JP2010106906A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】リザーバ室の圧力変動によってベローズの外れや作動油の噴き出しを防止することができるようすることである。
【解決手段】内部に作動油が充填されたシリンダ1内にスリーブ4を設け、そのスリーブ4内にロッド5の下端部を摺動自在に挿入してスリーブ4内に圧力室6を形成し、ロッド5の上部に設けられたばね座7をリターンスプリング8により伸張する方向に付勢する。ばね座7の外周とシリンダ1の上部外周にベローズ14の両端に設けられた筒部16、17を嵌合して、シリンダ1とスリーブ4間に密閉されたリザーバ室19を形成する。筒部17とシリンダ1の嵌合部間に通気性を有するリング状部材13を組込み、ベローズ14の伸張によるリザーバ室19の容積変化時に、外部のエアをリング状部材13の内部に流通させてリザーバ室19内に流入させ、または、リザーバ室19内のエアを外部に排出させて、リザーバ室19内の圧力をほぼ一定に保持し、筒部16、17の外れや作動油の噴き出しを防止する。
【選択図】図1
【解決手段】内部に作動油が充填されたシリンダ1内にスリーブ4を設け、そのスリーブ4内にロッド5の下端部を摺動自在に挿入してスリーブ4内に圧力室6を形成し、ロッド5の上部に設けられたばね座7をリターンスプリング8により伸張する方向に付勢する。ばね座7の外周とシリンダ1の上部外周にベローズ14の両端に設けられた筒部16、17を嵌合して、シリンダ1とスリーブ4間に密閉されたリザーバ室19を形成する。筒部17とシリンダ1の嵌合部間に通気性を有するリング状部材13を組込み、ベローズ14の伸張によるリザーバ室19の容積変化時に、外部のエアをリング状部材13の内部に流通させてリザーバ室19内に流入させ、または、リザーバ室19内のエアを外部に排出させて、リザーバ室19内の圧力をほぼ一定に保持し、筒部16、17の外れや作動油の噴き出しを防止する。
【選択図】図1
Description
この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンのコンプレッサ等の自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる油圧式オートテンショナに関する。
エンジンのクランクシャフトの回転を各種の自動車補機に伝えるベルト伝動装置においては、図4に示すように、ベルト31の弛み側にテンションプーリ32を支持する揺動可能なプーリアーム33を設け、そのプーリアーム33に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、上記テンションプーリ32がベルト31を押圧する方向にプーリアーム33を付勢し、ベルト31の張力を一定に保持するようにしている。34は、プーリアーム33の揺動中心軸を示す。
上記のようなベルト伝動装置に使用される油圧式オートテンショナAとして、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この油圧式オートテンショナにおいては、作動油が充填された底付きシリンダの内底面から立ち上がるスリーブ内にロッドの下部をスライド自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの底面間にリターンスプリングを組込んでロッドとシリンダを伸張する方向に付勢している。
また、ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有するベローズの両端の筒部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成し、そのリザーバ室下部と上記圧力室とを通路で連通し、その通路にチェックバルブを設け、ベルト31からテンションプーリ32およびプーリアーム33を介して油圧式オートテンショナAにシリンダとロッドを収縮させる方向の押込み力が負荷された際に、チェックバルブを閉じ、圧力室内に封入された作動油のダンパ作用によって上記押込み力を緩衝するようにしている。
上記のような油圧式オートテンショナは、数mmから数10mmの伸縮機能を有しているため、リザーバ室を密閉するベローズにも伸縮性が要求される。
そこで、特許文献1に記載された油圧式オートテンショナにおいては、ベローズの長さ方向の中央部に上向きの反転部と、その反転部の外側端に下向きの反転部を設けて伸縮性を付与し、上記上向き反転部に連設された小径筒部をばね座の外周に締め代を持って嵌合すると共に、下向き反転部に連設された大径筒部をシリンダの上部外周に締め代をもって嵌合している。
