以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の冷暖房に使用される装置である。
空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニット2と、複数(本実施形態では、2台)の利用ユニット4、5と、分岐ユニット6と、分岐ユニット6を介して熱源ユニット2と利用ユニット4、5とを接続する冷媒連絡管8、9、10等とを備えており、利用ユニットごとに冷暖房を選択する冷暖同時運転が可能になるように構成されている。すなわち、空気調和装置1の冷媒回路11は、熱源ユニット2と、利用ユニット4、5と、分岐ユニット6と、冷媒連絡管8、9、10等とが接続されることによって構成されている。そして、冷媒回路11には、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)が封入されている。
<利用ユニット>
利用ユニット4、5は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等、又は、屋内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット4、5は、冷媒連絡管8、9、10等及び分岐ユニット6を介して熱源ユニット2に接続されており、冷媒回路11の一部を構成している。
次に、利用ユニット4、5の構成について説明する。尚、利用ユニット4と利用ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、利用ユニット4の構成のみ説明し、利用ユニット5の構成については、利用ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
利用ユニット4は、主として、利用側冷媒回路11a(利用ユニット5では、利用側冷媒回路11b)を有している。この利用側冷媒回路11aは、主として、利用側熱交換器42を有している。
利用側熱交換器42は、冷媒と室内空気等との熱交換を行うことで室内の空調負荷を処理する熱交換器であり、その液側に第1液冷媒分岐管43が接続されており、そのガス側に第1ガス冷媒分岐管44が接続されている。
<熱源ユニット>
熱源ユニット2は、ビル等の屋上等に設置されており、冷媒連絡管8、9、10等及び分岐ユニット6を介して利用ユニット4、5に接続されており、冷媒回路11の一部を構成している。
次に、熱源ユニット2の構成について説明する。熱源ユニット2は、主として、熱源側冷媒回路11cを有している。この熱源側冷媒回路11cは、主として、圧縮機構21と、熱源側切換機構としての第1切換機構22と、熱源側熱交換器23と、熱源側膨張機構24と、第2切換機構25と、熱源側インジェクション管34と、熱源側エコノマイザ熱交換器36とを有している。
圧縮機構21は、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機である。圧縮機構21は、ケーシング21a内に、圧縮機駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素21d、21eとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。そして、この駆動軸21cは、2つの圧縮要素21d、21eに連結されている。すなわち、圧縮機構21は、2つの圧縮要素21d、21eが単一の駆動軸21cに連結されており、2つの圧縮要素21d、21eがともに圧縮機駆動モータ21bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素21d、21eは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。そして、圧縮機構21は、吸入管26から冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を前段側の圧縮要素21dによって圧縮した後に、中間冷媒管27に吐出し、中間冷媒管27に吐出された冷媒を後段側の圧縮要素21eに吸入して、冷媒をさらに圧縮した後に、吐出管28に吐出するように構成されている。吸入管26は、圧縮機構21の吸入側及び低圧ガス冷媒連絡管10(後述)に接続された冷媒管であり、中間冷媒管27は、前段側の圧縮要素21dから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素21eに吸入させるための冷媒管であり、吐出管28は、圧縮機構21の吐出側に接続された冷媒管である。このように、圧縮機構21は、複数(ここでは、2つ)の圧縮要素21d、21eを有しており、これらの圧縮要素21d、21eのうちの前段側の圧縮要素21dから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素21eで順次圧縮するように構成されている。
第1切換機構22は、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させる放熱運転切換状態と熱源側熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転切換状態とを切り換え可能な四路切換弁であり、その第1ポート22aは吐出管28を通じて圧縮機構21の吐出側に接続されており、その第2ポート22bは熱源側ガス冷媒管29を通じて熱源側熱交換器23のガス側に接続されており、その第3ポート22cは吸入管26を通じて圧縮機構21の吸入側に接続されており、第4ポート22dはキャピラリチューブ22eを介して圧縮機構21の吸入側に接続されている。そして、第1切換機構22は、第1ポート22aと第2ポート22bとを接続するとともに第3ポート22cと第4ポート22dとを接続(放熱運転切換状態に対応、図1の第1切換機構22の実線を参照)したり、第2ポート22bと第3ポート22cとを接続するとともに第1ポート22cと第4ポート22dとを接続(蒸発運転切換状態に対応、図1の第1切換機構22の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。熱源側ガス冷媒管29は、第1切換機構22の第2ポート22bと熱源側熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。尚、第1切換機構22は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
熱源側熱交換器23は、冷媒と室外空気等との熱交換を行うことで冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器であり、その液側に第1液冷媒合流管30が接続されており、そのガス側に熱源側ガス冷媒管29が接続されている。
熱源側膨張機構24は、熱源側冷媒回路10c内を流れる冷媒の減圧等を行う電動膨張弁であり、第1液冷媒合流管30に設けられている。
第2切換機構25は、本実施形態のように、冷暖同時運転が可能な空気調和装置を構成する場合(すなわち、熱源ユニット2を冷暖同時運転が可能な空気調和装置の熱源ユニットとして使用する場合)には、高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路11a、11bに送る際(以下、暖房負荷要求運転状態とする)に、圧縮機構21の吐出側と高圧ガス冷媒連絡管9とを接続し、本実施形態とは異なり、冷暖切換運転が可能な空気調和装置を構成する場合(すなわち、熱源ユニット2を冷暖切換運転が可能な空気調和装置の熱源ユニットとして使用する場合)には、高圧ガス冷媒連絡管9と圧縮機構21の吸入側とを接続するように、熱源側冷媒回路11c内における冷媒の流路を切り換えることが可能な四路切換弁であり、その第1ポート25aは吐出管28及び吐出管28から分岐された第1高圧ガス冷媒管31を通じて圧縮機構21の吐出側に接続されており、その第2ポート25bはキャピラリチューブ25e介して圧縮機構21の吸入側に接続されており、その第3ポート25cは吸入管26を通じて圧縮機構21の吸入側に接続されており、その第4ポート25dは第2高圧ガス冷媒管32を通じて高圧ガス冷媒連絡管9に接続されている。そして、第2切換機構25は、上述のように、第1ポート25aと第2ポート25bとを接続するとともに第3ポート25cと第4ポート25dとを接続(冷暖切換時冷房運転状態に対応、図1の第2切換機構25の実線を参照)したり、第2ポート25bと第3ポート25cとを接続するとともに第1ポート25aと第4ポート25dとを接続(暖房負荷要求運転状態に対応、図1の第2切換機構25の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。第1高圧ガス冷媒管31は、吐出管28と第2切換機構25の第1ポート25aとを接続する冷媒管であり、第2高圧ガス冷媒管32は、第2切換機構25の第4ポート25dと高圧ガス冷媒連絡管9とを接続する冷媒管である。尚、第2切換機構25は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
熱源側インジェクション管34は、第1液冷媒合流管30を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻す冷媒管である。熱源側インジェクション管34は、その一端が第1液冷媒合流管30の熱源側膨張機構24が設けられた位置よりも液冷媒連絡管8寄りの部分に接続されており、その他端が中間冷媒管27に接続されている。尚、ここでは採用していないが、熱源側インジェクション管34は、後段側の圧縮要素21eに直接接続されていてもよい。そして、熱源側インジェクション管34には、開度制御が可能な熱源側インジェクション弁35が設けられている。熱源側インジェクション弁36は、電動膨張弁からなる。
熱源側エコノマイザ熱交換器36は、第1液冷媒合流管30を流れる冷媒と熱源側インジェクション管34を流れる冷媒(より具体的には、熱源側インジェクション弁35によって冷凍サイクルにおける中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。熱源側エコノマイザ熱交換器36は、第1液冷媒合流管30の熱源側膨張機構24が設けられた位置よりも液冷媒連絡管8寄りの部分に設けられており、ここでは、さらに、第1液冷媒合流管30の熱源側インジェクション管34が接続された位置よりも液冷媒連絡管8寄りの部分に設けられている。尚、ここでは、採用していないが、熱源側エコノマイザ熱交換器36は、第1液冷媒合流管30の熱源側膨張機構24が設けられた位置と熱源側インジェクション管34が接続された位置との間の部分に設けられていてもよい。そして、熱源側エコノマイザ熱交換器36は、熱源側熱交換器23において放熱した後に第1液冷媒合流管30を流れる冷媒と熱源側インジェクション管34を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有している。
また、熱源ユニット2には、分岐ユニット6に設けられた第2利用側インジェクション管63、64(後述)を流れる冷媒を圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻すための第1利用側インジェクション管33が設けられており、その一端が利用側インジェクション連絡管14(後述)に接続されており、その他端が熱源側インジェクション管34の熱源側インジェクション弁35の下流側の部分に接続されている。尚、ここでは、採用していないが、両インジェクション管33、34を別々に中間冷媒管27や後段側の圧縮要素21eに接続するようにしてもよい。
