JP2010108943A - 非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池のサイクル特性、電気容量や充電保存特性などの電池特性に優れ、高温使用時における電池の膨れを抑制することができるリチウム二次電池を提供するものである。
【解決手段】 電解質塩がフッ素原子を含有するリチウム塩であり、該非水溶媒は環状カーボネートおよび/または環状エステルと、ジビニルスルホンまたはメタンスルホン酸2−プロピニルのようなアルキン誘導体のうち少なくとも1種とを含有し、さらに該非水溶媒中に下記一般式(V)、
【化1】
Figure 2010108943

(式中、R、R、Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される第3級カルボン酸エステルが0.1〜10重量%含有されているリチウム二次電池に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電池のサイクル特性や電気容量、保存特性などの電池特性に優れた新規な非水電解液、及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
近年、リチウム二次電池は小型電子機器などの駆動用電源として広く使用されている。リチウム二次電池は、主に正極、非水電解液および負極から構成されており、特に、LiCoO2などのリチウム複合酸化物を正極とし、炭素材料又はリチウム金属を負極としたリチウム二次電池が好適に使用されている。そして、そのリチウム二次電池用の電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が好適に使用されている。
このような状況で、特開平7−37613号公報において、電解液として、一般的な非水溶媒(例、EC、PC)に、三フッ化酢酸メチル(MTFA)あるいはピバリン酸メチル(MPA)などの第3級カルボン酸エステル系の非水溶媒を組合せて使用することにより、4Vを越える電圧範囲でも安定で、0℃以下の温度領域における導電性が高く、かつ、リチウムとの反応性が低く、充放電サイクル寿命の長いリチウム二次電池用電解液としたものが提案されている。
特許文献1には、負極としてグラッシーカーボンを用い、非水溶媒として、PCとMPAとの混合溶媒を用いた具体例が記載されている。
しかし、本発明者の研究によると、これらの混合溶媒を非水溶媒として用い、負極として、一般的な負極材料である天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料、特に高結晶化した天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料を用いたリチウム二次電池の場合には、電解液が、負極で分解して不可逆容量が増大したり、場合によっては炭素材料の剥離の発生がみられることが判明した。この不可逆容量の増大や炭素材料の剥離は、電解液中の溶媒が充電時に分解することにより発生し、炭素材料と電解液との界面における溶媒の電気化学的還元に起因するものである。特に、融点が低く、誘電率の高いPC(プロピレンカーボネート)は、低温でも高い電気伝導性を有するが、黒鉛負極を用いる場合にはPCの分解が発生して、リチウム二次電池用には使用できないという問題点があることが判明した。また、EC(エチレンカーボネート)の場合でも、充放電を繰り返す間に一部分解が発生して、電池性能の低下が生じることも判明した。また、ピバリン酸メチルは、沸点が101℃であるために、非水溶媒中のピバリン酸メチルの含有量が50重量%程度以上になると、高温時には、電池が膨れたり、電池性能が低下することがあることも判明した。また、上記の特許文献1で具体的に記載されているLiClO4を電解液中の電解質塩として用いた場合には、高温での電池作動において分解してガス発生したり、20℃以上のサイクル特性に悪影響を及ぼす問題が発生しやすいことも判明した。
一方、特開平12−182670号公報において酢酸エチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチルなどの化合物を含む非水電解液を用いた非水電池は、低温での使用が可能なリチウム電池として提案されている。
しかしながら、特許文献2で提案された非水電池においては、低温特性が良い特徴は有しているものの、負極として例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの高結晶化した炭素材料を用いたリチウム二次電池の場合、リチウム金属が負極上で電析するために、電解液中で酢酸エチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチルなどのようにカルボニル基に隣接する炭素に水素を有するカルボン酸エステルは、リチウム金属と反応してガスを発生したり、サイクル特性や保存特性の低下が生じる問題点を有する。また、プロピオン酸メチルの沸点は79℃であるために、20重量%を越えると80℃程度の高温使用時はガス化して、電池が膨れたり、電池性能が低下することがある。
また、特許文献3においてデカン酸メチルや酢酸ドデシルなどの化合物を含む非水電解液を用いた非水電池は、セパレータに対する非水電解液の含浸性に優れ、電池容量および電池電圧が大きく、性能にバラツキが無いことが提案された。
しかしながら、特許文献3で提案された非水電池においては、含浸性に優れ、電池容量および電池電圧が大きい特徴は有しているものの、負極として例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの高結晶化した炭素材料を用いたリチウム二次電池の場合、電解液が負極で分解して不可逆容量が増大したり、場合によっては炭素材料の剥離が起こることがある。この不可逆容量の増大や炭素材料の剥離は、電解液中の溶媒が充電時に分解することにより起こるものであり、炭素材料と電解液との界面における溶媒の電気化学的還元に起因するものである。中でも、デカン酸メチルや酢酸ドデシルなどのようにカルボニル基に隣接する炭素に水素を有するカルボン酸エステルの場合、低温においても高い電気伝導性を有するが、黒鉛負極を用いる場合には、充放電を繰り返す間に一部カルボン酸エステルの分解が起こって、サイクル特性の低下を生じる問題点を有する。
特開平7−37613号公報 特開平12−182670号公報 特開平9−27328号公報
本発明は、前記のようなリチウム二次電池用電解液に関する課題を解決し、電池のセパレータに対する非水電解液の含浸性に優れ、さらに、サイクル特性、電気容量や充電状態での保存特性などの電池特性にも優れた、高温使用時における電池の膨れを抑制することができるリチウム二次電池、およびそれに用いる非水電解液を提供することを目的とする。
本発明は、リチウム複合酸化物を含む材料からなる正極、炭素を含む材料からなる負極、セパレータ、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えたリチウム二次電池において、該電解質塩がフッ素原子を含有するリチウム塩であり、該非水溶媒は環状カーボネートおよび/または環状エステルと、ジビニルスルホンまたは下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、
Figure 2010108943
Figure 2010108943
Figure 2010108943
Figure 2010108943
