JP2007169780A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結操業における湿潤帯の縮小を図るのに有効な方法を提案することにより、生産性の向上と炭材使用量の低減を実現する。
【解決手段】焼結鉱の製造に際して、炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、次いで、得られた造粒焼結原料を代表的にはロータリーキルンを介して乾燥することにより、その水分を4.0mass%以下に調節し、その後、乾燥によって水分調整した乾燥造粒焼結原料をパレット上に装入堆積させて焼結する焼結鉱の製造方法である。
【選択図】図4

Description

本発明は、焼結鉱の製造方法に関し、とくに湿潤帯の制御を通じて高効率生産を実現するのに有効と考えられる高炉用の焼結鉱を製造する方法について提案するものである。
高炉製銑法において主原料として用いられる焼結鉱は、一般に、図1に示すような工程を経て製造されている。以下、その製造方法について、図示したフローに従って簡単に説明する。図1に示すように、10mm以下で平均粒径1.0〜5.0mm程度の鉄鉱石粉や製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石やドロマイトなどの含CaO原料(以下、CaO系副原料という)、生石灰等の造粒助剤およびコークス粉、無煙炭などの凝結材などからなる焼結原料は、まずホッパー1・・・に貯蔵される。そして、これらのホッパー1から、これらの原料をコンベヤ上に所定の割合で切り出し、混合用ドラムミキサー2a等により混合しながら適量の水を加えて調湿し、次いで造粒用ドラムミキサー2bに導入して造粒し、平均径が3.0〜6.0mmの擬似粒子とする。次いで、その造粒した焼結原料(擬似粒子)は、焼結機上に配置されているサージホッパー4、5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上に400〜600mm前後の厚さ(高さ)になるように供給堆積させた装入層9(焼結ベッドともいう)を形成し、次いで、その装入層9の上方に設置した点火炉10により、この装入層中にある炭材に点火する。そして、パレット8下に配置したウインドボックス11からの下方に向かう吸引により、該装入層中の前記炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって、前記装入原料(擬似粒子からなる造粒焼結原料)を燃焼溶融させることによって焼結させる。その後、パレット上で得られた焼結層(焼結ケーキ)は、破砕−整粒されて、5.0mm以上の塊成物が成品焼結鉱として回収される。
なお、上述した焼結鉱の製造方法において、点火炉10により装入層(原料堆積層)表面の炭材に点火が行われると、装入層の頂部から下層部へ向けて吸引される吸引ガスの作用により、該装入層内に配合されている炭材が燃焼し、この焼結領域がパレット8の移動と相俟って次第に下層かつ前方に進む。このとき、該装入原料粒子中の水分は、炭材の燃焼で発生する熱によって蒸発するものの、下方に吸引されて、まだ温度が上がっていない下層の湿潤帯の原料中に濃縮する。その濃度がある程度以上に大きくなると、吸引ガス流路である原料粒子問の空隙を水分が埋めるようになるため、通気抵抗が大きくなる。なお焼結化反応に必要な溶融帯の部分もまた、通気抵抗が高くなる。従って、この湿潤帯の通気抵抗が、装入層の全通気抵抗の約半分以上を占めることが知られており、生産性の向上には、少なくともこの湿潤帯での水分凝縮による通気抵抗を減らすことが有効であると考えられている(図2参照)。
上記問題に対する従来の対策としては、湿潤帯そのものを減少させることを目的として、造粒した粒子の含水量を低減する方法の提案がなされている。例えば、特許文献1には、造粒した焼結原料(以下、単に「擬似粒子」という)を輸送するベルトコンベア上にフードをかけ、そのフード中に焼結機で発生した熱風を供給することにより、フード内の焼結原料を乾燥して、水分を除去する方法が開示されている。
また、特許文献2には、焼結機上に配置されたサージホッパーの中に、全熱風量の40〜70%に相当する熱風を導入して、貯留している焼結原料を乾燥し、その後、焼結機に装入し、さらに、点火前の焼結装入部位において、熱風を吹き付けて該原料を乾燥させる方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、焼結プロセスの造粒工程の後に、焼結機のパレット下に焼結原料粒子を装入し、所定の厚さの装入層とした後、上方から下層に向けて熱風を吸引することにより、該焼結原料を乾燥し、その後、サージホッパーを経由して焼結機に装入する方法が開示されている。
さらにまた、特許文献4には、焼結原料の造粒過程(2次ミキサー)で、焼結原料粒子の排出口側から熱風を送り込んで乾燥させる方法が開示されている。
特開昭58−199827号公報 特開昭60−089526号公報 特開昭61−238925号公報 特開平03−215629号公報
しかしながら、上記従来技術はいずれの方法も、焼結原料粒子の乾燥が不足しており、焼結鉱を製造する方法としては、なお不充分であった。例えば、ベルトコンベア上にフードをかけて、焼結機クーラー等で発生する熱風を流して該焼結原料粒子を乾燥し水分を除去する特許文献1記載の方法は、ベルトに載っている焼結原料粒子の表面だけは乾燥するが、内部まで乾燥が進まないという問題点があった。また、現実的な問題として、焼結原料粒子を輸送するベルトコンベアは60m/min程度の速度で運転されているため、例えば、6分の乾燥時間を確保しようとすると、360m以上の長さのフードが必要となる。一方、乾燥時間を短縮しようとすると、ガスの温度を上げる必要があるが、ガスの温度を150℃以上に上げると、ベルトが熱延びを起こして蛇行するという問題がある。
また、サージホッパー中に熱風を吹き込み、貯留されている焼結原料粒子を乾燥させる特許文献2記載の方法では、上記と同様に、熱風の当たる部分の乾燥は進むが、熱風の当たらない部分の乾燥は進まず、たとえ、サージホッパーの側壁を加熱するとしても、側壁に接している部分の乾燥のみが進み、この側壁から離れた場所を通過する粒子の乾燥は進まないという問題がある。そして、このような不均一な乾燥状態の焼結原料粒子を焼結機のパレット上に装入して焼結した場合には、焼けムラが生じて、歩留りや生産性に悪影響が出るという問題もある。
また、造粒後の焼結原料粒子をパレット上に装入した後で、装入層の上方から熱風を供給して乾燥する特許文献3記載の方法では、焼結原料粒子を静止状態で乾燥するため、乾燥時における粒子の崩壊を防止できるが、熱風吹込みのための設備が大型化し、設備投資額が膨大なものとなる。
そして、造粒工程の排出口側から熱風を送り込んで乾燥させる特許文献4記載の方法では、造粒した焼結原料粒子の崩壊を招きやすく、それがため乾燥が不十分となって、正常な焼結操業ができないという問題がある。
すなわち、これらの従来の提案技術は、いずれも、造粒した焼結原料を乾燥して、湿潤帯の影響を低減しようとして開発されたものではあるが、いまだ、実用化された技術として確立されたものはない。