<分岐ユニット>
分岐ユニット6は、例えば、ビル等の屋内等の利用ユニット4、5寄りの位置に設置されており、冷媒連絡管8、9、10等とともに、利用ユニット4、5と熱源ユニット2との間に介在しており、冷媒回路11の一部を構成している。
次に、分岐ユニット6の構成について説明する。分岐ユニット6は、主として、液側分岐回路11dと、ガス側分岐回路11eとを有している。
液側分岐回路11dは、主として、第2液冷媒合流管61と、第2液冷媒分岐管62、63と、利用側膨張機構41、51と、第2利用側インジェクション管64、66と、利用側エコノマイザ熱交換器68、69と、第3利用側インジェクション管70とを有している。
第2液冷媒合流管61は、その一端が液冷媒連絡管8に接続されており、その他端が第2液冷媒分岐管62、63に接続されている。ここで、第1液冷媒合流管30、液冷媒合流管8及び第2液冷媒合流管61からなる冷媒管を液冷媒合流管91とする。
第2液冷媒分岐管62は、利用ユニット4に対応する冷媒管であり、その一端が利用ユニット4に対応する第3液冷媒分岐管12に接続されており、その他端が液冷媒合流管91を構成する第2液冷媒合流管61に接続されている。第3液冷媒分岐管12は、分岐ユニット6の第2液冷媒分岐管62と利用ユニット4の第1液冷媒分岐管43とを接続する冷媒管である。ここで、第1液冷媒分岐管43、第3液冷媒分岐管12及び第2液冷媒分岐管62からなる冷媒管を液冷媒分岐管92とする。そして、第2液冷媒分岐管62には、利用側膨張機構41が設けられている。利用側膨張機構41は、利用ユニット4、すなわち、利用側冷媒回路10a内を流れる冷媒の流量の調節等を行う電動膨張弁である。
第2液冷媒分岐管63は、利用ユニット5に対応する冷媒管であり、その一端が利用ユニット5に対応する第3液冷媒分岐管13に接続されており、その他端が液冷媒合流管91を構成する第2液冷媒合流管61に接続されている。第3液冷媒分岐管13は、分岐ユニット6の第2液冷媒分岐管63と利用ユニット5の第1液冷媒分岐管53とを接続する冷媒管である。ここで、第1液冷媒分岐管53、第3液冷媒分岐管13及び第2液冷媒分岐管63からなる冷媒管を液冷媒分岐管93とする。そして、第2液冷媒分岐管63には、利用側膨張機構51が設けられている。利用側膨張機構51は、利用ユニット5、すなわち、利用側冷媒回路10b内を流れる冷媒の流量の調節等を行う電動膨張弁である。
第2利用側インジェクション管64は、利用ユニット4に対応する液冷媒分岐管92を構成する第2液冷媒分岐管62を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻すための冷媒管である。第2利用側インジェクション管64は、その一端が第2液冷媒分岐管62の利用側膨張機構41が設けられた位置よりも第3液冷媒分岐管12寄りの部分に接続されており、その他端が第3利用側インジェクション管70に接続されている。そして、第2利用側インジェクション管64には、開度制御が可能な利用側インジェクション弁65が設けられている。利用側インジェクション弁65は、電動膨張弁からなる。
第2利用側インジェクション管66は、利用ユニット5に対応する液冷媒分岐管93を構成する第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻すための冷媒管である。第2利用側インジェクション管66は、その一端が第2液冷媒分岐管63の利用側膨張機構51が設けられた位置よりも第3液冷媒分岐管13寄りの部分に接続されており、その他端が第3利用側インジェクション管70に接続されている。そして、第2利用側インジェクション管66には、開度制御が可能な利用側インジェクション弁67が設けられている。利用側インジェクション弁67は、電動膨張弁からなる。
そして、第3利用側インジェクション管70は、分岐ユニット6の第2利用側インジェクション管64、66と熱源ユニット2の第1利用側インジェクション管33とを接続する冷媒管である。ここで、第2利用側インジェクション管64、66、利用側インジェクション連絡管14及び第1利用側インジェクション管33からなる冷媒管を利用側インジェクション管94とする。
利用側エコノマイザ熱交換器68は、利用ユニット4に対応する液冷媒分岐管92を構成する第2液冷媒分岐管62を流れる冷媒と利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64を流れる冷媒(より具体的には、利用側インジェクション弁65によって冷凍サイクルにおける中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。利用側エコノマイザ熱交換器68は、第2液冷媒分岐管62の利用側膨張機構41が設けられた位置よりも第3液冷媒分岐管12寄りの部分に設けられており、ここでは、さらに、第2液冷媒分岐管62の利用側膨張機構41が設けられた位置と第2利用側インジェクション管64が接続された位置との間の部分に設けられている。尚、ここでは、採用していないが、利用側エコノマイザ熱交換器68は、第2液冷媒分岐管62の第2利用側インジェクション管64が接続された位置よりも第3液冷媒分岐管12寄りの部分に設けられていてもよい。そして、利用側エコノマイザ熱交換器68は、対応する利用側熱交換器42において放熱した後に第2液冷媒分岐管62を流れる冷媒と第2利用側インジェクション管64を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有している。
利用側エコノマイザ熱交換器69は、利用ユニット5に対応する液冷媒分岐管93を構成する第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒と利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒(より具体的には、利用側インジェクション弁67によって冷凍サイクルにおける中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。利用側エコノマイザ熱交換器69は、第2液冷媒分岐管63の利用側膨張機構51が設けられた位置よりも第3液冷媒分岐管13寄りの部分に設けられており、ここでは、さらに、第2液冷媒分岐管63の利用側膨張機構51が設けられた位置と第2利用側インジェクション管66が接続された位置との間の部分に設けられている。尚、ここでは、採用していないが、利用側エコノマイザ熱交換器69は、第2液冷媒分岐管63の第2利用側インジェクション管66が接続された位置よりも第3液冷媒分岐管13寄りの部分に設けられていてもよい。そして、利用側エコノマイザ熱交換器69は、対応する利用側熱交換器52において放熱した後に第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒と第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有している。
このように、各液冷媒分岐管92、93(ここでは、各第2液冷媒分岐管62、63)には、各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻す利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66が接続されるとともに、各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒と対応する利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒との熱交換を行う利用側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられており、利用側エコノマイザ熱交換器68、69に対応する第2利用側インジェクション管64、66を有する利用側インジェクション管94を通じて冷媒を圧縮機構21の後段側の圧縮要素21eに戻す中間圧インジェクションを行うことができるようになっている。
ガス側分岐回路11eは、主として、第3高圧ガス冷媒管71と、複数(ここでは、2つ)の高圧ガス冷媒分岐管72、73と、低圧ガス冷媒管74と、複数(ここでは、2つ)の低圧ガス冷媒分岐管75、76と、複数(ここでは、2つ)の第2ガス冷媒分岐管77、78とを有している。
第3高圧ガス冷媒管71は、その一端が高圧ガス冷媒連絡管9に接続されており、その他端が高圧ガス冷媒分岐管72、73に接続されている。ここで、第1高圧ガス冷媒管31、第2高圧ガス冷媒管32、高圧ガス冷媒連絡管9及び第3高圧ガス冷媒管71からなる冷媒管を高圧ガス冷媒管95とする。
高圧ガス冷媒分岐管72は、その一端が第3高圧ガス冷媒管71に接続されており、その他端が第2ガス冷媒分岐管77に接続されている。そして、高圧ガス冷媒分岐管72には、高圧ガス冷媒分岐管72を流れる冷媒の流通及び遮断が可能になるように高圧ガス開閉弁79が設けられている。高圧ガス開閉弁79は、電磁弁からなる。
高圧ガス冷媒分岐管73は、その一端が第3高圧ガス冷媒管71に接続されており、その他端が第2ガス冷媒分岐管78に接続されている。高圧ガス冷媒分岐管73には、高圧ガス冷媒分岐管73を流れる冷媒の流通及び遮断が可能になるように高圧ガス開閉弁80が設けられている。高圧ガス開閉弁80は、電磁弁からなる。
低圧ガス冷媒管74は、その一端が低圧ガス冷媒連絡管10に接続されており、その他端が低圧ガス冷媒分岐管75、76に接続されている。ここで、吸入管26、低圧ガス冷媒連絡管10及び低圧ガス冷媒管74からなる冷媒管を低圧ガス冷媒管96とする。
低圧ガス冷媒分岐管75は、その一端が低圧ガス冷媒管74に接続されており、その他端が第2ガス冷媒分岐管77に接続されている。そして、低圧ガス冷媒分岐管75には、低圧ガス冷媒分岐管75を流れる冷媒の流通及び遮断が可能になるように低圧ガス開閉弁81が設けられている。低圧ガス開閉弁81は、電磁弁からなる。
低圧ガス冷媒分岐管76は、その一端が低圧ガス冷媒管74に接続されており、その他端が第2ガス冷媒分岐管78に接続されている。そして、低圧ガス冷媒分岐管76には、低圧ガス冷媒分岐管76を流れる冷媒の流通及び遮断が可能になるように低圧ガス開閉弁82が設けられている。低圧ガス開閉弁82は、電磁弁からなる。
第2ガス冷媒分岐管77は、その一端が高圧ガス冷媒分岐管72及び低圧ガス冷媒分岐管75に接続されており、その他端が利用ユニット4に対応する第3ガス冷媒分岐管15に接続されている。第3ガス冷媒分岐管15は、分岐ユニット6の第2ガス冷媒分岐管77と利用ユニット4の第1ガス冷媒分岐管44とを接続する冷媒管である。ここで、第1ガス冷媒分岐管44、第3ガス冷媒分岐管15及び第2ガス冷媒分岐管77からなる冷媒管をガス冷媒分岐管97とする。
第2ガス冷媒分岐管78は、その一端が高圧ガス冷媒分岐管73及び低圧ガス冷媒分岐管76に接続されており、その他端が利用ユニット5に対応する第3ガス冷媒分岐管16に接続されている。第3ガス冷媒分岐管16は、分岐ユニット6の第2ガス冷媒分岐管78と利用ユニット5の第1ガス冷媒分岐管54とを接続する冷媒管である。ここで、第1ガス冷媒分岐管54、第3ガス冷媒分岐管16及び第2ガス冷媒分岐管78からなる冷媒管をガス冷媒分岐管98とする。
