JP2010113827A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】反応極に反応ガスを供給する内部ガス流路において液水が凍結した場合には、起動時に反応ガスの供給が妨げられ、起動性が低下する不都合が生じるため、内部ガス流路の閉塞にともなう起動性の低下を抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】システム停止後に、スタック温度が氷点へと低下した際に、ガス拡散層5から液水が染み出さないレベルの排水液水量を特定する。そして、この排水液水量をパージ処理により排水することにより、ガス拡散層5によって保持される液水量を第2の液水量以下に抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来より、燃料極に供給される燃料ガス(例えば、水素)と酸化剤極に供給される酸化剤ガス(例えば、空気)とを電気化学的に反応させることにより発電を行う燃料電池を有する燃料電池システムが知られている。燃料極または酸化剤極である反応極は、触媒層とガス拡散層とで構成されており、一対の反応極の間に電解質膜が挟持されて燃料電池が構成される。
例えば、特許文献1には、燃料電池のシステム停止後に到達する最低温度が氷点下となる場合に、電解質膜の含水量が所定値以下となるように、システム停止時に電解質膜に含まれる水の一部を除去する手法が開示されている。かかる手法によれば、電解質膜の乾燥条件が適切に設定されるため、燃料電池が氷点下に曝された場合であっても、自立起動が可能であり、かつ、凍結による電極の剥離等を抑制することができる。
特開2007−258024号公報
とこで、例えば、反応極に反応ガスを供給する内部ガス流路において液水が凍結した場合には、起動時に反応ガスの供給が妨げられるため、起動性が低下するという不都合がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部ガス流路の閉塞にともなう起動性の低下を抑制することである。
かかる課題を解決するために、本発明は、システム停止時に反応極のガス拡散層が保持する液水量から、燃料電池の規定の温度状態においてガス拡散層が保持する液水量を減算した液水量に相当する液水をパージするパージ処理を行う。
本発明によれば、燃料電池の温度が低下した場合であっても、ガス拡散層から染み出す液水を抑制することができる。そのため、液水が凍結して内部ガス流路を閉塞するといった事態を抑制することができるので、低温時の起動性の低下を抑制することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。燃料電池システムは、例えば、移動体である車両に搭載されており、この車両は燃料電池システムから供給される電力によって駆動する。燃料電池システムは、燃料電池スタック1と、システムを統括的に制御する制御部50とを主体に構成されている。
図2は、燃料電池スタック1の構成を模式的に示す説明図である。燃料電池スタック1は、複数の燃料電池セル2を直列的に積層するとともに、積層方向の両端にエンドプレート(図示せず)を配置して、タイロッド(図示せず)により積層方向に荷重を加えて固定することにより構成される。
個々の燃料電池セル2は、燃料電池構造体を備える。燃料電池構造体は、固体高分子電解質膜3を、一対の反応極(電極)である燃料極と酸化剤極とで挟持することにより構成される。固体高分子電解質膜3は、例えば、フッ素樹脂系イオン交換膜といったイオン伝導性の高分子膜で構成されており、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。一方の反応極である燃料極は、プラチナ等の触媒を担持した白金系の触媒層4と、カーボン繊維等の多孔質体から構成したガス拡散層5とで構成されている。他方の反応極である酸化剤極は、プラチナ等の触媒を担持した白金系の触媒層4と、カーボン繊維等の多孔質体から構成したガス拡散層5とで構成されている。なお、ガス拡散層5には、排水性を確保する観点から、撥水剤が塗布されている。
この燃料電池構造体は、一対のセパレータ6によって挟持されることにより、単一の燃料電池セル2を構成する。燃料電池構造体を両側より挟持するセパレータ6によって、個々の反応極に反応ガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)を供給するための内部ガス流路7が形成されるとともに、隣接するセパレータ6の間に、燃料電池スタック1を冷却するための内部冷却流路8が形成される。
