JP2010099958A - 物品位置決め機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度な位置決めが可能で且つ回転拘束が可能な物品位置決め機構を提供すること、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に優れる物品位置決め機構を提供すること。
【解決手段】物品位置決め機構は、金型Mに固定された第1ロケートリング21と、第1ロケートリング21に係合及び離脱可能で且つ取付盤2に固定された第2ロケートリング31とを備え、第1ロケートリング21は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部22aと複数の辺部分22bとを有する正多角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部22を有し、第2ロケートリング31は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部31aと複数の辺部分31bとを有する正多角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部31とを有し、テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部とを密着状に係合可能に構成した。
【選択図】 図3

Description

本発明は物品位置決め機構に関し、特に部品又は工具からなる物品と機械装置の取付盤にロケートリングを設け、一方のロケートリングにテーパ係合雄部を形成し、他方のロケートリングにテーパ係合雌部を形成し、テーパ係合雄部をテーパ係合雌部に密着状に係合することで位置決め及び回転拘束するものに関する。
従来、成形用機械装置の金型取付盤に金型(物品)を位置決めすると共に回転拘束する為の物品位置決め機構では、機械装置への取り付け(心合わせ)を容易にするために、金型にロケートリングを設け、このロケートリングを機械装置の金型取付盤に設けられたノズル孔の開口部又は溝状のロケートリング係合部に係合させる。機械装置によっては、金型に溝状の被係合部を形成し、この被係合部を機械装置の係合部に合わせれば中心が合う構成のものもあり、ロケートリングを不要とするものもあるが、一般的には上記のようなロケートリングが使用されている。
上記ロケートリングによる金型位置決め機構に関しては種々のものが提案されている。
特許文献1の機械装置としての射出成形機に適用される金型位置決め機構では、固定側金型(物品)に角形ロケートリングを設け、この角形ロケートリングを固定側プラテン(取付盤)の角形貫通孔に係合するように構成されている。特許文献2の機械装置としての樹脂成形装置に適用される金型位置決め機構では、1対のテーパ状のロケートリングを金型に設け、固定側プラテン及び可動側プラテンのテーパ状のロケートホールにガスケットを介して係合するように構成されている。
特開2001−105455号公報 特開2007−90790号公報
しかし、特許文献1の金型位置決め機構では、角形ロケートリングを角形貫通孔に係合させることで回転拘束可能であるが、ロケートリングと貫通孔が角形状に構成されているので、物品としての金型をクレーンなどで搬送してきてロケートリングを貫通孔にスムーズに係合させる為には、ロケートリングと貫通孔との間に微小隙間が必要になる。そのため、金型を金型取付盤に対して高精度に位置決めすることが困難になる。
また、特許文献2の金型位置決め機構では、テーパ状のロケートリングとブラケットとの面接触の摩擦力により回転拘束可能であるが、この構成だと金型を固定側プラテンに対して確実に回転拘束できない。このように、特許文献1,2のロケートリングでは、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に欠けるという問題がある。
本発明の目的は、高精度な位置決めが可能で且つ回転拘束が可能な物品位置決め機構を提供すること、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に優れる物品位置決め機構を提供することなどである。
