JP2010096229A - 歯付ベルト - Google Patents
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【解決手段】歯付ベルト10は、ベルト内周に一定ピッチで設けられた複数の歯部14を有するポリウレタン樹脂製の歯付ベルト本体11と、歯付ベルト本体11に、ベルト長さ方向に沿うと共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された心線12と、歯付ベルト本体11のベルト厚さ方向の心線12の埋設位置よりも内側に、歯付ベルト本体11を形成するポリウレタン樹脂を含み込んで層を形成するように埋設された繊維補強材13と、を備える。心線12は、構成材料としてカーボン繊維を含む。
【選択図】図1
Description
ベルト内周に一定ピッチで設けられた複数の歯部を有するポリウレタン樹脂製の歯付ベルト本体と、
上記歯付ベルト本体に、ベルト長さ方向に沿うと共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された心線と、
上記歯付ベルト本体のベルト厚さ方向の上記心線の埋設位置よりも内側に、該歯付ベルト本体を形成するポリウレタン樹脂を含み込んで層を形成するように埋設された繊維補強材と、
を備え、
上記心線は、構成材料としてカーボン繊維を含む。
以下の心線A〜Jを作製準備した。それぞれの構成については表1にも示す。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を3本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数50回/mで撚った片撚り糸を心線Aとした。なお、S撚り糸とZ撚り糸の2種を準備した(以下、心線B〜Jも同じ)。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を1本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数80回/mで下撚りした下撚り糸を3本集めて、下撚り方向とは逆方向に撚り数50回/mで上撚りした諸撚り糸を心線Bとした。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を1本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数50回/mで下撚りした下撚り糸を3本集めて、下撚り方向と同じ方向に撚り数50回/mで上撚りしたラング撚り糸を心線Cとした。
無撚りのカーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を1本引き揃えた繊維束をコアとし、その周りにガラス繊維(Kガラス 220dtex)を3本引き揃えた繊維束をレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)水溶液に浸漬した後に加熱処理を施して一方向に撚り数80回/mで下撚りしたもの13本をそれぞれ長さ方向に沿って下撚り方向とは逆方向に巻き数80回/mで巻き付けてスキン層を形成したコアヤーンを心線Dとした。
アラミド繊維(デュポン社製 商品名:ケブラー49 1270dtex)を1本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数300回/mで下撚りした下撚り糸を5本集めて、下撚り方向とは逆方向に撚り数130回/mで上撚りした諸撚り糸を心線Eとした。なお、S撚り糸とZ撚り糸の2種を準備した。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を9本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数25回/mで撚った片撚り糸を心線Fとした。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を1本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数80回/mで下撚りした下撚り糸を9本集めて、下撚り方向とは逆方向に撚り数25回/mで上撚りした諸撚り糸を心線Gとした。
カーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を1本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数50回/mで下撚りした下撚り糸を9本集めて、下撚り方向と同じ方向に撚り数25回/mで上撚りしたラング撚り糸を心線Hとした。
