JP2010105127A - レンズ型の加工装置、レンズ型の加工装置に用いる加工具、レンズ型の加工装置を用いた加工方法、レンズ型、及びレンズ - Google Patents

レンズ型の加工装置、レンズ型の加工装置に用いる加工具、レンズ型の加工装置を用いた加工方法、レンズ型、及びレンズ Download PDF

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Yoshitaka Uehara
義貴 上原
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Abstract

【課題】そこで本発明は、被加工物の加工面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、レンズ成型用凹部を均一に加工形成することができる。
【解決手段】本発明は、回転する被加工物Eに加工具D1を押圧することにより、その被加工物Eにレンズ成型用凹部20を加工形成するレンズ型の加工装置において、上記加工具D1に、被加工物Eに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部30を設けたことを特徴としている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばマイクロレンズ等を成型するためのレンズ型の加工装置、レンズ型の加工装置に用いる加工具、レンズ型の加工装置を用いた加工方法、レンズ型、及びレンズに関する。
この種のレンズ型の加工方法として、特許文献1に研削加工方法という名称で開示されているものがある。
上記従来のレンズ型加工方法は、回転軸対称形状を有する被加工物の一側面に対して、研削砥石の先端部に形成した研削部を当接させ、さらに前記研削砥石を回転させながら相対的に移動させることにより、被加工物を凹形状に加工するものであり、その研削砥石の回転中心軸を前記被加工物の回転中心軸に対して傾けて回転させながら同研削砥石を相対的に移動させるとともに、前記研削部は前記研削砥石の回転軸を中心として環状に形成された球帯形状をなし、前記球帯形状の研削部の先端部に形成されるエッジが、前記被加工物の回転軸中心点を加工することを内容としたものである。
特開2007−62000号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来のレンズ型加工方法では、図13(A)に示すように、剛性の高い工具1を使用するとともに、剛性の高い加工機(図示しない)により被加工物2の加工面2aに一定寸法の切り込みを行うことにより、所期の形状からなるレンズ成型用凹部3を加工形成している。
一方、図13(B)に示すように、磨耗した工具1′により加工するときには、所期のレンズ成型用凹部3とは異なる深さのレンズ成型用凹部3′となり、また、同図(C)に示すような被加工物2の加工面2aにうねり等がある場合には、そのうねり等に起因する加工深さの異なるレンズ成型用凹部3″,3となる。
従って、上述した従来のレンズ型加工方法によって多数のレンズを成型するときには、均一な加工深さのレンズを安定的に成型することが非常に困難であるという問題がある。
そこで本発明は、被加工物の加工面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、レンズ成型部を均一に加工形成することができるレンズ型の加工装置、レンズ型の加工具、レンズ型の加工方法、レンズ型、及びレンズの提供を目的としている。
上記目的を達成するためのレンズ型の加工装置は、回転する被加工物に加工具を押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するものであり、上記加工具に、被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けたことを特徴としている。
上記目的を達成するためのレンズ型の加工装置に用いる加工具は、回転する被加工物に押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するためのレンズ型の加工装置に用いるものであり、被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けたことを特徴としている。
上記目的を達成するためのレンズ型の加工装置を用いる加工方法は、回転する被加工物に、これに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けた加工具を押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成することを内容とするものであり、被加工物に対する押圧力が一定となるように、弾性変形部を弾性変形させながらレンズ成型部を加工形成することを特徴としている。