本発明の請求項1の物品位置決め機構は、機械装置の取付盤に部品又は工具からなる物品を位置決めすると共に回転拘束する為の物品位置決め機構において、前記物品に固定された第1ロケートリングと、前記第1ロケートリングに係合及び離脱可能で且つ前記取付盤に固定された第2ロケートリングとを備え、前記第1,第2ロケートリングの一方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部を有し、前記第1,第2ロケートリングの他方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部とを有し、前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部とを密着状に係合可能に構成したことを特徴としている。
請求項2の物品位置決め機構は、請求項1の発明において、前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部の正多角形の形状が、六角形又は八角形であることを特徴としている。
請求項3の物品位置決め機構は、請求項2の発明において、前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、外側へ僅かに膨らんだ円弧状に形成されたことを特徴としている。
請求項4の物品位置決め機構は、請求項2の発明において、前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、直線状に形成されたことを特徴としている。
請求項5の物品位置決め機構は、請求項1〜4の何れかの発明において、前記機械装置が射出成形機であり、この射出成形機は前記取付盤としての固定側プラテン及び可動側プラテンを有し、前記固定側プラテンはそのプラテン側金型固定面に固定されたクランププレートを有し、このクランププレートは前記物品としての金型を吸着してプレート側金型固定面に固定する為の複数のマグネットユニットとを備え、前記第1ロケートリングが前記金型に固定され、前記第2ロケートリングがクランププレートに固定され、この第2ロケートリングに前記テーパ係合雌部を設けたことを特徴としている。
請求項6の物品位置決め機構は、請求項5の発明において、前記第2ロケートリングがクランププレートの円形凹穴に装着され、第2ロケートリングの表面がクランププレートのプレート側金型固定面と同一面に構成されたことを特徴としている。
請求項7の物品位置決め機構は、請求項5の発明において、前記第1ロケートリングには金型の円形嵌合穴に嵌合されたインロー嵌合部が形成されたことを特徴としている。
請求項8の物品位置決め機構は、請求項1の発明において、前記機械装置がプレス機械であることを特徴としている。
請求項9の物品位置決め機構は、請求項1の発明において、前記機械装置がダイカスト成形機であることを特徴としている。
本発明の請求項1の物品位置決め機構によれば、前記第1,第2ロケートリングの一方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部を有し、前記第1,第2ロケートリングの他方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部とを有し、前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部とを密着状に係合可能に構成したので、この物品位置決め機構は、物品を取付盤に対して高精度に位置決めした状態で回転拘束することができ、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に優れる。
請求項2の物品位置決め機構によれば、前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部の正多角形の形状が、六角形又は八角形であるので、正多角形でありながら円形に近い形状であるから、壁部の無駄や空間の無駄が非常に少なく、装置を小型化する上で有利であり、製作コスト面でも有利である。
請求項3の物品位置決め機構によれば、前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、外側へ僅かに膨らんだ円弧状に形成されたので、密着状に係合する際に、辺部分同士の接触面積が増加し、高精度にリング部材をセンタリングすることができ、求心性を向上させることができる。
請求項4の物品位置決め機構によれば、前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、直線状に形成されたので、直線状の形状により回転拘束力を向上させることができる。
