JP2010115023A - 電動機組み立て方法及び電動機組み立て用ロータガイド治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロータ20とステータ30との間に所定の間隔Cを有した状態でロータ20を案内するロータガイド部110と、ロータガイド部110内の回転軸方向に発生する磁力を調整する磁力調整手段120と、からなるロータガイド治具100を用いて、ロータ20をロータガイド部110に嵌装し、磁力調整手段120によりロータ20に作用する磁力を調整することでロータ20をロータガイド部110に保持し、ロータ20を保持した状態でロータガイド治具100の一端をステータ30内に挿入後に、磁力調整手段120を調整することで、ロータ20をステータ30内へ挿入する。
【選択図】図5
Description
より詳細には、ロータとステータとの間に磁力が作用する状況において容易に電動機を組み立てる技術に関する。
従って、図10に示す如く、電動機の組み立て工程におけるロータ20をステータ30内に挿入する工程では、回転軸10に固定されたロータ20とステータ30との間に働く磁力によりロータ20は傾いた状態で急激に引き込まれてステータ30に吸着したり、回転軸10の一端に設けられたギヤ等が他の電動機を構成する部材に接触したりする場合があり(図10の点線丸枠内)、ロータ20とステータ30との間に所定の間隔C(クリアランス)を確保して組み付けることが困難である。
この方法に用いられる芯出し用シャフトは一対の円柱形状の部材からなり、当該一対の円柱形状の部材は互いに中心線が一直線となり、かつ両者が所定の間隔を空けた状態で支持台に固定される。
芯出し用シャフトを構成する一対の円柱形状の部材の間隔はロータの回転軸の長さと略同じであり、ロータの回転軸の両端はそれぞれ芯出し用シャフトを構成する一対の円柱形状の部材に固定・支持される。ロータの回転軸が芯出し用シャフトに固定されたとき、ロータの回転軸の中心線と芯出し用シャフトの中心線とは一直線となる。
また、この方法に用いられる移動台車は、芯出し用シャフトの長手方向(芯出し用シャフトの中心線の方向)に移動可能であり、移動台車にはステータが収容されたハウジングが固定される。
そのため、特許文献1に記載の方法は、ステータが収容されるハウジングの一端が閉塞されるとともに他端のみが開口した構造のハウジングを有する電動機の組み立てに適用することができないという制約を有する。
この方法に用いられる挿入補助治具はリング状の部材であり、その中央部には貫通孔が形成され、当該貫通孔の直径(内径)はステータの直径(外径)と略同じである。従って、ステータの外周面が挿入補助治具の内周面に当接しつつ、ステータは挿入補助治具に沿って摺動可能である。
上記挿入補助治具を用いた電動機の組み立て方法は、(1)ロータが固定された回転軸の一端をハウジングの一端(閉塞されている方の端部)に軸支する工程と、(2)ロータが固定された回転軸の他端を保持する工程と、(3)挿入補助治具の中心線とハウジングの中心線とが一直線となる状態で、挿入補助治具をハウジングの他端(開口している方の端部)に配置する工程と、(4)ステータの外周面を挿入補助治具の内周面に当接させつつステータを挿入補助治具に沿って摺動させることによりステータをハウジングに挿入する工程と、を含む。例えば、特許文献2に記載の如くである。
従って、ステータの重量が大きい場合には作業性が良くない(取り扱いが困難である)という問題を有する。
回転軸と、
前記回転軸に固定されるロータと、
前記ロータの外周面に対して所定の間隔を有した状態で対向する内周面を有するステータと、
前記回転軸、前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、
を具備する電動機を組み立てる電動機組み立て方法であって、
その外周面が前記ステータの内周面に摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータの外周面と前記ステータの内周面との間に前記所定の間隔を有した状態で前記ロータを回転軸方向に案内するロータガイド部と、
前記ロータガイド部内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を調整する磁力調整手段と、
からなるロータガイド治具を用いて、
前記ロータを前記ロータガイド部内に嵌装し、前記磁力調整手段により前記ロータに作用する磁力を調整することで前記ロータを前記ロータガイド部内に保持するロータ保持工程と、
