近年、携帯型電話機やノートブック型パーソナルコンピュータ等の携帯端末のバッテリとして、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の2次電池が広く利用されている。これらリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の2次電池は、他の電池と比べてエネルギ密度が極めて高いという利点を有するが、一方で、劣化や安全性を考慮した厳密な充電制御を行う必要があり、高精度の充電管理技術が必要となる。
したがって、2次電池を充電するために、高精度な出力制御を行い得るレギュレータ(例えば、シリーズレギュレータ)を利用した充電回路を用いるのが好ましいといえる。
また、携帯端末のユーザの使い勝手を考慮すれば、2次電池の充電時間は短い方がよいが、無接点電力伝送を利用した場合の2次電池の充電効率は、通常の充電器(ACアダプタを使用した充電器)による充電効率よりも低く、充電時間が長くなる傾向がある。したがって、無接点電力伝送を用いて携帯端末の充電を行う際、充電中の電力損失を、可能な限り低減することが重要となる。
本発明の発明者の検討によれば、例えば、消耗の激しい2次電池を充電するときのように、大量の充電電流を流す必要がある場合において、上述のレギュレータにおいて電力損失(電力ロス)が発生し、このことが充電時間の短縮の妨げとなる場合があることが明らかとなった。また、携帯端末の安全性を考慮すれば、充電中におけるレギュレータの発熱は最小限に抑制するのが望ましい。
そこで、本発明の発明者は、2次電池への給電量が不足した場合(例えば、レギュレータの出力ノードの電圧が所与のしきい値電圧よりも低下した場合)に、レギュレータをバイパスするバイパス経路を形成し、このバイパス経路を経由して給電対象の負荷(2次電池等)に必要な電流を供給することによって、レギュレータにおける損失と発熱の低減を図る技術を検討した。
その検討の結果、バイパス経路がオフ状態になった後(例えば、直後)にバイパス経路がオン状態になり、あるいは、バイパス経路がオン状態になった後(例えば、直後)にバイパス経路がオフ状態になる発振動作(さらに、この発振動作が繰り返される場合もある)が生じる場合があることがわかった。
発振が生じる原因としては、例えば、受電側モジュールで採用される2次コイルが、規格の範囲を超えてより多くの電流を流すこと、あるいは、レギュレータのオン抵抗と、バイパス経路を構成するスイッチ回路のオン抵抗との差が、設計値よりも大きいこと等があげられる。
例えば、バイパス経路がオン状態(大電流を流している状態)からオフ状態(レギュレータにより電流や電圧が制御される状態)に切り換ったとき、レギュレータを経由して流れる電流とレギュレータのオン抵抗によって生じる電圧降下によって、レギュレータの出力ノードの電圧が瞬時的に低下する。その低下の程度が、バイパス制御回路に付与されるヒステリシス特性のヒステリシス幅よりも大きいと、バイパス経路は再びオン状態となり、発振状態が生じる。
受電側モジュール(2次コイルと受電装置を含む)の設計に際しては、バイパス制御回路にヒステリシス特性を付与し、例えば、細かなノイズに起因して、バイパスのオン/オフが切り換るような誤動作が生じないようにしている。しかし、2次コイル、レギュレータ(例えば、LDOのようなシリーズレギュレータ)、ならびに、バイパス経路を形成するためのスイッチ回路(例えば、パワースイッチングトランジスタ)等は、外付け部品であり、外付け部品として、どのような特性をもつ部品を採用するかは、原則として、受電側モジュールを製造するメーカの判断に委ねられる。
したがって、採用された外付け部品の特性によっては、バイパスのオン/オフの切り換えの際に、整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じる場合が生じ得る。
受電制御装置(受電制御IC:バイパス制御を実行するバイパス制御回路を含む)を供給するICメーカには、受電側モジュールの信頼性の確保が強く求められる。受電側モジュールの信頼性を高めるためには、バイパスのオン/オフの切り換えに際して、受電装置の整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じた場合でも、発振状態を確実に防止することが重要である。このような事項が、本発明の発明者による検討によって明らかとされた。
本発明は、このような考察に基づいてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、例えば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減することができ、一方、バイパスのオン/オフの切り換えによって、受電装置の整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じた場合でも、発振を確実に防止することができ、受電装置の信頼性を高めることができる。
(1)本発明の受電制御装置の一態様では、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から、整流回路およびレギュレータを含む受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の電圧出力ノードから給電対象の負荷に対して前記電力を供給する無接点電力伝送システムにおける、前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、前記受電装置の動作を制御する受電側制御回路を含み、前記受電側制御回路は、前記レギュレータの入力ノードと出力ノードとの間に設けられたスイッチ回路をオンするか否かを制御するバイパス制御部を有し、前記バイパス制御部は、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルを検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路から出力される検出信号に基づいて、前記スイッチ回路をオン状態とするかオフ状態とするかを制御するバイパス制御信号を出力するバイパス制御信号出力回路と、前記スイッチ回路がオフ状態になった後に前記スイッチ回路がオン状態になり、あるいは、前記スイッチ回路がオン状態になった後に前記スイッチ回路がオフ状態になる発振状態を防止するための発振防止回路と、を有し、前記発振防止回路によって前記発振状態、あるいは前記発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、前記バイパス制御信号出力回路は、前記スイッチ回路をオフ状態とする。
本態様では、受電制御装置の受電側制御回路はバイパス制御部を有しており、バイパス制御部には、バイパスのオン/オフ(すなわち、スイッチ回路のオン/オフ)の切り換えに伴って生じる可能性のある発振を防止するための発振防止回路が設けられる。発振防止回路は、例えば、スイッチ回路がオフ状態になった後(直後)にスイッチ回路がオン状態になり、あるいは、スイッチ回路がオン状態になった後(直後)にスイッチ回路がオフ状態になる発振状態、あるいは、発振状態を生じさせ得る状態を検出する。
電圧検出回路は、受電装置の整流電圧(レギュレータの入力ノードの電圧、出力ノードの電圧、あるいは、それらの電圧の双方)を監視する。
バイパス制御信号出力回路は、原則として、電圧検出回路の検出信号に基づいて、スイッチ回路のオン/オフ(すなわちバイパスのオン/オフ)を制御する。但し、発振防止回路によって、発振状態または発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパス制御信号出力回路からのバイパス制御信号を、例えば非アクティブレベルに固定して、スイッチ回路をオフ状態とする。
したがって、本態様によれば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減させることができ、その一方、バイパスのオン/オフの切り換えによって、受電装置の整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じた場合でも、発振状態を確実に防止することができる。よって、受電装置の信頼性を高めることができる。
(2)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記電圧検出回路は、前記検出信号を出力するヒステリシスコンパレータを有し、前記ヒステリシスコンパレータから出力される前記検出信号の電圧レベルは、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルが、第1のしきい値電圧を下回ると第1のレベルとなり、前記第1のしきい値電圧より高い電圧である第2のしきい値電圧を超えると第2のレベルとなる。
バイパス制御回路は、ヒステリシス特性をもつヒステリシスコンパレータを有する。つまり、整流電圧が第1のしきい値レベルまで低下するとスイッチ回路(すなわちバイパス)がオンし、その後、整流電圧が第2のしきい値レベルまで上昇したときに、スイッチ回路(すなわちバイパス)がオフする。これによって、例えば、細かなノイズに起因して、バイパスのオン/オフが切り換るような誤動作が生じない。
ここで、例えば、第1のしきい値電圧をさらに低くして、ヒステリシス幅を拡大した場合、バイパスのオン/オフの切り換えの際に、発振状態が生じる可能性は低くなる。しかし、バイパスのオン/オフの切り換えの際に生じる整流電圧の電圧変動の程度は、外付け部品の特性(例えば、入出力特性を決める定数等)によって変動する。また、バイパス制御のためのヒステリシス幅をあまりに広く設定すると、給電対象の負荷への給電量が低下してもバイパスがオンしにくくなる。また、バイパスのオンが解除されにくくなり、この場合、レギュレータによる給電電圧の制御が働かない期間が長くなるため、結果的に、受電装置の耐圧マージンが減少する。この場合には、高効率化を実現し、かつ安全な動作を保障するという本来の目的が達成できなくなる。
