JP2010105492A - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御装置をケースに一体的に備えるにも関わらず、当該制御装置が車両のエンジン室における他の機器の配置を妨げず、更には、車両への搭載後における制御装置の保守の容易性を確保することができるハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】エンジンに接続される入力部材Iと、出力部材と、回転電機MG1と、回転電機MG1の制御を行う制御装置4と、駆動力の伝達を行う駆動伝達機構2と、これらを収容する駆動装置ケース3とを備え、駆動装置ケース3は、駆動伝達機構2の少なくとも一部を収容する本体ケース20と、当該本体ケース20に対してエンジンとは反対側に取り付けられるリヤケース30と、を備え、リヤケース30は、本体ケース側の空間22と区画され、制御装置4を収容する収容空間31を備えるとともに、当該収容空間31の上部又は下部に制御装置4を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部32を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンに接続される入力部材と、車輪に接続される出力部材と、回転電機と、前記回転電機の制御を行う制御装置と、前記入力部材、前記回転電機、及び前記出力部材の間での駆動力の伝達を行う駆動伝達機構と、これらを収容する駆動装置ケースと、を備えたハイブリッド駆動装置に関する。
近年、車両の駆動力源としてエンジン及びモータやジェネレータ等の回転電機を備えた、いわゆるハイブリッド車両が燃費、環境保護等の点から注目を集めている。このようなハイブリッド車両用の駆動装置は、回転電機の制御を行う制御装置を必要とする。そして、組み合わせて動作されるこれらの回転電機と制御装置とは、電力ケーブル等の接続部材で接続されるため、車載上の便宜性の観点からは、これらをケースに一体的に取り付けた構成とすることが望ましい。このような場合、回転電機や遊星歯車装置等の駆動伝達機構を収容するケースの上部に、制御装置を収容するための収容空間が一体的に設けられた構成が多く採用されていた(例えば、下記の特許文献1又は2参照)。
特開2001−354040号公報 特開2007−124764号公報
しかし、上記のようなハイブリッド駆動装置の構成では、ケースの上部に制御装置を配置するため、その分だけ駆動装置の上部の構造が大型化することになる。ところが、エンジンを駆動力源として備え、当該エンジンの回転を変速して車輪へ伝達するための変速装置を備えた一般的な車両においては、変速装置の上方に補機用バッテリやエアクリーナ等の各種機器が配置されている。従って、このような一般的な車両の変速装置に変えてハイブリッド駆動装置を配置するためには、変速装置の上方に配置された各種機器を別の場所に移動させる必要が生じる。そのため、上記のようなハイブリッド駆動装置の構成では、一般的な車両の変速装置との互換性が低いものとなり、車両の高コスト化の要因となるという問題があった。
一方、制御装置をハイブリッド駆動装置のケースの側部や下部に配置することは、車両のエンジン室内の空間上の制約があって難しい。また、仮にこのような場所に制御装置を配置できたとしても、車両への搭載後には、エンジン室の壁等によって制御装置が囲まれることになるため、制御装置の保守の容易性を確保することが容易ではなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、制御装置をケースに一体的に備えるにも関わらず、当該制御装置が車両のエンジン室における他の機器の配置を妨げず、更には、車両への搭載後における制御装置の保守の容易性を確保することができるハイブリッド駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る、エンジンに接続される入力部材と、車輪に接続される出力部材と、回転電機と、前記回転電機の制御を行う制御装置と、前記入力部材、前記回転電機、及び前記出力部材の間での駆動力の伝達を行う駆動伝達機構と、これらを収容する駆動装置ケースと、を備えたハイブリッド駆動装置の特徴構成は、前記駆動装置ケースが、前記駆動伝達機構の少なくとも一部を収容する本体ケースと、当該本体ケースに対して前記入力部材の前記エンジンに接続される側とは反対側に取り付けられるリヤケースと、を備え、前記リヤケースが、前記本体ケース側の空間と区画され、前記制御装置を収容する収容空間を備えるとともに、当該収容空間の上部又は下部に前記制御装置を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部を備える点にある。
なお、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本願では、「接続」は、部材間の直接的な接続だけではなく、部材間に一又は二以上の部材を介する間接的な接続をも含む概念として用いている。
この特徴構成によれば、制御装置を、駆動装置ケース内におけるエンジン側とは反対側の側部に一体的に配設することができるので、制御装置が駆動装置本体に対して上方又は下方に配置される場合と比較して、車両のエンジン室における他の機器の配置を妨げることを抑制できるとともに、車両の最低地上高も確保することができる。また、制御装置が収容される収容空間は本体ケース側の空間と区画されてリヤケースに設けられているので、本体ケース側の空間に存在する駆動伝達機構の潤滑のための油等が制御装置にかかることを防止しつつ制御装置を適切に収容できるとともに、リヤケースの強度も確保することができる。更に、リヤケースの収容空間は、上部又は下部に制御装置を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部を備えるため、上方又は下方から第一開口部を通して制御装置の出し入れ及び保守作業等を行うことができる。したがって、車両への搭載後における制御装置の保守の容易性を確保することができる。
ここで、前記リヤケースは、前記収容空間の上下方向における前記第一開口部とは反対側に、第二開口部を有する構成とすると好適である。
この構成によれば、第二開口部を通して収容空間内の制御装置に対する作業を行うことができる。従って、制御装置の出し入れ、組み付け、保守作業等を更に容易にすることができる。
また、前記第一開口部及び前記第二開口部の一方又は双方は、当該開口部の開口面が、前記本体ケース側とは反対側へ向かうに従って前記リヤケースの上下方向中央側へ向かうように傾斜していると好適である。
この構成によれば、第一開口部及び第二開口部の一方又は双方の開口面積を大きく確保することが容易となる。従って、制御装置の出し入れ、組み付け、保守作業等を更に容易にすることができる。
また、前記リヤケースは、一又は二以上のボルト挿通孔を有し、当該ボルト挿通孔に挿通されたボルトにより前記本体ケースに締結固定されるものであり、前記収容空間内に設けられた前記ボルト挿通孔が、当該ボルト挿通孔の軸方向視で、前記傾斜した開口部と重複する位置に設けられていると好適である。
この構成によれば、前記傾斜した開口部を通して収容空間内に設けたボルト挿通孔の軸方向の空間が確保されているため、当該収容空間内に設けたボルト挿通孔に挿通するボルトの締結作業を行うに際して、ボルトの軸方向から工具を挿入して容易に作業を行うことができる。また、これにより、前記傾斜した開口部の周辺にボルト挿通孔を配置するためのフランジ等を設けることが不要となるので、収容空間を大きく確保しつつリヤケースを小型化することが可能となる。
また、前記第一開口部及び前記第二開口部には、それぞれを覆う蓋部材が取り付けられる構成とすると好適である。
この構成によれば、制御装置を収容する収容空間が、ケース本体側の空間及び駆動装置ケースの外部の双方に対して密閉された空間とされるので、制御装置を適切に保護することができる。
また、前記第一開口部は、前記収容空間の下部に設けられていると好適である。
この構成によれば、車両への搭載状態で、エンジン室内の他の機器を多く取り外すことなく、エンジン室の下側開口部からリヤケースの第一開口部に容易に到達できる。従って、車両の下側から容易に制御装置の出し入れ及び保守作業を行うことができる。
また、前記回転電機のステータが、前記リヤケースの前記本体ケース側の壁に固定され、前記ステータと前記制御装置とを電気的に接続する接続部材が、前記リヤケースの前記本体ケース側の壁を貫通するように前記リヤケースに固定された構成とすると好適である。
この構成によれば、前記制御装置と、前記回転電機のステータと、これらを電気的に接続する接続部材とが、いずれもリヤケースに固定されることになるので、リヤケースに本体ケースを組み付ける前に、制御装置と回転電機のステータとを接続部材により電気的に接続することができる。従って、これらの組み付け作業及び結線作業を容易化できるとともに、当該結線作業をリヤケースに本体ケースを組み付けた後で行うための開口部等を本体ケース側に設ける必要もなくなる。
また、前記接続部材と前記制御装置との電気的接続は、上下方向に抜き差し可能なプラグを介して行う構成とすると好適である。