この燃料電池スタック1は、個々の燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、個々の酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、燃料ガスおよび酸化剤ガスを電気化学的に反応させて電力を発生する。本実施形態では、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用いるケースについて説明する。なお、本明細書では、以下、特に断らない限り、燃料極という用語を、個々の燃料電池セル2の燃料極を総体的に表す意味で用いる。同様に、酸化剤極という用語を、個々の燃料電池セル2の酸化剤極を総体的に表す意味で用いる。また、反応極という用語を、酸化剤極および燃料極を総体的に表す意味で用いる。
再び図1を参照するに、この燃料電池スタック1には、燃料電池スタック1に水素を供給するための水素系と、燃料電池スタック1に空気を供給するための空気系と、燃料電池スタック1を冷却するための冷却系(冷却手段)とが備えられている。
水素系において、燃料ガスである水素は、燃料ガス供給手段から水素供給流路L1を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、水素は、例えば、高圧水素ボンベといった燃料タンク10に貯蔵されており、この燃料タンク10から水素供給流路L1を介して燃料電池スタック1に供給される。
水素供給流路L1には、燃料タンク10の下流にタンク元バルブ(図示せず)が設けられているとともに、タンク元バルブの下流に減圧バルブ(図示せず)が設けられている。燃料タンク10内の水素は、タンク元バルブが開状態とされることにより、水素供給流路L1へと供給され、減圧バルブによって所定の圧力まで機械的に減圧される。また、水素供給流路L1には、減圧バルブの下流側に水素調圧バルブ11が設けられている。水素調圧バルブ11の開度は、燃料電池スタック1の燃料極における水素の圧力および流量が所望の値となるように、後述する水素循環ポンプ12の回転数とともに制御部50によって制御される。
燃料電池スタック1の燃料極から排出される排出ガス(未使用な水素を含むガス)は、水素循環流路L2に排出される。水素循環流路L2の他方の端部は、水素供給流路L1における水素調圧バルブ11よりも下流側に接続されている。この水素循環流路L2には、例えば、水素循環ポンプ12といった水素循環手段が設けられている。燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガスは、水素循環手段によって燃料タンク10からの水素に合流させられることにより、燃料極に循環させられる。また、水素循環流路L2には、この流路L2を流れる循環ガス(燃料極からの排出ガス)から当該ガス中に含まれる液水を分離して回収する気液分離装置13が設けられている。
ところで、酸化剤ガスとして空気を用いるケースでは、空気中の不純物が酸化剤極から燃料極に透過するため、燃料極を含む水素循環流路L2内での不純物量が増加し、水素分圧が減少する傾向となる。ここで、不純物は、燃料ガスである水素以外の非燃料ガス成分であり、代表的には窒素を挙げることができる。不純物量、すなわち、窒素量が多くなりすぎると、燃料電池スタック1の出力が低下したり、水素循環ポンプ12によって水素を循環させることができなくなったりし、安定した発電を行うことができなくなる。そのため、燃料極および水素循環流路L2内の窒素量を管理する必要がある。そこで、水素循環流路L2には、循環ガスを外部に排出する水素排出流路L3が設けられている。この水素排出流路L3には、パージバルブ14が設けられており、このパージバルブ14の開き量を調整することにより、水素排出流路L3を介して外部に排出される窒素量を調整することができる。パージバルブ14は、その開き量が制御部50によって制御される。これにより、燃料極および水素循環流路L2内に存在する窒素量を、発電性能および循環性能が維持できるように管理することができる。なお、水素排出流路L3は、その他方の端部が、後述する空気排出流路L5に接続されており、循環ガスは、燃料電池スタック1の酸化剤極からの排出ガスによって希釈された上で、大気に放出される。
空気系において、酸化剤ガスである空気は、空気供給手段から空気供給流路L3を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、空気供給流路L3には、コンプレッサ20が設けられている。コンプレッサ20は、大気(空気)を取り込むとともに、これを加圧して吐出する。加圧された空気は、空気供給流路L3を介して燃料電池スタック1に供給される。
燃料電池スタック1の酸化剤極から排出される排出ガスは、空気排出流路L5を介して外部に排出される。空気排出流路L5には、空気調圧バルブ21が設けられている。この空気調圧バルブ21の開度は、燃料電池スタック1の酸化剤極における空気の圧力および流量が所望の値となるように、コンプレッサ20の回転数とともに制御部50によって制御される。
