JP2010107310A - 化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学物質センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法 - Google Patents

化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学物質センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法 Download PDF

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【課題】高い検出特異性を有し、多成分系のガスから特定化学物質を検出することができる化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法を提供する。
【解決手段】導電性基体の表面をマンガンフタロシアニンで表面修飾してなるセンシング部を備える特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子に関する。本発明の化学物質センシング素子において、特定化学物質がケトンであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の化学物質を検知する化学物質センシング素子、ならびに化学物質センシング素子を備えたガス分析装置および呼気分析装置に関するものである。また、本発明は、該化学物質センシング素子を用いて検体中のアセトン濃度を検出する方法に関するものである。
現在、ヒトの呼気中に微量に存在する揮発性物質の濃度を測定し、その増減から代謝反応および生化学的病態メカニズム等を明らかにすることによって、これまで知られていなかった新しい生体情報を非侵襲にモニタリングする研究が盛んである。現在日本では、医療費の増大および医療保険制度の崩壊などが危惧されており、医療予防社会の実現が待ち望まれている。そのためには、個人で手軽にかつ迅速に健康状態をチェックできるシステムが必要である。そして、個人の健康状態を手軽かつ迅速に把握するために用いられる生体検体としては、血液、尿、汗、唾液、呼気等が知られている。そのうち呼気においては、体内では肺胞の空気と毛細血管中の血液とが非常に薄い膜で隔てられているだけであることから、疾病に関する生体情報を多く含んでいることが知られている。
たとえば、呼気中のエタン、ペンタンやH22は酸化ストレスとの相関が高く、呼気中のこれらの濃度が高くなると脂質酸化、喘息、気管支炎という症状が現れてくる。また、呼気中のNO、CO、H22は肺疾患との相関が高く、呼気中のこれらの濃度が高くなると喘息や慢性閉塞性肺炎の症状が見られる。また、呼気中のH2、カーボンアイソトープは胃腸疾患との相関が高く、呼気中のこれらの濃度が高くなると消化不良、胃炎、十二指腸潰瘍の症状が見られる。また、呼気中のアセトンは代謝異常との相関が高く、呼気中のアセトン濃度が高くなると糖尿病の症状が見られる。一方、呼気中のアセトン濃度において、健康なヒトと比較して数値が低いヒトは、メタボリック症候群の傾向が見られる。
このような疾患に依存した生体情報を検出するセンサとして、カーボンナノチューブ(以下CNTともいう)に代表されるナノ構造体を利用して、従来に無かった非侵襲であり、超小型で、低消費電力で、かつポータブルな超高感度、高選択性のガスセンサの開発が熱望されている。
以上の背景から、呼気を分析する装置としては、2004−77467号公報(特許文献1)に示されるような、ガスクロマトグラフィを利用して呼気中の各成分を分類し、各種検出器でそれぞれに分離されたガス濃度を確認するガス分析装置が一般的に知られている。
また、呼気をより手軽に小型のセンサを用いて検知し、分析する場合においては、ガスセンサとしての実績のある酸化物半導体センサが利用されている。特にアセトンを検知し、分析するセンサに関しては、たとえば特開2001−349888号公報(特許文献2)に記載されたものが知られている。特許文献2においては、アセトン検知に酸化物半導体センサを用いており、該酸化物半導体センサの表面はSnO2またはZnOなどのn型半導体からなる。そして、該酸化物半導体センサは、その表面にガスが吸着し、反応することにより生じる電気抵抗変化を検出することでアセトン検知できる。
この酸化物半導体センサによるアセトンのような可燃性ガスの検知機構は、以下の(i)〜(iii)のとおり考えられている。
(i)空気中に置かれた酸化物半導体の表面には、通常、酸素が吸着しており、この酸素が酸化物半導体の表面から電子を引き抜くことで、負電荷となる。該表面に厚さ数nm〜数十nmの電子空乏層が形成されている。
(ii)電子空乏層により該表面は、電気抵抗が高くなる。また、酸化物半導体の使用される温度範囲(たとえば200〜400℃)では、該表面に吸着した酸素はO-やO2-となっている。
(iii)このような酸化物半導体の表面でガスと反応が起こる。上述した吸着した酸素量が低下し電子空乏層が薄く(電位障壁の幅と高さが小さくなる)なり、酸化物半導体全体の電気抵抗が大幅に減少することを検知する。
また、CNT上への金属錯体の表面修飾技術としては、非特許文献1や非特許文献2などが知られている。
また、ここで、基材としてナノ構造体の一種であるCNTを利用したセンサはその感度において0.1ppbの二酸化チッ素を検出可能との非特許文献3の報告があり、高感度なセンサとしての利用が期待されている。
特開2004−77467号公報 特開2001−349888号公報 Xing Hangら、Ferrocene Functionalized Single−Walled Carbon Nanotube bundles. Hybrid Interdigitated Construction Film for L−glutamate Detection, J. Phys. Chem.., 2007.0125, vol. 111, pp. 1200−1206 Jian−Shan Yeら、Electrochemical Biosensing Platforms Using Phthalocyanine−Functionalized Carbon Nanotube Electrode, Electroanalysis, 2005.01, vol.17 No.1, pp. 89−96 P.Qiら、Nano Lett, 2003, 3 pp. 347
