JP2010112418A - 自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した回転抵抗トルクを有する自在継手を提供すること。
【解決手段】トラニオン14aの外周面27には、環状の3つのアンギュラ型の内輪軌道溝31,32,33が配置されている。外輪カップ23の円筒部37の内周面39には、環状の3つのアンギュラ型の外輪軌道溝41,42,43が配置されている。複数のボール24,25,26は、内輪軌道溝31,32,33と外輪軌道溝41,42,43との間に介在されている。第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26は、これらボール24,25,26と内輪軌道溝31,32,33との接触点におけるボール荷重の方向が、外方に向かうに従って、ラジアル方向に対して胴体19側に向けて傾斜している。
【選択図】図2
【解決手段】トラニオン14aの外周面27には、環状の3つのアンギュラ型の内輪軌道溝31,32,33が配置されている。外輪カップ23の円筒部37の内周面39には、環状の3つのアンギュラ型の外輪軌道溝41,42,43が配置されている。複数のボール24,25,26は、内輪軌道溝31,32,33と外輪軌道溝41,42,43との間に介在されている。第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26は、これらボール24,25,26と内輪軌道溝31,32,33との接触点におけるボール荷重の方向が、外方に向かうに従って、ラジアル方向に対して胴体19側に向けて傾斜している。
【選択図】図2
Description
本発明は、一対のヨークと十字軸とを有する自在継手に関する。
自在継手は、たとえば自動車のステアリング装置に用いられていて、互いに交差する方向に延びる一対の軸部材をトルク伝達可能に連結する。この自在継手は、それぞれ対応する軸部材に連結される一対のヨークと、これら一対のヨークを互いに連結する十字軸とを有している。十字軸の軸部としてのトラニオンがヨークに軸受を介して揺動自在に支持されている。
軸受は、外輪カップと、複数の針状ころとを有している。外輪カップは、カップ形状をなし、自在継手ヨークの外輪カップ用嵌合孔に嵌め込まれている。複数の針状ころは、外輪カップの内周面とトラニオンの外周面との間に、環状に配列された状態で介在している。
また、軸受として深溝玉軸受が用いられることもあるが(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)、自在継手には、通例、上述の針状ころが用いられている。
また、軸受として深溝玉軸受が用いられることもあるが(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)、自在継手には、通例、上述の針状ころが用いられている。
前述のような自在継手に用いられる軸受には、ヨーク同士のがたつきの発生を防止するために、針状ころのラジアルすきまが負すきまにされているものがある。すなわち、トラニオンの外周面と外輪カップとの間の径方向の間隔が針状ころの外径よりも小さくされている。
特開平9−79281号公報
実開平2−94933号公報
しかしながら、軸受の針状ころのラジアルすきまが過度の負すきまであると、針状ころに加わるラジアル荷重が大きい。このため、針状ころの外輪カップに対する組幅が適切に管理されていないと、トラニオンと針状ころとの摩擦により、回転抵抗トルクがばらつくおそれがある。
そこで、本発明は、安定した回転抵抗トルクを有する自在継手を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、安定した回転抵抗トルクを有する自在継手を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、一対のヨーク(12,13)が十字軸(14)によって連結された自在継手(1)であって、前記十字軸の軸部をなす円柱状のトラニオン(14a,14b,14c,14d)と、前記ヨークと前記各トラニオンとを連結する軸受(15)とを含み、前記軸受は、前記ヨークの嵌合孔(18A,18B,18C,18D)に嵌合される外輪(23)と、前記トラニオンと前記外輪との間に介在する複数のボール(24,25,26)とを含み、前記トラニオンが、軸方向に並ぶ複数のアンギュラ型の内輪軌道溝(31,32,33)が形成された外周面(27)を有し、前記外輪が、前記内輪軌道溝に対向し、軸方向に並ぶ複数のアンギュラ型の外輪軌道溝(41,42,43)が形成された内周面(39)を有し、前記複数のボールが、前記内輪軌道溝と前記外輪軌道溝との間に介在し、前記トラニオンの周囲を取り囲む環状の複数の列を構成し、前記複数のボールは、異なる列において、当該ボールと前記内輪軌道溝(または前記外輪軌道溝)との接触点におけるボール荷重の方向が、ラジアル方向に対して共通する方向に傾斜しており、前記軸受には、軸方向の予圧が付与されている、自在継手である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、異なる列において、ボールと内輪軌道溝との接触点におけるボール荷重の方向が、ラジアル方向に対して共通する方向に傾斜している。