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。式中、R、R、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。また、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16は、互いに結合して炭素数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い。式中、Yは、−COOR18、−COR18または−SO18、Yは、−COOR19−COR19または−SO19、Yは、−COOR20、−COR20または−SO20、Yは、−COOR21、−COR21または−SO21、およびYは、−COOR22、−COR22、−SO22を示し、前記R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基を示す。ただし、nは1または2の整数を示す。)で表されるアルキン誘導体のうち少なくとも1種とを含有し、さらに該非水溶媒中に下記一般式(V)、
Figure 2010108943
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される第3級カルボン酸エステルが0.1〜10重量%含有されていることを特徴とするリチウム二次電池に関する。
また、本発明は、リチウム複合酸化物を含む材料からなる正極、炭素を含む材料からなる負極、セパレータ、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えたリチウム二次電池用非水電解液において、該電解質塩がフッ素原子を含有するリチウム塩であり、該非水溶媒が環状カーボネートおよび/または環状エステルと、ジビニルスルホンまたは下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、
Figure 2010108943
Figure 2010108943
Figure 2010108943
Figure 2010108943
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。式中、R、R、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。また、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16は、互いに結合して炭素数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い。式中、Yは、−COOR18、−COR18または−SO18、Yは、−COOR19−COR19または−SO19、Yは、−COOR20、−COR20または−SO20、Yは、−COOR21、−COR21または−SO21、およびYは、−COOR22、−COR22、−SO22を示し、前記R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基を示す。ただし、nは1または2の整数を示す。)で表されるアルキン誘導体のうち少なくとも1種とを含有し、さらに該非水溶媒中に下記一般式(V)、
Figure 2010108943
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される第3級カルボン酸エステルが0.1〜10重量%含有されていることを特徴とするリチウム二次電池に関する。
本発明によれば、電池のサイクル特性、電気容量や充電保存特性などの電池特性に優れ、高温使用時における電池の膨れを抑制することができるリチウム二次電池を提供することができる。
本発明における非水溶媒に電解質が溶解されている電解液として、環状のカーボネートおよび/または環状のエステルが含有され、さらに、ジビニルスルホン(VS)または前記一般式(I)、(II)、(III),(IV)で表されるアルキン誘導体のうち少なくとも1種が含有される。前記一般式(I)、(II)、(III),(IV)で表されるアルキン誘導体において、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR17は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。アルキル基はイソプロピル基、イソブチル基のような分枝アルキル基でもよい。また、シクロプロピル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜6のシクロアルキル基でもよい。また、フェニル基、ベンジル基、p−トリル基のような炭素数6〜12のアリール基を含有するものでもよい。さらに、水素原子でもよい。式中、R、R、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。アルキル基はイソプロピル基、イソブチル基のような分枝アルキル基でもよい。また、シクロプロピル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜6のシクロアルキル基でもよい。また、フェニル基、ベンジル基、p−トリル基のような炭素数6〜12のアリール基を含有するものでもよい。
また、前記一般式(I)、(II)、(III)で表されるアルキン誘導体におけるY、Y、Y、YおよびYにおいて、R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。アルキル基はイソプロピル基、イソブチル基のような分枝アルキル基でもよい。また、シクロプロピル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜6のシクロアルキル基でもよい。また、フェニル基、ベンジル基、p−トリル基のような炭素数6〜12のアリール基を含有するものでもよい。また、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16は、互いに結合してシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を形成していても良い。ただし、nは1または2の整数を示す。
前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体の具体例としては、例えば、Y=−COORの場合、2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、2−プロピニルエチルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=エチル基、n=1〕、2−プロピニルプロピルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=プロピル基、n=1〕、2−プロピニルブチルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=ブチル基、n=1〕、2−プロピニルフェニルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=フェニル基、n=1〕、2−プロピニルシクロヘキシルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=シクロヘキシル基、n=1〕、2−ブチニルメチルカーボネート〔R=メチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、3−ブチニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=2〕、2−ペンチニルメチルカーボネート〔R=エチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、1−メチル−2−ブチニルメチルカーボネート〔R=メチル基、R=メチル基、R=メチル基、n=1〕、などが挙げられる。