JP2010099406A - 半固形化栄養剤の注入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造により、栄養剤容器からの半固形化栄養剤の注入量を、精度よく制御可能な半固形化栄養剤の注入装置を提供する。
【解決手段】半固形化栄養剤が充填された可撓性を有する栄養剤容器9から、半固形化栄養剤を押し出して注入するための注入装置。加圧媒体液2が収容された加圧媒体液容器3と、可撓性膜からなる変形可能な押圧部4aを有する加圧容器部4を含み、押圧部に隣接して栄養剤容器を着脱自在に保持することが可能な容器保持部5が設けられた加圧ユニット1と、加圧媒体液容器と加圧容器部とを連通させる接続回路6と、加圧媒体液容器内の加圧媒体液を移送して加圧容器部に充填するポンプ8とを備える。栄養剤容器を容器保持部に保持し、加圧媒体液容器から加圧媒体液を加圧容器部に移送することにより、押圧部が膨張して栄養剤容器に押圧力が印加され、栄養剤容器内の半固形化栄養剤が押し出される。
【選択図】図5A
【解決手段】半固形化栄養剤が充填された可撓性を有する栄養剤容器9から、半固形化栄養剤を押し出して注入するための注入装置。加圧媒体液2が収容された加圧媒体液容器3と、可撓性膜からなる変形可能な押圧部4aを有する加圧容器部4を含み、押圧部に隣接して栄養剤容器を着脱自在に保持することが可能な容器保持部5が設けられた加圧ユニット1と、加圧媒体液容器と加圧容器部とを連通させる接続回路6と、加圧媒体液容器内の加圧媒体液を移送して加圧容器部に充填するポンプ8とを備える。栄養剤容器を容器保持部に保持し、加圧媒体液容器から加圧媒体液を加圧容器部に移送することにより、押圧部が膨張して栄養剤容器に押圧力が印加され、栄養剤容器内の半固形化栄養剤が押し出される。
【選択図】図5A
Description
本発明は、PEG(経皮内視鏡的胃ろう造設術)栄養療法のような栄養剤を直接胃に注入する栄養療法を実施する際に、粘度の高い半固形化栄養剤を栄養剤容器から吸出し、患者に注入するための注入装置に関する。
PEG栄養療法は、食物の経口摂取が困難な患者に対して施され、患者の腹壁と胃壁とに跨って造設された胃瘻の瘻孔に栄養チューブを挿入し、栄養剤を栄養チューブを経て患者の胃に注入する方法であり、近年急速に普及している。
栄養剤は、一般に、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルのような各種栄養素を含むように調製された流動性食品であり、患者の状態に合わせて処方された量を、所定時間ごとに投与する。ところが、栄養剤を急速に胃に注入すると、下痢を起こしたり栄養剤が胃から食道に逆流する胃食道逆流を起こして誤嚥性肺炎を引き起こしたりする恐れがあるので、栄養剤はある程度ゆっくり投与することが推奨されている。したがって栄養剤の注入に時間がかかるため、介護者の負担が増加するという問題がある。
この問題を解決するために、栄養剤に寒天などを混合して栄養剤の粘度を高め、半固形化栄養剤と呼ばれる液体と固体の中間の状態にして注入する方法が提唱されている。この方法では、栄養剤がゆっくりと消化されるので下痢を起こしにくく、栄養剤の流動性が低いので胃食道逆流を起こす恐れも少ない。しかしながら、栄養剤の粘度が高いため、栄養剤を胃瘻カテーテル経由で胃に注入するのに困難が伴うという問題がある。すなわち、粘度の高い栄養剤はチューブを通過する際に大きな抵抗があり、栄養剤の入った可撓性容器を強い力で圧迫したり、専用の注射器(注入器とも呼ばれる)に栄養剤を入れて注入したりするなど手間のかかるものであり、半固形化栄養剤の普及を妨げる要因となっている。
一方、近年ラミネートフィルムで構成された袋状の栄養剤容器も、多種類のものが、成形されるようになり、バッグ内の液体状栄養剤に寒天やトロミを添加して、半固形化するものもある。その中で、半固形化栄養剤の調製が簡単なもの、すぐに使用できる栄養剤が普及してきており、半固形化栄養剤もこのタイプのものが販売されるようになってきた。半固形化栄養剤を患者の胃に注入するためには、医療現場では、例えば、上記栄養剤の入った柔軟な容器を素手で強く押して圧迫することにより、開栓された口部を通じて半固形化栄養剤を押し出していた。