このように、分岐ユニット6には、利用ユニット4に対応して、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79及び低圧ガス開閉弁81が設けられ、また、利用ユニット5に対応して、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁80及び低圧ガス開閉弁82が設けられていることになる。そして、利用ユニット4の冷房運転を行う際には、高圧ガス開閉弁79を閉め、かつ、低圧ガス開閉弁81を開けることで、利用側熱交換器42を液冷媒分岐管92を流れる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転切換状態に切り換えることが可能であり、利用ユニット4の暖房運転を行う際には、高圧ガス開閉弁79を開け、かつ、低圧ガス開閉弁81を閉めることで、利用側熱交換器42を高圧ガス冷媒管95を流れる冷媒の放熱器として機能させる暖房運転切換状態に切り換えることが可能になっている。また、利用ユニット5の冷房運転を行う際には、高圧ガス開閉弁80を閉め、かつ、低圧ガス開閉弁82を開けることで、利用側熱交換器52を液冷媒分岐管93を流れる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転切換状態に切り換え、また、利用ユニット5の暖房運転を行う際には、高圧ガス開閉弁80を開け、かつ、低圧ガス開閉弁82を閉めることで、利用側熱交換器52を高圧ガス冷媒管95を流れる冷媒の放熱器として機能させる暖房運転切換状態に切り換えることが可能になっている。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機構21と、熱源側熱交換器23と、熱源側熱交換器23に接続されている液冷媒合流管91と、液冷媒合流管91に設けられた熱源側膨張機構24と、複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器42、52と、液冷媒合流管91から分岐されて各利用側熱交換器42、52に接続されている液冷媒分岐管92、93と、各液冷媒分岐管92、93に設けられた利用側膨張機構41、51と、熱源側熱交換器23を圧縮機構21から吐出された冷媒の放熱器として機能させる放熱運転切換状態と熱源側熱交換器23を液冷媒合流管91を流れる冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転切換状態とを切り換え可能な熱源側切換機構としての第1切換機構22と、圧縮機構21の吐出側と第1切換機構22との間に接続されており圧縮機構21から吐出された冷媒を第1切換機構22に流入する前に分岐する高圧ガス冷媒管95と、各利用側熱交換器42、52に対応して設けられており利用側熱交換器42、52を液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転切換状態と利用側熱交換器42、52を高圧ガス冷媒管95を流れる冷媒の放熱器として機能させる暖房運転切換状態とを切り換え可能な利用側切換機構としてのガス開閉弁79〜82と、各利用側熱交換器42、52において蒸発した冷媒を圧縮機構21の吸入側に送る低圧ガス冷媒管96とを備えている。そして、圧縮機構21は、複数(ここでは、2つ)の圧縮要素21d、21eを有しており、圧縮要素21d、21eのうちの前段側の圧縮要素21dから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素21eで順次圧縮するように構成されており、液冷媒合流管91には、液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して後段側の圧縮要素21eに戻す熱源側インジェクション管34が接続されるとともに、液冷媒合流管91を流れる冷媒と熱源側インジェクション管34を流れる冷媒との熱交換を行う熱源側エコノマイザ熱交換器36が設けられており、各液冷媒分岐管92、93には、各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して後段側の圧縮要素21eに戻す利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)が接続されるとともに、各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒と対応する利用側インジェクション管94を流れる冷媒との熱交換を行う利用側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69を設けた構成が採用されている。
また、本実施形態の空気調和装置1において、利用側エコノマイザ熱交換器68、69は、利用側熱交換器42、52と利用側膨張機構41、51との間に設けられている。
また、本実施形態の空気調和装置1は、液冷媒合流管91の一部(すなわち、第1液冷媒合流管30)、圧縮機構21、熱源側熱交換器23、熱源側インジェクション管34、及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を少なくとも含む熱源ユニット2と、利用側熱交換器42、52を少なくとも含む複数(ここでは、2つ)の利用ユニット4、5と、液冷媒合流管91のうち熱源ユニット2に含まれる部分とは異なる一部(すなわち、第2液冷媒合流管61)、複数(ここでは、2つ)の液冷媒分岐管92、93の一部(すなわち、第2液冷媒分岐管62、63)及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69を少なくとも含む分岐ユニット6と、液冷媒合流管91のうち熱源ユニット2と分岐ユニット6との間を接続する部分からなる液冷媒連絡管8と、高圧ガス冷媒管95のうち熱源ユニット2と分岐ユニット6との間を接続する部分からなる高圧ガス冷媒連絡管9と、低圧ガス冷媒管96のうち熱源ユニット2と分岐ユニット6との間を接続する部分からなる低圧ガス冷媒連絡管10とが接続されることによって構成されている。
また、本実施形態の空気調和装置1において、利用側エコノマイザ熱交換器68、69は、対応する利用側熱交換器42、52において放熱した後に液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒と利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有する熱交換器である。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードは、利用ユニット4、5の全てを冷房する冷房運転モードと、各利用ユニット4、5の空調負荷に応じて、利用ユニット4、5の全てを暖房する暖房運転モードと、利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する冷暖同時運転モードとがある。
以下、空気調和装置1の3つの運転モードにおける動作について説明する。
<冷房運転モード>
利用ユニット4、5の全てを冷房する際、空気調和装置1の冷媒回路11は、図2に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図2の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を放熱運転切換状態(図2の第1切換機構22の実線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、冷媒を極力減圧しないように(例えば、全開状態になるように)開度調節されている。分岐ユニット6においては、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79、80を閉めるとともに低圧ガス開閉弁81、82を開けることによって、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52と熱源ユニット2の圧縮機構21の吸入側とが低圧ガス冷媒管96等を介して接続された状態になっている。また、熱源側インジェクション弁35を熱源側インジェクション管34に冷媒が流れるように開度調節することによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われる状態になっており、利用側インジェクション弁65、67を閉めることによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われない状態になっている。また、利用側膨張弁41、51は、各利用ユニット4、5の冷房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、熱源側インジェクション管34から後段側の圧縮要素21eに戻される冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、熱源側インジェクション管34から戻る冷媒と合流した(すなわち、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、第1切換機構22の第1ポート22a及び第2ポート22bと熱源側ガス冷媒管29とを通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器23に送られて放熱する。そして、熱源側熱交換器23において放熱した冷媒は、熱源側膨張機構24を通過した後に、その一部が熱源側インジェクション管34に分岐される。そして、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒は、熱源側インジェクション弁35において中間圧付近まで減圧された後に、熱源側エコノマイザ熱交換器36に送られる。また、熱源側インジェクション管34に分岐された後の液冷媒合流管91を構成する第1液冷媒合流管30を流れる冷媒は、熱源側エコノマイザ熱交換器36に流入し、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒は、第1液冷媒合流管30を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、上述のように、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、熱源側エコノマイザ熱交換器36において冷却された冷媒は、液冷媒合流管91を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、液冷媒分岐管92、93を構成する第2液冷媒分岐管62、63に分岐された後に、利用側膨張機構41、51によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、液冷媒分岐管92、93(ここでは、利用側エコノマイザ熱交換器68、69における熱交換は行われない)を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4、5に送られる。