すなわち、並列に組み合わされた複列のアンギュラ型の軸受が、外輪とトラニオンとの間に介在する。そして、この軸受には、軸方向の予圧が付与されている。
この構成によれば、異なる列において、ボールと内輪軌道溝との接触点におけるボール荷重の方向が、ラジアル方向に対して共通する方向に傾斜している。すなわち、並列に組み合わされた複列のアンギュラ型の軸受が、外輪とトラニオンとの間に介在する。そして、この軸受には、軸方向の予圧が付与されている。
軸受に予圧が付与されているのでトラニオンやボールのがたつきがない。そして、かかる構成の軸受であれば、ヨークから外輪に与えられるラジアル方向の荷重だけでなく、ヨークから外輪に与えられる軸方向の荷重も、ボールを介してトラニオンに良好に伝達される。このため、ヨークまたはトラニオンに軸方向の荷重が作用する場合であっても、自在継手の回転抵抗トルクがばらつかず、回転抵抗トルクを安定化させることができる。
また、ボールの列が複数あるので、各ボールのサイズが大きくなくても、これらのボールによってヨークからのラジアル方向の荷重を良好に受けることができる。このため、各ボールのサイズを小さくすることができる。したがって、トラニオンと外輪との間にボールを介在させても、軸受が大型化しない。
前記ボールと前記内輪軌道溝(または前記外輪軌道溝)との接触点におけるボール荷重の方向が、外方に向かうに従って、ラジアル方向に対して前記トラニオンの先端とは反対側に向けて傾斜していてもよい。
前記ボールと前記内輪軌道溝(または前記外輪軌道溝)との接触点におけるボール荷重の方向が、外方に向かうに従って、ラジアル方向に対して前記トラニオンの先端とは反対側に向けて傾斜していてもよい。
また、前記複数の内輪軌道溝は、前記トラニオンの先端側に近づくに従って、その径が小さくされていることが好ましい(請求項2)。
外輪とトラニオンとの間に針状ころを介在させる従来の構成では、針状ころに予圧を付与するために、嵌合溝の径よりも大径に形成された外輪を縮径させつつ嵌合溝に圧入させる必要があり、そのため、外輪のトラニオンへの嵌め入れが困難である。また、外輪の圧入の際にトラニオンが変形したり、欠けたりするおそれがある。
外輪とトラニオンとの間に針状ころを介在させる従来の構成では、針状ころに予圧を付与するために、嵌合溝の径よりも大径に形成された外輪を縮径させつつ嵌合溝に圧入させる必要があり、そのため、外輪のトラニオンへの嵌め入れが困難である。また、外輪の圧入の際にトラニオンが変形したり、欠けたりするおそれがある。
これに対し、本発明では、各内輪軌道溝がアンギュラ型の内輪軌道溝であり、しかも、複数の内輪軌道溝の径が、前記トラニオンの先端側に近づくに従って小さくされている。このため、トラニオンに複数のボールを取り付けた後、トラニオンの先端側から外輪をトラニオンに向けて押し付けることにより、ボールに対し予圧を付与することができる。つまり、軸受の組み付け時、すなわち外輪のトラニオンへの嵌め入れと同時にボールに予圧が付与されるので、軸受の組み付けを比較的容易に行うことができる。
前記各列のボールの接触角(前記ボールと前記内輪軌道溝(または前記外輪軌道溝)との接触点におけるボール荷重のラジアル方向に対する角度)が、互いに同じ大きさであってもよい(請求項3)。
また、一つの列を構成する前記複数のボールをそれぞれ一括して保持する複数の保持器(44,45,46)をさらに含む場合には、前記トラニオンの外周面および前記外輪の内周面の少なくとも一方には、前記保持器により保持された前記複数のボールを、前記トラニオンまたは前記外輪に組み付ける際に、これらのボールを前記内輪軌道溝または前記外側軌道に仮保持させるための突出部(34,35,36)が設けられていることが好ましい(請求項4)。
