JP2008032122A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベローズの外れや作動油の噴き出しを防止する油圧式オートテンショナを提供する。
【解決手段】作動油が充填されたシリンダ1内にスリーブ4を設け、スリーブ4内にロッド5の下端部を摺動自在に挿入してスリーブ4内に圧力室6を形成し、ロッド5の上部に設けられたばね座7とシリンダ1の内底面間にリターンスプリング8を組込んで、シリンダ1とロッド5を伸張する方向に付勢する。ばね座7の外周とシリンダ1の上部間に伸縮可能なベローズ11を装着してシリンダ1とスリーブ4間にリザーバ室17を形成し、リザーバ室17と圧力室6を連通する通路18にチェックバルブ19を設ける。ばね座7に外部とリザーバ室17を連通する貫通孔25を形成し、貫通孔25の内周に形成された雌ねじ25aにねじ部材26の外周に形成された雄ねじ26aをねじ係合し、ねじ係合部に形成されるねじ隙間27により、リザーバ室17を外部に連通させる。
【選択図】図1
【解決手段】作動油が充填されたシリンダ1内にスリーブ4を設け、スリーブ4内にロッド5の下端部を摺動自在に挿入してスリーブ4内に圧力室6を形成し、ロッド5の上部に設けられたばね座7とシリンダ1の内底面間にリターンスプリング8を組込んで、シリンダ1とロッド5を伸張する方向に付勢する。ばね座7の外周とシリンダ1の上部間に伸縮可能なベローズ11を装着してシリンダ1とスリーブ4間にリザーバ室17を形成し、リザーバ室17と圧力室6を連通する通路18にチェックバルブ19を設ける。ばね座7に外部とリザーバ室17を連通する貫通孔25を形成し、貫通孔25の内周に形成された雌ねじ25aにねじ部材26の外周に形成された雄ねじ26aをねじ係合し、ねじ係合部に形成されるねじ隙間27により、リザーバ室17を外部に連通させる。
【選択図】図1
Description
この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンのコンプレッサ等の自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる油圧式オートテンショナに関するものである。
エンジンのクランクシャフトの回転を各種の自動車補機に伝えるベルト伝動装置においては、図5に示すように、ベルト31の弛み側にテンションプーリ32を支持する揺動可能なプーリアーム33を設け、そのプーリアーム33に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、上記テンションプーリ32がベルト31を押圧する方向にプーリアーム33を付勢し、ベルト31の張力を一定に保持するようにしている。
上記のようなベルト伝動装置に使用される油圧式オートテンショナAとして、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この油圧式オートテンショナにおいては、作動油が充填された底付きシリンダの内底面から立ち上がるスリーブ内にロッドの下部をスライド自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの底面間にリターンスプリングを組込んでロッドとシリンダを伸張する方向に付勢している。
また、ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有するベローズの両端部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成し、そのリザーバ室下部と上記圧力室とを通路で連通し、その通路にチェックバルブを設け、ベルト31からテンションプーリ32およびプーリアーム33を介して油圧式オートテンショナAにシリンダとロッドを収縮させる方向の押込み力が負荷された際に、チェックバルブを閉じ、圧力室内に封入された作動油のダンパ作用によって上記押込み力を緩衝するようにしている。
上記のような油圧式オートテンショナは、数mmから数10mmの伸縮機能を有しているため、リザーバ室を密閉するベローズにも伸縮性が要求される。
そこで、特許文献1に記載された油圧式オートテンショナにおいては、ベローズの長さ方向の中央部に上向きの反転部と、その反転部の外側に下向きの反転部を設けて伸縮性を付与し、上記上向き反転部に連設された小径筒部をばね座の外周に締め代をもって嵌合すると共に、下向き反転部に連設された大径筒部をシリンダの上部外周に締め代をもって嵌合している。
特表2000−504395号公報
