図1は、本発明の一実施形態に係るインパクト型圧電アクチュエータからなる駆動装置の基本構成を概略的に示すブロック図である。この図において、駆動装置10は、駆動部12と、駆動部12を駆動する駆動回路14と、駆動部12に取り付けられている係合部材の位置を検出する部材センサ16と、駆動部12の基端に配設された基端センサ18と、駆動部12の先端に配設された先端センサ20と、全体の動作を制御する制御部22とを備えている。
図2は、駆動部12の構成例を示す斜視図である。この図において、駆動部12は、素子固定式構造のものであり、支持部材24、圧電素子26、駆動部材28及び係合部材30から構成されている。
支持部材24は、圧電素子26及び駆動部材28を保持するものであり、円柱体の軸方向両端部241,242及び略中央の仕切壁243を残して内部を刳り貫くことにより形成された第1の収容空間244及び第2の収容空間245を有している。この第1の収容空間244には、圧電素子26がその分極方向である伸縮方向を支持部材24の軸方向と一致させて収容されている。また、第2の収容空間245には、駆動部材28と係合部材30の一部とが収容されている。
圧電素子26は、例えば、所要の厚みを有する複数枚の圧電基板を各圧電基板間に図略の電極を介して積層することにより構成したものであり、その伸縮方向(積層方向)である長手方向の一方端面が第1の収容空間244の一方端部241側端面に固着されている。支持部材24の他方端部242及び仕切壁243には中心位置に丸孔が穿設されると共に、この両丸孔を貫通して断面丸形状の棒状の駆動部材28が第2収容空間245に軸方向に沿って移動可能に収容されている。
駆動部材28の第1の収容空間244内に突出した端部は圧電素子26の他方端面に固着され、駆動部材28の第2の収容空間245の外部に突出した端部は板ばね32により所要のばね圧で圧電素子26側に付勢されている。この板ばね32による駆動部材28への付勢は、圧電素子26の伸縮動作に基づく駆動部材28の軸方向変位を安定化させるためである。
係合部材30は、駆動部材28の軸方向の両側に取付部301を有する基部302と、両取付部301の間に装着される挟み込み部材303とを備えており、基部302が駆動部材28に遊嵌されると共に、挟み込み部材303が板ばね304により押圧されることにより駆動部材28に接触することで係合部材30が所定の摩擦力で駆動部材28に結合され、係合部材30に対してその摩擦力よりも大きな駆動力が作用したときに駆動部材28の軸方向に沿って移動可能とされている。なお、係合部材30には駆動対象物であるレンズL(図1)が取り付けられている。
図3は、駆動回路14の構成例を示す図である。この図において、駆動回路14は、図略の駆動電源から駆動電圧+Vpが供給される接続点aと、接地される接続点bとの間に、MOS型FETであるスイッチ素子Q1からなる第1スイッチ回路141及びMOS型FETであるスイッチ素子Q2からなる第2スイッチ回路142の直列回路が接続されると共に、MOS型FETであるスイッチ素子Q3からなる第3スイッチ回路143及びMOS型FETであるスイッチ素子Q4からなる第4スイッチ回路144の直列回路が接続され、各スイッチ回路141乃至144に駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4を供給する制御信号供給手段としての制御回路145が接続されて構成されている。
第1スイッチ回路141を構成するスイッチ素子Q1及び第3スイッチ回路143を構成するスイッチ素子Q3はPチャネルFETであり、第2スイッチ回路142を構成するスイッチ素子Q2及び第4スイッチ回路144を構成するスイッチ素子Q4はNチャネルFETである。PチャネルFETであるスイッチ素子Q1,Q3は駆動制御信号がローレベルのときにオンになり、NチャネルFETであるスイッチ素子Q2,Q4は駆動制御信号がハイレベルのときにオンになる。なお、第1スイッチ回路141及び第2スイッチ回路142の接続点cと、第3スイッチ回路143及び第4スイッチ回路144の接続点dとの間に圧電素子26が接続されてブリッジ回路146が構成されている。
このように構成された駆動回路14において、第1スイッチ回路141及び第4スイッチ回路144は圧電素子26に対し、その一方側から駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが+Vpとなるまで充電する第1の駆動回路(第1の駆動手段)を構成し、第2スイッチ回路142及び第3スイッチ回路143は圧電素子26に対し、その他方側から(すなわち、逆方向から)駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが−Vpとなるまで充電する第2の駆動回路(第2の駆動手段)を構成することになる。
このように駆動回路14と圧電素子26とでブリッジ回路146を構成した場合、圧電素子26には−Vp〜+Vpの電圧が印加されるので、圧電素子26の駆動電圧が等価的に2Vpとなる結果、駆動電源は低電圧であっても変位量の大きい駆動装置10を得ることができるという利点がある。