この利用ユニット4、5に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器42、52に送られて蒸発する。そして、利用側熱交換器42、52において蒸発した冷媒は、ガス冷媒分岐管97、98を通じて、利用ユニット4、5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、低圧ガス開閉弁81、82及び低圧ガス冷媒管96を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、吸入管26を通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の全てを冷房する冷房運転モードにおける動作が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、冷房運転モードにおいて、熱源側インジェクション管34によって液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して、熱源側エコノマイザ熱交換器36によって液冷媒合流管91を流れる冷媒を冷却しつつ熱源側インジェクション管34を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒合流管91及び液冷媒分岐管92、93によって利用側熱交換器42、52に送りつつ、加熱された冷媒を熱源側インジェクション管34によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の冷房運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、冷房運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
<暖房運転モード>
利用ユニット4、5の全てを暖房する際、空気調和装置1の冷媒回路11は、図3に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図3の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を蒸発運転切換状態(図3の第1切換機構22の破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、第2切換機構25を暖房負荷要求運転状態(図3の第2切換機構25の破線で示された状態)に切り換えることによって、高圧ガス冷媒管95等を通じて利用ユニット4、5に圧縮機構21において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒を供給できるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、冷媒を減圧するように開度調節されている。分岐ユニット6においては、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79、80を開けるとともに低圧ガス開閉弁81、82を閉めることによって、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側インジェクション弁35を閉めることによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われない状態になっており、利用側インジェクション弁65、67を利用側インジェクション管64、66に冷媒が流れるように開度調節することによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われる状態になっている。また、利用側膨張弁41、51は、各利用ユニット4、5の暖房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、利用側インジェクション管94から後段側の圧縮要素21eに戻される冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、利用側インジェクション管94から戻る冷媒と合流した(すなわち、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、高圧ガス開閉弁79、80及びガス冷媒分岐管97、98を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4、5に送られる。この利用ユニット4、5に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器42、52に送られて放熱する。そして、利用側熱交換器42、52において放熱した冷媒は、液冷媒分岐管92、93を通じて、利用ユニット4、5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、その一部が利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66に分岐される。そして、第2利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒は、利用側インジェクション弁65、67において中間圧付近まで減圧された後に、利用側エコノマイザ熱交換器68、69に送られる。また、第2利用側インジェクション管64、66に分岐された後の液冷媒分岐管92、93を構成する第2液冷媒分岐管62、63を流れる冷媒は、利用側エコノマイザ熱交換器68、69に流入し、第2利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、第2利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒は、第2液冷媒分岐管62、63を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、利用側インジェクション管94を通じて(ここでは、第2利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒が第3利用側インジェクション管70で合流した後に、利用側インジェクション連絡管14及び第1利用側インジェクション管33を通じて)、上述のように、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、利用側エコノマイザ熱交換器68、69において冷却された冷媒は、利用側膨張機構41、51を通過した後に、液冷媒合流管91を構成する第2液冷媒合流管61で合流して、液冷媒合流管91を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、液冷媒合流管91(ここでは、熱源側エコノマイザ熱交換器36における熱交換は行われない)を通じて、熱源側膨張機構24に送られ、熱源側膨張機構24によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器23に送られて蒸発する。そして、熱源側熱交換器23において蒸発した冷媒は、熱源側ガス冷媒管29と第1切換機構22の第2ポート22b及び第3ポート22cと吸入管26とを通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の全てを暖房する暖房運転モードにおける動作が行われる。
尚、上述においては、熱源側インジェクション弁36を閉めることによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われない状態にし、利用側インジェクション弁65、67を利用側インジェクション管64、66に冷媒が流れるように開度調節することによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われる状態にしているが、さらに、熱源側インジェクション弁35を熱源側インジェクション管34に冷媒が流れるように開度調節することによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションも併せて行われる状態にしてもよい。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、暖房運転モードにおいて、第2利用側インジェクション管64、66によって液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して、利用側エコノマイザ熱交換器68、69によって液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒を冷却しつつ第2利用側インジェクション管64、66を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒分岐管92、93及び液冷媒合流管91によって熱源側熱交換器23に送りつつ、加熱された冷媒を利用側インジェクション管94によって後段側の圧縮要素21eに戻したり、さらに、熱源側インジェクション管34によって液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して、熱源側エコノマイザ熱交換器36によって液冷媒合流管91を流れる冷媒を冷却しつつ熱源側インジェクション管34を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒合流管91によって熱源側熱交換器23に送りつつ、加熱された冷媒を熱源側インジェクション管34によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の暖房運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、暖房運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
<冷暖同時運転モード>