この構成によれば、リヤケースの収容空間の上部又は下部に設けられた第一開口部から出し入れされる制御装置に対して、上下方向から容易に接続部材を接続することができる。また、制御装置及び接続部材の上下方向の取付位置の誤差をプラグの差し込み量の調節により吸収することができるので、当該誤差に起因して接続部材に作用する曲げ応力等の負荷を軽減できる。
また、前記プラグは、前記制御装置から上方に突出する端子に接続されている構成とすると好適である。
この構成によれば、制御装置と回転電機のステータとを接続する接続部材が制御装置の上方に配置されることになる。従って、回転電機のステータと接続部材との接続位置も比較的上部に設けられることになり、回転電機が収容される空間に油等が存在する場合であっても接続部材の絶縁性の確保が容易となる。
また、前記回転電機が前記リヤケースの前記本体ケース側の壁面に取り付けられ、前記本体ケースが前記リヤケースとは反対側から前記回転電機を覆うように前記リヤケースに取り付けられ、前記本体ケースの前記回転電機を覆う壁よりも前記エンジン側に前記駆動伝達機構を構成する中間出力ギヤが配置されていると好適である。
この構成によれば、制御装置を収容する収容空間を備えたリヤケースに対して、回転電機、本体ケース、中間出力ギヤの順に、全てエンジン側から同じ方向に組み付けることができる。従って、ハイブリッド駆動装置の組み立て作業に際してケースの方向を反転させる必要がなく、組み付け作業を容易にすることができる。
また、前記駆動伝達機構は、前記回転電機に接続される第一回転要素と、前記入力部材に接続される第二回転要素と、前記出力部材に接続される出力回転要素となる第三回転要素と、を備える遊星歯車装置を含み、前記遊星歯車装置は、前記回転電機のロータの径方向内側に当該回転電機と軸方向に重複して配置されていると好適である。
この構成によれば、入力部材を介して伝達されるエンジンの駆動力を回転電機と出力部材側とに分配する遊星歯車装置を備える構成において、遊星歯車装置を回転電機のロータの径方向内側に当該回転電機と軸方向に重複して配置したことにより、当該軸方向におけるこれらの部材の配置領域を短縮することができる。これにより、入力部材のエンジンに接続される側とは反対側に空間を生じさせることができ、当該空間を有効に利用して制御装置を収容するための収容空間を設けることができる。従って、ハイブリッド駆動装置の全体の大型化を抑制しつつ、制御装置を一体化させることができる。
また、前記リヤケースの前記収容空間が、前記回転電機と径方向に重複する位置に配置されていると好適である。
この構成によれば、制御装置をエンジン側とは反対側の側部に適切に配置して一体化することができるとともに、ハイブリッド駆動装置の全体の大型化を抑制できる。
また、前記回転電機を第一回転電機とし、当該第一回転電機とは別に第二回転電機を備え、前記第二回転電機は、第一回転電機とは異なる軸上に配置され、前記リヤケースの前記収容空間は、前記第二回転電機と軸方向に重複するように配置されていると好適である。
この構成によれば、回転電機を2つ備える構成において、第二回転電機を第一回転電機とは異なる軸上に配置することにより、これらを同軸上に配置する構成と比較して、ハイブリッド駆動装置の軸方向の長さを短く抑えることができる。そして更に、リヤケースの収容空間を第二回転電機と軸方向に重複するように配置することにより、当該第二回転電機と軸方向に重複する長さの分だけ、制御装置を含めたハイブリッド駆動装置の全体の軸方向長さを短くすることができる。
また、前記制御装置は、上部にスイッチング素子モジュールを配置し、下部にリアクトル及びコンデンサを配置し、これらを一体的に組み付けて構成したインバータユニットであると好適である。
一般的に、エンジン室内は上部に比べて下部の方が空間的に余裕がある場合が多い。この構成によれば、制御装置の上部を下部に対して小さくすることが可能となるので、これに合わせて、リヤケースの収容空間も、エンジン室内に余裕がある下部を大きく、余裕が少ない上部を小さく構成することができる。従って、ハイブリッド駆動装置の外形をエンジン室内の空間の余裕に合致するものとでき、車両への搭載性を高めることができる。また、比較的重量が大きいリアクトルを下部に配置しているので、ハイブリッド駆動装置の低重心化を図ることもできる。
以下に、本発明に係るハイブリッド駆動装置の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明を、トランスアクスル構成のハイブリッド駆動装置1に適用する場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1の要部断面図であり、図2は、このハイブリッド駆動装置1の展開断面図である。図3は、このハイブリッド駆動装置1を軸方向から見た側面図である。図4及び図5は、リヤケース30の形状を示す斜視図である。図6は、図3と同方向からケース3を透視して各部品の配置を示す図である。図7は、車両81内でのハイブリッド駆動装置1の配置を概略的に示す模式図である。なお、以下の説明では、ハイブリッド駆動装置1(入力軸I)がエンジンEに接続される側(図1及び図2の右側)を「エンジン側」と呼び、当該エンジン側とは反対側(図1及び図2の左側)を「終端側」と呼ぶこととする。
1.ハイブリッド駆動装置の全体構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1の全体構成について説明する。このハイブリッド駆動装置1は、車両81の駆動力源としてエンジンE並びに第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の2つの回転電機を備えたハイブリッド車両用の駆動装置である。本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、図7に示すように、車両81に横置きされるエンジンEに対して車両81の幅方向に隣接して配置され、エンジンEの出力軸Eoの軸方向に連結される。エンジンE、第一回転電機MG1、及び第二回転電機MG2から出力された駆動力は、ハイブリッド駆動装置1の出力軸Oを介して車輪Wに伝達され、車両81を走行させる。なお、図示の例では、出力軸Oは車両81の前後方向でエンジンEの出力軸Eo(ハイブリッド駆動装置1の入力軸I(図2参照))よりも後方側に配置されているが、エンジンEの出力軸Eo(ハイブリッド駆動装置1の入力軸I)よりも前方側に配置された構成としても良い。
図2に示すように、このハイブリッド駆動装置1は、エンジンEに接続される入力軸Iと、第一回転電機MG1と、第二回転電機MG2と、遊星歯車装置PGと、遊星歯車装置PGの出力回転要素となるリングギヤrに接続される中間出力ギヤMOと、中間出力ギヤMOの回転を車輪Wに伝達する出力軸Oと、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の制御を行う制御装置4と、を備えている。そして、このハイブリッド駆動装置1は、第一回転電機MG1の回転を制御することにより、遊星歯車装置PGを介して入力軸Iの回転駆動力を無段階に変速して中間出力ギヤMOに伝達する電気的無段変速装置を構成している。本実施形態においては、中間出力ギヤMOに伝達された回転駆動力は、後述するカウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFを介して出力軸Oに伝達される。また、第二回転電機MG2は、カウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFを介して出力軸Oに回転駆動力を伝達可能に構成されている。従って、本実施形態においては、遊星歯車装置PG、中間出力ギヤMO、カウンタ減速機構C、及び出力用差動歯車機構DFが、本発明における駆動伝達機構2に含まれる。また、本実施形態においては、入力軸Iが本発明における入力部材に相当し、出力軸Oが本発明における出力部材に相当する。
ハイブリッド駆動装置1を構成する入力軸I、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、遊星歯車装置PG、中間出力ギヤMO、カウンタ減速機構C、及び出力用差動歯車機構DFは、駆動装置ケース3内に収容されている。すなわち、このハイブリッド駆動装置1は、電気的無段変速装置と出力用差動歯車機構DFとが駆動装置ケース3内に一体的に収容されたトランスアクスル構成の駆動装置とされている。また、後述するように、この駆動装置ケース3は、フロントケース10、本体ケース20、及びリヤケース30を組み合わせて構成されている。そして、本体ケース20内に駆動伝達機構2の少なくとも一部が収容される。また、本体ケース20に対して終端側に取り付けられるリヤケース30が、本体ケース20側の空間と区画された収容空間31を備えている。この収容空間31に制御装置4が収容されている。以下、このハイブリッド駆動装置1の各部の構成について詳細に説明する。
2.駆動機構の構成