無撚りのカーボン繊維(東邦テナックス社製 商品名:HTA40 E13 6K(6000フィラメント) 400tex)を3本引き揃えた繊維束をコアとし、その周りにガラス繊維(Kガラス 220dtex)を9本引き揃えた繊維束をRFL水溶液に浸漬した後に加熱処理を施して一方向に撚り数160回/mで下撚りしたもの13本をそれぞれ長さ方向に沿って下撚り方向とは逆方向に巻き数160回/mで巻き付けてスキン層を形成したコアヤーンを心線Iとした。
アラミド繊維(デュポン社製 商品名:ケブラー49 1270dtex)を4本引き揃えた繊維束を一方向に撚り数150回/mで下撚りした下撚り糸を5本集めて、下撚り方向とは逆方向に撚り数65回/mで上撚りした諸撚り糸を心線Jとした。
以下の実施例1〜8及び比較例1〜12の歯付ベルトを作製準備した。それぞれの構成については表2及び3にも示す。
図3(a)に示すような歯部14の形状が円弧形状の歯付ベルト10であって、プレポリマー(三井化学ポリウレタン社製 商品名:ハイプレンL−100)100質量部に対して、硬化剤として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(イハラケミカル工業社製 商品名:イハラキュアミンMT)13質量部、及び可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP チッソ社製 商品名:DOP)10質量部を配合したウレタン組成物が硬化したポリウレタン樹脂で歯付ベルト本体11を構成し、上記心線Aで心線12を構成し、無加圧でニードルパンチ法で作製された総厚が3.4〜4.2mmである嵩高のナイロン不織布(目付量250g/m2 無バインダー処理)で繊維補強材13を構成したものを上記実施形態に準じた方法で作製し、それを実施例1とした。この実施例1の歯付ベルトをベルト幅10mmのものと15mmのものの2種を複数本ずつ作製した。なお、心線Aには、エポキシ接着剤に浸漬した後に乾燥させる処理を施したものを用いた。また、心線Aを、S撚り糸及びZ撚り糸がベルト幅方向に交互に並ぶと共に隣接する心線ピッチが1.5mmとなるように二重螺旋状に設けた。
上記心線Bで心線を構成したことを除いて実施例1と同一の構成の歯付ベルトを実施例2とした。
上記心線Cで心線を構成したことを除いて実施例1と同一の構成の歯付ベルトを実施例3とした。
上記心線Dで心線を構成したことを除いて実施例1と同一の構成の歯付ベルトを実施例4とした。
図3(b)に示すように繊維補強材13を有さない代わりに歯部14側の表面が表面補強布17で被覆された歯付ベルト10であって、捲縮加工されたナイロン糸で形成された厚さ0.8mmの織布で表面補強布17を構成したことを除いて実施例1と同一の構成の歯付ベルト10を比較例1とした。
上記心線Bで心線を構成したことを除いて比較例1と同一の構成の歯付ベルトを比較例2とした。
上記心線Cで心線を構成したことを除いて比較例1と同一の構成の歯付ベルトを比較例3とした。
上記心線Dで心線を構成したことを除いて比較例1と同一の構成の歯付ベルトを比較例4とした。
上記心線Eで心線を構成したことを除いて実施例1と同一の構成の歯付ベルトを比較例5とした。
上記心線Eで心線を構成したことを除いて比較例1と同一の構成の歯付ベルトを比較例6とした。
図3(a)に示すような歯部14の形状が円弧形状の歯付ベルトであって、プレポリマー(三井化学ポリウレタン社製 商品名:ハイプレンL−100)100質量部に対して、硬化剤として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(イハラケミカル工業社製 商品名:イハラキュアミンMT)13質量部、及び可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP チッソ社製 商品名:DOP)10質量部を配合したウレタン組成物が硬化したポリウレタン樹脂で歯付ベルト本体11を構成し、上記心線Fで心線12を構成し、無加圧でニードルパンチ法で作製された総厚が4.9〜5.9mmである嵩高のナイロン不織布(目付量410g/m2 無バインダー処理)で繊維補強材13を構成したものを上記実施形態に準じた方法で作製し、それを実施例5とした。この実施例5の歯付ベルトをベルト幅10mmのものと15mmのものの2種を複数本ずつ作製した。なお、心線Fには、エポキシ接着剤に浸漬した後に乾燥させる処理を施したものを用いた。また、心線Fを、S撚り糸及びZ撚り糸がベルト幅方向に交互に並ぶと共に隣接する心線ピッチが2.5mmとなるように二重螺旋状に設けた。
上記心線Gで心線を構成したことを除いて実施例5と同一の構成の歯付ベルトを実施例6とした。