Y1=−CORの場合、酢酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、プロピオン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=エチル基、n=1〕、酪酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=プロピル基、n=1〕、安息香酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=フェニル基、n=1〕、シクロヘキシルカルボン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=シクロヘキシル基、n=1〕、酢酸2−ブチニル〔R=メチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、酢酸3−ブチニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=2〕、酢酸2−ペンチニル〔R=エチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、酢酸1−メチル−2−ブチニル〔R=メチル基、R=メチル基、R=メチル基、n=1〕などが挙げられる。Y1=−SOの場合、メタンスルホン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、エタンスルホン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=エチル基、n=1〕、プロパンスルホン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=プロピル基、n=1〕、p−トルエンスルホン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=p−トリル基、n=1〕、シクロヘキシルスルホン酸2−プロピニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=シクロヘキシル基、n=1〕、メタンスルホン酸2−ブチニル〔R=メチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸3−ブチニル〔R=水素原子、R=水素原子、R=メチル基、n=2〕、メタンスルホン酸2−ペンチニル〔R=エチル基、R=水素原子、R=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1−メチル−2−ブチニル〔R=メチル基、R=メチル基、R=メチル基、n=1〕などが挙げられる。また、前記一般式(I)で表されるアルキン誘導体として、例えば、Y=−COOR18の場合、1,1−ジメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−ジエチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=R=エチル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−エチルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=エチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−イソブチルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=イソブチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−ジメチル−2−ブチニルメチルカーボネート〔R=R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、1−エチニルシクロヘキシルメチルカーボネート〔R=水素原子、RとRが結合=ペンタメチレン基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−フェニルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=フェニル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−ジフェニル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素原子、R=R=フェニル基、R18=メチル基、n=1〕、1,1−ジメチル−2−プロピニルエチルカーボネート〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y=−COR18の場合、酢酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−ジエチル−2−プロピニル〔R1=水素原子、R=R=エチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−エチルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=エチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=イソブチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−ジメチル−2−ブチニル〔R=R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1−エチニルシクロヘキシル〔R=水素原子、RとRが結合=ペンタメチレン基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−フェニルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=フェニル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、酢酸1,1−ジフェニル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=フェニル基、R18=メチル基、n=1〕、プロピオン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y=−SO18の場合、メタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−ジエチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=エチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−エチルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=エチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=イソブチル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−ブチニル〔R=R=R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1−エチニルシクロヘキシル〔R=水素原子、RとRが結合=ペンタメチレン基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−フェニルメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=フェニル基、R=メチル基、R18=メチル基、n=1〕、メタンスルホン酸1,1−ジフェニル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=フェニル基、R18=メチル基、n=1〕、エタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素原子、R=R=メチル基、R18=エチル基、n=1〕などが挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物に何ら限定されるものではない。