冷却系は、ラジエータ30と、このラジエータ30と燃料電池スタック1との間で冷却液が循環する閉ループ状の循環流路L6とを有している。ラジエータ30には、ラジエータ30を送風するファン(図示せず)が設けられている。循環流路L6には、冷却液を循環させる循環ポンプ(以下「冷却液循環ポンプ」という)31が設けられている。冷却液循環ポンプ31を動作させることにより、循環流路L6内の冷却液が循環する。循環流路L6から燃料電池スタック1へと流れた冷却液は、内部冷却流路8(図1参照)を通過することにより燃料電池スタック1を冷却する。温度が上昇した冷却液は、循環流路L6を経由してラジエータ30に流れ、ラジエータ30によって冷却される。冷却された冷却液は、燃料電池スタック1に再度供給される。
燃料電池スタック1には、燃料電池スタック1から取り出す出力を制御する出力取出装置40が接続されている。燃料電池スタック1において発電された電力は、出力取出装置40を介して車両駆動用の電動モータや二次電池、燃料電池システムを動作させるために必要な補機に供給される。
制御部50は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従って動作することにより、システムの運転状態を制御する。制御部50としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。この制御部50は、システムの状態に基づいて、各種の演算を行い、演算結果である制御パラメータに対応する制御信号を各種のアクチュエータ(図示せず)に出力する。これにより、各種のバルブの状態、コンプレッサ20の回転数、および、冷却液循環ポンプ31の回転数、出力取出装置などが制御される。
制御部50には、システムの状態を検出するために、各種センサ等からのセンサ信号が入力されている。温度センサ51は、例えば、熱電対を利用したセンサであり、燃料電池スタック1の温度(以下「スタック温度」という)を検出するセンサである。本実施形態において、温度センサ51は、スタック温度に対応する、燃料電池スタック1から排出される冷却液の温度を検出する。
本実施形態との関係において、制御部(制御手段)50は、システム停止時、停止処理を実行する。具体的には、制御部50は、停止処理において、パージ手段を制御することにより、システム停止時に、燃料電池スタック1の反応極のガス拡散層5が保持する液水量から、燃料電池の規定の温度状態においてガス拡散層5が保持する液水量を減算した液水量に相当する液水をパージするパージ処理を行う。ここで、ガス拡散層5が保持する液水量(以下「GDL液水量」という)は、ガス拡散層5の空孔に対する液水含水量である。また、本実施形態において、パージ手段は、反応極である燃料極に水素を供給する水素系、反応極である酸化剤極に空気を供給する空気系が該当する。
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法、具体的には、システム停止時に実行する停止処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、イグニッションスイッチのオフ信号の入力をトリガーとして、制御部50によって実行される。
まず、ステップ10(S10)において、制御部50は、燃料電池スタック1の発電が停止したか否かを判断する。発電が停止した状態とは、一般に、発電に関わるシステムが全て停止した状態を指す。ただし、本実施形態では、GDL液水量が増加しないと判断される場合に、発電停止と判断してもよい。具体的には、発電にともなう生成水が発生し得なくなった状態を、発電停止と判断してもよい。例えば、制御部50は、図示しない電流センサおよび電圧センサから得られる検出結果に基づいて、当該状態を判断するといった如くである。
このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、燃料電池スタック1の発電が停止した場合には、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、燃料電池スタック1の発電が停止していない場合には、所定時間後にステップ10の判断を再度行う。
ステップ11(S11)において、制御部50は、燃料電池スタック1の状態を検出する。本ステップにおいて検出すべき燃料電池スタック1の状態とは、燃料電池スタック1の温度状態であり、本ステップ11では、スタック温度が検出される。具体的には、制御部50は、温度センサ51によって検出されるスタック温度を読み込む。
ステップ12(S12)において、制御部50は、パージパラメータを決定する。このパージパラメータは、後述するパージ処理における運転条件を定めるためのパラメータであり、第1の液水量Wtと、第2の液水量W0とがこれに該当する。ここで、第1の液水量Wtは、現在(システム停止時)のGDL液水量である。これに対して、第2の液水量W0は、内部ガス流路7において液水の凍結が生じる温度に基づいて設定される燃料電池スタック1の規定の温度状態、具体的には、氷点に対応するGDL液水量である。GDL液水量は、ガス拡散層5に塗布される撥水剤の量と、スタック温度とに起因して変化する。ここで、撥水剤の量は、経年的な劣化等の要因を考慮しなければ、燃料電池スタック1の作成時に固定的に定まるため、GDL液水量は、スタック温度の影響を支配的に受けることとなる。