しかし、上記柔軟な容器から半固形化栄養剤を素手で押し出すことでは、柔軟な容器全体を一度に圧迫することができず、半固形化栄養剤のほぼ全量を押し出すことが難しく、時間と手間がかかっていた。その結果、容器内の半固形化栄養剤が無駄になったり、半固形化栄養剤の押し出しに長時間を要したりしていた。
このような問題を解消するために、特許文献1に開示された半固形化栄養剤の押し出し装置では、可撓性を有するとともに袋状をなし、エアーの供給を受けて膨らむエアーバッグ(加圧バッグ)と、加圧バッグに対向し、膨らんだ加圧バッグの圧力を受ける受け部材とを用いる。半固形化栄養剤を充填した袋状容器を加圧バッグと受け部材との間に装着した状態で、加圧バッグを膨らますことによって、加圧バッグと受け部材との協働により、袋状容器を圧迫して、袋状容器内の半固形化栄養剤を押し出す。それにより、袋状容器内に充填された半固形化栄養剤を、手で押圧する方法よりも、短時間で押し出すことが可能となる。
特開2007−29562号公報
しかし、特許文献1に開示されたような、加圧バッグにより袋状容器内から半固形化栄養剤を押し出す方法でも、依然として、以下のような問題が残っていた。
まず、容器内から栄養剤が流出し終わる時間が予測され難く、且つ短時間では流出できないという問題である。即ち、押圧初期では栄養剤が流出する速度は大きいが、容器内の残量が減るにつれて、流出速度が小さくなり、所定時間後はほとんど栄養剤の流出がみられなくなる。流出速度が小さくなった時点で再加圧しても、同じ状態を繰り返すことになる。そのため、短時間で流出させようとした場合には、流出速度が落ちてきた頃を見計らって、再加圧しなくてはならず、非常に面倒な操作となる。従って、半固形化栄養剤の注入量を必要に応じて正確に制御することは困難である。
また、従来例の加圧バッグの構成では、常時圧力が印加された状態になり、エアーの回路が外れたり、加圧バッグが破裂してしまうようなおそれがあった。
さらに、容器内に少なからぬ栄養剤が流出されずに残ってしまうという問題もある。そのため、ある程度加圧バッグによる押し出しを行った後、加圧バッグと受け部材の間から袋状容器を取り出し、手作業により残液を搾り出す必要があった。
袋状容器内の半固形化栄養剤を全量押し出すために、例えば、袋状容器を2本のローラー間に通し、ローラーの回転により半固形化栄養剤を搾り出す方法も提案された。しかし、そのような方法の場合、袋状容器の内圧が上昇し過ぎて、ローラーを回転させることが困難になる場合があった。また、袋状容器の規格によっては容器内にストローが配置されるため、ローラーの回転が阻害される。
そこで、本発明は、簡易な構造により、栄養剤容器からの半固形化栄養剤の押し出し量、すなわち患者への注入量を安定して精度よく制御することが可能な、半固形化栄養剤の注入装置を提供することを目的とする。
また、栄養剤容器の加圧が必要圧を越えて行われることに起因する常時圧力が印加された状態が回避されて、加圧容器が破裂するようなおそれが解消された半固形化栄養剤の注入装置を提供することを目的とする。
また、半固形化栄養剤を、栄養剤容器から実用上十分な程度に抽出し尽くすことが可能な半固形化栄養剤の注入装置を提供することを目的とする。
本発明の半固形化栄養剤の注入装置は、半固形化栄養剤が充填された可撓性を有する栄養剤容器から、前記半固形化栄養剤を押し出して注入するための半固形化栄養剤の注入装置であって、加圧媒体液が収容された加圧媒体液容器と、可撓性膜からなる変形可能な押圧部を有する加圧容器部を含み、前記押圧部に隣接して前記栄養剤容器を着脱自在に保持することが可能な容器保持部が設けられた加圧ユニットと、前記加圧媒体液容器と前記加圧容器部とを連通させる接続回路と、前記加圧媒体液容器内の前記加圧媒体液を移送して前記加圧容器部に充填するポンプとを備え、前記栄養剤容器を前記容器保持部に保持し、前記加圧媒体液容器から前記加圧媒体液を前記加圧容器部に移送することにより、前記押圧部が膨張して前記栄養剤容器に押圧力が印加され、前記栄養剤容器内の前記半固形化栄養剤が押し出されるように構成されたことを特徴とする。