ところで、上記従来の油圧式オートテンショナにおいては、伸張時にはリザーバ室の体積が増加して圧力が低下し、また収縮時にはリザーバ室の体積が減少して圧力が増加するため、リザーバ室の圧力変動によりベローズが収縮または膨張し、その収縮時にベローズに引っ張り力が付与されて外れが生じたり、膨張時に嵌合部に隙間が形成されて内部の作動油が噴き出す可能性があった。
この発明の課題は、ベローズの外れや作動油の噴き出しを防止することができるようにした油圧式オートテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、閉塞端を下部に有し、内部に作動油が充填されたシリンダ内に、その内底面から立ち上がるスリーブを設け、そのスリーブ内にロッドの下端部を摺動自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、前記ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの内底面間に、シリンダとロッドを伸張する方向に付勢するリターンスプリングを組込み、前記ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有する伸縮可能なベローズの両端部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成し、そのリザーバ室と前記圧力室を連通する通路に、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力より高くなると通路を閉じるチェックバルブを設けた油圧式オートテンショナにおいて、前記ばね座にリザーバ室と外部を連通する貫通孔を形成し、その貫通孔の内径面に形成された雌ねじにねじ部材の外周に形成された雄ねじをねじ係合して、雌ねじと雄ねじのねじ係合部間に形成されたねじ隙間を介してリザーバ室と外部を連通させた構成を採用したのである。
ここで、ねじ部材に形成された雄ねじのねじ山にねじ溝より深さの浅い軸方向に延びるスリットを形成することによって、雌ねじに対するねじ部材の締付け時にねじ山の頂部が変形してねじ隙間が閉塞されたとしても、スリットによってリザーバ室と外部を連通状態に保持することができ、リザーバ室と外部を連通させる通気路を確実に確保することができる。
上記のように、ばね座に形成された貫通孔の内径面に雌ねじを形成し、その雌ねじにねじ部材の外周に形成された雄ねじをねじ係合して、雌ねじと雄ねじのねじ係合部間に形成されたねじ隙間を介してリザーバ室と外部を連通させたことにより、シリンダとロッドが相対的に伸張してリザーバ室の体積が増加し、圧力が減少すると、外部のエアがねじ隙間からリザーバ室に流入し、また、シリンダとロッドが相対的に収縮してリザーバ室の体積が減少し、圧力が増加すると、リザーバ室内のエアがねじ隙間から外部に流出することになる。そのエアの流通によってリザーバ室内の圧力を常に一定に保持することができるので、ベローズが大きく膨張したり収縮したりすることはなく、ベローズの外れや作動油の噴き出しを確実に防止することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、シリンダ1は下部が閉塞し、その閉塞端部にエンジンブロックに回転自在に連結される連結片2が設けられている。
シリンダ1の内底面には、スリーブ嵌合孔3が設けられ、そのスリーブ嵌合孔3内にスリーブ4の下端部が圧入されている。スリーブ4内にはロッド5の下部に設けられたピストン5aがスライド自在に挿入され、そのピストン5aの挿入によって、スリーブ4内に圧力室6が設けられている。
ロッド5のシリンダ1の外部に位置する上端部にはばね座7が固定され、そのばね座7とシリンダ1の底面間に組込まれたリターンスプリング8は、シリンダ1とロッド5が相対的に伸張する方向に付勢している。
ばね座7の上端には図5に示すプーリアーム33に対して連結される連結片9が設けられている。また、ばね座7には、リターンスプリング8の上部を覆う筒部10が一体に設けられ、その筒部10とシリンダ1の上部間にベローズ11が装着されている。
ベローズ11は、その長さ方向の中央部に上向き反転部11aと、その上向き反転部11aの外側に下向き反転部11bが形成され、上記上向き反転部11aに連設された小径筒部11cが筒部10に締め代をもって嵌合され、その小径筒部11cの端部内周に形成されたリップ12と筒部10の外周に設けられたリップ係合溝13の係合によって抜止めされている。
また、下向き反転部11bに連設された大径筒部11dの端部がシリンダ1の上部外周に締め代をもって嵌合され、その大径筒部11dの端部内周に形成されたリップ14とシリンダ1の上部外周に設けられたリップ係合溝15の係合によって抜止めされている。