上記心線Hで心線を構成したことを除いて実施例5と同一の構成の歯付ベルトを実施例7とした。
上記心線Iで心線を構成したことを除いて実施例5と同一の構成の歯付ベルトを実施例8とした。
図3(b)に示すように繊維補強材13を有さない代わりに歯部14側の表面が表面補強布17で被覆された歯付ベルトであって、捲縮加工されたナイロン糸で形成された厚さ1.2mmの織布で表面補強布17を構成したことを除いて実施例5と同一の構成の歯付ベルトを比較例7とした。
上記心線Gで心線を構成したことを除いて比較例7と同一の構成の歯付ベルトを比較例8とした。
上記心線Hで心線を構成したことを除いて比較例7と同一の構成の歯付ベルトを比較例9とした。
上記心線Iで心線を構成したことを除いて比較例7と同一の構成の歯付ベルトを比較例10とした。
上記心線Jで心線を構成したことを除いて実施例5と同一の構成の歯付ベルトを比較例11とした。
上記心線Jで心線を構成したことを除いて比較例7と同一の構成の歯付ベルトを比較例12とした。
図4はベルト走行試験機30のプーリレイアウトを示す。
実施例1〜4及び比較例1〜6のそれぞれのベルト幅15mmのものについて、未走行品のベルト周長及びベルト強度を測定した。そして、ベルト周長を測定したものについて、上記ベルト走行試験機30の駆動プーリ31及び従動プーリ32に巻き掛け、従動プーリ32に392Nのデッドウエイトを負荷し、雰囲気温度50℃の下、駆動プーリ31を3600rpmの回転数で回転させて200時間ベルト走行させた後、ベルト周長及びベルト強度をそれぞれ測定した。なお、駆動プーリ31及び従動プーリ32として、プーリ歯ピッチ8mm及びプーリ歯数18のものを用いた。また、従動プーリ32には回転負荷を与えなかった。
実施例1〜4のそれぞれのベルト幅10mmのもの及び15mmのもの並びに比較例1〜6のそれぞれのベルト幅15mmのものについて、未走行品のベルト周長を測定した。そして、それを上記ベルト走行試験機30の駆動プーリ31及び従動プーリ32に巻き掛け、従動プーリ32に392Nのデッドウエイトを負荷すると共に49N・mの回転負荷を与え、雰囲気温度50℃の下、駆動プーリ31を1900rpmの回転数で回転させて50時間ベルト走行させた後、ベルト周長を測定した。また、その後、切断するまでベルト走行させた。なお、駆動プーリ31及び従動プーリ32として、プーリ歯ピッチ8mm及びプーリ歯数18のものを用いた。
表2に試験結果を示す。
実施例1〜4及び比較例1〜6について、屈曲疲労試験における強力保持率は、実施例1が88%、それに対応する比較例1が57%であり、実施例2が85%、それに対応する比較例2が55%であり、実施例3が92%、それに対応する比較例3が55%であり、実施例4が87%、それに対応する比較例4が56%であり、比較例5及び6がいずれも85%であった。
実施例1〜4及び比較例1〜6について、負荷耐久試験におけるベルト幅10mmのものの負荷耐久時間は、実施例1が210時間(歯欠け)、それに対応する比較例1が18時間(心線セパレーション)であり、実施例2が200時間(歯欠け)、それに対応する比較例2が14時間(心線セパレーション)であり、実施例3が220時間(歯欠け)、それに対応する比較例3が16時間(心線セパレーション)であり、実施例4が220時間(歯欠け)、それに対応する比較例4が15時間(心線セパレーション)であり、比較例5が13時間(心線セパレーション)であり、比較例6が10時間(心線セパレーション)であった。なお、括弧内は破壊モードである。「歯欠け」は歯部の欠損であり、「心線セパレーション」は心線層における剥離である。
11 歯付ベルト本体
12 心線
13 繊維補強材
14 歯部
Claims (3)
- ベルト内周に一定ピッチで設けられた複数の歯部を有するポリウレタン樹脂製の歯付ベルト本体と、
上記歯付ベルト本体に、ベルト長さ方向に沿うと共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された心線と、
上記歯付ベルト本体のベルト厚さ方向の上記心線の埋設位置よりも内側に、該歯付ベルト本体を形成するポリウレタン樹脂を含み込んで層を形成するように埋設された繊維補強材と、
を備え、
上記心線は、構成材料としてカーボン繊維を含む歯付ベルト。 - 請求項1に記載された歯付ベルトにおいて、
上記繊維補強材が不織布で構成されている歯付ベルト。 - 請求項1又は2に記載された歯付ベルトにおいて、
上記心線が、片撚り糸、諸撚り糸、ラング撚り糸、又はカーボン繊維をコアとするコアヤーンで構成されている歯付ベルト。
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