請求項5の物品位置決め機構によれば、前記機械装置が射出成形機であり、この射出成形機は前記取付盤としての固定側プラテン及び可動側プラテンを有し、前記固定側プラテンはそのプラテン側金型固定面に固定されたクランププレートを有し、このクランププレートは前記物品としての金型を吸着してプレート側金型固定面に固定する為の複数のマグネットユニットとを備え、前記第1ロケートリングが前記金型に固定され、前記第2ロケートリングがクランププレートに固定され、この第2ロケートリングに前記テーパ係合雌部を設けたので、金型の第1ロケートリングをクランププレートの第2ロケートリングに係合し、複数のマグネットユニットの磁力により金型を吸着する際に、金型をクランププレートに対して高精度に位置決めした状態で回転拘束することができ、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に優れる。
請求項6の物品位置決め機構によれば、前記第2ロケートリングがクランププレートの円形凹穴に装着され、第2ロケートリングの表面がクランププレートのプレート側金型固定面と同一面に構成されたので、第2ロケートリングをクランププレートに装着しても固定面を平坦に維持される。
請求項7の物品位置決め機構によれば、前記第1ロケートリングには金型の円形嵌合穴に嵌合されたインロー嵌合部が形成されたので、円形嵌合穴にインロー嵌合部を嵌合することで第1ロケートリングを金型に固定することができる。
請求項8の物品位置決め機構によれば、前記機械装置がプレス機械であるので、プレス機械に対して本発明の物品位置決め機構を適用することができる。
請求項9の物品位置決め機構によれば、前記機械装置がダイカスト成形機であるので、ダイカスト成形機に対して本発明の物品位置決め機構を適用することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に基づいて説明する。
先ず、本発明が適用される機械装置としての射出成形機について説明する。
図1に示すように、射出成形機1は、金型M(固定側金型M1と可動側金型M2)(物品に相当する)を固定する為の相対向する固定側プラテン2及び可動側プラテン3(取付盤に相当する)と、金型Mの型締めと型開きを行うためにプラテン2に対してプラテン3を接近/離隔する方向へ移動自在にガイド支持する4本のガイドロッド4、及び、同方向へプラテン3を移動駆動する油圧シリンダ(又は駆動モータ)を有するプラテン駆動機構5と、型締め状態の金型M内のキャビティに溶融状の合成樹脂を射出する射出筒6aを有する射出機構6と、金型M2から成形品を押し出すエジェクト機構7と、プラテン2,3のプラテン側金型固定面2a,3a(以下、固定面2a,3a)に固定されるクランププレート11,12と、金型Mとクランププレート11に装着された物品位置決め機構20とを備えている。
金型M1は、金型本体M1aと、この金型本体M1aが複数のボルトにより固定される取付板M1bを有する。複数のボルトが取付板M1bを貫通して金型本体M1aに螺合締結されている。この金型M1が取付板M1bを介してクランププレート11の金型固定面11aに固定される。金型M1の取付板M1bに後述するロケートリング21が固定されている。
金型M2は、金型本体M2aと、この金型本体M2aが複数のボルトにより固定される取付板M2bを有する。複数のボルトが取付板M2bを貫通して金型本体M2aに螺合締結されている。この金型M2が取付板M2bを介してクランププレート12の金型固定面12aに固定される。
この射出成形機1により射出成形を行う場合、前回の成形品のエジェクト後、プラテン駆動機構5によりプラテン3がプラテン2に接近する方向に駆動され、金型M2が金型M1に押圧されて型締め状態となり、その状態で、射出機構6により射出筒6aの先端から金型M内に溶融状の合成樹脂が射出されて成形品が成形される。その後、プラテン駆動機構5によりプラテン3がプラテン2から離隔する方向に駆動されて型開き状態となる。その状態で、エジェクト機構7により成形品が金型M2からエジェクトされる。
プラテン2,3は夫々側面視で正方形状に形成され、プラテン2の4つの角部の近傍部の挿通孔2bに4本のガイドロッド4が夫々挿通した状態で固定され、プラテン3の4つの角部の近傍部の挿通孔3bに4本のガイドロッド4が夫々摺動自在に挿通されている。
エジェクト機構7は、エジェクターピン8と、エジェクター板8aと、このエジェクター板8aを介してエジェクターピン8を進退駆動する流体圧シリンダ8bとを備え、エジェクターピン8がエジェクターピン穴3cに挿通されている。
クランププレート11,12について説明する。