また、一つの列を構成する前記複数のボールをそれぞれ一括して保持する複数の保持器(44,45,46)をさらに含む場合には、前記トラニオンの外周面および前記外輪の内周面の少なくとも一方には、前記保持器により保持された前記複数のボールを、前記トラニオンまたは前記外輪に組み付ける際に、これらのボールを前記内輪軌道溝または前記外側軌道に仮保持させるための突出部(34,35,36)が設けられていることが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、突出部によってボールを内輪軌道溝または外輪軌道溝に仮保持させることができる。したがって、トラニオンまたは外輪にボールを取り付ける際に、ボールを内輪軌道溝または外輪軌道溝に仮保持させておくことができるので、軸受の組み付けを比較的容易に行うことができる。
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自在継手1の分解斜視図である。自在継手1は、車両用操舵装置に適用される自在継手であり、図1にはステアリングシャフト3、中間シャフト5の一部が図示されている。
自在継手1は、ステアリングシャフト3の一端3aに設けられたヨーク12と、中間シャフト5の一端5aに設けられたヨーク13と、これらヨーク12,13間を連結する十字軸14と、十字軸14の4つのトラニオン14a,14b,14c,14dをそれぞれ回動自在に支持するための4つの自在継手用軸受(以下、単に「軸受」という。)15とを備えている。
図1は、本発明の一実施形態に係る自在継手1の分解斜視図である。自在継手1は、車両用操舵装置に適用される自在継手であり、図1にはステアリングシャフト3、中間シャフト5の一部が図示されている。
自在継手1は、ステアリングシャフト3の一端3aに設けられたヨーク12と、中間シャフト5の一端5aに設けられたヨーク13と、これらヨーク12,13間を連結する十字軸14と、十字軸14の4つのトラニオン14a,14b,14c,14dをそれぞれ回動自在に支持するための4つの自在継手用軸受(以下、単に「軸受」という。)15とを備えている。
各ヨーク12,13は、U字状をなしている。ヨーク12は、互いに平行に配置されて互いに対向する一対のアーム16A,16Bと、一対のアーム16A,16Bを接続しステアリングシャフト3の他端3bに固定された接続部17とを有している。同様に、ヨーク13は、互いに平行に配置されて互いに対向する一対のアーム16C,16Dと、一対のアーム16C,16Dを接続し中間シャフト5の一端5aに固定された接続部17とを有している。
ヨーク12のアーム16Aには嵌合孔18Aが形成され、アーム16Bには嵌合孔18Bが形成されている。一対の嵌合孔18A,18Bの中心は互いに同一軸線上に配置されている。ヨーク13のアーム16Cには嵌合孔18Cが形成され、アーム16Dには嵌合孔18Dが形成されている。一対の嵌合孔18C,18Dの中心は互いに同一軸線上に配置されている。各嵌合孔18A,18B,18C,18Dには軸受15がそれぞれ嵌合され、軸受15を介して十字軸14が支持されている。
十字軸14は、十字形形状の中央部に配置される胴部19と、この胴部19から十字形形状をなして突出する4つの軸部としての上記トラニオン14a,14b,14c,14dとを備えている。
一対のトラニオン14a,14bは、同軸上に配置されていて、第1軸線C1に沿って胴部19から互いに逆向きに延びている。一対のトラニオン14c,14dは、同軸上に配置されていて、上記第1軸線C1と直交する第2軸線C2に沿って胴部19から互いに逆向きに延びている。
一対のトラニオン14a,14bは、同軸上に配置されていて、第1軸線C1に沿って胴部19から互いに逆向きに延びている。一対のトラニオン14c,14dは、同軸上に配置されていて、上記第1軸線C1と直交する第2軸線C2に沿って胴部19から互いに逆向きに延びている。
トラニオン14aは、ヨーク12のアーム16Aの嵌合孔18Aに軸受15を介して回動自在に支持されている。トラニオン14aと対をなすトラニオン14bは、ヨーク12のアーム16Bの嵌合孔18Bに軸受15を介して回動自在に支持されている。このため、ヨーク12と十字軸14とが、トラニオン14a,14bの第1軸線C1の回りに相対回動できるようになっている。
同様に、トラニオン14cは、ヨーク13のアーム16Cの嵌合孔18Cに軸受15を介して回動自在に支持されている。トラニオン14cと対をなすトラニオン14dは、ヨーク13のアーム16Dの嵌合孔18Dに軸受15を介して回動自在に支持されている。これにより、ヨーク13と十字軸14とが、トラニオン14c,14dの第2軸線C2の回りに相対回動できるようになっている。
なお、各トラニオン14a,14b,14c,14dを支持する構造は共通するので、以下では、トラニオン14aを支持する構造に則して説明する。
図2は、図1に示す軸受15、アーム16Aおよびトラニオン14aの構成を示す断面図である。図2では、軸受15を嵌合孔18Aに嵌め入れた後の状態を示している。
