JP2010100888A - 造粒焼結原料の製造方法 - Google Patents

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孝一 市川
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秀明 佐藤
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Satoshi Machida
智 町田
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Abstract

【課題】バインダーの使用量を抑制することができると共に、粉化の少ない乾燥造粒焼結原料を得るのに有利な製造技術を提案することにある。
【解決手段】焼結原料にバインダーと水とを加えて造粒することにより、造粒焼結原料を製造するに当たり、前記バインダーとして少なくともでんぷんを含む有機系バインダーを用いること、そして、この有機系バインダーのうちの少なくとも一部は前記焼結原料と予め混合し、次いで、水を加えた上で造粒することにより、造粒焼結原料とする造粒焼結原料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉用焼結鉱を製造する時に原料として用いられる造粒焼結原料の製造方法についての提案である。
高炉製銑法において主原料として用いられる焼結鉱は、一般に、図1に示すような工程を経て製造される。以下、その製造方法について、図示したフローに従って簡単に説明する。図1に示すように、平均粒径1.0〜5.0mm程度の鉄鉱石粉や製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石やドロマイトなどの含CaO原料(以下、CaO系副原料という)、生石灰等の造粒助剤およびコークス粉、無煙炭などの凝結材などからなる焼結原料は、まずホッパー1・・・にそれぞれ貯蔵される。そして、これらのホッパー1から、各種の原料をコンベヤ上に所定の割合で切り出し、混合用ドラムミキサー2a等により混合しながら適量の水を加えて調湿し、次いで造粒用ドラムミキサー2bに導入して造粒し、平均径が3.0〜6.0mmの生造粒粒子(擬似粒子)とする。次いで、その造粒した焼結原料の造粒粒子(擬似粒子)は、焼結機上に配置されているサージホッパー4、5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上に400〜600mm程度の厚さ(高さ)になるように装入されて装入層9を形成し、次いで、その装入層9の上方に設置した点火炉10により、この装入層中にある炭材に点火する。そして、パレット8下に配置したウインドボックス11による吸引により、該装入層9中の造粒粒子内の炭材(内装炭材)を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって、該造粒焼結原料を燃焼、溶融させることによって焼結させる。その後、パレット上に生成した焼結層(焼結ケーキ)は、破砕−整粒されて、5.0mm以上のものが成品焼結鉱として回収される。
なお、上述した焼結鉱の製造方法において、点火炉10により装入層9(原料堆積層)表面の炭材に点火が行われると、この装入層9の頂部から下層部へ向けて吸引される吸引ガスの作用により、該装入層9内に配合されている炭材が燃焼し、この燃焼域がパレット8の移動に伴って次第に下層かつ前方に進む。このとき、該装入原料粒子中の水分は、炭材の燃焼で発生する熱によって蒸発するものの、下方に吸引されて、まだ温度が上がっていない下層(湿潤帯)の原料中に濃縮する。その濃度がある程度以上に大きくなると、水分が吸引ガス流路である原料粒子問の空隙を埋めるようになるため、通気抵抗が大きくなる。この湿潤帯の通気抵抗は、装入層9の全通気抵抗の約半分以上を占めることが知られており、生産性の向上には、少なくともこの湿潤帯での水分凝縮による通気抵抗を減らすことが有効であると考えられている。例えば、特許文献1では、焼結原料の造粒過程で熱風を送り込んで焼結原料粒子を乾燥させる方法を提案している。
特開平03−215629号公報
