JP2010104088A - 整流制御装置、全波整流回路、受電装置、電子機器、無接点電力伝送システムおよび整流制御方法 - Google Patents

整流制御装置、全波整流回路、受電装置、電子機器、無接点電力伝送システムおよび整流制御方法 Download PDF

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孝志 青山
Takeshi Yoneyama
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Abstract

【課題】 最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御すること。
【解決手段】 同期整流素子部と平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗RCを有する全波整流回路における、複数の同期整流素子のオン/オフを制御する整流制御装置は、複数の同期整流素子のうちの少なくとも一つのオン/オフを、少なくとも一つのオン/オフ制御信号によって制御するタイミング制御回路200を含み、タイミング制御回路200は、全波整流回路に入力される交流電圧が第1極性であるか第2極性であるかを検出する極性検出回路54と、電流検出抵抗RCに流れる電流の電流方向を検出する電流方向検出回路50と、電流方向検出回路50から出力される電流方向検出信号VC03と、極性検出回路54から出力される極性検出信号VC01(VC02)に基づいて、少なくとも一つのオン/オフ制御信号TGnを出力する出力回路56と、を含む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、整流制御装置、全波整流回路、受電装置、電子機器、無接点電力伝送システムおよび整流制御方法等に関する。
全波整流回路は一般に、同期整流素子部(整流ブリッジ)と、平滑コンデンサとにより構成される。整流方式としては、ダイオード整流方式と、同期整流方式とがある。
ダイオード整流方式は、複数のダイオード(例えば、PN接合ダイオード)を用いて構成される同期整流素子部(整流ブリッジ)により、交流電圧を整流電圧(直流電圧)に変換する方式である。但し、ダイオード整流方式の場合、ダイオードに順方向電圧が発生し、ダイオード損失が生じる。
同期整流方式は、ダイオードの代わりに、低損失の能動素子(例えばパワーMOSFET)を使用すると共に、例えば、タイミング制御回路(制御IC等)が、その能動素子のオン/オフを適切なタイミングで切り換える。同期整流方式では、パワーMOSFETの他、例えば、パワー系バイポーラトランジスタを使用する場合もあり得る。
本明細書では、同期整流方式を実現するために使用される能動素子を、「同期整流素子」という。低損失であり、かつ、制御信号を制御ノードに入力することによってオン/オフを制御することが可能な能動素子であれば、その種類は問わない。なお、MOSFETの場合、ゲートが制御ノードであり、バイポーラトランジスタの場合、ベースが制御ノードである。但し、MOSFET(パワーMOSFET)は、省電力性に優れ、耐圧も高いため、同期整流素子として適している。
パワーMOSFETを用いた同期整流方式の整流回路は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される整流回路では、同期整流素子のオン/オフ制御のために電流検出用トランスを設ける例(特許文献1の図3に記載される例)、ならびに電流検出抵抗を設ける例(特許文献1の図6および図1に記載される例)が示されている。
特開平10−164837号公報
特許文献1に記載される、同期整流素子のオン/オフ制御のために電流検出用トランスを設ける例(特許文献1の図3の例)では、電流検出用トランスを設ける必要があることから、システムの全体構成が複雑化する。
また、特許文献1に記載される、電流検出抵抗を設ける例(特許文献1の図6および図1に記載される例)では、電流検出抵抗の一端の電圧を、コンパレータによって基準電圧と比較し、コンパレータの出力信号によって、同期整流素子のオン/オフを制御している。
この例では、電流検出抵抗に流れる電流の電流量が、基準電圧値に相当する電流値よりも増大すると同期整流素子をオンさせ、基準電圧値に相当する電流値よりも減少すると同期整流素子をオフさせる。しかし、この技術には、以下の(1)〜(3)に示すような改善すべき点がある。
(1)電流検出用抵抗を流れる電流が減少している過程で同期整流素子がオフする。そのオフタイミングが早すぎると(タイミングの判断の基準時点は、例えば、平滑コンデンサに蓄積されている電荷の逆流開始時点)、給電時間が短くなり、整流回路のエネルギー効率が低下する。
(2)電流検出用抵抗を流れる電流の電流量は、負荷の軽重によって変動する。よって、コンパレータの基準電圧の最適設計がむずかしい場合がある。
(3)トランスに流れる電流の方向(第1方向、第2方向)は周期的に反転する。特許文献1の技術の場合、図1に示されるように、第1の方向の電流を検出するための電流検出抵抗および検出回路と、第2の方向の電流を検出するための電流検出抵抗および検出回路を別個に設ける必要がある。よって、回路構成が複雑化し、システムの占有面積の増大、消費電力の増大等の一因となる。
また、整流回路に入力される交流電圧にはノイズが重畳されるため、同期整流素子の、より正確なオン/オフ制御のためにはノイズ対策が必要となる。
また、例えば、無接点電力伝送システムの受電装置に整流回路が設けられる場合、無接点電力伝送システムでは高い伝送効率が求められることから、整流回路の損失の低減やエネルギー効率の改善は極めて重要な課題となる。したがって、従来にない、より高精度な同期整流素子のタイミング制御を実現することが重要である。
本発明の幾つかの態様によれば、例えば、シンプルな回路構成を用いて、最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御することができる。また、例えば、負荷の軽重を考慮した最適設計を容易に行うことができる。また、例えば、ノイズに影響されることなく、高精度の同期整流素子のオン/オフのタイミング制御が可能となり、整流回路の損失や発熱の低減、ならびにエネルギー効率の改善を図ることができる。
(1)本発明の整流制御装置の一態様は、複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、を含む全波整流回路における、前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御する整流制御装置であって、前記複数の同期整流素子のうちの少なくとも一つのオン/オフを、少なくとも一つのオン/オフ制御信号によって制御するタイミング制御回路を含み、前記タイミング制御回路は、前記全波整流回路に入力される交流電圧が第1極性であるか第2極性であるかを検出する極性検出回路と、前記電流検出抵抗に流れる電流の電流方向を検出する電流方向検出回路と、前記電流方向検出回路から出力される電流方向検出信号と、前記極性検出回路から出力される極性検出信号とに基づいて、前記少なくとも一つのオン/オフ制御信号を出力する出力回路と、を含む。
全波整流回路に入力される交流電圧の極性は周期的に反転するため、交流電圧の極性に応じて、オンさせる同期整流素子を切り換え、交流電圧の極性に応じた電流経路を経由して電流を流す必要がある。同期整流素子がオンしている時間が短い場合は、低損失の同期整流素子を経由して供給できる電流量減少すると共に、同期整流素子がオフしている期間におけるボディダイオードによる損失が発生し、全波整流回路のエネルギー効率が低下する。その一方、例えば交流電圧の極性が切り換った後も同期整流素子をオンし続けた場合には、平滑コンデンサに蓄積されている電荷が放電して(すなわち逆流が生じて)、全波整流回路のエネルギー効率が低下する。したがって、同期整流素子は、できるだけ長くオンさせて低損失の同期整流素子を経由して多くの電流を流し、一方で、平滑コンデンサに蓄積されている電荷の逆流は確実に防止する(最小限化する)必要があり、きわめて高精度かつ最適な同期整流素子のオン/オフ制御が求められる。
本態様では、タイミング制御回路は、同期整流素子部と平滑コンデンサとの間に設けられる電流検出抵抗(電流方向検出抵抗ということもできる)に流れる電流の電流方向を検出して電流検出方向信号を生成し、また、交流電圧の極性を検出して極性検出信号を生成し、各検出信号に基づいて、少なくとも一つの同期整流素子のオン/オフ制御信号を生成する。
電流検出抵抗は、同期整流素子部と平滑コンデンサとの間に設けられるため、平滑コンデンサの近傍に配置することができ、平滑コンデンサに蓄積されている電荷の逆流を迅速、かつ確実に検出することができる。そして、電流検出抵抗における現実の電流の向きの逆転(逆流開始)を電流方向検出回路によって検出し、逆流が検出されたときに、例えば、オンしている同期整流素子をただちにオフすることができる。このようなオン/オフ制御によって、同期整流素子は、逆流開始時点までオンさせておくこと(同期整流素子を可能なかぎり長くオンさせておくこと)ができ、低損失の同期整流素子を経由して最大量の電流を流すことができる。その一方、上述のとおり、平滑コンデンサに蓄積されている電荷の逆流が開始されると、そのことを迅速に検出し、ただちにオンしている同期整流素子をオフさせることができるため、平滑コンデンサからの放電は一瞬で止まり、よって、逆流に起因するエネルギー効率の低下はほとんど発生しない。また、交流電圧が第1極性である場合、あるいは第2極性である場合の各々において、電流の逆流が検出されるとオン状態の同期整流素子をオフするという設計思想を採用するため、交流電圧の極性にかかわらず、電流検出抵抗を共通化することができる(電流検出抵抗は、基本的には一つ設ければよいことになる)。よって、従来技術に比べて、回路構成の簡素化を図ることができ、回路の専有面積や消費電力の削減が可能である。
また、上述のとおり、交流電圧の極性に応じて、オンさせる同期整流素子を切り換え、交流電圧の極性に応じた電流経路を経由して電流を流す必要があるため、複数の同期整流素子のうちのどの同期整流素子をオフさせ、どの同期整流素子をオンさせるかを決定するためには、交流電圧の極性状態を検出(判定)する必要がある。そこで、本態様では、極性検出回路によって、交流電圧の極性を検出する。そして、電流方向検出回路によって、逆流が検出されると、交流電圧の極性に対応する、少なくとも一つのオン状態の同期整流素子をオフさせ、かつ少なくとも一つのオフ状態の同期整流素子をオンさせる。これによって、最適なタイミングで、同期整流素子をオン/オフさせることができ、全波整流回路の損失や発熱の低減、ならびにエネルギー効率の改善を図ることができる。