図1,図2に示すように、クランププレート11は、プラテン2の固定面2aに固定されるものであって、金型M1を固定するプレート側金型固定面11a(以下、固定面11aという)と、クランププレート11に組み込まれ金型固定用の磁力を発生可能で、その磁力により金型M1を固定面11aに吸着させて固定する複数のマグネットユニット13とを備えている。
同様に、クランププレート12は、プラテン3の固定面3aに固定されるものであって、金型M2を固定するプレート側金型固定面12a(以下、固定面12aという)と、クランププレート12に組み込まれ金型固定用の磁力を発生可能で、その磁力により金型M2を固定面12aに吸着させて固定する複数のマグネットユニット13とを備えている。
図2に示すように、クランププレート11は、プラテン2とほぼ同サイズの磁性体である鋼製のプレートであり、プラテン2の4つの角部に対応するほぼ正方形部分が除去され、プラテン2の固定面2aに複数のボルト14により固定されている。このクランププレート11において、後端部に複数の電気配線を接続・分離可能なコネクタ15が装着され、中央部分のノズル孔18に後述するロケートリング32が装着されている。コネクタ15は、複数のマグネットユニット13に電流を供給する電気配線を接続するものである。クランププレート11の下部には、金型M内部に油圧又は/及び冷却水を供給する為の複数のカプラ16が設けられている。クランププレート12は、クランププレート11と略同様の形状であり、中央部にノズル孔18の代わりに1対のエジェクターピン穴3cが設けられている。
クランププレート11のマグネットユニット13は、例えば、図2に示す数、配置となり、クランププレート11に2等分状に形成された24個のブロック領域に24個のマグネットユニット13が配設されている。同様に、クランププレート12のマグネットユニット13の数、配置については、複数のブロック領域に複数のマグネットユニット13が配置されているものである。
次に、複数のマグネットユニット13について説明する。
複数のマグネットユニット13は基本的に全て同様の構造を有し、固定面11a,12aに臨む磁性体からなる鋼製ブロックと、この鋼製ブロックの外周側に配置された複数のネオジウム磁石からなる永久磁石と、鋼製ブロックの背面側に配置されたアルニコ磁石と、このアルニコ磁石の外周側に配置されてアルニコ磁石の極性を切換え可能なコイルとを有する。マグネットユニット13の構成は公知のものであるため詳細な説明は省略する。
ここで、本願特有の物品位置決め機構20について図3〜図9に基づいて説明する。
図3に示すように、物品位置決め機構20は、金型M1の取付板M1bに固定されたロケートリング21(第1ロケートリングに相当する)と、このロケートリング21に係合及び離脱可能で且つクランププレート11に固定されたロケートリング31(第2ロケートリングに相当する)とを備え、この物品位置決め機構20はクランププレート11を介してプラテン2に対して金型Mを位置決めすると共に回転拘束する為のものである。
図3〜図6に示すように、ロケートリング21は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部22aと直線状の8つの辺部分22bとを有する正八角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部22を有している。このテーパ係合雄部22は、ロケートリング21の外周部の軸方向先端側の約2/3部分と一体的に形成されている。奥方の外周部の約1/3部分には、円形凸部24が形成されている。テーパ係合雄部22の水平方向に対する傾斜角は7°〜12°程度が望ましい。
このロケートリング21の奥端部には、金型M1の円形嵌合穴M1cに嵌合されるインロー嵌合部25が形成されている。このインロー嵌合部25は、ロケートリング21の直径の約2/3の大きさである。ロケートリング21の奥端面が金型取付板M1bに当接され、このインロー嵌合部25が円形嵌合穴M1cに嵌合される。ロケートリング21の先端面には、1つのピン装着穴26と8つのボルト装着穴27が設けられ、位置決めピン26aで位置決めされ、8本のボルトにより金型M1に固定される。
ロケートリング21は、その直径の約1/3〜1/2の円形開口28を有し、この円形開口28の内周面は、奥方に向かって小径化する先端面28aと、この軸心と平行な内周面を有する中段面28bと、先端側に向かって小径化する奥端面28cとから構成されている。この円形開口28はプラテン2のノズル孔18と型締め状態の金型M内のキャビティとを連通し、射出成型時には、溶融状の合成樹脂が円形開口28を介してキャビティに射出される。