しかしながら、上掲の従来技術では、乾燥工程における生造粒粒子中の水分の低下や、生造粒粒子の転動により、該生造粒粒子の崩壊が不可避に発生する。その結果、得られた造粒焼結原料を焼結機のパレット上に装入堆積させて焼結する際に、崩壊により発生した微粉が、吸引ガス流路である原料粒子間の空隙を埋めるようになり、このことによっても通気抵抗が大きくなる。その結果、吸引ガスが偏流し、焼けムラが生じて、焼結鉱歩留りや生産性の低下を招くようになる。この点、バインダーの使用量を増加させれば、原料粒子同士の結合は強固にはなるが、バインダーコストひいては製品コストの上昇を招くという問題がある。
上記の技術は、主として、焼結原料粒子の乾燥を通じて湿潤帯の影響を低減することを目的として開発されてきたものではあるが、乾燥によって却って弊害も生じており、いまだ十分に実績を上げるに到っていないのが実情である。その一つの原因として、乾燥過程における造粒焼結原料の崩壊を抑制するために添加するバインダーのコストがかかり、製品価格の上昇を招く他、このバインダーを多量に使用した結果、通気性の改善による生産性向上や炭材量低減による合理化の効果を減殺してしまい、上述したように、経済的に見合わないからである。そのため、可能な限りバインダーの少ない使用量で、造粒焼結原料をたとえ乾燥した場合でも効果的に崩壊を抑制することができる技術の確立が求められていた。
本発明の目的は、焼結原料粒子に乾燥を加える乾燥工程を有する場合、あるいは乾燥工程を有しない焼結原料の製造の場合において、バインダーの種類とそれの効果的な使い方を工夫することによって、バインダーの使用量を抑制することができると共に、粉化の少ない造粒焼結原料を得るのに有利な製造技術を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている前記課題を解決し、本発明の目的を実現する方法につき検討した結果、バインダーの種類およびそれの添加方法を検討することが有効であるとの知見を得て、本発明を開発した。即ち、発明者らは、バインダーを予め水に溶解させ、または懸濁した状態で焼結原料に添加して造粒するよりも、このバインダー(粉状)として、有機系バインダー、とりわけ少なくともでんぷんを含む有機系バインダーを用いることに併せ、その少なくとも一部を焼結原料と予め混合し、その後、造粒に際して水を添加して造粒する方が、擬似粒子からなる生造粒粒子の粒径が大きく堅固なものになることを見出した。
一般に、バインダーと水を予め混合溶解させまたは懸濁させたものを使用する場合、混合液の粘度が上昇するか、あるいは液がゲル化し、このことが焼結原料と液(バインダー+水)との混合を不充分にし、そのために、その後のハンドリング時に崩壊が起こりやすくなる。しかし、そのバインダーの大半を予め焼結原料と混合しておき、その後、造粒時に始めて水を添加するようにした場合には、そのバインダーが焼結原料中へ均一に分散するようになるため、造粒特性が改善されるものと考えられる。
即ち、本発明は、焼結原料にバインダーと水とを加えて造粒することにより造粒焼結原料を製造するに当たり、前記バインダーとして少なくともでんぷんを含む有機系バインダーを用い、この有機系バインダーの少なくとも一部を前記焼結原料と予め混合し、次いで、水を加えた上で造粒することにより、造粒焼結原料とすることを特徴とする造粒焼結原料の製造方法を提案する。
本発明においては、
a.前記有機系バインダーは、それの50mass%以上を燃焼原料と予め混合し、残りの有機系バインダーについてはこれを水に予め溶解させるか、または水に溶解させることなく懸濁させた状態で使用すること、
b.前記でんぷんがα化でんぷんまたはコーンスターチであること、
c.前記有機系バインダーは、でんぷんに加えさらに、ガム系物質またはセルロース系増粘剤のいずれか1種または2種を含むものであること、
d.前記ガム系物質は、グアガムまたはアラビアゴムであること、
e.前記セルロース系増粘剤が、カルボキシメチルセルロースであること、
f.前記バインダーは、有機系バインダーの他、さらに無機バインダーを含むこと、
g.前記無機バインダーが、ベントナイト、水ガラスからなるグループから選択された少なくとも一つであること、
がより好ましい解決手段となり得るものと考えられる。