特許文献1で記載のガスクロマトグラフィと検出器とを備えるガス分析装置は、高価であること、装置サイズが大きいこと、カラムの昇温および恒温が必須であること、取り扱いに専門性を有すること、ならびに、メンテナンスが煩雑であることといった諸問題から、パーソナルユースは到底不可能である。したがって、特許文献1に記載するガス分析装置は市場の広がりが限りなく小さい。
また、特許文献2で示した、酸化物半導体センサを用いた技術はポータブルなセンサをつくる技術として広く知られているが、似たような物質における特異的な選択性は低い。
この理由は以下に述べるとおりである。特許文献2における酸化物半導体センサにおいて、感度は炭素数の多いガスほど高い。これは炭素数の多いガス程消費する吸着酸素量が多いためである。また不飽和度が高く酸素と反応しやすいガスも感度が大きい。すなわち酸化反応が起こりやすく、それによって使われる吸着酸素量が多いガスは感度が高い。しかし当然ながら、同じような反応性を持ち、酸化に必要な酸素量が近いガスでは同じような感度となるため、選択性は無くなってしまう。つまりアセトンを選択的に検出することは原理的に不可能である。またガスを検出する際、燃焼反応を利用しているため、300℃程度の加熱が不可欠である。となるとセンシングにおいて、加熱に伴う消費電力のロスは避けられず、一度充電した後のデバイスとしての利用時間が、極めて短くなる欠点も含んでいる。
概して、これら課題を解決するためには、従来に無かった非侵襲、超小型、低消費電力、ポータブルな超高感度、構造が単純であること、高選択性のガスセンサの開発が必須となるのは自明である。
非特許文献1や非特許文献2に記載されたセンサでは呼気中のアセトンを検出することはできない。
また、非特許文献3に記載のセンサにおいては呼気のような多成分系のガスから、目的のガスを分析する場合は、検出したいガスとセンサとの選択性を高める必要がある。
実際の呼気中の低濃度ガスを検出するためには、呼気中に含まれる水分の除去が必須である。呼気中には80%もの水分が含まれており、水分中からppm〜ppbレベルのアセトンガスを検知するには、前処理技術が必須であり、加えてユーザーに呼気を吹き込む際、過剰な労力を課してアセトンの分析することは避けたいため、圧力損失を限りなく抑制する必要もあることから、吸着型の水分除去機構は用いられない。
そこで、本発明の目的は、高い検出特異性を有し、多成分系のガスから特定化学物質を検出することができる化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学物質センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法を提供することである。
本発明者らは、カーボンナノチューブ(CNT)表面へ特定の金属錯体を修飾することで、効果的に特定化学物質を高感度で且つ高選択性で検出する技術を見出し、室温での呼気中のアセトンの検出において、高感度で且つ高選択的にセンシングできることを確認し、本発明を完成した。
つまり、本発明は、導電性基体の表面をマンガンフタロシアニンで表面修飾してなるセンシング部を備える特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子に関する。
また、本発明の化学物質センシング素子において、特定化学物質がケトンであることが好ましい。
また、本発明の化学物質センシング素子において、マンガンフタロシアニンは、
Figure 2010107310
で示される構造であることが好ましい。
また、本発明の化学物質センシング素子において、導電性基体がナノ構造体からなることが好ましい。
また、本発明の化学物質センシング素子において、ナノ構造体がカーボンナノチューブからなることが好ましい。
また、本発明の化学物質センシング素子において、カーボンナノチューブ中の不純物はカーボンに対して強度比で0.001〜0.05であることが好ましい。
また、本発明の化学物質センシング素子において、導電性基体の表面のマンガンフタロシアニンの厚みは、5〜100nmであることが好ましい。
また、本発明は、上述した化学物質センシング素子と、化学物質センシング素子の電気抵抗変化を検出する検出部とを備えるガス分析装置に関する。
また、本発明は、上述した化学物質センシング素子を設置したセンシングチャンバと、センシングチャンバに接続した呼気導入口および排出口と、水分除去体とを備え、センシングチャンバと呼気導入口との間に水分除去体が配置された呼気分析装置に関する。
また、本発明における呼気分析装置は、水分除去体が中空糸からなることが好ましい。
また、本発明は、上述の化学物質センシング素子を用いて検体中のアセトン濃度を検出する方法に関する。
また、本発明は、上述のガス分析装置で、検体中のアセトン濃度を検出する方法に関する。
また、本発明は、上述の呼気分析装置で、呼気中のアセトン濃度を検出する方法に関する。
本発明により、疾患に依存した生体情報を検出でき従来に無かった非侵襲、超小型、低消費電力、ポータブルな超高感度、高選択性のガスセンサの開発が可能となり、ユーザーに対して、使用時のストレスが少ない化学物質センシング素子、ならびにこれを備えたガス分析装置および呼気分析装置、ならびに化学物質センシング素子を用いたアセトン濃度検出方法を提供できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
図1は、本発明における化学物質センシング素子の一形態を示す模式図である。図2は、図1の一部の拡大図である。
≪化学物質センシング素子の構造≫
以下、図1および図2に基づいて本発明にかかる化学物質センシング素子の構造について説明する。図1に示すように、化学物質センシング素子10は、電極(正極および負極)に接続されたセンシング部1を備える。センシング部1に対して検体、たとえば呼気3を接触させることにより生じるセンシング部1の電気伝導度の変化を検出することによって、呼気3中の特定化学物質の有無および含有量を明らかにすることができる。