本発明の注入装置は、半固形化栄養剤の注入に有用であるが、本発明で言う半固形化栄養剤とは、非流動性の柔らかい食品及び流動性はあるが粘度が高い食品を意味する。具体的には、食品に寒天などを配合してゼリー状に調製したもの、液状の食品にとろみ剤や増粘剤等を加えて粘度を高めたもの(通常は1,000〜100,000cP(センチポワズ)の粘度を有する)、ミキサー食、きざみ食などである。
本発明の半固形化栄養剤の注入装置によれば、栄養剤容器内の半固形化栄養剤は、加圧媒体液容器から移送されて加圧容器部に充填される加圧媒体液の量に応じた量が押し出される。加圧媒体液の充填量は、ポンプの駆動を制御することにより、安定して精度よく調整することが可能であり、従って、半固形化栄養剤の押し出し量を必要に応じて精度よく制御することができる。
また、本実施の形態の注入装置においては、栄養剤容器の加圧は、必要な範囲に限定され、必要圧を越えて加圧されることがない。従って、常時圧力が印加された状態が回避されるので、接続回路が外れたり、加圧容器部が破裂して充填液が噴出すようなおそれが低減する。
本発明の半固形化栄養剤の注入装置は、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
すなわち、前記接続回路は、チューブ部分を含み、前記ポンプはローラーポンプにより構成されて、前記チューブ部分が装着され、前記ローラーポンプを動作させることにより前記チューブ部分がしごかれて、前記加圧媒体液容器から前記加圧媒体液が前記加圧容器部に移送される構成とすることができる。
前記ローラーポンプは、前記加圧ユニットに設けられていることが好ましい。
また、前記容器保持部には、前記加圧容器部の前記押圧部に対向するスロープ台座が形成され、前記押圧部の反体側の前記加圧容器部の表面は剛性を有する支持面により支持され、前記栄養剤容器は、前記押圧部と前記スロープ台座の間に挟持された状態で保持され、前記スロープ台座の前記押圧部に対向する面と、前記加圧容器部を支持する前記支持面の間の間隔が、上部から下部に向かって漸次大きくなっていることが好ましい。
また、前記加圧媒体液容器と前記ポンプの間を接続する充填ラインと、前記充填ラインから分岐し、前記加圧容器部に接続された回収ラインと、前記充填ラインにおける、前記回収ラインの分岐部と前記ポンプの間の経路中から分岐した回収時ベントラインと、前記充填ラインにおける、前記回収ラインの分岐部と前記回収時ベントラインの分岐部の間の経路中に配置された充填ラインクランプと、前記回収ラインに配置された回収ラインクランプと、前記回収時ベントラインに配置されたベントラインクランプとを備えることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態における半固形化栄養剤の注入装置について、図面を参照して具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半固形化栄養剤の注入装置を示す斜視図である。この注入装置は、半固形化栄養剤が充填された栄養剤容器(図示せず)を保持することが可能な加圧ユニット1と、加圧媒体液である水系流体2が収容された水系流体容器3を備えている。加圧媒体液は、圧力を媒介して栄養剤容器を間接的に加圧するために用いられ、注入装置の仕様に応じて、水系流体以外の液体を適宜選択することも可能である。
図1は、本発明の実施の形態1における半固形化栄養剤の注入装置を示す斜視図である。この注入装置は、半固形化栄養剤が充填された栄養剤容器(図示せず)を保持することが可能な加圧ユニット1と、加圧媒体液である水系流体2が収容された水系流体容器3を備えている。加圧媒体液は、圧力を媒介して栄養剤容器を間接的に加圧するために用いられ、注入装置の仕様に応じて、水系流体以外の液体を適宜選択することも可能である。