そこで、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅は、上述の本来の目的を達成可能な範囲に設定し、バイパスのオン/オフの際に生じる可能性がある発振については、別途、発振防止回路によって対策するようにしたものである。
(3)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記バイパス制御信号出力回路は、前記発振防止回路によって、前記スイッチ回路がオン状態となる回数が所与の許可回数m(mは1以上の整数)に達したことが検出されると、(m+1)回目の前記スイッチ回路のオンを禁止する。
本態様では、バイパス(スイッチ回路)がオン状態となることができる回数(バイパスオン回数)に制限を設けることによって、バイパス(スイッチ回路)のオン/オフ切り換えに起因して生じる発振を確実に防止する。同一の負荷への給電期間中においては、給電不足を補うためにバイパスをオンさせるような事態は、それほど多くは発生しないと考えられる。
そこで、バイパス(スイッチ回路)がオン状態になることが許容される回数(バイパスオン許可回数)をm回に設定する。mの値を適切な値に設定すれば、給電不足を補うためにバイパス(スイッチ回路)をオンさせることを妨げることなく、発振を確実に防止することができる。すなわち、(m+1)回目のバイパス(スイッチ回路)のオンは禁止されるため、発振は確実に阻止される。
(4)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記所与の許可回数mは“1”に設定される。
同一の負荷への給電期間中においては、給電不足を補うためにバイパスをオンさせるような事態は、それほど多くはないと考えられる。基本的には、同一の負荷への給電期間中においては、1回だけバイパスがオンすれば足りる場合が多いと考えられる。例えば、2次電池を充電する場合、充電の初期に、消耗している2次電池に大量に電流を供給する必要性からバイパスがオンすることが多い。その後、2次電池がある程度、充電されると、受電装置の整流電圧は徐々に上昇していき、整流電圧が所与のレベルを超えるバイパスが解除され、受電装置の整流電圧は安定化し、やがて、2次電池は満充電状態となる、というのが、一般的な充電動作である。また、2次電池以外の負荷に給電する場合も、同一の負荷への給電中には、バイパスは1回だけオンすればよい、というケースは多いと考えられる。
そこで、本態様では、同一対象の負荷への給電期間中には、バイパスのオンを1回のみ許可する。したがって、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンすると、2回目のバイパスのオン(すなわち、2回目のスイッチ回路のオン)は禁止されることになる。
例えば、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換ったことが発振防止回路により検出されると、第2回目のバイパスのオンが禁止される。この場合、「第1回目のバイパスのオン状態が終了した状態」が、「発振を生じさせ得る状態」である。つまり、発振防止回路によって、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると、第2回目のバイパスのオンが禁止され、これによって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態は、未然に、確実に防止される。
(5)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記バイパス制御信号出力回路は、前記発振防止回路によって前記発振状態または前記発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、前記スイッチ回路のオンを所与の時間だけ禁止し、前記所与の時間の経過後に、前記スイッチ回路のオンの禁止を解除する。
同一の給電対象の負荷に対する給電期間中においては、バイパスがオンする回数は基本的には1回程度と考えられるが、しかし、何らかの理由によって、給電能力が不足する状態が、2回、3回と生じる場合もあり得る。このような場合には、バイパスをオンして、十分な電流を負荷に対して供給できるようにするのが好ましい。一方、バイパスのオン/オフに起因して生じる瞬時的な整流電圧の大きな変動は、長く継続せず、ある程度の時間が経過すると収束するのが一般的である。
そこで、本態様では、バイパス制御信号が、例えばアクティブレベルになることを所与の時間内(例えば10秒程度)において禁止し、これによって、この期間内では、バイパス(スイッチ回路)のオンが禁止される。そして、その所与の時間が経過すると、バイパス(スイッチ回路)のオンの禁止を解除する。バイパスのオン/オフの切り換えタイミングから所与の時間内はバイパスのオンが禁じられることから、バイパスのオン/オフに起因して生じる発振は確実に防止される。また、同一の給電対象の負荷に対する給電期間中において、給電能力が不足する状態が複数回、生じる場合には、その都度、バイパスをオンして給電量の不足を補うことができる。
(6)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記バイパス制御信号出力回路は、前記発振防止回路によって、前記スイッチ回路の最初のオン状態からオフ状態への変化が検出されると、前記スイッチ回路のオンを所与の時間だけ禁止し、前記所与の時間の経過後に、前記スイッチ回路のオンの禁止を解除する。
本態様では、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換ったことが発振防止回路により検出されると、そのタイミングから所与の期間(例えば、10秒程度の期間)は、第2回目のバイパスのオンが禁止される。この場合、「第1回目のバイパスのオン状態が終了した状態」が、「発振を生じさせ得る状態」である。つまり、発振防止回路によって、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると、所与の時間だけ第2回目のバイパス(スイッチ回路)のオンが禁止され、これによって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態は、未然に、確実に防止される。
(7)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記バイパス制御信号出力回路は、前記発振防止回路によって、前記バイパス経路が最初のオン状態からオフ状態に変化し、さらにオン状態に変化したことが検出されると、前記スイッチ回路のオンを所与の時間だけ禁止し、前記所与の時間の経過後に、前記スイッチ回路のオンの禁止を解除する。
本態様では、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換り、その後(例えば直後)に、バイパスが再びオン(第2回目のオン)になったことが発振防止回路により検出されるとバイパスがオフされ、そのタイミングから所与の期間(例えば、10秒程度の期間)は、次のバイパスのオン(第3回目のバイパスのオン)が禁止される。
この場合、バイパスがオン状態からオフ状態に変化し、直後に再びオン状態に変化することによって、1回だけ発振状態が生じるが、その後、バイパスのオンが繰り返される事態が生じない。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態が継続されることが、確実に防止される。本態様では、実際に発振状態が生じたことを検出しているため、誤って発振防止機能が動作することがないという利点がある。
(8)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記電圧検出回路は、前記検出信号を出力するヒステリシスコンパレータを有し、前記発振防止回路によって前記発振状態、あるいは前記発振状態を生じさせ得る状態が検出される前においては、前記ヒステリシスコンパレータの出力信号のレベルは、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルが、第1のしきい値電圧より低下すると第1のレベルとなり、前記第1のしきい値電圧より高い電圧である第2のしきい値電圧を超えると第2のレベルとなり、前記発振防止回路によって前記発振状態、あるいは前記発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、前記ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性が変更され、これによって、前記ヒステリシスコンパレータの出力信号のレベルは、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルが、前記第1のしきい値電圧よりも低い電圧である第3のしきい値電圧を下回ると前記第1のレベルとなり、前記第3のしきい値電圧は、前記発振状態においては下回ることがない電圧であって、かつ、前記給電対象の負荷への給電量が不足する場合においては下回ることがある電圧に設定される。
本態様では、発振防止回路によって発振状態、あるいは発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパス制御に使用されるヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を拡大し、発振が生じないようにする。
上述のとおり、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を利用して、バイパスのオン/オフの切り換え制御を実行する。つまり、整流電圧が第1のしきい値レベルまで低下するとバイパスがオンし、その後、整流電圧が第2のしきい値レベルまで上昇したときにバイパスがオフする。そして、本態様では、発振防止回路によって発振状態、あるいは発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパスをオンするしきい値電圧が、第1のしきい値電圧よりも低い電圧である第3のしきい値電圧に変更される。この結果、発振状態が生じたとしても、整流電圧(レギュレータの入力ノードの電圧および出力ノードの電圧の少なくとも一方)が、第3のしきい値電圧を下回ることが困難となり、発振を阻止すること、あるいは、発振の継続を阻止することができる。