本発明によれば、バインダー使用量は少なくとも強固な造粒焼結原料を製造することができるようになる。しかも、適切なバインダーを選択することの相乗効果により、造粒焼結原料の粉化が少なく、生造粒粒子の大きさ(粒径)をそのまま維持でき、ひいては焼結機パレット上の装入層全体の通気抵抗を改善することができる。その結果、高強度の成品焼結鉱を高い生産性の下で製造することができるようになると共に、バインダー使用量の低減による焼結鉱製造コストの削減も実現できる。
焼結機の操業において、焼結機パレット上の焼結原料(ここでは乾燥後の「造粒焼結原料」を指す)の装入層内の通気性は、上述したように、焼結鉱歩留りやその生産性を左右する重要な因子であり、その通気性の確保のためには、焼結原料の当然、造粒粒子径の維持は必須の条件である。そこで、本発明は、造粒粒子を強固にして粉化が起こらないようにするために、適切な種のバインダーを適正なタイミングで添加するという新たな方法を採用することで、その後のハンドリング工程において生造粒粒子が崩壊するのを抑えることができる技術を提案するものである。以下にその詳細について説明する。
図2は、焼結原料粒子に乾燥を加える乾燥工程を有する造粒焼結原料製造プロセスの一例を示すものであり、バインダーを造粒用の水とともにドラムミキサー2bに一緒に同時添加する方法である。そして、この方法では、次の工程でロータリーキルン3(乾燥工程)で生造粒粒子中の水分を調整し、4mass%程度以下にする。
一方、図3は、本発明に係る乾燥工程を有しない場合の造粒焼結原料の製造プロセスの一例を示すものであり、このプロセスの特徴とするところは、前記バインダーとして少なくとも一部にでんぷんを含むバインダーを用い、かつ、そのバインダーの少なくとも一部(≧50mass%)を、焼結原料と最初のドラムミキサー2aにて予め混合しておき、その後、別のドラムミキサー2bに装入し、ここでは水のみを供給しながら造粒するか、または前記有機系バインダーの残部と水と共に一緒に、またはこの有機系バインダーを予め水中に懸濁したものを該ドラムミキサー2b内に供給して造粒する方法である。なお、図2の乾燥工程を有する造粒焼結原料の製造プロセスでの方法では、その後、必要に応じてさらに得られた生造粒粒子をロータリーキルン3内に装入して転動させながら乾燥を施し、その後、該造粒粒子中の水分を最終的に4mass%以下に調整して、造粒焼結原料とする。
(1)生造粒粒子に添加するバインダーについて
発明者らは、乾燥を含むハンドリング中における上記問題点を解決するために、まず、造粒用バインダーについて検討した。その結果、本発明では、造粒時に用いるバインダーとして、水分蒸発後も擬似粒子化した造粒粒子の高い強度を維持でき、造粒水が蒸発してもなお、バインダーとしての作用効果を発揮する有機系バインダーとして、特にでんぷん(澱粉)に着目し、でんぷんを含む有機系バインダーにはさらに、従来から用いられてきた各種バインダーを混合してなるバインダーを用いることにした。このような有機系バインダーを主体とするものであれば、強固な生造粒粒子を製造することができ、しかもその後、水分が蒸発した後でも、造粒粒子の崩壊を確実に防止することができるからである。その結果、いつまでも造粒時の平均粒径を維持した造粒粒子を、焼結機のパレット上に装入することができるようになり、焼成ひいては焼結時に生じる湿潤帯による焼結ベッド装入層の通気性悪化の問題をも解消することができるようになる。
本発明で使用するバインダーを選定するに当たり、発明者らは造粒粒子、即ち造粒焼結原料の引張強度に着目した。具体的には、造粒粒子の引張強度は、下記の式(1)にて表わされるように、バインダーなどの架橋物質の表面張力に起因する毛細管力による吸引圧力と、架橋物質の粘度による外力に対する抗力との和で表わされる。そして、その内の外力に対する抗力(粉体の粉化に対する抗力)は、架橋物質すなわちバインダーの粘度μに大きく依存し、バインダー粘度μが高くなると造粒体である造粒粒子の引張強度は上昇し、崩壊しにくくなることがわかっている。
Figure 2010100888
ここで、σ:造粒体の引張強度、γ:架橋物質の表面張力、θ:粉体との接触角、μ:架橋物質の粘度、S:粉体表面積、Ψ:液充満度(=0.6)、ε:造粒物の空隙率、D:比表面積相当径、a:架橋液体の曲率半径、である。