そこで、制御部50は、実験やシミュレーションを通じて、スタック温度と、ガス拡散層5が保持することができる液水量の最大値との対応関係を予め取得しておき、この対応関係をマップ或いは演算式としてROM(記憶手段)に保持している。そして、制御部50は、マップ或いは演算式を参照し、ステップ11において検出されたスタック温度に基づいて、当該スタック温度に対応する第1の液水量Wtを演算する。また、制御部50は、氷点(例えば、0℃)に対応する第2の液水量W0を演算する。
ステップ13(S13)において、制御部50は、燃料極または酸化剤極のガス拡散層5に保持された液水をパージするパージ処理を行う。具体的には、制御部50は、第1の液水量Wtから第2の液水量W0を減じた液水量(以下「排水液水量」という)Wpに相当する液水がガス拡散層5からパージ(掃気)されるように、燃料極へ水素を供給するとともに、酸化剤極へ空気を供給する。この場合、実験やシミュレーションを通じて、排水液水量Wpに相当する液水がガス拡散層5から排水されるような運転条件(流量、圧力、時間など)を予め取得しておき、制御部50はこれを内部データとして保持している。そして、制御部50は、排水液水量Wpに基づいて、内部データから特定される運転条件を特性し、この運転条件に基づいて、ガス供給運転を行う。
以下、本実施形態に示す燃料電池システムおよびその制御方法に関する概念について説明する。
図4は、スタック温度と撥水剤量とGDL液水量との関係を示す説明図である。同図において、Awrは、ガス拡散層5に塗布される撥水剤の量を示し、Gwrは、GDL液水量を示す。また、T0〜T2は、スタック温度を示し、T0よりもT1の方が温度が高く、T1よりもT2の方が温度が高いことを示している。同図から分かるように、GDL液水量Gwrは、撥水剤量Awrの増加に応じて、その値が減少する傾向を有する。また、GDL液水量Gwrは、スタック温度が低い程、その値が相対的に小さくなる傾向を有している。ガス拡散層5は、反応ガスが拡散できるように多孔質体の構造を有するが、この多孔質体の空孔に液水が溜まることにより、ガス拡散層5によって液水が保持される。GDL液水量Gwrは、撥水剤量Awrとスタック温度とによって変化することを示している。
上述した通り、撥水剤量Awrは、燃料電池スタック1の発電特性といった種々の特性を考慮して決められた値であり、燃料電池スタック1を製作する際に決定される。そのため、撥水剤量Awrを積極的に制御することはできず、GDL液水量の変化は、スタック温度の変化に依存する。通常、燃料電池スタック1の運転温度は常温以上で使用するが、スタック温度が高いため、GDL液水量は多い。このようなスタック温度が高い状況でシステムを停止した場合には、当該スタック温度に応じた液水をガス拡散層5は保持してる。しかしながら、システムを停止している期間中に、外気の温度が下がると、これに対応してスタック温度も下がる。スタック温度の低下に応じて、GDL液水量も低下するため、保持しきれない液水が内部ガス流路7に流出することとなる。外気温が氷点下近傍またはそれ以下に低下した場合には、内部ガス流路7に流出した液水が凍結する。液水が凍結した場合、次回の起動に、凍結によって内部ガス流路7が閉塞されるため、起動不良などの影響を及ぼすため、ガス拡散層5が保持する液水を管理する必要がある。
図5は、氷点下からの起動実験を行った際に、ガス拡散層5によって保持される液水を回収した実験結果を示す図である。同図において、Timeは時間を示し、Rwrはガス拡散層5から排出された液水量(以下「排水液水量」という)を示す。また、ガス拡散層5から液水を排水させる際の反応ガスの流量をパラメータとしている。具体的には、Qhは、反応ガスの流量を高レベルに設定した際の排水液水量の推移を示し、Qmは、反応ガスの流量を中レベルに設定した際の排水液水量の推移を示す。また、Qlは、反応ガスの流量を低レベルに設定した際の排水液水量の推移を示しており、Gwrは、ガス拡散層5によって保持されている液水量を示す。なお、本実験では、電解質膜を乾燥させた上で、システムの起動を行っている。
同図から、反応ガスの流量が低レベルの場合には、ガス拡散層5が保持している液水を完全に排水しきれていないことがわかる。この排水できなかった液水が流路閉塞の原因となる。また、この実験を行った際の氷点下からの起動性能に差異がみられなかったことから、電解質膜3のパージ処理は問題なく行えていたことを示唆している。ここで、起動性能は、電解質膜3としての乾燥度合いで得られる性能の事であり、特定の燃料電池セル2が流路閉塞により、反応ガスが分配されないことによる劣化や出力低下に関する性能ではない。このような要因としては、ガス拡散層5は、反応ガスが通過するよう多孔質体で構成されているが、この多孔質体の空孔には液水が常に満水になっているわけではない。反応ガスの通過することのできる空間が存在し、この空間を反応ガスが通過するために、反応ガスの流量のレベルに拘わらず、電解質膜3の液水をパージ処理できていると考える。