図1に戻り、部材センサ16は、係合部材30の移動可能範囲内に配設されており、MRE(Magneto Resistive Effect)素子やPSD(Position Sensitive Device)素子等のセンサにより構成されている。また、基端センサ18及び先端センサ20は、フォトインタラプタ等のセンサにより構成されている。これにより、係合部材30の位置が部材センサ16により検出されることで係合部材30の所定位置への移動制御が可能となる一方、係合部材30の位置が基端センサ18及び先端センサ20で検出されることで係合部材30のそれ以上の移動が禁止される。
制御部22は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、処理プログラム及びデータが記憶されたROM(Read-Only Memory)及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)から構成されており、部材センサ16等から入力される信号に基づいて制御回路145から所定のデューティ比の駆動パルスを出力させ、この駆動パルスにより第1の駆動回路及び第2の駆動回路を交互に駆動する。すなわち、制御部22は、第1スイッチ回路141及び第4スイッチ回路144からなる第1の駆動回路と、第2スイッチ回路142及び第3スイッチ回路143からなる第2の駆動回路とを交互に駆動する一方、後述する第2スイッチ回路142及び第4スイッチ回路144からなる放電回路を駆動する駆動制御手段を構成する。
次に、本発明の駆動装置10に適用される駆動回路14の駆動動作の説明を行うに先立ち、図4乃至図7を参照して駆動回路14の原理的な動作説明を行う。すなわち、図4は、駆動回路14の原理的な動作を説明するための駆動電圧のパルス波形を示す図であり、同図(a)は駆動電圧の駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での圧電素子26の共振周波数frの0.7倍(fd=0.7×fr)となるように設定され、デューティ比D(D=B/A)が0.3になるように設定されたもの、同図(b)は駆動電圧の駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での圧電素子26の共振周波数frの0.7倍(fd=0.7×fr)となるように設定され、デューティ比D(D=B/A)が0.7になるように設定されたものである。
このように、図4(a)に示す矩形波からなる駆動電圧が圧電素子26に印加された場合は係合部材30が駆動部材28に沿って繰出方向(圧電素子26から離反する方向)である矢印a方向に移動し、図4(b)に示す矩形波からなる駆動電圧が圧電素子26に印加された場合は係合部材30が駆動部材28に沿って戻り方向(圧電素子26に接近する方向)である矢印aとは逆方向に移動することになる。駆動電圧をこのように設定したのは、支持部材24及び駆動部材28が固着されている状態での圧電素子26の共振周波数frに対する駆動電圧の周波数fdの比(fd/fr)と係合部材30の移動速度との関係を確認した結果、図5に示すような関係にあることが明らかとなったことによる。
すなわち、従来では、鋸歯形状の波形を有する駆動電圧が印加された場合に圧電素子26が駆動するものと考えられていたため、その駆動回路が不可避的に複雑となり、低コスト化と小型化とに制約を受けるという問題があったが、本発明に係る駆動装置10の駆動回路14では、上記のように駆動電圧が生成の容易な矩形波からなるものでよいことから低コスト化と小型化とが促進されるという利点がある。
この図5に示す特性図は、矩形波からなる駆動電圧のデューティ比が0.3の場合(係合部材30が繰出方向に移動する場合)のものであるが、そのデューティ比が0.7の場合(係合部材30が戻り方向に移動する場合)は勿論のこと、そのデューティ比が0.05〜0.95の範囲内にある場合には略同様の関係を有することが確認されている。
この図5に示す特性図からも明らかなように、fd/frの値が0.3乃至1.5の範囲内にある場合には係合部材30が実質的に移動可能となり、fd/frの値が0.3に満たない場合及び1.5を超える場合には係合部材30が移動不能となる。従って、圧電素子26の共振周波数frに対する駆動電圧の周波数fdは、図4に示すものだけではなく必要に応じて0.3<fd<1.5の範囲内で適宜設定することができる。
また、矩形波からなる駆動電圧のデューティ比と係合部材30の移動方向(繰出方向及び戻り方向)との関係を確認した結果、図6に示すような関係を有していることが明らかとなっている。すなわち、デューティ比Dが0.05乃至0.45の範囲内(0.05<D<0.45)にあるときには、係合部材30は繰出方向に移動し、デューティ比Dが0.55乃至0.95の範囲内(0.55<D<0.95)にあるときには、係合部材30は戻り方向に移動する。従って、デューティ比Dは、図4に示すものだけではなく必要に応じて0.05<D<0.45又は0.55<D<0.95の範囲内で適宜設定することができる。
なお、支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での圧電素子26の共振周波数frは、次の数1により求めたものである。
この数1におけるfroは圧電素子26の両電極間におけるフリー共振周波数(圧電素子26自体の電極間方向における共振周波数)、mpは圧電素子26の質量、mfは駆動部材28の質量をそれぞれ表わしている。なお、支持部材24の質量は、共振系における圧電素子26の共振周波数frに関係するが、支持部材24の質量は圧電素子26及び駆動部材28の各質量を加算したものに比べて十分大きな値を有しており、共振周波数frに与える影響は小さいので演算パラメータとして考慮する必要はない。また、係合部材30は、圧電素子26の共振時には駆動部材28に対して滑りを生じて実質的に共振系の要素として考慮する必要はないので、上記数1の演算パラメータとしては含まれていない。