第3のしきい値電圧は、発振状態においては下回ることがない電圧であって、かつ、給電対象の負荷への給電量が不足する場合においては下回ることがある電圧に設定するのが好ましい。すなわち、バイパス制御のためのヒステリシス幅をあまりに広げすぎると、給電対象の負荷への給電量が低下してもバイパスがオンしにくくなり、また、バイパスのオンが解除されにくくなるという不都合が生じるため、第3のしきい値電圧のレベルは、発振を阻止でき、かつ、給電量の不足によるバイパスオンの要請には応えることができるような、適切なレベルに設定するのが好ましい。
(9)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記発振防止回路によって、前記スイッチ回路の最初のオン状態からオフ状態への変化が検出されると、前記ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性が変更され、これによって、前記ヒステリシスコンパレータの出力信号のレベルは、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルが前記第3のしきい値電圧を下回ると前記第1のレベルとなる。
受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換ったことが発振防止回路により検出されると、バイパスをオンさせるためのしきい値が、第1のしきい値電圧から第3のしきい値電圧に変更される。
この場合、「第1回目のバイパスのオン状態が終了した状態」が、「発振を生じさせ得る状態」である。つまり、発振防止回路によって、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると、ヒステリシス幅が拡大される。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態が、未然に防止される。
(10)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記発振防止回路によって、前記スイッチ回路が最初のオン状態からオフ状態に変化し、さらにオン状態に変化したことが検出されると、前記ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性が変更され、これによって、前記ヒステリシスコンパレータの出力信号のレベルは、前記レギュレータの前記入力ノードおよび前記出力ノードの少なくとも一方の電圧レベルが前記第3のしきい値電圧を下回ると前記第1のレベルとなる。
本態様では、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換り、その直後に、バイパスが再びオン(第2回目のオン)になったことが発振防止回路により検出されると、バイパスをオンさせるためのしきい値が、第1のしきい値電圧から第3のしきい値電圧に変更され、ヒステリシス幅が拡大される。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態が防止される。本態様では、実際に発振状態が生じたことを検出しているため、誤って発振防止機能(ヒステリシス幅を拡大する機能)が動作することがないという利点がある。
(11)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性が変更された状態は、前記変更のタイミングから所与の時間だけ継続し、前記時間が経過すると、前記ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性は、前記ヒステリシス特性の変更前の状態に戻る。
本態様では、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅の変更は、所与の時間(例えば、10秒程度)だけ継続され、その時間の経過後、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス特性は、変更前の状態に戻る。
バイパスのオン/オフの切り換えタイミングから所与の期間内はヒステリシス幅を広げることによって発振を防止する。一方、所与の期間の経過後はヒステリシス幅をもとに戻して、バイパスがオンしにくい状況をなくし、負荷への給電能力の不足が生じたときには、速やかにバイパスをオンさせることができるようにする。
(12)本発明の受電装置の一態様は、前記整流回路を含み、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、前記レギュレータと、前記レギュレータの入力端および出力端との間に設けられた前記スイッチ回路と、を含み、前記給電対象の負荷への給電を制御する給電制御部と、を含む。
本態様によれば、小型、低損失、低発熱という優れた特性をもち、かつ、バイパスのオン/オフが繰り返される発振状態が確実に防止可能な、高い信頼性をもつ無接点電力伝送システムの受電装置が実現される。
(13)本発明の受電装置の他の態様では、前記レギュレータおよび前記スイッチ回路は、外付け部品である。
バイパスのオン/オフの切り換えの際に生じる整流電圧の電圧変動の程度は、外付け部品の特性(例えば、入出力特性を決める定数等)によって変動する。本発明を用いない場合は、発振防止の観点から、採用可能な外付け部品が限定される場合もあり得る。本発明によれば、発振が確実に防止される。よって、受電モジュールを使用するユーザは、外付け部品としての2次コイルやレギュレータ、あるいは、バイパス経路を形成するためのパワースイッチングトランジスタ等を自由に選定することができる。
(14)本発明の電子機器の一態様は、上記の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される給電対象の負荷と、を含む。
本発明は、多様な電子機器(例えば、腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車など)に適用可能である。特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。また、バイパスのオン/オフが繰り返される発振状態が確実に防止されるため、給電対象の負荷への安定化した電力供給が実現される。よって、電子機器の信頼性はさらに向上する。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
以下、無接点電力伝送システムについて説明する。
(電子機器の構成)
図1(A)〜図1(C)は、無接点電力システムの一例の構成を示す図である。図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させたりすることができる。
なお、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
なお、図1(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
例えば図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。図1(C)のようなコイルにも本実施形態は適用可能である。なお図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
また、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車などの種々の電子機器に適用できる。
特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。
特に、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)は、高負荷時の充電電流量が大きく、発熱の問題も顕在化しやすい。また、時計(ウオッチ)は小型化かつ低消費電力性が厳しく求められる機器であり、電池の充電時の低損失性が重要である。よって、これらの機器は、本発明が有する低損失かつ低発熱という特性を十分に活かすことが可能な機器といえる。
(送電装置および受電装置の構成の具体例)
図2は、送電装置、受電装置を含む無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図である。
送電装置10は、送電制御装置20と、送電部12と、波形モニタ回路14と、表示部16と、を有する。また、送電制御装置20は、送電側制御回路22と、発振回路24と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、を有する。
また、受電装置40には、受電部42と、負荷変調部46と、給電制御部48と、受電制御装置50と、が設けられている。また、無接点電力伝送システムにおける給電対象の負荷は、2次電池(例えば、リチウムイオン電池)94である。2次電池94の充電は、充電装置(チャージャ)90により管理される。以下、具体的に説明する。
充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2に示される送電装置10を含む。また、携帯電話機510などの受電側の電子機器は、少なくとも受電装置40と、充電装置90と、給電対象の負荷94と、を含む。