ところで、上記従来の油圧式オートテンショナにおいては、伸張時にはリザーバ室の容積が増加して圧力が低下し、また、収縮時にはリザーバ室の容積が減少して圧力が増加するため、リザーバ室の圧力変動によりベローズが収縮または膨張し、その収縮時にベローズに引っ張り力が付与されて、筒部が嵌合対象部から外れたり、膨張時に筒部と嵌合対象物の嵌合面間に隙間が形成されて内部の作動油が噴き出す可能性があった。
この発明の課題は、リザーバ室の圧力変動によってベローズの外れや作動油の噴き出しを防止することができるようすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、弾性を有する伸縮可能なベローズの一端の筒部をばね座の外周に嵌合し、ベローズの他端の筒部をシリンダの上部外周に嵌合するベローズの装着によって、シリンダとその内側に組込まれたスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成する油圧式オートテンショナにおいて、上記ベローズの両端に設けられた一対の筒部の少なくとも一方の筒部とその筒部が嵌合される嵌合対象部の嵌合面間に通気性および弾性を有する高分子化合物からなるリング状部材を組込んだ構成を採用したのである。
ここで、嵌合対象部とは、上記筒部がばね座に嵌合されている場合はばね座をいい、シリンダに嵌合されている場合はシリンダをいう。
上記の構成からなる油圧式オートテンショナにおいて、ベローズの伸張によりリザーバ室の容積が増加して圧力が低下すると、外部のエアが通気性を有するリング状部材からリザーバ室内に流入する。このため、ベローズに引張り力が付与されることがなくなり、筒部が嵌合対象部から外れるようなことはない。
一方、ベローズの収縮によりリザーバ室内の容積が減少して圧力が高くなると、リザーバ室内のエアがリング状部材から外部に流出する。このため、筒部が膨張して嵌合対象部との間に隙間が生じるというようなことがなくなり、作動油が噴き出すようなことはない。
ここで、筒部を弾性リングや締付バンドからなる締付部材の締付けにより固定し、嵌合対象部の外周には上記締付部材の締付け部位に環状溝を設けておくと、締付部材の締付けにより筒部やリング状部材が内方に変形し、上記リング状部材の変形部が環状溝に係合するため、筒部やリング状部材の軸方向への移動を効果的に防止することができ、筒部やリング状部材の外れ防止に大きな効果を得ることができる。
この発明においては、上記のように、ベローズに設けられた筒部とその筒部が嵌合される嵌合対象部の嵌合面間に通気性を有するリング状部材を組込んだことにより、ベローズの伸縮によりリザーバ室の容積が変化しても、リザーバ室の圧力を略一定に保つことができ、ベローズの筒部の外れや作動油の噴き出しを防止することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、シリンダ1は下部が閉塞し、その閉塞端部にエンジンブロックに回転自在に連結される連結片2が設けられている。
シリンダ1の内底面には、スリーブ嵌合孔3が設けられ、そのスリーブ嵌合孔3内にスリーブ4の下端部が圧入されている。スリーブ4内にはロッド5の下部がスライド自在に挿入され、そのロッド5の挿入によって、スリーブ4内に圧力室6が設けられている。
ロッド5のシリンダ1の外部に位置する上端部にはばね座7が固定され、そのばね座7とシリンダ1の底面間に組込まれたリターンスプリング8は、シリンダ1とロッド5を相対的に伸張する方向に付勢している。
ばね座7は円板状をなし、その上面には図4に示すプーリアーム33に対して連結される連結片9が設けられている。また、ばね座7の外周には環状溝10が形成され、下面にはリターンスプリング8の上端部に嵌合して、リターンスプリング8の上端が径方向に移動するのを防止する円筒部11が設けられている。
シリンダ1の上部外周には環状溝12が形成され、その環状溝12を覆うようにしてリング状部材13が嵌合されている。リング状部材13はシリコーン等の高分子化合物により形成されてブリーザ機能を発揮し得る通気性と弾性とを有し、シリンダ1の外径面を適度に締め付ける嵌合とされている。
ばね座7とシリンダ1の上端面間はベローズ14の装着によって閉塞される。図1および図2に示すように、ベローズ14は、蛇腹部15の両端に筒部16、17を設けた構成とされ、ゴムあるいは合成樹脂により形成されて弾性を有し、かつ、伸縮可能とされている。
ベローズ14の一端の筒部16はばね座7の外周に嵌合され、締付部材18の締付けにより固定されている。締付部材18として、ここでは、弾性リングが示されているが、締付バンドであってもよい。その締付部材18の締付けにより筒部16は内径側に弾性変形し、その変形部16aが環状溝10に係合している。
また、ベローズ14の他端の筒部17は、シリンダ1の上部外周に嵌合された上記リング状部材13上に嵌合され、締付部材18の締付けにより固定されている。締付部材18は上述の締付部材18と同一のものが用いられ、その締付部材18の締付けにより筒部17およびリング状部材13が内径方向に弾性変形し、リング状部材13の変形部13aが環状溝12に係合して軸方向に移動するのが防止されている。