上記目的を達成するためのレンズ型は、上記レンズ型の加工装置を用いた加工方法によって、レンズ成型部を加工形成したものである。
上記目的を達成するためのレンズは、上記したレンズ型により成型したことを特徴としている。
本発明に係るレンズ型の加工装置によれば、被加工物に加工されるレンズ成型部を、その被加工物の表面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、均一に加工することができる。
本発明に係るレンズ型の加工装置に用いる加工具によれば、被加工物に加工しようとするレンズ成型部を、その被加工物の表面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、均一に加工することができる。
本発明に係るレンズ型の加工装置を用いる加工方法によれば、被加工物に加工されるレンズ成型部を、その被加工物の表面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、均一に加工することができる。
本発明に係るレンズ型によれば、高精度なレンズ成形型を加工形成できるので、高い光学性能を有するレンズを低コストで成型することができる。
本発明に係るレンズによれば、高精度なレンズを成型できるので、高い光学性能を有するものとすることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図、図2は、本発明の第一の実施形態に係る加工具と、被加工物の加工面の詳細を示す部分拡大図である。
本発明の第一の実施形態に係るレンズ型の加工装置A1は、装置本体Bと、制御装置Cとを有して構成されている。
装置本体Bは、横長直方体形のベース10上面に、回転スピンドル11と、加工具D1を保持した第一の位置決め装置12とを対向させて配設しているとともに、そのベース10下面に、外来の振動の伝達を防止するための四つの防振装置12…を設置している。
回転スピンドル11は、被加工物Eを保持したホルダ14を、回転軸線O1を中心として回転駆動するものであり、第二の位置決め装置13である所謂Zステージに載置することにより、被加工物Eの図示Z軸方向での位置決めを行うものである。
本実施形態において示す被加工物Eは、直方体形のレンズ成型用レンズ型(以下、単に「レンズ型」という。)であり、これの加工面Eaに複数のレンズ成型部20…を所定の配列間隔にして加工形成できる大きさのものである。
本実施形態において示すレンズ成型部20は、レンズアレイR(図2参照)を成型するための所要の凹曲面で形成されたものである。以下、「レンズ成型部20」を「レンズ成型用凹部20」という。
なお、レンズ型Eには、複数のレンズ成型用凹部20…を加工形成することに限らず、単一のレンズ成型用凹部20を加工形成するようにしてもよい。
第一の位置決め装置12は、図中X軸方向(図中奥行き方向)、及びY軸方向での位置決めを行う所謂X-Yステージであり、それには、加工具D1を保持する工具ホルダ15を回転させるための加工具スピンドル16が、従ってまた、加工具D1が所定の傾斜角度にして配設されている。
なお、17は、加工用液タンク(図示しない)から送給された加工用液を、レンズ型Eに供給するための加工用液供給ノズルである。
加工具D1は、第一の実施形態に係るものであり、それは、レンズ型Eに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部30を設けたものであり、中心軸線O2を中心とする略円柱形のものである。
加工具D1は、基端から先端に向けて、高硬度な部材で構成される工具保持部31、弾性変形部30、レンズ型Eに押圧されることにより、そのレンズ型Eの一部を除去,加工できる切れ刃を有する加工部32からなる。
工具保持部31は、最も大きな直径にして形成した大径部30aと、円錐台形の連結部30bとを高硬度な部材により一体に形成した円柱状のものである。
加工部32は、高硬度で微粒な砥粒を固めた砥石や高硬度なエッジを有するエンドミルであり、本実施形態においては円柱状のものであるが、角柱状のものであってもよい。
弾性変形部30は、加工部32よりも剛性が低い材質、例えばヤング率の低い材質、ゴムや樹脂材料の円柱形に形成されており、本実施形態においては加工部32と同じ外径にしている。
図3は、制御装置の有する機能を示すブロック図である。
制御装置Cは、CPU(Central Processing Unit)、インターフェース回路及びメモリ(いずれも図示しない)等からなるものであり、その図示しないメモリに記憶した所要のプログラムの実行により、次の各機能を発揮する。
(1)第一の位置決め装置12を介して、加工具D1を移動する機能。この機能を「加工具移動手段C1」という。