前記ロータガイド治具の前記ロータガイド部内に前記ロータを保持した状態で、前記ロータガイド部の一端を前記ハウジングに予め固定されている前記ステータ内に挿入するロータガイド治具挿入工程と、
前記ロータガイド部の一端をステータ内に挿入した状態で、前記磁力調整手段により前記ロータに作用する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を制御して前記ロータを前記ロータガイド部内に保持した状態から前記ステータ内へ挿入するロータ挿入工程と、
を含む電動機組み立て方法である。
前記磁力調整手段は、
前記ロータガイド部の外周に配設されるコイルと、
前記コイルに流す電流を制御することで前記コイルから発生する磁力を調整する制御手段と、
を具備する電動機組み立て方法である。
前記ロータ挿入工程は、
前記回転軸の一端に設けられた第一ギヤ歯と当該第一ギヤ歯に噛合する前記ロータの回転駆動力を伝達する伝達軸の一端に設けられた第二ギヤ歯との噛合い時において前記制御手段により前記コイルに流す電流の増減を繰り返すように制御して前記第一ギヤ歯と前記第二ギヤ歯とを噛合させる噛合調整工程を含む電動機組み立て方法である。
前記回転軸の他端に磁性体治具を装着する電動機組み立て方法である。
回転軸と、
前記回転軸に固定されるロータと、
前記ロータの外周面に対して所定の間隔を有した状態で対向する内周面を有するステータと、
前記回転軸、前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、
を具備する電動機を組み立てるために用いられる電動機組み立て用ロータガイド治具であって、
その外周面が前記ステータの内周面に摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータの外周面と前記ステータの内周面との間に前記所定の間隔を有した状態で前記ロータを回転軸方向に案内するロータガイド部と、
前記ロータガイド部内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を調整する磁力調整手段と、
からなる電動機組み立て用ロータガイド治具である。
前記磁力調整手段は、
前記ロータガイド部の外周に配設されるコイルと、
前記コイルに流す電流を制御することで前記コイルから発生する磁力を調整する制御手段と、
を具備する電動機組み立て用ロータガイド治具である。
「原動機」は、自然界に存在するエネルギーを機械的な仕事(力学的なエネルギー)に変換する機械あるいは装置を指す。
ロータ20は回転軸10の中途部に固定され、ロータ20および回転軸10は一体的に回転する。
本実施形態のハウジング40は非磁性体の一例であるアルミニウム合金を射出成形することにより一体的に成形される。ハウジング40は主として軸支部41およびステータ固定部42を有する。
本実施形態では、軸支部41には軸支部41およびステータ固定部42で囲まれる空間とハウジング40の外部とを連通する孔41aが形成され、孔41aに軸受け81が嵌装されるとともに回転軸10の一端が軸受け81に貫装される。
このようにして、回転軸10の一端は軸支部41に回転可能に軸支されるとともに軸支部41に形成された孔41aからハウジング40の外部に向かって突出する。
なお、本実施形態では軸支部41の外側にサンギヤ軸71の一端を軸支するとともに回転軸10の一端、ギア60および遊星歯車機構70の一部を覆うカバー部41bが形成される。
ここで、「ステータ固定部42の一端が軸支部41により閉塞される」とは、軸支部41およびステータ固定部42で囲まれる空間(回転軸10、ロータ20およびステータ30が収容される空間)とハウジング40の外部とを連通する孔が軸支部41に形成されないことを指すのではなく、仮にそのような孔が軸支部41に形成されていても当該孔から軸支部41およびステータ固定部42で囲まれる空間に回転軸10、ロータ20およびステータ30を収容することができない程度にステータ固定部42の一端が軸支部41により塞がれていることを指す。
本実施形態の場合、軸支部41にはカバー部41bを介して軸支部41およびステータ固定部42で囲まれる空間とハウジング40の外部とを連通する孔41aが形成されるが、孔41aはロータ20が固定された回転軸10よりも小さくかつ折れ曲がっているので、孔41aを通してロータ20が固定された回転軸10を軸支部41およびステータ固定部42で囲まれる空間に収容することができない構造となっている。
また、回転軸10、ロータ20およびステータ30がハウジング40に収容されているとき、ステータ30はステータ固定部42に固定され、ステータ30の内周面30aは、軸支部41およびハウジング40のステータ固定部42の他端を閉塞するキャップ(図示せず)に回転可能に軸支された回転軸10に固定されたロータ20の外周面20aに対して所定の間隔を空けて対向する。
