JP6941582B2 - 燃料油組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料油組成物及びその製造方法に関する。
燃料油は、燃焼に際して燃料油中に含まれる硫黄分に起因する硫黄酸化物等の環境汚染物質が発生することから、近年、燃料油中の硫黄分を低減することが求められている。
従来、C重油相当の燃料油は、石油精製の工程で得られる減圧残渣分を軽油留分などの比較的軽質な基材で所望の粘度に調製して製造した後、ボイラー、船舶用内燃機関等に使用されている。減圧残渣分は硫黄分が非常に高い基材であるため、燃料油中の硫黄分を低減するためには、比較的硫黄分の低い基材を用いることが望まれている。
特に、船舶用の燃料油(以下、「舶用油」とも称する。)については、これまで、国際海事機関(IMO)の枠組みの中で締結されたMARPOL条約を核とした環境規制によって、指定海域及び一般海域の硫黄分が段階的に規制されてきた。そして西暦2020年より、船舶油は、硫黄分を一般海域でも0.5質量%以下にすることが必要になった。
また、船舶はその性質上、世界各地で燃料油の供給が必要であることから、国際的な舶用油の規格として「ISO8217」が規定されており、燃料供給側は、この規格に適合した性状を有する燃料を供給することを求められる。
船舶用の燃料油は軽油、A重油、C重油などの様々な燃料油が使用されており、燃料油自体の流動性は、重要な性能である。これまでも流動性が乏しい燃料油が通油性に劣るとの報告がされている。
軽油及びA重油は、これまで、寒冷地での使用を想定して、低温流動性に関して種々の検討がなされている。例えば、A重油の低温流動性を改善する方法としては、アスフアルテン含有量が6.0重量%以上或は残留炭素分が9.5重量%以上であるものを添加物として、A重油基油に対して、0.5〜2.0容量%添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、A重油中の10%残留炭素分、−10℃におけるワックス含有量、アスファルテン分及び流動性向上剤の量が低温流動性に対する重要な因子であるとの知見に基づき、これらの量を特定の範囲にする方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、近年の社会情勢として、エネルギー供給構造高度化法(正式名称:「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」)の制定に代表されるように、石油資源の有効活用が着目されている。かかる観点から、石油精製各社は、重質油の分解装置の装備率を上げてきており、接触分解装置などから留出するスラリーオイル等の分解系基材(以下、単に「分解系基材」とも称する。)の有効活用は、今後の石油精製業において非常に重要な事項である。
スラリーオイルの特徴の一つは、石油精製の脱硫工程を経ているため、減圧残渣分と比べて、比較的硫黄分が低いという点である。このため、環境に配慮した船舶用燃料油の基材として使用することなど、スラリーオイルの有効活用が望まれている。
しかしながら、スラリーオイルは、流動点が比較的高い場合があり、燃料油として使用する際に、流動性を改善させることが、非常に重要である。
特公平03−005438号公報 特許第2640311号公報
C重油相当の燃料油は、一般的にA重油に比べて動粘度が高いことから、ほとんどの場合、加温して使用されており、温度を保持したまま、燃焼室まで通油される。そのため、A重油のように低温時の流動性が大きな問題とはなっておらず、C重油相当の燃料油に関する流動性についての検討に関しては、十分に実施されていないのが実情である。
また、近年の船舶の省エネルギーの観点からいえば、加温せずとも、流動性が改善された燃料油が求められている。
また、上記のとおり、分解系基材の一態様であるスラリーオイルは比較的硫黄分が低く、また、スラリーオイルの使用は石油資源の有効活用にもなることから、燃料油における硫黄分の低減が望まれる現況において、スラリーオイルを適用した燃料油に対する要求がある。しかし、スラリーオイルを積極的に活用し、かつ低温流動性が改善された燃料油組成物は、未だ提供されていないのが現状である。
本発明は、このような状況を踏まえたものであり、硫黄分の含有量が低減され、低温流動性が改善され、かつ分解系基材であるスラリーオイルの有効活用が可能な燃料油組成物、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の技術課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材を含有し、燃料油組成物中の残渣留分の含有量が特定量であることにより燃料油組成物の硫黄分の含有量が低減され、低温流動性が改善され、かつ分解系基材であるスラリーオイルの有効活用が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを含有し、残渣留分の含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下である燃料油組成物。