また、回路構成が簡単であるため、回路の専有面積や消費電力を抑制することができる。したがって、シンプルな回路構成を用いて、最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御することができる。
(2)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記同期整流素子部には、第1の同期整流素子および第2の同期整流素子が含まれ、前記第1の同期整流素子は、前記出力回路から出力される第1のオン/オフ制御信号によってオン/オフが制御され、前記第2の同期整流素子は、前記出力回路から出力される第2のオン/オフ制御信号によってオン/オフが制御され、前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが、前記平滑コンデンサを充電するための第1方向から、前記第1方向とは逆向きの第2方向に変化したとき、前記第1のオン/オフ制御信号または前記第2のオン/オフ制御信号のいずれか一方の電圧レベルがアクティブレベルから非アクティブレベルに変化し、他方の電圧レベルがアクティブレベルから非アクティブレベルに変化する。
上述のとおり、本態様では、電流方向の逆転(平滑コンデンサの蓄積電荷の逆流)を予測するのではなく、実際に検出し、その検出結果に基づいて同期整流素子をオフさせるため、低損失の同期整流素子を可能な限り長くオンさせることができ、かつ、逆流が生じたときに直ちにオン状態の同期整流素子をオフさせることができるため、最も効率的な同期整流素子のオン/オフ制御が可能となる。
(3)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記電流検出抵抗は第1ノードと第2ノードとの間に接続されており、前記電流方向検出回路は、前記第1ノードの第1電圧と前記第2ノードの第2電圧とを比較する第1のコンパレータ回路を有する。
本態様では、電流方向の検出のために、電流検出抵抗(電流方向検出抵抗)の両端のノード(第1ノードと第2ノード)の各々の電圧(両ノードの電位差)を、コンパレータによって検出する。したがって、簡単な回路によって電流方向を検出することができる。また、例えば、第1ノードおよび第2ノードの電圧を差動アンプで増幅した後にコンパレータで比較する構成を採用することによって、より高精度な電流方向の検出が可能である。また、例えば、ノイズフィルタを設けて、第1ノードおよび第2ノードの電圧に重畳するノイズを除去した後にコンパレータによる検出を行うことによって、より高精度な検出が可能となる。
(4)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記第1のコンパレータ回路は第1のヒステリシスコンパレータを有し、前記第1のヒステリシスコンパレータの閾値電圧は、前記第1のヒステリシスコンパレータの出力信号の電圧レベルが第1レベルのときは第1の閾値電圧であり、前記第1のヒステリシスコンパレータの出力信号の電圧レベルが第2レベルのときは第2の閾値電圧である。
ヒステリシスコンパレータを利用することによって、ノイズに対応して、コンパレータ出力が瞬時的に変動するような事態を防止することができ、よって、電流方向の検出精度の低下を防止することができる。
(5)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記第1のヒステリシスコンパレータを有する前記タイミング制御回路は、前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが前記第1方向から前記第2方向に変化したときは、前記同期整流素子部における、オン状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をただちにオフし、かつ、前記同期整流素子部における、オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子のボディダイオードを経由して前記第1方向に流れる電流の電流量が、所与の電流値に達したときに、前記オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をオン状態として、前記ボディダイオードを経由した給電から同期整流素子を経由した給電に切り換える制御を実行する。
本態様では、電流方向の検出のためにヒステリシスコンパレータを採用し、これによって、同期整流素子のターンオフおよびターンオンのための基準(リファレンス電圧)にオフセットを設ける。これによって、ノイズに強い回路を構築することができ、また、柔軟かつ最適なタイミング制御が可能となる。すなわち、逆流が検出されたときに、直ちにオン状態の同期整流素子をオフできるようにヒステリシスコンパレータのヒステリシス(オフセット)を設定する。これによって、逆流は一瞬で止まり、エネルギー効率の低下はほとんど生じない。また、オン状態の同期整流素子をオフさせることによって全同期整流素子がオフ状態になった後、第1方向に流れる電流量が増大して所定値に達したときに、交流電圧の極性に対応した同期整流素子をオンさせるようにヒステリシスコンパレータのヒステリシス(オフセット)を設定する。このように、同期整流素子のターンオフおよびターンオンの基準にオフセットを設けることによって、例えば、瞬時的なノイズによって同期整流素子のオン/オフが繰り返されるような不都合な事態が生じる可能性を低減することができる。
さらに、全波整流回路の負荷の軽重を考慮して、ヒステリシスコンパレータにおけるヒステリシス幅を最適化することによって、例えば、負荷が軽く、電流量が小さいときには、同期整流素子をオンさせずに、ボディダイオードを経由した給電のみを実行させる、というような制御が可能となる。すなわち、同期整流素子をオン/オフさせる場合、ある程度のスイッチングロスが生じる。負荷が軽く、電流量が小さい場合には、同期整流素子をオン/オフさせてスイッチングロスを生じさせるよりも、ボディダイオードを経由した通電を行う方が効率的である。すなわち、電流量が小さいときは、ボディダイオードによる損失よりも同期整流素子のオン/オフによるスイッチングロスが顕在化する場合があり、この場合には、同期整流素子のオン/オフを無理に行う必要がない。負荷が軽く、電流量が小さいために、最大電流が流れた場合でも、電流検出抵抗の両端(第1ノードと第2ード)間の電位差が、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を超えないときは、同期整流素子はオンせず、すべての同期整流素子がオフした状態が継続され、その期間においては、ボディダイオードを経由して効率的な給電が自動的に実行される。
このように、負荷の負荷状態を予め考慮して、ヒステリシス幅を最適化しておくことによって、例えば、負荷が重いときは、低損損失の同期整流素子を最大時間オンさせて多くの電流を流し、負荷が中程度の場合は、同期整流素子のオン時間が負荷状態に応じて短縮され、負荷が軽い場合には、同期整流素子がオンせず、代わりにボディダイオードを経由した通電を行う、といった柔軟で効率的な制御を、自動的に実現することも可能である。また、ヒステリシスコンパレータのオフセット量を調整することによって、同期整流素子のオン時間を微調整することもでき、これによって、設計の自由度が向上する。
(6)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記極性検出回路は、前記交流電圧と、前記全波整流回路から出力される整流電圧または前記同期整流素子部の基準電圧とを比較して前記極性検出信号を出力する、少なくとも一つの第2のコンパレータ回路を有する。
本態様では、極性検出回路は、同期整流素子の両端の電位差(入力される交流電圧と、整流電圧または基準電圧との電位差)を検出して、交流電圧の極性(正極性であるか負極性であるか)を検出する。この場合、交流電圧の極性の正確な検出が可能である。
(7)本発明の同期整流制御装置の他の態様では、前記全波整流回路には、前記交流電圧の電圧源としてのコイルが接続されており、前記極性検出回路は、前記コイルの第1の端部の電圧と前記コイルの第2の端部の電圧とを比較して、前記極性検出信号を出力する、少なくとも一つの第3のコンパレータ回路を有する。
本態様では、極性検出回路は、交流電圧の電圧源として機能するコイルの両端の電位差を検出して、交流電圧の極性を検出する。この場合、交流電圧の極性を検出するための回路構成を簡素化することが可能である。
(8)本発明の整流制御装置の他の態様では、前記タイミング制御回路は、前記全波整流回路から出力される整流電圧が所与の電圧レベル以上になるまで、前記少なくとも一つのオン/オフ制御信号の各々を非アクティブレベルに維持する出力保証回路を、さらに有する。
整流制御装置に含まれるタイミング制御回路が、全波整流回路から得られる整流電圧を電源電圧として動作する場合がある。例えば、全波整流回路および整流制御装置が、無接点電力伝送システムの受電装置に設けられる場合、整流制御装置は、全波整流回路の整流電圧を電源電圧として動作する。この場合、電源電圧としての整流電圧の電圧レベルが所与の電圧レベルに達しない期間においてタイミング制御回路を動作させると、不十分な電源電圧に起因して回路動作が不安定となり、正常な、同期整流素子のオン/オフ制御ができない場合が生じ得る。例えば、第1および第2の同期整流素子が同時にオンして大きな貫通電流が流れて、全波整流回路のエネルギー効率が低下し、あるいは、素子の破損が生じるような事態が生じ得る。
そこで、本態様では、タイミング制御回路において、出力保証回路を設ける。出力保証回路は、タイミング制御回路から出力される同期整流素子のオン/オフ制御信号が、正常な制御電圧であることを保証する働きをする。よって、整流制御装置による同期整流素子の制御の信頼性が向上する。
(9)本発明の整流制御装置の他の態様では、前記整流制御装置は、前記同期整流素子部を含む。
本態様では、整流制御装置は、タイミング制御回路のみならず、同期整流素子部(整流ブリッジ)も内蔵する。例えば、同期整流素子部(整流ブリッジ)を比較的低耐圧のトランジスタで構成することができる場合には、同期整流素子部(整流ブリッジ)を整流制御装置(IC)に内蔵することが可能であり、これによって、無接点電力伝送システムの受電装置における部品点数を削減することができる。
(10)本発明の全波整流回路の他の態様では、複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御するための、上記いずれかに記載の整流制御装置と、を含む。
本態様によれば、同期整流素子のオン/オフを適切なタイミングで制御することができ、例えば、ボディダイオードによる損失を低減できる。また、平滑コンデンサに蓄積されている電荷の逆流を効果的に防止することができる。よって、低損失かつエネルギー効率の高い、同期整流方式の全波整流回路を実現することができる。
(11)本発明の電子機器の一態様は、上記いずれかの整流制御装置を含む。