そこで、発明者らは、造粒時のバインダーの粘度と造粒粒子の強度との関係に着目し、検討を重ねた結果、前記有機系バインダーを適時に使用(添加混合)すると、強固な造粒粒子の製造に役立ち、この場合、水分が蒸発した後でも、造粒粒子の崩壊を確実に防止することができるようになる。その結果、造粒時の粒径をいつまでも維持できるようになる。
本発明においては、前記有機系バインダーを、従来のように、ドラムミキサー2bにおいて、混合焼結原料と水および有機系バインダーとを一挙に加えて造粒するという方法ではなく、その有機系バインダーの少なくとも一部(≧50mass%)を、混合焼結原料中に直接、加えてドラムミキサー2aにおいて予混合しておき、次いで、その有機バインダー含有混合焼結原料を、ドラムミキサー2bに移送し装入したのち、そこでまた、水のみまたは水と残りの有機系バインダーを加えるという方法で造粒すれば、望ましい造粒粒子が得られることがわかった。
本発明で用いる上記有機系バインダーのうち、特に望ましいものはでんぷん(C10である。このでんぷん(澱粉)は、多糖製(炭化物)であって、吸水して次第に膨張し、過熱を続けると、水と反応して鎖間をつないでいる水素結合を切断することで糊化し、粘性を増大することから、セルロース系増粘剤と同様に増粘剤としての効果を有し、原料鉱石間を強固に結合する。例えば、コーンスターチ等の天然の結晶状態のでんぷん(βでんぷん)では、常温では水と混合しても短時間で高粘性を得にくいが、原料鉱石に添加する前に懸濁状態で90℃程度まで昇温して糊化を導いてから添加することが好ましい。一方、α化でんぷんは、常温の水で帰化することから、乾燥状態のまま原料鉱石に添加しても造粒水分と反応して糊化するため、原料鉱石の添加前に水に溶解させなくてよい。この糊化の進行は、造粒水分量や混合時間により調整可能であり、鉱石粒子中の空隙内に捕捉される分量を低減し、鉱石粒子接触部に傾斜して配置させることができる。
なお、コストの見地からは、コーンスターチなどのでんぷんやα化でんぷんはカルボキシルメチルセルロースより通常、安価である。従って、カルボキシルメチルセルロースと組合わせ、一部をでんぷん、もしくは全量をでんぷんに置換して用い、バインダーコストの低減を図ることが好ましい。
かかる有機系バインダーとしては、必須添加バインダーであるでんぷんの他、さらに中性多糖類であるガム系物質やセルロース系増粘剤等を必要に応じて加えることが好ましく、そのガム系物質としては、グアガムやアラビアガムを用いることができる。また、セルロース系増粘剤としてCMC、あるいはさらに増粘剤の分散強化剤として、カルボン酸基を有する物質を併用してもよい。
上記のように本発明では、有機系バインダーとして、でんぷんを用いることが必須であるが、その他にガム系物質もしくはセルロース系粘結剤を配合することができる。
有機系バインダーとして必須添加のでんぷん添加量は、全有機系バインダーのうち少なくとも0.05mass%であり、その上限は、1.0mass%程度である。その理由は、0.05mass%未満では、造粒粒子の崩壊が観察されるからであり、その添加の効果は1.0mass%程度でほぼ飽和する。好ましい範囲は0.10〜0.5mass%である。乾燥工程を経る造粒粒子も同様である。
一方、前記でんぷんに加えて添加するアラビアガムなどのガム系物質やセルロース系増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)などは、その添加の効果が現れるのは、添加量0.01mass%程度以上であり、その上限は、添加コストから定まるが、1.0mass%程度である。0.01mass%未満では、水分が蒸発した後、造粒粒子の崩壊が観察されるからであり、1.0mass%でほぼ飽和する。好ましい範囲は0.05〜0.5mass%、より好ましくは0.1〜0.3mass%である。
本発明において、でんぷん含有有機系バインダーを使用するときは、上述したように、少なくともその一部を粉末のままで焼結原料と予め混合しておくことが好ましい。その理由は、もし、これらのバインダーを水に溶解させてから焼結原料と混合するようにすると、溶液が高粘性化して粒子間への該バインダーの均一分散が阻害されて造粒粒子強度の低下を招く他、バイイダーが混合された粒子群の中では有機バインダーが各粒子の表面全体をコーティングするように付着した状態で造粒がなされるためバインダー添加量が増大する。したがって、有機系バインダーを粉末の状態で、造粒水を添加する前に予め焼結原料中に添加して、混合し造粒し、そして、その後、造粒水を添加して造粒することにより、少ないバインダー添加量で造粒粒子の強度を発現させるようにすることが好ましい。