図3,図7〜図9に示すように、ロケートリング31は、ロケートリング21の直径の約1.2倍の大きさであり(図3参照)、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部32aと8つの辺部分32bとを有する正八角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部32とを有している。このテーパ係合雌部32は、ロケートリング31の内周部の軸方向奥方の約2/3部分と一体的に形成されている。内周部の先端側の約1/3部分には、円形状の円形凹部34が形成されている。
ロケートリング31は、位置決めピン36aで位置決めされ、4本のボルトにより固定されることで、クランププレート11の円形凹穴11bに装着されている。ロケートリング31がクランププレート11に装着された状態では、ロケートリング31の表面はクランププレート11の金型固定面11aと同一面になるように構成されている。ロケートリング31の先端面には、1つのピン装着穴36と4つのボルト装着穴37が設けられている。ロケートリング21,31が係合する際には、ロケートリング31の円形開口38にロケートリング21が挿入される。ロケートリング31が装着された状態では、ロケートリング31の外周面と円形凹穴11bの内周面との間には僅かな隙間が形成される。
この物品位置決め機構20は、テーパ係合雄部22とテーパ係合雌部32とを密着状に係合可能に構成されている。テーパ係合雄部22がテーパ係合雌部32に密着状に係合している状態では、円弧状角部22aと円弧状角部32aとの間に僅かな隙間が形成され、辺部分22bが辺部分32bに密着状に係合する。この係合状態では、円形凸部24と円形凹部34との間に隙間が空けられる。尚、テーパ係合雄部22とテーパ係合雌部32とが密着状に係合する際に、テーパ係合雌部32の外周側壁部が径拡大方向への弾性変形を介してテーパ係合雄部22に密着状に係合しても良い。
次に、物品位置決め機構20の作用及び効果について説明する。
先ず、物品としての金型Mをクランププレート11,12に固定する場合、金型M1と金型M2を連結した状態の金型Mを、クレーン等の搬送手段によりクランププレート11,12の間に搬送する。このとき金型Mにマグネットユニット13の磁力が作用しないようにマグネットユニット13を非吸着状態に保持する。
次に、金型Mの高さ位置を調整しながら金型M1の背面側に固定されたロケートリング21をクランププレート11に装着されたロケートリング31の円形開口38に挿入し、テーパ係合雄部22をテーパ係合雌部32に密着状に係合する。このとき、ロケートリング21のテーパ係合雄部22が先端側へ向かって小径化するように形成され、ロケートリング31のテーパ係合雌部32が奥方へ向かって小径化するように形成されているので、金型Mが固定面11aにスムーズにセンタリングされ且つ金型Mが正規の取り付け姿勢に高精度に位置決めされ、確実に回転拘束できる。尚、テーパ係合雌部32の外周側壁部が径拡大方向への弾性変形を介してテーパ係合雄部22に密着状に係合しても良い。
その後、プラテン駆動機構5により可動側プラテン3を固定側プラテン2側に接近させることで、クランププレート12の固定面12aを金型M2の背面側に当接させる。その後、マグネットユニット13のコイルに所定の数秒間通電することで、マグネットユニット13を吸着状態に切換えて金型M1,M2を固定面11a,12aに夫々固定する。このとき、テーパ係合雄部22の辺部分22bがテーパ係合雌部32の辺部分32bに密着状に係合し、ロケートリング31の表面が金型M1の取付板M1bに当接する。
このように、ロケートリング21は、複数の円弧状角部22aと複数の辺部分22bとを有する正多角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部22を有し、ロケートリング31は、複数の円弧状角部32aと複数の辺部分32bとを有する正多角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部32とを有し、テーパ係合雄部22とテーパ係合雌部32とを密着状に係合可能に構成したので、金型Mをクランププレート11に取り付ける際に、テーパ形状を介してロケートリング21の軸心とロケートリング31の軸心を一致させて金型Mをクランププレート11に取付可能である。