そして、図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の電圧出力端子TA1から、給電対象の負荷94に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、波形モニタ回路14、表示部16、送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部、波形モニタ回路)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(あるいはバッファ回路)であり、送電制御装置20のドライバ制御回路26により制御される。
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
1次コイルL1と2次コイルL2としては、例えば、平面コイルを用いることができる。波形モニタ回路14は、1次コイルL1の誘起電圧を検出する回路であり、例えば、抵抗RA1、RA2や、RA1とRA2の接続ノードNA3とGND(広義には低電位側電源)との間に設けられるダイオードDA1を含む。具体的には、1次コイルの誘起電圧を抵抗RA1、RA2で分圧することによって得られた信号PHINが、送電制御装置20の波形検出回路28に入力される。
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示装置)などにより実現される。
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、送電側制御回路22と、発振回路24と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、を含む。
また、送電側制御回路22は、送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。
具体的には、送電側制御回路22は、電力伝送、負荷検出、周波数変調、異物検出、あるいは着脱検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。送電側制御回路22は、例えば、動作スイッチのオンを契機として、受電装置40に対する、位置検出やID認証用の仮送電を開始する。
発振回路24は、例えば、水晶発振回路により構成され、1次側のクロック(駆動クロックDRCK)を生成する。ドライバ制御回路26は、発振回路24で生成されたクロックや制御回路22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバ(不図示)に出力し、その送電ドライバの動作を制御する。
波形検出回路28は、1次コイルL1の一端の誘起電圧に相当する信号PHINの波形をモニタし、負荷検出、異物検出等を行う。例えば、受電装置40の負荷変調部46が、送電装置10に対してデータを送信するための負荷変調を行うと、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形が、それに対応して変化する。
例えば、データ「0」を送信するために、受電装置40の負荷変調部46が負荷を低くすると、信号波形の振幅(ピーク電圧)が小さくなり、データ「1」を送信するために負荷を高くすると、信号波形の振幅が大きくなる。したがって、波形検出回路28は、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40からのデータが「0」なのか「1」なのかを判断できる。なお、波形検出の手法は、上述の手法に限定されない。例えば、受電側の負荷が高くなったか低くなったかを、ピーク電圧以外の物理量(電流と電圧の位相差や、電圧波形に基づいて生成されるパルスのパルス幅等)を用いて判断してもよい。
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4を含む。ダイオードDB1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と直流電圧VDCの生成ノードNB3との間に設けられ、DB2は、ノードNB3と2次コイルL2の他端のノードNB2との間に設けられ、DB3は、ノードNB2とVSSのノードNB4との間に設けられ、DB4は、ノードNB4とNB1との間に設けられる。
受電部42の抵抗RB1、RB2はノードNB1とNB4との間に設けられる。そしてノードNB1、NB4間の電圧を抵抗RB1、RB2により分圧することで得られた信号CCMPIが、受電制御装置50の周波数検出回路60に入力される。
受電部42のコンデンサCB1及び抵抗RB4、RB5は、直流電圧VDCのノードNB3とVSSのノードNB4との間に設けられる。そしてノードNB3、NB4間の電圧を抵抗RB4、RB5により分圧して得られる分圧電圧VD4は、信号線LP2を経由して、受電側制御回路52および位置検出回路56に入力される。位置検出回路56に関しては、その分圧電圧VD4が、位置検出のための信号入力(ADIN)となる。
負荷変調部46は、負荷変調処理を行う。具体的には、受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させ、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。
このトランジスタTB3は、受電制御装置50の受電側制御回路52から信号線LP3を経由して与えられる制御信号P3Qによりオン/オフ制御される。本送電が開始される前の認証ステージにおいて、負荷変調トランジスタTB3をオン/オフ制御して負荷変調を行って送電装置に信号を送信する。
例えば、データ「0」を送信するために2次側を低負荷(インピーダンス大)にする場合には、負荷変調トランジスタTB3の駆動信号P3QがLレベルになって負荷変調トランジスタTB3がオフになる。これにより負荷変調部46の負荷はほぼ無限大(無負荷)になる。一方、データ「1」を送信するために2次側を高負荷(インピーダンス小)にする場合には、負荷変調トランジスタTB3の駆動信号P3QがHレベルになって、負荷変調トランジスタTB3がオンになる。これにより負荷変調部46の負荷は、抵抗RB3(高負荷)になる。
給電制御部48は、給電対象の負荷94への電力の給電を制御する。レギュレータ(LDO)49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。VD5は、レギュレータ(LDO)49の出力端の電圧である。受電制御装置50は、この電源電圧VD5によって動作する。
また、レギュレータ(LDO)49の入力端と出力端との間には、PMOSトランジスタ(M1)からなるスイッチ回路が設けられている。このスイッチ回路としてのPMOSトランジスタ(M1)をオンすることによって、レギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。例えば、高負荷時(例えば、消耗が激しい2次電池の充電の初期においては、ほぼ一定の大電流を定常的に流すことが必要となり、このようなときが高負荷時に該当する)においては、レギュレータ49自体の等価インピーダンスによって電力ロスが増大し、発熱も増大することから、レギュレータを迂回して、バイパス経路を経由して電流を負荷に供給するようにする。
バイパス形成用のスイッチとしてのPMOSトランジスタM1のオン/オフを制御するために、パイパス制御用のNMOSトランジスタM2およびプルアップ抵抗R8が設けられている。
受電側制御回路52から、信号線LP4を介して、ハイレベルのバイパス制御信号VPBPがNMOSトランジスタM2のゲートに与えられると、NMOSトランジスタM2がオンする。すると、PMOSトランジスタM1のゲートがローレベルになり、PMOSトランジスタM1がオンしてレギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。一方、NMOSトランジスタM2がオフ状態のときは、PMOSトランジスタM1のゲートは、プルアップ抵抗R8を介してハイレベルに維持されるため、PMOSトランジスタM1はオフし、バイパス経路は形成されない。
バイパス経路のオン/オフ(すなわち、NMOSトランジスタM2のオン/オフ)は、受電制御装置50に含まれる受電側制御回路52によって制御される。バイパスのオン/オフに関係する受電側制御回路52の構成と、その動作については後述する。
また、トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ)は、電源電圧VD5の生成ノードNB5(レギュレター49の出力ノード)とトランジスタTB1(ノードNB6)との間に設けられ、受電制御装置50の受電側制御回路52からの信号P1Qにより制御される。具体的には、トランジスタTB2は、ID認証が完了(確立)して通常の電力伝送を行う場合にはオン状態となる。
なお、電源電圧生成ノードNB5とトランジスタTB2のゲートのノードNB8との間にはプルアップ抵抗RU2が設けられる。
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧VD5により動作することができる。また、受電制御装置50は、受電側制御回路52と、位置検出回路56と、発振回路58と、周波数検出回路60と、満充電検出回路62と、を含むことができる。
受電側制御回路52は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。この受電側制御回路52は、シリーズレギュレータ(LDO)49の出力ノードの定電圧(VD5)を電源として動作する。この電源電圧(VD5)は、電源供給線LP1を経由して、受電側制御回路52に与えられる。
この受電側制御回路52は、具体的には、ID認証、位置検出、周波数検出、満充電検出、認証用の通信のための負荷変調、異物挿入検出を可能とするための通信のための負荷変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
