Iは好ましくは14以下であり、13以下であることがより好ましく、11以下であることが最も好ましい。また、0以上であることが好ましく、2以上がより好ましい。
本発明に係るC重油組成物の着火遅れは15ms以下であり、着火性能に優れている。ディーゼルエンジン機器を安定に運転するには、燃料が燃焼室内に噴射されて着火するまでの時間が短いことが有効であることから、着火遅れが15ms以下であることが好ましく、より好ましくは13ms以下であり、より好ましくは11ms以下である。
本発明において着火遅れとは、燃料着火性試験機であるフューエルテック社製の「Fuel Ignition Analyser:FIA−100」で測定した値である。具体的には、容積1L,圧力4.5MPa,温度450℃の空気で満たした定容燃焼室内に120℃に加熱した燃料を噴射圧力20MPaで約0.1ml噴射し、燃焼室内の圧力変化より着火遅れ時間や燃焼時間を測定する。燃焼室内圧力が初圧から0.02MPa上昇した時の時間を着火遅れとした。また、最高圧力到達時間から着火遅れ時間を引いた時間を燃焼時間とした。
本発明に係るC重油組成物の燃焼時間は25ms以下であることが好ましい。ディーゼルエンジン機器を安定に運転するには、燃焼室内での火炎の長さが短いことが有効であることから、燃焼時間が25ms以下であることが好ましく、より好ましくは22ms以下であり、より好ましくは20ms以下である。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度(Tm10)は400℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましい。Tm10が400℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。また、Tm10は150℃以上であることが好ましい。Tm10が150℃より低い場合、引火点が低くなり安全上好ましくない。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での50%重量減少温度(Tm50)は600℃以下であることが好ましく、550℃以下であることがより好ましい。Tm50が600℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。また、Tm50は300℃以上であることが好ましい。Tm50が300℃より低い場合、軽質留分が多くなり経済的に好ましくない。
本発明に係るC重油組成物の熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での90%重量減少温度(Tm90)は800℃以下であることが好ましく、750℃以下であることがより好ましい。Tm90が800℃より高い場合、燃焼障害を起こしやすくなる。また、Tm90は500℃以上であることが好ましい。Tm90が500℃より低い場合、軽質留分が多くなり経済的に好ましくない。
本発明に係るC重油組成物の全芳香族炭化水素含有量(全芳香族分)は、スラッジ生成を抑制するため30容量%以上が好ましく、35容量%以上がより好ましい。また、本発明に係るC重油組成物の2環芳香族炭化水素含有量(2環芳香族分)の下限は、相溶性を確保し、スラッジ生成を抑制するため5容量%以上が好ましく、上限は燃焼性確保のため30容量%以下であることが好ましく、25容量%以下であることがより好ましく、20容量%以下であることがさらに好ましく、15容量%以下であることが特に好ましく、12容量%以下であることが最も好ましい。
なお、本発明において全芳香族炭化水素含有量及び2環芳香族炭化水素含有量とは、石油学会法JPI−5S−22−83「アスファルトのカラムクロマトグラフィー法による組成分析法」により分取された芳香族分について、石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」により測定した全芳香族炭化水素含有量及び2環芳香族炭化水素含有量を意味する。
本発明に係るC重油組成物の15℃密度(15℃における密度)は0.85g/cm以上であることが好ましく、0.88g/cm以上であることがより好ましく、0.90g/cm以上であることが最も好ましい。また、1.05g/cm以下であることが好ましく、1.00g/cm以下であることがより好ましく、0.99g/cm以下であることが最も好ましい。15℃密度が0.85g/cm未満の場合は容量当りの発熱量が小さくなるため好ましくなく、1.05g/cmより大きい場合は、燃焼障害を発生しやすくなるため好ましくない。
本発明に係るC重油組成物の70℃密度(70℃における密度)は0.80g/cm以上であることが好ましく、0.83g/cm以上であることがより好ましい。また、1.00g/cm以下であることが好ましく、0.95g/cm以下であることがより好ましい。70℃密度が0.80g/cm未満の場合は容量当りの発熱量が小さくなるため好ましくなく、1.00g/cmより大きい場合は、燃焼障害が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明において密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られる値を表すものを意味する。