利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する際(ここでは、利用ユニット4を冷房し、利用ユニット5を暖房するものとする)、空気調和装置1の冷媒回路11は、図4に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図4の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を利用ユニット4の冷房負荷と利用ユニット5の暖房負荷とのバランスに応じて放熱運転切換状態又は蒸発運転切換状態のいずれかに切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器又は蒸発器として機能させるとともに、第2切換機構25を暖房負荷要求運転状態(図4の第2切換機構25の破線で示された状態)に切り換えることによって、高圧ガス冷媒管95等を通じて利用ユニット5に圧縮機構21において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒を供給できるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、第1切換機構22が放熱運転切換状態の場合には、冷媒を極力減圧しないように(例えば、全開状態になるように)開度調節され、第1切換機構22が蒸発運転切換状態の場合には、冷媒を減圧するように開度調節されている。分岐ユニット6においては、利用ユニット4に対応する利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79を閉めるとともに低圧ガス開閉弁81を開けることによって、利用ユニット4の利用側熱交換器42を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット4の利用側熱交換器42と熱源ユニット2の圧縮機構21の吸入側とが低圧ガス冷媒管96等を介して接続された状態になっている。また、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁80を開けるとともに低圧ガス開閉弁82を閉めることによって、利用ユニット5の利用側熱交換器52を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側インジェクション弁36を閉めることによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われない状態になっており、利用側インジェクション弁65、67を利用側インジェクション管64、66に冷媒が流れるように開度調節することによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われる状態になっている。また、利用側膨張弁41は、利用ユニット4の冷房負荷に応じて開度調節されており、利用側膨張弁51は、利用ユニット5の暖房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、利用側インジェクション管94から後段側の圧縮要素21eに戻されるガス冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、利用側インジェクション管94から戻る冷媒と合流した(すなわち、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器69による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、第1切換機構22が放熱運転切換状態になっている場合を含めて、その大部分が吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、高圧ガス開閉弁80及びガス冷媒分岐管98を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット5に送られる。この利用ユニット5に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器52に送られて放熱する。そして、利用側熱交換器52において放熱した冷媒は、液冷媒分岐管93を通じて、利用ユニット5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、その一部が利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管66に分岐される。そして、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒は、利用側インジェクション弁67において中間圧付近まで減圧された後に、利用側エコノマイザ熱交換器69に送られる。また、第2利用側インジェクション管66に分岐された後の液冷媒分岐管93を構成する第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒は、利用側エコノマイザ熱交換器69に流入し、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒は、第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、利用側インジェクション管94を通じて(ここでは、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒が第3利用側インジェクション管70に流入した後に、利用側インジェクション連絡管14及び第1利用側インジェクション管33を通じて)、上述のように、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、利用側エコノマイザ熱交換器69において冷却された冷媒は、利用側膨張機構51を通過した後に、液冷媒合流管91を構成する第2液冷媒合流管61に合流するが、その大部分が液冷媒分岐管92に送られる。この液冷媒分岐管92に送られた冷媒は、利用側膨張機構41によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、液冷媒分岐管92(ここでは、利用側エコノマイザ熱交換器68における熱交換は行われない)を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4に送られる。この利用ユニット4に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器42に送られて蒸発する。そして、利用側熱交換器42において蒸発した冷媒は、ガス冷媒分岐管97を通じて分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、低圧ガス開閉弁81及び低圧ガス冷媒管96を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、吸入管26を通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する(ここでは、利用ユニット4を冷房し、利用ユニット5を暖房する)冷暖同時運転モードにおける動作が行われる。
尚、冷暖同時運転モードでは、上述のように、この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒の大部分が、吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られ、利用側エコノマイザ熱交換器69において冷却された冷媒の大部分が、液冷媒分岐管92を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4に送られるため、利用側熱交換器42、52と熱源側熱交換器23との間(すなわち、液冷媒分岐管92、93と液冷媒合流管91と間)でやりとりが行われる冷媒の流量が減少している(このため、図4においては、第1切換機構22、熱源側熱交換器23、熱源側膨張機構24及び液冷媒合流管30を通じて、吐出管28から利用側気液分離器61に至る部分については、冷媒の流れを示す矢印を省略している)。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、冷暖同時運転モードにおいて、第2利用側インジェクション管64、66の一方によって、対応する液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して、対応する利用側エコノマイザ熱交換器68、69によって、対応する液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒を冷却しつつ第2利用側インジェクション管64、66の一方を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒分岐管92、93の他方によって対応する利用側熱交換器42、52に送りつつ、加熱された冷媒を利用側インジェクション管94によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、冷暖同時運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
尚、利用ユニット4の冷房負荷と利用ユニット5の暖房負荷とのバランスがどちらかに偏っている場合には、利用側熱交換器42、52と熱源側熱交換器23との間(すなわち、液冷媒分岐管92、93と液冷媒合流管91と間)でやりとりが行われる冷媒の流量が増加することになるが、このような場合であっても、冷房を行う利用側熱交換器(ここでは、利用側熱交換器42、52の一方)と暖房を行う利用側熱交換器(ここでは、利用側熱交換器42、52の他方)との間でやりとりされる冷媒が利用側エコノマイザ熱交換器68、69を介してやりとりされることになり、利用側エコノマイザ熱交換器42、52に対応する利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66を通じて冷媒を後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。また、熱源側インジェクション弁35を熱源側インジェクション管34に冷媒が流れるように開度調節することによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われる状態にして、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションと併用するようにしてもよい。
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
<A>
圧縮機構と熱源側熱交換器と液冷媒合流管と熱源側膨張機構と複数の利用側熱交換器と複数の液冷媒分岐管と熱源側切換機構と高圧ガス冷媒管と複数の利用側切換機構と低圧ガス冷媒管とを備えた冷暖同時運転が可能な空気調和装置において、圧縮機構として、複数の圧縮要素を有しており複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された多段圧縮式の圧縮機構を採用する場合には、多段圧縮式の冷凍サイクルにおける運転効率を向上させるために、多段圧縮式の冷凍サイクルにおいて後段側の圧縮要素に中間圧の冷媒を戻す中間圧インジェクションを行う冷暖切換運転が可能な空気調和装置と同様に、熱源側熱交換器の液側に中間圧インジェクションを行うための構成を設けることが考えられる。
しかし、冷暖同時運転が可能な空気調和装置では、冷房を行う利用側熱交換器と暖房を行う利用側熱交換器が混在する冷暖同時運転があり(上述の冷暖同時運転モードにおける動作及び図4を参照)、この冷暖同時運転の際に、冷房を行う利用側熱交換器と暖房を行う利用側熱交換器との間で冷媒のやりとりが主に行われて、複数の利用側熱交換器と熱源側熱交換器との間(すなわち、複数の液冷媒分岐管と液冷媒合流管との間)でやりとりが行われる冷媒の流量が減少することになる。このため、冷暖同時運転の際には、中間圧インジェクションに供される冷媒の流量を確保することが困難になり、多段圧縮式の冷凍サイクルにおける運転効率の向上を図ることが困難になる。