そこで、本発明の目的は、焼結機での焼結工程における湿潤帯の縮小(湿潤帯形成領域の低減)を図るのに有効な方法を提案することにより、生産性の向上と炭材使用量の低減を実現することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている前記課題を解決する方法につき鋭意研究を重ねた。その結果、焼結原料処理工程を経て得られる造粒焼結原料中の水分含有量を4.0mass%以下まで下げてから焼結機へ装入することで、装入層(焼結ベッド)中の燃焼−溶融帯下に湿潤帯が生成しないようにするか、また、生成したとしてもこの湿潤帯の大きさ(上下方向の厚さ)を小さくすることができ、ひいては、この湿潤帯の生成に起因する通気抵抗の上昇を抑えることができるとの知見を得た。そして、このことによって、焼結速度が向上し、焼結鉱の生産効率も高くなることがわかった。すなわち、パレット上の装入層の通気抵抗を大幅に減少させることは、焼結ベッド層厚(装入層厚)を大きくすることを可能とし、さらに、このことによって、歩留りの向上がもたらされ、しかも、装入層上層部の熱を有効利用することができるようになることで、焼結鉱の製造に必要な炭材量を削減できることがわかった。
すなわち、本発明は、第1に、炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、造粒焼結原料を生成する造粒工程と、前記造粒焼結原料を乾燥し、4.0mass%以下の水分を有する乾燥造粒焼結原料を生成する乾燥工程と、前記乾燥造粒焼結原料を焼結機に装入し、焼結する焼結工程とを有する焼結鉱の製造方法である。
本発明は、第2に、炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、造粒焼結原料を製造する造粒工程と、前記造粒焼結原料の少なくとも一部である第1の造粒焼結原料と残りの第2の造粒焼結原料に分ける仕分け工程と、第1の造粒焼結原料を乾燥し、4.0mass%以下の水分を有する乾燥造粒焼結原料とする乾燥工程と、前記乾燥造粒焼結原料と第2の造粒焼結原料を混合し、混合造粒焼結原料とする混合工程と、前記混合造粒焼結原料を焼結機に装入し、焼結する焼結工程とを有する焼結鉱の製造方法である。
本発明は、第3に、焼結鉱の製造に際し、炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒するとき、その造粒工程の後半部分において加熱乾燥処理を行うことにより、水分量4.0mass%以下の乾燥造粒焼結原料とし、その後、この乾燥造粒焼結原料をパレット上に装入堆積させて焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
上述した要旨構成からなる本発明は、
a.前記乾燥工程が、ロータリーキルンを使用して造粒焼結原料を乾燥すること、
b.前記乾燥工程が、ロータリーキルンの造粒焼結原料排出口側からロータリーキルン内に乾燥用熱媒を供給して、ロータリーキルン内の造粒焼結原料を乾燥すること、
c.前記乾燥工程が、前記造粒機の造粒焼結原料排出口側から造粒機内に乾燥用熱媒を供給して、造粒機内の造粒焼結原料を乾燥すること、
d.前記乾燥工程が、前記造粒機の造粒焼結原料排出口側から造粒機内に乾燥用熱媒を供給して、造粒機内の造粒焼結原料を乾燥することからなる第一の乾燥工程と、前記第一の乾燥工程を経た造粒原料を、ロータリーキルンを使用して造粒焼結原料を乾燥する第二の乾燥工程とからなること、
e.さらには、乾燥工程の前に前記造粒焼結原料を予備乾燥する予備乾燥工程を有すること、
f.前記乾燥工程が、200℃〜500℃の温度を有する乾燥用熱媒を使用して造粒焼結原料を乾燥すること、
g.前記乾燥工程が、焼結機の排鉱部側にある風箱群で発生する排ガスを熱媒として使用して造粒焼結原料を乾燥すること、
h.前記乾燥工程が、焼結鉱クーラーで発生する排ガスを熱媒として使用して造粒焼結原料を乾燥すること、
i.前記バインダーが、水が蒸発した後もバインダーとしての作用を有する有機バインダーを含むものからなること、
j.前記有機バインダーが、ガム系物質またはセル系増粘剤であること、
k.前記ガム系物質が、グアガムまたはアラビアガムであること、
l.前記セル系増粘剤が、カルボキシメチルセルロースであること、
m.前記バインダーが有機バインダーと無機バインダーからなること、
n.前記炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒する際、焼結原料として使用する原料から求められる適正水分値より過剰な水分値で焼結原料を造粒すること、
o.前記無機バインダーが、ベントナイト、水ガラスからなるグループから選択された少なくとも一つであること、
p.前記焼結工程が、600mm以上の層厚で焼結することからなること、
が、それぞれ好ましい解決手段となり得るものである。
本発明によれば、焼結機パレット上の装入層中に堆積させる造粒焼結原料粒子の水分を、予め4.0mass%以下に調整してなる乾燥造粒焼結原料を使用することにより、該装入層中の湿潤帯の生成を低減ないしは消滅させることができるため、装入層全体の通気抵抗の向上をもたらして、成品焼結鉱の生産性の大幅な向上と品質の均一化、効率化が達成される。
また、本発明によれば、湿潤帯の生成が低減ないし消滅できることから、焼結機の操業において、焼結原料装入層の厚み(焼結ベッド層厚)を増加させることが可能となり、ひいては焼結に使用する炭材量の削減などが実現できる。
焼結機の操業において、焼結原料の装入層内には、燃焼溶融帯下に、湿潤帯が不可避に生じる。この湿潤帯の大きさを縮小することは、焼結技術者の長年の夢であり、本発明は、正にその湿潤帯の縮小を実現することができる技術を提案するものである。
まず、本発明を開発するに至った実験について説明する。
図3は、造粒した各種擬似粒子を乾燥(水分を低下)することによって、焼結操業がどのように変化するか調べた結果を示したものである。この実験では、炭材を含む焼結原料に、水とバインダーを加えて高速撹拌機で造粒し、その後、得られた造粒焼結原料の擬似粒子を乾燥し、あるいは乾燥することなく、擬似粒子崩壊を避けるために人力(手装入)で試験鍋に装入し、焼結して、この時の通気性(JPU)および焼結時間を調査した。なお、造粒方法として、上記高速撹拌機に代えて、ドラムミキサーによる方法でも調べたが、結果は同じであった。
図3の(a)は、炭材を含む焼結原料に、水と、バインダーとして焼結において一般に使用されている生石灰を添加し、造粒した擬似粒子を乾燥することなくそのまま焼結試験鍋に装入し、焼結したときの結果であり、この場合の通気指数(JPU)は15.1、標準焼結時間は14.5分であった。なお、上記造粒した擬似粒子の水分は、通常レベルの6mass%であった。
また、図3の(b)は、(a)と同じ造粒後の擬似粒子を試験鍋に装入し、そのままの状態で自然乾燥を施して水分を1mass%まで低減し、その後、その状態のまま焼結試験に供した例を示す。試験鍋に装入後、静止状態で乾燥が施された結果、擬似粒子の乾燥過程での崩壊は起こらず、焼結時の通気指数(JPU)は20.5、標準焼結時間は10.5分であった。
すなわち、造粒水分を自然乾燥で十分に除去して焼結過程の湿潤帯を減少させた、いわゆる湿潤帯レス焼結(装入→乾燥)の理想系に近い(b)の条件では、(a)と比較して、通気性は36%向上し、焼結時間も30%程度短縮している。しかし、この条件を実機焼結設備で実現しようとすると、焼結パレットに造粒原料を載せてから乾燥し、その後、焼結を施すことになるため、実操業には採用することは難しい。すなわち、大規模な生産と連続操業を行う実機の焼結機では、操業が成り立たない。
そこで、造粒後の焼結原料を一旦乾燥し、その後、焼結パレットに装入して焼結に供すれば、この問題がなくなると考え、造粒後、乾燥(水分1mass%)を加え、乾燥擬似粒子崩壊を低減するため、手装入により試験鍋に装入し、焼結を行った例が、図3の(c)である。ただし、この場合には、焼結原料の造粒に際して、上記例と同様、水と生石灰を添加した。その結果、通気指数(JPU)は12.9、標準焼結時間は18.0分と、(b)の場合よりも、通気性、焼結時間ともに悪い結果となった。(c)では、手装入によっても乾燥後の擬似粒子の崩壊が生じることに起因したものである。この両者の違いは、乾燥に伴う擬似粒子強度の変化、すなわち、後述する式(1)で表される造粒体の引張強度σの違いに関係しているものと推察された。