嵌合孔18Aは、軸受15を嵌め入れるために開口する入口21を有している。嵌合孔18Aの内周面22は円筒面により形成されている。
図2は、図1に示す軸受15、アーム16Aおよびトラニオン14aの構成を示す断面図である。図2では、軸受15を嵌合孔18Aに嵌め入れた後の状態を示している。
嵌合孔18Aは、軸受15を嵌め入れるために開口する入口21を有している。嵌合孔18Aの内周面22は円筒面により形成されている。
軸受15は、ヨーク12の嵌合孔18A内に保持されて十字軸14のトラニオン14aを支持している。軸受15は、有底円筒状の外輪カップ(外輪)23と、第1の転動体としての第1ボール24と、第2の転動体としての第2ボール25と、第3の転動体としての第3ボール26とを備え、複列のアンギュラ玉軸受として機能するように構成されている。複数の第1ボール24、複数の第2ボール25、複数の第3ボール26はそれぞれ環状の列をなしている。第1ボール24の数、第2ボール25の数および第3ボール26の数は、それぞれ同数である。または、第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26の直径は、互いに同径である。
トラニオン14aは、円柱形状に形成され、外周面27と、端面28とを有している。外周面27は、円筒面をなし、外周面27の軸端部分に面取り部が形成されている。
トラニオン14aの外周面27には、環状の3つのアンギュラ型の内輪軌道溝31,32,33が、第1軸線C1の軸線方向に間隔を開けて配置されている。具体的には、外周面27の途中部にはその胴体19(図1参照)側から順に、複数の第1ボール24が配置された第1内輪軌道溝31と、複数の第2ボール25が配置された第2内輪軌道溝32と、複数の第3ボール26が配置された第3内輪軌道溝33とが形成されている。第2内輪軌道溝32は、第1内輪軌道溝31に連続し、第3内輪軌道溝33は、第2内輪軌道溝32に連続している。
トラニオン14aの外周面27には、環状の3つのアンギュラ型の内輪軌道溝31,32,33が、第1軸線C1の軸線方向に間隔を開けて配置されている。具体的には、外周面27の途中部にはその胴体19(図1参照)側から順に、複数の第1ボール24が配置された第1内輪軌道溝31と、複数の第2ボール25が配置された第2内輪軌道溝32と、複数の第3ボール26が配置された第3内輪軌道溝33とが形成されている。第2内輪軌道溝32は、第1内輪軌道溝31に連続し、第3内輪軌道溝33は、第2内輪軌道溝32に連続している。
3つの内輪軌道溝31,32,33は、トラニオン14aの先端側に近づくに従って、その底部の径が小さくされている。言い換えれば、第2内輪軌道溝32の底部の径は、第1内輪軌道溝31の底部の径よりも小さくされており、第3内輪軌道溝33の底部の径は、第2内輪軌道溝32の底部の径よりも小さくされている。
第1内輪軌道溝31よりも先端側には、第1内輪軌道溝31に第1ボール24を仮保持しておくための突出部34が形成されている。第2内輪軌道溝32よりも先端側には、第2内輪軌道溝32に第2ボール25を仮保持しておくための突出部35が形成されている。第3内輪軌道溝33よりも先端側には、第3内輪軌道溝33に第3ボール26を仮保持しておくための突出部36が形成されている。
第1内輪軌道溝31よりも先端側には、第1内輪軌道溝31に第1ボール24を仮保持しておくための突出部34が形成されている。第2内輪軌道溝32よりも先端側には、第2内輪軌道溝32に第2ボール25を仮保持しておくための突出部35が形成されている。第3内輪軌道溝33よりも先端側には、第3内輪軌道溝33に第3ボール26を仮保持しておくための突出部36が形成されている。
図3は、図2に示す第1内輪軌道溝31の構成を示す拡大断面図である。
各内輪軌道溝31,32,33の構成は共通しているので、この構成を、第1内輪軌道溝31を例に挙げて説明する。
第1内輪軌道溝31の先端側端部には、第1内輪軌道溝31に第1ボール24を仮保持しておくための突出部34が形成されている。突出部34は、第1内輪軌道溝31に連続する連続面54を有し、第1内輪軌道溝31の底部55よりも径方向外方に突出して形成されている。連続面54は、第1内輪軌道溝31と同じ曲率の湾曲面からなる。
各内輪軌道溝31,32,33の構成は共通しているので、この構成を、第1内輪軌道溝31を例に挙げて説明する。
第1内輪軌道溝31の先端側端部には、第1内輪軌道溝31に第1ボール24を仮保持しておくための突出部34が形成されている。突出部34は、第1内輪軌道溝31に連続する連続面54を有し、第1内輪軌道溝31の底部55よりも径方向外方に突出して形成されている。連続面54は、第1内輪軌道溝31と同じ曲率の湾曲面からなる。