図2に示すようにセンシング部1は、導電体基体4の表面をマンガンフタロシアニン2(以下、MnPcともいう)で表面修飾してなるものである。本発明においてマンガンフタロシアニン2は、中心金属がMnであって、フタロシアニン類に代表される錯体、またはその誘導体を示す。ただし、本発明において、マンガンフタロシアニン2は、特に以下の化学式(1)で示されるものが好ましい。これは、導電性基体4としてたとえばカーボンナノチューブを用いた場合に、カーボンナノチューブ表面のπ電子とマンガンフタロシアニン2の平面構造からなるπ電子との相互作用が期待されるために、カーボンナノチューブにマンガンフタロシアニンが強固に固定されることが考えられるためである。
Figure 2010107310
また、本発明においては、導電性基体4がナノ構造体からなることが好ましい。本発明において、ナノ構造体とは、ナノチューブ、ナノワイヤ、フラーレンなどのような構造体を示すものとし、該ナノ構造体における表面積は100〜3000cm2/cm3の範囲である。導電性基体4がナノ構造体であることによって、センシングデバイスを構築した際、酸化物半導体センサでは得られない超高感度のセンシングが室温で可能となるという利点が生じる。そして、導電性基体4は、カーボンナノチューブからなるナノ構造体であることが特に好ましい。カーボンナノチューブは、ナノメートルサイズでの電気導電性を示すだけでなく、そのカイラリティー(chirality)によっては半導体となり、制御電圧(ゲート電圧)による感度の増幅作用が得られる性質があることから、本発明において適当である。
そして、該カーボンナノチューブ中の不純物は、カーボン(炭素(C))に対して強度比で0.001〜0.05の範囲であることが好ましく、0.001〜0.01の範囲であることが特に好ましい。ここで、不純物とは、C以外のK、Mg、Ca、Na、Al、Si、S、Fe、Co、Ni等の元素の総称を示すものとし、強度比とは、たとえばエネルギー分散型X線分析器で検出されるカウント数の値を示すものとする。CNTの導電性が、CNTバルクの性質で左右されることで、化学物質センシング素子の表面で起こる特定化学物質(たとえばアセトン分子)とMnPcとの微弱な電気特性の変化を検出することが難しいため、検出感度が著しく低下する虞がある。CNTの主要構成元素である炭素に対する各不純物(Ca、Mg、SやSi等)の強度比を計算した場合、0.001未満である場合には、データの信頼性に問題がある虞があり、0.05超過である場合には、不純物による導電性がセンシング特性を左右してしまうといった虞がある。そして、CNTそれ自体ではたとえばアセトンに対して特異的に反応をしないが、MnPcで表面修飾した際、はじめてアセトンと反応する化学物質センシング素子10が得られる。
また、導電性基体4の表面のマンガンフタロシアニン2の厚みは、5〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることが特に好ましい。該厚みは、化学物質センシング素子を透過型電子顕微鏡で断面方向から確認することができる。該厚みが100nmを超えると導電性基体4の上に抵抗の高い有機材料が積層されることになり、マンガンフタロシアニン2上で僅かに特定化学物質3(たとえばケトン)の吸・脱着反応による電気抵抗変化が起こったとしても、それを電気特性として検知することが困難となる虞がある。一方、導電性基体4上のマンガンフタロシアニン2の厚みが5nm未満の場合には、特定化学物質3を検知する起点が少ないことで、電気抵抗変化が見られない虞がある。
なお、導電性基体4は、保持体に保持される形態であっても良い。この場合、保持体の導電性は絶縁体、もしくは高抵抗材料であるものが好ましい。
≪化学物質センシング部の動作、用途≫
本発明においては、特定化学物質はケトン(R1−CO−R2(ただしR1およびR2は炭化水素鎖))であることが好ましい。本発明においては、特定化学物質としてのケトンのカルボニル基と、マンガンフタロシアニン2におけるMnイオンとの間でd電子軌道とπ電子との軌道の混成のような相互作用が生じるものと考えられる。また、該両端の炭化水素鎖R1およびR2は、それぞれ炭素数が1〜2であることが特に好ましい。以上から、本発明においては、特定化学物質は、アセトンであることが特に好ましい。また、該特定化学物質は、アセトンのほか、エチルメチルケトンなどを挙げることができる。
本実施形態の化学物質センシング素子10は、センシング部1にアセトンの吸着に起因した電気伝導度が低下することが確認できる。有害ガス分子の付着による電気伝導度の変化は、導電性基体4の両端に電圧を印加すれば特定化学物質(アセトン)の付着によりナノチューブに流れる電流が変化するため、負荷抵抗を介して、化学物質分子付着の状況を検出することができる。センシング部1がたとえばCNT単独であるとアセトンを検出できないが、マンガンフタロシアニン2で表面修飾されていることによって、特に呼気成分3中のアセトンを特異的に検出することができる。
上述の通り、特に呼気においてアセトンは、代謝異常との相関が高く、呼気中のアセトン濃度が高いと、メタボリック症候群や糖尿病の症状が見られる。このように疾患と相関の深い呼気ガスを選択的に検出することは、予防医療の観点からも、早期診断という観点からも重要である。
高感度に低濃度を室温で検出する技術としては導電性基体、特にカーボンナノチューブを用いたものが知られている。ただし、カーボンナノチューブにおける上述した強度比によっては、MnPcによる表面修飾の有無に係らず、アセトンと反応してしまい、その感度が半導体センサと同程度のものまでしか得られない虞がある。
そこで、本実施形態においては、半導体フォトプロセスを利用し、導電性基体、特にCNTを直接固体基板(たとえばシリコン基板)の上にパターニングし、該CNTが成長した領域だけに、別途、MnPcで表面修飾する方法を用いて、化学物質センシング素子を製造する方法を選択することができる。つまり、CNT作製プロセスにおいて、不純物管理を徹底することで、高感度且つアセトンに高選択性に反応するセンサを開発することができる。CNT作製プロセスについては、後述する。