加圧ユニット1は、押圧側半体1aと保持側半体1bからなり、その内側から見た構造を図2に示す。押圧側半体1aと保持側半体1bは互いに回動可能なように結合され、図2に示すような開放状態と、後述する閉鎖状態を取り得る。押圧側半体1aには、可撓性膜からなる変形可能な押圧部4aを有する加圧容器部4が設けられている。加圧容器部4には、水系流体2を充填可能である。保持側半体1bには、押圧部4aに対向させて栄養剤容器を保持することが可能な容器保持部5が形成されている。
押圧部4aの反体側の加圧容器部4の表面は、押圧側半体1aを形成する剛性を有する支持面により支持されている。容器保持部5の押圧部4aに対向する内面は、スロープ台座5aを形成している。栄養剤容器は、押圧部4aとスロープ台座5aの間に挟持された状態で保持される(図5参照、後述)。スロープ台座5aは、図の上下方向において傾斜し、スロープ台座5aの押圧部4aに対向する面と、加圧容器部4を支持する支持面の間の間隔は、上部から下部に向かって漸次増大するように構成されている。
図1に示すように、水系流体容器3と加圧容器部4の間は、流路を構成するチューブ6により接続され、連通している。すなわち、チューブ6の一端は水系流体容器3に接続され、他端は、押圧側半体1aの接続孔7を貫通して、加圧容器部4に接続されている(図示せず)。また、押圧側半体1aには、ローラーポンプ8が取り付けられ、チューブ6が装着されている。ローラーポンプ8を動作させることによりチューブ6がしごかれて、水系流体容器3から水系流体2が加圧容器部4に移送され充填される。
この注入装置により、栄養剤容器から半固形化栄養剤を押し出す動作について、図3〜図5A、図5Bを参照して説明する。なお、加圧ユニット1の内部の状態を示すために、栄養剤容器9を一点鎖線で描く。
まず、図3に示すように、押圧側半体1aと保持側半体1bを開放状態にして、図2に示した容器保持部5に栄養剤容器9を配置する。そして、図4に示すように、押圧側半体1aと保持側半体1bを閉鎖状態にして、加圧ユニット1内に、栄養剤容器9を収容する。この状態でローラーポンプ8を動作させると、水系流体容器3から水系流体2が移送されて加圧容器部4に充填される。
加圧容器部4に水系流体2が一部充填された状態を図5Aに示す。この状態になると、栄養剤容器9は押圧部4aを介して、水系流体2により加圧され始める。更にローラーポンプ8を動作させると、図5Bに示すように、加圧容器部4が十分に膨張し、栄養剤容器9は、押圧部4aとスロープ台座5aの間で強く押圧される状態になる。このようになる過程で、栄養剤容器9が圧縮変形され、抽出口9aから半固形化栄養剤が押し出される。図示しないが、栄養剤容器9の抽出口9aに適当なチューブを取り付けて、半固形化栄養剤が所定の箇所に移送されるように設定する。
栄養剤容器9はスロープ台座5aに押し付けられるので、栄養剤容器9中の上部から下方に向かって、半固形化栄養剤を押し出す力が作用する。それにより、栄養剤容器から半固形化栄養剤を効果的に押し出して、残液の少ない状態に半固形化栄養剤を抽出することが可能である。
本実施の形態の半固形化栄養剤の注入装置の以上のような構成および動作によれば、栄養剤容器9内の半固形化栄養剤は、ローラーポンプ8により加圧容器部4に充填される水系流体2の量に応じた量が押し出される。水系流体2の充填量は、ローラーポンプ8の駆動を制御することにより、精度よく調整することが可能であり、従って、半固形化栄養剤の押し出し量を必要に応じて精度よく制御することができる。