図6は、排水液水量Rwrと、動圧DPとの関係を示す説明図である。同図に示す一点鎖線は、Gwrは、ガス拡散層5によって保持されている液水量を示す。同図から分かるように、ガス拡散層5や内部ガス流路7の液水を排水するためには、反応ガスの湿度感度よりも動圧(流速)が大きくなければ排水を行うことができない。
図7は、電解質膜3およびガス拡散層5に関する起動条件の実験結果を示す説明図である。同図において、Amで示す領域は、含水状態の電解質膜3では起動が困難となる温度条件を示し、Agで示す領域は、含水状態の電解質膜3では起動が困難となる温度条件を示す。氷点(例えば、0℃)下からの起動実験を行った結果、氷点下にだからといって必ず電解質膜3の液水をパージ処理しないといけないわけではない。同図に示すように、含水状態の電解質膜3は、0℃よりも低い温度領域であっても、起動を行うことができる温度条件がある。一方で、含水状態のガス拡散層5は、0℃よりも低い温度領域では、起動が困難となる。そのため、電解質膜3を主体として考えた場合には、パージ処理を行わなくてもよいような温度条件であっても、ガス拡散層5から内部ガス流路7にもれ出し凍結する液水を考慮して、これをパージ処理しておかなければならないこととおなる。
このように本実施形態によれば、停止処理において、第1の液水量Wtから、第2の液水量W0を減算した排水液水量Wpに相当する液水をパージするパージ処理が行われる。図8は、第1の液水量Wtおよび第2の液水量W0と排水液水量Wpとの関係を示す説明図である。かかる構成によれば、システム停止後に、スタック温度が氷点へと低下した際に、ガス拡散層5から液水が染み出さないレベルの排水液水量Wpを把握することができる。そのため、この排水液水量Wpをパージ処理により排水することにより、ガス拡散層5によって保持される液水量を第2の液水量W0以下に抑制することができる。そのため、スタック温度が氷点へと低下した場合であっても、内部ガス流路7へと染み出す液水を抑制することができる。そのため、液水が凍結して内部ガス流路7が閉塞するといった事態を抑制することができるので、低温時の起動性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、内部データを参照して、現在のスタック温度から第1の液水量Wtを特定することで、排水液水量Wpを容易に特定することができる。
換言すれば、本発明は、停止処理において、反応極のガス拡散層5が保持する液水量Waを、第2の液水量W0以下へと制御するパージ処理を行うこととなる。かかる構成によれば、システム停止後に、スタック温度が氷点へと低下しても、内部ガス流路7に液水が染み出すといった事態を抑制することができる。そのため、液水が凍結して流路閉塞を起こし、起動性能を低下させるといった事態を抑制することができる。
図9は、パージ処理後に反応極のガス拡散層5によって保持される液水量Waと第2の液水量W0との関係を示す説明図である。なお、上述した実施形態では、排水液水量Wpに基づいて、パージ処理の運転条件を特性し、この運転条件に基づいて、ガス供給運転を行っている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。実験やシミュレーションを通じて、種々のスタック温度に対応して、パージ処理後にガス拡散層5によって保持される液水量Waが第2の液水量W0以下となるような運転条件(流量、圧力、時間など)を予め取得しておき、制御部50はこれを内部データとして保持していてもよい。そして、制御部50は、システム停止時のスタック温度に基づいて、内部データから特定される運転条件を特性し、この運転条件に基づいて、ガス供給運転を行ってもよい。
また、このようなケースでは、パージ処理後に反応極のガス拡散層5によって保持される液水量Waを0よりも大きな値となるように制限することが好ましい。かかる構成によれば、乾燥させすぎないようにガス拡散層5の液水を残して停止することとなる。そのため、起動時にガス拡散層5を通過した反応ガスを、残留する液水により加湿することができる。
なお、ガス拡散層5によって保持される液水を排水する手法としては、反応ガスを加圧して急減圧することにより、体積膨張を利用して排水するなどしてもよい。
また、ガス拡散層5から排出される液水量を推定する手法としては、燃料電池スタック1のガス出口近傍もしくは排出流路に液水回収装置を設け、これに貯まる排水量を直接的に計測してもよい。