図7は、圧電素子26に印加される駆動回路14からの駆動電圧のパルス波形と、圧電素子26の伸縮による変位との対応関係を示す図で、同図(a)は図4(a)に示す駆動電圧が印加された場合であり、同図(b)は図4(b)に示す駆動電圧が印加された場合をそれぞれ示している。なお、圧電素子26の伸縮による変位は、レーザードップラー振動計により測定したものである。
このように、圧電素子26に図4(a)に示す駆動電圧が印加された場合は圧電素子26の変位波形が緩慢な立ち上がり部と急峻な立ち下がり部とを有する鋸歯形状となり、圧電素子26に図4(b)に示す駆動電圧が印加された場合は圧電素子26の変位波形が急峻な立ち上がり部と緩慢な立ち下がり部とを有する鋸歯形状となっていることが確認された。
すなわち、圧電素子26の変位が図7(a)に示すような緩慢な立ち上がり部を有する波形を呈するとき(すなわち、圧電素子26が緩やかに伸長するとき)は、係合部材30が駆動部材28と共に繰出方向に移動し、圧電素子26の変位が図7(a)に示すような急峻な立下り部を有する波形を呈するとき(すなわち、圧電素子26が急激に縮小するとき)は、駆動部材28が戻り方向に移動しても係合部材30は駆動部材28上をスリップして略同位置に留まることになる。このため、図7(a)に示す駆動電圧が圧電素子26に繰り返し印加されることで、係合部材30は繰出方向に間欠的に移動することになる。
また、圧電素子26の変位が図7(b)に示すような急峻な立ち上がり部を有する波形を呈するとき(すなわち、圧電素子26が急激に伸長するとき)は、駆動部材28が繰出方向に移動しても係合部材30は駆動部材28上をスリップして略同位置に留まることになり、圧電素子26の変位が図7(b)に示すような緩慢な立下り部を有する波形を呈するとき(すなわち、圧電素子26が緩やかに縮小するとき)は、係合部材30が駆動部材28と共に戻り方向に移動することになる。このため、図7(b)に示す駆動電圧が圧電素子26に繰り返し印加されることで、係合部材30は戻り方向に間欠的に移動することになる。
このように、例えば、図4(a),(b)に示す駆動電圧が圧電素子26に印加された場合、圧電素子26の変位波形が鋸歯形状となるのは次のような理由による。すなわち、矩形波は基本波である正弦波と複数次の高調波とからなるものであるが、駆動電圧の駆動周波数fdが圧電素子26の共振周波数frに対して0.3倍よりも大きく1.5倍よりも小さいとき(0.3×fr<fd<1.5×fr)、共振系における圧電素子26の共振周波数の影響を受けて矩形波を形成している高調波成分のうち3次以上の高次の高調波のゲインが大きく減衰し、圧電素子26に印加される駆動電圧が実質的に基本波と2次高調波とからなる波形(すなわち、略鋸歯形状の波形)を有するものとなるからである。
また、駆動電圧のデューティ比のある値を境にして係合部材30の移動方向が繰出方向と戻り方向間で反転するのは、そのデューティ比に対応して基本波に対する2次高調波の位相がずれ、基本波と2次高調波とからなる鋸歯波形における立ち上がり部と立ち下がり部の各傾斜が変化することになるからである。すなわち、デューティ比Dが0.05<D<0.45の範囲内にあるときには、2次高調波の位相のずれが大きくなって緩慢な立ち上がり部と急峻な立ち下がり部を有する鋸歯波形となることから係合部材30は繰出方向に移動し、デューティ比Dが0.55<D<0.95の範囲内にあるときには、2次高調波の位相のずれが小さくなって急峻な立ち上がり部と緩慢な立ち下がり部を有する鋸歯波形となることから係合部材30は繰出方向に移動する。
図8は、本発明に係る駆動装置10に適用される駆動回路14の動作説明を行うための図で、図3に示す駆動回路14を制御する制御回路145から出力されて各スイッチ素子Q1〜Q4に印加される駆動パルスと、圧電素子26に印加される駆動電圧の波形とを示す図である。この図8に示す駆動電圧は、上述したように矩形波からなるものであり、その駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28の固着された状態での圧電素子26の共振周波数frに対し、0.7倍に設定されると共に、繰出方向における波形についてはデューティ比Dが0.3に設定され、戻り方向の波形についてはデューティ比Dが0.7に設定されたものである。この駆動電圧が圧電素子26に印加されることで係合部材30は繰出方向と戻り方向とに移動することになる。
この図8に示すように、駆動装置10の駆動時には、制御回路145からハイレベルの駆動制御信号Sc1,Sc2がスイッチ素子Q1,Q2に入力されるときには、ローレベルの駆動制御信号Sc3,Sc4がスイッチ素子Q3,Q4に入力され、ローレベルの駆動制御信号Sc1,Sc2がスイッチ素子Q1,Q2に入力されるときには、ハイレベルの駆動制御信号Sc3,Sc4がスイッチ素子Q3,Q4に入力される。
これらの駆動制御信号のうち、駆動制御信号Sc3,Sc4は、駆動制御信号Sc1,Sc2がハイからローに切り替わるときにはそれよりも僅かに速いタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc1,Sc2がローからハイに切り替わるときにはそれよりも僅かに遅いタイミングでハイからローに切り替わるように設定されている。