再び、図2を参照して説明する。外輪カップ23は、金属の薄板をプレス加工されてなる一端密閉型のシェル形外輪である。外輪カップ23は、円筒部37と、底部38とを有する。底部38は、円筒部37の一端を塞いでいる。
外輪カップ23の円筒部37の内周面39には、環状の3つのアンギュラ型の外輪軌道溝41,42,43が、第1軸線C1の軸線方向に間隔を開けて配置されている。具体的には、内周面39の途中部にはその開放端側から順に、第1外輪軌道溝41、第2外輪軌道溝42および第3外輪軌道溝43が形成されている。これら第1外輪軌道溝41、第2外輪軌道溝42および第3外輪軌道溝43は、第1内輪軌道溝31、第2内輪軌道溝32および第3内輪軌道溝33にそれぞれ対向している。第2外輪軌道溝42は、第1外輪軌道溝41に連続し、第3外輪軌道溝43は、第2外輪軌道溝42に連続している。
外輪カップ23の円筒部37の内周面39には、環状の3つのアンギュラ型の外輪軌道溝41,42,43が、第1軸線C1の軸線方向に間隔を開けて配置されている。具体的には、内周面39の途中部にはその開放端側から順に、第1外輪軌道溝41、第2外輪軌道溝42および第3外輪軌道溝43が形成されている。これら第1外輪軌道溝41、第2外輪軌道溝42および第3外輪軌道溝43は、第1内輪軌道溝31、第2内輪軌道溝32および第3内輪軌道溝33にそれぞれ対向している。第2外輪軌道溝42は、第1外輪軌道溝41に連続し、第3外輪軌道溝43は、第2外輪軌道溝42に連続している。
3つの外輪軌道溝41,42,43は、外輪カップ23の開放端側に近づくに従って、その径が大きくされている。言い換えれば、第2外輪軌道溝42の底部の径は、第3外輪軌道溝43の底部の径よりも大きくされており、第1外輪軌道溝41の底部の径は、第1外輪軌道溝42の底部の径よりも大きくされている。
複数のボール24,25,26は、トラニオン14aと外輪カップ23との間に介在して、それぞれ環状をなす3つの列を構成している。
複数のボール24,25,26は、トラニオン14aと外輪カップ23との間に介在して、それぞれ環状をなす3つの列を構成している。
具体的には、複数の第1ボール24は、互いに対向する第1内輪軌道溝31および第1外輪軌道溝41の間に介在し、トラニオン14aの外周面27を取り囲む環状の列をなしている。これら複数の第1ボール24は、保持器44によって一括して保持されている。各第1ボール24は、所定の接触角(第1ボール24と第1内輪軌道溝31および第1外輪軌道溝41との接触点におけるボール荷重のラジアル方向に対する角度)を有している。第1内輪軌道溝31と、第1外輪軌道溝41と、複数の第1ボール24とで、アンギュラ型の第1軸受部47が構成されている。
複数の第2ボール25は、互いに対向する第2内輪軌道溝32および第2外輪軌道溝42の間に介在し、トラニオン14aの外周面27を取り囲む環状の列をなしている。これら複数の第2ボール25は、保持器45によって一括して保持されている。各第2ボール25は、所定の接触角(第2ボール25と第2内輪軌道溝32および第2外輪軌道溝42との接触点におけるボール荷重のラジアル方向に対する角度)を有している。第2内輪軌道溝32と、第2外輪軌道溝42と、複数の第2ボール25とで、アンギュラ型の第2軸受部48が構成されている。
複数の第3ボール26は、互いに対向する第3内輪軌道溝33および第3外輪軌道溝43の間に介在し、トラニオン14aの外周面27を取り囲む環状の列をなしている。これら複数の第3ボール26は、保持器46によって一括して保持されている。各第3ボール26は、所定の接触角(第3ボール26と第3内輪軌道溝33および第3外輪軌道溝43との接触点におけるボール荷重のラジアル方向に対する角度)を有している。第3内輪軌道溝33と、第3外輪軌道溝43と、複数の第3ボール26とで、アンギュラ型の第3軸受部49が構成されている。軸受部15は、これら3つのアンギュラ型の軸受部47,48,49を並列に組み合わせて構成されている。
第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26は、これらボール24,25,26と内輪軌道溝31,32,33との接触点におけるボール荷重の方向が、ラジアル方向に対して胴体19側(トラニオン14aの先端とは反対側)に向けて傾斜している。そして、第1ボール24の接触角、第2ボール25の接触角および第3ボール26の接触角は、互いに等しい大きさ(たとえば25°)に設定されている。