また、第2の液水量W0は、基本的に、スタック温度が氷点におけるGDL液水量に相当する。ただし、燃料電池スタック1の特性、例えば、内部ガス流路7の形態等に応じて、氷点以下であっても液水が凍結せずに流路閉塞が生じ得ないような状況であれば、凍結が生じ始める温度に対応するGDL液水量を第2の液水量W0として設定してもよい。
また、スタック温度を検出する手法としては、冷却液の温度を検出する以外にも、燃料電池スタック1の温度を直接的に検出したり、燃料電池スタック1から排出されるガスの温度を検出したりしてもよい。また、燃料電池スタック1に流入する冷却水の温度より、燃料電池スタック1の発電負荷に応じて、スタック温度を算出してもよい。
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法、具体的には、システムの停止時に実行する停止処理の手順を示すフローチャートである。なお、燃料電池システムのシステム構成については、第1の実施形態と同一であるため、重複する説明については省略することとし、以下相違点を中心に説明する。
図10のフローチャートに示す処理は、例えば、イグニッションスイッチのオフ信号の入力をトリガーとして、制御部50によって実行される。
まず、ステップ20(S20)において、制御部50は、燃料電池スタック1の発電が停止したか否かを判断する。発電が停止した状態とは、一般に、発電に関わるシステムが全て停止した状態を指すが、本実施形態では、GDL液水量が増加しないと判断される場合に、発電停止と判断してもよい。具体的には、発電によって生成される生成水が発生しないような状態を判断する。
このステップ20において肯定判定された場合、すなわち、燃料電池スタック1の発電が停止した場合には、ステップ21(S21)に進む。一方、ステップ20において否定判定された場合、すなわち、燃料電池スタック1の発電が停止していない場合には、所定時間後にステップ20の判断を再度行う。
ステップ21(S21)において、制御部50は、冷却液を循環させて燃料電池スタック1を冷却する。ステップ21に続くステップ22(S22)において、制御部50は、燃料電池スタック1の冷却が完了したか否かを判断する。本ステップ22において、燃料電池スタック1の目標冷却温度は、例えば、氷点であり、制御部50は温度センサ51によって検出されるスタック温度が目標冷却温度に到達したか否かを判断する。このステップ22において肯定判定された場合、すなわち、スタック温度が目標冷却温度に到達した場合には、ステップ23の処理に進む。一方、ステップ23において否定判定された場合、すなわち、スタック温度が目標冷却温度に到達していない場合には、再度ステップ21の処理に戻る。
ステップ23において、制御部50は、パージ処理を行う。具体的には、制御部50は、予め設定された運転条件(流量、圧力など)に基づいて、ガス供給運転を行う。これにより、燃料電池スタック1の冷却により内部ガス流路7に染み出した液水のパージ(排水)を行う。
ステップ24において、制御部50は、内部ガス流路7に染み出した液水のパージが完了したか否かを判断する。具体的には、制御部50は、運転状態に対応して設定されるパージ時間の経過を判断する。このステップ24において肯定判定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ24において否定判定された場合には、ステップ23に戻る。
このように本実施形態によれば、燃料電池スタック1を冷却して、その後に、パージ処理を行っている。かかる手法によれば、冷却に伴うスタック温度の低下により、反応極のガス拡散層5によって保持される液水が内部ガス流路7に排出される。そのため、パージ処理では、内部ガス流路7に流出した液水をパージすればよいので、パージ処理の時間を短縮することができる。また、かかる手法によれば、反応極のガス拡散層5が保持する液水量の現在量(第1の液水量Wt)を特定する必要がなく、内部ガス流路7に染み出した液水をパージするだけなので、排水量を計測するなどの処理を省略することができる。
なお、本実施形態では、パージ処理を行う前提として、燃料電池スタック1の冷却を行っているが、パージ処理とともに燃料電池スタック1の冷却を行ってもよい。
また、燃料電池スタック1を冷却する手法としては、燃料電池スタック1を急速に冷却できるような装置を別途備えつけ、冷却水を急冷却してもよい。
また、冷却する際の目標冷却温度は氷点、あるいは、氷点よりも大きな温度に設定することが好ましいが、氷点に近い程、ガス拡散層5によって保持される液水がガス拡散層5より排水された際の流路閉塞をより有効に抑制することができる。また、目標冷却温度を氷点より小さくすると、内部ガス流路7に排水された液水が急速に凍結する可能性があるので、この観点からも氷点以上に設定することが望ましい。なお、冷却目標温度が氷点でない場合には、氷点からの温度差に応じて、運転条件またはパージ時間を設定すればよい。