そこで、本実施形態の空気調和装置1では、液冷媒合流管91に液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して後段側の圧縮要素21eに戻す熱源側インジェクション管34を接続するとともに、液冷媒合流管91を流れる冷媒と熱源側インジェクション管34を流れる冷媒との熱交換を行う熱源側エコノマイザ熱交換器36を設け、各液冷媒分岐管92、93に各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して後段側の圧縮要素21eに戻す利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)を接続するとともに、各液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒と対応する利用側インジェクション管94を流れる冷媒との熱交換を行う利用側エコノマイザ熱交換器68、69を設けるようにしている。
これにより、冷暖同時運転の際に、冷房を行う利用側熱交換器(ここでは、利用側熱交換器42、52の一方)と暖房を行う利用側熱交換器(ここでは、利用側熱交換器42、52の他方)との間でやりとりされる冷媒が利用側エコノマイザ熱交換器68、69を介してやりとりされることになり、利用側エコノマイザ熱交換器68、69に対応する利用側インジェクション管94を通じて冷媒を後段側の圧縮要素21eに戻す中間圧インジェクションに供される冷媒の流量を確保することが可能になるため、冷暖同時運転の際に、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の冷凍サイクルにおける運転効率の向上を図ることができ、したがって、多段圧縮式の冷凍サイクルにおいて後段側の圧縮要素に中間圧の冷媒を戻す中間圧インジェクションを行う構成を採用した冷暖同時運転が可能な空気調和装置を提供することができる。
<B>
本実施形態の空気調和装置1では、利用側エコノマイザ熱交換器68、69が利用側熱交換器42、52と利用側膨張機構41、51との間に設けられているため、利用側熱交換器42、52を通過した冷媒が利用側膨張機構41、51によって冷媒が減圧される前に利用側エコノマイザ熱交換器68、69を通過することになり、利用側エコノマイザ熱交換器68、69を流れる冷媒が高い圧力で維持されることになる。
これにより、利用側エコノマイザ熱交換器68、69における交換熱量が大きくなるため、利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)を流れる冷媒の流量、すなわち、中間圧インジェクションに供される冷媒の流量を増加させることができるようになり、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の冷凍サイクルにおける運転効率の一層の向上を図ることができる。
<C>
本実施形態の空気調和装置1では、利用側気液分離器61が利用ユニット4、5や熱源ユニット2とは別の分岐ユニット6に設けられているため、利用ユニット4、5や熱源ユニット2の機器構成を大幅に変更することなく、利用側気液分離器61を追加することができる。
また、本実施形態のように、分岐ユニット6に利用側気液分離器61を設けるとともに、熱源ユニット2と分岐ユニット6との間を液冷媒連絡管8によって接続する場合には、液冷媒連絡管8が配管長が長いことが多いため、例えば、冷房を行う利用側熱交換器だけが存在する冷房運転モードのような、熱源側熱交換器23から利用側熱交換器42、52に向かって液冷媒合流管91を流れる冷媒の流量が多い場合には、熱源側熱交換器23から利用側熱交換器42、52に向かって液冷媒合流管91を流れる冷媒の圧力損失が大きくなる傾向にある。
しかし、本実施形態の空気調和装置1では、液冷媒合流管91の熱源ユニット2に含まれる部分に液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して後段側の圧縮要素21eに戻す熱源側インジェクション管34が接続されるとともに、液冷媒合流管91を流れる冷媒と熱源側インジェクション管34を流れる冷媒との熱交換を行う熱源側エコノマイザ熱交換器36が設けられているため、熱源側熱交換器23から利用側熱交換器42、52に向かって液冷媒合流管91を流れる冷媒の流量が多い場合には、液冷媒連絡管8における圧力損失による圧力の低下が生じる前に、熱源側エコノマイザ熱交換器36における熱交換を行うことができ、後段側の圧縮要素21eに戻すことができる冷媒の流量が減少しにくく、中間圧インジェクションを十分に行うことができる。
<D>
本実施形態の空気調和装置1では、利用側エコノマイザ熱交換器68、69が、対応する利用側熱交換器42、52において放熱した後に液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒と利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有しているため、利用側エコノマイザ熱交換器68、69における冷媒間の温度差を小さくすることができるようになり、これにより、交換熱量を大きくすることができ、中間圧インジェクションに供される冷媒の流量をさらに増加させることができる。
(4)変形例
上述の実施形態のように、利用側エコノマイザ熱交換器68、69を分岐ユニット6に設ける場合において、利用側インジェクション管94を熱源側インジェクション管34に合流させたり、後段側の圧縮要素21eに直接に接続すると、利用側インジェクション管94の一部である利用側インジェクション連絡管14が分岐ユニット6と熱源ユニット2とを接続する冷媒管の一つとして存在することになり、熱源ユニット2と分岐ユニット6とが、液冷媒連絡管8、高圧ガス冷媒連絡管9、低圧ガス冷媒連絡管10及び利用側インジェクション連絡管14という4種類の冷媒管を介して接続された装置構成になってしまう。
そこで、本変形例では、図5に示されるように、利用側インジェクション管94(ここでは、第3利用側インジェクション管70)を液冷媒合流管91のうち分岐ユニット6に含まれる部分(ここでは、第2液冷媒合流管61)に接続するようにしている。この第3利用側インジェクション管70は、その一端が第2液冷媒合流管61に接続されており、その他端が第2利用側インジェクション管64、66に接続されている。
また、本変形例では、液冷媒合流管91(ここでは、第2液冷媒合流管61)のうち利用側インジェクション管94(ここでは、第3利用側インジェクション管70)が接続された位置と複数(ここでは、2つ)の液冷媒分岐管92、93への分岐部との間の部分に、液管開閉機構61aが設けられている。この液管開閉機構61aは、第3利用側インジェクション管70を流れる冷媒の流通及び遮断を可能にする開閉弁であり、本変形例において、電磁弁からなる。
さらに、本変形例では、上述の実施形態とは異なり、熱源側インジェクション管34が、液冷媒合流管91(ここでは、第1液冷媒合流管30)のうち熱源側エコノマイザ熱交換器36と液冷媒連絡管8との部分から液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐するように接続されている。
以上のように、本変形例の空気調和装置1では、上述の実施形態の構成において、主として、利用側インジェクション管94から分岐ユニット6と熱源ユニット2とを接続する利用側インジェクション連絡管14が省略され、利用側インジェクション管94としての第3利用側インジェクション管70が分岐ユニット6内において液冷媒合流管91の構成する第2液冷媒合流管61に接続されている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、冷房運転モードと暖房運転モードと冷暖同時運転モードとに分けて説明する。
<冷房運転モード>
利用ユニット4、5の全てを冷房する際、空気調和装置1の冷媒回路11は、図6に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図6の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を放熱運転切換状態(図6の第1切換機構22の実線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、冷媒を極力減圧しないように(例えば、全開状態になるように)開度調節されている。分岐ユニット6においては、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79、80を閉めるとともに低圧ガス開閉弁81、82を開けることによって、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52と熱源ユニット2の圧縮機構21の吸入側とが低圧ガス冷媒管96等を介して接続された状態になっている。また、熱源側インジェクション弁35を熱源側インジェクション管34に冷媒が流れるように開度調節することによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われる状態になっており、利用側インジェクション弁65、67を閉めることによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われない状態になっている。また、液管開閉機構61aは、開けられている。また、利用側膨張弁41、51は、各利用ユニット4、5の冷房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、熱源側インジェクション管34から後段側の圧縮要素21eに戻される冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、熱源側インジェクション管34から戻る冷媒と合流した(すなわち、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、第1切換機構22の第1ポート22a及び第2ポート22bと熱源側ガス冷媒管29とを通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器23に送られて放熱する。そして、熱源側熱交換器23において放熱した冷媒は、熱源側膨張機構24を通過した後に、熱源側エコノマイザ熱交換器36に流入して、後述のように、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。この熱源側エコノマイザ熱交換器36において冷却された冷媒は、その一部が熱源側インジェクション管34に分岐される。そして、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒は、熱源側インジェクション弁35において中間圧付近まで減圧された後に、熱源側エコノマイザ熱交換器36に送られ、上述のように、第1液冷媒合流管30を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、上述のように、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、熱源側エコノマイザ熱交換器36において冷却された冷媒は、液冷媒合流管91を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、液冷媒分岐管92、93を構成する第2液冷媒分岐管62、63に分岐された後に、利用側膨張機構41、51によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、液冷媒分岐管92、93(ここでは、利用側エコノマイザ熱交換器68、69における熱交換は行われない)を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4、5に送られる。