次に、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1が備える駆動機構の構成について説明する。図1に示すように、入力軸Iは、エンジン側となるエンジン側の端部においてエンジンEのエンジン出力軸Eo(図7参照)に接続されている。ここで、エンジンEは燃料の燃焼により駆動される内燃機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種エンジンを用いることができる。エンジン出力軸Eoとハイブリッド駆動装置1の入力軸Iとの間にはダンパDA等が介挿されている。この入力軸Iは、遊星歯車装置PGのキャリヤcaと一体回転するように接続されている。
図1及び図2に示すように、第一回転電機MG1は、駆動装置ケース3に固定された第一ステータSt1と、この第一ステータSt1の径方向内側に回転自在に支持された第一ロータRo1と、を有している。第一回転電機MG1の第一ロータRo1は、遊星歯車装置PGのサンギヤsと一体回転するように接続されている。第一回転電機MG1の第一ステータSt1は、制御装置4を介してバッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示せず)に電気的に接続されている。第一回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果すことが可能とされている。本例では、第一回転電機MG1は、主に遊星歯車装置PGを介して入力される入力軸I(エンジンE)の駆動力により発電を行い、蓄電装置を充電し、或いは第二回転電機MG2を駆動するための電力を供給するジェネレータとして機能する。ただし、車両81の高速走行時やエンジンの始動時等には第一回転電機MG1は力行して駆動力を出力するモータとして機能する場合もある。
第二回転電機MG2は、駆動装置ケース3に固定された第二ステータSt2と、この第二ステータSt2の径方向内側に回転自在に支持された第二ロータRo2と、を有している。第二回転電機MG2の第二ロータRo2は、第二回転電機出力ギヤM22と一体回転するように接続されている。第二回転電機出力ギヤM22は、第一ギヤC1に噛み合うことによりカウンタ減速機構Cに接続されている。第二回転電機MG2の第二ステータSt2は、制御装置4を介してバッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示せず)に電気的に接続されている。第二回転電機MG2も、第一回転電機MG1と同様に、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果すことが可能とされている。本例では、第二回転電機MG2は、主に車両81の走行用の駆動力を補助するモータとして機能する。ただし、車両81の減速時等には、第二回転電機MG2は車両81の慣性力を電気エネルギとして回生するジェネレータとして機能する場合もある。
本実施形態においては、第一回転電機MG1の第一ロータRo1に隣接して第一回転センサ82が配置されている。第一回転センサ82は、第一ロータRo1の回転位置を検出する。また、第二回転電機MG2の第二ロータRo2に隣接して第二回転センサ83が配置されている。第二回転センサ83は、第二ロータRo2の回転位置を検出する。第一回転センサ82及び第二回転センサ83としては、具体的にはレゾルバ等が用いられる。
遊星歯車装置PGは、入力軸Iと同軸上に配置され、第一回転要素、第二回転要素及び第三回転要素の3つの回転要素を備えている。本実施形態においては、遊星歯車装置PGは、複数のピニオンギヤを回転自在に支持するキャリヤcaと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛合するサンギヤs及びリングギヤrと、を回転要素として有するシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。第一回転要素としてのサンギヤsは、第一回転電機MG1の第一ロータRo1と一体回転するように接続されている。第二回転要素としてのキャリヤcaは、入力軸Iと一体回転するように接続されている。第三回転要素としてのリングギヤrは出力回転要素となっており、リングギヤrよりもエンジン側であって入力軸Iと同軸上に設けられた中間出力ギヤMOと一体回転する。本実施形態においては、遊星歯車装置PGの3つの回転要素の回転速度の順は、サンギヤs(第一回転要素)、キャリヤca(第二回転要素)、リングギヤr(第三回転要素)の順となっている。なお、「回転速度の順」は、高速側から低速側に向かう順、又は低速側から高速側に向かう順のいずれかであり、遊星歯車機構PGの回転状態によりいずれともなり得るが、いずれの場合にも回転要素の順は変わらない。
遊星歯車装置PGは、入力軸I(エンジンE)の回転駆動力を中間出力ギヤMO及び第一回転電機MG1に分配する機能を果たす。すなわち、遊星歯車装置PGは、回転速度の順で中間となるキャリヤcaが入力軸I(エンジンE)と一体的に回転する。そして、このキャリヤcaの回転が、遊星歯車装置PGにおける回転速度の順で一方端となるサンギヤs、及び回転速度の順で他方端となるリングギヤrに分配される。リングギヤrに分配された回転は中間出力ギヤMOに伝達され、サンギヤsに分配された回転は第一回転電機MG1の第一ロータRo1に伝達される。この際、エンジンEは、効率が高く排気ガスの少ない状態に(一般に最適燃費特性に沿うように)維持されるよう制御されつつ車両側からの要求駆動力に応じた正方向のトルクを出力し、このトルクが入力軸Iを介してキャリヤcaに伝達される。一方、第一回転電機MG1は、負方向のトルクを出力することにより、入力軸Iのトルクの反力をサンギヤsに伝達する。すなわち、第一回転電機MG1は、入力軸Iのトルクの反力を支持する反力受けとして機能し、それにより入力軸Iのトルクが中間出力ギヤMOに分配される。この際、第一回転電機MG1の回転速度により中間出力ギヤMOの回転速度が決定される。中間出力ギヤMOは、第一ギヤC1に噛み合うことによりカウンタ減速機構Cに接続されている。
図2に示すように、カウンタ減速機構Cは、中間出力ギヤMOに噛み合う第一ギヤC1と、差動入力ギヤDF1に噛み合う第二ギヤC2と、第一ギヤC1と第二ギヤC2とを連結するカウンタ軸C3と、を備えている。カウンタ軸C3の回転軸(第三軸A3)は、入力軸(第一軸A1)に平行で、かつ、異なる軸とされている。ここで、第二ギヤC2は、第一ギヤC1に対して径が小さく、歯数も少なく設定されている。これにより、第一ギヤC1の回転は、歯数の上で減速されて第二ギヤC2に伝達される。また、本実施形態においては、第二ギヤC2は、第一ギヤC1よりもエンジン側に配置されている。これにより、カウンタ軸C3を、中間出力ギヤMOに対してエンジン側に寄せて配置することが可能となっている。また、第一ギヤC1には、第二回転電機出力ギヤM22が噛み合っている。すなわち、第一ギヤC1には中間出力ギヤMO及び第二回転電機出力ギヤM22が共通に噛み合う構成となっている。中間出力ギヤMOの回転及び第二回転電機出力ギヤM22の回転は、第一ギヤC1に伝達されるとともに、カウンタ軸C3及び第二ギヤC2を介して出力用差動歯車機構DFに伝達される。
出力用差動歯車機構DFは、第二ギヤC2に噛み合う差動入力ギヤDF1を有している。出力用差動歯車機構DFは、差動入力ギヤDF1に伝達された回転駆動力を分配し、左右2つの出力軸Oを介して二つの車輪W(駆動輪)に伝達する。上記のとおり、エンジンE、第一回転電機MG1、及び第二回転電機MG2の回転駆動力は、カウンタ減速機構C(第二ギヤC2)に伝達される。したがって、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、エンジンE、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2により発生され、差動入力ギヤDF1に伝達された回転駆動力を、出力用差動歯車機構DFを介して出力軸O及び二つの車輪Wに伝達し、車両81を走行させることができる。具体的には、第二回転電機MG2だけを駆動するモータ駆動モードや、エンジンE、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の全てを駆動するハイブリッド駆動モード等を切り替えて車両81を走行させることができる。
また、本実施形態においては、図2に示すように、差動入力ギヤDF1が、出力用差動歯車機構DFの軸方向中心部18aに対してエンジン側に配置されている。ここでは、差動入力ギヤDF1がエンジン側に寄せて配置され、出力用差動歯車機構DFの軸方向中心部に対してエンジン側に差動入力ギヤDF1が配置されている。このような配置とすることで、差動入力ギヤDF1に噛み合う第二ギヤC2をエンジン側に寄せて配置することができる。それにより、第二ギヤC2に連結されるカウンタ軸C3及び第一ギヤC1、並びに第一ギヤC1に噛み合う中間出力ギヤMO等をいずれもエンジン側に寄せて配置することが可能となっている。
また、図2に示すように、中間出力ギヤMO、遊星歯車装置PG、及び第一回転電機MG1は、入力軸Iと同軸上に配置されている。第二回転電機MG2、カウンタ減速機構C、及び出力用差動歯車機構DFは、それぞれ入力軸Iと異なる軸上に互いに平行に配置されている。すなわち、このハイブリッド駆動装置1は、入力軸I、遊星歯車装置PG、第一回転電機MG1及び中間出力ギヤMOが配置される第一軸A1、第二回転電機MG2が配置される第二軸A2、カウンタ減速機構Cが配置される第三軸A3、並びに出力用差動歯車機構DFが配置される第四軸A4を備えた四軸構成とされている。