本実施形態においては、メモリに予め記憶されている移動情報、例えばレンズ型Eに対する加工具D1のX,Y軸方向の相対な位置や加工具D1の回転速度等を参照して、加工具D1を移動する。
(2)第二の位置決め装置13を介してレンズ型Eを移動する機能。この機能を「レンズ型移動手段C2」という。
本実施形態においては、メモリに予め記憶されている移動情報、例えばレンズ型Eの回転速度又は回転方向の位置、レンズ型EのZ方向での位置等を参照して、レンズ型Eを移動する。
次に、本発明の第一の実施形態に係るレンズ型の加工方法について、図4,5を参照して説明する。図4は、本発明の第一の実施形態に係る加工具と、被加工物の加工面の詳細を示す部分拡大図であり、加工途中の様子を示している。また、図5(A)は、加工深さと弾性変形による効果を示すグラフ、(B)は、加工原理を模式的に示す図である。
本発明の第一の実施形態に係るレンズ型の加工方法は、加工具D1に設けた弾性変形部30を、レンズ型Eに対する押圧力が一定となるように弾性変形させながら加工形成することを特徴としたものであり、その詳細は次のとおりである。
まず、レンズ型Eをホルダ14で保持し、加工具D1の加工点32aとレンズ型Eの中心軸線O1のとがX軸方向及びY軸方向で一致するように加工具D1を変位制御する。なお、加工点32aは、加工部32のエッジ部分である。
続けて、レンズ型Eと加工具Dをともに回転させながら、加工具D1をレンズ型Eに所定の押付け量だけZ軸方向に相対的に押し付けて、レンズ型Eの加工面Eaにレンズ成型用凹部20を加工形成する。
加工点32aがレンズ型Eの加工面Eaに接触すると、図3に示すように、弾性変形部30が弾性変形し、加工部32がほぼ一定の押圧力で押し当てられる。
加工部32をレンズ型Eに押し付けた量(切込み量)と、加工部32がレンズ型Eに押し当てられる押圧力には比例関係がある。
そのため、図4に示すように、加工部32のレンズ型Eへの押付け量(切込み量)を制御することにより、加工されるレンズ成型用凹部20の加工深さを制御することができるのである。
よって、加工時の切込み量は、加工部32のレンズ型Eへの押付け量と、加工されるレンズ成型用凹部20の加工深さの関係を事前に調査しておき、所望の加工深さになるような押付け量で、加工部32をレンズ型Eに押付けて加工を行う。
また、加工部32のレンズ型Eへの押付け量と、加工されるレンズ成型用凹部20の加工深さの関係は、加工条件(被加工物材質,工具材種,工具形状,被加工物回転数,工具回転数,押付け速度等)によって異なるので、加工条件を変えたときは、再度、加工部32のレンズ型Eへの押付け量と、加工されるレンズ成型用凹部20の加工深さの関係を調査する必要がある。
さらに、弾性変形部30の弾性変形によって、加工点32aがX軸方向,Y軸方向でもズレが生じるため、それら2方向のズレ量も事前に調査しておき、加工前に補正を行う。
以上の加工を行うことにより、一定の押圧力で加工部32をレンズ型Eに押し付けて、定圧力での加工ができるため、多数のレンズ成型用凹部20を加工する際の加工具D1の摩耗や被加工物表面のうねり等の外乱の影響を大幅に低減させることができる
これにより、加工されるレンズ成型用凹部20の加工深さのバラツキを大幅に低減し、安定した加工深さのレンズ成型用凹部20を加工形成することが可能となる。
次に、第二の実施形態に係る加工具について、図6を参照して説明する。図6は、第二の実施形態に係る加工具の拡大図である。
第二の実施形態に係る加工具D2は、上記した第一の実施形態に係る加工具D1と同様に、レンズ型Eに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けたものであり、その詳細は次のとおりである。
本実施形態に係る加工具D2は、回転軸線O2を中心とする略円柱形のものであり、基端部から先端部に向けて、工具保持部40、弾性変形部41及び加工部42が順次形成されている。
工具保持部40は、最も大きな直径d1に形成した円柱形のものであり、高硬度な材質で形成されている。
加工部42は、レンズ型Eに押圧されることにより、そのレンズ型Eの一部を除去,加工できる切れ刃を有する高硬度で微粒な砥粒を固めた砥石や高硬度なエッジを有するエンドミルであり、工具保持部40よりも小さい直径d2にした円柱形に形成されている。
弾性変形部41は、加工部42と同一の材質により一体にして、かつ、その加工部42よりも細径な径細部分41cを有して形成されている。
すなわち、弾性変形部41は、加工部42と同じ材質で一体に形成されており、加工部側端部41aと工具保持部側端部41bとを、加工部42の直径よりも小さい同じ直径にするとともに、それら両端部から径細部分41cに向けて滑らかに細径にした謂わば鼓形に形成されている。