外輪カップ23の円筒部37の外周面27が、ヨーク12の嵌合孔18Aの内周面22に嵌合されている。外輪カップ23の円筒部37の外径は、嵌合孔18Aの内周面22の内径とほぼ同径に形成されている。外輪カップ23は、十字軸14の胴部19側に向けて押し付けられた状態である。外輪カップ23の抜け止めは、止め輪50によって達成されている。止め輪50はたとえばCリングからなり、嵌合孔18Aの内周面22の外方端(図1および図2に示す上端)付近に形成された環状溝51内に圧入されて固定されている。
軸受15が嵌合孔18Aとトラニオン14aとの間に組み込まれた状態において、第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26のアキシアルすきまは、負すきまにされている。このため、第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26には、第1軸線C1の軸線方向の予圧が付与されている。
次に、自在継手1の組み付け作業を説明する。
次に、自在継手1の組み付け作業を説明する。
まず、ヨーク12の嵌合孔18Aに十字軸14のトラニオン14aを同心的に挿通させて、仮保持状態とする。仮保持状態では、嵌合孔18Aにトラニオン14aを同心に配置している。この状態にある嵌合孔18Aの内周面22とトラニオン14aの外周面27との間の環状の隙間に、嵌合孔18Aの内周面22の外方端(図1および図2に示す上端)から、保持器44に保持された複数の第1ボール24が嵌め込まれて、これらの第1ボール24が第1内輪軌道溝31に配置される。第1内輪軌道溝31には突出部34が形成されているので、これらの第1ボール24は第1内輪軌道溝31に仮保持される。
次いで、嵌合孔18Aの内周面22の外方端(図1および図2に示す上端)から、保持器45に保持された複数の第2ボール25が嵌め込まれて、これらの第2ボール25が第2内輪軌道溝32に配置される。第2内輪軌道溝32には突出部35が形成されているので、これらの第2ボール25は第2内輪軌道溝32に仮保持される。
次いで、嵌合孔18Aの内周面22の外方端(図1および図2に示す上端)から、保持器46により保持された複数の第3ボール26が嵌め込まれて、第3内輪軌道溝33に配置される。第3内輪軌道溝33には突出部36が形成されているので、これらの第3ボール26は第3内輪軌道溝33に仮保持される。
次いで、嵌合孔18Aの内周面22の外方端(図1および図2に示す上端)から、保持器46により保持された複数の第3ボール26が嵌め込まれて、第3内輪軌道溝33に配置される。第3内輪軌道溝33には突出部36が形成されているので、これらの第3ボール26は第3内輪軌道溝33に仮保持される。
次いで、嵌合孔18Aの内周面22とトラニオン14aの外周面27との間の環状の隙間に、外輪カップ23が嵌め込まれる。すなわち、外輪カップ23が、外輪カップ23の開放端(図2に示す下端)からヨーク12の嵌合孔18Aに挿入される。外輪カップ23が嵌合孔18Aを奥へ移動させるのに伴って、この外輪カップ23にトラニオン14aが嵌め入れられる。このとき、第1、第2および第3ボール24,25,26はトラニオン14a上を転がりながら、トラニオン14aの嵌め入れを案内する。第1、第2および第3ボール24,25,26が第1外輪軌道溝41、第2外輪軌道溝42および第3外輪軌道溝43に達するまで、外輪カップ23が奥に向けて移動される。
そして、外輪カップ23の底壁52が環状溝51を通過するまで外輪カップ23が移動された後に、止め輪50が環状溝51に圧入により固定される。その後、外輪カップ23の拘束を解くと、外輪カップ23が元の位置に復元しようとして、底壁52が止め輪50に当接する。これにより、第1〜第3ボール24,25,26に第1軸線C1の軸線方向の予圧が与えられた状態で、外輪カップ23の嵌合孔18Aからの抜け止めが達成される。
以上によりこの実施形態によれば、並列に組み合わされた複列のアンギュラ型の軸受15が、外輪カップ23とトラニオン14aとの間に介在する。そして、この軸受15には、第1軸線C1の軸線方向の予圧が付与されている。
軸受15に予圧が付与されているのでトラニオン14aやボール24,25,26のがたつきはない。そして、かかる構成の軸受15であれば、ヨーク12から外輪カップ23に与えられるラジアル方向の荷重だけでなく、ヨーク12から外輪カップ23に与えられる第1軸線C1の軸線方向の荷重も、ボール24,25,26を介してトラニオン14aに良好に伝達される。このため、ヨーク12またはトラニオン14aに第1軸線C1の軸線方向の荷重が作用する場合であっても、自在継手1の回転抵抗トルクがばらつかず、回転抵抗トルクを安定化させることができる。