また、受電側制御回路52には、通常送電中に、給電対象の負荷94への給電を一時的に停止するための電力供給制御信号(ICUTX)を出力するための、電力供給制御信号出力端子TS1が設けられている。電力供給制御信号(ICUTX)は、負荷変調が実行される期間(つまり、負荷変調トランジスタTB3がオン/オフされる期間)において、アクティブレベルとなる。電力供給制御信号(ICUTX)は、充電装置90に与えられる。すなわち、電力供給制御信号(ICUTX)は、電力供給制御信号出力端子TS1、ならびに、受電装置(受電モジュール)40に設けられた端子TA3、さらに充電装置90に設けられた端子TA7を経由して、充電装置90に供給される。
充電装置90には、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3が設けられている。電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3のゲートは、通常状態では、プルダウン抵抗R16によって接地され、よって、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3はオン状態である。したがって、通常状態では、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3を経由して、2次電池(給電対象の負荷)94に電流が供給される。
受電側制御回路52の電力供給制御信号出力端子TS1から出力される電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブレベル(Hレベル)になると、充電装置90には、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3のゲートがハイレベルになって、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3がオフする。これによって、2次電池(負荷)94への給電が一時的に停止する。電力供給制御信号(ICUTX)が非アクティブレベル(Lレベル)になると、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3は、オン状態に復帰する。
また、位置検出回路56は、2次コイルL2の誘起電圧の波形に相当する信号ADINの波形を監視して、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。具体的には、信号ADINをコンパレータで2値に変換して、位置関係が適正であるか否かを判断する。
発振回路58は、例えばCR発振回路により構成され、2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出して、送電装置10からの送信データが「1」なのか「0」なのかを判断する。
満充電検出回路62(充電検出回路)には、充電装置90に含まれる充電制御装置92から出力される信号LEDRが、端子TA4および端子TS2を経由して入力される。充電制御装置92は、給電対象の負荷である2次電池94の充電状態を監視し、所定の条件(例えば、電圧が4.2Vであり、電流が所定値以下となる状態が所定時間だけ継続するという条件)を満足するか否かによって、2次電池94の満充電を検出する。充電制御装置92は、満充電が検出されると、信号LEDRをHレベルからLレベルに変化させる。これによって、充電状態の表示に使用される発光ダイオード(LED)が順バイアスされて点灯する。また、満充電検出回路62は、信号LEDRの電圧レベルの変化に基づいて、2次電池94が満充電状態になったことを知ることができる。
また、充電装置90は、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3と、給電対象の負荷である2次電池(バッテリ)94の充電制御等を行う充電制御装置92と、充電制御トランジスタM5と、電流検出抵抗R15と、を含む。充電制御装置92は、例えば、電流検出抵抗R15の両端の電位を検出し、検出結果に基づいて負帰還制御を実行し、例えば、充電電流が一定になるように(あるいは、充電電圧が一定になるように)、充電制御トランジスタM5のオン状態を制御する。また、充電制御装置92は、発光装置(LED)の点灯状態に基づいて満充電状態を検出することができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。
なお、受電装置40は、4つの端子(TA1〜TB1)を有する。また、充電装置(チャージャ)90は、5つの端子(TA5〜TA9)を有する。受電制御装置50は、2つの端子(ICUTX信号の出力端子TS1,LEDR信号の入力端子TS2)を有する。なお、給電対象の負荷は、2次電池に限定されるものではない。例えば、所定の回路が動作することによって、その回路が負荷となる場合もあり得る。
(通信方式の説明)
図3(A),図3(B)は、送電装置と受電装置との間の通信方式を説明するための図である。図3(A)は、送電装置から受電装置に信号を送信する場合の通信方式(周波数変調)を示し、図3(B)は、受電装置から送電装置に信号を送信する場合の通信方式(負荷変調)を示している。
図3(A)に示すように、周波数変調によって、送信周波数を、f1とf2との間で切り換えることによって、送電装置は、受電装置に「1」および「0」を送信することができる。
また、図3(B)に示すように、受電装置は、受電装置の負荷を変調することによって、送電装置に、「0」および「1」を送信することができる。すなわち、負荷変調部46に設けられる負荷変調トランジスタTB3がオン/オフされると、1次コイルL1のコイル端電圧は、例えば、図3(B)に示すように示すように変化する。したがって、送電側制御回路22は、例えば、1次コイルL1のコイル端(ノードNA2)の電圧をしきい値電圧と比較することによって、負荷変調信号が「0」であるか、「1」であるかを検出することができる。
(バイパスのオン/オフ切り換えに起因する発振を防止するための構成例)
図4は、バイパスのオン/オフ切り換えに起因する発振を防止するための構成の一例を示す図である。
受電制御装置50は、受電側制御回路52を有し、受電側制御回路52は、バイパス制御部105を有する。バイパス制御部105は、電圧検出回路106と、電圧検出回路106から出力される検出信号SCMPに基づいて、バイパス制御スイッチ(スイッチ回路)SW10のオン/オフを制御するバイパス制御信号VPBPを出力するバイパス制御信号出力回路109と、発振防止回路111と、を有する。
電圧検出回路106は、受電装置40における整流電圧の電圧レベルを検出する。すなわち、電圧検出回路106は、レギュレータ(LDO)49の入力ノードの電圧Vinおよび出力ノードの電圧VD5の少なくとも一方を検出することができる。入力ノードの電圧Vinが変動すれば、出力ノードの電圧VD5も変動するため、基本的には、電圧検出回路106は、電圧Vinと電圧VD5のいずれかを検出すればよく、また、電圧Vinと電圧VD5の双方を検出することもできる。
但し、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの方が、給電対象の負荷(2次電池94)に近いため、出力ノードの電圧VD5をモニタした方が、給電電圧の電圧レベルをより正確に検出できる。よって、電圧Vinと電圧VD5のいずれか一方を検出するのであれば、出力ノードの電圧VD5の電圧レベルを検出するのが好ましい。以下、電圧検出回路106は、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5を検出するものとして説明する。
電圧検出回路106は、例えば、ヒステリシスコンパレータを含み、ヒステリシスコンパレータから出力される検出信号SCMPの電圧レベルは、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルが、第1のしきい値電圧(例えば、4.9V)を下回ると第1のレベル(例えばH:アクティブレベル)となり、第1のしきい値電圧より高い電圧である第2のしきい値電圧(例えば、5.2V)を超えると第2のレベル(例えばL:非アクティブレベル)となる。
バイパス制御信号出力回路109は、電圧検出回路106から出力される検出信号SCMPがアクティブレベルの期間において、バイパス制御信号VPBPをアクティブレベル(例えばH)とする。これによって、スイッチ回路(バイパス経路を形成するためのスイッチ回路)SW10がオンし、バイパス経路(以下、単にバイパスという場合もある)が形成され、バイパスを経由して電流が給電対象の負荷94に供給される。よって、給電量の不足が解消し、かつ、レギュレータ(LDO)49における電力損失ならびに発熱が生じない。スイッチ回路SW10は、例えば、図2に示されるように、PMOSトランジスタM1およびNMOSトランジスタM2によって構成することができる。
また、バイパス制御信号出力回路109は、電圧検出回路106から出力される検出信号SCMPが非アクティブレベル(例えばL)になると、バイパス制御信号VPBPを非アクティブレベル(例えばL)とする。これによって、バイパス制御スイッチSW10がオフし、バイパスがオフする。
バイパスのオン/オフ制御のためにヒステリシスコンパレータを使用することによって、例えば、細かなノイズに起因して、バイパスのオン/オフが切り換るような誤動作が生じない。
発振防止回路111は、バイパスのオン/オフの切り換えに伴って生じる可能性のある発振状態を防止するために設けられている。ここで、発振とは、例えば、バイパスがオフ状態になった後(具体的には直後)にバイパスがオン状態になり、あるいは、バイパスがオン状態になった後(具体的には直後)にバイパスがオフ状態になる動作、あるいは、その動作が繰り返されることをいう。