なお、ステータ固定部42は筒状の部分であるが、その形状をステータ30の外形に沿った形状(円筒形状)とする必要はなく、例えば角筒形状とする等、他の部材との干渉や強度に応じてその形状を選択することが可能である。
遊星歯車機構70は主としてサンギヤ軸71、キャリア72およびプラネタリギヤ73・73を具備する。
サンギヤ軸71の一端(軸受け83により軸支されている方の端部)の外周面には第二ギヤ歯である歯71a・71a・・・が形成される。歯71a・71a・・・はギヤ60の外周面に形成された歯60a・60a・・・に噛合する。
サンギヤ軸71の外周面の中途部には歯71b・71b・・・が形成される。
プラネタリギヤ73の歯73a・73a・・・はサンギヤ軸71に形成された歯71b・71b・・・に噛合する。
ハブキャリア91のフランジ91aは図示せぬボルトによりハウジング40に固定される。このとき、遊星歯車機構70はハブキャリア91の内周面で囲まれる空間に収容される。
ハブ94の孔にはハブキャリア91が貫装され、ハブ94の孔の内周面とハブキャリア91の外周面とで挟まれる空間にはハブベアリング92・92・・・が介装される。
従って、ハブ94はハブベアリング92・92・・・を介してハブキャリア91、ひいてはインホイールモータ1に回転可能に軸支される。
また、ハブ94はハブディスク93に固定されており、ハブ94、ハブディスク93およびキャリア72は一体となってサンギヤ軸71に対して相対的に回転することが可能である。
ここで、本発明に係る実施形態である電動機組み立て方法に用いられるロータガイド治具100について具体的に説明する。
なお、以下にいうロータ20とは、ギヤ60および軸受け81、82が設けられた回転軸10に固定された状態のロータのことを指す。
また、以下にいう回転軸方向(軸方向)とは、回転軸10が回転する際の中心軸方向のこと、及び、その中心軸と同軸となる軸方向のことを指す。
ロータガイド治具100はインホイールモータ1の組み立ての際に用いられる治具であり、ロータ20をハウジング40に組み付ける治具である。ロータガイド治具100はインホイールモータ1の組み立て時にロータ20とステータ30との間の間隔C(隙間、図1参照)に配置することにより、ロータ20がステータ30に接触することを防止する。すなわち、ロータガイド治具100はロータ20と予めステータ固定部42に固定されたステータ30との干渉、及び、磁力の作用によるロータ20とステータ30との吸着を防止しつつロータ20をステータ30の内部(軸支部41およびステータ30の内周面30aで囲まれる空間)の所定の位置に案内する治具である。
ロータガイド治具100は非磁性体の一例である樹脂からなる。
ロータガイド治具100はロータガイド部110と、磁力調整手段120とからなる。
ロータガイド部110はその軸方向を貫通する貫通孔110bを有しており、該貫通孔110bの内径はロータ20の外径よりわずかに大きいので、ロータ20がこの貫通孔110b内に内嵌されると、ロータ20の外周面20aがロータガイド部110の内周面110cに当接するとともに、ロータ20はロータガイド部110に沿って摺動することが可能である。
また、ロータガイド部110はその一端である突出部が円筒状であり、その円筒の壁厚さ(半径方向の厚さ)が、ロータ20がハウジング40にセットされた際のロータ20の外周面20aとステータ30の内周面30aとの間隔Cと略同等であり、ロータ20を所定のセット位置に案内するとともに、間隔Cを保持してロータ20を所定のセット位置にセットすることが可能であるスペーサとして働くものである。
また、ロータガイド部110はその一端である円筒状突出部の外径がステータ30の内径よりわずかに小さいので、ロータガイド部110がステータ30の内部に挿入されると、ロータガイド部110の外周面110aがステータ30の内周面30aに当接するとともに、ロータガイド部110はステータ30の内周面30aに沿って摺動することが可能である。
つまり、ロータガイド治具100が有する貫通孔110bの内周面110cが、ロータガイド治具100に内嵌されるロータ20の外周面20aに対して摺動可能であり、かつロータガイド治具100のロータガイド部110をステータ30内に挿入した際に、ロータガイド治具100の外周面110aが、ステータ30の内周面30aに対して摺動可能であるので、ロータガイド治具100にロータ20を内嵌した状態で、ロータガイド治具100をステータ30内に挿入し、ロータ20を軸支部41側に摺動させることでステータ30および軸支部41で囲まれる空間の内部の所定のセット位置に案内することが可能となる。