図4および図5は、造粒強度に及ぼす前記有機系バインダーの賦存状態の影響を示すもので、この有機系バインダーを使用するときに、粉末のままで添加すると、造粒粒子の強度を高めることができる原理を説明する図である。すなわち、図4は、粉体充填層中にけるバインダーの分布状態を模式的に示すものであり、(a)は、バインダーを水とは別に先添加して得られる濡れ性のない場合を、(b)は、バインダーを水中に懸濁させて添加した濡れ状態の場合(懸垂状態)を、(c)は、バインダーと水とを同時に添加してなるコーテイング状態(予めバインダーを水に溶かした状態で生成)の例を示す。バインダー添加量が同一の場合、一般に(c)のように粒子表面に均一に薄く分散してコーティングされた状態よりも、(b)の懸垂状態のように粒子間のネック部に傾斜してバインダーが存在する方が、高い強度を得られることが知られている。粒子表面上でバインダーの多濡が存在する方が、多数の接触点で結合する粒子間では(b)の状態を達成しやすい。
次に、発明者らは、造粒焼結原料を低コストで製造するため、添加量を減らすためのバインダー(有機)の添加方法を検討したので、図5を用いて説明する。図5(a)は、焼結原料中に有機バインダーを粉末状態で予め添加、混合し((1)の状態)、その後、別のドラムミキサーに装入して造粒水を添加、あるいは粉末状有機バインダーを造粒水とともに添加した場合の状態を示したものである。この場合には、焼結原料の鉱石(返鉱も含む)中には多数の空隙が存在しており、この空隙(多孔)にバインダーが侵入し((2)の状態)、その結果、造粒強度に寄与する鉱石表面のバインダー量が減少する((3)の状態)ことを突き止めた。
なお、本発明では、無機バインダーの使用を妨げるものではない。とくに、無機バインダーとして、ベントナイトや水ガラスなどが選択されるときには、有機バインダーとの併用は有効である。ベントナイト、水ガラスなどの無機バインダーは、有機系バインダー使用時の増粘材として作用し、有機系バインダーの添加量を削減する効果を発揮し、併用によって、バインダーとしての作用効果が減じられることはない。
図6は、有機バインダーとしてでんぷんを、無機バインダーとしてベントナイトを併用した時の作用効果を説明する図である。造粒水とともに添加したベントナイトが湿潤して焼結原料鉱石粒子内部の空隙を埋めて、有機バインダーの粒内への侵入を防ぎ、有機バインダーが粒子間に残留する比率を上げるため、有機バインダーの添加量を削減できる。また、ベントナイトの一部は鉱石どうしの間隙を埋めて湿潤時の造粒性向上に寄与する。他のCMC等の有機系バインダーと、併用した場合でも同様である。
なお、有機系バインダーを使用するときには、生石灰をバインダーとして併用することは避けることが好ましい。生石灰と併用すると、例えば、ガム系物質、セルロース系増粘剤のカルボン酸基と生石灰に含まれるCa2+イオンとが反応して、バインダー作用を減少させ、造粒性が低下して、通気性の悪化を招くからである。
また、かかる有機系バインダーを使用する場合において、バインダー量を低減し、低コスト化を目指すには、焼結原料として、返鉱の使用量を減少させるか、抑えることが好ましい。多孔質である返鉱は、添加したバインダーを多孔内に吸収し、その効果を減ずる。そのため、返鉱の多量使用は、バインダーの使用量の増加を必要とし、また、吸収によりバインダーが不足したときには、造粒粒子の乾燥時における崩壊を引き起こすからである。
本発明において得られる造粒焼結原料中の水分含有量は4.0mass%以下程度にする。この程度の水分乾燥であれば、普通これを焼結機へ装入することにより、装入層(焼結ベッド)の燃焼−溶融帯下に湿潤帯が生成しないか、生成したとしても、湿潤帯の大きさ(上下方向の厚さ)を小さくすることができる。その結果、湿潤帯の生成に起因する通気抵抗を小さくすることができるだけでなく、焼結速度の向上をもたらして、焼結鉱の生産効率を向上することもできる。さらに、同じ通気抵抗で焼結操業を行う場合には、焼結ベッド層厚(装入層厚)を大きくすることができるので、歩留りの向上も図ることができ、しかも、装入層上層部の熱を有効利用することができるようになるので、焼結鉱の製造に必要な炭材量の削減も可能となる。