そこで、焼結原料の造粒に際して、水と、バインダーとして、乾燥後も上記造粒体の引張強度σを高い値に維持することができる有機バインダーを添加し、その他の条件は(c)と同じ条件で焼結した例が図3の(d)である。この場合、通気指数(JPU)は19.6、標準焼結時間は10.9分で、(b)とほぼ同じ結果が得られた。この結果から、焼結過程における湿潤帯の縮小(湿潤帯形成領域の低減)を図るためには、造粒体の引張強度σを乾燥後も高い強度に維持することが有効であることがわかる。本発明は、上記知見に基づくものである。
ところで、現在、わが国で稼動している焼結機は、200m以上の大型焼結機が主流であり、300t/h程度の原料を処理することも可能である。ただし、そのためには、上述したように湿潤帯の生成を抑制(縮小)することが必要であり、とくに、装入すべき造粒焼結原料(以下、単に「擬似粒子」と略記することもある)を予め乾燥することはもちろん、その乾燥を均一にかつ効率よく行うことも必要である。
多くの湿分を含む焼結原料粒子の乾燥技術としては、各種の方法があるが、代表的なものについて、表1および表2に示す。ここで、表1は、伝熱方式と材料移動方式とによって分類した粒状体の乾燥手段を列挙したものである。実用的には、対流伝熱方式、伝導伝熱方式が多用されている。その他、放射伝熱方式やマイクロ波方式もあるが、これらは使用されることは少ない。その理由は、放射伝熱方式では層厚を薄くしなければならず、一方、マイクロ波方式では、内部からの急速な加熱により、造粒された粒状体(擬似粒子)が粒子崩壊、爆裂を生じるからである。
Figure 2007169780
Figure 2007169780
表1中に示す各種方式のうち、代表的な対流伝熱方式の箱型乾燥機(箱型平行流・箱型通気流タイプ)は、材料設置型であって、乾燥機中に静止した材料を熱風により乾燥させる方式のものであり、実験室規模の試験作業に使用されるものである。従って、焼結機のような大量処理には向かない。
また、表1中の多段式通気バンドの乾燥機は、材料移送型の技術で、材料をメッシュベルト/パンチングプレート上に積載し、熱風を通過させて乾燥を行う方式である。この技術は、粒状体を移送中に乾燥することが可能であり、多量処理に向いている。しかし、この方式は、均一乾燥するために、移送する材料全体の層厚を薄くする必要があり、設備が大きなものとなる。
また、表1中の材料撹拌型として示す流動層式の乾燥機は、粒子と熱風の接触が良好で、熱伝達が早いため処理能力は大きいが、粒子にかかる力が大きく、乾燥途中で、造粒した擬似粒子の崩壊が起こるうえ、鉄鉱石のような比重の大きな粒子には向かない。また、材料撹拌型の回転タイプとして示すものは、回転式の乾燥機である。この方式は、古くから採用され、堅牢で耐熱性に優れるため、現在でも比較的高温の多量連続乾燥の技術として採用されている。
また、熱風搬送型として示す噴霧式の乾燥機は、微粒子スラリーを溶液や熱風中に噴霧し、底部に落下するまでの5〜30秒間で乾燥する方式である。このような噴霧式乾燥機は、湿潤時にケーキ状、粉流体状の材料を高速熱気流中で分散させながら乾燥する技術であることから、処理能力を大きくできないという問題がある。
さらに、伝導伝熱方式の材料撹拌型、加熱面密着搬送型もあるが、撹拌しながら乾燥する方式や乾燥させてから掻かき取る方式であるため、焼結機には向かない。
上記表1の検討結果から、擬似粒子の乾燥方式としては材料撹拌型で、対流伝熱方式、伝導伝熱方式が多量生産に向くことがわかった。一方、経済性や熱効率を検討したときには、粒子崩壊の問題は残るものの、材料撹拌型で、対流伝熱方式が最も優れることがわかった。
また、表2は、対流伝熱方式と伝導伝熱方式の各技術についての特徴を一覧表にまとめたものであり、この表2を分析した結果、本発明の方法として、とくに、乾燥手段としては、ロータリーキルン方式を採用することが有効であることがわかった。
すなわち、上述した種々の乾燥機で、焼結原料の擬似粒子を、300t/h程度の速度で大量処理するには、焼結機で発生する高温排ガスおよび焼結鉱クーラーで回収される熱風を熱源として用いることのできるロータリーキルンによる方法が、経済性、熱効率の観点から好適であることがわかった。
そこで、本発明では、造粒焼結原料の乾燥による水分調整を、ロータリーキルンにより行うか、あるいは造粒機としてドラムミキサーを使用して炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒するとき、その造粒工程の後半部分において、加熱乾燥処理することにより行うこととした。図4は、既存焼結工程の造粒機の下流にロータリーキルンを設けて、造粒焼結原料の擬似粒子に乾燥を施し水分調整を行う本発明のプロセスの例を示したものである。なお、図1と共通の箇所は、同一符号で示した。
このようなロータリーキルンによる擬似粒子の乾燥においては、造粒機の後に設置されるロータリーキルン内に、乾燥用熱媒として200℃以上の熱風を導入することが好ましい。すなわち、乾燥機としてのロータリーキルン内に焼結原料である前記擬似粒子を供給し、その擬似粒子の移動方向とは対向する向きに、ロータリーキルンの出口から前記熱風を供給して、このときの対流伝熱により乾燥を施すことが望ましい。また、乾燥用熱媒としては、その上限温度を500℃として、乾燥時の急激な温度上昇による擬似粒子の崩壊(爆裂)を抑止することが好ましい。
また、このような方式で乾燥を行うと、ロータリーキルン自身が回転することから、擬似粒子はロータリーキルン内で転動しながら、いわゆる撹拌状態下でさらに熱風と接触することになるため、均一な乾燥が果される。
前記乾燥用熱媒としては、焼結機の排鉱部側の風箱群または焼結鉱クーラーで発生する排ガス(350〜400℃)を用いることができる。これらの排ガスを用いるメリットは、乾燥機としてのロータリーキルン近傍に、排ガス発生源(焼結機の排鉱部側の風箱群または焼結鉱クーラー)があるため、これらの排ガスのための排ガス供給配管などを低コストで容易に利用することができるからである。なお、この乾燥用熱媒に用いる排ガスは、そのまま、あるいは希釈して所定温度の熱風として使用する。
また、発明者らの研究によれば、ロータリーキルンで、350℃程度の排ガスを用いて擬似粒子を乾燥する場合、中心部への伝熱により、3〜6分程度の短時間でも、中心部ので乾燥が効率的に進むことがわかった。したがって、擬似粒子のロータリーキルン内の滞留時間は、6分程度で十分であり、ロータリーキルンを造粒機の下流側に設置しても、焼結機の操業を阻害するようなことにはならない。
なお、排ガスを用いることは、焼結鉱製造の低コスト化に寄与するが、同様な乾燥を可能にする方式として、ロータリーキルン胴部外周に加熱装置を設け、ロータリーキルン壁を加熱して、擬似粒子を乾燥するものでもかまわない。
ところで、擬似粒子をロータリーキルン内で転動撹拌させて乾燥させる際には、乾燥中の擬似粒子どうしの衝突により、擬似粒子の崩壊が起こる可能性がある。そこで、発明者らは以下の点について検討した。
(1)乾燥工程に耐え得る擬似粒子の検討