図3及び図6に示すように、車両81の前後方向(図3の左右方向)では、第二軸A2、第三軸A3、及び第四軸A4は、第一軸A1を通る鉛直面に対して同じ側に配置されている。ここでは、第二軸A2、第三軸A3及び第四軸A4は、第一軸A1を通る鉛直面に対して車両81の後方側(図3の左側)に配置されている。また、車両81の上下方向(図3の上下方向)では、第二軸A2と第四軸A4とは、第一軸A1を通る水平面に対して上下に分かれて配置されている。ここでは、第二軸A2は第一軸A1を通る水平面に対して上側に配置され、第四軸A4は第一軸A1を通る水平面に対して下側に配置されている。これにより、第一軸A1、第二軸A2、及び第四軸A4は、これら三軸を結ぶ線が三角形を形成するように配置されている。そして、第一軸A1上に配置される第一回転電機MG1、第二軸A2上に配置される第二回転電機MG2、及び第四軸A4上に配置される出力用差動歯車機構DFは、径方向に互いに隣接して配置されている。また、第三軸A3は、カウンタ減速機構Cの第一ギヤC1が中間出力ギヤMOと第二回転電機出力ギヤM22とに噛み合い、かつ、第二ギヤC2が出力用差動歯車機構DFの差動入力ギヤDF1に噛み合うように、第一軸A1、第二軸A2及び第四軸A4の三軸を結んで形成される三角形の内側に配置されている。
3.駆動装置ケースの構成
駆動装置ケース3は、ハイブリッド駆動装置1の各構成を一体的に収容するケースであり、本実施形態においては、フロントケース10、本体ケース20、及びリヤケース30に分割可能に構成されている。この駆動装置ケース3を構成する各ケースの名称に関しては、ハイブリッド駆動装置1のエンジン側を正面と考えて「フロント」、ハイブリッド駆動装置1の終端側を背面と考えて「リヤ」、と便宜上定義し、それぞれ本体ケース20に対してエンジン側に設けられるケースをフロントケース10とし、本体ケース20に対して終端側に設けられるケースをリヤケース30としている。従って、これらケースの名称に関するフロント及びリヤは、車両の前後方向とは無関係に定義されたものである。
図1及び図2に示すように、フロントケース10は、本体ケース20に対してエンジン側に取り付けられる。このフロントケース10は、当該フロントケース10の終端側における本体ケース20と接する部分に設けられたフロント隔壁11と、当該フロント隔壁11の外周部からエンジン側へ延出されたフロント周壁12とを有している。フロント隔壁11は、本体ケース20側に設けられた第一室21のエンジン側を区画する隔壁である。フロントケース10は、フロント隔壁11に複数のボルト挿通孔を有し、各ボルト挿通孔に挿通された複数のフロントケース取付ボルト71により本体ケース20に締結固定される。また、フロント隔壁11には入力軸Iが挿通されている。フロント隔壁11の終端側の面には、オイルポンプOPが設けられている。このオイルポンプOPのケースOP1は、フロント隔壁11の終端側の面に取り付けられており、フロント隔壁11との間にロータOP2が収容されるロータ収容室を形成している。そして、オイルポンプOPのケースOP1に軸受が取り付けられ、入力軸I及び中間出力ギヤMOの筒状部が回転可能に支持されている。また、図2に示すように、フロント隔壁11には、カウンタ減速機構Cのカウンタ軸C3、第二回転電機出力軸M21、及び出力用差動歯車機構DFの差動入力ギヤDF1を支持するケース等が軸受を介して回転可能に支持されている。図1に示すように、フロントケース10は、フロント周壁12のエンジン側端面においてエンジンEに固定される。フロント周壁12に囲まれる空間には、エンジンEのエンジン出力軸Eoと入力軸Iとを接続するためのダンパDA等が収容される。
本体ケース20は、フロントケース10とリヤケース30との間に挟まれるように設けられる。この本体ケース20には、駆動伝達機構2の少なくとも一部が収容される。本体ケース20は、当該本体ケース20の軸方向(第一軸A1方向、以下同じ)の中間部に設けられた中間隔壁23と、当該中間隔壁23から軸方向両側へ延出された本体周壁24とを有している。そして、中間隔壁23のエンジン側に第一室21が形成され、中間隔壁23の終端側に第二室22が形成されている。すなわち、中間隔壁23は、第一室21と第二室22との間を区画する隔壁である。図2に示すように、第一室21内には、中間出力ギヤMO、カウンタ減速機構C、第二回転電機出力ギヤM22、及び出力用差動歯車機構DFが収容されている。第二室22内には、遊星歯車装置PG、第一回転電機MG1、及び第二回転電機MG2が収容されている。従って、中間隔壁23が、本体ケース20における第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2のエンジン側を覆う壁となる。また、中間隔壁23には入力軸I及び中間出力ギヤMOの筒状部が挿通され、軸受を介して回転可能に支持されている。さらに、中間隔壁23には第二回転電機出力軸M21が挿通され、軸受を介して回転可能に支持されている。本体周壁24は、第一室21及び第二室22の外周側を囲むように形成されている。また、図1によく示されるように、本体周壁24のエンジン側の端部には複数のボルト締結孔が設けられており、フロントケース10を固定するためのフロントケース取付ボルト71が締結される。本体周壁24の終端側の端部にも複数のボルト締結孔が設けられており、リヤケース30を固定するためのリヤケース取付ボルト72が締結される。
図1に示すように、リヤケース30は、本体ケース20に対して終端側に取り付けられる。このリヤケース30は、本体ケース20側の空間である第二室22と区画され、制御装置4を収容する収容空間31を備えている。また、リヤケース30は、収容空間31のエンジン側を区画するリヤ隔壁34と、収容空間31の終端側を区画するリヤ端壁35を備えている。リヤ隔壁34は、リヤケース30の本体ケース20側の壁であり、収容空間31と第二室22との間を区画する隔壁である。このリヤ隔壁34のエンジン側の壁面に第一回転電機MG1が取り付けられている。具体的には、第一回転電機MG1の第一ステータSt1が、リヤ隔壁34に固定されているとともに、第一ロータRo1が軸受を介してリヤ隔壁34に回転可能に支持されている。また、リヤ隔壁34は、エンジン側へ延出されて第一回転電機MG1の周囲を囲むように形成されたリヤ周壁部34aを備えている。リヤケース30は、リヤ隔壁34に複数のボルト挿通孔38を有し、各ボルト挿通孔38に挿通された複数のリヤケース取付ボルト72により本体ケース20に締結固定される。また、リヤケース30は、収容空間31の下部に、制御装置4を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部32を備えているとともに、収容空間31の上部に第二開口部33を備えている。そして、第一開口部32には、当該開口部を覆う蓋部材としての第一カバー41が取り付けられ、第二開口部33には、当該開口部を覆う蓋部材としての第二カバー42が取り付けられている。第一カバー41は、複数の第一カバー取付ボルト73によりリヤケース30に締結固定され、第二カバー42は、複数の第二カバー取付ボルト74によりリヤケース30に締結固定されている。
図4及び図5は、リヤケース30の形状を示す斜視図であり、図4は第一開口部32側から見た斜視図、図5は第二開口部33側から見た斜視図である。これらの図に示すように、リヤ隔壁34とリヤ端壁35とは略平行に設けられている。また、リヤケース30は、リヤ隔壁34及びリヤ端壁35に直交する方向に設けられ、これらと共に収容空間31を囲むリヤ第一側壁36及びリヤ第二側壁37を備えている。すなわち、収容空間31は、リヤ隔壁34、リヤ端壁35、リヤ第一側壁36、及びリヤ第二側壁37により囲まれた略直方体形状の空間とされている。図示の例では、第二回転電機カバー部39側をリヤ第二側壁37としている。更に、リヤケース30は、第二回転電機MG2の終端側を覆うように設けられた第二回転電機カバー部39を備えている。図2に示すように、第二回転電機カバー部39の内側の壁面には、第二回転電機MG2が取り付けられている。具体的には、第二回転電機MG2の第二ステータSt2が、第二回転電機カバー部39の内部に固定されているとともに、第二ロータRo2が軸受を介して第二回転電機カバー部39の内部に回転可能に支持されている。
図1及び図4に示すように、第一開口部32は、その開口面が後端側(本体ケース20側とは反対側)へ向かうに従ってリヤケース30の上下方向中央側へ向かうように傾斜して形成されている。これにより、第一開口部32の開口面積を、収容空間31の水平方向断面積に対して大きく確保することができる。従って、制御装置4の出し入れ、組み付け、保守作業等を容易にすることができる。一方、本実施形態においては、第二開口部33の開口面は略水平となるように形成されている。第二開口部33は、制御装置4とバスバー60との接続・分離作業等を行うために設けられている。