<2> 前記スラリーオイルの含有量が燃料油組成物の全容量に対して30.0容量%〜80.0容量%であり、前記残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材の含有量が燃料油組成物の全容量に対して20.0容量%〜70.0容量%である<1>に記載の燃料油組成物。
<3> 前記残渣留分が直留残渣又は直留残渣のカットバック基材である、<1>又は<2>に記載の燃料油組成物。
<4> 前記残渣留分のアスファルテン分の含有量が、残渣留分の全質量に対して、2.0質量%〜11.0質量%である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の燃料油組成物。
<5> CCAIが860以下である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の燃料油組成物。
<6> スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを含有し、残渣留分の含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下である燃料油組成物を得る工程を含む、燃料油組成物の製造方法。
<7> 前記燃料油組成物を得る工程は、前記スラリーオイルと前記残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを混合することを含む、<6>に記載の燃料油組成物の製造方法。
本発明によれば、硫黄分の含有量が低減され、低温流動性が改善され、かつ分解系基材であるスラリーオイルの有効活用が可能な燃料油組成物、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1〜5及び比較例1〜3を残渣留分の含有量と、硫黄分及び流動点について整理したプロット図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の比率又は量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の比率又は量を意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、下記項目の値は、以下の試験法方及び計算を用いて求めた値を意味する。
(15℃における密度)
JIS K 2249−1(2011)「原油及び石油製品−密度試験方法」によって測定した値を意味する。
(50℃における動粘度)
JIS K 2283(2000)「原油及び石油製品−動粘度試験方法」によって測定した値を意味する。
(硫黄分)
下記2つの測定方法1又は2のいずれかにより測定する。測定方法は、測定対象物に含有される硫黄量に応じて選択される。
測定方法1(硫黄分が0.0051質量%以上の場合):
JIS K 2541−7(2003)「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」波長分散蛍光X線法によって測定した値を意味する。
測定方法2(硫黄分が0.0050質量%以下の場合):
JIS K 2541−6(2013)「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」紫外蛍光法によって測定した値を意味する。
(流動点)
JIS K 2269(1987)「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」によって測定した値を意味する。
(残留炭素分)
JIS K 2270−2(2009)「原油及び石油製品―残留炭素分の求め方―」によって測定した値を意味する。
(アスファルテン分)
UOP Method 614−80「HEPTANE−INSOLUBLE MATTER IN PETROLEUM OILS USING A MEMBRANE FILTER」によって測定した値を意味する。
(CCAI)
下記の式(1)に示す計算方法で求めた値を意味する。
CCAI=D−140.7log10log10(V+0.85)−80.6 ・・・(1)
式(1)中、Dは15℃における密度(kg/m3)、Vは50℃における動粘度(mm2/s)を示す。
《燃料油組成物》
本発明の燃料油組成物は、スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材(以下、「混合用基材」とも称する)とを含有し、残渣留分の含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下である。