これによって、電子機器(例えば、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なコンピュータ端末等を含む))に搭載される電源回路の損失が低減される。よって、電子機器の電源回路のエネルギー効率が向上する。
(12)本発明の電子機器の他の態様は、上記の全波整流回路を含む。
これによって、電子機器(例えば、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なコンピュータ端末等を含む))に搭載される電源回路の損失が低減される。よって、電子機器の電源回路のエネルギー効率が向上する。
(13)本発明の受電装置の一態様は、2次コイルと、複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、を含む全波整流回路と、前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御するための、上記いずれかの整流制御装置と、前記全波整流回路から得られる整流電圧に基づく、給電対象の負荷への給電を制御するための給電制御部と、を有する。
本態様の受電装置は、同期整流方式の全波整流回路と、整流制御装置と、給電制御部と、を有する。全波整流回路から出力される整流電圧によって受電装置が動作し、給電対象の負荷(例えば、2次電池)に電力が供給される。本態様によれば、全波整流回路における損失が少なく、発熱が低減され、かつ、高いエネルギー効率が実現されるため、無接点電力伝送システムの伝送効率が格段に向上する。
(14)本発明の無接点電力伝送システムの一態様では、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて、送電装置から上記の受電装置に対して電力を伝送する。
本態様の無接点電力伝送システムによれば、受電装置に設けられる全波整流回路における損失が少なく、発熱が低減され、かつ、高いエネルギー効率が実現されるため、無接点電力伝送システムの伝送効率が格段に向上する。
(15)本発明の整流制御方法の一態様では、複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサとの間の電流検出抵抗に流れる電流の方向を検出し、前記電流の方向が前記平滑コンデンサを充電する方向である第1方向から前記第1方向とは逆方向である第2方向に変化したとき、前記同期整流制御素子部における少なくとも一つの同期整流素子のオンオフを前記電流が前記第1方向になるように制御する。
本態様の整流制御方法によれば、電流方向の逆転(平滑コンデンサの蓄積電荷の逆流)を予測するのではなく、実際に検出し、その検出結果に基づいて同期整流素子をオフさせるため、低損失の同期整流素子を可能な限り長くオンさせることができ、また、逆流が検出されると、直ちにオン状態の同期整流素子をオフさせることができ、したがって、最も効率的な同期整流素子のオン/オフ制御が可能となる。
(16)本発明の整流制御方法の他の態様では、前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが前記第1方向から前記第2方向に変化したときは、前記同期整流素子部における、オン状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をただちにオフし、かつ、前記同期整流素子部における、オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子のボディダイオードを経由して前記第1方向に流れる電流の電流量が、所与の電流値を超えたときに、前記オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をオン状態とする。
逆流が検出されたときに、直ちにオン状態の同期整流素子をオフすることによって、逆流によるエネルギー効率の低下を最小限化することができる。また、同期整流素子のターンオンの基準にオフセットを設けることによって、例えば、瞬時的なノイズによって同期整流素子のオン/オフが繰り返されるような不都合な事態が生じる可能性を低減することができる。
さらに、全波整流回路の負荷の軽重を考慮して、ヒステリシスコンパレータにおけるヒステリシス幅を最適化することによって、例えば、負荷が軽く、電流量が小さいときには、同期整流素子をオンさせずに、ボディダイオードを経由した給電のみを実行させる、というような制御が可能となる。すなわち、同期整流素子をオン/オフさせる場合、ある程度のスイッチングロスが生じる。負荷が軽く、電流量が小さい場合には、同期整流素子をオン/オフさせてスイッチングロスを生じさせるよりも、ボディダイオードを経由した通電を行う方が効率的である。すなわち、電流量が小さいときは、ボディダイオードによる損失よりも同期整流素子のオン/オフによるスイッチングロスが顕在化する場合があり、この場合には、同期整流素子のオン/オフを無理に行う必要がない。負荷が軽く、電流量が小さいために、最大電流が流れた場合でも、電流検出抵抗の両端間の電位差が、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を超えないときは、同期整流素子はオンせず、すべての同期整流素子がオフした状態が継続され、その期間においては、ボディダイオードを経由して効率的な給電が自動的に実行される。
このように、負荷の負荷状態を予め考慮して、ヒステリシス幅を最適化しておくことによって、例えば、負荷が重いときは、低損損失の同期整流素子を最大時間オンさせて多くの電流を流し、負荷が中程度の場合は、同期整流素子のオン時間が負荷状態に応じて短縮され、負荷が軽い場合には、同期整流素子がオンせず、代わりにボディダイオードを経由した通電を行う、といった柔軟で効率的な制御を自動的に実現することも可能である。また、ヒステリシスコンパレータのオフセット量を調整することによって、同期整流素子のオン時間を微調整することもでき、これによって、設計の自由度が向上する。
このように、本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、例えば、シンプルな回路構成を用いて、最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御することができる。また、例えば、負荷の軽重を考慮した最適設計を容易に行うことができる。また、例えば、ノイズに影響されることなく、高精度の同期整流素子のオン/オフのタイミング制御が可能となり、整流回路の損失や発熱の低減、ならびにエネルギー効率の改善を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
まず、全波整流回路の回路構成の一例について説明する。
(全波整流回路の構成例)
図1(A)〜図1(C)は、同期整流方式の全波整流回路ならびに整流制御装置の構成の一例について説明するための図である。
図1(A)において、1次コイルL1ならびに2次コイルL2はトランスを構成する。全波整流回路150は、同期整流方式の全波整流回路であり、少なくとも一つの同期整流素子を含む同期整流素子部(整流ブリッジ)100と、電流検出抵抗RCと、平滑コンデンサC1と、を有する。この全波整流回路150は、2次コイルL2のコイル端(ノードNXおよびノードNY)に入力される交流電圧を整流して、整流電圧(略直流の電圧)Voutに変換する。なお、整流電圧Voutは、負荷LQに供給される。電流検出抵抗RCは、同期整流素子部(整流ブリッジ)100と平滑コンデンサC1との間に設けられている。
また、整流制御装置(例えば整流制御IC)250は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100を構成する少なくとも一つの同期整流素子のオン/オフのタイミングを制御する。この整流制御装置250は、少なくともタイミング制御回路200を有する。
タイミング制御回路200には、コイル端(ノードNX)に入力される交流電圧VC1と、コイル端(ノードNY)に入力される交流電圧VC2と、整流電圧Vout(ノードNZの電圧)と、電流検出抵抗RCの両端の電圧Vsn,Vspが入力される。また、タイミング制御回路200は、同期整流素子のオン/オフ制御信号(タイミング制御信号)TGn(nは1〜4のいずれか)を生成する。このオン/オフ制御信号TGnによって、同期整流素子部(整流ブリッジ)100に含まれる同期整流素子のオン/オフのタイミングが制御される。
図1(B)は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100の回路構成の一例を示す図である。図1(B)の同期整流素子部(整流ブリッジ)100は、同期整流素子としてのNMOSトランジスタ(M1〜M4)によって構成される。但し、この回路構成は一例であり、この構成に限定されるものではない。同期整流素子部(整流ブリッジ)100は、少なくとも一つの同期整流素子を含む同期整流要素回路である。
同期整流素子部(整流ブリッジ)100の第1ノードN1には、交流電圧VC1が入力され、第2ノードN2には、交流電圧VC2が入力される。交流電圧VC1の電圧極性(つまり、正極性であるか負極性であるか)は、交流電圧VC2の電圧極性とは反対である。また、同期整流素子部(整流ブリッジ)100の第3ノードN3からは整流電圧(直流電圧)Voutが得られる。また、第4ノードN4は、基準電位VSS(例えばGND)に接続される。
また、同期整流素子部(整流ブリッジ)の第1ノードN1と第3ノードN3との間に第1の同期整流素子(NMOSトランジスタ)M1が接続され、第2ノードN2と第3ノードN3との間に第2の同期整流素子(NMOSトランジスタ)M2が接続され、第1ノードN1と第4ノードN4との間に第3の同期整流素子(NMOSトランジスタ)M4が接続され、第2ノードN2と第3ノードN3との間に第4の同期整流素子(NMOSトランジスタ)M4が接続されている。
第1の同期整流素子M1のソース・ドレイン間には、第1ノードN1から第3ノードN3に向かう方向を順方向とするボディダイオード(寄生ダイオード)DP1が接続される。同様に、第2の同期整流素子M2のソース・ドレイン間には、第2ノードN2から第3ノードN3に向かう方向を順方向とするボディダイオード(寄生ダイオード)DP2が接続される。同様に、第3の同期整流素子M3のソース・ドレイン間には、第4ノードN4から第1ノードN1に向かう方向を順方向とするボディダイオード(寄生ダイオード)DP3が接続される。同様に、第4の同期整流素子M4のソース・ドレイン間には、第3ノードN3から第2ノードN2に向かう方向を順方向とするボディダイオード(寄生ダイオード)DP4が接続される。