なお、上述した、第1または第2の実施形態では、燃料電池スタック1の反応極、すなわち、燃料極および酸化剤極のそれぞれをパージ処理の対象としているが、必ずしも両方の極についてパージ処理を行う必要はない。燃料極および酸化剤極の一方の極のみをパージ処理の対象としてもよい。例えば、燃料極側の内部ガス流路の閉塞によるガス不足を抑制したい場合には、燃料極のみを対象としてパージ処理を行うといった如くである。また、液水を排水する手法として、酸化剤ガスまたは燃料ガスを用いているが、別途不活性ガス(例えば、窒素等)を供給できる手段を設けて、このガスを利用してパージ処理を行ってもよい。
第1の実施形態にかかる燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図 燃料電池スタック1の構成を模式的に示す説明図 第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート スタック温度と撥水剤量とGDL液水量との関係を示す説明図 氷点下からの起動実験を行った際にガス拡散層5によって保持される液水を回収した実験結果を示す図 排水液水量Rwrと動圧DPとの関係を示す説明図 電解質膜3およびガス拡散層5に関する起動条件の実験結果を示す説明図 第1の液水量Wtおよび第2の液水量W0と排水液水量Wpとの関係を示す説明図 パージ処理後に反応極のガス拡散層5によって保持される液水量Waと第2の液水量W0との関係を示す説明図 第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート
符号の説明
1…燃料電池スタック
2…燃料電池セル
3…固体高分子電解質膜
4…触媒層
5…ガス拡散層
6…セパレータ
7…内部ガス流路
8…内部冷却流路
10…燃料タンク
11…水素調圧バルブ
12…水素循環ポンプ
13…気液分離装置
14…パージバルブ
20…コンプレッサ
21…空気調圧バルブ
30…ラジエータ
31…冷却液循環ポンプ
40…出力取出装置
50…制御部
51…温度センサ

Claims (7)

  1. 電極触媒層およびガス拡散層で構成される反応極と電解質膜とを備える燃料電池と、
    前記反応極のガス拡散層から、当該ガス拡散層が保持する液水をパージするパージ手段と、
    システム停止時に実行する停止処理において、前記パージ手段を制御することにより、システム停止時に前記反応極のガス拡散層が保持する液水量から、前記燃料電池の規定の温度状態において前記ガス拡散層が保持する液水量を減算した液水量に相当する液水をパージするパージ処理を行う制御手段と
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 電極触媒層およびガス拡散層で構成される反応極と電解質膜とを備える燃料電池と、
    前記反応極のガス拡散層から、当該ガス拡散層が保持する液水をパージするパージ手段と、
    システム停止時に実行する停止処理において、前記パージ手段を制御することにより、前記反応極のガス拡散層が保持する液水量を、前記燃料電池の規定の温度状態において前記ガス拡散層が保持する液水量以下へと制御するパージ処理を行う制御手段と
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、前記パージ処理において、前記反応極のガス拡散層が保持する液水量が0よりも大きな値となるように制限することを特徴とする請求項2に記載された燃料電池システム。
  4. 前記規定の温度状態は、前記反応極に反応ガスを供給するガス流路において液水の凍結が生じる温度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載された燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料電池の温度と、前記反応極のガス拡散層が保持する液水量との対応関係を記憶する記憶手段とをさらに有し、
    前記制御手段は、前記記憶手段を参照することにより、システム停止時に前記温度検出手段によって検出される前記燃料電池の温度に基づいて、前記ガス拡散層が保持する液水量を特定することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池を冷却する冷却手段をさらに有し、
    前記制御手段は、前記パージ処理を行うとともに、前記冷却手段を制御して前記燃料電池を冷却することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池を冷却する冷却手段をさらに有し、
    前記制御手段は、前記パージ処理を行う前提として、前記冷却手段を制御して前記燃料電池を冷却することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
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