乾燥中における上記問題点を解決するために、まず、造粒用バインダーについて検討した。その結果、本発明では、造粒時に用いるバインダーとして、乾燥後も擬似粒子強度を維持できるバインダーであって、水に溶解しまたは溶解することなく微粒状で懸濁しかつ100℃で水が蒸発してもなお、バインダーとしての作用を発揮する有機系バインダー、または上記有機系バインダーと従来から焼結に用いられてきた造粒バインダーの混合物を用いることにした。このようなバインダーであれば、造粒時に強固な擬似粒子を製造することができ、しかも乾燥によって水分が除去された後でも、粒子の崩壊を確実に防止できるからである。その結果、乾燥後も造粒時の平均粒度を維持した擬似粒子を、焼結機のパレット上に装入することができるようになり、焼成ひいては焼結時に生じる湿潤帯による焼結ベッド装入層の通気性悪化の問題を解消することができる。
本発明で使用するバインダーを選定するに当たり、発明者らは、乾燥後の造粒体の引張強度に着目した。具体的には、造粒体の引張強度は、下記の式(1)にて表されるように、バインダーなどの架橋物質の表面張力に起因する毛細管力による吸引圧力と、架橋物質の粘度による外力に対する抗力との和で表される。そして、その内の外力に対する抗力(粉体の粉化に対する抗力)は、架橋物質すなわちバインダーの粘度μに大きく依存し、バインダー粘度μが高くなると造粒体である造粒粒子の引張強度は上昇し、崩壊しにくくなることがわかっている。
Figure 2007169780
ここで、σ:造粒体の引張強度、γ:架橋物質の表面張力、θ:粉体との接触角、μ:架橋物質の粘度、S:粉体表面積、Ψ:液充満度(=0.6)、ε:造粒物の空隙率、D:比表面積相当径、a:架橋液体の曲率半径、である。
そこで、発明者らは、造粒時のバインダーの粘度と造粒体の強度との関係に着目し、検討を重ねた結果、有機バインダーを使用すると、造粒時に強固な擬以粒子を製造することができ、しかも乾燥によって水分が除去された後でも、粒子の崩壊を確実に防止できること、その結果、乾燥後も、造粒時の平均粒度を維持した擬以粒子を焼結機のパレット上に装入することができることを見出した。
また、前記造粒後の焼結原料の乾燥による水分調整をロータリーキルンを用いて行う場合に、造粒時に有機バインダーを使用すると、造粒の段階から擬以粒子の乾燥に耐え得る強度が得られるので、造粒機(ロータリーキルン)の入側で造粒を行う一方で、造粒粒子排出口側から乾燥用熱媒を供給することによって、単一のロータリーキルンで、造粒から乾燥までを行うことが可能となる。
なお、造粒時に強固な擬以粒子を製造することができ、しかも乾燥によって水分が除去された後でも、粒子の崩壊を確実に防止できる有機バインダーとしては、中性多糖類であるガム系物質やセルロース系増粘剤等を用いることができ、前記ガム系物質としては、グアガムやアラビアガムを用いることができる。また、有機バインダーは、単独で用いても、あるいは、何種類かのバインダーを組み合せて用いてもよく、また、上記ガム系物質、セルロース系増粘剤の使用に加えて、増粘剤の分散強化剤として、カルボン酸基を有する物質を併用、あるいは後述するベントナイト、水ガラスからなる無機バインダーとの併用を行うことができる。
図5は、異なるバインダーで造粒した焼結原料(擬似粒子)における、ロータリーキルンによる乾燥前後の粒子径累積割合の変化を示したものであり、(a)は造粒時に、焼結原料に水とバインダーとして生石灰を添加した例である。ロータリーキルン入側では粗粒であった造粒粒子径分布が、ロータリーキルン内での乾燥と転動により崩壊して、ロータリーキルン出側においては細粒部分が大きく増加している。すなわち、前述した図3の(c)で示した状態になっていることがわかる。
また、図5の(b)は、バインダーとして、上記(a)の生石灰に代えて、有機バインダーとしてガム系物質であるアラビアガムを使用したときの例、また、図5の(d)は、同じく生石灰に代えて、セルロース系増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)を使用したときの例を示したものである。いずれの場合も、ロータリーキルン入側と出側と粒子径累積割合にほとんど変化が認められない。すなわち、ロータリーキルン内での乾燥と転動によっても崩壊を起こすことなく乾燥が進行し、前述した図3における(d)の状態が実現できていることがわかる。
ガム系物質であるアラビアガムの添加効果が生じるのは、添加量0.01mass%以上であり、その上限は、添加コストから定まるが、1.0mass%である。0.01mass%未満では、乾燥工程後、擬似粒子の崩壊が観察され、添加効果は1.0mass%でほぼ飽和する。好ましい範囲は0.05〜0.5mass%、より好ましくは0.1〜0.3mass%である。
一方、セルロース系増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)の添加効果が生じるのは、アラビアガムと同様に、添加量0.01mass%以上であり、その上限は、添加コストから定まるが、1.0mass%である。0.01mass%未満では、乾燥工程後、擬似粒子の崩壊が観察され、添加効果は1.0mass%でほぼ飽和する。好ましい範囲は0.05〜0.5mass%、より好ましくは0.1〜0.3mass%である。
また、図5の(c)は、アラビアガムの生産量が世界的に過少であるため、上記(b)のアラビアガムに代えて、同じ中性多糖類であるグアガムを有機バインダーとして用いた例である。そのまま用いると、(c)に示すように、ロータリーキルン入側では粗粒であった造粒粒子が、ロータリーキルン内での乾燥と転動により崩壊して、出側では細粒部分が増加しているが、グアガムを添加、混合し、その後、造粒水を添加し造粒することにより、(b)に示すアラビアガムとほぼ同様の変化を示すようになる。よって、グアガムも使用できることが判明した。
このグアガムの添加効果が生じるのは、アラビアガムと同様に、添加量0.01mass%以上であり、その上限は、添加コストから定まるが、1.0mass%である。0.01mass%未満では、乾燥工程後、擬似粒子の崩壊が観察され、添加効果は1.0mass%でほぼ飽和する。好ましい範囲は0.05〜0.5mass%、より好ましくは0.1〜0.3mass%である。
以上のように、ガム系物質やセルロース系増粘剤は、有機バインダーとして好適に用いることができる。
なお、アラビアガムやグアガム、CMC等の有機バインダーを使用するときには、粉末のままで添加することが好ましい。水に溶解させてから焼結原料に添加すると、造粒体に有機バインダーがコーテイング状態で付着し、造粒がなされるため、添加量の増加が必要となる。したがって、有機バインダーを粉末の状態で、造粒水とともに添加し、混合・造粒し、あるいは、有機バインダーを粉末の状態で添加し、混合し、造粒水を後添加し、造粒することにより、有機バインダーを懸垂状態として、少ない添加量で強度を発現させるようにするのが好ましい。
図6および図7は、造粒強度に及ぼすバインダーの賦存状態の影響を示すもので、アラビアガムやグアガム、CMC等の有機バインダーを使用するときには、粉末のままで添加すると、造粒強度を高めることができる原理を説明する図である。すなわち、図6は、粉体充填層中にけるバインダーの分布状態の模式的に示したものであり、(a)は濡れ性のない場合、あるいは粉体中、バインダーを粉体で添加した状態の場合(偏析状態)を、(b)は、濡れ状態の場合(懸垂状態)を、(c)は、コーテイング状態(予めバインダーを溶かした状態で生成)を示す。
また、図7は、懸垂状態の結合強度とコーテイング状態の結合強度との関係(「エンジニアリングセラミックス」技報堂)を示すもので、縦軸の(S/S)は、(成形体強度/バインダー強度)であり、横軸は、バインダー添加量である。図7から、バインダー添加量が同一でも、コーテイング状態(コーテイング状結合)と比べて、懸垂状態(懸垂状結合)の方が数倍の成形体強度が得られることがわかる。そのため、前記したように、アラビアガムやグアガム、CMC等の有機バインダーを使用するときには、粉末のままで添加し、造粒すると、有機バインダーは、造粒水に完全に溶解せず、図6の(b)の状況が生じて強度向上効果が発現する。すなわち、その場合には、同量のバインダー添加量でも、数倍の強度が発現するので、少ない量の有機バインダーの添加で高強度を実現することができる。これが、造粒後、乾燥工程を経る際、乾燥に耐え得る強度を少ない有機バインダー添加で実現できる理由である。