図1(C)は、同期整流素子としてのNMOSトランジスタのデバイス構造を示す断面図である。NMOSトランジスタは、縦型のパワートランジスタであり、ドレイン電極1(D)と、ドレインを構成するN層2およびN層3と、Pウエル4と、ソースを構成するN層5と、ゲート絶縁膜6と、ポリシリコンゲート7(G)と、保護膜8と、ソース電極9(S)と、により構成される。
なお、同期整流素子は、能動素子からなる低損失のスイッチング素子であり、上述のように、同期整流素子としてMOSFETを使用することができるが、場合によっては、バイポーラトランジスタやその他の能動素子を使用する場合もあり得る。なお、本明細書においては、同期整流方式の「同期」という文言には特別な意味はなく、能動素子を適切なタイミングでスイッチング制御して、交流電圧を整流電圧に変換する整流方式は、すべて同期整流方式ということができる。
また、同期整流方式の同期整流素子部(整流ブリッジ)の構成としては、同期整流素子部(整流ブリッジ)を構成する第1〜第4の整流素子の全部を同期整流素子とする構成と、第1〜第4の整流素子の一部のみを同期整流素子とし、残りの整流素子としてダイオード(MOSダイオードならびにPN接合ダイオードを含む)を使用する構成とがある。整流回路における損失を低減するためには、第1〜第4の整流素子の全部を同期整流素子とするのが望ましい。
一方、第1〜第4の整流素子のうちの一部をダイオードした場合、同期整流素子のようにオン/オフ制御が不要となって、タイミング制御回路の負担が軽減される。また、交流電圧の極性が反転すれば、ダイオードが逆バイアスされて、平滑コンデンサに蓄積された電荷の逆流が自動的に阻止されるという利点もある。
同期整流素子部(整流ブリッジ)は、少なくとも第1および第2の整流素子(M1,M2)が同期整流素子で構成されるのが望ましい。すなわち、整流回路のエネルギー効率を向上させるという観点からは、少なくとも、平滑コンデンサC1に接続される第1および第2の整流素子(M1,M2)を同期整流素子で構成して、各同期整流素子のオン/オフを適切に制御することが望ましい。
(電流検出抵抗の配置の例)
図2は、電流検出抵抗の配置の例を示す図である。電流検出抵抗は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100と、平滑コンデンサC1との間に設けられる。
電流検出抵抗RCは、給電経路上の、同期整流素子部100の第3ノードN3とノードNPとの間に設けられている。電流検出抵抗RDは、ノードNPと平滑コンデンサC1との間に設けられている。電流検出抵抗REは、ノードNRと平滑コンデンサC1との間に設けられている。電流検出抵抗REは、接地線(基準電位線)上の、同期整流素子部100の第4ノードN4とノードNRとの間に設けられている。
いずれか一つの電流検出抵抗(RC〜RF)が設けられればよいが、2つ以上の電流検出抵抗を設けることもできる。電流検出抵抗の配置位置の決定に関しては、平滑コンデンサC1に蓄積されている電荷の逆流を迅速に検出するという観点から、電流検出抵抗は、平滑コンデンサC1の近くに配置することが好ましい。また、平滑コンデンサC1が外付けのコンデンサである場合が多いことを考慮して、配置が容易である適切な位置を選ぶことが好ましい。また、負荷電流が流れる経路上における、実際の電流の逆流を検出するという観点からすると、給電経路上に電流検出抵抗RCを設けること、あるいは、基準電位線(接地線)上に電流検出抵抗RFを設けることが好ましい。
(同期整流素子のオン/オフ制御の原理)
図3(A)〜図3(C)は、同期整流素子のオン/オフ制御の原理を説明するための図である。図3(A)ならびに図3(C)では、交流電圧の極性が第1極性であるときの、第1方向(平滑コンデンサC1を充電する方向)の電流IL1の電流経路を、実線の矢印で示している。また、図3(B)では、第1方向とは逆向きの第2方向の電流(逆流電流)IL1の向きを点線の矢印で示している。
図3(A)に示すように、第1方向の電流IL1が流れているときは、電圧降下によって、電流検出抵抗RCの左端ノードNQ1の電位Vsnは、右端ノードNQ2の電位Vspよりも高い。次に、平滑コンデンサC1への充電が十分になると、図3(B)に示すように、電流の逆流が開始される。電流の逆流は、例えば、コイルL2の両端から得られる交流電圧の極性が反転する前に開始される。図3(B)では、電流IL2が、第1方向とは逆向きの第2方向に流れる。図3(B)においては、電流検出抵抗RCの左端ノードNQ1の電位Vsnは、右端ノードNQ2の電位Vspよりも低くなる。上述のとおり、電流検出抵抗RCは、同期整流素子部100と平滑コンデンサC1との間に設けられており、平滑コンデンサC1の近傍に配置することができることから、平滑コンデンサC1に蓄積されている電荷の逆流(電流方向が、第1方向から第2方向に反転したこと)を迅速、かつ確実に検出することができる。
したがって、電流検出抵抗RCにおける現実の電流の向きの逆転(逆流開始)を電流方向検出回路(図3では不図示)によって検出し(ステップS1)、逆流が検出されたときに、同期整流素子の切り換え制御を実行し(ステップS2)、例えば、オンしている同期整流素子をただちにオフする。また、オフ状態であった同期整流素子をオン状態とさせる。同期整流素子のオンタイミングは、ヒステリシスコンパレータのオフセット量を調整することによって、最適化することができる。これによって、図3(C)に示すように、電流経路が切り換えられる(ステップS3)。図3(C)では、電流検出抵抗RCにおいて、第1方向に電流IL3が流れる。
このような、逆流開始を検出して同期整流素子をオン/オフする制御方式を採用することによって、同期整流素子は、逆流開始時点までオンさせておくこと(同期整流素子を可能なかぎり長くオンさせておくこと)ができ、低損失の同期整流素子を経由して最大量の電流を流すことができる。その一方、上述のとおり、平滑コンデンサC1に蓄積されている電荷の逆流が開始されると、そのことを迅速に検出し、ただちにオンしている同期整流素子をオフさせることができるため、平滑コンデンサC1からの放電は一瞬で止まり、よって、逆流に起因するエネルギー効率の低下はほとんど発生しない。
図4(A)〜図4(C)は、タイミング制御回路の構成と動作の一例を説明するための図である。図4(A)に示すように、タイミング制御回路200は、電流が第1方向DR1に流れているのか、第2方向DR2に流れているのかを検出(判定)するために、電流方向検出回路50を有している。電流方向検出回路50は、例えば、電流検出抵抗RCの両端のノードNQ1,NQ2の各々の電圧Vsn,Vspを検出するためのコンパレータ回路(好ましくは、ヒステリシスコンパレータ回路)52を有する。共通の電流検出抵抗RCを用いるため、コンパレータ回路(好ましくは、ヒステリシスコンパレータ回路)52も一つ設ければよく、回路構成を簡素化することができる。
また、同期整流素子部100に入力する交流電圧(VC1,VC2)の極性に応じて、オンさせる同期整流素子を切り換え、交流電圧の極性に応じた電流経路を経由して電流を流す必要がある。複数の同期整流素子のうちのどの同期整流素子をオフさせ、どの同期整流素子をオンさせるかを決定するためには、交流電圧の極性状態を検出(判定)する必要がある。そこで、図4(A)のタイミング制御回路200には極性検出回路54が設けられる。極性検出回路54は、極性検出用の基礎信号(VC1,VC2,Vout,VSS等)に基づいて、交流電圧の極性を検出する。例えば、図1(B)に示される同期整流素子M1の一端に印加される交流電圧VC1と整流電圧Voutを比較する。また、同期整流素子M2の一端に印加される交流電圧VC2と整流電圧Voutを比較する。同期整流素子M1,M2のオン抵抗に起因して電圧降下が生じることから、交流電圧の極性に応じて、上記の比較結果が変化する。例えば、正極性であるならば、VC1>Voutとなり、VC2<Voutとなる。負極性であるならば、VC1<Voutとなり、VC2>Voutとなる。したがって、電圧の比較結果から、交流電圧の極性を検出することができる。なお、同期整流素子M3の一端に印加される交流電圧VC1と基準電圧VSS(GND)を比較し、また、同期整流素子M4の一端に印加される交流電圧VC2と基準電圧VSSを比較して交流電圧の極性を検出することもできる。また、交流電圧VC1とVC2の電圧レベルを直接に比較して極性を検出することもできる。
そして、電流方向検出回路50によって、電流検出抵抗RCを流れる電流の逆流(第1方向から第2方向への方向反転)が検出されると、交流電圧の極性に対応する、少なくとも一つのオン状態の同期整流素子をオフさせ、かつ少なくとも一つのオフ状態の同期整流素子をオンさせる。これによって、最適なタイミングで、同期整流素子をオン/オフさせることができ、全波整流回路の損失や発熱の低減、ならびにエネルギー効率の改善を図ることができる。
また、回路構成が簡単であるため、回路の専有面積や消費電力を抑制することができる。したがって、シンプルな回路構成を用いて、最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御することができる。
また、図4(B)に示すように、コンパレータ回路52として、ヒステリシスコンパレータ回路を用いることによって、例えば、瞬時的なノイズによって同期整流素子のオン/オフが繰り返されるような不都合な事態が生じる可能性を低減することができる。図4(B)においては、交流電圧等に重畳されるノイズに影響されることなく、時刻t100〜t200において、電流方向検出信号VC03がアクティブレベル(H)となる。図4(B)においては、電流検出抵抗RCの両端の電位差(Vsn−Vsp)を差動増幅(増幅率は10倍とする)した電圧の振幅が大きいため、ヒステリシスコンパレータのH判定閾値(+25mV)を超えるため、その超えている期間(時刻t100〜t200)において、電流方向検出信号VC03がアクティブレベル(H)となり、この期間において、同期整流素子(例えばM1,M3)がオンする。
一方、図4(C)に示すように、電流検出抵抗RCの両端の電位差(Vsn−Vsp)を差動増幅した電圧の振幅が小さい場合には、ヒステリシスコンパレータのH判定閾値(+25mV)を超えないため、電流方向検出信号VC03が非アクティブレベル(L)となり、この期間において、すべての同期整流素子はオフ状態となる。
