JP2010105504A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水性および排水性が大幅に向上し、陸部ブロックと氷路面との間において大きな摩擦力が作用してブレーキ性能が向上する空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】本発明に係る空気入りタイヤ1においては、タイヤ周方向に延びる周方向溝7〜10とタイヤ幅方向に延びる横溝11〜16とによってトレッド部に複数の陸部ブロック17が画成されると共に、該陸部ブロック17に、タイヤ幅方向に延びるサイプ18と、該サイプ18を貫通する挿通孔19とが形成されている。前記挿通孔19は、陸部ブロック17におけるタイヤ回転方向側の端部19aが前記周方向溝7〜10に開口および連通している。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、氷路面上を走行する際における、陸部ブロックと氷路面との間に大きな摩擦力が作用してブレーキ性能が向上する空気入りタイヤに関する。
一般に、乗用車用空気入りタイヤにおいては、周方向溝を複数設けることによって濡れた路面を走行する際の雨水等の排水性を確保すると共に、タイヤ幅方向に延びる横溝を設けることによって、高いハンドル操舵性を確保している。そして、これらの周方向溝と横溝によって複数の陸部ブロックが画成されている。
これらの陸部ブロックにおいては、氷路面上を走行する際にブレーキ性能を向上させるために、ブロック表面にサイプを形成して氷路面上の水を吸い上げる技術が知られている。また、サイプに加えて、サイプを貫通してタイヤ周方向に延びる貫通孔を陸部ブロックに形成する技術も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−1260号公報
しかしながら、前述した従来の空気入りタイヤでは、貫通孔がタイヤ周方向に沿って形成されている。このため、タイヤが回転すると、貫通孔の端部から排出された氷路面上の水が横溝内に入り込み、タイヤ周方向に隣接する隣の陸部ブロックのサイプから再度吸水されることになり、氷路面上を走行する際に、陸部ブロックと氷路面との間の摩擦力が小さくなってブレーキ性能が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、氷路面上を走行する際における、陸部ブロックと氷路面との間に大きな摩擦力が作用してブレーキ性能が向上する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
前述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。
まず、本発明の第1の特徴において、タイヤ周方向に延びる周方向溝(周方向溝7〜10)とタイヤ幅方向に延びる横溝(横溝11〜16)とによってトレッド部(トレッド部5)に複数の陸部ブロック(陸部ブロック17)が画成されると共に、該陸部ブロックに、タイヤ幅方向に延びるサイプ(サイプ18)と、該サイプを貫通する挿通孔(挿通孔19)とが形成された空気入りタイヤ(空気入りタイヤ1)であって、前記挿通孔は、陸部ブロックにおけるタイヤ回転方向側の端部(端部19a)が前記周方向溝に連通している。
このため、挿通孔内を水が踏込側から蹴出側に向けて流れると、挿通孔の蹴出側の端部から周方向溝内に水が吐出されたのち、この水は周方向溝を通って排出される。
ここで、挿通孔の蹴出側の端部が横溝内に開口していると、挿通孔の蹴出側の端部から横溝内に水が排出されるため、タイヤ周方向に隣接する隣の陸部ブロックのサイプから再び水を吸い上げることになってしまい、吸水性および排水性が低下するおそれがある。しかし、本発明では、挿通孔は、陸部ブロックにおけるタイヤ回転方向側(蹴出側)の端部が前記周方向溝に連通しているため、挿通孔の蹴出側の端部から周方向溝内に水が吐出されたのち、この水は周方向溝を通って排出される。このように、本発明では、氷路面上を走行する際に、吸水性および排水性が大幅に向上し、陸部ブロックと氷路面との間の摩擦力が大きくなり、ブレーキ性能が向上する。
その他の特徴において、前記サイプ(サイプ18)は、それぞれの陸部ブロック(陸部ブロック17)についてタイヤ周方向に所定間隔をおいて複数配置されている。
その他の特徴において、前記挿通孔(挿通孔19)は、前記複数のサイプ(サイプ18)のうち80%以上を貫通している。
その他の特徴において、前記挿通孔(挿通孔19)は、平面視で斜めに略直線状に延びるように形成されている。