テーパ係合雄部22及びテーパ係合雌部32が正多角形状に形成されているので、密着状に係合させることで金型Mをクランププレート11に対して高精度に位置決めし且つ回転拘束することができ、位置決め機能と回転拘束機能の信頼性に優れるものになる。8つの辺部分22b,32bの各々が、直線状に形成されたので、密着状に係合する際に、8つの辺部分22b,32bの直線状の形状により回転拘束力を向上させることができる。さらに、ロケートリング21を金型M1に装着すると共に、ロケートリング31をクランププレート11に装着する構成なので、種々の機械装置に適応可能な為に汎用性に優れるものである。
尚、上記物品位置決め固定機構20に以下の種々の変更形態を適用しても良い。
[1]図10は第1変更例のロケートリング21Cの平面図であり、この図10に示すロケートリング21Cでは、テーパ係合雄部22Cのロケートリング21Cの軸心と直交する断面が外側へ凸の8つの円弧状角部22aCと外側へ僅かに膨らんだ8つの辺部分22bCとを有する正八角形に形成されている。8つの辺部分22bCは、微小曲率の円弧状にカーブしている。図11は第1変更例のロケートリング31Cの平面図であり、この図11に示すロケートリング31Cでは、テーパ係合雌部32Cのロケートリング31Cの軸心と直交する断面が外側へ凸の8つの円弧状角部32aCと外側へ僅かに膨らんだ8つの辺部分32bCとを有する正八角形に形成されている。
このテーパ係合雄部22Cとテーパ係合雌部32Cは、ロケートリング21Cとロケートリング31Cが係合する際に、密着状に係合可能に構成されている。テーパ係合雄部22Cとテーパ係合雌部32Cがロケートリング21C,31Cの軸心と直交する断面において正八角形に形成されているため、正多角形でありながら円形に近い形状であるから、壁部の無駄や空間の無駄が非常に少なく、装置を小型化する上で有利であり、製作コスト面でも有利である。密着状に係合する際に、辺部分同士の接触面積が増加し、高精度にリング部材をセンタリングすることができ、求心性を向上させることができる。
[2]図12は第2変更例のロケートリング21Dの平面図であり、この図12に示すロケートリング21Dでは、テーパ係合雄部22Dのロケートリング21Dの軸心と直交する断面が外側へ凸の6つの円弧状角部22aDと直線状の6つの辺部分22bDとを有する正六角形に形成されている。ロケートリング21Cに係合されるロケートリングのテーパ係合雌部(図示略)は、テーパ係合雄部22Dに密着状に係合する形状に形成されている。6つの辺部分22bDの各々が、直線状に形成されたので、密着状に係合する際に、6つの辺部分22bDの直線状の形状により回転拘束力を向上させることができる。
[3]図13は第3変更例のロケートリング21Eの平面図であり、この図13に示すロケートリング21Eでは、テーパ係合雄部22Eのロケートリング21Eの軸心と直交する断面が外側へ凸の6つの円弧状角部22aEと外側へ僅かに膨らんだ6つの辺部分22bEとを有する正六角形に形成されている。6つの辺部分11bBは、微小曲率の円弧状にカーブしている。ロケートリング21Eに係合されるロケートリングのテーパ係合雌部(図示略)は、テーパ係合雄部22Eに密着状に係合する形状に形成されている。
テーパ係合雄部22Eとテーパ係合雌部がロケートリング21Eの軸心と直交する断面において正六角形に形成されているため、正多角形でありながら円形に近い形状であるから、壁部の無駄や空間の無駄が非常に少なく、装置を小型化する上で有利であり、製作コスト面でも有利である。密着状に係合する際に、辺部分同士の接触面積が増加し、高精度にリング部材をセンタリングすることができ、求心性を向上させることができる。
実施例2は物品位置決め機構20Aを機械装置としてのダイカスト成形機41に適用したものを示すものであり、前記実施例1と異なる構成についてのみ説明する。
ダイカスト成形機41は、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の鋳造に使用されるコールドチャンバーダイカスト成形機である。
図14に示すように、このダイカスト成形機41は、ベースフレーム42と、ベースフレーム42上に固定され固定側金型M1A(物品に相当する)が固定される固定側プラテン43(取付盤に相当する)と、プラテン43に対向してベースフレーム42上を移動可動に取付けられ可動側金型M2Aが固定される可動側プラテン44と、4本のタイバー58の端部が連結されたリンクハウジング45と、リンクハウジング45と可動側プラテン44とを連結する1対のトグル装置46と、型締め状態のとき金型MA(固定側金型M1Aと可動側金型M2A)内に形成されたキャビティ57にアルミニウム合金等の金属溶湯を射出充填する為の射出機構47と、金型M2Aから成形品を取り出す押出機構59等を備えている。