また、前記一般式(II)で表されるアルキン誘導体の具体例としては、例えば、Y=−COORおよび/またはY=−COORの場合、2−ブチン−1,4−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=メチル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジエチルジカーボネート〔R=R=エチル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオールジフェニルジカーボネート〔R=R=フェニル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジシクロヘキシルジカーボネート〔R=R=シクロヘキシル基、nは全て1〕などが挙げられる。Y=−CORおよび/またはY=−CORの場合、2−ブチン−1,4−ジオール ジアセテート〔R=R=メチル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジプロピオネート〔R=R=エチル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジベンゾエート〔R=R=フェニル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジシクロヘキサンカルボキシレート〔R=R=シクロヘキシル基、nは全て1〕などが挙げられる。Y2=−SOおよび/またはY=−SO2Rの場合、2−ブチン−1,4−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=メチル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジプロパンスルホネート〔R=R=プロピル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジ−p−トルエンスルホネート〔R=R=p−トリル基、nは全て1〕、2−ブチン−1,4−ジオール ジシクロヘキサンスルホネート〔R=R=シクロヘキシル基、nは全て1〕などが挙げられる。
さらに、前記一般式(II)で表されるアルキン誘導体の具体例として、例えば、Y=−COOR19およびY=−COOR20の場合、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=メチル基、n=1〕、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエチルジカーボネート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=エチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=メチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエチルジカーボネート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y=−COR19およびY=−COR20の場合、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジアセテート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=メチル基、n=1〕、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジプロピオネート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=エチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジアセテート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=メチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジプロピオネート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y2=−SO2R19およびY=−SO20の場合、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=メチル基、n=1〕、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=メチル基、R=R=水素原子、R19=R20=エチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=メチル基、n=1〕、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=R=R=メチル基、R19=R20=エチル基、n=1〕などが挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物に何ら限定されるものではない。
前記一般式(III)で表されるアルキン誘導体の具体例として、例えば、Y=−COOR21およびY=−COOR22の場合、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジエチルジカーボネート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=エチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオールジメチルジカーボネート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオールジエチルジカーボネート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y=−COR21およびY=−COR22の場合、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジアセテート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジプロピオネート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=エチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジアセテート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジプロピオネート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=エチル基、n=1〕などが挙げられる。Y=−SO21およびY=−SO22の場合、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=R10=R11=水素原子、R21=R22=エチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=メチル基、n=1〕、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=R10=R11=メチル基、R21=R22=エチル基、n=1〕などが挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物に何ら限定されるものではない。