本発明によれば、氷路面上を走行する際に、吸水性および排水性が大幅に向上し、陸部ブロックと氷路面との間の摩擦力が大きくなってブレーキ性能が向上する空気入りタイヤを提供することができる。
次に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は概略的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1は、本発明の実施形態による空気入りタイヤのタイヤ幅方向の断面図である。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向に離間して配置された一対の円環状のビードコア2,2と、これらのビードコア同士2,2をクラウン状に結ぶカーカス3と、該カーカス3の頂部上に配置されたベルト層4と、カーカス3のタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部5およびサイドウォール部6とを備えている。前記トレッド部5には、タイヤ周方向に延びる周方向溝7〜10が形成されている。
図2は本発明の実施形態による空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図、図3は本発明の実施形態による陸部ブロックを拡大した斜視図であり、車両装着時におけるタイヤ上部に配置された状態を示している。
図2に示すように、トレッド部5には、タイヤ周方向に沿った周方向溝7〜10と、タイヤ幅方向に沿った横溝11〜16とがそれぞれ形成されており、これらの周方向溝7〜10および横溝11〜16によって、陸部ブロック17が複数画成されている。
図2,3に示すように、陸部ブロック17には、タイヤ幅方向に沿って延びるサイプ18が陸部ブロック17の幅全体に亘って形成されており、図3に示すように、このサイプ18は、タイヤ周方向に所定間隔をおいて複数本(図3では3本)形成されている。また、平面視で陸部ブロック17の角と角とを斜め方向に沿って略直線状に結ぶ挿通孔19が延設されている。該挿通孔19は、円筒状に形成されており、陸部ブロック17の厚さの約1/2の部位に配置され、陸部ブロック17とサイプ18とを貫通するように延びている。また、図2から明らかなように、トレッドパターンの蹴出側は、タイヤ回転方向側に相当し、踏込側は、タイヤ回転方向の反対側に相当する。ここで、前記挿通孔19の蹴出側(タイヤ回転方向側)の端部19aは、トレッド部5の周方向溝7〜10に開口および連通されている。なお、円筒状の挿通孔19は、図4に示すように、図3のA−A断面においては上下方向に細長い楕円状になっている。
図5は、本発明の実施形態による空気入りタイヤが氷路面上を転動している状態を側方からみた概略図である。
図5から明らかなように、タイヤの接地面近傍においては、車両の進行方向とタイヤの回転方向とは互いに逆方向になっており、例えば、車両前方に進行する場合は、タイヤは車両後方に回転する。そして、空気入りタイヤ1については、進行方向側(タイヤの回転方向の反対側)が踏込側に配置され、進行方向の反対側(タイヤの回転方向側)が蹴出側に配置されている。
図5に示すように、踏込側から蹴出側に空気入りタイヤ1が転動して氷路面S上を走行するとき、挿通孔19内を空気と水とがタイヤ1の回転方向側に向けて(即ち、踏込側から蹴出側に向けて)流れる。ここで、空気の流れがない場合よりも空気の流れがある場合の方が、挿通孔19内の空気圧が低下する。挿通孔19は、サイプ18に連通しているため、サイプ18内の空気圧も低下し、サイプ18内へ効率的に水を吸い上げることができる。
また、前述したように、陸部ブロック17における挿通孔19の蹴出側の端部19aが周方向溝7〜10に開口している。従って、挿通孔19内を水が踏込側から蹴出側に向けて流れると、挿通孔19の蹴出側の端部19aから周方向溝7〜10内に水が吐出されたのち、この水は周方向溝7〜10を通って排出される。
<作用・効果>
(1)前記挿通孔19は、陸部ブロック17におけるタイヤ回転方向側(蹴出側)の端部19aが前記周方向溝7〜10に連通している。このため、挿通孔19内を水が踏込側から蹴出側に向けて流れると、挿通孔19の蹴出側の端部19aから周方向溝7〜10内に水が吐出されたのち、この水は周方向溝7〜10を通って排出される。
ここで、挿通孔19の蹴出側の端部19aが横溝11〜16内に開口していると、挿通孔19の蹴出側の端部19aから横溝11〜16内に水が排出されるため、タイヤ周方向に隣接する隣の陸部ブロック17のサイプ18から再び水を吸い上げることになってしまい、吸水性および排水性が低下するおそれがある。しかし、本発明では、挿通孔19は、陸部ブロック17におけるタイヤ回転方向側(蹴出側)の端部19aが前記周方向溝7〜10に連通しているため、挿通孔19の蹴出側の端部19aから周方向溝7〜10内に水が吐出されたのち、この水は周方向溝7〜10を通って排出される。このように、本発明では、氷路面上を走行する際に、吸水性および排水性が大幅に向上し、陸部ブロック17と氷路面Sとの間の摩擦力が大きくなり、ブレーキ性能が向上する。