本発明の燃料油組成物は、上記の構成を満たすことで、硫黄分の含有量が低減され、特に、残渣留分の含有量が特定の範囲にあることにより、低温流動性が改善され、かつ分解系基材であるスラリーオイルの有効活用が可能である。
本明細書において、低温流動性が改善されるとは、残渣留分以外は同一基材から構成された燃料油組成物において、残渣留分を含む燃料油組成物の流動点(℃)が、残渣留分を含まない燃料油組成物の流動点(℃)と比べて、5.0℃以上低い流動点を示すことを意味する。
また、スラリーオイルは、石油精製の脱硫工程を経ているため、減圧残渣分等と比べて、比較的硫黄分が低いという特徴を有する。このため、燃料油組成物がスラリーオイルを含むことで、燃料油組成物における硫黄分の効果的な低減が容易となる。
また、燃料油組成物が分解系基材の一態様であるスラリーオイルを含むことで、分解系基材を有効に活用することができる。
[燃料油組成物の性状]
(硫黄分)
本発明の燃料組成物は、硫黄分の含有量が、0.5質量%以下である。
硫黄分の含有量が0.5質量%以下であることにより、船舶、工業炉、ボイラー等で使用した際に排出されるSOx量を抑制することが可能であり、環境への負荷を低減し、かつ、煙道腐食等を抑制することができる。
(流動点の改善効果)
本発明の燃料油組成物は、流動点の改善効果が−5.0℃以上あることが好ましい。流動点の改善効果が−5.0℃以上あることで、加熱などによるコントロールを行わずに通油性を確保することが容易となるため、省エネルギーの観点から好ましい。
(密度)
本発明の燃料油組成物は、15℃における密度が、0.90g/cm〜0.98g/cmであることが好ましく、0.90g/cm〜0.97g/cmであることがより好ましく、0.91g/cm〜0.97cmであることが更に好ましい。
15℃における密度が、0.90g/cm以上であることにより、容量当りの発熱量を大きくすることが可能である。また、0.98g/cm以下であることにより、燃焼障害の発生を抑制することが可能である。
(動粘度)
本発明の燃料油組成物は、50℃における動粘度が、5.000mm/s〜100.0mm/sであることが好ましく、5.000mm/s〜80.0mm/sであることがより好ましく、5.000mm/s〜60.0mm/sであることが更に好ましい。
50℃における動粘度が上記範囲内にあることにより、内燃機関で使用した場合、良好な噴霧状態が得られるため、燃焼の不均一性及び失火を抑制することができ、燃料油組成物を安定して供給することが可能である。
(CCAI)
本発明の燃料油組成物は、CCAIは860以下であることが好ましい。
CCAIが860以下であることにより、内燃機関で燃焼させた際の着火性を良好に維持することが可能である。また、分解系基材の有効活用の面から、少なくとも820以上であることが好ましい。
以下、燃料油基材が含みうる各構成要素について詳細に説明する。
<スラリーオイル>
スラリーオイルは、流動接触分解装置又は残油流動接触分解装置から得られる残渣油であり、沸点が約200℃〜700℃の留分である。
流動接触分解装置又は残油流動接触分解装置としては、特に制限はなく、公知の装置を用いることができる。
一般に、スラリーオイルの精製に適用される流動接触分解装置又は残油流動接触分解装置では、アルミニウム又はシリカを主成分とする触媒が使用されており、残渣分であるスラリーオイル中にはこれらの触媒が混入している場合がある。これらの触媒が、燃料油組成物中に高濃度で存在し、内燃機関の燃焼室内に混入した場合、ピストンのシリンダ又はライナー部を異常摩耗させる等のトラブルが発生する懸念がある。
そのため、スラリーオイル中に触媒が残存している場合には、燃料油基材として配合する前に、静置による沈降、遠心分離、電気泳動などに代表される種々の措置によって、予め、触媒濃度を低減させる、又は、触媒自体を除去することが好ましい。
なお、スラリーオイルは、使用用途等によって、「クラリファイドオイル」等と呼称される場合もある。
スラリーオイルの好適な性状を以下に説明する。
(硫黄分)
スラリーオイルにおける硫黄分の含有量は、スラリーオイルの全質量に対して、0.1質量%〜1.3質量%であることが好ましく、0.1質量%〜1.2質量%であることがより好ましい。
スラリーオイルにおける硫黄分の含有量が、上記範囲内にあることにより、燃料油組成物を、船舶、工業炉、ボイラー等で使用した際に排出されるSOx量を低減することが可能であり、環境への負荷を低減し、かつ、煙道腐食等を抑制することができる。
(密度)
スラリーオイルの15℃における密度は、0.94g/cm〜1.20g/cmであることが好ましく、0.95g/cm〜1.15g/cmであることがより好ましく、0.95g/cm〜1.10cmであることが更に好ましい。
15℃における密度が、上記範囲内にあることにより、燃料油組成物の容量当りの発熱量を大きくすることが可能である。
(動粘度)