なお、不純物濃度の低いCNTを表面修飾材料と混合した液体を電極パターンの上に塗布することも可能である。
<化学物質センシング素子の製造方法>
図3は、本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられるフォトマスクを示す上面図である。図4は、図3の一部を拡大したものである。図5は、本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられるフォトマスクを示す上面図である。図6は、本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられる装置を示す模式図である。
以下、図3〜図6に基づいて説明する。
≪電極パターンおよび導電性基体の調製≫
まず、酸化シリコン膜が表面に形成されたシリコン基板を準備し、該シリコン基板の表面をフォトレジストで被覆する。そして、該フォトレジストの上に図3に示すフォトマスク20を設置して、該シリコン基板に対して露光した。そして、パターン21と同じパターンで酸化シリコン膜が露出させる。フォトマスク20には、パターン21とアライメントマーカー29とが備えられ、アライメントマーカー29によって、化学物質センシング素子のパターンを適宜調製し、合わせることができる。
次に、図3に示すパターン21およびアライメントマーカー29を備えるフォトマスク20を用いて、厚さ10〜500nmのパターン21状の電極を作製する。電極の材料は特に限定されないが、たとえばシリコン基板側にTiを製膜した後、Auを製膜してなる物質を用いることが好ましい。つまり、酸化シリコン膜上に電極パターンが形成される。ここで、図4は、図3における一部22の拡大図であるが、図4に示すように、櫛歯状のパターンの電極であることが好ましい。そして、櫛歯状の電極の幅は4μm以下に設定することが好ましい。また、櫛歯状の電極間のギャップ幅は、5μm以下に設定することが好ましい。電極ギャップ幅を3、4、5、6μmと変えて、同一条件で化学物質センシング素子を製造した場合に、その化学物質センシング素子の初期抵抗のばらつきを評価したところ、5μm超過のものはΩオーダーから数MΩオーダーまで特性のバラツキがあり、信頼性に欠ける虞があるためである。なお、寸法については、特に限定はされないが、たとえば図4においてL1およびL2を250μm、L3を520μm、L4を500μm、L5およびL6を10μmとすることができる。つまり、520μm四方の中に250μm×500μmの独立したパターンからなる化学センシング素子を形成することができる。
図4に示すように、できるだけ小さな領域の中に、複数(図4においては2個示す)の化学物質センシング素子を作製することは、量産化された素子の初期特性のばらつきを抑える上でも有効である。したがって、図4における端子23および24からなる電極ペア、ならびに、端子25および26からなる電極ペアを備える2個のそろった化学物質センシング素子は、双方の一方をリファレンス素子として利用できるメリットと、万が一何かのトラブルで片側の素子が動作不良になった場合でも、リペアとしてもう片側の素子を利用できるメリットがある。
次に、該シリコン基板の表面を再度フォトレジストで被覆する。そして、該フォトレジストの上に図5に示すフォトマスク30を、アライメントマーカー39と上述したアライメントマーカー29とが重なるように設置して、該シリコン基板に対して露光した。上記の操作で、櫛歯状のパターンの電極上のみのレジストが開口させる。次に、該シリコン基板に対して、アークプラズマ装置を用いて、導電性基体成長触媒(たとえばカーボンナノチューブ成長触媒)を蒸着する。本操作によって、図4におけるパターン27のように櫛歯状の電極の上に導電性基体成長触媒が蒸着する。なお、導電性基体成長触媒は、Co、Fe、Niなどを用いることができる。
その後、アセトンにてシリコン基板上のフォトレジストを完全に除去し、マイクロ波プラズマCVD装置の真空チャンバ内へ該シリコン基板を導入する。そして、真空チャンバ内の圧力を適宜調整しながら、シリコン基板を加熱する温度を800〜1200℃に保持し、真空チャンバ内にH2ガスを50sccm導入し、その後、マイクロ波を該真空チャンバ内に導入することによってH2ガスをプラズマ化し、導電性基体成長触媒の表面を還元する前処理をする。
そして、そのまま連続して、該真空チャンバ内において、原料ガスをプラズマ化することで、導電性基体成長触媒のパターンに応じた導電性基体が製造される。なお、上述した強度比は、電極パターンおよび導電性基体の調製工程で調整することができる。
≪表面修飾≫
本実施形態においては、上述の導電性基体の表面にマンガンフタロシアニン(MnPc)を塗布する。MnPcを塗布する際には、その塗布量が上述したMnPcの厚みと直結するため、塗布回数を検討する必要がある。
以下、図6に基づいて説明する。
まず、MnPcをテトラヒドロフラン溶媒に溶解した0.025〜0.25mMのMnPc溶液を作製し、上述のパターンで形成されたカーボンナノチューブの上にMnPc溶液を塗布する。塗布に用いる装置は、ディスペンサ16、X,Y,Z軸可動のステージ14、CCDカメラ15a、および、ステージ14を水平方向から60°程度の可動を可能とした位置に設置したCCDカメラ15bとを備えるものとすることができる。CCDカメラ15aは、MnPc溶液の塗布位置を正確に決定する。一方、CCDカメラ15bでは、ディスペンサ16先端から塗布される液滴を確認する。塗布圧力、塗布時間で、ディスペンサ16におけるチップ先端の直径等から適宜塗布条件を決定し、最終的に導電性基体を表面修飾するMnPcの厚みが5〜100nmとなるようにする。
<ガス分析装置>
本実施形態においては、上述した化学物質センシング素子と、化学物質センシング素子の電気抵抗変化を検出する検出部とを備えるガス分析装置を提供することができる。ガス分析装置によると、該化学物質センシング素子における電気抵抗変化を検出して、即座に確認することができるために、上述したような、ポータブルセンサーとして有効な構成である。また、該ガス分析装置は、たとえば、呼気中の特定化学物質を検出するために用いることもできるが、それ以外に大気や室内環境における空気の清浄化の様子を確認するためのアセトンの検出のような用途に応用できる。