制御回路145から上記のような駆動制御信号が繰り返し出力されることにより、スイッチ素子Q1,Q4及びスイッチ素子Q2,Q3が所定の周期で交互にオン、オフを繰り返すことになる。すなわち、スイッチ素子Q1,Q4がオンのときには圧電素子26は+Vpに充電され、スイッチ素子Q2,Q3がオンのときには圧電素子26は−Vpに充電されることになる結果、圧電素子26には見掛け上電源電圧Vpの2倍(2Vp)の電圧が印加されたことになり、係合部材30の移動速度を速くすることができて駆動装置10を効果的に動作させることができる。なお、駆動電圧のデューティ比Dが0.3に設定された駆動パルスでは係合部材30は繰出方向に移動し、駆動電圧のデューティ比Dが0.7に設定された駆動パルスでは係合部材30は戻り方向に移動する。
しかも、上記のように駆動制御信号Sc3,Sc4は、駆動制御信号Sc1,Sc2がハイからローに切り替わるときにはそれよりも僅かに速いタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc1,Sc2がローからハイに切り替わるときにはそれよりも僅かに遅いタイミングでハイからローに切り替わるように設定されているので、スイッチ素子Q1,Q4の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間と、スイッチ素子Q2,Q3の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間との間に、スイッチ素子Q2,Q4の駆動により圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電期間が形成され、これにより消費電力が大幅に削減されることになる。従って、スイッチ素子Q2,Q4は、それらが同時に駆動されるときには圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電回路を構成することになる。
すなわち、スイッチ素子Q2,Q3が共にオンになって圧電素子26に逆方向から駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=−VP)、スイッチ素子Q1,Q4が共にオンになる前にスイッチ素子Q2,Q4が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた−VPの電荷がスイッチ素子Q2,Q4を介して放電されることになる。そして、スイッチ素子Q1,Q4が共にオンになって圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=+VP)、スイッチ素子Q2,Q3が共にオンになる前にスイッチ素子Q2,Q4が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた+VPの電荷がスイッチ素子Q2,Q4を介して放電されることになる。
このように、スイッチ素子Q1,Q4の駆動期間とスイッチ素子Q2,Q3の駆動期間との間に、スイッチ素子Q2,Q4の駆動による放電期間が形成されることから、圧電素子26を+Vpに充電するときも−Vpに充電するときにも充電に必要な電荷を供給するだけでよいことから不要な電力消費を削減することができる。これに対し、このようなスイッチ素子Q2,Q4の駆動による放電期間を形成しないときには、圧電素子26の放電時にも圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されることから不要な電力を消費することになる。
図9は、この状態を説明するための図であり、スイッチ素子Q2,Q3が共にオンになる期間(このとき、スイッチ素子Q1,Q4は共にオフ)を第1期間、この第1期間の後に形成されるスイッチ素子Q2,Q4が共にオンになる期間(このとき、スイッチ素子Q1,Q3は共にオフ)を第2期間、この第2期間の後に形成されるスイッチ素子Q1,Q4が共にオンになる期間(このとき、スイッチ素子Q2,Q3は共にオフ)を第3期間、この第3期間の後に形成されるスイッチ素子Q2,Q4が共にオンになる期間(このとき、スイッチ素子Q1,Q3は共にオフ)を第4期間とする。
なお、これら第1期間乃至第4期間に制御回路145から出力される駆動制御信号Sc1乃至Sc4と圧電素子26の充電電圧との対応関係を表1に示している。ここで、「H」はハイ信号を示し、「L」はロー信号を示している。
この第1期間では、圧電素子26に−qの電荷が充電され(このとき、Vs=−Vp)、第2期間では、第1期間で圧電素子26に充電された−qの電荷が放電される。また、第3期間では、圧電素子26に+qの電荷が充電され(このとき、Vs=+Vp)、第4期間では、第3期間で圧電素子26に充電された+qの電荷が放電される。なお、圧電素子26には、その分極方向に駆動電圧Vpが印加されるようになっている。
符号C1で示す円内は、第2期間における圧電素子26に印加される電圧の波形を拡大して示しており、期間aはスイッチ素子Q4にハイ信号が印加されてから実際にスイッチが切り替わるまでの切替時間、期間bはスイッチ素子Q4が切り替わってから圧電素子26に充電されている電荷が放電されるまでの放電時間をそれぞれ示している。従って、第2期間はこれらの期間a及び期間bを加算した値あるいはそれに近似した値に設定される。