制御手段120bは貫通孔110bに内嵌されたロータ20の回転軸方向における位置を制御するべく、コイル120aに通電を行い、コイル120aに流れる電流値の増減を制御することでコイル120aから所定の磁力を発生させて、ロータ20をロータガイド部110内に保持したり、もしくは、所定速度にて下降させたり、もしくは、所定速度にて上昇させることが可能となり、ロータ20の軸方向の位置や移動速度を適宜制御することが可能となる。
図2に示す如く、本発明に係る電動機組み立て方法の第一実施形態は主としてロータ保持工程S1100、ロータガイド治具挿入工程S1200、ロータ挿入工程S1300およびロータガイド治具抜き取り工程S1400を具備する。
ロータ保持工程S1100が終了したら、ロータガイド治具挿入工程S1200に移行する。
ロータガイド治具挿入工程S1200が終了したら、ロータ挿入工程S1300に移行する。
すなわち、ロータ挿入工程S1300では、ロータ20をロータガイド部110の内部に保持した状態から、コイル120aに流す電流を調整し、上記三つの力のつり合いを制御することで、ロータガイド部110にてロータ20のセンタ位置を保ったまま、ロータ20を所定の速度でステータ30内に挿入することができる。
また、ロータ20のハウジング40おける位置決めは、回転軸10に設けられた軸受け81の一端(図6においては下端)が孔41aに当接することにより行われ、歯60aが歯71aと噛合した状態で、かつ回転軸10の先端(図6においては下端)がカバー部41bの内壁に対して所定の間隔を有して配置される。
ロータ挿入工程S1300が終了したら、ロータガイド治具抜き取り工程S1400に移行する。
すなわち、制御手段120bはロータ20が所定のセット位置に固定された後、コイル120aに対する通電を終了し、ロータガイド部110の回転軸方向に働く磁力の発生を終了する。その際、ロータ20は、所定の間隔Cを有した状態でステータ30と磁力により引き合う状態となり、非磁性であるロータガイド治具100は上方へ容易に抜き取ることができる。
回転軸10と、
前記回転軸10に固定されるロータ20と、
前記ロータ20の外周面20aに対して所定の間隔Cを有した状態で対向する内周面30aを有するステータ30と、
前記回転軸10、前記ロータ20および前記ステータ30を収容するハウジング40と、
を具備する電動機を組み立てる電動機組み立て方法であって、
その外周面110aが前記ステータ30の内周面30aに摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータ20の外周面20aと前記ステータ30の内周面30aとの間に前記所定の間隔Cを有した状態で前記ロータ20を回転軸方向に案内するロータガイド部110と、
前記ロータガイド部110内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータ20の位置を調整する磁力調整手段120と、
からなるロータガイド治具100を用いて、
前記ロータ20を前記ロータガイド部110内に嵌装し、前記磁力調整手段120により前記ロータ20に作用する磁力を調整することで前記ロータ20を前記ロータガイド部110内に保持するロータ保持工程S1100と、
前記ロータガイド治具100の前記ロータガイド部110内に前記ロータ20を保持した状態で、前記ロータガイド部110の一端を前記ハウジング40に予め固定されている前記ステータ30内に挿入するロータガイド治具挿入工程S1200と、
前記ロータガイド部110の一端をステータ30内に挿入した状態で、前記磁力調整手段120により前記ロータ20に作用する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータ20の位置を制御して前記ロータ20を前記ロータガイド部110内に保持した状態から前記ステータ30内へ挿入するロータ挿入工程S1300と、
を含むものである。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、ロータ20とステータ30との間に磁力が作用する場合であっても、ロータ20がステータ30に引き寄せられて吸着することなく、かつロータ20とステータ30間の間隔Cを確保することができるため電動機を容易に組み立てることが可能である。
前記ロータガイド部110の外周に配設されるコイル120aと、
前記コイル120aに流す電流を制御することで前記コイル120aから発生する磁力を調整する制御手段120bと、