前記一般式(IV)で表されるアルキン誘導体の具体例としては、例えば、ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R12=R17=水素原子、R13=R14=R15=R16=メチル基、n=1〕、ジ(1,1−ジエチル−2−プロピニル)カーボネート〔R12=R17=水素原子、R13=R14=R15=R16=エチル基、n=1〕、ジ(1,1−エチルメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R12=R17=水素原子、R13=R15=エチル基、R14=R16=メチル基、n=1〕、ジ(1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R12=R17=水素原子、R13=R15=イソブチル基、R14=R16=メチル基、n=1〕、ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)カーボネート〔R12=R17=R13=R14=R15=R16=メチル基、n=1〕、ジ(1−エチニルシクロヘキシル)カーボネート〔R12=R17=水素原子、R13とR14が結合=ペンタメチレン基、R15とR16が結合=ペンタメチレン基、n=1〕が挙げられる。ただし、本発明はこれらの化合物に何ら限定されるものではない。
前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表されるアルキン誘導体の含有量は、過度に多いと、電解液の電導度などが変わり電池性能が低下することがあり、また、過度に少ないと、十分な皮膜が形成されず、期待した電池特性が得られないので、電解液の重量に対して0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%の範囲が好ましい。また、ジビニルスルホン(VS)の含有量は、過度に多いと、電解液の電導度などが変わり電池性能が低下することがあり、また、過度に少ないと、十分な皮膜が形成されず、期待した電池特性が得られないので、電解液の重量に対して0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%の範囲が好ましい。電解液中に含有される前記アルキン誘導体やジビニルスルホンは、充電時に炭素負極表面で、電解液中の有機溶媒より先に還元分解して、該分解物の一部は、天然黒鉛や人造黒鉛などの活性で高結晶化した炭素負極表面に不働態皮膜を形成することにより、電解液中の有機溶媒の還元分解を未然に防ぐと推定される。さらに、該分解物の一部は、正極材料表面の電位が過度に高くなった微少な過電圧部分において、電解液中の有機溶媒より先に酸化分解して、電解液中の有機溶媒の酸化分解を未然に防ぐと推定される。これにより、電池の正常な反応を損なうことなく電解液の分解を抑制する効果を有するものと考えられる。
非水溶媒に電解質塩が溶解されている電解液に含有される前記一般式(V)で表される第3級カルボン酸エステルにおいて、RA、RB、RCは、それぞれ独立してメチル基またはエチル基である。また、RDはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基のような炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。アルキル基はイソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、イソデシル基、イソオクタデシル基のような分枝アルキル基でもよい。また、ビニル基や、アリル基、プロパルギル基のような不飽和炭化水素基や、フェニル基、トリル基、ビフェニリル基のようなアリール基やベンジル基でもよい。
前記一般式(V)で表される第3級カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、ピバリン酸メチル〔R=R=R=R=メチル基〕、ピバリン酸エチル〔R=R=R=メチル基、R=エチル基〕、ピバリン酸プロピル〔R=R=R=メチル基、R=n−プロピル基〕、ピバリン酸イソプロピル〔R=R=R=メチル基、R=イソプロピル基〕、ピバリン酸ブチル〔R=R=R=メチル基、R=n−ブチル基〕、ピバリン酸sec−ブチル〔R=R=R=メチル基、R=sec−ブチル基〕、ピバリン酸イソブチル〔R=R=R=メチル基、R=イソブチル基〕、ピバリン酸tert−ブチル〔R=R=R=メチル基、R=tert−ブチル基〕、ピバリン酸オクチル〔R=R=R=メチル基、R=n−オクチル基〕、ピバリン酸sec−オクチル〔R=R=R=メチル基、R=sec−オクチル基〕、ピバリン酸ノニル〔R=R=R=メチル基、R=n−ノニル基〕、ピバリン酸デシル〔R=R=R=メチル基、R=n−デシル基〕、ピバリン酸ウンデシル〔R=R=R=メチル基、R=n−ウンデシル基〕、ピバリン酸ドデシル〔R=R=R=メチル基、R=n−ドデシル基〕、ピバリン酸ビニル〔R=R=R=メチル基、R=ビニル基〕、ピバリン酸アリル〔R=R=R=メチル基、R=アリル基〕、ピバリン酸プロパルギル〔R=R=R=メチル基、RD=プロパルギル基〕、ピバリン酸フェニル〔R=R=R=メチル基、R=フェニル基〕、ピバリン酸p−トリル〔R=R=R=メチル基、R=p−トリル基〕、ピバリン酸ビフェニル〔R=R=R=メチル基、R=ビフェニリル基〕、ピバリン酸ベンジル〔R=R=R=メチル基、R=ベンジル基〕、2,2−ジメチルブタン酸メチル〔R=R=R=メチル基、R=エチル基〕、2−エチル−2−メチルブタン酸メチル〔R=R=メチル基、R=R=エチル基〕、2,2−ジエチルブタン酸メチル〔R=R=R=エチル基、R=メチル基〕、2,2−ジイソプロピルプロパン酸メチル〔R=R=iso−プロピル基、R=R=メチル基〕などが挙げられる。しかし、これらの化合物はほんの一例にすぎず、本発明の第3級カルボン酸エステルは、前記の具体的化合物に限定されず、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせが可能である。本発明において、Rとしては炭素数4〜12のアルキル基であることが好ましい。炭素数4〜12である第3級カルボン酸エステルは、電池の蒸気圧による膨れが少ない特徴がある。また、少量でセパレータの電解液に対する濡れ性が良好になる。更には、少量の方が電解液全体の粘度が低くなり、電池特性が良好になる。全てを考えると、Rが炭素数4〜12のアルキル基が好ましい。
前記一般式(V)で表される第3級カルボン酸エステルの含有量は、過度に多いと、電解液の伝導度などが変わり、電池性能が低下することがあり、また、過度に少ないと、期待した電池性能が十分得られないので、非水電解液中の含有量が0.1〜10重量%、特に1〜6重量%の範囲が好ましい。