また、符号C2で示す円内は、第4期間における圧電素子26に印加される電圧の波形を拡大して示しており、期間cはスイッチ素子Q4にロー信号が印加されてから実際にスイッチが切り替わるまでの切替時間、期間dはスイッチ素子Q2が切り替わってから圧電素子26に充電されている電荷が放電されるまでの放電時間をそれぞれ示している。従って、第4期間はこれらの期間c及び期間dを加算した値あるいはそれに近似した値に設定される。
実験結果によれば、図10(a)に示すように、上記のようにスイッチ素子Q2,Q3の駆動期間(充電期間)である第1期間とスイッチ素子Q1,Q4の駆動期間(充電期間)である第3期間との間、及びスイッチ素子Q1,Q4の駆動期間(充電期間)である第3期間とスイッチ素子Q2,Q3の駆動期間(充電期間)である第1期間との間に、スイッチ素子Q2,Q4の駆動期間(放電期間)である第2期間及び第4期間をそれぞれ設けた構成とした場合の消費電力は77mWであったのに対し、第2期間及び第4期間を設けなかった構成とした場合の消費電力は143mWであった(46%の向上)。また、圧電素子26に印加される駆動電圧に段差ができる関係で係合部材30の移動速度が若干低下する懸念があったが、図10(b)に示すように、本発明に係るものでは係合部材30の移動速度は9.3mm/secであったのに対し、従来例のものでは9.9mm/secであり、約6%低下するのみで格別大きな変化はなかった。
図11は、駆動回路14の別の構成例を示す図である。この図において、駆動回路14’は、図略の駆動電源から駆動電圧+Vpが供給される接続点aと、接地される接続点bとの間に、MOS型FETであるスイッチ素子Q1からなる第1スイッチ回路151及びMOS型FETであるスイッチ素子Q2からなる第2スイッチ回路152の直列回路が接続されると共に、MOS型FETであるスイッチ素子Q3からなる第3スイッチ回路153及びMOS型FETであるスイッチ素子Q4からなる第4スイッチ回路154の直列回路が接続されて構成されている。
また、第2スイッチ回路152に抵抗素子R1及びMOS型FETであるスイッチ素子Q5の直列回路からなる第5スイッチ回路155が並列接続されると共に、第4スイッチ回路154に抵抗素子R2及びMOS型FETであるスイッチ素子Q6の直列回路からなる第6スイッチ回路156が並列接続され、各スイッチ回路151乃至156に駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4,Sc5,Sc6を供給する制御信号供給手段としての制御回路157が接続されて構成されている。なお、この制御回路157は、駆動回路14の場合と同様に制御部22により制御されて各スイッチ回路を制御する。
第1スイッチ回路151を構成するスイッチ素子Q1及び第3スイッチ回路153を構成するスイッチ素子Q3はPチャネルFETであり、第2スイッチ回路152を構成するスイッチ素子Q2、第4スイッチ回路154を構成するスイッチ素子Q4、第5スイッチ回路155を構成するスイッチ素子Q5、及び第6スイッチ回路156を構成するスイッチ素子Q6はNチャネルFETである。なお、第1スイッチ回路151及び第2スイッチ回路152の接続点cと、第3スイッチ回路153及び第4スイッチ回路154の接続点dとの間に圧電素子26が接続されてブリッジ回路158が構成されている。
このように構成された駆動回路14’において、係合部材30を繰出方向に移動させる場合には、第1スイッチ回路151及び第6スイッチ回路156は圧電素子26に対し、その一方側から駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが+Vpとなるまで充電する第1の駆動回路(第1の駆動手段)を構成し、第2スイッチ回路152及び第3スイッチ回路153は圧電素子26に対し、その他方側から(すなわち、逆方向から)駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが−Vpとなるまで充電する第2の駆動回路(第2の駆動手段)を構成することになる。
また、係合部材30を戻り方向に移動させる場合には、第1スイッチ回路151及び第4スイッチ回路154は圧電素子26に対し、その一方側から駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが+Vpとなるまで充電する第1の駆動回路(第1の駆動手段)を構成し、第3スイッチ回路153及び第5スイッチ回路155は圧電素子26に対し、その他方側から(すなわち、逆方向から)駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが−Vpとなるまで充電する第2の駆動回路(第2の駆動手段)を構成することになる。
このように駆動回路14’と圧電素子26とでブリッジ回路158を構成した場合、駆動回路14の場合と同様に圧電素子26には−Vp〜+Vpの電圧が印加されるので、圧電素子26の駆動電圧が等価的に2Vpとなる結果、駆動電源は低電圧であっても変位量の大きい駆動装置10を得ることができるという利点がある。