スラリーオイルの50℃における動粘度は、20.00mm/s〜700.0mm/sであることが好ましく、25.00mm/s〜600.0mm/sであることがより好ましく、25.00mm/s〜500.0mm/sであることが更に好ましい。
スラリーオイルの50℃における動粘度が、上記範囲内にあることにより、特に内燃機関での使用が可能な燃料油組成物の粘度に調整することが容易となる。
(CCAI)
スラリーオイルのCCAIは、850〜970であることが好ましく、850〜960であることがより好ましく、850〜950であることが更に好ましい。
スラリーオイルのCCAIが上記範囲内にあることにより、燃料油組成物のCCAIを、所望とする一定の範囲に留めることが容易となり、分解系基材の有効活用の面から好ましい。また、上記範囲内のCCAIを有するスラリーオイルは、燃料油組成物を内燃機関で燃焼させた際における良好な着火性の発揮に寄与しうる。
(引火点)
スラリーオイルの引火点は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。
スラリーオイルの引火点が50℃以上であることにより、燃料油組成物の引火点を低下させることなく、取り扱い性を良好に維持することができる。
(スラリーオイルの含有量)
スラリーオイルの含有量は、燃料油組成物の全容量に対して20.0容量%〜85.0容量%であることが好ましく、25.0容量%〜85.0容量%であることがより好ましく、30.0容量%〜80.0容量%であることが更に好ましい。
スラリーオイルの含有量が上記範囲内にあることにより、燃料油組成物のCCAIを所望とする一定の範囲に留め、かつ硫黄分の含有量をより低減することが可能である。よって、燃焼ガス中の硫黄酸化物(SOx)量を低減できるため、環境負荷を低減し、かつ煙道腐食等を抑制することも可能である。
<残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材>
残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材(混合用基材)は残渣留分を含む。混合用基材が残渣留分を含むことで、燃料油組成物の流動点を低下させることができる。
残渣留分としては、特に制限はなく、常圧残渣、減圧残渣に代表される直留残渣油、脱硫装置を経た脱硫残渣油などをそのまま使用してもよいし、残渣油を他基材でカットバックして使用してもよい。残渣留分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
脱硫工程又は分解工程を経た残渣油を使用することはコスト増につながるため、残渣留分としては、直留残渣油、又は直留残渣油をカットバックして使用することが好ましい。
本明細書において、「カットバック」とは残渣油に、他の軽油留分、重油留分等の基材を混合して動粘度、硫黄分等を重油基材としての目的性状に合わせることを意味する。
混合用基材に含まれる残渣留分の含有量は、燃料油組成物の全質量に対して、燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%になるよう調製できれば特に制限はない。
混合用基材を構成する基材は、残渣留分を含めば、特に制限されず、例えば、直留灯油、水素化脱硫灯油、熱分解灯油等に代表される灯油留分;直留軽油(LGO)、減圧軽油(VGO)、直接脱硫軽油、水素化脱硫軽油、間接脱硫軽油、熱分解軽油、接触分解軽油、脱硫減圧軽油等に代表される軽油留分;間接脱硫重油、接触分解重油等に代表される重油留分;を使用することができる。
混合用基材に含まれる残渣留分の好適な性状を以下に説明する。混合用基材は下記に示す好適な性状を有することが好ましい。
(アスファルテン分)
混合用基材に含まれる残渣留分における、アスファルテン分の含有量は、残渣留分の全質量に対して、2.0質量%〜11.0質量%であることが好ましい。アスファルテン分の含有量が上記範囲内にあると、流動点改善効果をより発揮することができる。
上記観点から、アスファルテン分の含有量としては、2.5質量%〜11.0質量%であることがより好ましい。
(硫黄分)
混合用基材に含まれる残渣留分における硫黄分の含有量は、残渣留分の全質量に対して、5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましい。硫黄分の含有量が5.0質量%以下であることにより、燃料油組成物の硫黄分を低減することが容易になる。
(密度)
混合用基材に含まれる残渣留分における15℃における密度は、0.90g/cm〜1.10g/cmであることが好ましく、0.90g/cm〜1.08g/cmであることがより好ましく、0.90g/cm〜1.06cmであることが更に好ましい。
15℃における密度が、上記範囲内にあることにより、燃料油組成物のCCAIを所望とする一定の範囲に留めることが容易になる。
(動粘度)