本発明に係るC重油組成物の50℃における動粘度は400mm/s以下であることが好ましく、390mm/s以下であることがより好ましく、380mm/s以下であることが最も好ましい。50℃における動粘度が400mm/sより高い場合は、燃焼障害が発生しやすくなる。また、50℃における動粘度は10mm/s以上であることが好ましい。10mm/sより低い場合は、燃料噴射ポンプが摩耗しやすくなる。
本発明に係るC重油油組成物の100℃における動粘度は50mm/s以下であることが好ましく、45mm/s以下であることがより好ましい。100℃における動粘度が50mm/sより高い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。また、100℃における動粘度は3mm/s以上であることが好ましい。3mm/sより低い場合は、燃料噴射ポンプが摩耗しやすくなる。
本発明において動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の硫黄分は3.5質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。硫黄分が3.5質量%より多い場合はエンジンから排出される硫黄酸化物が増加する懸念がある。
本発明において硫黄分とは、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の窒素分は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。窒素分が1.0質量%より多い場合はエンジンから排出される窒素酸化物が増加する懸念がある。
本発明において窒素分とは、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の引火点は、取り扱い上の安全性の点から70℃以上であることが好ましく、より好ましくは72℃以上である。
本発明において引火点とは、JIS K 2265「引火点の求め方」のペンスキーマルテンス密閉法で測定される値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の残留炭素分は15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。残留炭素分が15質量%より多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明において残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分の求め方」により測定される残留炭素分を意味する。
本発明に係るC重油組成物の灰分は0.10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。灰分が0.10質量%より多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明おいて灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品−灰分及び硫酸灰分試験方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物のバナジウム含有量は100質量ppm以下であることが好ましく、80質量ppm以下であることがより好ましい。バナジウムの含有量が100質量ppmより多い場合、燃焼障害が発生しやすくなる。
本発明おいてバナジウムと含有量とは、JPI−5S−11「重油中のバナジウム分試験方法」に準拠して得られる値を意味する。
本発明に係るC重油組成物の水分は0.5容量%以下であることが好ましく、0.3容量%以下であることがより好ましい。水分が0.5容量%より多い場合、冬季では氷となって析出し、金属腐食やフィルター目詰まりを引き起こしやすくなる。
本発明において水分とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」により測定される値を意味する。
本発明のC重油組成物に用いられる基材としては、常圧蒸留軽油(直留軽油)、常圧蒸留残油、残油脱硫重油、減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油、エキストラクト油、接触分解軽油、接触分解残油、熱分解軽油等のC重油基材を用いることができる。本発明において、これらのC重油基材を、1種単独もしくは2種以上併用して用いることができる。ここで、常圧蒸留軽油、および常圧蒸留残油とは、常圧蒸留装置で原油を常圧において蒸留して得られる軽油、および残油である。残油脱硫重油とは、残油脱硫装置において常圧残油または減圧残油を脱硫したときに得られる重油である。減圧蒸留軽油、および減圧蒸留残油とは、減圧蒸留装置で常圧残油を減圧下で蒸留して得られる軽油、および残油である。エキストラクト油とは、潤滑油原料用減圧蒸留装置からの留分を、溶剤抽出法により抽出分離したもののうち潤滑油に適さない芳香族成分のことである。接触分解軽油、および接触分解残油とは、流動接触分解装置において減圧蒸留軽油、減圧蒸留残油等を分解して得られる軽油、および残油である。熱分解軽油とは、熱分解装置において接触分解残油等を分解して得られる軽油である。