図12は、駆動回路14’の動作説明を行うための図で、図11に示す駆動回路14’を制御する制御回路157から出力されて各スイッチ素子Q1〜Q6に印加される駆動パルスと、圧電素子26に印加される駆動電圧の波形とを示す図である。なお、先の駆動回路14では、圧電素子26に矩形波からなる駆動電圧を印加することで係合部材30を移動するようにしたものであるが、この駆動回路14’では、圧電素子26に鋸歯形状の駆動電圧を印加することで係合部材30を移動するようにしたものである。すなわち、緩慢な立ち上がり部と急峻な立ち下がり部とを有する鋸歯形状の駆動電圧を印加することにより係合部材30を繰出方向に移動するようにし、急峻な立ち上がり部と緩慢な立ち下がり部とを有する鋸歯形状の駆動電圧を印加することにより係合部材30を戻り方向に移動するようにしている。
この図12に示すように、駆動装置10の駆動時であって係合部材30を繰出方向に移動させる場合では、制御回路157からハイレベルの駆動制御信号Sc1,Sc2がスイッチ素子Q1,Q2に入力されるとき、ローレベルの駆動制御信号Sc3,Sc4,Sc5,Sc6がスイッチ素子Q3,Q4,Q5,Q6に入力され、ローレベルの駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc4,Sc5がスイッチ素子Q1,Q2,Q4,Q5に入力されるとき、ハイレベルの駆動制御信号Sc3,Sc6がスイッチ素子Q3,Q6に入力される。
これらの駆動制御信号のうち、駆動制御信号Sc6は、駆動制御信号Sc3がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc2は、駆動制御信号Sc3がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに遅いタイミングでハイからローに切り替わるように設定されている。また、駆動制御信号Sc6は、駆動制御信号Sc3がハイからローに切り替わるときに同じタイミングでハイからローに切り替わり、駆動制御信号Sc2は、駆動制御信号Sc3がハイからローに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでローからハイに切り替わるように設定されている。
制御回路157から上記のような駆動制御信号が繰り返し出力されることにより、スイッチ素子Q1,Q6及びスイッチ素子Q2,Q3が所定の周期で交互にオン、オフを繰り返すことになる。すなわち、スイッチ素子Q1,Q6がオンのときには圧電素子26は+Vpに充電され、スイッチ素子Q2,Q3がオンのときには圧電素子26は−Vpに充電されることになる結果、圧電素子26には見掛け上電源電圧Vpの2倍(2Vp)の電圧が印加されたことになり、係合部材30の移動速度を速くすることができて駆動装置10を効果的に動作させることができる。なお、スイッチ素子Q1,Q6がオンのときには圧電素子26は緩やかに充電され、スイッチ素子Q2,Q3がオンのときには圧電素子26は急速に充電されることになる結果、係合部材30は繰出方向に移動する。
しかも、上記のように駆動制御信号Sc6は駆動制御信号Sc3がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc2は駆動制御信号Sc3がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに遅いタイミングでハイからローに切り替わるように設定される一方、駆動制御信号Sc6は駆動制御信号Sc3がハイからローに切り替わるときに同じタイミングでハイからローに切り替わり、駆動制御信号Sc2は駆動制御信号Sc3がハイからローに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでローからハイに切り替わるように設定されているので、スイッチ素子Q1,Q6の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間と、スイッチ素子Q2,Q3の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間との間に、スイッチ素子Q2,Q6の駆動により圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電期間が形成され、これにより消費電力が大幅に削減されることになる。従って、スイッチ素子Q2,Q6(すなわち、第2スイッチ回路152及び第6スイッチ回路156)は、それらが同時に駆動されるときには圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電回路を構成することになる。
すなわち、スイッチ素子Q2,Q3が共にオンになって圧電素子26に逆方向から駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=−VP)、スイッチ素子Q1,Q6が共にオンになる前にスイッチ素子Q2,Q6が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた−VPの電荷がスイッチ素子Q2,Q6を介して放電されることになる。そして、スイッチ素子Q1,Q6が共にオンになって圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=+VP)、スイッチ素子Q2,Q3が共にオンになる前にスイッチ素子Q2,Q6が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた+VPの電荷がスイッチ素子Q2,Q6を介して放電されることになる。