軸受15に予圧が付与されているのでトラニオン14aやボール24,25,26のがたつきはない。そして、かかる構成の軸受15であれば、ヨーク12から外輪カップ23に与えられるラジアル方向の荷重だけでなく、ヨーク12から外輪カップ23に与えられる第1軸線C1の軸線方向の荷重も、ボール24,25,26を介してトラニオン14aに良好に伝達される。このため、ヨーク12またはトラニオン14aに第1軸線C1の軸線方向の荷重が作用する場合であっても、自在継手1の回転抵抗トルクがばらつかず、回転抵抗トルクを安定化させることができる。
また、ボール24,25,26の列が複数あるので、各ボール24,25,26のサイズが大きくなくても、これらのボール24,25,26によってヨーク12からのラジアル方向の荷重を良好に受けることができる。このため、各ボール24,25,26のサイズを小さくすることができる。したがって、トラニオン14aと外輪カップ23との間にボール24,25,26を介在させても、軸受15が大型化しない。
さらに、外輪カップ23とトラニオン14aとの間に針状ころを介在させる従来の構成では、針状ころに予圧を付与するために、嵌合溝18Aの径よりも大径に形成された外輪カップ23を縮径させつつ嵌合溝18Aに圧入させる必要があり、そのため、外輪カップ23のトラニオン14aへの嵌め入れが困難である。また、外輪カップ23の圧入の際にトラニオン14aが変形したり、欠けたりするおそれがある。
これに対し、この実施形態では、各内輪軌道溝31,32,33がアンギュラ型の内輪軌道溝であり、しかも、複数の内輪軌道溝31,32,33の径が、トラニオン14aの先端側に近づくに従って小さくされている。このため、トラニオン14aに複数のボール24,25,26を取り付けた後、トラニオン14aの先端側から外輪カップ23をトラニオン14aに向けて押し付けることにより、ボール24,25,26に対し予圧を付与することができる。つまり、軸受15の組み付け時、すなわち外輪カップ23のトラニオン14aへの嵌め入れと同時にボール24,25,26に予圧が付与されるので、軸受15の組み付けを比較的容易に行うことができる。
さらにまた、突出部34,35,36によってボール24,25,26を内輪軌道溝31,32,33に仮保持させることができる。したがって、トラニオン14aにボール24,25,26を取り付ける際に、ボール24,25,26を内輪軌道溝31,32,33に仮保持させておくことができるので、軸受15の組み付けを比較的容易に行うことができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の実施形態では、C−リングからなる止め輪50を用いて、外輪カップ2の抜け止めが図られた構成について説明したが、この止め輪50が円環状の皿ばねによって構成されていてもよい。このとき、止め輪50の弾性力によって、軸受15に第1軸線C1の軸線方向の予圧が付与される。
前述の実施形態では、C−リングからなる止め輪50を用いて、外輪カップ2の抜け止めが図られた構成について説明したが、この止め輪50が円環状の皿ばねによって構成されていてもよい。このとき、止め輪50の弾性力によって、軸受15に第1軸線C1の軸線方向の予圧が付与される。
また、止め輪50を用いずに、外輪カップ23の円筒部37がヨーク12の嵌合孔18Aの内周面22に圧入されることにより、外輪カップ23の抜け止めが達成されていてもよい。このとき非拘束状態の外輪カップ23の円筒部37の外径は、嵌合孔18Aの内周面22の内径よりも大径に形成されている。
さらに、前述の実施形態では、軸受15が3つの軸受部47,48,49によって構成されているとして説明したが、2つの軸受部が組み合わされて軸受が構成されていてもよいし、4つ以上の軸受部が組み合わされて軸受15が構成されていてもよい。
さらに、前述の実施形態では、軸受15が3つの軸受部47,48,49によって構成されているとして説明したが、2つの軸受部が組み合わされて軸受が構成されていてもよいし、4つ以上の軸受部が組み合わされて軸受15が構成されていてもよい。
また、第1ボール24の個数は、第2ボール25の個数および第3ボール26の個数と同数であるとして説明したが、たとえば、最も胴体19側に配列された第3ボール26の個数を、他のボール24,25の個数よりも多くすることもできる。これにより、比較的簡単に、軸受15の回転抵抗トルクを調節することができる。
さらに、第1ボール24の径は、第2ボール25の径および第3ボール26の径と同径であるとして説明したが、第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26の径を互いに異ならせることもできる。