射出機構47は、射出シリンダ49と、射出シリンダ49に供給される油圧を蓄圧するアキュムレーター48と、射出シリンダ49の作動により進退駆動されるピストンロッド50と、ピストンロッド50の先端部にカップリング51を介して連結されたプランジャーロッド52と、プランジャーロッド52の先端部に固定されたプランジャー53と、プランジャー53が挿通されるスリーブ54等を備えている。
スリーブ54は両端部が開口する金属製の円筒部材であり、このスリーブ54は、プラテン43と金型M1Aに貫通状に組み込まれており、金型M1Aと金型M2Aとの間に形成されるキャビティ57に連通している。スリーブ54の右端部の上部には、スリーブ54内にラドルから金属溶湯を供給する注入口が開口している。
スリーブ54の途中部の金型M1Aとプラテン43との連結部において、テーパ係合雄部22を有するロケートリング21A(第1ロケートリングに相当する)が金型M1A側のスリーブ54に固定され、このロケートリング21Aに係合及び離脱可能なロケートリング31Aであってテーパ係合雌部32を有するロケートリング31A(第2ロケートリングに相当する)がプラテン43のスリーブ54に固定されている。これらロケートリング21A,31Aが、物品位置決め機構20Aに相当し、プラテン43に金型MAを位置決めすると共に回転拘束する。その他の物品位置決め機構20Aの構成、作用及び効果は前記実施例1と同様なので説明を省略する。
実施例3は物品位置決め機構20Bを機械装置としてのプレス成形機61に適用したものを示すものであり、前記実施例1と異なる構成についてのみ説明する。
プレス成形機61は、各種の加工を行う際には、下側金型の上部に被加工物を載置し、電動モータを正回転させて上側金型を降下させ、上側金型を下側金型に予め設定した押圧力で被加工物を押圧し、打ち抜き加工、絞り加工、刻印打などの加工を行うものである。
図15に示すように、このプレス成形機61は、中央部に切欠部62aを有する側面視C状に形成された本体フレーム62と、この切欠部62aの下端に設けられた下側金型M1B(物品に相当する)が固定される固定盤64(取付盤に相当する)と、この固定盤64に対向する切欠部61aの上端に上下方向に移動可能に取り付けられ上側金型M2が固定される可動部66と、この可動部66を昇降作動させる電動モータ68と、コントローラボックス69やフットスイッチ72などを備えている。この本体フレーム62の下部には、固定用ジャッキ73と移動用転動輪74が設けられている。
テーパ係合雌部32を有するロケートリング31B(第1ロケートリングに相当する)が金型M1Bの下端面に固定され、このロケートリング31Bに係合及び離脱可能なロケートリング21Bであってテーパ係合雄部22を有するロケートリング21B(第2ロケートリングに相当する)が固定盤64の上端面に固定されている。これらロケートリング31B,21Bが、物品位置決め機構20Bに相当し、固定盤64に金型MBを位置決めすると共に回転拘束する。その他の物品位置決め機構20Bの構成、作用及び効果は前記実施例1と同様なので説明を省略する。
ここで、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
[1]機械装置は、射出成形機1,プレス機械41,ダイカスト成形機61に限らず、種々の機械装置に適用可能である。
[2]第1ロケートリング31が設けられるのは金型Mに限定する必要はなく、様々な部品又は工具からなる物品に第1ロケートリング31を設けて機械装置の取付盤に対して位置決めすると共に回転拘束しても良い。
[3]テーパ係合雄部22とテーパ係合雌部32とが密着状に係合する際に、テーパ係合雄部22の内周側壁部が径縮小方向への弾性変形を介して密着状に係合しても良いし、テーパ係合雄部22とテーパ係合雌部32の両方が径方向へ弾性変形をして密着状に係合しても良い。
[4]テーパ係合雄部22及びテーパ係合雌部32の形状は、正六角形や正八角形に限らず正五角形や正八角形以上の正多角形状に形成されても良い。
[5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
この物品位置決め機構は、射出成形機、プレス機械、ダイカスト成形機などの機械装置の取付盤に部品又は工具からなる物品を高精度に位置決めすると共に回転拘束する為のものである。