発明者らは、さらに、本発明を低コストで実現するため、添加量を削減することができる有機バインダーの添加方法を検討したので、図8を用いて説明する。
図8の(a)は、有機バインダーを粉末状態で添加、混合し((1)の状態)、その後、造粒水を添加、あるいは粉末状有機バインダーを造粒水とともに添加した場合の状態を示したものであり、この場合には、焼結原料の鉱石(返鉱も含む)中には多数の空隙が存在しており、この空隙(多孔)にバインダーが侵入し((2)の状態)、その結果、造粒強度に寄与する鉱石表面のバインダー量が減少する((3)の状態)ことを突き止めた。
そこで、この結果を元に、さらに検討した結果、バインダー添加量をより削減し、本発明をより低コストで実現するための有機バインダーの添加方法として、図8の(b)に示したような、造粒水添加後にバインダーを後添加する方法を見出した。この方法は、予め鉱石内の空隙を水で充填((1)の状態)し、その後、バインダーを添加し、造粒する((2)の状態)ことにより、鉱石表面にバインダーを留めようとする((3)の状態)方法である。鉱石表面にバインダーが留まることにより、粒子間の結合が改善され、成形体(擬似粒子)強度がより向上する。すなわち、鉱石空隙に侵入する無効バインダー量を削減できるため、より少ない添加量で、乾燥に耐え得る造粒擬似粒子強度を実現することが可能となる。
さらに、前記図8の(b)の状態を、より確実に実現するため、図9に示したような有機バインダーの添加方法を開発した。この方法は、前記炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒する際、焼結原料として使用する原料から求められる適正水分値より過剰な水分値で造粒することを特徴とするものである。乾燥工程を経ない焼結操業において、造粒水の過剰は、湿潤帯の拡大を招くことになる。そのため、焼結原料造粒時の造粒水の添加量は、焼結原料となる鉱石の造粒に必要な最小限の量に制限して添加するのが常法である。
ここで、本発明における上記適正水分値とは、例えば、造粒に必要な水分を用いる鉱石ごとに求めておき、焼結原料として組み合せる鉱石の必要水分の平均値かあるいは濡れ性の悪い鉱石に合わせた造粒水分値のことであり、この水分値は、通常、5.5〜7.5mass%の範囲にある。本発明は、有機バインダーを添加した場合、現状の適正水分値では、図9の(a)に示すように、結合不十分領域が存在すると考え、図9の(b)のような造粒状態を実現するために、造粒水を増加することを検討した。(b)は、有機バインダー粉末と造粒水を同時添加する例を示したものであり、適正水分を超えて造粒水を添加すると、焼結原料に十分に造粒水が行きわたる((1)の状態)ため、造粒後も十分な水分を有するので((2)の状態)、造粒水の展開不足は解消されて、添加した有機バインダーの結合不十分が生じるおそれはない((3)の状態)。さらに、本発明では、造粒水を増加しても、造粒後、擬似粒子は乾燥されるため、焼結操業にとっても悪影響はない。
なお、本発明において、適正水分値より過剰な水分値とは、常法の焼結操業が5.5〜7.5mass%の範囲であるのに対し、その値よりも1〜3mass%高い造粒水分値である。増分量が1mass%より過少であると、上記効果は発揮せず、少なくとも1mass%以上が必要である。一方、上限値は、造粒擬似粒子が得られる領域、スラリー化に至らぬ領域であればよい。ただし、水分値を上げすぎると、乾燥に必要なコストが増加するため、実用上、過剰水は3mass%以下とすることが好ましい。より好ましくは、常法の焼結操業が5.5〜7.5mass%の範囲に対して、それより1〜2mass%過剰の水分量である。
なお、本発明は、無機バインダーの使用を妨げるものではない。前記無機バインダーが、ベントナイト、水ガラスからなるグループから選択されるときには、有機バインダーとの併用は有効である。ベントナイト、水ガラスから選ばれる無機バインダーは、有機バインダー使用時の増粘材として作用し、有機バインダーの添加量を削減する効果を発揮し、併用によって、バインダーとしての作用効果が減じられることはない。
図10は、有機バインダーとしてCMCを、無機バインダーとしてベントナイトを併用した時の作用効果を説明する図である。造粒水とともに添加したベントナイトが鉱石間の空隙を塞ぐため、CMC添加量を削減する効果を発現する。他の有機バインダーと、併用した場合でも同様である。
本発明に適合する各種有機バインダーを、添加量と添加方法(過剰水使用、無機バインダーとの併用例)を変えて鍋試験を行った結果を表3に示した。比較例、発明例とも、使用焼結原料は同じとし、層厚も400mmで一定とした。比較例1は、従来法である生石灰をバインダーとして使用した例であるが、この例では、乾燥時の造粒擬似粒子の崩壊を防止するため、乾燥をせずに焼結試験を行った。また、発明例1〜3は、グアガム、アラビアガム、CMCの有機バインダーを使用した例であり、有機バインダーの添加量が0.10mass%でも、水分7.5mass%から乾燥水分1.8〜2.1mass%に至る乾燥に耐え、しかも、焼結時間は20〜30%短縮されている。また、過剰水使用、無機バインダーとの併用例である発明例4、5においては、有機バインダーの使用量が、発明例1〜3に較べて少ないにもかかわらず、擬似粒子調和径の上昇が認められ、焼結時間も33〜37%の短縮が得られており、有機バインダー添加量の低減による低コスト化と、生産性の大幅な向上効果が認められた。
Figure 2007169780
上記以外に用いることができる有機系バインダーとしては、たとえば、ウエランガムの如き有機系バインダーあるいはカルボン酸基を有する有機系バインダー等を挙げることができる。この無機系バインダーおよび/または有機系バインダーの選択は、焼結原料との相性などを考慮して適宜に決定すればよい。
なお、有機バインダーを使用するときには、生石灰をバインダーとして併用することを避けることが好ましい。生石灰と併用すると、ガム系物質、セルロース系増粘剤のカルボン酸基と生石灰に含まれるCa2+イオンとが反応して、バインダー作用を減少させ、造粒性が低下して、通気性の悪化を招くからである。
また、有機バインダーを使用する場合において、有機バインダー量を低減し、低コスト化を狙うには、焼結原料として、返鉱の使用量を減少するか、控えることが好ましい。多孔質である返鉱は、添加したバインダーを多孔内に吸収し、その効果を減ずる。そのため、返鉱の多量使用は、バインダーの使用量の増加を必要とし、また、吸収によりバインダーが不足したときには、擬似粒子の乾燥時における崩壊を引き起こすからである。
(2)熱媒の温度ならびに擬似粒子の湿分の検討
本発明で用いる熱媒の温度は、擬似粒子の加熱・昇温が進んだときに、該擬似粒子の崩壊や爆裂現象を引き起こさない温度とする必要がある。また、造粒機の後半部分において予備乾燥を行い、次いで、ロータリーキルンで本乾燥を施すような場合には、本乾燥時の熱媒は、予備乾燥を行わない乾燥形態の場合よりも高温のものを使用することができる。すなわち、予備乾燥時には80℃以上、好ましくは100℃以上の熱媒を使用し、本乾燥時には200℃を超える熱媒を使用するなどして、乾燥温度を徐々に上げていく乾燥形態をとることができる。もちろん、予備乾燥を行わない乾燥形態では、200℃以上の熱媒を使用して乾燥を行うことも可能である。これらの乾操に適用する熱媒の温度は、無機系バインダーや有機系バインダーの添加量、乾燥設備の規模を勘案して適宜決定すればよい。