<呼気分析装置>
本実施形態においては、センシングチャンバと、センシングチャンバに接続される呼気導入口および排出口と、水分除去体とを備える呼気分析装置を製造することもできる。センシングチャンバは、上述の化学物質センシング素子を内部に設置したモジュールであり、呼気導入口と水分除去体とが接続されている。つまり、本実施形態における呼気分析装置は、センシングチャンバと呼気導入口との間に水分除去体が配置された構造である。
呼気中には80%もの水分が含まれており、水分中からppm〜ppbレベルのアセトンガスを検知するには、前処理技術が必須である。さらに圧力損失を限りなく低下する必要もあることから中空糸フィルタを搭載することが好ましい。
実際の呼気分析においては、水分の存在が最大の問題となることが予想される。そのため、呼気中の目的のマーカーガスであるアセトンは除去せず、かつ、呼気中の水分だけを取り除く分離膜を備えることが好ましい。水分はシリカゲルなどの吸着剤で除去することも可能である。ただし、シリカゲルは目的のマーカーガスも吸着されてしまう点、再生が必要な点、圧力損失の点等を考慮すると、中空糸フィルタを用いることが好ましい。中空糸フィルタとは、たとえば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロビニルエーテルの共重合体のような材料からなるものを挙げることができる。
また、センシングチャンバから排出されるガスは、速やかに排出されるように該排出口に逆止弁を設置することで、所定の流速での評価をすることが好ましい。つまり、実際の呼気分析において、一旦テドラーバックのような呼気採取機構で呼気を採取したり、直接マウスピースのような物を使って呼気をセンシングチャンバ側に吹き込む場合、中空糸フィルタのような水分除去体で水分を除去された呼気が、所定の流速で導入されるよう、センシングチャンバに接続された呼気導入口、排出口は逆止弁構造をとることが好ましい。この構造により、呼気導入口から入ったガスがセンシングチャンバ内から逆流することも無く、また外気からのセンシングチャンバ内へのガスの導入も無く、一定の圧力で、一定の流速で呼気ガスを分析することが可能である。
図7は、中空糸フィルタの外側を乾燥するためのモジュールの断面を示す模式図である。以下、図7に基づいて説明する。中空糸フィルタ7のフィルタ性能を長時間維持するためには、中空糸フィルタ7の外側の水蒸気の分圧を下げることで、中空糸フィルタ7の内側と外側とに水蒸気の分圧差を持たせ、内側を通る水分をより効果的に外側に排出できる機構を備えることが好ましい。そこで、中空糸フィルタ7を内蔵したアクリルなどの容器からなるモジュールを準備し、予め排気口8を利用して真空雰囲気にして利用したり、モジュールの中にシリカゲルのような水分吸着剤を入れて、もしくはそれらを併用して利用しても良い。このモジュールにより、中空糸フィルタを長時間に渡って一定の性能を維持したまま利用することができる。
また、本発明においては、上述の化学物質センシング素子およびガス分析装置を利用することで、検体、特に呼気中のアセトン濃度を検出することができる。なお、該アセトン濃度は、ガスクロマトフラフィー装置を検討することで測定することができる。
本発明によると従来には無かった疾患に依存した生体情報を検出でき、従来に無かった非侵襲、超小型、低消費電力、ポータブルな超高感度、高選択性のガスセンサの開発が可能となり、ユーザーに対して、使用時のストレスが少ないガスセンサが開発され、予防医療社会の実現に向けた着実な進歩が確認され、特に呼気中に含まれるアセトンガスを高感度、且つ高選択性で検出することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<電極パターンおよびカーボンナノチューブの調製>
まず、導電性基体として、全ての不純物がカーボンに対して強度比で0.015以下であるカーボンナノチューブを作製した。
以下、図3〜図5に基づいて説明する。なお、図3および図5における説明は、上述したものであり、自明であることは繰り返さない。
加熱により生じた厚さ300nmの酸化シリコン膜が表面に形成されたシリコン基板を準備した。そして、該シリコン基板の表面をフォトレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)で被覆した。そして、該フォトレジストの上に図3に示すフォトマスク20を設置して、該シリコン基板に対して露光した。そして、パターン21と同じパターンで酸化シリコン膜が露出した。
次に、図3に示すパターン21およびアライメントマーカー29を備えるフォトマスク20を用いて、厚さ25nmのチタン(Ti)膜を形成し、該チタン膜上に同じく該フォトマスクを用いて厚さ36nmの金(Au)膜を形成した。つまり、酸化シリコン膜上にTi/Au膜が形成されたこととなった。これにより、図3に示すパターン21と同じ電極のパターンを作製することができ、パターン21における一部22は、図4に示すようなギャップ幅3μm、ライン幅5μmからなる櫛歯状のパターンの電極であった。具体的な寸法については、L1およびL2を250μm、L3を520μm、L4を500μm、L5およびL6を10μmとした。
次に、該シリコン基板の表面を再度フォトレジストで被覆した。そして、該フォトレジストの上に図5に示すフォトマスク30を、アライメントマーカー39と上述したアライメントマーカー29とが重なるように設置して、該シリコン基板に対して露光した。上記の操作で、櫛歯状のパターンの電極上のみのレジストが開口した。次に、該シリコン基板に対して、アークプラズマ装置(以下APG装置:ULVAC社製/放電電圧60V、アノード―基板間90mm)を用いて厚さ0.05nmのCo膜、厚さ0.2nmのTi膜の順番で蒸着した。Co膜およびTi膜は、カーボンナノチューブ成長触媒として蒸着した。
その後、アセトンにてシリコン基板上のフォトレジストを完全に除去し、マイクロ波プラズマCVD装置の真空チャンバ内へ該シリコン基板を導入した。そして、真空チャンバ内の圧力を15Torr(1.99983×103Pa)程度になるように圧力コントロールバルブにて調整しながら、シリコン基板を加熱する温度を800℃に保持し、マスフローコントローラを通じて真空チャンバ内にH2ガスを50sccm導入した。その後、2.45GHzのマイクロ波(250W)を該真空チャンバ内に導入することによってH2ガスをプラズマ化し、5分間、シリコン基板上に設置されたカーボンナノチューブ成長触媒の表面をクリーニングする前処理をした。