本発明のC重油組成物における上記基材の配合割合は特に限定されないが、常圧蒸留軽油を0〜80容量%、減圧蒸留残油を40〜80容量%、接触分解軽油を0〜40容量%、接触分解残油を0〜30%、熱分解軽油を0〜20容量%配合することが好ましい。
次に、着火性指標Iが0以上15未満となるC重油組成物の調製方法について説明する。
まず、混合する各基材の密度、動粘度、Tm10、Tm50、Tm90をそれぞれ測定する。混合後の密度に関しては各基材の密度と配合割合から算出し、混合後の動粘度に関してはJIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠した方法で算出することができる。また、混合後のTm10、Tm50、Tm90に関しては、それぞれ以下に示す、留分ごとに影響度を重み付した(式2)、(式3)、(式4)により算出することができる。
Tm10=(Σ(1.4×V1)+Σ(0.8×V2)+Σ(0.4×V3))・・・(式2)
Tm50=(Σ(0.6×V4)+Σ(1.5×V5)+Σ(1.3×V6))・・・(式3)
Tm90=(Σ(0.3×V7)+Σ(1.3×V8)+Σ(1.4×V9))・・・(式4)
(式2)において、V1はTm90が300℃未満の基材kのTm10と容積割合をかけた値、V2はTm90が300℃以上500℃未満の基材lのTm10と容積割合をかけた値、V3はTm90が500℃以上の基材mのTm10と容積割合をかけた値である。
(式3)において、V4はTm90が300℃未満の基材kのTm50と容積割合をかけた値、V5はTm90が300℃以上500℃未満の基材lのTm50と容積割合をかけた値、V6はTm90が500℃以上の基材mのTm50と容積割合をかけた値である。
(式4)において、V7はTm90が300℃未満の基材kのTm90と容積割合をかけた値、V8はTm90が300℃以上500℃未満の基材lのTm90と容積割合をかけた値、V9はTm90が500℃以上の基材mのTm90と容積割合をかけた値である。
以上より求めた混合後の密度、動粘度、Tm10、Tm50、Tm90から着火性指標Iを算出し、Iが0以上15未満となるような各基材の配合割合を決定し、本発明に係るC重油組成物を製造することができる。
本発明に係るC重油組成物は、必要に応じて低温流動性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
上述の添加剤は、常法に従い合成したものを用いてもよく、また市販の添加剤を用いてもよい。なお、市販されている添加剤は、その添加剤が目的としている効果に寄与する有効成分を適当な溶剤で希釈している場合もある。有効成分が希釈されている市販添加剤を使用する場合には、有効成分の必要量に応じて市販添加剤を添加することが好ましい。なお、添加量としては任意であるが、C重油組成物全量基準で、通常0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
試験燃料は、表1に示す減圧蒸留残油、接触分解残油、接触分解軽油、常圧蒸留軽油、熱分解軽油を用いて調製した。
これらの試料について評価した結果を表2に示す。なお、C重油組成物の性状測定は、上述の試験法、測定法に準拠して行った。表2より本発明にかかるC重油組成物は、着火性、燃焼性が良好であることがわかる。
Figure 2014051591
Figure 2014051591
本発明のC重油組成物は、着火性に優れボイラー等の外燃機器燃料、大型船舶や発電用などのディーゼルエンジン機器燃料、ガスタービン機器燃料などの燃料として非常に有用である。

Claims (3)

  1. 以下の(式1)にて導かれる着火性指標Iが0以上15未満であることを特徴とするC重油組成物。
    I=exp(−12.205+12.680×d−0.126×ln(V)−0.451×ln(Tm10)+1.589×ln(Tm50)−0.659×ln(Tm90))
    ・・・(式1)
    ((式1)中のdは15℃における密度であり、Vは50℃における動粘度であり、Tm10、Tm50、Tm90は、それぞれ熱重量−示差熱分析による窒素雰囲気下での10%重量減少温度、50%重量減少温度、90%重量減少温度である。)
  2. 全芳香族炭化水素含有量が30容量%以上、2環芳香族炭化水素含有量が5容量%以上30容量%以下である請求項1に記載のC重油組成物。
  3. 15℃における密度が0.85〜1.05g/cm、50℃における動粘度が400mm/s以下、硫黄分が3.5質量%以下、窒素分が1.0質量%以下、引火点が70℃以上である請求項1又は2に記載のC重油組成物。
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