上記のとおり、リヤケース30は、リヤ隔壁34に複数のボルト挿通孔38を有しているが、図1、図3、及び図4に示されるように、それらの内の一部は収容空間31内に設けられている。そして、図1及び図3によく示されるように、このような収容空間31内に設けられたボルト挿通孔38は、当該ボルト挿通孔38の軸方向視で、傾斜した第一開口部32と重複する位置に設けられている。ここでは、ボルト挿通孔38の軸方向は、入力軸Iの軸方向に平行とされているので、収容空間31内に設けられたボルト挿通孔38は、傾斜した第一開口部32と上下方向で重複する位置に設けられている。すなわち、傾斜した第一開口部32の上縁よりも下方であって当該第一開口部32の下縁よりも上方の位置における、収容空間31内のリヤ隔壁34に複数のボルト挿通孔38が設けられている。このように収容空間31内にボルト挿通孔38を配置したことにより、第一開口部32を通してボルト挿通孔38の軸方向の空間が確保される。従って、リヤケース取付ボルト72の締結作業を行うに際して、当該リヤケース取付ボルト72の軸方向から工具を挿入して容易に作業を行うことができる。また、これにより、第一開口部32の周辺において外側に突出するように、ボルト挿通孔38を配置するためのフランジ等を設けることが不要となるので、収容空間31を大きく確保しつつリヤケース30を小型化することができる。
また、リヤケース30のリヤ隔壁34には、バスバー60が挿通されるバスバー挿通孔34cが形成されている。ここで、バスバー60は、第一回転電機MGの第一ステータSt1又は第二回転電機MG2の第二ステータSt2と制御装置4とを電気的に接続するための接続部材を構成する。本実施形態においては、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、いずれも3相交流電動機であるため、各回転電機MG1、MG2につき3本ずつ合計6本のバスバー60が設けられる。そこで、図5に示すように、リヤ隔壁34には各バスバー60につき一個、合計6個のバスバー挿通孔34cが形成されている。ここでは、各バスバー挿通孔34cは、バスバー60の周囲を囲むように設けられる絶縁部材63の断面形状に合わせて円形孔として形成されている。また、6個のバスバー挿通孔34cは、第二開口部33の近傍において、当該第二開口部33に沿って一列に配置されている。
4.各構成部品の配置構成
次に、ハイブリッド駆動装置1における各構成部品の配置構成について説明する。ここでは、特に、制御装置4の収容空間31をリヤケース30内に設けるために軸方向の配置領域が短く抑えられた、第一軸A1上における各構成部品の配置構成について説明する。上述したように、中間出力ギヤMO、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1は、入力軸Iと同軸上に配置されている。これらの各構成部品は、エンジン側(エンジンEに接続される側)から、中間出力ギヤMO、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1の順に配置されている。この際、遊星歯車装置PGは、第一回転電機MG1の第一ロータRo1の径方向内側に、当該第一回転電機MG1と軸方向に重複して配置されている。そして、この第一軸A1上において遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1よりも後端側に設けられるリヤケース30内に、制御装置4が収容される収容空間31が形成されている。
図1及び図2に示すように、第一回転電機MG1は、中間出力ギヤMOに対して終端側であって、同じく中間出力ギヤMOに対して終端側に配置された遊星歯車装置PGの径方向外側に配置されている。そして、第一回転電機MG1及び遊星歯車装置PGは、リヤケース30のリヤ隔壁34と本体ケース20の中間隔壁23との間に形成される第二室22内に収容されている。第一回転電機MG1の第一ステータSt1は、リヤケース30のエンジン側(本体ケース20側)の壁であるリヤ隔壁34に固定されている。より詳しくは、リヤ隔壁34が第一回転電機MG1の周囲を囲むように形成されたリヤ周壁部34aを備えており、第一ステータSt1は、当該リヤ周壁部34aの内周面に形成された段差部のエンジン側を向いた面に当接するように配置される。そして、第一ステータSt1は、図示しないボルト等の締結部材によりリヤケース30(リヤ隔壁34)に締結固定される。この第一ステータSt1が備えるステータコイルは、接続部材としてのバスバー60を介して制御装置4と電気的に接続される。そこで、バスバー60は、第二室22に収容された第一回転電機MG1の第一ステータSt1と、リヤケース30の収容空間31に収容された制御装置4とを接続すべく、リヤ隔壁34を貫通するように配置されるとともに、当該リヤ隔壁34に固定されている。第一ステータSt1と制御装置4との間のバスバー60を介した接続構成については、後で詳細に説明する。
第一ロータRo1は、ロータ連結部材84を介して遊星歯車装置PGのサンギヤsと一体的に連結されるとともに、当該ロータ連結部材84により遊星歯車装置PGの径方向外側に支持されている。ロータ連結部材84は、第一ロータRo1から径方向内側に向かって延出されるように設けられた部材であり、本実施形態においては、径方向に沿って配置され、径方向中心部に円形孔が形成された円板状部材とされている。このロータ連結部材84は、遊星歯車装置PGに対して終端側(図1における左側)に隣接して配置されている。そして、ロータ連結部材84の径方向外側端部に第一ロータRo1が固定され、径方向内側端部に遊星歯車装置PGのサンギヤsが固定されている。また、本実施形態においては、ロータ連結部材84は、第一ロータRo1の内周面を支持するために、前記円板状部材から軸方向に突出する円筒部を一体的に備えた形状とされている。ここでは、円筒部は、遊星歯車装置PG側に突出するように設けられ、その外周面に第一ロータRo1の内周面が接している。
このように、ロータ連結部材84の径方向外側端部に第一ロータRo1を固定したことにより、第一ロータRo1の径方向内側に、当該第一ロータRo1の内周面とロータ連結部材84とに囲まれた空間が形成される。この空間は、エンジン側に開口する空間となっており、この空間内に遊星歯車装置PGの全体又は一部が収容される。このように、第一回転電機MG1の第一ロータRo1の径方向内側に形成された空間に遊星歯車装置PGを配置することにより、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1が第一軸A1上に並べて配置された場合と比較して、第一軸A1の軸方向長さを短縮することが可能となっている。また、第一回転電機MG1は、遊星歯車装置PGを径方向内側に配置することでその外径が拡大されているので、同等の回転駆動力を出力するために必要な軸方向長さが短くなっている。その結果、第一軸A1の軸方向長さをより一層短縮することが可能となっている。
第一回転電機MG1の第一ロータRo1は、軸方向の二箇所で回転可能に支持されている。本実施形態においては、第一ロータRo1は、当該二箇所の内の一方ではリヤケース30のリヤ隔壁34に支持され、他方では入力軸Iに支持されている。具体的には、第一ロータRo1及びロータ連結部材84は、リヤ隔壁34に支持された軸受を介してリヤ隔壁34に回転可能に支持されるとともに、ロータ連結部材84が固定されたサンギヤsの軸がエンジン側において軸受を介して入力軸Iに相対回転可能に支持されている。このため、リヤケース30のリヤ隔壁34には、ロータ連結部材84を支持する軸受を支持するための円筒状突出部34bが、エンジン側へ突出するように形成されている。
また、リヤケース30のリヤ隔壁34のエンジン側の面に取り付けられた第一回転電機MG1、及び第一回転電機MG1の径方向内側に配置された遊星歯車装置PGの双方のエンジン側を覆うように、本体ケース20がエンジン側からリヤケース30に取り付けられる。これにより、第一回転電機MG1及び遊星歯車装置PGは、リヤケース30のリヤ隔壁34と本体ケース20の中間隔壁23との間に形成される第二室22内に収容される。そして、本体ケース20の中間隔壁23よりもエンジン側に中間出力ギヤMOが配置されている。また、中間出力ギヤMOは、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1と同軸上であって、これらに対してエンジン側に配置されている。そして、この中間出力ギヤMOのエンジン側を覆うように、フロントケース10がエンジン側から本体ケース20に取り付けられる。これにより、中間出力ギヤMOは、本体ケース20の中間隔壁23とフロントケース10のフロント隔壁11との間に形成される第一室21内に収容される。
中間出力ギヤMOは、ギヤ本体に対して軸方向両側に延びる筒状部を備えている。そして、この筒状部が、ギヤ本体のエンジン側において、軸受を介してオイルポンプOPのケースOP1に回転可能に支持され、ギヤ本体の終端側において、軸受を介して中間隔壁23に回転可能に支持されている。また、中間出力ギヤMOの筒状部の軸心部分には貫通孔が設けられており、この貫通孔に入力軸Iが挿通されている。入力軸Iは、中間出力ギヤMOを貫通し、筒状部の径方向内側に軸受を介して回転可能に支持されている。