そして、そのまま連続して、該真空チャンバ内において、原料ガス(H2で希釈したCH4ガス(H2:CH4=80sccm:20sccm))を15分間プラズマ化することで、カーボンナノチューブ成長触媒のパターンに応じた不純物濃度の極めて少ない、純度の高いカーボンナノチューブが作製された。カーボンナノチューブ中の不純物はカーボンに対して強度比で0.015以下であった。
本実施例においては該カーボンナノチューブを導電性基体として用いた。
<表面修飾>
本実施例においては、上述したカーボンナノチューブの表面を、上述した化学式(1)に示されるMnPc(Alfa aesar社製、型番:039309)で表面修飾してなるセンシング部を備える化学物質センシング素子を作製した。以下、図6を用いて説明する。
まず、MnPcをテトラヒドロフラン溶媒に溶解した0.25mMのMnPc溶液を作製し、上述のパターンで形成されたカーボンナノチューブの上にMnPc溶液を塗布した。塗布に用いた装置は、武蔵野エンジニアリング製(ML−808 FX com)ディスペンサ16、X,Y,Z軸可動のステージ14、CCDカメラ15a(島津製作所製)、および、ステージ14を水平方向から60°程度の可動を可能とした位置に設置したCCDカメラ15bとを備えるものとした。CCDカメラ15aは、MnPc溶液の塗布位置を正確に決定するために利用した。一方、CCDカメラ15bでは、ディスペンサ16先端から塗布される液滴を確認するために利用した。塗布条件として塗布圧力20kPa、塗布時間0.02秒の条件で、ディスペンサ16における40μmφのチップ先端からMnPc溶液を塗布した。本実施例においては、MnPc溶液を100回塗布した。このとき、透過型電子顕微鏡で断面方向から確認したカーボンナノチューブ上を表面修飾するMnPcの厚みは10nmであった。
[実施例2〜7]
実施例1におけるカーボンナノチューブ上を表面修飾するMnPc溶液をそれぞれ5回、10回、25回、50回、150回、200回塗布した以外は、すべて実施例1と同様にして化学物質センシング素子を作製した。このとき、透過型電子顕微鏡で断面方向から確認したカーボンナノチューブ上を表面修飾するMnPcの厚みはそれぞれ1nm、2nm、3nm、8nm、80nm、210nmであった。
[実施例8]
導電性基体として上述した市販のカーボンナノチューブ(本荘ケミカル社製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして化学物質センシング素子を作製した。市販のカーボンナノチューブ中の不純物はカーボンに対して強度比で0.133であった。
[比較例1]
実施例1において、カーボンナノチューブの表面にMnPcで表面修飾しなかった以外は全て実施例1と同様にして化学物質センシング素子を作製した。
上記をまとめると以下の表1のようになった。なお、表1中のセンシング効率における○は顕著に電気抵抗変化を確認できたことを示し、△は微量ながら電気抵抗変化を確認できたことを示し、×は電気抵抗変化を確認できなかったことを示す。
Figure 2010107310
〈検討1:CNTにおけるカーボンに対する不純物の強度比と特異的検出効率と関係について〉
実施例1におけるカーボンナノチューブ(不純物の相対強度比が0.015以下)を備える化学物質センシング素子と、実施例8における市販のカーボンナノチューブ(不純物の相対強度比が0.133以下)を備える化学物質センシング素子とについて、カーボンナノチューブの強度比の違いと、特定化学物質の検出の感度との間に関係があるか調べた。実施例1における化学物質センシング素子と、実施例8における化学物質センシング素子とを、アセトン導入時の電気抵抗変化を元にしたアセトンの検出方法によって、検体中のアセトンを検出する感度について検討した。
結果としては、実施例1における化学物質センシング素子のほうが、検体中のアセトンをより特異的に検出することができることが示された。
また、実施例1におけるカーボンナノチューブと実施例8におけるカーボンナノチューブ(本荘ケミカル社製)とにおける不純物をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)(EDAX社製)によって分析して、不純物の強度比について検討した。
図8は、実施例1で用いたカーボンナノチューブにおける不純物分析結果を示すグラフである。図9は、実施例8で用いたカーボンナノチューブにおける不純物分析結果を示すグラフである。図8および図9における横軸は検出元素のエネルギー値を示し、縦軸は元素の存在比に相当するカウント数を示す。図8および図9から明らかなように、実施例8で用いたカーボンナノチューブからは、Mg、Si、Caが明瞭なピークとして観察された。なお、図8および図9中、Cuは分析上のバックグラウンドである。つまり、アセトンに対する感度が少し低い実施例8にかかる化学物質センシング素子に用いたCNTからは、Ca、MgやSi等が明瞭に観察された。これらの不純物が表面反応による極微量の電気抵抗変化の寄与を低下させていることで、絶対的な検出感度の不足が生じていることが分かった。これは、CNTの導電性が、CNTバルクの性質で左右されることで、化学物質センシング素子の表面で起こるアセトン分子とMnPcとの微弱な電気特性の変化を検出することが難しいため、検出感度が著しく低下するものと考えられた。つまり、アセトンの検出において、用いるカーボンナノチューブの強度比によっては、MnPcによる表面修飾の有無に係らず、アセトンと反応してしまうため、実施例1よりも実施例8の方が感度が低いものとなることが分かった。
また、CNTをCVD法等公知の方法で一旦生成後、硫酸や過酸化水素水で還流して不純物除去する場合には、還流する際に発生する不純物除去(硫黄等)が非常に困難となるため、本発明には適さないことも確認した。
〈検討2:MnPcの厚みと特異的検出効率との関係について〉