(2)前記サイプ18は、それぞれの陸部ブロック17についてタイヤ周方向に所定間隔をおいて複数配置されている。このため、氷路面上の水を吸い上げる吸水性や、水を排出する排水性が向上する。
(3)前記挿通孔19は、前記複数のサイプ18のうち80%以上を貫通している。このため、氷路面上の水を効率的にサイプ18から吸い上げると共に、この吸い上げた水を挿通孔19の端部19aを介して確実に周方向溝7〜10内に排出することができる。
(4)前記挿通孔19は、平面視で斜めに略直線状に延びるように形成されているため、水が挿通孔19内をスムーズに抵抗なく流通する。
<その他の実施形態>
前述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、前記実施形態では、サイプ18を陸部ブロック17の全幅に亘って形成したが、幅方向の両端が陸部ブロック17内で閉じていても良い。また、サイプ18はタイヤ幅方向に沿った平板状の空隙としたが、タイヤ周方向にジグザグ状に起伏して全体としてタイヤ幅方向に沿って延びるように形成しても良い。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、前述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
次に、本発明の効果を明確にするため、比較例1〜7、および実施例1〜6に係る空気入りタイヤを用いて行った試験結果について説明する。
比較例1〜7は、陸部ブロックに挿通孔を形成しなかった場合であり、実施例1〜6は、前述した実施形態に係る挿通孔を陸部ブロックに形成した場合を示す。
全ての空気入りタイヤについて、タイヤサイズを195/65R15とし、サイズが6Jのリムに装着して内圧を200kPaとし、乗用車に組み付けて、4.71kNの荷重を負荷した。この状態で、温度が0℃の氷路面上を速度10km/hで走行させ、フルブレーキをかけて静止状態になるまでの制動距離を計測し、この制動距離から氷上摩擦係数μを算出し、下記の表1を作成した。なお、実施例1〜6は、陸部ブロックに挿通孔を設けた空気入りタイヤを装着した車両で6回実験を繰り返して行ったことを示し、比較例1〜7は、陸部ブロックに挿通孔を設けない空気入りタイヤを装着した車両で7回実験を繰り返して行ったことを示す。
Figure 2010105504
この表1の結果より、実施例1〜6の平均は、比較例1〜7の平均よりも3%分だけ氷上摩擦係数μが向上することが判明した。
本発明の実施形態による空気入りタイヤのタイヤ幅方向の断面図である。 本発明の実施形態による空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。 本発明の実施形態による陸部ブロックを拡大した斜視図であり、車両装着時におけるタイヤ上部に配置された状態を示している。 図3のA−A線による断面図である。 本発明の実施形態による空気入りタイヤが氷路面上を転動している状態を側方からみた概略図である。
符号の説明
1…空気入りタイヤ
5…トレッド部
7〜10…周方向溝
11〜16…横溝
17…陸部ブロック
18…サイプ
19…挿通孔
19a…端部

Claims (4)

  1. タイヤ周方向に延びる周方向溝とタイヤ幅方向に延びる横溝とによってトレッド部に複数の陸部ブロックが画成されると共に、該陸部ブロックに、タイヤ幅方向に延びるサイプと、該サイプを貫通する挿通孔とが形成された空気入りタイヤであって、
    前記挿通孔は、陸部ブロックにおけるタイヤ回転方向側の端部が前記周方向溝に連通していることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイプは、それぞれの前記陸部ブロックについてタイヤ周方向に所定間隔をおいて複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記挿通孔は、前記複数のサイプのうち80%以上を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記挿通孔は、平面視で斜めに略直線状に延びるように形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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