なお、上記径細部分41cの直径d3は、当然のことながら、加工部42の直径d2よりも小さい値である。
次に、本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置について説明する。図7は、本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図、図8は、制御装置の有する機能を示すブロック図である。
本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置A2は、第一の実施形態に係るレンズ型の加工装置A1と基本構造は同じであるが、傾動位置決め装置であるA軸回転ステージ50を設けた点で相違している。
そこで、本実施形態においては、主にA軸回転ステージ50について説明し、上述した第一の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略することにする。
A軸回転ステージ50は、加工具スピンドル16の回転軸O2を回転スピンドル11の中心軸線O1に対する交差角度、換言すると傾斜角度を図示鉛直面内において、任意の角度に傾動意図決めするものである。
このA軸回転ステージ50は、制御装置Cによって傾動されるようになっており、上記メモリに記憶した所要のプログラムの実行により、次の各機能を発揮する。
(3)仕上げ精度が異なる複数の加工モードに対応した被加工物に対する押圧力となるように、A軸回転ステージ50を介して、加工具D1を傾動位置決めする機能。この機能を「第一の加工具傾動手段C3」という。
なお、各加工モードに対応する傾斜角度は、予め設定してメモリ等に記憶しておく。
レンズ型の加工装置A2を使用した、レンズ型の加工方法について説明する。図9は、本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置により、レンズ成型用凹部を加工するときの様子を示しており、粗加工と仕上げ加工におけるレンズ成型用凹部の加工状態を示す部分拡大断面図である。また、図10(A)は、加工深さと弾性変形による効果を示すグラフ、(B)は、加工原理を模式的に示す図である。
本実施形態においては、加工しようとするレンズ成型用凹部20の高精度化のため、粗加工と仕上げ加工の二つの加工モードでの加工を行う。
「粗加工」と「仕上げ加工」との相違点は、目標の加工精度,加工能率で異なるものであり、「粗加工」は加工精度(加工深さ,表面粗さ,形状精度等)が悪いが、加工能率を高めて(加工深さ,単位時間当たりの加工除去体積等を増やして)概略形状を加工することを内容としたものである。
一方、「仕上げ加工」は加工能率を低くして、加工精度を高めた加工を行うことをないようとしています。通常、高精度な機械加工を行う場合、何回かに分けて加工を行いますが、その時、まず上記の粗加工を行い、次に仕上げ加工を行います。
要求される精度や加工量(加工深さ等)によっては、必要に応じて、これらの間に中仕上げ(複数回の場合もあります)加工を行ってもよい。
まず、レンズ型Eをホルダ14で保持した後、A軸回転ステージ50を駆動して、所定の加工具D1が所定の角度θ0となるように加工具スピンドル16を傾動する。
この状態で、上述した第一の実施形態の場合と同様にして、加工具D1の弾性変形を考慮しつつ、加工具D1の加工点32aがレンズ型Eの中心軸線O1に一致するように、X軸方向及びY軸方向で加工具D1を移動する。
加工具D1を回転させながら、その加工具D1をレンズ型Eに粗加工で目標となる加工深さとなる押付け量だけ押圧し、レンズ型Eの加工面Eaにレンズ成型用凹部20の粗加工を行う。図9においては、粗加工において除去する部位を20aで示している。
その後、加工具D1をレンズ型Eから離間した後、再度、A軸回転ステージ50を動作させて、加工具スピンドル16の傾斜角度がθ1(θ1<θ0)となるように傾動する。
この状態で、再度、粗加工と同様にして、加工具D1の弾性変形を考慮しつつ、加工具D1の加工点32aがレンズ型Eの中心軸線O1に一致するように、X軸方向及びY軸方向で加工具D1を相対的に移動する。
そして、レンズ型Eと加工具D1を回転させながら,加工具D1をレンズ型Eに仕上げ加工で目標となる加工深さとなるように押付け量だけ押圧し、レンズ型Eの加工面Eaにレンズ成型用凹部20の仕上げ加工を行い、最終的なレンズ形状の加工を行う。図9においては、仕上げ加工において除去する部位を20bで示している。
要約すると、粗加工のときには、弾性率を高くして、加工具の摩耗や被加工物のうねりの影響を低減するのである。これにより、加工深さバラツキを小さくすることができる。
これに対して仕上げ加工のときには弾性率を低くする。すなわち、粗加工により加工深さ(仕上代)が均一なため、高精度な仕上げ加工ができ、さらに、加工具の変形を抑えるため形状精度を高くできる。