次に、図11は、擬似粒子の乾燥の程度が、擬似粒子の焼結性に及ぼす影響について調査し、その結果を、擬似粒子水分(mass%)と焼結時間(分)との関係として示したものである。図11から、擬似粒子の水分が4mass%以下になると、焼結時間が急速に短縮されることがわかる。したがって、前記熱媒による乾燥は、擬似粒子の水分量が4mass%以下となるまで行う必要があり、本発明において、造粒焼結原料を乾燥し、4.0mass%以下の水分を有する乾燥造粒焼結原料を生成する乾燥工程を必要とする理由である。好ましい水分量は、3mass%以下、より好ましくは2mass%以下である。
上述したように、焼結原料の処理工程を経て得られる造粒焼結原料中の水分含有量を4.0mass%以下にまで下げることができれば、これを焼結機へ装入することにより、装入層(焼結ベッド)の燃焼−溶融帯下に湿潤帯が生成しないか、生成したとしても、湿潤帯の大きさ(上下方向の厚さ)を小さくすることができる。その結果、湿潤帯の生成に起因する通気抵抗を小さくできるだけでなく、焼結速度の向上をもたらして、焼結鉱の生産効率を向上することもできる。さらに、同じ通気抵抗で焼結操業を行う場合には、焼結ベッド層厚(装入層厚)を大きくすることができるので、歩留りの向上も図ることができ、しかも、装入層上層部の熱を有効利用することができるようになるので、焼結鉱の製造に必要な炭材量をも削減することが可能となる。
図12は、炭材量を表す凝結材比と、焼結強度を表すタンブラー強度との関係を示したものであり、通常は、炭材(凝結材)の量を減らすと、焼結鉱強度が低下する。しかし、層厚と焼結鉱強度との関係を図13に示したように、湿潤帯に係わる通気抵抗を減少せしめて、パレット上の装入層の通気抵抗を大幅に減少させ、焼結ベッド層厚(装入層厚)を大きくすることができれば、装入層上層部の熱を有効利用することができるようになるので、焼結鉱の強度を高めることが可能となり、ひいては、焼結鉱の製造に必要な炭材量を削減することができる。
(3)熱媒の種類および乾燥方法の検討
ロータリーキルンで粒子を転動して乾燥を進める際に用いる乾燥用熱媒の排ガスは、その温度が高いと、擬似粒子内の水分が急速に蒸発し、骸粒子が爆裂(崩壊)を起こすおそれがある。さらに、擬似粒子どうしの衝突により、擬似粒子の崩壊が起こる可能性も大きい。この場合、前記ロータリーキルンの排出口側から向流で供給する乾燥用熱媒の排ガスは、希釈して適正温度の熱風とした上で使用することが好ましい。
また、炭材を含む焼結原料の擬似粒子に水と前記バインダーとを混合して造粒する際、造粒行程の後半部分で造粒擬似粒子に予備乾燥を加え、その後、前記ロータリーキルンで攪拌−乾燥を施せば、乾燥過程が予備乾燥と本乾燥とを兼ねることになるので、前記ロータリーキルンでの転動撹拌−乾燥時における爆裂防止に有効に作用する。なお、有機バインダーを用いて造粒を行う場合には、上記乾燥過程の他に、造粒工程の後半部分(造粒後の段階)から予備・本乾燥過程を経る乾燥過程における乾燥時の爆裂防止にも有効に作用する。
さらに、造粒機の後半部分で行う前記予備乾燥は、ロータリーキルン内に供給する擬似粒子の昇温操作のための加熱操作に止めてもよい。それは、ロータリーキルン内に供給する擬似粒子が予め昇温されるため、予備乾燥操作を加える場合と同様に、その後の前記ロータリーキルンによる撹拌−乾操の乾燥過程が、擬似粒子の昇温、乾燥過程と順次に進むことから、前記ロータリーキルンによる撹拌−乾燥時の爆裂を軽減ないし防止することができるからである。
また、本発明では、上述した造粒過程で加える予備乾燥を、そのまま本乾燥の処理とすることもできる。すなわち、焼結鉱を製造するに際し、炭材を含む焼結原料粒子に水と造粒用バインダーとを加えて混合造粒するとともに、造粒工程の後半部分で造粒擬似粒子に乾燥を加え、4.0mass%以下まで水分を除去した後、焼結機パレット上に装入し焼結する方法であってもよい。
上述した予備乾燥を本乾燥とするには、造粒過程での有機系バインダーの添加量を、前記予備乾燥・本乾燥と経る造粒過程での有機バインダー量よりも高めて、擬似粒子の強度を、乾燥過程での崩壊に耐えるよう上昇させておくことが望ましい。すなわち、有機バインダーを使用することにより、造粒過程での擬似粒子の強度を上昇させて、乾燥過程での崩壊に耐え得るようにしておくことが好ましい。
また、本発明の焼結鉱の製造方法としては、炭材を含む焼結原料に水とバインダーを混合し、造粒して擬似粒子としたのち、その一部のものをロータリーキルンで乾燥して4.0mass%以下の水分とした後、この脱水した一部の乾燥擬似粒子と残りの未乾燥擬似粒子とを混合し、その後、これらの混合物を焼結機のパレットに装入し焼結させる方法であってもよい。すなわち、この方法は、造粒した擬似粒子の一部をロータリーキルンによる乾燥工程にまわし、その後、乾燥に供しなかった擬似粒子と混合することによって、乾燥工程で生じた擬似粒子の崩壊部分を焼結に害のないように混合過程で付着させて、擬似粒子中の微粉部分を減少させるというものである。
このような乾燥、混合処理についても、ロータリーキルンを採用することの効果に変わりはなく、ロータリーキルンの採用が大量処理に適し、擬似粒子の微粉の減少にも有効である。また、擬似粒子の一部を乾燥する場合であっても、ロータリーキルンの回転−撹拌による混合操作により均一化がなされ、このような乾燥過程を経た擬似粒子もまた含水率が低いため、湿潤帯の形成が縮小し、焼結操業上の問題を発生させることはない。
次に、湿潤帯の縮小に効果のある、本発明に適合する乾燥パターンの例を、図14を用いて説明する。図14の(a)は、ロータリーキルンを介して造粒擬似粒子を乾燥する、図4に示した本発明にかかる焼結プロセスの代表的な適用例の1つである。
図14の(b)は、混合用ドラムミキサー、次いで、造粒用ドラムミキサーと順次焼結原料粒子の処理が行なわれる工程において、造粒用ドラムミキサー側で、その排出口側から熱媒を供給し乾燥する例である。この乾燥形態では、乾燥時に、擬似粒子に加わる乾燥負荷が過大となることから、有機系バインダーの添加量を、他の(a)、(c)〜(e)の場合よりも多くし、擬似粒子強度を高めた場合に適用するのが望ましい。
図14の(c)は、前述した乾燥負荷を軽減するため、造粒用ドラムミキサーを実質的に拡大した(長尺型ミキサー)構成とし、その排出口側から熱媒を導入して乾燥するようにした例である。造粒用ドラムミキサーをこのように構成すれば、造粒用ドラムミキサーの前半の領域で造粒が完了し、造粒が完了した擬似粒子は、その後、造粒ミキサーの回転に伴って排出側に移送されて行く過程で熱媒と徐々に接触して乾燥が行われるため、擬似粒子の水分を所定のレベルにするための時間を、上記(b)の例よりも延長できて、擬似粒子への乾燥負荷が軽減されるため、擬似粒子の崩壊が減少するほか、有機系バインダー使用量も(b)に比べて低減できる。
図14の(d)は、熱媒をロータリーキルンに導入して乾燥を行う他、造粒段階でも乾燥を行う例である。この方法は、造粒用ドラムミキサー側にも熱媒を供給して、予備乾燥するため、前記ロータリーキルン側での急激な乾燥による粒子崩壊を避ける有効な手段となる。すなわち、この方法によれば、擬似粒子にかかる乾燥負荷が徐々に上昇することになり、擬似粒子の崩壊を大幅に低減できる。この例において、ロータリーキルンに供給する熱媒と造粒用ドラムミキサーに供給する熱媒を独立させているのは、それぞれの熱媒の供給温度を制御するためと、含水熱媒の再利用を防ぐためである。