実施例1〜8における化学物質センシング素子および比較例1における化学物質センシング素子を用いて、カーボンナノチューブにおけるMnPcの厚みと特異的検出効率について検討した。
検討方法については、まず、各化学物質センシング素子を別々にアクリル製測定のチャンバに入れて、検体としての擬似呼気(酸素18%と二酸化炭素0.04%と100ppmの濃度のアセトンガスとを含み残りはチッ素ガス)と各化学物質センシング素子とを接触させた。モデルガスのガス流量は、500mL/分とし、1分間チッ素ガスに暴露後、擬似呼気に1分間暴露し、各化学物質センシング素子における電気抵抗変化を確認した。なお、電気抵抗変化については、アジレント製デジタルマルチメータ、定電圧電源装置で測定した。
図10は、実施例1、4および5、比較例1における各化学物質センシング素子における電気抵抗変化を示すグラフである。横軸は、時間(秒)を、縦軸は化学物質センシング素子における電気抵抗変化を示す。以下、図10を参照しながら説明する。
比較例1における化学物質センシング素子は、カーボンナノチューブにおいてMnPcによる表面修飾がないため、1分間チッ素ガスを接触させた後に擬似呼気を接触させた場合において、電気抵抗変化は見られなかった。また、実施例4においては、電気抵抗変化は小さいながら観測された。
一方、実施例1および5における各化学物質センシング素子については、1分間チッ素ガスを接触させた後に擬似呼気を接触させた場合において、明らかな電気抵抗変化が見られた。また、図10には示していないが、そのほかの実施例における各化学物質センシング素子についても同様に電気抵抗変化が確認された。ただし、実施例1における化学物質センシング素子が最も電気抵抗変化を示し、センシング素子としての特性値が高いことが分かった。
また、比較例1における化学物質センシング素子を用いても同様に検討したが、今回作製した本発明における化学物質センシング素子の1/500の検出感度しかないことも確認された。
つまり本発明に係る化学物質センシング素子はアセトンと選択的に高い特異性をもって反応することが明らかとなった。
〈検討3:特定化学物質の検出特異性の検討〉
実施例1で製造した化学物質センシング素子を用いて、以下の(1)〜(2)の確認を行なった。
(1)アセトンに対する特異的選択性を詳細に確認するため、上記擬似呼気に対してアセトンの代わりに一酸化チッ素が1,10ppmの濃度で含まれるガスで上述の検討2と同様の実験をした。その結果、本発明にかかる化学物質センシング素子については、電気抵抗変化が見られず一酸化ガスには反応しないことも明らかとなった。
(2)アルコール成分として、エタノールを、100ppmの濃度含有するを用いて上述の検討2と同様の試験を行った。この場合にも本発明にかかる化学物質センシング素子については電気抵抗変化が見られずエタノールには反応しないことが分かった。
以上から、本発明にかかる化学物質センシング素子は、アセトンと選択的に反応することがより明確となった。
[実施例9]
図7に基づいて説明する。実施例1において製造した化学物質センシング素子を含むセンシングチャンバと水分除去体とを備え、センシングチャンバに接続した呼気導入口および排出口をさらに備える呼気分析装置を製造した。呼気とを接触させる前に、水分除去できる中空糸からなるフィルタに該呼気を接触させることができる。水分除去体には、中空糸フィルタ(AGCエンジニアリング製SWT−1.3−03)を利用した。図7に示すように、中空糸フィルタ7の外側を乾燥するためのモジュールを備え、中空糸フィルタのフィルタ性能を長時間維持するためには、フィルタの外側の水蒸気の分圧を下げることで、フィルタの内側と外側に水蒸気の分圧差を持たせ、内側を通る水分をより効果的に外側に排出できる機構を水分除去体とした。
〈検討4:水分除去体の有無の効果の検討〉
実施例9における呼気分析装置および実施例1における化学物質センシング素子とを用いて、水分除去体の有無の効果について検討した。
検討方法については、まず、実施例9における呼気分析装置、および実施例1における化学物質センシング素子のみを別々にアクリル製の測定チャンバに入れて、乾燥チッ素を500mL/分で流し、湿度40%の加湿チッ素を500mL/分で流した後、250ppmのアセトンを含む湿度40%の加湿チッ素を500mL/分で流し、その後、再度湿度40%の加湿チッ素を流して、呼気分析装置における化学物質センシング素子と実施例1における化学物質センシング素子における電気抵抗変化を測定した。なお、電気抵抗変化については、アジレント製デジタルマルチメータ、定電圧電源装置で測定した。
図11は、実施例9における呼気分析装置(実線)および実施例1における化学物質センシング素子(点線)の電気抵抗変化を示すグラフである。横軸は、時間(秒)を、縦軸は化学物質センシング素子における電気抵抗変化を示す。以下、図11を参照しながら説明する。
実施例9における呼気分析装置(中空糸フィルタ有り)は、乾燥チッ素では電気抵抗変化は見られず、湿度40%の加湿チッ素でも電気抵抗変化は見られなかった。しかし、アセトンを含む湿度40%の加湿チッ素では、電気抵抗変化が生じ、再度湿度40%の加湿チッ素を流した場合には、電気抵抗変化を確認できた。
一方、実施例1における化学物質センシング素子(中空糸フィルタなし)は、湿度40%の加湿チッ素に対して電気抵抗変化が確認された。中空糸フィルタがある場合は再度低下が確認され、アセトンガスに対してのみ反応することが明瞭であった。
呼気中には、80%もの水分が含まれており、水分中からppm〜ppbレベルのアセトンガスを検知するには、実施例9における呼気分析装置が有用であることが示された。
[実施例10]
実施例1における化学物質センシング素子を5×4×2cmからなるアクリル製のセンシングチャンバ内に保持し、センシングチャンバに据え付けられたスエジロック製の気体導入口(呼気導入口)に直接、図7に示すような中空糸からなるフィルタを備えるモジュールを接続し、水分を除去できる構成の呼気分析装置を製造した。分析後のガスはセンシングチャンバから速やかに排出されるよう逆止弁を設置することで、所定の流速での評価が可能であった。つまり、実際の呼気分析において、一旦テドラーバックのような呼気採取機構で呼気を採取したり、直接マウスピースのような物を使って呼気をセンシングチャンバ側に吹き込む場合、中空糸フィルタのような水分除去体で水分を除去された呼気が、500mL/分等の所定の流速で導入されるよう、センシングチャンバに接続された呼気導入口、排出口は逆止弁構造をとった。この構造により、呼気導入口から入ったガスがセンシングチャンバ内から逆流することも無く、また外気からのセンシングチャンバ内へのガスの導入も無く、一定の圧力で、一定の流速で呼気ガスを分析することが可能であった。