この原理を積極的に利用し、例えば、全波整流回路の負荷の軽重を考慮して、ヒステリシスコンパレータにおけるヒステリシス幅を最適化することによって、例えば、負荷が軽く、電流量が小さいときには、同期整流素子をオンさせずに、ボディダイオードを経由した給電のみを実行させる、というような制御が可能となる。すなわち、同期整流素子をオン/オフさせる場合、ある程度のスイッチングロスが生じる。負荷が軽く、電流量が小さい場合には、同期整流素子をオン/オフさせてスイッチングロスを生じさせるよりも、ボディダイオードを経由した通電を行う方が効率的である。すなわち、電流量が小さいときは、ボディダイオードによる損失よりも同期整流素子のオン/オフによるスイッチングロスが顕在化する場合があり、この場合には、同期整流素子のオン/オフを無理に行う必要がない。負荷が軽く、電流量が小さいために、最大電流が流れた場合でも、電流検出抵抗の両端(第1ノードNQ1と第2ードNQ2)間の電位差が、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を超えないときは、同期整流素子はオンせず、すべての同期整流素子がオフした状態が継続され、その期間においては、ボディダイオードを経由して効率的な給電が自動的に実行することも可能であり、設計が容易化される。また、ヒステリシスコンパレータのオフセット量を調整することによって、同期整流素子のオン時間を微調整することもでき、これによって、設計の自由度が向上する。
(タイミング制御回路の具体的な回路構成例)
図5は、タイミング制御回路の具体的な回路構成例を示す図である。図示されるように、電流方向検出回路50に含まれるヒステリシスコンパレータ回路52は、ノイズフィルタを構成する抵抗R10,R20ならびに容量C10と、ゲインが10倍の差動アンプAMP10と、ヒステリシスコンパレータCP10と、を有する。なお、図5において、ヒステリシスコンパレータCP10に関して、「L:25mV,H:0mV」と表記されているが、この表記は、H判定閾値とL判定閾値との間に25mVのオフセットが設けられていることを意味する。すなわち、「L:25mV」は、ヒステリシスコンパレータCP10の出力信号のレベルがLレベルであるとき、ヒステリシスコンパレータCP10の反転入力端子には+25mVのオフセットが与えられことを意味し、「H:0mV」は、ヒステリシスコンパレータCP10の出力信号のレベルがHレベルであるとき、ヒステリシスコンパレータCP10の反転入力端子に与えられるオフセットは0mVであることを意味している(図4(B)参照)。結果的に、図4(B)に示されるように、H判定閾値(Vth(H))は、L判定閾値(Vth(L))よりも25mVだけ高い電位に設定されることになる。なお、ヒステリシスコンパレータに関する上記の表記は、極性検出回路54に含まれる2つのヒステリシスコンパレータCP1a,CP1bに関しても、同様に適用される。
ヒステリシスコンパレータ回路52では、電流検出抵抗(電流方向検出抵抗)RCの両端のノード(第1ノードNQ1と第2ノードNQ2)の各々の電圧(Vsn,Vsp)を差動増幅した電圧を、ヒステリシスコンパレータCP10によって検出する。したがって、簡単な回路によって電流方向を検出することができる。
また、第1ノードおよび第2ノードの電圧(Vsn,Vsp)を差動アンプAMP10で増幅した後にヒステリシスコンパレータCP10で比較する構成を採用することによって、より高精度な電流方向の検出が可能である。
また、抵抗R10,R20ならびに容量C10からなるノイズフィルタを設けて、第1ノードおよび第2ノードの電圧(Vsn,Vsp)に重畳するノイズを除去した後にヒステリシスコンパレータCP10による検出を行うことによって、より高精度な検出が可能となる。
また、極性検出回路54は、分圧抵抗R1a,R2a,R3a,R4aと、安定化容量C1aと、ヒステリシスコンパレータCP1aと、により構成される第1の極性検出回路と、分圧抵抗R1b,R2b,R3b,R4bと、安定化容量C1bと、ヒステリシスコンパレータCP1bと、により構成される第2の極性検出回路と、を有する。分圧抵抗は、トランジスタの耐圧を考慮して、入力電圧の電圧レベルを低下させるために設けられている。トランジスタの耐圧が十分であれば、分圧回路を除去することもできる。第1の極性検出回路は、交流電圧VC1と整流電圧Voutを比較する。また、第2の極性検出回路は交流電圧VC2と整流電圧Voutを比較する。例えば、同期整流素子M1,M2のオン抵抗に起因して電圧降下が生じることから、交流電圧の極性に応じて、上記の比較結果が変化する。例えば、正極性(第1極性)であるならば、VC1>Voutとなり、VC2<Voutとなる。負極性(第2極性)であるならば、VC1<Voutとなり、VC2>Voutとなる。したがって、電圧の比較結果から、交流電圧の極性を検出することができる。なお、交流電圧VC1と基準電圧VSS(GND)を比較し、また、交流電圧VC2と基準電圧VSS(GND)を比較して交流電圧の極性を検出することも可能である。
また、ヒステリシスコンパレータCP1a,CP1bを使用することによって、コンパレータの出力信号の電圧レベルが、ノイズによって瞬時的に変動するような不都合が生じにくくなり、ノイズに強い回路が得られる。
また、出力回路56は、第1のアンド回路AND1aと、第2のアンド回路AND1bと、を有する。第1のアンド回路AND1aから出力されるオン/オフ制御信号TG1は、電流方向検出回路50から出力される電流方向検出信号VC03がHレベルであり、かつ、極性検出回路54に含まれる第1の極性検出回路(左側の回路)から出力される第1の極性検出信号VC01がHレベルのときに、Hレベル(アクティブレベル)となり、この場合に、同期整流素子M1およびM4がオン状態となる。電流検出抵抗RCにおいて、第1方向(平滑コンデンサC1を充電する方向)に電流が流れているときは、電位Vsnは電位Vspよりも高いことから、電流方向検出回路50の出力信号VC03(ヒステリシスコンパレータCP10の出力信号であり、以下、電流方向検出信号という場合がある)はHレベルである。
逆流が生じると(すなわち、電流方向が第1方向から第2方向に逆転すると)、電位Vsnは電位Vspよりも低くなる。上述のとおり、ヒステリシスコンパレータCP10におけるL判定閾値(Vth(L))は0mVに設定されていることから、電位Vsnと電位Vspとの間で電位レベルの逆転が生じると、直ちに、電流方向検出回路50から出力される電流方向検出信号VC03はLレベルに変化する。これに伴って、オン/オフ制御信号TG1がLレベル(非アクティブレベル)に変化し、同期整流素子M1,M4が直ちにオフする。よって、逆流に起因するエネルギー効率の低下は、ほとんど生じない。
同期整流素子M1,M4がオフすることによって、全ての同期整流素子M1〜M4がオフした状態となる。やがて、交流電圧の極性が反転する。これに伴い、第1の極性検出信号VC01はLレベルとなり、第2の極性検出回路から出力される第2の極性検出信号VC02がHレベルとなる。この状態では、同期整流素子M2のボディダイオードDP2ならびに同期整流素子M3のボディダイオードDP3を経由して負荷LQに電流が供給される。
そして、時間経過と共に、電流検出抵抗RCを経由して第1方向に流れる電流の電流量が増大していく。そして、(Vsn−Vsp)・10が、ヒステリシスコンパレータCP10のH判定閾値Vth(H)(+25mV)を超えると、電流方向検出回路50から出力される電流方向検出信号VC03はHレベルに変化する。これによって、出力回路56に含まれるアンド回路AND1bから出力されるオン/オフ制御信号TG2がHレベル(アクティブレベル)になり、同期整流素子M2およびM3がオンする。
図5に示されるタイミング制御回路200の回路構成は簡素化されており、回路の専有面積の削減や消費電力の低減の点で有利である。
(ヒステリシスコンパレータの具体的な回路構成例)
図6(A)および図6(B)は、ヒステリシスコンパレータの具体的な回路構成の一例を示す図である。
図6(A)に示される回路は、差動回路(4つのMOSトランジスタMP1,MP2,MN1,MN2ならびに定電流源I1によって構成される)と、ソース接地のMOSトランジスタMN3と、定電流源I2と、出力バッファ(6つのMOSトランジスタMP3,MP4,MN4,MN5,MP5,MP6と、電流制限抵抗Rk1およびRk2と、によって構成される)と、を有する。出力電圧Voutの電圧レベルに応じて、出力バッファを構成する2つのMOSトランジスタ(MP5,MN6)のいずれかがオンし、これによって、正帰還ループが形成される。
図6(B)に示される回路は、差動回路(4つのMOSトランジスタMP1,MP2,MN1,MN2ならびに定電流源I1によって構成される)と、正帰還ループを形成するためのMOSトランジスタMP10およびMN10と、ソース接地のMOSトランジスタMN3と、定電流源I2と、2段のCMOSインバータによって構成される出力バッファ(4つのMOSトランジスタMP11,MN11,MP12,MN12によって構成される)と、を有する。MOSトランジスタMN10がオンすることによって、正帰還ループが形成される。
(負荷状態に応じた電圧波形の例)
図7は、負荷LQの負荷状態が重く、電流検出抵抗RCを流れる電流が大きい場合の各部の電圧波形を示す図である。図7の最上段の図において、整流電圧Voutは二点鎖線で示され、交流電圧VC2は点線で示され、交流電圧VC1は実線で示されている。
図7の上から2番目の図に示すように、電流検出抵抗RCの両端の電位差(Vsn−Vsp)を差動アンプAMP10にて増幅した電圧(増幅率10倍)と、ヒステリシスコンパレータCP10のH判定閾値Vth(H)およびL判定閾値Vth(L)とが比較され、その比較結果に応じて、時刻t1〜t2,時刻t4〜t5,時刻t7〜t8,時刻t9〜)において、電流方向検出信号VC03がアクティブレベル(H)になる。
また、交流電圧VC1が、整流電圧Voutを上回る期間(時刻t3〜t5,時刻t9〜)において、第1の極性検出信号VC01がアクティブレベル(H)になる。また、交流電圧VC2が、整流電圧Voutを上回る期間(時刻t1〜t2,時刻t6〜t8)において、第2の極性検出信号VC02がアクティブレベル(H)になる。
電流方向検出信号VC03と第1の極性検出信号VC01が共にアクティブレベル(H)である期間(時刻t4〜t5,時刻t10〜)において、第1のオン/オフ制御信号TG1がアクティブレベル(H)になる。
また、電流方向検出信号VC03と第2の極性検出信号VC02が共にアクティブレベル(H)である期間(時刻t1〜t2,時刻t7〜t8)において、第2のオン/オフ制御信号TG2アクティブレベル(H)になる。
図8は、負荷LQの負荷状態が中程度であり、電流検出抵抗RCを流れる電流が中程度である場合の各部の電圧波形を示す図である。基本的には、図7の電圧波形と同様であるが、電流検出抵抗RCの両端の電位差(Vsn−Vsp)を差動アンプAMP10にて増幅した電圧(増幅率10倍)の振幅が小さくなっている。これに伴い、第1のオン/オフ制御信号TG1がアクティブレベルになる期間(時刻t4〜t12,時刻t10〜t14)が短縮され、同様に、第2オン/オフ制御信号TG2がアクティブレベルになる期間(時刻t1〜t11,時刻t7〜t13)が短縮される。同期整流素子のオン時間は、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を調整することによって、適宜、微調整することができる。