上述のとおり、バイパス制御信号出力回路109は、原則として、電圧検出回路106の検出信号SCMPに基づいて、バイパスのオン/オフを制御する。但し、発振防止回路111によって、「発振状態」または「発振状態を生じさせ得る状態」が検出されると、バイパス正制御信号出力回路109は、バイパス制御信号VPBPのレベルを非アクティブレベルに固定して、スイッチ回路SW10をオフ状態とする。つまり、バイパス制御信号出力回路109は、発振状態または発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパスのオンを禁止する。ここで、「発振状態を生じさせ得る状態」は、例えば、オン状態のバイパスがオフ状態に移行したときである。つまり、その直後に、バイパスが再びオン状態に移行すると発振状態となる。言い換えるならば、オン状態のバイパスがオフ状態に移行したとき、その直後に発振が生じる可能性が生じたと考えることができる。このように「発振が生じる可能性が生じた状態」が、「発振状態を生じさせ得る状態」である。
したがって、図4の回路構成によれば、レギュレータ(LDO)49のバイパス技術によって受電装置40における電力損失および発熱を低減させることができ、その一方、バイパスのオン/オフの切り換えによって、受電装置の整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じた場合でも、発振状態を確実に防止することができる。よって、受電装置の信頼性を高めることができる。
図5は、バイパスのオン/オフの制御例を説明するための図である。図5に示すように、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5は、時刻t1に第1のしきい値電圧(4.9V)を下回り、この状態は、時刻t4まで継続する。したがって、時刻t1〜時刻t4までの期間T100がバイパスオン期間となる。時刻t4に、電圧VD5は第2のしきい値電圧(5.2V)を超えるため、バイパスはオフする。期間T99ならびに期間T101はバイパスオフ期間である
(発振状態の説明)
図6は、バイパスのオン/オフに起因して生じる発振状態を説明するための図である。図6では、時刻t4以降、バイパスのオン/オフが繰り返され、発振状態が生じている。
上述のとおり、2次コイル、レギュレータ(例えば、LDOのようなシリーズレギュレータ)、ならびに、バイパス経路を形成するためのスイッチ回路(例えば、パワースイッチングトランジスタ)等は、外付け部品であり、採用された外付け部品の特性によっては、バイパスのオン/オフの切り換えの際に、整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じる場合が生じ得る。
例えば、バイパスがオン状態(大電流を流している状態)からオフ状態(レギュレータ49により電流や電圧が制御される状態)に切り換ったとき、レギュレータ49を経由して流れる電流とレギュレータのオン抵抗によって生じる電圧降下によって、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5が瞬時的に低下する。その低下の程度が、バイパス制御のためのヒステリシス幅(図5における5.2Vと4.9Vの差電圧)よりも大きいと、バイパスは再びオン状態となり、発振状態が生じる。
ここで、例えば、第2のしきい値電圧(4.9V)をさらに低くして、ヒステリシス幅を拡大した場合、バイパスのオン/オフの切り換えの際に、発振状態が生じる可能性は低くなる。しかし、バイパスのオン/オフの切り換えの際に生じる整流電圧(電圧VD5)の電圧変動の程度は、外付け部品の特性(例えば、入出力特性を決める定数等)によって変動する。また、バイパス制御のためのヒステリシス幅をあまりに広く設定すると、給電対象の負荷94への給電量が低下してもバイパスがオンしにくくなる。また、バイパスのオンが解除されにくくなり、この場合、レギュレータ(LDO)49による給電電圧の制御が働かない期間が長くなるため、結果的に、受電装置の耐圧マージンが減少する。この場合には、高効率化を実現し、かつ安全な動作を保障するという本来の目的が達成できなくなる。
そこで、本実施形態では、バイパスのオン/オフ制御のためのヒステリシス幅(つまり、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅)は、上述の本来の目的を達成可能な範囲に設定し、バイパスのオン/オフの際に生じる可能性がある発振については、別途、発振防止回路111を設けることによって対策する。
(具体的な発振対策の説明)
発振防止のための対策としては、バイパスのオン回数を制限する方法と、バイパス禁止区間を設定する方法と、ヒステリシス幅を拡大する方法と、がある。以下、順に説明する。
(1)バイパスのオン回数を制限する方法
図7は、発振対策の一例(バイパスのオン回数制限)を説明するための図である。例えば、バイパス制御信号出力回路109は、発振防止回路111によって、バイパスがオン状態となる回数が所与の許可回数m(mは1以上の整数)に達したことが検出されると、(m+1)回目のバイパスのオン(すなわちスイッチ回路のオン)を禁止する。すなわち、バイパスがオン状態となることができる回数(バイパスオン回数)に制限を設けることによって、バイパスのオン/オフ切り換えに起因して生じる発振を確実に防止することができる。
図7において、時刻t1〜時刻t4までの期間(期間T100)が、バイパス制御信号VPBPの第1回目の出力期間(すなわち、VPBPがアクティブレベルになる第1回目の期間)である。時刻t4にバイパスは解除される。
ここで、バイパスのオン許可回数m=1のときは、2回目以降のバイパスのオンは禁止される。つまり、時刻t5において、電圧VD5は第1のしきい値4.9Vを下回るが、バイパス制御信号VPBPがアクティブレベルにならないため、バイパスがオンしない。よって、発振が未然に防止される。
ここで、m=1の場合について考察する。基本的には、同一の負荷への給電期間中においては、1回だけバイパスがオンすれば足りる場合が多いと考えられる。例えば、2次電池を充電する場合、充電の初期に、消耗している2次電池に大量に電流を供給する必要性からバイパスがオンすることが多い。その後、2次電池がある程度、充電されると、受電装置の整流電圧は徐々に上昇していき、整流電圧が所与のレベルを超えるバイパスが解除され、受電装置の整流電圧は安定化し、やがて、2次電池は満充電状態となる、というのが、一般的な充電動作である。また、2次電池以外の負荷に給電する場合も、同一の負荷への給電中には、バイパスは1回だけオンすればよい、というケースは多いと考えられる。
この場合には、m=1に設定するのが有効である。つまり、同一対象の負荷への給電期間中には、バイパスのオン(スイッチ回路SW10のオン)を1回のみ許可する。したがって、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンすると、2回目のバイパスのオンは禁止される。
図7において、受電装置40の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(第1回目のオン:時刻t1)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換わる(時刻t4)。上述のとおり、第1回目のバイパスのオン状態が終了した状態(時刻t4における状態)が、「発振を生じさせ得る状態」である。つまり、発振防止回路111によって、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると、時刻t5における第2回目のバイパスのオンが禁止され、これによって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態は、未然に、確実に防止される。
また、m=2に設定される場合は、同一対象の負荷への給電中において、2回のバイパスのオンが許容され、3回目のバイパスのオンが禁止される。図7において、時刻t5にバイパスが瞬時的にオンするが(第2回目のオン)、時刻t7における第3回目のオンは、確実に防止される。
バイパスがオン状態になることが許容される回数(バイパスオン許可回数)mの値を適切な値に設定すれば、給電不足を補うためにバイパスをオンさせることを妨げることなく、発振を確実に防止することができる。すなわち、(m+1)回目のバイパスのオンは禁止されるため、発振は確実に阻止される。
(2)バイパス禁止区間を設定する方法
図8は、発振対策の他の例(バイパスの禁止区間を設定する方法)を説明するための図である。図8に示されるように、発振防止回路111によって発振状態または発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパス制御信号VPBPのレベルが所与の時間(例えば10秒間)だけ非アクティブレベルに固定され、その期間中は、スイッチ回路SW10のオンが禁止される。そして、その所与の時間の経過後に、スイッチ回路SW10のオンの禁止が解除される。
例えば、バイパスがオン状態からオフ状態になったことが発振防止回路111によって検出されると(図8の時刻t4)、そのタイミング((時刻t4)から、例えば、10秒間のバイパス禁止区間T200を設けることができる。
第1回目のバイパスのオン状態が終了した状態(時刻t4における状態)が、発振を生じさせ得る状態である。つまり、発振防止回路111によって、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると、所与の時間だけバイパスのオンが禁止される。これによって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態は、未然に確実に防止される。
また、バイパスがオン状態からオフ状態になり(時刻t4)、その直後、再びオン状態になったことが発振防止回路111によって検出されると(図8の時刻t5)、そのタイミング((時刻t5)から、例えば、10秒間のバイパス禁止区間T201を設けることができる。この例の場合、受電装置の給電能力の不足を補うためにバイパスがオンし(時刻t1)、次に、バイパスがオン状態からオフ状態に切り換り(時刻t4)、その直後に、バイパスが再びオンになったことが発振防止回路により検出されると(時刻t5)、バイパスはオフされ、そのタイミング(時刻t5)から所与の期間(例えば、10秒程度の期間)は、次のバイパスのオン(第3回目のバイパスのオン)が禁止される。