この利用ユニット4、5に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器42、52に送られて蒸発する。そして、利用側熱交換器42、52において蒸発した冷媒は、ガス冷媒分岐管97、98を通じて、利用ユニット4、5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、低圧ガス開閉弁81、82及び低圧ガス冷媒管96を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、吸入管26を通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の全てを冷房する冷房運転モードにおける動作が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、冷房運転モードにおいて、熱源側インジェクション管34によって液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して、熱源側エコノマイザ熱交換器36によって液冷媒合流管91を流れる冷媒を冷却しつつ熱源側インジェクション管34を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒合流管91及び液冷媒分岐管92、93によって利用側熱交換器42、52に送りつつ、加熱された冷媒を熱源側インジェクション管34によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の冷房運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、冷房運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
<暖房運転モード>
利用ユニット4、5の全てを暖房する際、空気調和装置1の冷媒回路11は、図7に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図7の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を蒸発運転切換状態(図7の第1切換機構22の破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、第2切換機構25を暖房負荷要求運転状態(図7の第2切換機構25の破線で示された状態)に切り換えることによって、高圧ガス冷媒管95等を通じて利用ユニット4、5に圧縮機構21において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒を供給できるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、冷媒を減圧するように開度調節されている。分岐ユニット6においては、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79、80を開けるとともに低圧ガス開閉弁81、82を閉めることによって、利用ユニット4、5の利用側熱交換器42、52を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側インジェクション弁35を熱源側インジェクション管34に冷媒が流れるように開度調節することによって、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われる状態になっており、利用側インジェクション弁65、67を閉めることによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われない状態になっている。また、液管開閉機構61aは、開けられている。また、利用側膨張弁41、51は、各利用ユニット4、5の暖房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、熱源側インジェクション管34から後段側の圧縮要素21eに戻される冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、熱源側インジェクション管34から戻る冷媒と合流した(すなわち、熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、高圧ガス開閉弁79、80及びガス冷媒分岐管97、98を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4、5に送られる。この利用ユニット4、5に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器42、52に送られて放熱する。そして、利用側熱交換器42、52において放熱した冷媒は、液冷媒分岐管92、93を通じて、利用ユニット4、5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、液冷媒分岐管92、93を構成する第2液冷媒分岐管62、63(ここでは、利用側エコノマイザ熱交換器68、69における熱交換は行われず、利用側膨張機構41、51を通過するのみ)を通じて、液冷媒合流管91を構成する第2液冷媒合流管61で合流して、液冷媒合流管91を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、その一部が熱源側インジェクション管34に分岐される。そして、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒は、熱源側インジェクション弁35において中間圧付近まで減圧された後に、熱源側エコノマイザ熱交換器36に送られる。また、熱源側インジェクション管34に分岐された後の液冷媒合流管91を構成する第1液冷媒合流管30を流れる冷媒は、熱源側エコノマイザ熱交換器36に流入し、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、熱源側インジェクション管34を流れる冷媒は、第1液冷媒合流管30を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、上述のように、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、熱源側エコノマイザ熱交換器36において冷却された冷媒は、液冷媒合流管91を通じて、熱源側膨張機構24に送られ、熱源側膨張機構24によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器23に送られて蒸発する。そして、熱源側熱交換器23において蒸発した冷媒は、熱源側ガス冷媒管29と第1切換機構22の第2ポート22b及び第3ポート22cと吸入管26とを通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の全てを暖房する暖房運転モードにおける動作が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、暖房運転モードにおいて、熱源側インジェクション管34によって液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐して、熱源側エコノマイザ熱交換器36によって液冷媒合流管91を流れる冷媒を冷却しつつ熱源側インジェクション管34を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒合流管91によって熱源側熱交換器23に送りつつ、加熱された冷媒を熱源側インジェクション管34によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の暖房運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、暖房運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
<冷暖同時運転モード>
利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する際(ここでは、利用ユニット4を冷房し、利用ユニット5を暖房するものとする)、空気調和装置1の冷媒回路11は、図8に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図8の冷媒回路11に付された矢印を参照)。具体的には、熱源ユニット2の熱源側冷媒回路11cにおいては、熱源側切換機構としての第1切換機構22を利用ユニット4の冷房負荷と利用ユニット5の暖房負荷とのバランスに応じて放熱運転切換状態又は蒸発運転切換状態のいずれかに切り換えることによって、熱源側熱交換器23を冷媒の放熱器又は蒸発器として機能させるとともに、第2切換機構25を暖房負荷要求運転状態(図8の第2切換機構25の破線で示された状態)に切り換えることによって、高圧ガス冷媒管95等を通じて利用ユニット5に圧縮機構21において圧縮され吐出された高圧のガス冷媒を供給できるようになっている。また、熱源側膨張機構24は、閉められている。分岐ユニット6においては、利用ユニット4に対応する利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁79を閉めるとともに低圧ガス開閉弁81を開けることによって、利用ユニット4の利用側熱交換器42を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット4の利用側熱交換器42と熱源ユニット2の圧縮機構21の吸入側とが低圧ガス冷媒管96等を介して接続された状態になっている。また、利用側切換機構としての高圧ガス開閉弁80を開けるとともに低圧ガス開閉弁82を閉めることによって、利用ユニット5の利用側熱交換器52を冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、利用側インジェクション弁65、67を利用側インジェクション管64、66に冷媒が流れるように開度調節することによって、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器68、69による中間圧インジェクションが行われる状態になっている。また、熱源側インジェクション弁36は、開けられており、液管開閉機構61aは、閉められている。また、利用側膨張弁41は、利用ユニット4の冷房負荷に応じて開度調節されており、利用側膨張弁51は、利用ユニット5の暖房負荷に応じて開度調節されている。