本発明における非水溶媒としては、環状カーボネートおよび/または環状エステルが使用される。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)が好適に挙げられる。これらの環状カーボネートは、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、環状エステルとして、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)が好適に挙げられる。前記環状エステルは、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、本発明において、鎖状カーボネート類を使用することができ、その具体例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、イソプロピルメチルカーボネート(IPMC)、ブチルメチルカーボネート(BMC)、イソブチルメチルカーボネート(IBMC)、sec−ブチルメチルカーボネート(SBMC)、tert−ブチルメチルカーボネート(TBMC)が挙げられる。これらの鎖状カーボネートは一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明における電解質塩としては、フッ素原子を含有するリチウム塩が使用される。例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)などが挙げられる。これらの電解質塩は、一種類で使用してもよく、二種類以上組み合わせて使用してもよい。これら電解質塩は、前記の非水溶媒に通常0.1〜3M、好ましくは0.5〜2Mの濃度で溶解されて使用される。
本発明の電解液は、例えば、前記の環状カーボネートおよび/または環状エステルに、ジビニルスルホン(VS)または前記式(I)〜(IV)で表されるアルキン誘導体の少なくと1種と、前記式(I)で表される第3級カルボン酸エステルとを溶解し、これに前記のフッ素原子を含有するリチウム塩である電解質塩を溶解することにより得られる。本発明の電解液は、リチウム二次電池の構成部材として使用される。
正極としては、リチウム複合酸化物を含む材料が使用される。例えば、正極材料(正極活物質)としてはコバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムとの複合金属酸化物が使用される。このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiOなどが挙げられ、コバルトとマンガンを混合したリチウムとの複合金属酸化物、コバルトとニッケルを混合したリチウムとの複合金属酸化物でも良い。
正極は、前記の正極材料をアセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電剤およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの結着剤と混練して正極合剤とした後、この正極材料を集電体としてのアルミニウムやステンレス製の箔やラス板に塗布して、乾燥、加圧成型後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下に加熱処理することにより作製される。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な黒鉛型結晶構造を有する炭素材料〔熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類(人造黒鉛、天然黒鉛など)、有機高分子化合物燃焼体、炭素繊維、〕が使用される。特に、格子面(002)の面間隔(d002)が0.335〜0.340nm(ナノメータ)である黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが好ましい。なお、炭素材料のような粉末材料はエチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの結着剤と混練して負極合剤として使用される。
セパレータとしては、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン材料から形成された微多孔膜からなるセパレータを用いることが好ましいが、他の材料から形成されたセパレータ(例、織布、不織布)を用いることもできる。本発明のリチウム二次電池の構造は特に限定されるものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレータを有するコイン型電池、また、正極、負極およびロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池などが挙げられる。
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1
〔電解液の調製〕プロピレンカーオネート(PC):メタンスルホン酸2−プロピニル(MSP):ピバリン酸メチル〔前記式(I)中、R=R=R=R=メチル基〕(重量比)=87:3:10の非水溶媒を調製し、これにLiPFを1Mの濃度になるように溶解して電解液を調製した。
〔リチウム二次電池の作製および電池特性の測定〕
LiCoO(正極活物質)を80重量%、アセチレンブラック(導電剤)を10重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を10重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状にしてアルミ箔上に塗布した。その後、これを乾燥し、加圧成型して正極を調製した。天然黒鉛(負極活物質)を90重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を10重量%、の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー状にして銅箔上に塗布した。その後、これを乾燥し、加圧成型、加熱処理して負極を調製した。そして、ポリプロピレン微多孔性フィルムのセパレータを用い、上記の電解液を注入させてコイン電池
(直径20mm、厚さ3.2mm)を作製した。このコイン電池を用いて、室温(20℃)下、0.8mAの定電流定電圧で、終止電圧4.2Vまで5時間充電し、次に0.8mAの定電流下、終止電圧2.7Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期充放電容量は、1M LiPF+EC:GBL(重量比)=50:50を電解液(添加剤無し)として用いた場合(比較例5)とほぼ同等であり、50サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は88.5%であった。また、高温作動時の電池の膨れは無かった。電池のコイン電池の作製条件および電池特性を表1に示す。
実施例2〜10および比較例1〜7
コイン電池の作製条件を表1記載のようにした以外は実施例1と同様にしてコイン電池を作製し、50サイクル後の放電容量維持率を測定した。その測定結果を表1に示す。
Figure 2010108943
実施例11〜12
〔濡れ性の評価〕