上記のようなベローズ14の装着により、シリンダ1とスリーブ4との間に密閉されたリザーバ室19が形成されている。リザーバ室19と圧力室6は、スリーブ嵌合孔3とスリーブ4の嵌合面間に形成された油通路20で連通し、その油通路20の圧力室6側の端部に設けられたチェックバルブ21は、圧力室6内の圧力がリザーバ室19内の圧力より高くなると、油通路20を閉鎖するようになっている。
また、ベローズ14の装着状態において、リング状部材13の上端部はリザーバ室19に露出し、かつ、下部が外部に露出している。
実施の形態で示す油圧式オートテンショナは上記の構成からなり、図4に示す補機駆動用ベルト31の張力調整に際しては、シリンダ1の閉塞端に設けた連結片2をエンジンブロックに連結し、かつ、ばね座7の連結片9をプーリアーム33に連結して、そのプーリアーム33に調整力を付与する。
上記のようなベルト31の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト31の張力が変化し、上記ベルト31の張力が弱くなると、リターンスプリング8の押圧によりシリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動してベルト31の弛みが吸収される。
ここで、シリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動するとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室19内の圧力より低くなるため、チェックバルブ21が油通路20を開放する。このため、リザーバ室19内の作動油は油通路20から圧力室6内にスムーズに流れ、シリンダ1とロッド5は伸張する方向にスムーズに相対移動してベルト31の弛みを直ちに吸収する。
一方、ベルト31の張力が強くなると、ベルト31から油圧式オートテンショナのシリンダ1とロッド5を収縮させる方向の押込み力が負荷される。このとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室19内の圧力より高くなるため、チェックバルブ21は油通路20を閉じ、圧力室6内の作動油はスリーブ4の内径面とロッド5の外径面間に形成された微小すきま22に流れてリザーバ室19内に流入し、上記作動油が微小すきま22に流動する際の粘性抵抗によって圧力室6内に油圧ダンパ力が発生し、その油圧ダンパ力によって、油圧式オートテンショナに負荷される上記押込み力が緩衝されると共に、シリンダ1とロッド5は、押込み力とリターンスプリング8の弾性力とが釣り合う位置まで収縮する方向にゆっくりと相対移動する。
上記のようなベルト31の張力調整時、シリンダ1とロッド5が相対的に伸縮すると、ベローズ14も同時に伸縮する。このとき、リザーバ室19の容積が変化し、上記容積が大きくなると圧力が低下してベローズ14の筒部16、17に外れを生じさせようとする軸方向への引張り力が負荷される。また、容積が小さくなると圧力が上昇し、筒部16、17を膨張させて、筒部16、17の嵌合部に隙間を生じさせようとする。
このとき、ベローズ14における他端の筒部17とシリンダ1の外径面間には通気性を有するリング状部材13が嵌合され、そのリング状部材13は上端部がリザーバ室19に露出し、下端部が外部に露出する取付けであるため、リザーバ室19の圧力が低下すると、外部のエアがリング状部材13の内部を流通してリザーバ室19内に流入する。このため、リザーバ室19内の圧力低下はなく、ベローズ14に引張り力が付与されることもなく、しかも、リング状部材13の内径側の膨出する変形部13aが環状溝12に係合しているので、筒部16、17がばね座7やシリンダ1から外れるようなことはない。
一方、ベローズ14の収縮によりリザーバ室19内の容積が減少して圧力が高くなると、リザーバ室11内のエアはリング状部材13の内部を流通して外部に流出する。このため、筒部16、17が膨張して嵌合対象部としてのシリンダ1やばね座7との間に隙間が生じるというようなことがなくなり、作動油が噴き出すようなことはない。
図1および図2では、ベローズ14の他端の筒部17とシリンダ1の嵌合部間にリング状部材13を組込むようにしたが、ベローズ14の一端の筒部16とばね座7の嵌合部間にリング状部材13を組込むようにしてもよい。
また、図1では、ベローズ14として蛇腹状のベローズを示したが、ベローズ14はこれに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、長さ方向の中央部に上向き反転部23と、その上向き反転部23の外側端に下向き反転部24を設け、各反転部23、24の端部に筒部16、17を設けた反転部付きのベローズであってもよい。