このような冷媒回路11の構成において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管26から圧縮機構21に吸入され、前段側の圧縮要素21dによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管27に吐出される。この前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒は、利用側インジェクション管94(ここでは、第2利用側インジェクション管66及び第3利用側インジェクション管70)から液冷媒合流管91(ここでは、第2液冷媒合流管61、液冷媒連絡管8、第1液冷媒合流管30及び熱源側インジェクション管34)を通じて、後段側の圧縮要素21eに戻されるガス冷媒と合流することでさらに冷却される。次に、利用側インジェクション管94から戻る冷媒と合流した(すなわち、利用側インジェクション管94及び利用側エコノマイザ熱交換器69による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素21dの後段側に接続された圧縮要素21eに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構21から吐出管28に吐出される。ここで、圧縮機構21から吐出された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、圧縮要素21d、21eによる二段圧縮動作によって、臨界圧力を超える圧力まで圧縮されている。この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒は、第1切換機構22が放熱運転切換状態になっている場合を含めて、その大部分が吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、高圧ガス開閉弁80及びガス冷媒分岐管98を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット5に送られる。この利用ユニット5に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器52に送られて放熱する。そして、利用側熱交換器52において放熱した冷媒は、液冷媒分岐管93を通じて、利用ユニット5から分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、その一部が利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管66に分岐される。そして、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒は、利用側インジェクション弁67において中間圧付近まで減圧された後に、利用側エコノマイザ熱交換器69に送られる。また、第2利用側インジェクション管66に分岐された後の液冷媒分岐管93を構成する第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒は、利用側エコノマイザ熱交換器69に流入し、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、第2利用側インジェクション管66を流れる冷媒は、第2液冷媒分岐管63を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて蒸発して、上述のように、利用側インジェクション管94(ここでは、第2利用側インジェクション管66及び第3利用側インジェクション管70)、液冷媒合流管91及び熱源側インジェクション管34を通じて、前段側の圧縮要素21dから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、利用側エコノマイザ熱交換器69において冷却された冷媒は、利用側膨張機構51を通過した後に、液冷媒分岐管92に送られる。この液冷媒分岐管92に送られた冷媒は、利用側膨張機構41によって減圧されて低圧の気液二相状態になる。この低圧の気液二相状態の冷媒は、液冷媒分岐管92(ここでは、利用側エコノマイザ熱交換器68における熱交換は行われない)を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4に送られる。この利用ユニット4に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器42に送られて蒸発する。そして、利用側熱交換器42において蒸発した冷媒は、ガス冷媒分岐管97を通じて分岐ユニット6に送られる。この分岐ユニット6に送られた冷媒は、低圧ガス開閉弁81及び低圧ガス冷媒管96を通じて、分岐ユニット6から熱源ユニット2に送られる。この熱源ユニット2に送られた冷媒は、吸入管26を通じて、再び圧縮機構21に吸入される。このようにして、利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する(ここでは、利用ユニット4を冷房し、利用ユニット5を暖房する)冷暖同時運転モードにおける動作が行われる。
すなわち、冷暖同時運転モードでは、この圧縮機構21から吐出された高圧の冷媒の大部分が、吐出管28及び高圧ガス冷媒管95(第2切換機構25の第1ポート25a及び第4ポート25dを含む)を通じて、熱源ユニット2から分岐ユニット6に送られ、利用側エコノマイザ熱交換器68、69において冷却された冷媒の大部分が、液冷媒分岐管92を通じて、分岐ユニット6から利用ユニット4に送られて、利用側熱交換器42、52と熱源側熱交換器23との間(すなわち、液冷媒分岐管92、93と液冷媒合流管91との間)でやりとりが行われる冷媒の流量が減少していることから、このことを利用して、液冷媒合流管91(ここでは、第2液冷媒合流管61、液冷媒連絡管8及び第1液冷媒合流管30)を利用側インジェクション連絡管として機能させるようにしている。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷暖同時運転が可能な構成において、圧縮機構として、多段圧縮式(ここでは、2段圧縮式)の圧縮機構21が採用され、中間圧インジェクションを行うための構成として、液冷媒合流管91に熱源側インジェクション管34及び熱源側エコノマイザ熱交換器36を設けられるとともに、各液冷媒分岐管92、93に利用側インジェクション管94(より具体的には、利用側インジェクション管94を構成する第2利用側インジェクション管64、66)及び熱源側エコノマイザ熱交換器68、69が設けられた構成が採用されているため、冷暖同時運転モードにおいて、第2利用側インジェクション管64、66の一方によって、対応する液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒の一部を分岐して、対応する利用側エコノマイザ熱交換器68、69によって、対応する液冷媒分岐管92、93を流れる冷媒を冷却しつつ第2利用側インジェクション管64、66の一方を流れる冷媒を加熱し、冷却された冷媒を液冷媒分岐管92、93の他方によって対応する利用側熱交換器42、52に送りつつ、加熱された冷媒を利用側インジェクション管94によって後段側の圧縮要素21eに戻すことができる。これにより、利用ユニット4、5の一方を冷房しつつ他方を暖房する運転を行いつつ、多段圧縮式(ここでは、二段圧縮式)の圧縮機構21における後段側の圧縮要素21eに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、冷暖同時運転モードにおける運転効率を向上させることができる。
しかも、本変形例の空気調和装置1では、利用側インジェクション管94(ここでは、第3利用側インジェクション管70)が液冷媒合流管91のうち分岐ユニット6に含まれる部分(ここでは、第2液冷媒合流管61)に接続されているため、利用側熱交換器42、52と熱源側熱交換器23との間(すなわち、液冷媒合流管91及び液冷媒分岐管92、93との間)で冷媒のやりとりを行わずに、利用側インジェクション管94を流れる冷媒を液冷媒合流管91を通じて熱源ユニット2に送ることで中間圧インジェクションを行うことができるようになり、上述の実施形態において設けられていた利用側インジェクション連絡管14を要しない装置構成にすることができる。
また、本変形例の空気調和装置1では、液冷媒合流管91(ここでは、第2液冷媒合流管61)のうち利用側インジェクション管94(ここでは、第3利用側インジェクション管70)が接続された位置と複数(ここでは、2つ)の液冷媒分岐管92、93への分岐部との間の部分に、液管開閉機構61aが設けられているため、利用側インジェクション管94を流れる冷媒を液冷媒合流管91を通じて熱源ユニット2に送る際に、中間圧インジェクションに供される冷媒以外の冷媒を複数の液冷媒分岐管92、93から流出させることなく、利用側インジェクション管94を流れる冷媒を液冷媒合流管91を通じて熱源ユニット2に送り、中間圧インジェクションを行うことができる。
さらに、本変形例の空気調和装置1では、上述の実施形態とは異なり、熱源側インジェクション管34が、液冷媒合流管91(ここでは、第1液冷媒合流管30)のうち熱源側エコノマイザ熱交換器36と液冷媒連絡管8との部分から液冷媒合流管91を流れる冷媒の一部を分岐するように接続されているため、液冷媒合流管91を通じて利用側インジェクション管94から熱源ユニット2に送られたガス冷媒を、熱源側エコノマイザ熱交換器36を通過させることなく、中間圧インジェクションに供することができ、これにより、熱源側エコノマイザ熱交換器36を通過させる場合に比べて、中間圧インジェクションに供されるガス冷媒の圧力損失を小さくすることができる。
以上のように、本変形例の空気調和装置1では、冷暖同時運転や冷房運転において、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができるとともに、冷暖同時運転においてほとんど冷媒のやりとりが行われない液冷媒合流管91を、利用側インジェクション管94を流れる冷媒を分岐ユニット6から熱源ユニット2に送るための連絡管として利用することで、上述の実施形態において設けられていた利用側インジェクション連絡管14を要しない装置構成にすることができる。
(5)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
<A>
上述の実施形態及びその変形例では、圧縮機構21として、2つの圧縮要素21d、21eが一体に組み込まれた一軸二段圧縮式の圧縮機を採用しているが、これに限定されず、三段以上等の多段圧縮式の圧縮機や単段圧縮式の圧縮機を複数接続したもの等のように、複数の圧縮要素が一体に組み込まれた圧縮機や、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台接続したものであってもよい。また、利用ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されたものであってもよい。
<B>
上述の実施形態及びその変形例では、利用ユニットは2つであるが、これに限定されず、3つ以上であってもよい。
<C>
上述の実施形態及びその変形例では、分岐ユニット6が、利用側インジェクション管64、66、利用側エコノマイザ熱交換器68、69、利用側切換機構(ガス開閉弁79〜82)及びその周辺配管をすべて含む1つのユニットとしてまとめられているが、利用ユニット4、5ごとに、すなわち、利用側インジェクション管64、利用側エコノマイザ熱交換器68、利用側切換機構(ガス開閉弁79、81)及びその周辺配管を含む利用ユニット4用のユニットと、利用側インジェクション管66、利用側エコノマイザ熱交換器69、利用側切換機構(ガス開閉弁80、82)及びその周辺配管を含む利用ユニット5用のユニットとに分けるようにしてもよい。また、液側分岐回路11dを含むユニットと、ガス側分岐回路11eを含むユニットとに分けるようにしてもよい。