図9は、負荷LQの負荷状態が軽く、電流検出抵抗RCを流れる電流が小さい場合の各部の電圧波形を示す図である。図示されるように、電流検出抵抗RCの両端の電位差(Vsn−Vsp)を差動アンプAMP10にて増幅した電圧(増幅率10倍)の振幅が小さく、ヒステリシスコンパレータCP10のL判定閾値Vth(L)を超えることがない。よって、電流方向検出信号VC03は、常時、非アクティブレベル(L)である。これに伴い、第1のオン/オフ制御信号TG1ならびに第2のオン/オフ制御信号TG2は非アクティブレベルを維持し、この期間においては、第1〜第4の同期整流素子M1〜M4のすべてがオフ状態となる。この期間においては、第1〜第4の同期整流素子M1〜M4の各々に寄生するボディダイオード(図1(B)におけるDP1〜DP4)を経由して電流が負荷LQに供給される。
このように、全波整流回路の負荷の軽重を考慮して、ヒステリシスコンパレータCP10におけるヒステリシス幅を最適化することによって、負荷が軽く、電流量が小さいときには、同期整流素子をオンさせずに、ボディダイオードを経由した給電のみを実行させる、というような制御が可能となる。すなわち、同期整流素子をオン/オフさせる場合、ある程度のスイッチングロスが生じる。負荷が軽く、電流量が小さい場合には、同期整流素子M1〜M4をオン/オフさせてスイッチングロスを生じさせるよりも、ボディダイオードDP1〜DP4を経由した通電を行う方が効率的である。すなわち、電流量が小さいときは、ボディダイオードDP1〜DP4による損失よりも同期整流素子M1〜M4のオン/オフによるスイッチングロスが顕在化する場合があり、この場合には、同期整流素子M1〜M4のオン/オフを無理に行う必要がない。
負荷LQの負荷状態が軽く、電流量が小さいために、最大電流が流れた場合でも、電流検出抵抗の両端(第1ノードと第2ード)間の電位差(Vsn−Vsp)が、ヒステリシスコンパレータCP10のヒステリシス幅を超えないときは、同期整流素子M1〜M4はオンせず、すべての同期整流素子M1〜M4がオフした状態が継続され、その期間においては、ボディダイオードDP1〜DP4を経由して効率的な給電が自動的に実行される。
このように、負荷LQの負荷状態を予め考慮して、ヒステリシスコンパレータCP10のヒステリシス幅(Vth(L)−Vth(H))を最適化しておくことによって、例えば、負荷LQの負荷状態が重いときは、低損損失の同期整流素子M1〜M4を最大時間オンさせて多くの電流を流し、負荷LQの負荷状態が中程度の場合は、同期整流素子M1〜M4のオン時間が負荷状態に応じて短縮され、負荷LQの負荷状態が軽い場合には、同期整流素子M1〜M4のすべてがオンせず、代わりにボディダイオードDP1〜DP4を経由した通電を行う、といった柔軟で効率的な制御を、自動的に実現することが能である。また、ヒステリシスコンパレータのオフセット量を調整することによって、同期整流素子のオン時間を微調整することもでき、これによって、設計の自由度が向上する。
このようなヒステリシス幅を積極的に用いた同期整流素子のオン/オフ制御技術は、例えば、中小型の無接点電力伝送システムの電源系の最適な設計に役立ち、また、設計の容易化も図ることができる。
(第2の実施形態)
図10は、タイミング制御回路の具体的な回路構成の他の例(出力保証回路を設ける例)を示す図である。本実施形態では、整流電圧Voutが所与の電圧レベル以上になるまで、同期整流素子(M1〜M4)のオン/オフ制御信号(TG1,TG2)を非アクティブレベル(L)に維持する出力保証回路350が設けられる。
整流制御装置250に含まれるタイミング制御回路200が、全波整流回路150から得られる整流電圧Voutを電源電圧として動作する場合がある。例えば、全波整流回路150および整流制御装置250が、無接点電力伝送システムの受電装置に設けられる場合、整流制御装置250は、全波整流回路150の整流電圧Voutを電源電圧として動作する。
この場合、電源電圧としての整流電圧Voutの電圧レベルが所与の電圧レベルに達しない期間においてタイミング制御回路200を動作させると、不十分な電源電圧に起因して回路動作が不安定となり、正常な、同期整流素子のオン/オフ制御ができない場合が生じ得る。例えば、第1および第2の整流素子M1,M2が同時にオンして、第1ノードN1から第2ノードN2に向けて大きな貫通電流が流れて、全波整流回路150のエネルギー効率が低下し、あるいは、素子の破損が生じるような事態が生じ得る。
そこで、本実施形態では、例えば、図10に示すように、タイミング制御回路200の出力段に出力保証回路350を設ける。出力保証回路350は、タイミング制御回路200から出力される、同期整流素子のオン/オフ制御信号TG1,TG2が、正常な制御電圧であることを保証する。よって、整流制御装置250による同期整流素子の制御の信頼性が向上する。
出力保証回路350は、分圧抵抗R100およびR101と、ソース接地のNMOSトランジスタMN100と、負荷抵抗R102と、ソース接地のPMOSトランジスタMP100と、出力バッファとして機能する第1のCMOSインバータ(PMOSトランジスタMP101とNMOSトランジスタMN101とにより構成される)と、第2のCMOSインバータ(PMOSトランジスタMP102とNMOSトランジスタMN102とにより構成される)と、第1のCMOSインバータの出力ノードをプルダウンするためのプルダウン抵抗R103と、第2のCMOSインバータの出力ノードをプルダウンするためのプルダウン抵抗R104と、を有する。
NMOSトランジスタMN100は、整流電圧Voutが所与の電圧レベル以上になるまでオンしない。NMOSトランジスタMN100がオフしている期間においては、第1および第2のCMOSインバータに電源電圧(Vout=VDD)が供給されず、第1および第2のCMOSインバータの各々の出力ノードは、プルダウン抵抗R103,R104の各々によってLレベル(接地電位)に保持される。よって、オン/オフ制御信号TG1,TG2の各々は、非アクティブレベル(L)に維持され、同期整流素子部100に含まれる4つの同期整流素子(NMOSトランジスタ)M1〜M4の各々はオフ状態に維持される。
このように、電源電圧としての整流電圧Voutが所与のレベルに上昇するまで、全部の同期整流素子(例えばM1〜M4)がオフ状態となる。その状態では、各同期整流素子に並列に接続される各ボディダイオード(DP1〜DP4)による整流動作が実行される。したがって、例えば、第1および第2の同期整流素子(M1,M2)が同時にオンして大きな貫通電流が流れるような事態が生じない。よって、全波整流回路150のエネルギー効率の低下が防止される。また、素子の破損のおそれもないことから、全波整流回路が搭載される機器の信頼性も向上する。
なお、NMOSトランジスタMN100は、整流電圧Voutが正常な電圧レベルになるとオンする。これによって、オン/オフ制御信号TG1,TG2を、アクティブレベルにすることが可能となる。
(第3の実施形態)
図11は、タイミング制御回路の他の回路構成の例を示す回路図である。図11のタイミング制御回路200では、コイルL2の両端の電圧(極性が異なる交流電圧VC1,VC2)を比較して、極性検出信号VC01,VC02を出力する。
すなわち、ヒステリシスコンパレータCP20(第3のヒステリシスコンパレータ)によって、交流電圧VC1とVC2の電圧レベルを比較する。ヒステリシスコンパレータCP20の出力信号が第1の極性検出信号VC01となり、第1の極性検出信号VC01の電圧レベルをインバータINV1で反転して得られる信号が第2の極性検出信号VC02となる。
図11の回路構成を採用する場合、交流電圧の極性検出のために使用するコンパレータは、ヒステリシスコンパレータCP20だけで済み、前掲の実施形態よりも、回路構成が簡素化される。よって、回路の専有面積の削減や、さらなる低消費電力化が可能である。
(第4の実施形態)
本実施形態では、本発明の整流制御装置および全波整流回路を搭載した受電装置、ならびに、その受電装置を用いて構成される無接点電力伝送システムについて説明する。
本実施形態では、先に説明した整流制御装置および全波整流回路は、無接点電力システムの受電装置に設けられる。全波整流回路から出力される整流電圧によって受電装置が動作し、給電対象の負荷(例えば、2次電池)に電力が供給される。全波整流回路における損失が少なく、高いエネルギー効率が実現されるため、無接点電力伝送システムの伝送効率が向上する。以下、具体的に説明する。
(無接点電力伝送に対応した電子機器の構成の例)
図12(A)〜図12(C)は、無接点電力伝送システムに対応した電子機器の構成の一例を示す図である。図10(A)には、送電装置11を内蔵する充電器(クレードル)500と、受電装置41を内蔵する携帯電話機510と、が示される。
携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置11から受電装置41に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリ(不図示)を充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させたりすることができる。
なお、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
図12(B)に模式的に示すように、送電装置11から受電装置41への電力伝送は、送電装置11側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置41側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
なお、図12(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
例えば図12(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。図12(C)のようなコイルにも本実施形態は適用可能である。なお図12(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
(無接点電力伝送システムの構成例)
図13は、無接点電力伝送システムの構成の一例を示す図である。送電装置11は、1次コイルL1と、共振コンデンサCQと、送電制御装置(送電制御IC)57と、送電部53と、波形モニタ回路59と、を有する。送電制御装置57は、送電側制御回路51と、ドライバ制御回路58と、を有する。ドライバ制御回路58は、駆動クロックDRCKに同期して、1次コイルL1を交流駆動する。これによって、1次側から2次側に無接点で電力を供給することができる。1次コイルの駆動周波数は、例えば120KHzである。
また、受電装置41は、2次コイルL2と、受電部140と、整流制御装置(整流制御IC)250と、負荷変調部60と、給電制御部62と、バッテリ装置70(充電制御装置71とバッテリ72とを有する)と、受電制御装置(受電制御IC)80と、を有する。