また、本実施の形態の注入装置においては、栄養剤容器9の加圧は、必要な範囲に限定され、必要圧を越えて加圧されることがない。従って、従来例の加圧容器の構成のように、常時圧力が印加された状態ではなく、接続回路が外れたり、加圧容器が破裂して充填液が噴出すようなおそれは解消される。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における半固形化栄養剤の注入装置について、図6〜図8を参照して説明する。本実施の形態の注入装置は、実施の形態1に示した注入装置における、水系流体容器3と加圧容器部4の間の流路である接続回路が改良されたものである。従って、図6〜図8に示す本実施の形態の注入装置の斜視図において、実施の形態1の要素と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明の繰り返しを省略する。
本発明の実施の形態2における半固形化栄養剤の注入装置について、図6〜図8を参照して説明する。本実施の形態の注入装置は、実施の形態1に示した注入装置における、水系流体容器3と加圧容器部4の間の流路である接続回路が改良されたものである。従って、図6〜図8に示す本実施の形態の注入装置の斜視図において、実施の形態1の要素と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明の繰り返しを省略する。
図6に示すように、水系流体容器3とローラーポンプ8の間は、実施の形態1におけるチューブ6と同様の充填ライン10により接続されている。さらに、充填ライン10から分岐した回収ライン11が設けられ、回収ライン11は加圧容器部4と接続されている。充填ライン10における、回収ライン11の分岐部とローラーポンプ8の間の経路中から、回収時ベントライン12が分岐している。
充填ライン10における、回収ライン11との接続部と回収時ベントライン12の分岐部の間の経路中に、充填ラインクランプ13が設けられている。回収ライン11には、回収ラインクランプ14が設けられている。回収時ベントライン12には、ベントラインクランプ15が設けられている。
この半固形化栄養剤の注入装置は、栄養剤容器を加圧して半固形化栄養剤を押し出した後、再度、他の栄養剤容器から半固形化栄養剤を注入するために、加圧容器部4から水系流体を水系流体容器3に回収する動作を効率的に行うことが可能なように構成されている。その動作について、図7、図8を参照して説明する。
図7は、加圧容器部4への水系流体充填時、すなわち、栄養剤容器9(図示せず)を加圧して半固形化栄養剤を押し出すときの動作を示す。このときは、充填ラインクランプ13のみを開放し、回収ラインクランプ14およびベントラインクランプ15は閉鎖する。その状態でローラーポンプ8を動作させて、充填ライン10を通して、水系流体2を加圧容器部4に充填する。それにより、水系流体2の充填量に応じた量の半固形化栄養剤が、栄養剤容器から押し出される。
図8は、水系流体回収時、すなわち、栄養剤容器から半固形化栄養剤を押し出した後、加圧容器部4に充填された水系流体2を水系流体容器3に回収するときの動作を示す。このときは、充填ラインクランプ13のみを閉鎖し、回収ラインクランプ14およびベントラインクランプ15を開放する。その状態でローラーポンプ8を動作させれば、回収時ベントライン12から空気を引き込み、回収ライン11を通して、水系流体2が加圧容器部4から水系流体容器3内に回収される。
以上のようにして、水系流体容器3に保持された水系流体2を繰り返して使用することができるので、水系流体容器3に水系流体を補充する必要が無くなる。また、水系流体は半固形化栄養剤と接触したり、混合する訳ではないので、送液ポンプで半固形化栄養剤を直接、吸引/送液する場合と比べて、汚染低減のための負担が少なくなる。
なお、本発明の注入装置を構成するために使用するポンプチューブとしては、輸液ポンプや血液ポンプなどに使用される軟質合成樹脂と同様のチューブを使用することができる。好ましい材料としては、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、軟質ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂などをあげることができる。これらの中でも、栄養剤と接触しても可塑剤などの添加剤が溶出しないか溶出が少ない材料が好ましい。