を具備する。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、コイル120aに流す電流を制御することで回転軸方向に発生する磁力を調整し、ロータ20の自重とロータ20に作用する磁力をバランスさせることで、回転軸方向におけるロータ位置を自在に制御することができる。
回転軸10と、
前記回転軸10に固定されるロータ20と、
前記ロータ20の外周面20aに対して所定の間隔Cを有した状態で対向する内周面30aを有するステータ30と、
前記回転軸10、前記ロータ20および前記ステータ30を収容するハウジング40と、
を具備する電動機を組み立てるために用いられる電動機組み立て用ロータガイド治具100であって、
その外周面110aが前記ステータ30の内周面30aに摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータ20の外周面20aと前記ステータ30の内周面30aとの間に前記所定の間隔Cを有した状態で前記ロータ20を回転軸方向に案内するロータガイド部110と、
前記ロータガイド部110内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータ20の位置を調整する磁力調整手段120と、
からなる。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、ロータ20とステータ30との間に磁力が作用する場合であっても、ロータガイド治具100を用いることによりロータ20がステータ30に引き寄せられて吸着することなく、かつロータ20とステータ30間のクリアランスを確保することができるため電動機を容易に組み立てることが可能である。
図7に示す如く、本発明に係る電動機組み立て方法の第二実施形態は、第一実施形態と同様に主としてロータ保持工程S1100、ロータガイド治具挿入工程S1200、ロータ挿入工程S1300およびロータガイド治具抜き取り工程S1400を具備しており、第一実施形態におけるロータ挿入工程S1300において、さらに噛合調整工程S1320を含む工程である。具体的には、本実施形態は、第一実施形態におけるロータ挿入工程S1300において、ロータ20を挿入する際の中間の工程として噛合調整工程S1320を追加し、ロータ挿入工程1310、噛合調整工程S1320およびロータ挿入−固定工程S1330としたものである。ロータ保持工程S1100、ロータガイド治具挿入工程S1200およびロータガイド治具抜き取り工程S1400は上述したとおりであり、以下に、本実施形態に係るロータ挿入工程の詳細について説明する。
具体的には、ロータ挿入工程S1300は、主としてロータ挿入工程S1310、噛合調整工程S1320およびロータ挿入−固定工程S1330とを具備する。
ロータ挿入工程S1310が終了したら、噛合調整工程S1320に移行する。
噛合調整工程S1320が終了したら、ロータ挿入−固定工程S1330に移行する。
なお、上記噛合調整工程S1320によって歯60aと歯71bとが噛合った際には、ロータ20(回転軸10)が所定量下降するため、再び噛合わせが外れることはない。
前記ロータ挿入工程S1300は、
前記回転軸10の一端に設けられた第一ギヤ歯である歯60aと当該歯60aに噛合する前記ロータの回転駆動力を伝達する伝達軸であるサンギヤ軸71の一端に設けられた第二ギヤ歯である歯71aとの噛合い時において前記制御手段120bにより前記コイル120aに流す電流の増減を繰り返すように制御して歯60aと歯71aとを噛合させる噛合調整工程S1320を含むものである。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、ロータ位置が回転軸方向にわずかな量上下することで、ギヤの噛合いを容易に行うことができる。
図9に示す如く、本発明に係る電動機組み立て方法の第三実施形態は、前述した第一実施形態及び第二実施形態におけるロータ挿入工程において、より確実にロータ20を挿入することが可能である磁性体治具200を用いるものである。以下、この磁性体治具200の適用について説明する。
この磁性体治具200を、例えばロータ保持工程S1100の開始前においてロータ20の他端に装着する。そして、磁性体治具200をロータ20に装着した状態で、ロータ20をロータガイド治具100内に保持し、ロータ挿入工程S1310における後半の工程となる噛合調整工程S1320およびロータ挿入−固定工程S1330において、ロータ20がコイル120aから離れて、コイル120aからの磁力の作用が弱くなっていく場合においても、回転軸10の他端(後端)に装着された磁性体治具200によりコイル120aから磁力の作用を受けることとなり、ロータ20の軸方向における位置制御をより安定して行うことが可能となる。そうして、磁性体治具200はロータ20が孔41aに軸受け81が嵌装され、ロータ20がセット位置に固定された後で取り外される。