図14の(e)は、混合用ドラムミキサーと造粒用ドラムミキサーが統合された形の焼結用ミキサーを使用する例であり、この焼結用ドラムミキサーの後方に乾燥用のロータリーキルンを配置して熱媒を供給、乾操する例である。
また、図15は、造粒焼結原料の一部のみを乾燥し、その他の乾燥が施されなかった造粒焼結原料を乾燥用ロータリーキルンの排出口側の下流に配置した混合用ドラムミキサーに供給して、その両者を混合して使う例を示している。この方法は、乾燥後の擬似粒子を均一に分布させるためと、この擬似粒子に乾燥時に崩壊して粉化した焼緒原料粉を付着させて、均一に分布した装入層を形成するのに有利である。
上記に説明した本発明に係る焼結鉱の製造方法を採用することにより、擬似粒子の含水量を4.0mass%以下にすることが容易となり、ひいては、長年の願望であった湿潤帯の縮小が容易に実現できるようになる。
(比較例1、2)
比較例1は、特許文献4に記載の図1に示した装置を用い、排ガスを造粒装置に導いて焼結原料を乾燥する例である。すなわち、この比較例1の乾燥方法は、焼結原料を、無機系バインダーを介して、混合(混合用ドラムミキサー2a)、造粒(造粒用ドラムミキサー2b)して擬以粒子を製造する際、造粒用ドラムミキサー2bの擬以粒子排出側から焼結機の後半位置の高温排ガス、あるいは焼結鉱クーラー12の排ガスを熱媒として供給して、造粒用ドラムミキサー2bにおいて乾燥を施す方法である。この比較例1では、消石灰や生石灰、ベントナイトなど無機系バインダーのみを使用して、通常の焼結原料配合を用いて鍋試験を行った。
なお、比較例1と同様の原料配合で、下記の本発明例と同じ、図4に示す装置を用いて乾燥を行った例では、造粒用ドラムミキサー2b内で焼結原料粒子と排ガス(熱媒)との接触による乾燥過程で、擬似粒子に多量の崩壊が発生した。発明者らの観察によれば、乾燥が進行した段階で、造粒処理(擬以粒子化)に使用した無機系バインダー(生石灰、消石灰、ベントナイト等の−1.0mm以下の無機系の微粒子)の粒子結合力が消失して、粗粒、細粒、微細粒子に戻った状態が大量に見られ、これを焼結機パレット上に装入して焼結を行ったとき、通気抵抗が逆に上昇し、焼結生産性の大幅低下と大量の焼けムラが発生し、正常な焼結操業を妨げ、焼結操業が困難な結果となった。
(発明例1、2、3)
発明例1〜3は、図4に示す本発明に適合するプロセスの適用例である。この方式は、まず、混合用ドラムミキサー2aと造粒用ドラムミキサー2bとの間で、本発明が期待する特性(水が蒸発・乾燥する100℃以上でも蒸発せずに、造粒強度を保つ特性)を有する有機系バインダー、カルボン酸基を有する有機系バインダーを添加して造粒し、その後、乾燥用のロータリーキルン3を用いて乾燥する例である。これらの例においては、有機系バインダーは、造粒用ドラムミキサー(1次ミキサー)2bの入側で、混合後の焼結原料粒子に添加される。そして、その後に続く造粒用ドラムミキサー(2次ミキサー)2bでは、前記有機系バインダーの主作用によって擬似粒子が形成され、該擬似粒子は、乾燥用ロータリーキルン3に供給される。
この乾燥用ロータリーキルン3の排出口側からキルン内に吹き込む乾燥用の熱媒には、焼結機の排鉱部側に位置する風箱群(高温排ガスが得られる個所)から供給される排ガスを用いた。図4に示した13は、前記風箱から高温の排ガスを抽出するための排ガス抽出枝管で、14は排ガス供給配管、15は排ガス抽出のためのファンを示す。なお、抽出された排ガスは、温度調整機16に導かれて希釈気体と混合されるかあるいはそのままで、乾燥用熱媒として熱媒供給配管17により前記ロータリーキルン3の排出口側に導かれて、前記ロータリーキルン3内に吹き込まれる。このロータリーキルン3内で、擬似粒子の転動−撹拌による熱交換によって擬似粒子の乾燥がなされ、この乾燥に伴い発生する水蒸気を随伴する排ガスは、ロータリーキルン3の入側から排出され、その後、集塵機などに導かれる。
上記本発明に適合する発明例1〜3のプロセスを実施した時の鍋試験の成績を、比較例1と比較して表4に示す。表4から、バインダーとして有機系バインダーを用いたことの他は、比較例1と同じ焼結原料を使用した発明例1では、焼結時間が短縮されて、生産率が上昇した。また、発明例2は、有機系バインダーの種類を発明例1と変更した例であり、擬似粒子の強度が上昇し、装入密度の変化が少なく、焼結時間はより短縮され、生産率も大幅に向上している。さらに、発明例3は、有機系バインダーの種類と、パレット上の装入層の厚みを400mmから600mmに変更し、その他は発明例2と同じ条件とした例である。この例では、装入層の密度は、発明例2と同じであり、装入層厚みを600mmと大きくしたにもかかわらず、焼結時間は比較例1と同程度であり、結果的に生産率、歩留りの大幅な向上が得られた。しかも、排ガス最高温度も高く十分な焼結が実現できていることが判明した。
Figure 2007169780
以上の結果から、通常の造粒技術で乾燥する方式を取るプロセス(比較例1)では、擬似粒子が崩壊して生産性が低下したが、この方式の下でも、有機系バインダーを添加することにより、乾燥に耐え得る擬似粒子とすれば、図4に示す乾燥方式との併用により、生産率は、比較例1の1.41をベースとした場合、発明例1では1.58(12%増加)、発明例2では1.96(39%増加)と上昇し、さらに、発明例3では、生産率(1.86(32%増加))と共に歩留りの大幅な向上(79.2→88.1%)も得られており、本発明の方法が優れていることが確認された。
表5に示した各種の条件で、焼結原料を造粒、乾燥して、焼結実験を行い、焼結中の風量、焼結時間および生産率を測定し、その結果を、表5中に併記した。返鉱なしのほうが、効果が大きく、焼結時間はいずれも短縮されている。
Figure 2007169780
図16は、焼結原料に、バインダーとして水と生石灰をドラムミキサーで添加し、乾燥を行うことなく焼結する通常プロセスAと、上記通常プロセスAにおける生石灰に代えて、アラビアガムを、粉末の状態で添加するプロセスBおよび上記アラビアガムを水溶液として添加するプロセスCとを比較し、有機バインダーの添加方法が焼結性に及ぼす影響を比較したものである。この結果から、有機バインダーは、粉末のまま添加するのが好ましいことがわかる。
また、図17は、有機バインダー(アラビアガム)を使用する場合に、さらに生石灰をバインダーとして併用することの焼結性への影響を見るため、生石灰の添加がある場合(プロセスD)とない場合(プロセスB)の焼結性を、上記通常プロセスAをベースとして比較して示したものである。図17から、有機バインダーは、生石灰と共存させると、逆に、通気性の悪化を招くことがわかる。
また、図18は、有機バインダー(アラビアガム)を使用する場合に、焼結原料中に返鉱が含まれる場合(プロセスB)と含まれない場合(プロセスE)の焼結性を、上記通常プロセスAをベースとして比較して示したものである。図18から、有機バインダーの効果は、返鉱を含まない方が大きいことがわかる。
表6に示した各種の条件で、焼結原料を造粒、乾燥し、実機で焼結実験を行い、焼結中の風量、焼結時間および生産率を測定し、その結果を表6中に併記して示した。焼結実験は、それぞれの条件で、層厚を標準的な600mmとした場合と、900mmに上昇させた場合の2水準で行い、600mmの焼結機操業においては、炭材5.5mass%を基準とし、900mmの焼結機操業では、層厚増加しているため、炭材を4.0mass%を基準とした。
Figure 2007169780
比較例1は、従来技術の無機系のバインダーを使用した例であり、焼結機操業における焼結時間は、層厚が600mmでは30分、900mmでは、層厚増加分だけ時間が延びて45分であった。