以上のように、本実施形態によれば、粗加工時と仕上加工時の加工具D1の傾斜角度を異ならせた加工を行うので、多数のレンズ成型用凹部20をレンズ型Eに加工形成する際に、図10に示すように、それらのレンズ成型用凹部20…を、加工深さのバラツキを少なくし、かつ、安定した加工を行うことができる。
なお、本実施形態においては、粗加工,仕上げ加工の2工程からなる加工方法について説明したが、これに限るものではなく、3工程以上において同様の加工を行ってもよい。
次に、本発明の第三の実施形態に係るレンズ型加工装置について説明する。図11は、本発明の第三の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図、図12は、制御装置と演算制御装置が有する機能を示すブロック図である。
本発明の第三の実施形態に係るレンズ型の加工装置A3は、第二の実施形態に係るレンズ型加工装置A2と基本構造は同じであるが、加工後のレンズ成型用凹部20を計測する計測機60と演算制御装置Fを設けた点で相違している。
そこで、本実施形態においては、計測機60について説明し、上述した第二の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略することにする。
計測機60は、加工後のレンズ成型用凹部20の形状を計測する、触針式やレーザ等を利用した非接触式のものであり、本実施形態においては、ベース10内の収納位置(ア)と、そのベース10上に突出して、レンズ型Eに対向する計測位置(イ)との間で昇降駆動されるようになっている。
演算制御装置Fは、制御装置Cの配下にあり、図示しない内蔵メモリに記憶した所要のプログラムの実行により、次の各機能を発揮する。
(4)計測機60による計測結果に基づき、そのレンズ型Eに加工されているレンズ成型用凹部20が既定の形状となるように、加工具D1を傾動する機能。これを「第二の加工具傾動手段F1」という。
本実施形態においては、“加工→測定→加工されたレンズ形状の加工深さ(最終的なレンズ成型用凹部の形状に加工するために必要な加工深さ)を元にした加工具スピンドル角度の演算→加工”のサイクルを繰り返すことにより、より高精度なレンズ成型用凹部20を加工形成できる。
なお、レンズ形状の加工深さ(最終的なレンズ成型用凹部の形状に加工するために必要な加工深さ)を元にした加工具スピンドル角度の演算とは、加工具D1の傾斜角度の演算という意味と同義である。
上述した各加工方法によれば、レンズ成型用凹部20を高精度で加工できるので、そのレンズ成型用凹部20で成型したレンズを光学部品として使用した場合、高い光学性能を発揮することができる。
上述した各実施形態に係るレンズ型の加工装置、レンズ型の加工具、レンズ型の加工方法、レンズ型、及びレンズによれば、次の各効果を得ることができる。
・加工具に、被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けることにより、被加工物に加工されるレンズ成型部を、その被加工物の表面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、均一に加工することができる。
・弾性変形部を、加工部よりも低い剛性の材質によって形成することにより、弾性変形量の制御自由度を高くすることができる。
・弾性変形部を、加工部と同一の材質により一体にして、かつ、加工部よりも細径な径細部分を有して形成することにより、低コストで加工具を構成できるとともに、細径部分の外径をするだけで、弾性変形量の微調整を容易に行うことができる。
・仕上げ精度が異なる複数の加工モードに対応した被加工物に対する押圧力となるように、傾動位置決め装置を介して、加工具を傾動位置決めする第一の加工具傾動手段を有することにより、仕上げ精度が異なる複数の加工モードに対応した被加工物に対する押圧力となるように、傾動位置決め装置を介して加工具を傾動位置決めできる。
すなわち、加工具の弾性変形量を変えることができ、従って一つの加工具でも加工の目的に合わせた加工を行うことができる。
・計測機による計測結果に基づき、位置決め装置を介して、被加工物に対する押圧力が所定の値となるように加工具を傾動する第二の加工具傾動手段を有することにより、加工したレンズ成型用凹部を計測し、その計測結果に基づいて、被加工物に対する押圧力が所定の値となるように加工具を傾動させられ、これにより、その加工具の弾性変形量を制御できるとともに、より高精度な加工を行うことができる。
・被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けることにより、被加工物に加工しようとするレンズ成型部を、その被加工物の表面のうねりや加工具の摩耗等に拘らず、均一に加工することができる。