10 回転軸
20 ロータ
20a 外周面
30 ステータ
30a 内周面
40 ハウジング
60a 歯
71 サンギヤ軸
71a 歯
100 ロータガイド治具(電動機組み立て用ロータガイド治具)
110 ロータガイド部
120 磁力調整手段
120a コイル
120b 制御手段
200 磁性体治具
C 間隔
Claims (6)
- 回転軸と、
前記回転軸に固定されるロータと、
前記ロータの外周面に対して所定の間隔を有した状態で対向する内周面を有するステータと、
前記回転軸、前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、
を具備する電動機を組み立てる電動機組み立て方法であって、
その外周面が前記ステータの内周面に摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータの外周面と前記ステータの内周面との間に前記所定の間隔を有した状態で前記ロータを回転軸方向に案内するロータガイド部と、
前記ロータガイド部内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を調整する磁力調整手段と、
からなるロータガイド治具を用いて、
前記ロータを前記ロータガイド部内に嵌装し、前記磁力調整手段により前記ロータに作用する磁力を調整することで前記ロータを前記ロータガイド部内に保持するロータ保持工程と、
前記ロータガイド治具の前記ロータガイド部内に前記ロータを保持した状態で、前記ロータガイド部の一端を前記ハウジングに予め固定されている前記ステータ内に挿入するロータガイド治具挿入工程と、
前記ロータガイド部の一端をステータ内に挿入した状態で、前記磁力調整手段により前記ロータに作用する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を制御して前記ロータを前記ロータガイド部内に保持した状態から前記ステータ内へ挿入するロータ挿入工程と、
を含むことを特徴とする電動機組み立て方法。 - 前記磁力調整手段は、
前記ロータガイド部の外周に配設されるコイルと、
前記コイルに流す電流を制御することで前記コイルから発生する磁力を調整する制御手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の電動機組み立て方法。 - 前記ロータ挿入工程は、
前記回転軸の一端に設けられた第一ギヤ歯と当該第一ギヤ歯に噛合する前記ロータの回転駆動力を伝達する伝達軸の一端に設けられた第二ギヤ歯との噛合い時において前記制御手段により前記コイルに流す電流の増減を繰り返すように制御して前記第一ギヤ歯と前記第二ギヤ歯とを噛合させる噛合調整工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動機組み立て方法。 - 前記回転軸の他端に磁性体治具を装着することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電動機組み立て方法。
- 回転軸と、
前記回転軸に固定されるロータと、
前記ロータの外周面に対して所定の間隔を有した状態で対向する内周面を有するステータと、
前記回転軸、前記ロータおよび前記ステータを収容するハウジングと、
を具備する電動機を組み立てるために用いられる電動機組み立て用ロータガイド治具であって、
その外周面が前記ステータの内周面に摺動可能に当接する略円筒状の部材であり、前記ロータの外周面と前記ステータの内周面との間に前記所定の間隔を有した状態で前記ロータを回転軸方向に案内するロータガイド部と、
前記ロータガイド部内の回転軸方向に発生する磁力を調整することで回転軸方向における前記ロータの位置を調整する磁力調整手段と、
からなることを特徴とする電動機組み立て用ロータガイド治具。 - 前記磁力調整手段は、
前記ロータガイド部の外周に配設されるコイルと、
前記コイルに流す電流を制御することで前記コイルから発生する磁力を調整する制御手段と、
を具備することを特徴とする請求項5に記載の電動機組み立て用ロータガイド治具。
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