5.制御装置及び収容空間の配置構成
次に、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の制御を行う制御装置4及び当該制御装置4を収容する収容空間31の配置構成について説明する。図1に示すように、制御装置4は、リヤケース30の内部に設けられた収容空間31に収容されている。制御装置4は、3相交流電動機である第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2に供給する交流電力を制御することにより、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2を制御するインバータとして機能する。本実施形態においては、制御装置4は、上部にスイッチング素子モジュール51を配置し、下部にリアクトル52及びコンデンサ53を配置し、これらを一体的に組み付けて構成したインバータユニットとして構成されている。ここでは、図6に示すように、制御装置4は、コンデンサ53として、平滑コンデンサ53aと昇圧用コンデンサ53bとを備えている。スイッチング素子モジュール51は、少なくとも直流電力と交流電力との間の変換を行うためのインバータ回路を構成するスイッチング素子を備えている。また、ここでは、スイッチング素子モジュール51は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示せず)の電圧を昇圧するための昇圧回路を構成するスイッチング素子も備えている。リアクトル52及び昇圧用コンデンサ53bは、昇圧回路を構成するためのものである。平滑コンデンサ53aは、スイッチング素子モジュール51へ入力される昇圧後の電圧を平滑化するためのものである。
制御装置4を構成するこれらの各部材の内、リアクトル52及びコンデンサ53は、スイッチング素子モジュール51と比較して厚みが大きい。ところで、一般的に、ハイブリッド駆動装置1が配置される車両のエンジン室は、上部に比べて下部の方が空間的に余裕がある場合が多い。また、本例では、ハイブリッド駆動装置1の上部の側方にサイドメンバーが配置されることになるため、当該サイドメンバーを避けて配置する必要がある。上記のように、上部にスイッチング素子モジュール51を配置し、下部にリアクトル52及びコンデンサ53を配置したことにより、制御装置4の上部を下部に対して小さくすることが可能となるので、これに合わせて、リヤケース30の収容空間31も、下部に比べて上部を小さく構成することができる。従って、サイドメンバーを避けることができるとともに、エンジン室内の空間の余裕に合致するように、リヤケース30の外形を形成することができるので、ハイブリッド駆動装置1の車両への搭載性を高めることができる。また、一般的に、リアクトル52は、スイッチング素子モジュール51及びコンデンサ53に比べて重い。従って、重いリアクトル52を下部に配置することにより、ハイブリッド駆動装置1の低重心化を図ることもできる。
また、図1に示すように、制御装置4は、上方に突出する出力端子54を備えている。この出力端子54は、第一回転電機MG1又は第二回転電機MG2と電気的に接続するための端子である。従って、制御装置4は、第一回転電機MG1のU相、V相、及びW相の3相、及び第二回転電機MG2のU相、V相、及びW相の3相のそれぞれのコイルに接続される6個の出力端子54を備えている。そして、各出力端子54は、電気的接続部材としてのバスバー60を介して第一回転電機MG1の第一ステータSt1又は第二回転電機MG2の第二ステータSt2に接続されている。従って、バスバー60、並びに各バスバー60に対応して設けられるプラグ61、絶縁部材63、及び接続配線64についても、それぞれ6個ずつ設けられている。本実施形態においては、第一回転電機MG1と第二回転電機MG2との間で接続方法に大きな相違はないため、以下では、第一回転電機MG1の第一ステータSt1及び第二回転電機MG2の第二ステータSt2を総称して単に「ステータSt」として説明する。すなわち、制御装置4とステータStとは、バスバー60を介して電気的に接続されている。本実施形態においては、このバスバー60が本発明における接続部材に相当する。また、バスバー60は、第二室22内において接続配線64を介してステータStに接続されている。また、バスバー60は、リヤケース30の収容空間31内においてプラグ61を介して制御装置4の出力端子54に接続されている。
バスバー60は、銅等の導電性材料で形成され、図示の例では導体板とされている。本実施形態においては、バスバー60は、第一バスバー60aと第二バスバー60bとにより構成されている。第一バスバー60aは、リヤケース30のリヤ隔壁34を入力軸Iと平行な方向に貫通するように配置されている。そして、第一バスバー60aの第二室22内側の端部には、接続配線64がボルトにより締結固定されて接続されている。また、第一バスバー60aは、リヤ隔壁34を貫通する部分の外周が絶縁部材63により覆われている。ここで、絶縁部材63は、リヤ隔壁34を貫通する部分が円筒状に形成されているとともに、第二室22側の端部にフランジ部63aが形成されている。そして、絶縁部材63の円筒状部分が、リヤ隔壁34に設けられたバスバー挿通孔34cに挿通されるとともに、フランジ部63aがボルト等の締結部材によりリヤ隔壁34に締結固定される。これにより、絶縁部材63の内部に保持される第一バスバー60aがリヤ隔壁34に固定される。絶縁部材63は、電気的絶縁性の高い材質により構成される。そして、この絶縁部材63とリヤ隔壁34との間に、シール部材としてのOリングが配置されている。これにより、絶縁部材63の外周面とバスバー挿通孔34cの内周面との間が液密状態となるように密封される。従って、第二室22内に存在する油が制御装置4の収容空間31に浸入することが抑制される。
第一バスバー60aの収容空間31側の端部には、第二バスバー60bがバスバー接続ボルト62により締結固定されて接続されている。ここで、バスバー接続ボルト62は、上下方向に締結する構成とされ、更には、第二開口部33から締結作業ができるように、上方から下方へ向けて締結されるように設けられている。具体的には、第一バスバー60aにバスバー接続ボルト62が螺合する雌ねじ部が設けられ、第一バスバー60aの上に配置される第二バスバー60bに、バスバー接続ボルト62が挿通される挿通孔が設けられている。従って、バスバー接続ボルト62は、第二バスバー60bの挿通孔に挿通されて第一バスバー60aの雌ねじ部に螺合することにより、第一バスバー60aと第二バスバー60bとを締結固定する。この際、第二バスバー60bの挿通孔は、バスバー接続ボルト62の径よりも大きい径とされている。これにより、制御装置4及びバスバー60の水平方向(バスバー接続ボルト62の軸方向に直交する方向)の誤差を、当該挿通孔に対するバスバー接続ボルト62の位置の調節により吸収することができる。従って、当該誤差に起因してバスバー60に作用する曲げ応力等の負荷を軽減することができる。
第二バスバー60bにおける第一バスバー60aに接続される側とは反対側の端部(以下「先端部」という。)には、プラグ61が設けられている。プラグ61は、接続対象となる端子(本例では出力端子54)との間で抜き差しされることにより接続・分離が可能に構成された部材である。本例では、プラグ61は、抜き差し方向が上下方向となるように配置され、制御装置4から上方に突出する出力端子54に対して上下方向に抜き差し可能に構成されている。プラグ61をこのように配置するために、第二バスバー60bは、先端部が上下方向に延びるように屈曲されて設けられている。具体的には、図1に示すように、略水平に配置される第一バスバー60aとの接続部と、当該接続部から終端側へ向かうに従って上方へ向かうように傾斜する中間部と、当該中間部の終端側の端部から鉛直下方へ延びる先端部とを有する形状とされている。そして、この先端部にプラグ61が、抜き差し方向を上下方向として固定されている。上記のとおり、バスバー接続ボルト62も上下方向に締結する構成とされているので、収容空間31内における第一バスバー60aと第二バスバー60bとの接続、及びバスバー60と制御装置4との接続は、いずれも上下方向に行うことができる。従って、制御装置4の組み付け作業に際して、配線作業は全て上部の第二開口部33から容易に行うことができる構成となっている。
上記のようなプラグ61を介してバスバー60と出力端子54との接続を行うことにより、第一開口部32を介して上下方向に移動して組み付け又は取り出しが行われる制御装置4の出力端子54に対して、容易にバスバー60を接続することができる。また、制御装置4及びバスバー60の上下方向の取付位置の誤差を、プラグ61の差し込み量の調節により吸収することができるので、当該誤差に起因してバスバー60に作用する曲げ応力等の負荷を軽減することができる。また、上記のように、制御装置4から上方に突出する出力端子54にバスバー60を接続する構成としたことにより、ステータStとバスバー60との接続位置も第二室22内における比較的上部に設けられることになり、第二室22内に油等が存在する場合であってもバスバー60及び接続配線64の絶縁性の確保が容易となる。