この場合、バイパスがオン状態からオフ状態に変化し、直後に再びオン状態に変化することによって、1回だけ発振状態が生じるが、その後、バイパスのオンが繰り返される事態が生じない。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態が継続されることが、確実に防止される。この例の場合、実際に発振状態が生じたことを検出しているため、誤って発振防止機能が動作することがないという利点がある。
同一の給電対象の負荷に対する給電期間中においては、バイパスがオンする回数は基本的には1回程度と考えられるが、しかし、何らかの理由によって、給電能力が不足する状態が、2回、3回と生じる場合もあり得る。このような場合には、バイパスをオンして、十分な電流を負荷に対して供給できるようにするのが好ましい。一方、バイパスのオン/オフに起因して生じる瞬時的な整流電圧の大きな変動は、長く継続せず、ある程度の時間が経過すると収束するのが一般的である。
そこで、本実施例では、バイパス制御信号VPBPがアクティブレベルになることによるバイパス(スイッチ回路)のオンを、所与の時間内(例えば10秒程度)において禁止し、その時間が経過すると、バイパス制御信号の出力禁止を解除する。バイパスのオンが禁止される期間は、バイパスのオン/オフに起因して生じる瞬時的な整流電圧の大きな変動が継続する時間よりも十分に長く設定される。
本実施例では、バイパスのオン/オフの切り換えタイミングから所与の時間内はバイパス(スイッチ回路)のオンが禁じられることから、バイパスのオン/オフに起因して生じる発振は確実に防止される。また、本実施例では、バイパスのオンの回数が制限されないため、同一の給電対象の負荷94に対する給電期間中において、給電能力が不足する状態が複数回、生じる場合には、その都度、バイパスをオンして給電量の不足を補うことが可能である。
(3)ヒステリシス幅を拡大する方法
図9は、発振対策のさらに他の例(ヒステリシス幅を拡大する方法)を説明するための図である。
本実施例では、発振防止回路111によって発振状態、あるいは発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパス制御に使用されるヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を拡大し、発振が生じないようにする。
上述のとおり、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅を利用して、バイパスのオン/オフの切り換え制御を実行する。つまり、整流電圧が第1のしきい値レベルまで低下するとバイパスがオンし、その後、整流電圧が第2のしきい値レベルまで上昇したときにバイパスがオフする。そして、本実施例では、発振防止回路111によって発振状態、あるいは発振状態を生じさせ得る状態が検出されると、バイパスをオンするしきい値電圧が、第1のしきい値電圧(例えば4.9V)よりも低い電圧である第3のしきい値電圧(例えば、4.75V)に変更される。
この結果、発振状態が生じたとしても、整流電圧(電圧VD5)が、第3のしきい値電圧を下回ることが困難となり、発振を阻止すること、あるいは、発振の継続を阻止することができる。
第3のしきい値電圧は、発振状態においては下回ることがない電圧であって、かつ、給電対象の負荷への給電量が不足する場合においては下回ることがある電圧に設定するのが好ましい。すなわち、バイパス制御のためのヒステリシス幅をあまりに広げすぎると、給電対象の負荷への給電量が低下してもバイパスがオンしにくくなり、また、バイパスのオンが解除されにくくなるという不都合が生じるため、第3のしきい値電圧のレベルは、発振を阻止でき、かつ、給電量の不足によるバイパスオンの要請には応えることができるようなレベルに設定するのが好ましい。
図9に示されるように、時刻t4を、ヒステリシス幅を変更するタイミングとする場合(例(1)および例(3))と、時刻t5を、ヒステリシス幅を変更するタイミングとする場合(例(2)および例(4))とがある。
ここで、時刻t4は、上述のとおり、発振が生じ得る状態が発振防止回路111によって検出されるタイミングである。時刻t5は、発振防止回路111によって、発振状態が検出されるタイミングである。
また、図9の例(3),例(4)に示されるように、変更したヒステリシス幅を、所与の時間経過後に、元のヒステリシス幅に戻すこともできる。
図9の例1の場合、発振を生じさせ得る状態となったことが検出されると(時刻t4)、バイパスをオンさせるためのしきい値電圧が、第1のしきい値電圧から第3のしきい値電圧に変更され、これによってヒステリシス幅が第1のヒステリシス幅HY1から第2のヒステリシス幅HY2に拡大される。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態が、未然に防止される。
また、図9の例2の場合、発振が生じたことが発振防止回路111により検出されると(時刻t5)、バイパスをオンさせるためのしきい値電圧が、第1のしきい値電圧から第3のしきい値電圧に変更され、ヒステリシス幅が第1のヒステリシス幅HY1から第2のヒステリシス幅HY2に拡大される。よって、バイパスのオン/オフの切り換えに起因して生じる発振状態を防止することができる。この例(2)では、実際に発振状態が生じたことを検出しているため、誤って発振防止機能(ヒステリシス幅を拡大する機能)が動作することがないという利点がある。
また、図9の例(3)、例(4)では、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス幅の変更は、所与の時間(例えば、10秒程度)だけ継続され、その時間の経過後、ヒステリシスコンパレータのヒステリシス性は、変更前の状態に戻る。
すなわち、バイパスのオン/オフの切り換えタイミングから所与の期間内はヒステリシス幅を広げることによって発振を防止する。一方、所与の期間の経過後はヒステリシス幅をもとに戻して、バイパスがオンしにくい状況をなくし、負荷への給電能力の不足が生じたときには、速やかにバイパスをオンさせることができるようにする。
図9の例(3)では、時刻t4〜時刻t10までの期間T250において、ヒステリシス幅が第2のヒステリシス幅HY2に拡大され、時刻t10以降の期間(期間T260)では、元のヒステリシス幅(すなわち第1のヒステリシス幅HY1)に戻る。
図9の例(4)では、時刻t5〜時刻t11までの期間T270において、ヒステリシス幅が第2のヒステリシス幅HY2に拡大され、時刻t11以降の期間(期間T280)では、元のヒステリシス幅(すなわち第1のヒステリシス幅HY1)に戻る。
(発振防止回路を有するバイパス制御部の具体的な回路構成の例)
図10は、発振防止回路を有するバイパス制御部の具体的な回路構成の一例を示す図である。
受電制御装置50に含まれる受電側制御回路52は、バイパス制御部105と、を有する。
また、受電装置の給電制御部48には、バイパス制御スイッチAと、バイパス制御スイッチの制御回路Bとが設けられる。バイパス制御スイッチAは、PMOSトランジスタM1により構成される。また、バイパス制御スイッチの制御回路Bは、NMOSトランジスタM2と、プルアップ抵抗R8と、により構成される。なお、バイパス制御スイッチAおよびバイパス制御スイッチの制御回路Bによって、バイパスをオン/オフするためのスイッチ回路SW10が構成される(但し、この構成に限定されるものではない)。
バイパス制御部105は、レギュレータ(LDO)49の出力端の電圧VD5の電圧レベルを検出する電圧検出回路106と、電圧検出回路106から出力される検出信号(コンパレータ出力)SCMPに基づいて、バイパス制御信号VPBPの電圧レベルを切り換えるロジック回路107と、を有する。
ロジック回路107は、バイパス制御信号出力回路109と、発振防止回路111と、ヒステリシス制御回路113と、を有する。
電圧検出回路106は、例えば、ヒステリシスコンパレータによって構成される。図10の電圧検出回路106は、コンパレータ108と、分圧抵抗R50〜R53と、しきい値を切り換えるためのトランジスタMA,MBと、を有する。コンパレータ108の反転端子には、分圧抵抗R50と分圧抵抗R51の共通接続点X1の電圧が供給され、非反転端子には、基準電圧Vref(例えば1.3V)が供給される。
分圧抵抗R52の抵抗値は、分圧抵抗R53の抵抗値よりも大きく設定される。よって、トランジスタMAがオンしたときに流れるバイアス電流I1の電流量は、トランジスタMBがオンしたときに流れるバイアス電流I2の電流量よりも小さい。
バイパスがオフしている状態では、ヒステリシス制御回路113の制御によって、トランジスタMAがオンし、トランジスタMBがオフしている。したがって、分圧抵抗R50,R51ならびにR52を経由してバイアス電流I1が流れている。このとき、コンパレータ108の反転端子の電圧(ノードX1の電位)は、基準電圧Vrefよりも大きく、コンパレータ108の出力はLレベルになっている。
また、上述のとおり、抵抗R52の抵抗値は抵抗53の抵抗値に比べて大きいため、バイアス電流I1の電流量は小さい。よって、分圧抵抗R50で発生する電圧降下は小さい。したがって、レギュレータ49の出力端の電圧VD5が十分に小さくならない限り、コンパレータ108の反転端子に供給される電圧レベル(ノードX1の電位)は、非反転端子に供給される基準電圧Vref(例えば1.3V)を下回らない。
次に、電圧VD5が第1のしきい値(4.9V)よりも低下すると、コンパレータ108の反転端子の電圧(ノードX1の電位)が基準電圧Vrefよりも低下し、コンパレータ108の出力(SCMP)がLレベル(非アクティブレベル)からHレベル(アクティブレベル)に変化する。すると、ヒステリシス制御回路113は、トランジスタMAをオフさせ、トランジスタMBをオンさせる。