混合用基材に含まれる残渣留分における50℃における動粘度は、20.00mm/s〜8000mm/sであることが好ましく、20.00mm/s〜5000mm/sであることがより好ましく、20.00mm/s〜3000mm/sであることが更に好ましい。
50℃における動粘度を低くする場合は、より多くの軽質基材を混合する必要があるため、コスト増につながり、また、動粘度が高い場合は混合のし易さ又は、輸送のハンドリング性が難しくなるため、上記範囲であることが好ましい。
(混合用基材の含有量)
混合用基材の含有量としては、燃料油組成物の全容量に対して15.0容量%〜80.0容量%であることが好ましく、15.0容量%〜75.0容量%であることがより好ましく、20.0容量%〜70.0容量%であることが更に好ましい。
なお、混合用基材の含有量とは、混合用基材が残渣留分を含む2種の基材からなる場合には、燃料油組成物における当該残渣留分と当該残渣留分以外の1種の基材の混合物の含有量であり、混合用基材が残渣留分を含む3種以上の基材の混合物である場合には、燃料油組成物における当該混合物の含有量である。
混合用基材の含有量が上記範囲内にあることにより、燃料油組成物の低温流動性の改善がより発揮されると共に、スラリーオイルとの併用による硫黄分の含有量の低減効果により優れる。よって、燃焼ガス中の硫黄酸化物(SOx)量を低減できることから、環境負荷を低減し、かつ、煙道腐食等を抑制することも可能である。
<添加剤>
本発明の燃料油組成物は、必要に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、流動性向上剤、流動点降下剤、酸化防止剤、スラッジ分散剤、エマルジョン防止剤、燃焼促進剤、腐食防止剤等公知の燃料添加剤が挙げられる。添加剤は、1種単独であってもよく、又は2種以上組み合わせてもよい。
〜燃料油組成物の製造方法〜
燃料油組成物の製造方法は、スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを含有し、残渣留分の含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下である燃料油組成物を得る工程を含む。
上記燃料油組成物の製造方法により、硫黄分の含有量が低減され、特に、残渣留分の含有量が特定の範囲にあることにより、低温流動性が改善され、かつ分解系基材であるスラリーオイルの有効活用が可能な燃料油組成物を得ることができる。
前記燃料油組成物を得る工程は、スラリーオイルと混合用基材とを混合することを含むことが好ましい。
スラリーオイル、混合用基材、添加剤等の本製造方法に用いられる原料に関する事項、及び、本製造方法により得られる燃料油組成物に関する事項の詳細は、既述の燃料油組成物の項にて説明した事項と同じであり、ここでは説明を省略する。
スラリーオイルと、混合用基材と、を混合する方法及び混合条件としては、硫黄分が0.5質量%以下となるように調製できれば、特に制限はない。
例えば、スラリーオイルと、混合用基材との混合順序は、特に制限されるものではなく、両者を一度に混合してもよいし、一方に他方を混合してもよい。
本発明の燃料油組成物は、硫黄分の含有量が組成物の全質量に対して0.5質量%以下であり、流動性に優れているため、特に船舶用燃料として好適である。また、本発明の燃料油組成物は、スラリーオイルを含むことから、分解系基材の有効活用を成しうる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例にて示される基材又は燃料油組成物の各性状は、いずれも、既述の方法により測定した値である。
下記表1に、実施例及び比較例に用いたスラリーオイル1及びスラリーオイル2、並びに、残渣留分1〜残渣留分3及び、その他の基材の性状を示す。
Figure 0006941582
なお、残渣留分1及び残渣留分2は減圧残渣留分をカットバックした残渣留分であり、残渣留分3は常圧残渣留分である。
(実施例1〜実施例19及び比較例1〜比較例8)
スラリーオイル1及び2、並びに、混合用基材を用いて、実施例1〜実施例19及び比較例1〜比較例8の燃料油組成物を調製した。
実施例1〜実施例19及び比較例1〜比較例8の各燃料油組成物について、調製に用いたスラリーオイルと混用基材の種類及び配合量、並びに、得られた燃料油組成物の性状を表2〜表4に示す
流動点については、前述の方法に従い実施例1〜実施例19及び比較例1〜比較例8の各燃料油組成物について測定した。
残渣留分以外の基材構成が同一である本実施例及び比較例を比較した場合において、流動点が5.0℃以上低下したもの(流動点改善効果)を、特に低温流動性が改善されているものと判断した。
Figure 0006941582
Figure 0006941582
Figure 0006941582
表2〜表4中、各成分の配合量における「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示す。