ポンプチューブの端部には、栄養剤容器及び胃瘻カテーテルと接続できるように、コネクターなどの接合手段を設けたものが好ましく、チューブ径としては内径2〜10mm、肉厚1.0〜3.0mmの範囲のものが好ましい。
本発明によれば、栄養剤容器に収納された半固形化栄養剤の押し出し量を精度よく制御することができ、また、常時圧力が印加された状態により接続回路が外れたり、加圧容器部が破裂して充填液が噴出すようなおそれは回避されるので、PEG療法等の経管栄養療法に用いる注入装置として有用である。
1 加圧ユニット
1a 押圧側半体
1b 保持側半体
2 水系流体
3 水系流体容器
4 加圧容器部
4a 押圧部
5 容器保持部
5a スロープ台座
6 チューブ
7 接続孔
8 ローラーポンプ
9 栄養剤容器
9a 抽出口
10 充填ライン
11 回収ライン
12 回収時ベントライン
13 充填ラインクランプ
14 回収ラインクランプ
15 ベントラインクランプ
1a 押圧側半体
1b 保持側半体
2 水系流体
3 水系流体容器
4 加圧容器部
4a 押圧部
5 容器保持部
5a スロープ台座
6 チューブ
7 接続孔
8 ローラーポンプ
9 栄養剤容器
9a 抽出口
10 充填ライン
11 回収ライン
12 回収時ベントライン
13 充填ラインクランプ
14 回収ラインクランプ
15 ベントラインクランプ
Claims (5)
- 半固形化栄養剤が充填された可撓性を有する栄養剤容器から、前記半固形化栄養剤を押し出して注入するための半固形化栄養剤の注入装置であって、
加圧媒体液が収容された加圧媒体液容器と、
可撓性膜からなる変形可能な押圧部を有する加圧容器部を含み、前記押圧部に隣接して前記栄養剤容器を着脱自在に保持することが可能な容器保持部が設けられた加圧ユニットと、
前記加圧媒体液容器と前記加圧容器部とを連通させる接続回路と、
前記加圧媒体液容器内の前記加圧媒体液を移送して前記加圧容器部に充填するポンプとを備え、
前記栄養剤容器を前記容器保持部に保持し、前記加圧媒体液容器から前記加圧媒体液を前記加圧容器部に移送することにより、前記押圧部が膨張して前記栄養剤容器に押圧力が印加され、前記栄養剤容器内の前記半固形化栄養剤が押し出されるように構成されたことを特徴とする半固形化栄養剤の注入装置。 - 前記接続回路は、チューブ部分を含み、
前記ポンプはローラーポンプにより構成されて、前記チューブ部分が装着され、
前記ローラーポンプを動作させることにより前記チューブ部分がしごかれて、前記加圧媒体液容器から前記加圧媒体液が前記加圧容器部に移送される請求項1に記載の半固形化栄養剤の注入装置。 - 前記ローラーポンプは、前記加圧ユニットに設けられている請求項1に記載の半固形化栄養剤の注入装置。
- 前記容器保持部には、前記加圧容器部の前記押圧部に対向するスロープ台座が形成され、
前記押圧部の反体側の前記加圧容器部の表面は剛性を有する支持面により支持され、
前記栄養剤容器は、前記押圧部と前記スロープ台座の間に挟持された状態で保持され、
前記スロープ台座の前記押圧部に対向する面と、前記加圧容器部を支持する前記支持面の間の間隔が、上部から下部に向かって漸次大きくなっている請求項1に記載の半固形化栄養剤の注入装置。 - 前記加圧媒体液容器と前記ポンプの間を接続する充填ラインと、
前記充填ラインから分岐し、前記加圧容器部に接続された回収ラインと、
前記充填ラインにおける、前記回収ラインの分岐部と前記ポンプの間の経路中から分岐した回収時ベントラインと、
前記充填ラインにおける、前記回収ラインの分岐部と前記回収時ベントラインの分岐部の間の経路中に配置された充填ラインクランプと、
前記回収ラインに配置された回収ラインクランプと、
前記回収時ベントラインに配置されたベントラインクランプとを備えた請求項1に記載の半固形化栄養剤の注入装置。
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