1 シリンダ
4 スリーブ
5 ロッド
6 圧力室
7 ばね座
8 リターンスプリング
12 環状溝
13 リング状部材
13a 変形部
14 ベローズ
15 蛇腹部
16 筒部
17 筒部
18 締付部材
19 リザーバ室
20 油通路
21 チェックバルブ
23 上向き反転部
24 下向き反転部
4 スリーブ
5 ロッド
6 圧力室
7 ばね座
8 リターンスプリング
12 環状溝
13 リング状部材
13a 変形部
14 ベローズ
15 蛇腹部
16 筒部
17 筒部
18 締付部材
19 リザーバ室
20 油通路
21 チェックバルブ
23 上向き反転部
24 下向き反転部
Claims (6)
- 閉塞端を下部に有し、内部に作動油が充填されたシリンダ内に、その内底面から立ち上がるスリーブを設け、そのスリーブ内にロッドの下端部を摺動自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、前記ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの内底面間に、シリンダとロッドを伸張する方向に付勢するリターンスプリングを組込み、前記ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有する伸縮可能なベローズの両端の筒部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成し、そのリザーバ室と前記圧力室を連通する油通路に、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力より高くなると通路を閉じるチェックバルブを設けた油圧式オートテンショナにおいて、
前記ベローズの両端に設けられた一対の筒部の少なくとも一方の筒部とその筒部が嵌合される嵌合対象部の嵌合面間に通気性および弾性を有する高分子化合物からなるリング状部材を組込んだことを特徴とする油圧式オートテンショナ。 - 前記筒部を締付部材の締付けにより固定し、前記嵌合対象部の外周には前記締付部材の締付け部位に環状溝を設け、前記締付部材の締付けよってリング状部材の内径面側に形成される変形部を前記環状溝に係合させた請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記締付部材が、弾性リングからなる請求項2に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記締付部材が、締付バンドからなる請求項2に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記ベローズが、蛇腹部の両端に筒部を連設した蛇腹状ベローズからなる請求項1乃至4のいずれかの項に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記ベローズが、長さ方向の中央部に上向きの反転部と、その反転部の外側端に下向きの反転部を設け、各反転部の端部に筒部を連設した反転部付きベローズからなる請求項1乃至4のいずれかの項に記載の油圧式オートテンショナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008277651A JP2010106906A (ja) | 2008-10-29 | 2008-10-29 | 油圧式オートテンショナ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008277651A JP2010106906A (ja) | 2008-10-29 | 2008-10-29 | 油圧式オートテンショナ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010106906A true JP2010106906A (ja) | 2010-05-13 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008277651A Pending JP2010106906A (ja) | 2008-10-29 | 2008-10-29 | 油圧式オートテンショナ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010106906A (ja) |
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2008
- 2008-10-29 JP JP2008277651A patent/JP2010106906A/ja active Pending
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