図13の左上において、太い点線で囲んで示されるように、1次側から2次側に信号を送信するための通信方式として、周波数変調方式(周波数f1,f2を切り換えて“1”と“0”を送信する方式)が採用される。
また、図13の左下において、太い点線で囲んで示されるように、2次側から1次側に信号を送信するための通信方式として、負荷変調方式が採用される。すなわち、2次側の負荷状態を切り換えることによって“0”と“1”が、2次側から1次側に送信される。1次側は、1次コイルL1のコイル端電圧GSGを、波形モニタ回路59によってモニタし、例えば、コイル端電圧の振幅の変化を検出し、あるいは、駆動クロックとコイル端電圧の位相関係を検出し、これによって、“0”または“1”を検出する。
図13に示される受電部140は、2次コイルL2のコイル端間に直列に接続される分圧抵抗RB1とRB2と、全波整流回路150と、整流電圧ノードN11と基準電位ノードN13との間に直列に接続される分圧抵抗RB4およびRB5と、を有する。
全波整流回路150は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100と、平滑コンデンサC1と、電流検出抵抗RCと、を有する。同期整流素子部(整流ブリッジ)100は、同期整流素子としての複数のMOSFET(M1〜M4)を有する。
整流制御装置(整流制御IC)は、タイミング制御回路200を有する。タイミング制御回路200は、前掲の実施形態で説明したとおり、電流方向検出回路50と、極性検出回路54と、出力回路56と、を有する。これらの回路は、オン/オフ制御信号生成回路を構成する。また、タイミング制御回路200は、さらに、出力保証回路350(図10または図11参照)と、レベルシフト回路(LS1〜LS4)ならびに出力バッファ(BM1〜BM4)を有する。
また、整流制御装置(整流制御IC)250は、複数の端子(E1〜E11)を有する。端子(E1〜E4)の各々は、同期整流素子のオン/オフ制御信号(TG1,TG3,TG2,TG4)を、同期整流素子部(整流ブリッジ)100に供給するための出力端子である。
端子E5は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100の第2ノードN2の交流電圧VC2を、極性検出回路54に供給するための入力端子である。端子E6は、第1ノードN1に入力される交流電圧VC1を、極性検出回路54に供給するための入力端子である。端子E7は、第3ノードN3から得られる整流電圧Voutを、出力保証回路350に供給するための入力端子である。端子E8は、整流電圧Voutを、極性検出回路54に供給するための入力端子である。端子E9は、同期整流素子部(整流ブリッジ)100における第4ノードN4に接続される基準電位VSSを、極性検出回路54に供給するための入力端子である。端子E10は、電流検出抵抗RCの一端の電圧Vsnを電流方向検出回路50に供給するための入力端子である。端子E11は、電流検出抵抗RCの他端の電圧Vspを電流方向検出回路50に供給するための入力端子である。
また、出力保証回路350は、タイミング制御回路200から出力される、同期整流素子のオン/オフ制御信号(TG1〜TG4)が、正常な制御電圧であることを保証するための回路である。整流制御装置250(ならびに他の受電側の回路)は、全波整流回路150の整流電圧Voutを電源電圧として動作する。したがって、電源電圧としての整流電圧Voutの電圧レベルが所与の電圧レベルに達しない期間(例えば、無接点電力伝送システムの電源を投入した直後の期間)において、タイミング制御回路200を動作させると、不十分な電源電圧に起因して回路動作が不安定となり、正常な、同期整流素子(M1〜M4)のオン/オフ制御ができない場合が生じ得る。例えば、第1および第2の整流素子(M1,M2)が同時にオンして、大きな貫通電流が流れて、全波整流回路150のエネルギー効率が低下するような事態が生じ得る。
そこで、本実施形態では、タイミング制御回路200に出力保証回路350を設けている。出力保証回路350は、整流電圧Voutが所与の電圧レベル(つまり、タイミング制御回路が正常に動作し得る電圧レベル)になるまで、同期整流素子のオン/オフ制御信号(TG1〜TG4)を非アクティブレベル(具体的にはLレベル)に維持する。これにより、複数の同期整流素子(M1〜M4)の各々は、電源電圧としての整流電圧Voutが所与のレベルに上昇するまでオフ状態となり、その状態では、各同期整流素子(M1〜M4)に並列に接続される各ボディダイオード(DP1〜DP4)による整流動作が実行される。したがって、例えば、第1および第2の同期整流素子(M1,M2)が同時にオンして大きな貫通電流が流れるような事態が生じない。
また、負荷変調部60は、負荷変調トランジスタ(不図示)をスイッチングし、負荷変調信号を、送電装置11に送信する。給電制御部62は、例えば、シリーズレギュレータ(LDO)や給電制御トランジスタ等(不図示)を有し、それらの動作を制御することによって、給電対象の負荷(バッテリ)72への給電を制御する。また、バッテリ装置70に含まれる充電制御装置(充電制御IC)71は、バッテリ(2次電池)72の充電動作を制御する。
なお、給電対象の負荷は、バッテリ(2次電池)72に限定されない。例えば、整流電圧によって所与の回路を動作させる場合、その回路が給電対象の負荷として機能する。
また、受電装置装置(受電制御IC)は、受電側制御回路81と、位置検出回路82と、周波数検出回路83と、発振回路84と、を有する。受電側制御回路81は、受電装置41の動作を統括的に制御する。
位置検出回路82は、分圧抵抗RB4とRB5の共通接続点から得られる信号ADINに基づいて、受電側機器が、送電側機器に対して適正な位置にセットされているか否かを検出する。また、周波数検出回路83は、分圧抵抗RB1とRB2の共通接続点から得られる信号CCMPIに基づいて、1次側の駆動クロック(DRCK)を再生し、その駆動クロックの周波数を、発振回路84から出力される発振クロックCLKを用いて検出する。発振クロックCLKの周波数は、例えば5MHzである。
このように、本実施形態の受電装置41は、同期整流方式の全波整流回路150と、整流制御装置250と、給電制御部62と、を有しており、全波整流回路150から出力される整流電圧Voutによって受電装置41が動作し、給電対象の負荷(例えば、2次電池72)に電力が供給される。
本実施形態によれば、従来にない、安定した、高精度の同期整流素子のオン/オフのタイミング制御が実現される。よって、全波整流回路150における損失が少なく、発熱が低減され、かつ、高いエネルギー効率が実現され、無接点電力伝送システムの伝送効率が格段に向上する。
また、整流制御装置250は出力保証回路350を有しているため、システムの起動直後に不要な貫通電流が流れることが防止され、その貫通電流によって回路が破損する心配もない。よって、エネルギー効率が高く、かつ信頼性の高い無接点電力伝送システムが実現される。
また、図13の例では、全波整流回路150と整流制御装置250とは別の回路であるが、同期整流素子部(整流ブリッジ)100を構成する同期整流素子(M1〜M4)が比較的低耐圧の素子である場合には、整流制御装置250に、同期整流素子部(整流ブリッジ)100を内蔵する場合もあり得る。この場合、無接点電力伝送システムの部品点数を削減することができる。
また、平滑コンデンサC1の容量も比較的小容量ですむ場合、同期整流素子部(整流ブリッジ)100と、平滑コンデンサC1と、整流制御装置250と、を一つのICに内蔵する場合もあり得る。この場合、整流制御装置付きの全波整流回路が実現される。平滑コンデンサC1に蓄積されている電荷の逆流が効果的に防止されることから、低損失かつエネルギー効率の高い、同期整流方式の全波整流回路を実現することができる。
(無接点電力伝送システムの動作例)
図14は、無接点電力伝送システムの動作の一例を示す図である。待機状態において、送電側機器(クレードル)500に内蔵される送電制御装置57は、受電側機器(携帯電話機)510の着地(セッティング)を、例えば、0.3秒に1回、検出し(ステップS1)、これによって、受電側機器の着地(セッティング)が検出される(ステップS2)。
次に、送電装置11と受電装置41との間で、種々の情報の交換(ネゴシエーション)が実行される(ステップS3)。ID認証によって、受電装置が適切な送電対象であることが確認された後に、通常送電(充電)が開始される。通常送電が開始されると、受電側機器(携帯電話機)510に設けられているLEDが点灯する。
通常送電中において、満充電が検出されると、満充電通知が受電装置から送電装置に送信され、これを受信した送電装置は、通常送電を停止する(ステップS4)。通常送電が停止されると、受電側機器(携帯電話機)510に設けられているLEDが消灯する。そして、満充電検出後の待機フェーズに移行する(ステップS5)。
満充電検出後の待機状態では、例えば、5秒に1回の取り去り検出が実行され、また、10分に1回、再充電の要否の確認が実行される。満充電後に受電側機器(携帯電話機)510が取り去られると、初期の待機フェーズに戻る(ステップS6)。また、満充電後に再充電が必要と判定されると、ステップS3に復帰する(ステップS7)。また、ステップ3の状態において、受電側機器(携帯電話機)510の取り去りが検出された場合には、初期の待機状態に復帰する(ステップS8)。
以上説明したように、本発明の幾つかの実施形態によれば、例えば、シンプルな回路構成を用いて、最適なタイミングで同期整流素子のオン/オフを制御することができる。また、例えば、負荷の軽重を考慮した最適設計を容易に行うことができる。また、例えば、ノイズに影響されることなく、高精度の同期整流素子のオン/オフのタイミング制御が可能となり、整流回路の損失や発熱の低減、ならびにエネルギー効率の改善を図ることができる。
また、上記の整流制御装置ならびに全波整流回路を用いることによって、伝送効率が格段に向上した受電装置、ならびに無接点電力伝送システムを実現することができる。
なお、本発明の実施形態について詳述したが、本発明の新規事項および効果から逸脱しない範囲で、多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、すべて本発明に含まれるものとする。
例えば、同期整流素子としては、種々のスイッチング素子を使用することができる。また、例えば、同期整流素子部(整流ブリッジ)の構成も、上述の実施例に限定されるものではなく、種々の回路構成を採用することができる。同期整流素子部(整流ブリッジ)は、「少なくとも一つの同期整流素子(同期整流要素)を含む同期整流要素回路」と言い換えることができる。