さらに、第1ボール24の径は、第2ボール25の径および第3ボール26の径と同径であるとして説明したが、第1ボール24、第2ボール25および第3ボール26の径を互いに異ならせることもできる。
また、自在継手1の組み付け作業手順は前述の実施形態のものに限られない。ボール24,25,26を取り付けた外輪カップ23を、ボール24,25,26ごと、嵌合孔18Aの内周面22とトラニオン14aの外周面27との間の環状の隙間に嵌め込むこともできる。この場合、ボール24,25,26を仮保持しておくための突出部が、各外輪軌道溝41,42,43の開放端に形成されていることが好ましい。外輪カップ23にボール24,25,26を取り付ける際に、ボール24,25,26を内輪軌道溝31,32,33に仮保持させておくことができるので、軸受15の組み付けを比較的容易に行うことができる。
さらにまた、前述の実施形態では、車両用操舵装置の自在継手1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、たとえば、自動車の推進軸等、他の用途の回転部材における自在継手に適用することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…自在継手、12…ヨーク、13…ヨーク、14…十字軸、14a〜14d…トラニオン、15…軸受、18A〜18D…嵌合孔、23…外輪カップ(外輪)、24…第1ボール、25…第2ボール、26…第3ボール、27…外周面、31…第1内輪軌道溝、32…第2内輪軌道溝、33…第3内輪軌道溝、34〜36…突出部、39…内周面、41…第1外輪軌道溝、42…第2外輪軌道溝、43…第3外輪軌道溝、44〜46…保持器
Claims (4)
- 一対のヨークが十字軸によって連結された自在継手であって、
前記十字軸の軸部をなす円柱状のトラニオンと、
前記ヨークと前記各トラニオンとを連結する軸受とを含み、
前記軸受は、前記ヨークの嵌合孔に嵌合される外輪と、前記トラニオンと前記外輪との間に介在する複数のボールとを含み、
前記トラニオンが、軸方向に並ぶ複数のアンギュラ型の内輪軌道溝が形成された外周面を有し、
前記外輪が、前記内輪軌道溝に対向し、軸方向に並ぶ複数のアンギュラ型の外輪軌道溝が形成された内周面を有し、
前記複数のボールが、前記内輪軌道溝と前記外輪軌道溝との間に介在し、前記トラニオンの周囲を取り囲む環状の複数の列を構成し、
前記複数のボールは、異なる列同士において、当該ボールと前記内輪軌道溝との接触点におけるボール荷重の方向が、ラジアル方向に対して共通する方向に傾斜しており、
前記軸受には、軸方向の予圧が付与されている、自在継手。 - 前記複数の内輪軌道溝は、前記トラニオンの先端側に近づくに従って、その径が小さくされている、請求項1に記載の自在継手。
- 前記各列のボールの接触角が、互いに同じ大きさである、請求項1または2に記載の自在継手。
- 一つの列を構成する前記複数のボールをそれぞれ一括して保持する複数の保持器をさらに含み、
前記トラニオンの外周面および前記外輪の内周面の少なくとも一方には、前記保持器により保持された前記複数のボールを、前記トラニオンまたは前記外輪に組み付ける際に、これらのボールを前記内輪軌道溝または前記外側軌道に仮保持させるための突出部が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自在継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008284029A JP2010112418A (ja) | 2008-11-05 | 2008-11-05 | 自在継手 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010112418A true JP2010112418A (ja) | 2010-05-20 |
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ID=42301124
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102454716A (zh) * | 2011-08-15 | 2012-05-16 | 万向钱潮股份有限公司 | 一种新型十字轴万向节 |
-
2008
- 2008-11-05 JP JP2008284029A patent/JP2010112418A/ja active Pending
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