・弾性変形部を、加工部よりも低い剛性の材質によって形成することにより、弾性変形量の制御自由度を高くすることができる。
・弾性変形部を、加工部と同一の材質により一体にして、かつ、加工部よりも細径の径細部分を有して形成することにより、低コストで加工具を構成できるとともに、径細部分の外径を変更するだけで、弾性変形量の微調整を容易に行うことができる。
・上述したレンズ型の加工装置を用いた加工方法によってレンズ成型部を加工形成することにより、高精度なレンズ成形型を加工形成できるので、高い光学性能を有するレンズを低コストで成型することができる。
・上述したレンズ型によって成型することにより、高精度なレンズを成型できるので、高い光学性能を保有させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
・上記した各実施形態においては球面レンズを例として説明したが、非球面レンズについても適用することができる。
すなわち、球面レンズの場合には、図1,11におけるX方向の移動をしないで加工し、非球面レンズのときには、図1,11におけるX方向に移動させながら加工することによりそれぞれ加工形成することができる。
・上述した実施形態においては、回転する被加工物に加工具を押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するレンズ型の加工装置を前提として説明したが、回転するレンズに加工具を押圧することにより、そのレンズを加工することを前提として、その加工具に、レンズに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けた構成にしてもよい。
・上記した各実施形態においては、レンズ型を形成するための所要の凹曲面に形成したレンズ成型用凹部を例として説明したが、所要の凸曲面に形成したレンズ成型用凸部としてもよい。
・上記各実施形態においては、被加工物に対する押圧力が一定となるように、弾性変形部を有する加工具を移動する加工具移動手段を設けた構成について説明したが、その加工具移動手段は、弾性変形部を有しない加工具について適用した場合にも有効である。
・上記各実施形態においては、加工具に、被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を一つだけ設けた構成について説明したが、二つ以上の弾性変形部を設けた構成にしてもよい。
具体的には、二つ以上の弾性変形部を、互いに異なる弾性力をもつものの組み合わせとすること、二つ以上の弾性変形部を、互いに同等の弾性力をもつものの組み合わせとすること等。
また、互いに同等の弾性力をもつ二つ以上の弾性変形部を並列にした構成にすることもできる。具体的には、先端部から基端部に向けて、加工部、二つの弾性変形部及び工具保持部とした構成等である。
ところで、上記各実施形態においては、被加工物の中心軸線を中心とした一つのレンズ成型用凹部の加工方法について記載したが、特許3938540号に記載されている内容の方法により、レンズ成型用凹部を加工形成する場合にも有効である。
すなわち、特許3938540号に記載されているマイクロレンズアレイの成形型の研削方法は、工作物を工作物スピンドルに取り付け、その工作物スピンドルの回転軸に対して直角または傾斜させて設置した研削スピンドルに設けた研削砥石を工作物に押しつけ、さらに、工作物スピンドルの回転軸とが一致するように同期させながら研削砥石を制御して回転するとともに、同時に前記加工痕に切り込みを与えるようにして工作物上に凹面の球面形状の穴を研削することを特徴としたものである。
本発明の第一の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の第一の実施形態に係る加工具と、被加工物の加工面の詳細を示す部分拡大図である。 制御装置の有する機能を示すブロック図である。 本発明の第一の実施形態に係る加工具と、被加工物の加工面の詳細を示す部分拡大図であり、加工途中の様子を示している。 (A)は、加工深さと弾性変形による効果を示すグラフ、(B)は、加工原理を模式的に示す図である。 第二の実施形態に係る加工具の拡大図である。 本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図である。 制御装置の有する機能を示すブロック図である。 本発明の第二の実施形態に係るレンズ型の加工装置により、レンズ成型用凹部を加工するときの様子を示しており、粗加工と仕上げ加工におけるレンズ成型用凹部の加工状態を示す部分拡大断面図である。 (A)は、加工深さと弾性変形による効果を示すグラフ、(B)は、加工原理を模式的に示す図である。 本発明の第三の実施形態に係るレンズ型の加工装置の概略構成を示す正面図である。 制御装置と演算制御装置が有する機能を示すブロック図である。 (A)は、従来のレンズ型加工方法によりレンズ成型用凹部を加工形成する様子を示す部分拡大断面図、(B)は、磨耗した工具によりレンズ成型用凹部を加工形成する様子を示す部分拡大断面図、(C)は、被加工物の加工面にうねり等がある場合において、レンズ成型用凹部を加工形成する様子を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