制御装置4は、中間出力ギヤMO、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1に対して、終端側に配置されている。上記のとおり、このハイブリッド駆動装置1では、遊星歯車装置PGが第一回転電機MG1の径方向内側に、当該第一回転電機MG1と軸方向に重複して配置されることにより、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1が第一軸A1上に並べて配置された場合と比較して、第一軸A1の軸方向長さを短縮することが可能となっている。また、第二回転電機MG2が入力軸Iとは異なる軸上(第二軸A2上)に配置されることによっても、よりいっそう第一軸A1の軸方向長さを短縮することが可能となっている。そのため、中間出力ギヤMO、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1に対して軸方向で入力軸Iの終端側に、短縮された軸方向長さの分に相当する空間が生じることになる。本実施形態においては、このようにして生じた空間を利用して、リヤケース30内に収容空間31を形成し、制御装置4を配置している。これにより、第一軸A1の軸方向長さ短縮することにより生じた空間を有効利用し、駆動装置ケース3内における終端側の側部に制御装置4を一体的に配設することができる。従って、制御装置4がハイブリッド駆動装置1の本体に対して上方又は下方に配置される場合と比較して、車両のエンジン室における他の機器の配置を妨げることを抑制できるとともに、車両の最低地上高も確保することができる。
また本例では、上記のとおり、第二回転電機MG2は、主に車両81の走行用の駆動力を補助するモータとして機能する。そのため、第二回転電機MG2は、大きな回転駆動力を出力可能なように、比較的大径で、かつ軸方向長さも長く設定されている。これにより、図2に示すように、第二回転電機MG2は、第一回転電機MG1よりも終端側に大きく突出して配置された形態となっている。ここで、リヤケース30の収容空間31は、第二回転電機MG2と軸方向に重複する位置に配置されている。従って、収容空間31に収容される制御装置4も、第二回転電機MG2と軸方向に重複する位置に配置されている。これにより、収容空間31及び制御装置4と第二回転電機MG2とが軸方向に重複した長さの分だけ、制御装置4を収容するリヤケース30も含めたハイブリッド駆動装置1全体の軸方向長さを短縮することが可能とされている。
また、リヤケース30の収容空間31及びそこに収容される制御装置4は、図3及び図6に示すように、第一回転電機MG1と径方向に重複する位置に配置されている。さらに、収容空間31及び制御装置4は、第二回転電機MG2とは径方向に重複しない位置に配置されている。ここで、「径方向に重複する」とは、第一回転電機MG1又は第二回転電機MG2の回転軸方向から見た軸方向視で、制御装置4の少なくとも一部が第一回転電機MG1又は第二回転電機MG2と重複することを意味する。上記のとおり、第一軸A1の軸方向長さは短縮されているのに対して、第二軸A2は第二回転電機MG2の大きさに合わせてその軸方向長さが長くなっている。そのため、制御装置4を第一軸A1の軸方向から見た軸方向視で第一回転電機MG1と重複する位置であって、かつ、第二軸A2の軸方向から見た軸方向視で第二回転電機MG2とは重複しない位置に配置することで、生じた空間に収容空間31及び制御装置4を適切に配置して、ハイブリッド駆動装置1全体の大型化を抑制することを可能としている。
制御装置4は、リヤケース30の収容空間31に収容され、当該収容空間31内に設けられた、図示しない取付部に対してボルト等の締結部材により締結固定されて取り付けられる。この際、ボルト等の締結部材は、制御装置4と同様に、第一開口部32から挿入し、当該第一開口部32から締結作業を行うことができるように設けられると好適である。これにより、ハイブリッド駆動装置1を車両に搭載した状態において、車両の下方から容易に制御装置4の保守作業を行うことができる。すなわち、車両のエンジン室の下方は通常開口していることから、当該エンジン室の下方から第一カバー41を取り外すだけで、容易に収容空間31内の制御装置4を取り外し、或いは収容空間31内に制御装置4を取り付ける作業を行うことができる。また、制御装置4とバスバー60との接続作業に際しては、第二カバー42を取り外すことにより、リヤケース30の上方から容易に行うことができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、リヤケース30の収容空間31の下部に第一開口部32を備えるとともに、収容空間31の上部に第二開口部33を備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、制御装置4を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部32を収容空間31の上部に備え、上下方向における当該第一開口部32とは反対側となる収容空間31の下部に第二開口部33を備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、リヤケース30が第二開口部33を備えず、収容空間31の上部又は下部に第一開口部32のみを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(2)上記の実施形態においては、第一開口部32の開口面が傾斜して形成され、第二開口部33の開口面は略水平に形成された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、第一開口部32及び第二開口部33の双方の開口面が、後端側へ向かうに従ってリヤケース30の上下方向中央側へ向かうように傾斜して形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、第二開口部33の開口面が、後端側へ向かうに従ってリヤケース30の上下方向中央側へ向かうように傾斜して形成され、第一開口部32の開口面が略水平となるように形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の実施形態においては、第一回転電機MG1の第一ステータSt1及び第二回転電機MG2の第二ステータSt2が、いずれもリヤケース30に固定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、第一回転電機MG1の第一ステータSt1及び第二回転電機MG2の第二ステータSt2の一方又は双方を、本体ケース20に固定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(4)上記の実施形態においては、バスバー60と制御装置4との電気的接続を行うためのプラグ61をバスバー60の先端に固定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、プラグ61を制御装置4側に固定する構成、より具体的には制御装置4の出力端子54に固定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合においても、プラグ61は、抜き差し方向を上下方向として固定されると好適である。またその場合、バスバー60は、少なくともプラグ61に挿入される先端部が上下方向に延びるように配置される。
(5)上記の実施形態においては、制御装置4から上方に出力端子54が突出し、当該出力端子54にプラグ61を介してバスバー60が接続される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、制御装置4から下方に出力端子54が突出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、バスバー60をボルト等の締結部材により出力端子54に接続する構成とすることも可能であるが、プラグ61を介して接続する構成とすることも可能である。