本発明の実施例1の射出成形機の要部と金型の正面図である。 固定側プラテンとクランププレートの側面図である。 固定側金型と固定側プラテンの要部拡大断面図である。 金型側のロケートリングの平面図である。 金型側のロケートリングの断面図である。 金型側のロケートリングの斜視図である。 固定側プラテン側のロケートリングの平面図である。 固定側プラテン側のロケートリングの断面図である。 固定側プラテン側のロケートリングの斜視図である。 第1変更例の金型側のロケートリングの平面図である。 第1変更例の固定側プラテン側のロケートリングの平面図である。 第2変更例の金型側のロケートリングの平面図である。 第3変更例の金型側のロケートリングの平面図である。 実施例2のダイカスト成形機の正面図である。 実施例3のプレス機械の正面図である。
符号の説明
1 射出成形機
2 固定側プラテン
3 可動側プラテン
11,12 クランププレート
11b 円形凹穴
20,20A〜20C 物品位置決め機構
21,21A〜21E ロケートリング
22,22C〜22E テーパ係合雄部
25 インロー嵌合部
31,31A,31B ロケートリング
32,32C テーパ係合雌部
41 ダイカスト成形機
61 プレス成形機

Claims (9)

  1. 機械装置の取付盤に部品又は工具からなる物品を位置決めすると共に回転拘束する為の物品位置決め機構において、
    前記物品に固定された第1ロケートリングと、
    前記第1ロケートリングに係合及び離脱可能で且つ前記取付盤に固定された第2ロケートリングとを備え、
    前記第1,第2ロケートリングの一方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ先端側へ向かって小径化するテーパ係合雄部を有し、
    前記第1,第2ロケートリングの他方は、その軸心に直交する断面が外側へ凸の複数の円弧状角部と複数の辺部分とを有する正多角形に形成され且つ奥方に向かって小径化するテーパ係合雌部とを有し、
    前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部とを密着状に係合可能に構成したことを特徴とする物品位置決め機構。
  2. 前記テーパ係合雄部と前記テーパ係合雌部の正多角形の形状が、六角形又は八角形であることを特徴とする請求項1に記載の物品位置決め機構。
  3. 前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、外側へ僅かに膨らんだ円弧状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の物品位置決め機構。
  4. 前記テーパ係合雄部の前記第1,第2ロケートリングの一方の軸心と直交する方向の断面における複数の辺部分の各々が、直線状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の物品位置決め機構。
  5. 前記機械装置が射出成形機であり、この射出成形機は前記取付盤としての固定側プラテン及び可動側プラテンを有し、前記固定側プラテンはそのプラテン側金型固定面に固定されたクランププレートを有し、このクランププレートは前記物品としての金型を吸着してプレート側金型固定面に固定する為の複数のマグネットユニットとを備え、
    前記第1ロケートリングが前記金型に固定され、
    前記第2ロケートリングがクランププレートに固定され、この第2ロケートリングに前記テーパ係合雌部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の物品位置決め機構。
  6. 前記第2ロケートリングがクランププレートの円形凹穴に装着され、第2ロケートリングの表面がクランププレートのプレート側金型固定面と同一面に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の物品位置決め機構。
  7. 前記第1ロケートリングには金型の円形嵌合穴に嵌合されたインロー嵌合部が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の物品位置決め機構。
  8. 前記機械装置がプレス機械であることを特徴とする請求項1に記載の物品位置決め機構。
  9. 前記機械装置がダイカスト成形機であることを特徴とする請求項1に記載の物品位置決め機構。
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