抵抗R53の抵抗値は、抵抗R52の抵抗値よりも小さいため、バイアス電流I2の電流量は、バイパス電流I1の電流量よりも大きい。よって、抵抗R50における電圧降下が大きくなる。したがって、電圧VD5の電圧レベルが十分に高くならないと、コンパレータ108の反転端子の電圧(ノードX1の電位)が基準電圧Vrefを超えない。つまり、バイパスがオンした後は、電圧VD5が第2のしきい値電圧(5.2V)を超えたときに、コンパレータ108の出力(SCMP)の電圧レベルが、HレベルからLレベルに変化する。このようにして、ヒステリシスを用いたバイパスのオン/オフ制御が実行される。
一方、バイパス制御信号出力回路109は、上述のとおり、コンパレータ108の出力(SCMP)の電圧レベルがアクティブレベル(H)である期間において、バイパス制御信号VPBPを出力する(すなわち、バイパス制御信号VPBPをアクティブレベル(H)とする)。
また、発振防止回路111は、コンパレータ108の出力(SCMP)の電圧を監視し、発振状態となったこと、あるいは、発振状態が生じ得る状態となったことを検出する。
(発振防止回路の構成の一例)
図11は、発振防止回路の構成の一例を示す図である。図11の回路構成によれば、図7および図8を用いて説明した対策(バイパスのオン回数を制限する対策、ならびに、バイパスオンの禁止区間を設ける対策)を実行することができる。
図11の発振防止回路111は、レベル判定回路と201と、カウンタ203と、リセット回路205と、を有する。
バイパスのオンの回数制限を実行する場合は、カウンタ203に許可回数mがセットされる。カウンタ203のカウント値が、許可回数mに満たない場合は、カウンタ203から出力される制御信号QXはアクティブレベルである。この制御信号QXがアクティブレベルであるときは、バイパス制御信号出力回路109は、コンパレータ108の出力(電圧検出回路106の検出信号)SCMPに基づいてバイパス制御信号VPBPのレベルを切り換えて、バイパス(スイッチ回路)のオン/オフを制御することができる。
レベル判定回路201は、コンパレータ108の出力(電圧検出回路106の検出信号)SCMPの非アクティブレベル(L)からアクティブレベル(H)への変化を検出する。その検出毎にカウンタ203がインクリメントされ、カウント値がmに一致すると、カウンタ203から出力される制御信号QXは非アクティブレベルに変化する。これによって、それ以降は、コンパレータ108の出力(電圧検出回路106の検出信号)SCMPに関係なく、バイパス制御信号出力回路109は、バイパス制御信号VPBPのレベルを非アクティブレベルに固定して、バイパス(スイッチ回路)のオンを禁止する。
また、バイパス禁止区間を設定する場合は、例えば、以下のような動作が実行される。すなわち、カウンタ203のカウント値がmに一致するタイミングで、制御信号QXが非アクティブレベルになる。リセット回路205は、そのタイミングから所定時間が経過したことを、タイマ121を利用して計測し、そのタイミングでカウンタ203をリセットする。これによって、制御信号QXがアクティブレベルに変化し、それ以降は、バイパスのオンが可能となる。
(発振防止回路を有するバイパス制御部の具体的な回路構成の他の例)
図12は、発振防止回路を有するバイパス制御部の具体的な回路構成の他の例を示す図である。図12のバイパス制御部によれば、図9を用いて説明した対策(ヒステリシス幅を変更する対策)を実行することができる。
図12に示される電圧検出回路106では、トランジスタMCおよび分圧抵抗R54が追加されている。分圧抵抗R54の抵抗値は、分圧抵抗R52の抵抗値よりも大きい。よって、バイアス電流I1,I2,I3の電流量を比較すると、I3<I1<I2である。
バイアス電流I3の電流量は小さいことから、分圧抵抗R50で発生する電圧降下は小さい。したがって、レギュレータ49の出力端の電圧VD5が、さらに小さくならない限り(すなわち、第3のしきい値電圧である4.75Vを下回らない限り)、コンパレータ108の反転端子に供給される電圧レベル(ノードX1の電位)は、非反転端子に供給される基準電圧Vref(例えば1.3V)を下回らない。よって、バイパスオフ時において、トランジスタMAをオフして、トランジスタMCをオンさせることによって、バイパスのオン判定に用いるしきい値の電圧レベルを、例えば、4.9Vから4.75Vに低下させることができる。すなわち、ヒステリシス幅を拡大することができる。
(発振防止回路の構成の他の例)
図13は、発振防止回路の構成の他の例(図12の回路構成に対応した構成)を示す図である。図13に示される発振防止回路111の回路構成は、図11に示される回路構成と、ほとんど同じである。但し、図13の発振防止回路111では、カウンタ203から出力される制御信号QYは、ヒステリシス制御回路113に供給される。
図13の発振防止回路111において、例えば、カウンタ203のカウント値がmに一致するタイミングで、制御信号QYが非アクティブレベルになる。ヒステリシス制御回路113は、そのタイミングで、トランジスタMAをオフし、トランジスタMCをオンさせる。これによって、バイパスのオン判定に用いるしきい値の電圧レベルを、例えば、4.9Vから4.75Vに低下させることができ、ヒステリシス幅が拡大される。
また、所定時間経過後に、拡大したヒステリシス幅を元のヒステリシス幅に戻す場合には、以下の制御が実行される。すなわち、リセット回路205は、そのタイミングから所定時間が経過したことを、タイマ121を利用して計測し、そのタイミングでカウンタ203をリセットする。これによって、制御信号QXがアクティブレベルに変化する。このタイミングで、ヒステリシス制御回路113は、トランジスタMCをオフさせ、トランジスタMAをオンさせる。これによって、ヒステリシス幅が元のヒステリシス幅に戻る。
以上説明したように、本発明の幾つかの態様によれば、例えば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減することができ、一方、バイパスのオン/オフの切り換えによって、受電装置の整流電圧に、予想外の瞬時的な大きな電圧変化が生じた場合でも、発振状態を確実に防止することができ、受電装置の信頼性を高めることができる。
したがって、小型、低損失、低発熱という優れた特性をもち、かつ、バイパスのオン/オフの切り換えに起因する発振が生じない、高い信頼性をもつ、無接点電力伝送システム用の受電装置ならびに受電制御装置が実現される。
本態様によれば、小型、低損失、低発熱という優れた特性をもち、かつ、バイパスのオン/オフが繰り返される発振状態が確実に防止可能な、高い信頼性をもつ無接点電力伝送システムの受電装置が実現される。
また、バイパスのオン/オフの切り換えの際に生じる整流電圧の電圧変動の程度は、外付け部品の特性(例えば、入出力特性を決める定数等)によって変動するため、本発明を用いない場合は、発振防止の観点から、採用可能な外付け部品が限定される場合もあり得る。本発明によれば、発振が確実に防止される。よって、受電モジュールを使用するユーザは、外付け部品としての2次コイルやレギュレータ、あるいは、バイパス経路を形成するためのパワースイッチングトランジスタ等を自由に選定することができる。
また、本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。また、バイパスのオン/オフが繰り返される発振状態が確実に防止されるため、給電対象の負荷への安定化した電力供給が実現される。よって、電子機器の信頼性はさらに向上する。
本発明は、多様な電子機器(例えば、腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車など)に適用可能である。特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。また、バイパスのオン/オフの切り換えに起因する発振が生じないため、常に、負荷への安定した給電が実現される。よって、電子機器の信頼性はさらに向上する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、スイッチ回路をオンしてレギュレータをバイパスするときに、併せてレギュレータ自体の動作を停止させることによって、無駄な電力消費および発熱をさらに抑制し、受電した電力のロスを最小限化することができる。レギュレータの構成要素の全部を非動作とする場合には、レギュレータにおける消費電力および発熱を零にすることができる。また、一部の構成要素だけを非動作状態とする場合にも、レギュレータの消費電力および発熱の低減が可能である。したがって、この態様によれば、無接点電力伝送を用いた受電装置における、受電した電力のロスを最小化しつつ、負荷に対する給電能力を効果的に向上させることができ、レギュレータにおける発熱の問題も解消する。
また、例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(外部電源供給装置、低電位側電源、電子機器等)と共に記載された用語(ACアダプタ、GND、携帯電話端末・充電器等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また受電制御装置、その他の制御回路の構成・動作や、ACアダプタ接続検出時の送電手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
レギュレータ(LDO)をバイパスさせるためのスイッチ回路の構成、そのオン/オフのためのバイパス制御部の構成も適宜、最適なものを選択することができる。例えば、複数の半導体素子からなる高機能な回路を用いることもできる。また、レギュレータ周りの温度を検出し、その温度が高温となったときに、バイパス経路をオンさせてレギュレータの発熱を積極的に低減する、といった使用方法も可能である。
本発明は、例えば、無接点電力伝送技術を利用する受電装置(電力供給を受ける側の装置)における電力損失および発熱を、簡単な構成によって効果的に低減することができ、かつ、バイパスのオン/オフに起因する発振を確実に防止することができるという効果を奏し、したがって、例えば、無接点電力伝送を用いた受電制御装置(受電制御LSI)、受電装置(受電モジュール)および電子機器(携帯端末等)等として有用である。