上記ベローズ11の装着により、シリンダ1の上部開口は閉鎖されて内部に充填された作動油の漏洩が防止されている。また、ベローズ11の装着によって、そのシリンダ1とスリーブ4との間に密閉されたリザーバ室17が形成されている。リザーバ室17と圧力室6は、スリーブ嵌合孔3とスリーブ4の嵌合面間に形成された通路18で連通し、その通路18の圧力室6側の端部に設けられたチェックバルブ19は、圧力室6内の圧力がリザーバ室17内の圧力より高くなると、通路18を閉鎖するようになっている。
ロッド5の下端部には、圧力室6とリザーバ室17とを連通する連通路20が形成されている。連通路20の圧力室6側の端部には嵌合凹部21が設けられ、その嵌合凹部21に圧入された絞り部材22に絞り23が形成されている。
図1および図2に示すように、ばね座7には、その上面および下面で開口して外部とリザーバ室17を連通する上部が大径の段突きの貫通孔25が形成され、その貫通孔25の大径孔部の内径面に形成された雌ねじ25aにねじ部材26の外周に形成された雄ねじ26aがねじ係合され、上記雌ねじ25aと雄ねじ26aのねじ係合部間に形成されたねじ隙間27を介してリザーバ室17は外部と連通している。
上記ねじ隙間27は、油圧式オートテンショナがねじ部材26を下部とする横向き、あるいは、ばね座7が下向きとされる状態において、作動油がその表面張力により自然に外部に漏洩することのない大きさとされている。
実施の形態で示す油圧式オートテンショナは上記の構成からなり、図5に示す補機駆動用ベルト31の張力調整に際しては、シリンダ1の閉塞端に設けた連結片2をエンジンブロックに連結し、かつばね座7の連結片9をプーリアーム33に連結して、そのプーリアーム33に調整力を付与する。
上記のようなベルト31の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト31の張力が変化し、上記ベルト31の張力が弱くなると、リターンスプリング8の押圧によりシリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動してベルト31の弛みが吸収される。
ここで、シリンダ1とロッド5が伸張する方向に相対移動するとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室17内の圧力より低くなるため、チェックバルブ19が通路18を開放する。このため、リザーバ室17内の作動油は通路18から圧力室6内にスムーズに流れ、シリンダ1とロッド5は伸張する方向にスムーズに相対移動してベルト31の弛みを直ちに吸収する。
一方、ベルト31の張力が強くなると、ベルト31から油圧式オートテンショナのシリンダ1とロッド5を収縮させる方向の押込み力が負荷される。このとき、圧力室6内の圧力はリザーバ室17内の圧力より高くなるため、チェックバルブ19は通路18を閉じる。
また、圧力室6内の作動油は絞り23から連通路20に流れてリザーバ室17内に流入し、上記絞り23内を流動する際の流動抵抗によって油圧ダンパ力が発生し、その油圧ダンパ力によって、油圧式オートテンショナに負荷される上記押込み力が緩衝されると共に、シリンダ1とロッド5は、押込み力とリターンスプリング8の弾性力とが釣り合う位置まで収縮する方向にゆっくりと相対移動する。
ここで、油圧式オートテンショナによって張力調整されるベルト31は、エンジンの始動時に大きな弛みが生じる。その際、油圧式オートテンショナのシリンダ1とロッド5が伸張する方向に急速に相対移動してリザーバ室17の体積が増加し、逆に圧力が急激に低下する。
このとき、外部のエアは貫通孔25の雌ねじ25aとねじ部材26の雄ねじ26aのねじ係合部間に形成されたねじ隙間27からリザーバ室17内に流入し、そのエアの流入によって、リザーバ室17内の圧力が一定に保持される。また、油圧式オートテンショナのシリンダ1とロッド5が収縮する方向に急速に相対移動すると、リザーバ室17の体積が減少し、逆に圧力が急激に増大する。このとき、リザーバ室17内のエアは上記ねじ隙間27から外部に排出され、そのエアの排出によってリザーバ室17内の圧力は一定に保持される。
このように、リザーバ室17の圧力変化に応じて、リザーバ室17と外部との間でエアが流通し、リザーバ室17の圧力は一定に保持されるため、ベローズ11は大きく膨張したり収縮したりすることはなく、ベローズ11の外れや作動油の噴き出しを確実に防止することができる。
図2で示すように、ばね座7にリザーバ室17と外部を連通する貫通孔25を形成し、その貫通孔25の内径面に形成された雌ねじ25aにねじ部材26の外周に形成された雄ねじ26aをねじ係合することによって、その雌ねじ25aと雄ねじ26aのねじ係合部間にねじ隙間27が形成されるため、リザーバ室17と外部とを連通する通路断面積の小さい通気路を簡単に形成することができる。