一方、発明例1〜4は、アラビアガムの生産量が世界的に過少であるため、アラビアガム以外の有機バインダーを使用した実施例である。いずれの発明例も、比較例1に較べて焼結時間が短縮され、また、層厚を900mmとする焼結機操業においても、比較例1の600mmの焼結機操業と遜色がないか、または、それより焼結時間が短縮される結果となり、成品焼結鉱の生産性の大幅な向上が達成できている。また、平均風量からわかるように、焼結時の装入層全体における通気性が向上して、十分な通気量を確保できるため、焼結鉱の品質の均一化も実現されている。また、層厚を900mmとした焼結機操業においても、十分な平均風量を確保できる通気性を具えていることから、900mm以上の層厚操業も何らの支障もなく行えることが判明した。
以上説明したように、本発明によれば、湿潤帯の生成を低減ないし消滅することができるので、既存の焼結機においても、設備の改善等をすることなく、焼結原料装入層の厚み(焼結ベッド層厚)を600mmから900mmあるいは900mm超えまで増加させて焼結操業を行うことが可能となり、しかも、焼結に使用する炭材量の削減などが実現できる。また、本発明によれば、焼結原料装入層の厚み(焼結ベッド層厚)を増加させる操業を行っても、焼結時間の大幅な短縮を実現することができる。
従来の焼結鉱製造プロセスのフローを示す図である。 焼結層内の圧損と温度の分布を示す図である。 造粒擬似粒子の乾燥条件が焼結操業性に及ぼす影響を示す図である。 本発明の焼結鉱製造プロセスのフローを示す図である。 ロータリーキルンを用いた擬似粒子の乾燥前後の粒子径累積割合に及ぼすバインダーの影響を示すグラフである。 粉体充填層中におけるバインダーの分布状態を説明する模式図である。 バインダー添加量と造粒強度の関係に及ぼすバインダーの賦存状態の影響を示すグラフである。 添加方法の違いによる有機バインダーの分布状態の変化を説明する図である。 本発明の有機バインダーの添加方法を説明する図である。 無機バインダーと有機バインダーを併用した時の作用を説明する図である。 擬似粒子の水分量が焼結時間に及ぼす影響を示すグラフである。 炭材量と焼結鉱強度との関係を示すグラフである。 層厚と焼結鉱強度との関係を示すグラフである。 本発明の焼結鉱製造プロセスの適用例を説明する図である。 本発明の焼結鉱製造プロセスの他の適用例を説明する図である。 有機バインダーの添加方法が、焼結性に及ぼす影響を示すグラフである。 有機バインダーの効果に及ぼす生石灰の影響を示すグラフである。 有機バインダーの効果に及ぼす返鉱の影響を示すグラフである。
符号の説明
1 ホッパー
2a 混合用ドラムミキサー
2b 造粒用ドラムミキサー
3 ロータリーキルン
4 サージホッパー
6 ドラムフィーダー
7 シュート
8 パレット
9 装入層
10 点火炉
11 風箱

Claims (18)

  1. 炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、造粒焼結原料を生成する造粒工程と、前記造粒焼結原料を乾燥し、4.0mass%以下の水分を有する乾燥造粒焼結原料を生成する乾燥工程と、前記乾燥造粒焼結原料を焼結機に装入し、焼結する焼結工程とを有する焼結鉱の製造方法。
  2. 炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、造粒焼結原料を製造する造粒工程と、前記造粒焼結原料の少なくとも一部である第1の造粒焼結原料と残りの第2の造粒焼結原料に分ける仕分け工程と、第1の造粒焼結原料を乾燥し、4.0mass%以下の水分を有する乾燥造粒焼結原料とする乾燥工程と、前記乾燥造粒焼結原料と第2の造粒焼結原料を混合し、混合造粒焼結原料とする混合工程と、前記混合造粒焼結原料を焼結機に装入し、焼結する焼結工程とを有する焼結鉱の製造方法。
  3. 前記乾燥工程が、ロータリーキルンを使用して造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記乾燥工程が、ロータリーキルンの造粒焼結原料排出口側からロータリーキルン内に乾燥用熱媒を供給して、ロータリーキルン内の造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1〜3のいずれかに1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 前記造粒工程が、造粒機を使用して炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒し、造粒焼結原料を生成することからなり、前記乾燥工程が、前記造粒機の造粒焼結原料排出口側から造粒機内に乾燥用熱媒を供給して、造粒機内の造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  6. 前記乾燥工程が、前記造粒機の造粒焼結原料排出口側から造粒機内に乾燥用熱媒を供給して、造粒機内の造粒焼結原料を乾燥することからなる第一の乾燥工程と、前記第一の乾燥工程を経た造粒原料を、ロータリーキルンを使用して造粒焼結原料を乾燥する第二の乾燥工程とからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  7. さらに、乾燥工程の前に前記造粒焼結原料を予備乾燥する予備乾燥工程を有する請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  8. 前記乾燥工程が、200℃〜500℃の温度を有する乾燥用熱媒を使用して造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  9. 前記乾燥工程が、焼結機の排鉱部側にある風箱群で発生する排ガスを熱媒として使用して造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  10. 前記乾燥工程が、焼結鉱クーラーで発生する排ガスを熱媒として使用して造粒焼結原料を乾燥することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  11. 前記バインダーが、水が蒸発した後もバインダーとしての作用を有する有機バインダーを含むものからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  12. 前記有機バインダーが、ガム系物質またはセル系増粘剤である請求項11に記載の焼結鉱の製造方法。
  13. 前記ガム系物質が、グアガムまたはアラビアガムである請求項13に記載の焼結鉱の製造方法。
  14. 前記セル系増粘剤が、カルボキシメチルセルロースである請求項13に記載の焼結鉱の製造方法。
  15. 前記バインダーが有機バインダーと無機バインダーからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  16. 前記炭材を含む焼結原料に水とバインダーを加えて造粒する際、焼結原料として使用する原料から求められる適正水分値より過剰な水分値で造粒することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  17. 前記無機バインダーが、ベントナイト、水ガラスからなるグループから選択された少なくとも一つである請求項16に記載の焼結鉱の製造方法。
  18. 前記焼結工程が、600mm以上の層厚で焼結することからなる請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
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