また、整流制御装置は、同期整流方式の半波整流回路における、同期整流素子のオン/オフ制御を実行することもできる。また、タイミング制御回路に含まれるオン/オフ制御信号生成回路の構成も、種々、変形または応用が可能である。
また、本発明の整流制御装置および全波整流は、回路構成が簡素化され、損失が少ないため、種々の電子機器に搭載することができる。
本発明は、例えば、整流制御装置、全波整流回路、受電装置および無接点電力伝送システム等として有用である。
図1(A)〜図1(C)は、同期整流方式の全波整流回路ならびに整流制御装置の構成の一例について説明するための図 電流検出抵抗の配置の例を示す図 図3(A)〜図3(C)は、同期整流素子のオン/オフ制御の原理を説明するための図 図4(A)〜図4(C)は、タイミング制御回路の構成と動作の一例を説明するための図 タイミング制御回路の具体的な回路構成例を示す図 図6(A)および図6(B)は、ヒステリシスコンパレータの具体的な回路構成の一例を示す図 負荷の負荷状態が重く、電流検出抵抗を流れる電流が大きい場合の各部の電圧波形を示す図 負荷の負荷状態が中程度であり、電流検出抵抗を流れる電流が中程度である場合の各部の電圧波形を示す図 負荷の負荷状態が軽く、電流検出抵抗を流れる電流が小さい場合の各部の電圧波形を示す図 タイミング制御回路の他の回路構成の例を示す回路図 タイミング制御回路の他の回路構成の例を示す回路図 図12(A)〜図12(C)は、無接点電力伝送システムに対応した電子機器の構成の一例を示す図 無接点電力伝送システムの構成の一例を示す図 無接点電力伝送システムの動作の一例を示す図
符号の説明
L1 1次コイル、L2 2次コイル、M1〜M4 同期整流素子(MOSFET)、
50 電流方向検出回路、52 コンパレータ回路(ヒステリシスコンパレータ回路)
54 極性検出回路、56 出力回路、100 同期整流素子部(整流ブリッジ)、
LQ 負荷、C1 平滑コンデンサ、150 全波整流回路、
200 タイミング制御回路、250 整流制御装置(例えばIC)、
RC〜RF 電流検出抵抗(電流方向検出抵抗)、VC1,VC2 交流電圧、
Vout 整流電圧、VSS 基準電位、
TG1〜TG4 第1〜第4の同期整流素子のオン/オフ制御信号

Claims (16)

  1. 複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、を含む全波整流回路における、前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御する整流制御装置であって、
    前記複数の同期整流素子のうちの少なくとも一つのオン/オフを、少なくとも一つのオン/オフ制御信号によって制御するタイミング制御回路を含み、
    前記タイミング制御回路は、
    前記全波整流回路に入力される交流電圧が第1極性であるか第2極性であるかを検出する極性検出回路と、
    前記電流検出抵抗に流れる電流の電流方向を検出する電流方向検出回路と、
    前記電流方向検出回路から出力される電流方向検出信号と、前記極性検出回路から出力される極性検出信号とに基づいて、前記少なくとも一つのオン/オフ制御信号を出力する出力回路と、
    を含むことを特徴とする同期整流制御装置。
  2. 請求項1記載の同期整流制御装置であって、
    前記同期整流素子部には、第1の同期整流素子および第2の同期整流素子が含まれ、前記第1の同期整流素子は、前記出力回路から出力される第1のオン/オフ制御信号によってオン/オフが制御され、前記第2の同期整流素子は、前記出力回路から出力される第2のオン/オフ制御信号によってオン/オフが制御され、
    前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが、前記平滑コンデンサを充電するための第1方向から、前記第1方向とは逆向きの第2方向に変化したとき、前記第1のオン/オフ制御信号または前記第2のオン/オフ制御信号のいずれか一方の電圧レベルがアクティブレベルから非アクティブレベルに変化し、他方の電圧レベルがアクティブレベルから非アクティブレベルに変化することを特徴とする同期整流制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の同期整流制御装置であって、
    前記電流検出抵抗は第1ノードと第2ノードとの間に接続されており、前記電流方向検出回路は、前記第1ノードの第1電圧と前記第2ノードの第2電圧とを比較する第1のコンパレータ回路を有することを特徴とする同期整流制御装置。
  4. 請求項3記載の同期整流制御装置であって、
    前記第1のコンパレータ回路は第1のヒステリシスコンパレータを有し、前記第1のヒステリシスコンパレータの閾値電圧は、前記第1のヒステリシスコンパレータの出力信号の電圧レベルが第1レベルのときは第1の閾値電圧であり、前記第1のヒステリシスコンパレータの出力信号の電圧レベルが第2レベルのときは第2の閾値電圧であることを特徴とする同期整流制御装置。
  5. 請求項4記載の同期整流制御装置であって、
    前記第1のヒステリシスコンパレータを有する前記タイミング制御回路は、
    前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが前記第1方向から前記第2方向に変化したときは、前記同期整流素子部における、オン状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をただちにオフし、
    かつ、前記同期整流素子部における、オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子のボディダイオードを経由して前記第1方向に流れる電流の電流量が、所与の電流値に達したときに、前記オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をオン状態として、前記ボディダイオードを経由した給電から同期整流素子を経由した給電に切り換える制御を実行することを特徴とする同期整流制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の同期整流制御装置であって、
    前記極性検出回路は、
    前記交流電圧と、前記全波整流回路から出力される整流電圧または前記同期整流素子部の基準電圧とを比較して前記極性検出信号を出力する、少なくとも一つの第2のコンパレータ回路を有することを特徴とする同期整流制御装置。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の同期整流制御装置であって、
    前記全波整流回路には、前記交流電圧の電圧源としてのコイルが接続されており、
    前記極性検出回路は、
    前記コイルの第1の端部の電圧と前記コイルの第2の端部の電圧とを比較して、前記極性検出信号を出力する、少なくとも一つの第3のコンパレータ回路を有することを特徴とする同期整流制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の整流制御装置であって、
    前記タイミング制御回路は、前記全波整流回路から出力される整流電圧が所与の電圧レベル以上になるまで、前記少なくとも一つのオン/オフ制御信号の各々を非アクティブレベルに維持する出力保証回路を、さらに有することを特徴とする整流制御装置。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の整流制御装置であって、
    前記整流制御装置は、前記同期整流素子部を含むことを特徴とする整流制御装置。
  10. 複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、
    前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、
    前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、
    前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御するための、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の整流制御装置と、
    を含むことを特徴とする全波整流回路。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の整流制御装置を含むことを特徴とする電子機器。
  12. 請求項10記載の全波整流回路を含むことを特徴とする電子機器。
  13. 2次コイルと、
    複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサと、前記同期整流素子部と前記平滑コンデンサとの間に接続される電流検出抵抗と、を含む全波整流回路と、
    前記複数の同期整流素子の少なくとも一つのオン/オフを制御するための、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の整流制御装置と、
    前記全波整流回路から得られる整流電圧に基づく、給電対象の負荷への給電を制御するための給電制御部と、
    を有することを特徴とする受電装置。
  14. 1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて、送電装置から請求項13に記載の受電装置に対して電力を伝送する無接点電力伝送システム。
  15. 複数の同期整流素子を含む同期整流素子部と、前記同期整流素子部に接続される平滑コンデンサとの間の電流検出抵抗に流れる電流の方向を検出し、
    前記電流の方向が前記平滑コンデンサを充電する方向である第1方向から前記第1方向とは逆方向である第2方向に変化したとき、前記同期整流制御素子部における少なくとも一つの同期整流素子のオンオフを前記電流が前記第1方向になるように制御することを特徴とする整流制御方法。
  16. 請求項15記載の整流制御方法であって、
    前記電流検出抵抗に流れる電流の向きが前記第1方向から前記第2方向に変化したときは、前記同期整流素子部における、オン状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をただちにオフし、
    かつ、前記同期整流素子部における、オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子のボディダイオードを経由して前記第1方向に流れる電流の電流量が、所与の電流値を超えたときに、前記オフ状態にある少なくとも一つの同期整流素子の各々をオン状態とすることを特徴とする整流制御方法。
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