このように、スイッチ素子Q1,Q6の駆動期間とスイッチ素子Q2,Q3の駆動期間との間に、スイッチ素子Q2,Q6の駆動による放電期間が形成されることから、圧電素子26を+Vpに充電するときも−Vpに充電するときにも充電に必要な電荷を供給するだけでよいことから不要な電力消費を削減することができる。これに対し、このようなスイッチ素子Q2,Q6の駆動による放電期間を形成しないときには、圧電素子26の放電時にも圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されることから不要な電力を消費することになる。
また、図12に示すように、駆動装置10の駆動時であって係合部材30を戻り方向に移動させる場合では、制御回路157からローレベルの駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc5,Sc6がスイッチ素子Q1,Q2,Q5,Q6に入力されるとき、ハイレベルの駆動制御信号Sc3,Sc4がスイッチ素子Q3,Q4に入力され、ハイレベルの駆動制御信号Sc1,Sc5がスイッチ素子Q1,Q5に入力されるとき、ローレベルの駆動制御信号Sc2,Sc3,Sc4,Sc6がスイッチ素子Q2,Q3,Q4,Q6に入力される。
これらの駆動制御信号のうち、駆動制御信号Sc1は、駆動制御信号Sc5がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc3は、駆動制御信号Sc5がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでハイからローに切り替わるように設定されている。また、駆動制御信号Sc1は、駆動制御信号Sc4がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでハイからローに切り替わり、駆動制御信号Sc3は、駆動制御信号Sc4がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わるように設定されている。
制御回路157から上記のような駆動制御信号が繰り返し出力されることにより、スイッチ素子Q1,Q4及びスイッチ素子Q3,Q5が所定の周期で交互にオン、オフを繰り返すことになる。すなわち、スイッチ素子Q1,Q4がオンのときには圧電素子26は+Vpに充電され、スイッチ素子Q3,Q5がオンのときには圧電素子26は−Vpに充電されることになる結果、圧電素子26には見掛け上電源電圧Vpの2倍(2Vp)の電圧が印加されたことになり、係合部材30の移動速度を速くすることができて駆動装置を効果的に動作させることができる。なお、スイッチ素子Q1,Q4がオンのときには圧電素子26は急速に充電され、スイッチ素子Q3,Q5がオンのときには圧電素子26は緩やかに充電されることになる結果、係合部材30は戻り方向に移動する。
しかも、上記のように駆動制御信号Sc1は駆動制御信号Sc5がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わり、駆動制御信号Sc3は、駆動制御信号Sc5がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでハイからローに切り替わるように設定される一方、駆動制御信号Sc1は駆動制御信号Sc4がローからハイに切り替わるときにそれよりも僅かに速いタイミングでハイからローに切り替わり、駆動制御信号Sc3は、駆動制御信号Sc4がローからハイに切り替わるときに同じタイミングでローからハイに切り替わるように設定されているので、スイッチ素子Q1,Q4の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間と、スイッチ素子Q3,Q5の駆動期間である圧電素子26に対する充電期間との間に、スイッチ素子Q1,Q3の駆動により圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電期間が形成され、これにより消費電力が大幅に削減されることになる。従って、スイッチ素子Q1,Q3(すなわち、第1スイッチ回路152及び第3スイッチ回路153)は、それらが同時に駆動されるときには圧電素子26に充電されている電荷を放電させる放電回路を構成することになる。
すなわち、スイッチ素子Q1,Q4が共にオンになって圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=+VP)、スイッチ素子Q3,Q5が共にオンになる前にスイッチ素子Q1,Q3が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた+VPの電荷がスイッチ素子Q1,Q3を介して放電されることになる。そして、スイッチ素子Q3,Q5が共にオンになって圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されて充電が行われたあと(Vs=−VP)、スイッチ素子Q1,Q4が共にオンになる前にスイッチ素子Q1,Q3が共にオンになる期間が形成される。このとき、圧電素子26に充電されていた−VPの電荷がスイッチ素子Q1,Q3を介して放電されることになる。