図3および図4に示すように、ねじ部材26の雄ねじ26aにねじ溝26bより深さの浅い軸方向に延びるスリット28を形成すると、貫通孔25の雌ねじ25aに対するねじ部材26の締付け時にねじ山の頂部が変形してねじ隙間27が閉塞されたとしても、スリット28によってリザーバ室17と外部を連通状態に保持することができ、リザーバ室17と外部とを連通する通気路を確実に確保することができる。
1 シリンダ
4 スリーブ
5 ロッド
6 圧力室
7 ばね座
8 リターンスプリング
11 ベローズ
17 リザーバ室
18 通路
19 チェックバルブ
25 貫通孔
25a 雌ねじ
26 ねじ部材
26a 雄ねじ
26b ねじ溝
27 ねじ隙間
28 スリット
4 スリーブ
5 ロッド
6 圧力室
7 ばね座
8 リターンスプリング
11 ベローズ
17 リザーバ室
18 通路
19 チェックバルブ
25 貫通孔
25a 雌ねじ
26 ねじ部材
26a 雄ねじ
26b ねじ溝
27 ねじ隙間
28 スリット
Claims (2)
- 閉塞端を下部に有し、内部に作動油が充填されたシリンダ内に、その内底面から立ち上がるスリーブを設け、そのスリーブ内にロッドの下端部を摺動自在に挿入してスリーブ内に圧力室を形成し、前記ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの内底面間に、シリンダとロッドを伸張する方向に付勢するリターンスプリングを組込み、前記ばね座の外周とシリンダの上部外周に弾性を有する伸縮可能なベローズの両端部を嵌合してシリンダとスリーブ間に密閉されたリザーバ室を形成し、そのリザーバ室と前記圧力室を連通する通路に、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力より高くなると通路を閉じるチェックバルブを設けた油圧式オートテンショナにおいて、
前記ばね座にリザーバ室と外部を連通する貫通孔を形成し、その貫通孔の内径面に形成された雌ねじにねじ部材の外周に形成された雄ねじをねじ係合して、雌ねじと雄ねじのねじ係合部間に形成されたねじ隙間を介してリザーバ室と外部を連通させたことを特徴とする油圧式オートテンショナ。 - 前記ねじ部材に形成された雄ねじのねじ山にねじ溝より深さの浅い軸方向に延びるスリットを形成した請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006206413A JP2008032122A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 油圧式オートテンショナ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006206413A JP2008032122A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 油圧式オートテンショナ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008032122A true JP2008032122A (ja) | 2008-02-14 |
Family
ID=39121772
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006206413A Pending JP2008032122A (ja) | 2006-07-28 | 2006-07-28 | 油圧式オートテンショナ |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2008032122A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009222081A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-01 | Ntn Corp | 油圧式オートテンショナ |
-
2006
- 2006-07-28 JP JP2006206413A patent/JP2008032122A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009222081A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-01 | Ntn Corp | 油圧式オートテンショナ |
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