表2に示すように、スラリーオイルと、残渣留分を含む2種の前記スラリーオイル以外からなる混合用基材とを含有し、残渣留分単独での含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%である実施例1〜実施例8は、基材構成に残渣留分を含まない比較例1に対して、流動点改善効果を示すことがわかる。
また、残渣留分単独での含有量が燃料油組成物の全容量に対して0.3容量%未満の比較例2及び比較例4では、流動点改善効果が見られない。
さらに、残渣留分単独での含有量が燃料油組成物の全容量に対して5.0容量%を超える比較例3及び比較例5は流動点改善効果が見られるものの、硫黄分が所望とする含有量とならない。
表3に示すように、スラリーオイルと、残渣留分を含む3種の前記スラリーオイル以外からなる混合用基材とを含有し、残渣留分単独での含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%である実施例9及び実施例10は、基材構成に残渣留分を含まない比較例6に対して流動点改善効果を示すことがわかる。
一方で、スラリーオイルと、2種のスラリーオイル以外の混合基材を含有するが、残渣留分を含まない比較例7は流動点改善効果が見られない。
表4に示すように、スラリーオイルと、残渣留分を含む2種の前記スラリーオイル以外からなる混合用基材とを含有し、残渣留分単独での含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%である実施例11〜実施例19は、基材構成に残渣留分を含まない比較例8に対して流動点改善効果を示すことがわかる。
図1に、残渣留分以外は同一の基材構成で作製した実施例1〜5及び比較例1〜3を残渣留分の含有量と、硫黄分及び流動点について整理したプロット図を一例として示す。
残渣留分の含有量が0.3容量%〜5.0容量%である、実施例1〜実施例5は硫黄分が0.50質量%以下であると共に、流動点改善効果が見られている。
また、残渣留分を含まない比較例1、及び残渣留分を含有するが、含有量が0.3容量%未満の比較例2では、流動点がそれぞれ22.5℃及び20.0℃であり、5.0℃以上の流動点の低下が見られず、所望とする優れた流動性改善効果が得られていない。
一方、残渣留分の含有量が5.0容量%を超える比較例3では、流動点改善効果が見られるが、所望とする硫黄分の含有量の範囲を満たさない。また、残渣留分の含有量が増すことで、流動点改善効果が低下する傾向がみられる。
よって本発明の燃料油組成物においては、残渣留分の含有量が、本発明の燃料油組成物が必須とする所望の範囲であることにより、燃料油組成物の硫黄分が低減され、かつ低温流動性が改善されることが理解される。

Claims (5)

  1. スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材と、を含有し、
    前記残渣留分の含有量が、燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下であり、
    前記スラリーオイルの含有量が、燃料油組成物の全容量に対して、30.0容量%〜80.0容量%であり、前記残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材の含有量が、燃料油組成物の全容量に対して、20.0容量%〜70.0容量%である燃料油組成物。
  2. 前記残渣留分が直留残渣又は直留残渣のカットバック基材である、請求項に記載の燃料油組成物。
  3. 前記残渣留分のアスファルテン分の含有量が、残渣留分の全質量に対して、2.0質量%〜11.0質量%である、請求項1又は請求項2に記載の燃料油組成物。
  4. CCAIが860以下である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の燃料油組成物。
  5. スラリーオイルと残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを混合することを含み、
    前記スラリーオイルと、残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材とを含有し、残渣留分の含有量が燃料油組成物の全容量に対して、0.3容量%〜5.0容量%であり、硫黄分が0.5質量%以下であり、前記スラリーオイルの含有量が、燃料油組成物の全容量に対して、30.0容量%〜80.0容量%であり、前記残渣留分を含む2種以上からなる前記スラリーオイル以外の混合用基材の含有量が、燃料油組成物の全容量に対して、20.0容量%〜70.0容量%である燃料油組成物を得る工程を含む、燃料油組成物の製造方法。
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