図7は、炭材量を表す凝結材比と、焼結強度を表すタンブラー強度との関係を示したものであり、通常は、炭材(凝結材)の量を減らすと、焼結鉱強度が低下する。しかし、層厚と焼結鉱強度(タンブラー強度)との関係を示す図8から明らかように、湿潤帯に係わる通気抵抗を減らして、パレット上の装入層全体の通気抵抗を減少させ、焼結ベッド層厚(装入層厚)を大きくすることができれば、装入層上層部の熱を有効利用することができるようになるので、焼結鉱の強度を高めることも可能となり、ひいては、焼結鉱の製造に必要な炭材量をも削減することができるようになる。
(3)造粒粒子の乾燥について
造粒粒子は、必要に応じてドラムミキサーやロータリーキルン乾燥してもよい。このときに用いる乾燥用熱媒(排ガス)は、その温度が高いと、造粒粒子内の水分が急速に蒸発し、該粒子が爆裂(崩壊)を起こすおそれがある。さらに、造粒粒子どうしの衝突により、造粒粒子の崩壊が起こる可能性も大きい。従って、前記ドラムミキサーやロータリーキルンの排出口側から供給する乾燥用熱媒は、希釈して適正温度の熱風とした上で使用することが好ましい。
また、このような乾燥を行う場合でも、炭材を含む焼結原料用造粒粒子に、バインダーを予め添加し、その後、造粒水を添加して造粒する際、上述したように造粒行程の後半部分でまず造粒粒子に予備乾燥を加え、その後、前記ロータリーキルンで本乾燥を施すようにすれば、前記ロータリーキルンでの転動撹拌−乾燥時における爆裂防止に有効である。
以下に本発明の効果を確認するために、上述のようにして得られた造粒焼結原料を用いて実施した焼結鍋試験の結果を表1に基づいて説明する。
(比較例1)
この例は、バインダーに生石灰を使用し、造粒粒子の乾燥を行わない通常の焼結プロセスにおける原料配合および造粒工程を模擬した実験である。
(比較例2)
この例は、バインダーとして有機系バインダーであるカルボキシメチルセルロース(CMC分子量約8万)を使用し、バインダーを水とともに造粒機(ドラムミキサー)中に同時添加して混合・造粒する例であり、図2に示すプロセスに従う方法である。この方法では、焼結機に装入する前の造粒焼結原料は、比較例1より小さく、乾燥工程前の生造粒粒子の径より大幅に小さくなっており、水分蒸発後の生粒粒子の崩壊が顕著である。
焼結機操業実験中の平均風量は比較例1よりも低く、空隙を塞ぐ細かい原料粒子が多いことが原因と考えられる。その結果、焼結時間が大幅に増加し、生産率の低下を招いている。
(発明例1)
この例は、有機系バインダーとしてでんぷん(コーンスターチ、アミロール25mass%、粒径2〜30μm、平均粒径2μm)を使用し、この有機系バインダーをまず焼結原料とともに混合しておき、その後、水を添加して造粒する方法である。図3に示す本発明のプロセスによる実施例である。この実施例では、焼結機操業実験に供する前の造粒焼結原料粒子は、比較例1および比較例2よりも粒径が大きく、造粒粒子径も比較例1および比較例2に比較すると大幅に大きいものとなる。また、比較例2に比べ、水分蒸発後の造粒粒子の崩壊が大幅に抑制されている。なお、この実施例の平均風量は、比較例1および比較例2よりも大きい。その原因としては、空隙を塞ぐ細かい原料粒子が少ないためと考えられる。なお、この実施例の結果、焼結時間が大幅に短縮し、生産率が上昇している。
(発明例2)
この例は、有機系バインダーとして、でんぷんとCMCとを併用し、図3に示す方法に従い、その使用量のうち半分の0.13mass%を焼結原料とともに予め混合した後、残り半分のバインダーを溶解させた水溶液を添加して造粒する方法である。この実施例では、焼結機操業実験に供する前の造粒焼結原料粒子の径は、比較例2のものよりも大きく、発明例1のものよりかは小さい。また、水分蒸発後の造粒粒子径も比較例2より大きく、発明例1より小さい。従って、水分蒸発後の造粒粒子の崩壊は、比較例2より小さく、発明例1より大きい結果となった。
なお、上記焼結機操業実験における装入密度および平均風量、排ガス最高温度、歩留、焼結時間、生産率は、いずれも比較例2と発明例2の中間の値となり、バインダーの一部のみを焼結原料に予め混合することによっても、一定の効果が得られることがわかった。なお、使用するCMCがガム系物質であるグアガムまたはアラビアガムでも同じ成績を示した。