以下のような方法により、濡れ性の評価を行った。すなわち、1M LiPF PC/MSP=97/3(重量比)の溶液に各種第3級カルボン酸エステルを所定量加えた時の電解液に対するセパレータ(CELGARD Inc.製ポリプロピレン微多孔性フィルム;セルガード♯2500(商標))の含浸性を濡れ性として評価した。含浸させて20秒後のセパレータの含浸性を目視で確認した。その結果を表2に示す。表2の結果から、アルコール残基のアルキル基の炭素原子数が4以上のピバリン酸エステルは、セパレータへの親和性が、アルコール残基のアルキル基の炭素原子数が2のピバリン酸エチルよりも高く、このため、微多孔性セパレータと接触下に置くと、速やかに、セパレータの多孔構造に浸透することが分る。このことは、リチウム二次電池の製造工程における製造時間の短縮につながる。すなわち、リチウム二次電池の製造工程において、電池容器内に、正極シート、セパレータ、そして負極シートからなる積層体を装着したのち、電解液を充填し、次いで電池容器の蓋を装着する作業が行われるが、その蓋の装着は、充填された電解液が、セパレータに微多孔構造内に存在していた空気を置き換えて、該微多孔構造内に充填したのち実施する必要がある。したがって、セパレータの微多孔構造に短時間の内に浸透する電解液の使用により、リチウム二次電池の製造時間の短縮が実現する。
Figure 2010108943
なお、本発明は記載の実施例に限定されず、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせが可能である。特に、上記実施例の溶媒の組み合わせは限定されるものではない。更には、上記実施例はコイン電池に関するものであるが、本発明は円筒形、角柱形の電池や積層形のポリマー電池にも適用される。

Claims (10)

  1. リチウム複合酸化物を含む材料からなる正極、炭素を含む材料からなる負極、セパレータ、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えたリチウム二次電池において、該電解質塩がフッ素原子を含有するリチウム塩であり、該非水溶媒は環状カーボネートおよび/または環状エステルと、ジビニルスルホンまたは下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。式中、R、R、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。また、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16は、互いに結合して炭素数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い。式中、Yは、−COOR18、−COR18または−SO18、Yは、−COOR19−COR19または−SO19、Yは、−COOR20、−COR20または−SO20、Yは、−COOR21、−COR21または−SO21、およびYは、−COOR22、−COR22、−SO22を示し、前記R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基を示す。ただし、nは1または2の整数を示す。)で表されるアルキン誘導体のうち少なくとも1種とを含有し、さらに該非水溶媒中に下記一般式(V)、
    Figure 2010108943
    (式中、R、R、Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される第3級カルボン酸エステルが0.1〜10重量%含有されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記ジビニルスルホンまたはアルキン誘導体の含有量が、0.01〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池。
  3. 前記電解質塩が、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−CおよびLiPF(iso−C)から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載のリチウム二次電池。
  4. 前記環状カーボネートがエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびビニレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載のリチウム二次電池。
  5. 前記環状エステルがγ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載のリチウム二次電池。
  6. リチウム複合酸化物を含む材料からなる正極、炭素を含む材料からなる負極、セパレータ、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えたリチウム二次電池用非水電解液において、該電解質塩がフッ素原子を含有するリチウム塩であり、該非水溶媒が環状カーボネートおよび/または環状エステルと、ジビニルスルホンまたは下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    Figure 2010108943
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。式中、R、R、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、または水素原子を示す。また、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16は、互いに結合して炭素数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い。式中、Yは、−COOR18、−COR18または−SO18、Yは、−COOR19−COR19または−SO19、Yは、−COOR20、−COR20または−SO20、Yは、−COOR21、−COR21または−SO21、およびYは、−COOR22、−COR22、−SO22を示し、前記R18、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アリール基を示す。ただし、nは1または2の整数を示す。)で表されるアルキン誘導体のうち少なくとも1種とを含有し、さらに該非水溶媒中に下記一般式(V)、
    Figure 2010108943
    (式中、R、R、Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)で表される第3級カルボン酸エステルが0.1〜10重量%含有されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  7. 前記ジビニルスルホンまたはアルキン誘導体の含有量が、0.01〜20重量%であることを特徴とする請求項5記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  8. 前記電解質塩が、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−CおよびLiPF(iso−C)から選ばれる少なくとも1種以上である請求項6記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  9. 前記環状カーボネートがエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびビニレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上である請求項6記載のリチウム二次電池用非水電解液。
  10. 前記環状エステルがγ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンから選ばれる少なくとも1種以上である請求項5記載のリチウム二次電池用非水電解液。
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