(6)上記の実施形態においては、制御装置4が第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の双方の制御を行なう場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、制御装置4が第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2のうち、いずれか一方のみを制御するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(7)上記の実施形態においては、ハイブリッド駆動装置1がカウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFを備え、中間出力ギヤMOの回転駆動力がカウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFを介して出力軸Oに伝達される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、カウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFの一方又は双方を備えず、中間出力ギヤMOの回転駆動力が直接、或いはカウンタ減速機構C及び出力用差動歯車機構DFのいずれか一方のみを介して出力軸Oに伝達される構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(8)上記の実施形態においては、遊星歯車装置PGがシングルピニオン型の遊星歯車機構で構成された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば遊星歯車装置PGをダブルピニオン型の遊星歯車機構で構成し、或いは、シングルピニオン型又はダブルピニオン型の複数の遊星歯車機構を組み合わせて構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(9)上記の実施形態においては、ハイブリッド駆動装置1が第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の2つの回転電機を備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、ハイブリッド駆動装置1が回転電機を一つだけ備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、当該一つの回転電機は、上記実施形態における第一回転電機MG1と同様の位置に配置されると好適である。また、このような場合等において、駆動伝達機構2が遊星歯車装置PGを備えない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(10)上記の実施形態においては、本発明を、トランスアクスル構成のハイブリッド駆動装置1に適用する場合を例として説明した。このようなハイブリッド駆動装置1は、エンジンEと駆動輪とが近接して配置される車両、例えば、FF(Front Engine Front Drive)車両、RR(Rear Engine Rear Drive)車両、MR(Midship Engine Rear Drive)車両等に好適に利用することができる。
本発明は、例えばハイブリッド車両等のように、駆動力源としてエンジン及び回転電機を備える車両に用いるハイブリッド駆動装置に好適に利用することができる。
本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の要部断面図 本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の展開断面図 本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置を軸方向から見た側面図 本発明の実施形態に係るリヤケースを第一開口部側から見た斜視図 本発明の実施形態に係るリヤケースを第二開口部側から見た斜視図 図3と同方向からケースを透視して各部品の配置を示す図 車両内でのハイブリッド駆動装置の配置を概略的に示す模式図
符号の説明
1:ハイブリッド駆動装置
2:駆動伝達機構
3:駆動装置ケース
4:制御装置
10:フロントケース
20:本体ケース
22:第二室(本体ケース側の空間)
23:中間隔壁(本体ケースの回転電機を覆う壁)
30:リヤケース
31:収容空間
32:第一開口部
33:第二開口部
34:リヤ隔壁(リヤケースの本体ケース側の壁)
35:リヤ端壁
36:リヤ第一側壁
37:リヤ第二側壁
38:ボルト挿通孔
41:第一カバー(蓋部材)
42:第二カバー(蓋部材)
50:インバータユニット
51:スイッチング素子モジュール
52:リアクトル
53:コンデンサ
54:出力端子(制御装置から上方に突出する端子)
60:バスバー(接続部材)
61:プラグ
72:リヤケース取付ボルト(ボルト)
E:エンジン
I:入力軸(入力部材)
O:出力軸(出力部材)
W:車輪
MG1:第一回転電機
St1:第一ステータ
MG2:第二回転電機
PG:遊星歯車装置
s:サンギヤ(第一回転要素)
ca:キャリヤ(第二回転要素)
r:リングギヤ(第三回転要素、出力回転要素)
MO:中間出力ギヤ

Claims (14)

  1. エンジンに接続される入力部材と、車輪に接続される出力部材と、回転電機と、前記回転電機の制御を行う制御装置と、前記入力部材、前記回転電機、及び前記出力部材の間での駆動力の伝達を行う駆動伝達機構と、これらを収容する駆動装置ケースと、を備えたハイブリッド駆動装置であって、
    前記駆動装置ケースは、前記駆動伝達機構の少なくとも一部を収容する本体ケースと、当該本体ケースに対して前記入力部材の前記エンジンに接続される側とは反対側に取り付けられるリヤケースと、を備え、
    前記リヤケースは、前記本体ケース側の空間と区画され、前記制御装置を収容する収容空間を備えるとともに、当該収容空間の上部又は下部に前記制御装置を出し入れ可能な開口面積を有する第一開口部を備えるハイブリッド駆動装置。
  2. 前記リヤケースは、前記収容空間の上下方向における前記第一開口部とは反対側に、第二開口部を有する請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 前記第一開口部及び前記第二開口部の一方又は双方は、当該開口部の開口面が、前記本体ケース側とは反対側へ向かうに従って前記リヤケースの上下方向中央側へ向かうように傾斜している請求項2に記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 前記リヤケースは、一又は二以上のボルト挿通孔を有し、当該ボルト挿通孔に挿通されたボルトにより前記本体ケースに締結固定されるものであり、
    前記収容空間内に設けられた前記ボルト挿通孔が、当該ボルト挿通孔の軸方向視で、前記傾斜した開口部と重複する位置に設けられている請求項3に記載のハイブリッド駆動装置。
  5. 前記第一開口部及び前記第二開口部には、それぞれを覆う蓋部材が取り付けられる請求項2から4のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  6. 前記第一開口部は、前記収容空間の下部に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  7. 前記回転電機のステータが、前記リヤケースの前記本体ケース側の壁に固定され、
    前記ステータと前記制御装置とを電気的に接続する接続部材が、前記リヤケースの前記本体ケース側の壁を貫通するように前記リヤケースに固定された請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  8. 前記接続部材と前記制御装置との電気的接続は、上下方向に抜き差し可能なプラグを介して行う請求項7に記載のハイブリッド駆動装置。
  9. 前記プラグは、前記制御装置から上方に突出する端子に接続されている請求項8に記載のハイブリッド駆動装置。
  10. 前記回転電機が前記リヤケースの前記本体ケース側の壁面に取り付けられ、前記本体ケースが前記リヤケースとは反対側から前記回転電機を覆うように前記リヤケースに取り付けられ、前記本体ケースの前記回転電機を覆う壁よりも前記エンジン側に前記駆動伝達機構を構成する中間出力ギヤが配置されている請求項1から9のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  11. 前記駆動伝達機構は、前記回転電機に接続される第一回転要素と、前記入力部材に接続される第二回転要素と、前記出力部材に接続される出力回転要素となる第三回転要素と、を備える遊星歯車装置を含み、
    前記遊星歯車装置は、前記回転電機のロータの径方向内側に当該回転電機と軸方向に重複して配置されている請求項1から10のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  12. 前記リヤケースの前記収容空間が、前記回転電機と径方向に重複する位置に配置されている請求項1から11のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  13. 前記回転電機を第一回転電機とし、当該第一回転電機とは別に第二回転電機を備え、
    前記第二回転電機は、第一回転電機とは異なる軸上に配置され、
    前記リヤケースの前記収容空間は、前記第二回転電機と軸方向に重複するように配置されている請求項1から12のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  14. 前記制御装置は、上部にスイッチング素子モジュールを配置し、下部にリアクトル及びコンデンサを配置し、これらを一体的に組み付けて構成したインバータユニットである請求項1から13のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
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