このように、スイッチ素子Q1,Q4の駆動期間とスイッチ素子Q3,Q5の駆動期間との間に、スイッチ素子Q1,Q3の駆動による放電期間が形成されることから、圧電素子26を+Vpに充電するときも−Vpに充電するときにも充電に必要な電荷を供給するだけでよいことから不要な電力消費を削減することができる。これに対し、このようなスイッチ素子Q1,Q3の駆動による放電期間を形成しないときには、圧電素子26の放電時にも圧電素子26に駆動電圧Vpが印加されることから不要な電力を消費することになる。
なお、駆動部12は、図2に示すような素子固定式構造のものではなく、例えば、図13に示すような自走式構造のものであっても上記の駆動回路14,14’により駆動することができる。図13(a)は自走式構造の駆動部12の分解斜視図であり、図13(b)はその駆動部12の正面図である。
すなわち、この図13に示す駆動部12’は、位置固定される係合部材(ベース部材)40と移動部材42とから構成されている。係合部材40は、基板44と、基板44の略中央位置に所定の間隔をおいて対向配置され、板ばね等の弾性部材46,48により取り付けられた一対の狭持部材50,52と、基板44の左右両端部に取り付けられた一対のガイド部材54,56とを備えている。各ガイド部材54,56の外側面には、回転自在の複数のボール部材58,60が取り付けられている。
移動部材42は、駆動体63と、この駆動体63に一体に取り付けられた移動体65とから構成されている。駆動体63は、支持部材67、圧電素子69及び駆動部材71から構成されている。支持部材67は、圧電素子69及び駆動部材71を保持するものであり、直方体の軸方向両端部671,672及び略中央の仕切壁673を残して刳り貫くことにより形成された第1の収容空間674及び第2の収容空間675を有している。この第1の収容空間674には、圧電素子69がその伸縮方向を支持部材67の軸方向と一致させて収容されている。また、第2の収容空間675には、駆動部材71が軸方向に移動可能に収容されている。
圧電素子69は、図2に示す圧電素子26と同様に構成されたものであり、その伸縮方向(積層方向)である長手方向の一方端面が第1の収容空間674の一方端部671側端面に固着されている。駆動部材71は、支持部材67の左右両側に膨出する膨出部711が中央部に一体形成され、この膨出部711が第2の収容空間675に位置すると共に、仕切壁673に形成された貫通孔を介して第1の収容空間674内に突出した端部は圧電素子69の他方端面に固着され、支持部材67の他方端部672に形成された貫通孔を介して第2の収容空間675の外部に突出した端部は自由端とされている。
移動体65は、平板部651と、平板部651の左右両側に下方に伸びる側壁部652,653が形成されると共に、各側壁部652,653の内側に摺動部材654,655が形成されたもので、移動部材42における支持部材67の上面にねじ部材656により固定されている。
このように構成された移動部材42は、駆動部材71の膨出部711が係合部材40の一対の挟持部材50,52間に移動可能に挟持されることで係合部材40に組み付けられることになる。すなわち、係合部材40が図2の係合部材30に対応するものであり、この係合部材40が駆動部材71に対して所定の摩擦力で結合され、駆動部12’が構成されることになる。
この駆動部12’では、駆動回路14,14’から例えば図4(a)に示す波形を有する駆動電圧が印加されて圧電素子69が緩やかに伸長すると、駆動部材71が静止した状態で支持部材67が係合部材40の一方側に移動し、その後に圧電素子69が急激に縮小すると、支持部材67が静止した状態で駆動部材71が狭持部材50,52による摩擦力に打ち勝って係合部材40の一方側に移動する。この繰り返し動作により支持部材67が移動体65と共に、係合部材40の一方側に間欠的に移動することになる。
また、駆動回路14,14’から例えば図4(b)に示す波形を有する駆動電圧が印加されて圧電素子69が急激に伸長すると、支持部材67が静止した状態で駆動部材71が狭持部材50,52による摩擦力に打ち勝って係合部材40の他方側に移動し、その後に圧電素子69が緩やかに縮小すると駆動部材71が静止した状態で支持部材67が係合部材40の他方側に移動する。この繰り返し動作により支持部材67が移動体65と共に、係合部材40の他方側に間欠的に移動することになる。
以上のように、本発明の実施形態に係る駆動装置10は、駆動回路14,14’が、圧電素子26にその一方側から駆動電圧を印加して充電する第1の駆動回路と、圧電素子26にその他方側から駆動電圧を印加して充電する第2の駆動回路と、各駆動回路により圧電素子26に充電された電荷を放電する放電回路とを備え、駆動制御手段は第1の駆動回路と第2の駆動回路とを交互に駆動させると共に、第1の駆動回路の駆動期間と第2の駆動回路の駆動期間との間に放電回路を駆動するようにしているので、圧電素子26を+Vpに充電するときも−Vpに充電するときにも充電に必要な電荷を供給するだけでよいことから駆動回路の複雑化等を招くことなく、消費電力を可及的に抑制して電池電源で有効に駆動することができるようになる。
なお、本発明は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、種々の変形態様を採用することができる。例えば、図3に示す駆動回路14の場合では、スイッチ素子Q2,Q4と大地との間に所定の抵抗値を有する抵抗素子を接続するようにしたり、図11に示す駆動回路14’の場合では、第5スイッチ回路155及び第6スイッチ回路156を除去する一方、スイッチ素子Q2,Q4と大地との間に所定の抵抗値を有する抵抗素子を接続するようにしたりすることができる。