〈検討5:呼気分析装置に接触させる検体の流速と測定効率について〉
これまでの説明の通り、マンガンフタロシアニンを修飾したCNTセンサは、擬似呼気ガス各主成分(チッ素、酸素、二酸化炭素)には反応せず、また生体ガスの一種であり、喘息などの疾患との相関の高いアセトンとは別の呼気ガスマーカー成分である一酸化チッ素、その他、メタノールやエタノール等のアルコール類にも反応せず、水分は事前に除去することで、今回の分析には影響しないことを確認した。
検討方法については、実施例10における呼気分析装置をアクリル製の測定チャンバに入れて、40%に加湿された上述の擬似呼気(100ppmの濃度アセトンガスを含む)を流し、その感度を測定した。その際、流速依存性を確認する上で、流速を50mL/min、200mL/min、350mL/min、500mL/minとしてその検出感度(電気抵抗変化)を比較した。なお、電気抵抗変化については、アジレント製デジタルマルチメータ、定電圧電源装置で測定した。
図12は、擬似呼気の各流速と電気抵抗変化を示すグラフである。横軸は、時間(秒)を、縦軸は化学物質センシング素子における電気抵抗変化を示す。以下、図12を参照しながら説明する。
呼気分析装置の特性値は、(ピークトップのコンダクタンス―電気抵抗変化直前のコンダクタンス)/(電気抵抗変化直前のコンダクタンス)を百分率で表した値を用いた。結果を表2に示す。同じセンサを用いた場合でも、明らかな流速依存性があり、ガス導入の速度を調整することで、検出感度の最適化が図れることが確認された。
Figure 2010107310
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明により、従来には無かった疾患に依存した生体情報を検出でき、従来に無かった非侵襲、超小型、低消費電力、ポータブルな超高感度、高選択性のガスセンサの開発が可能となり、ユーザーに対して、使用時のストレスが少ないガスセンサが開発され、予防医療社会の実現に向けた着実な進歩が確認され、特に呼気中に含まれるアセトンガスを高感度、かつ高選択性でセンシング可能な技術が開発された。
本発明における化学物質センシング素子の一形態を示す模式図である。 図1の一部の拡大図である。 本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられるフォトマスクを示す上面図である。 図3の一部の拡大図である。 本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられるフォトマスクを示す上面図である。 本発明における一実施形態の化学物質センシング素子の製造方法で用いられる装置を示す模式図である。 中空糸フィルタの外側を乾燥するためのモジュールの断面を示す模式図である。 実施例1で用いたカーボンナノチューブにおける不純物分析結果を示すグラフである。 実施例8で用いたカーボンナノチューブにおける不純物分析結果を示すグラフである。 実施例1、4および5、比較例1における各化学物質センシング素子における電気抵抗変化を示すグラフである。 実施例9における呼気分析装置(実線)および実施例1における化学物質センシング素子(点線)の電気抵抗変化を示すグラフである。 擬似呼気の各流速と電気抵抗変化を示すグラフである。
符号の説明
1 センシング部、2 マンガンフタロシアニン、3 呼気、4 導電性基体、5,22 一部、7 中空糸フィルタ、8 排気口、10 化学物質センシング素子、14 ステージ、15a,15b CCDカメラ、16 ディスペンサ、20,30 フォトマスク、21,27 パターン、23,24,25,26 端子、29,39 アライメントマーカー。

Claims (11)

  1. 導電性基体の表面をマンガンフタロシアニンで表面修飾してなるセンシング部を備える特定化学物質を検出するための化学物質センシング素子。
  2. 前記特定化学物質がケトンである請求項1に記載の化学物質センシング素子。
  3. 前記マンガンフタロシアニンは、
    Figure 2010107310
    で示される構造である請求項1または2に記載の化学物質センシング素子。
  4. 前記導電性基体がナノ構造体からなる請求項1〜3のいずれかに記載の化学物質センシング素子。
  5. 前記ナノ構造体がカーボンナノチューブからなる請求項4に記載の化学物質センシング素子。
  6. 前記カーボンナノチューブ中の不純物はカーボンに対して強度比で0.001〜0.05である請求項5に記載の化学物質センシング素子。
  7. 前記導電性基体の表面の前記マンガンフタロシアニンの厚みは、5〜100nmである請求項1〜6のいずれかに記載の化学物質センシング素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の化学物質センシング素子と、
    化学物質センシング素子の電気抵抗変化を検出する検出部とを備えるガス分析装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の化学物質センシング素子を設置したセンシングチャンバと、前記センシングチャンバに接続した呼気導入口および排出口と、水分除去体とを備え、
    前記センシングチャンバと前記呼気導入口との間に前記水分除去体が配置された呼気分析装置。
  10. 前記水分除去体が中空糸からなる請求項9に記載の呼気分析装置。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の化学物質センシング素子を用いて検体中のアセトン濃度を検出する方法。
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