(発明例3)
発明例3は無機バインダーとしてベントナイトを用い、発明例1のバインダーの一部をベントナイトで置換した場合である。これにより、造粒効果は発明例1より向上し、通気性が改善されて、より高い生産率の結果となった。
以上の実施結果から、有機系バインダーは水添加造粒の前に予め焼結原料と混合することが、造粒粒子径の維持、拡大に有効であり、焼結操業中の通気性の確保や生産性の維持、改善に有効であることがわかった。また、焼結原料に、添加する有機系バインダーのうちの一部のみを水添加造粒処理の前に混合し、残部を水中に懸濁させるか水と同時に添加してから造粒処理することによっても造粒粒子径の拡大効果があることもわかった。
Figure 2010100888
本発明に係る造粒焼結原料の製造技術は、湿潤レス焼結機の操業に当たって、この操業のための焼結原料として好適に用いられる他、通常のDL焼結機用の焼結原料の製造技術としても有効である。
従来の焼結鉱製造プロセスのフローを示す図である。 本発明の乾燥工程を有する時の造粒焼結原料製造プロセスのフローを示す図である。 本発明の乾燥工程を有しない造粒焼結原料製造プロセスのフローを示す図である。 粉体充填層中におけるバインダーの分布状態を説明する模式図である。 添加方法の違いによる有機バインダーの分布状態の変化を説明する図である。 無機バインダーと有機バインダーを併用した時の作用を説明する図である。 炭材量と焼結鉱強度との関係を示すグラフである。 層厚と焼結鉱強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ホッパー
2a 混合用ドラムミキサー
2b 造粒用ドラムミキサー
3 ロータリーキルン
4 サージホッパー
6 ドラムフイダー
7 シュート
8 パレット
9 装入層
10 点火炉
11 風箱

Claims (8)

  1. 焼結原料にバインダーと水とを加えて造粒することにより造粒焼結原料を製造するに当たり、前記バインダーとして少なくともでんぷんを含む有機系バインダーを用い、この有機系バインダーの少なくとも一部を前記焼結原料と予め混合し、次いで、水を加えた上で造粒することにより、造粒焼結原料とすることを特徴とする造粒焼結原料の製造方法。
  2. 前記有機系バインダーは、それの50mass%以上を予め焼結原料と混合し、残りの有機系バインダーについては、これを予め水に溶解させるか、または水に溶解させることなく懸濁させた状態のものを造粒時に混合することを特徴とする請求項1に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  3. 前記でんぷんがα化でんぷんまたはコーンスターチであることを特徴とする請求項1または2に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  4. 前記有機系バインダーは、でんぷんに加えさらに、ガム系物質またはセルロース系増粘剤のいずれか1種または2種を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  5. 前記ガム系物質は、グアガムまたはアラビアゴムであることを特徴とする請求項4に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  6. 前記セルロース系増粘剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項4に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  7. 前記バインダーは、有機系バインダーの他、さらに無機バインダーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の造粒焼結原料の製造方法。
  8. 前記無機バインダーが、ベントナイト、水ガラスからなるグループから選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項7に記載の造粒焼結原料の製造方法。
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