11 回転スピンドル
20 レンズ成型用凹部
30,41 弾性変形部
32,42 加工部
50 傾動位置決め装置
60 計測機
A1〜A3 加工装置
C3 第一の加工具傾動手段
D1,D2 加工具
E 被加工物(レンズ型)
Ea 加工面
F1 第二の加工具傾動手段

Claims (11)

  1. 回転する被加工物に加工具を押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するレンズ型の加工装置において、
    上記加工具に、被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けたことを特徴とするレンズ型の加工装置。
  2. 加工具には、レンズ成型部を加工するための加工部が設けられており、
    弾性変形部は、加工部よりも低い剛性の材質によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ型の加工装置。
  3. 加工具には、レンズ成型部を加工するための加工部が設けられており、
    弾性変形部は、加工部と同一の材質により一体にして、かつ、加工部よりも細径な径細部分を有して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ型の加工装置。
  4. 加工具を傾動位置決めするための傾動位置決め装置が設けられており、
    仕上げ精度が異なる複数の加工モードに対応した被加工物に対する押圧力となるように、傾動位置決め装置を介して、加工具を傾動位置決めする第一の加工具傾動手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズ型の加工装置。
  5. レンズ成型部の加工形状を計測するための計測機と、
    加工具を傾動位置決めするための位置決め装置とが設けられており、
    計測機による計測結果に基づき、位置決め装置を介して、被加工物に対する押圧力が所定の値となるように加工具を傾動する第二の加工具傾動手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ型の加工装置。
  6. 回転する被加工物に押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するためのレンズ型の加工装置に用いる加工具において、
    被加工物に対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けたことを特徴とするレンズ型の加工装置に用いる加工具。
  7. 被加工物に押圧されることによりレンズ成型部を加工するための加工部が設けられており、
    弾性変形部を、加工部よりも低い剛性の材質によって形成していることを特徴とする請求項6に記載のレンズ型の加工装置に用いる加工具。
  8. レンズ成型部を加工するための円柱状の加工部が設けられており、
    弾性変形部は、加工部と同一の材質により一体にして、かつ、加工部よりも細径の径細部分を有して形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のレンズ型の加工装置に用いる加工具。
  9. 回転する被加工物に、これに対する押圧力が一定となるように弾性変形する弾性変形部を設けた加工具を押圧することにより、その被加工物にレンズ成型部を加工形成するレンズ型の加工装置を用いた加工方法であって、
    被加工物に対する押圧力が一定となるように、弾性変形部を弾性変形させながらレンズ成型部を加工形成することを特徴とするレンズ型の加工装置を用いた加工方法。
  10. 請求項9に記載したレンズ型の加工装置を用いた加工方法によって、レンズ成型部を加工形成したことを特徴とするレンズ型。
  11. 請求項10に記載したレンズ型により成型したことを特徴とするレンズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016068157A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 ジヤトコ株式会社 ワークの表面加工方法

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