JP2022013158A - 歯付ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】高負荷伝動での耐久性が優れる歯付ベルトを提供する。【解決手段】歯付ベルトBは、エラストマー製の歯付ベルト本体11と、それに埋設されるとともにベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられた心線12と、歯付ベルト本体11におけるベルト厚さ方向の心線12の埋設位置よりも内周側に、歯付ベルト本体11を形成する材料を含んでベルト長さ方向に沿うと共に歯部において歯先側へ膨出するように配されて埋設された帆布113と、を備える。歯付ベルト本体11の歯底から歯先までを歯高さhとしたときに、高さが0以上0.2h以下の歯元R付近の帆布113の厚みt1が0.3mm以上0.6mm以下で、高さが0.8h以上h以下の歯先付近の帆布113の厚みt2が0.45mm以上1.2mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、歯付ベルトに関する。
工作機械、印刷機械、繊維機械、射出成形機等の高トルク伝動用途において、ポリウレタン樹脂製の歯付ベルトが用いられている。
特許文献1~4には、ポリウレタン樹脂で形成されたエンドレスの歯付ベルト本体に、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線が埋設されていると共に、その心線の埋設位置よりも内周側に不織布が埋設された歯付ベルトが開示されている。
特許文献5には、ポリウレタン樹脂で形成されたエンドレスの歯付ベルト本体における歯部を有する内周側表面を被覆するように帆布が設けられた歯付ベルトが開示されている。
特公平5-62657号公報 特許第2965403号公報 特開2006-112574号公報 特開2010-96229号公報 特許第2954554号公報
本発明の課題は、耐久性及び耐騒音性が優れる歯付ベルトを提供することである。
本発明は、エラストマー製の歯付ベルト本体と、前記歯付ベルト本体に埋設されるとともにベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられた心線と、前記歯付ベルト本体におけるベルト厚さ方向の前記心線の埋設位置よりも内周側に、前記歯付ベルト本体を形成する材料を含んでベルト長さ方向に沿うと共に歯部において歯先側へ膨出するように配されて埋設された帆布と、を備えた歯付ベルトであって、前記歯付ベルト本体の歯底から歯先までを歯高さhとしたときに、高さが0以上0.2h以下の歯元R付近の上記帆布の厚みt1が0.3mm以上0.6mm以下で、高さが0.8h以上h以下の歯元R付近の上記帆布の厚みt2が0.45mm以上1.2mm以下である。
前記歯付ベルトでは、前記t1と前記t2の比t1/t2が、0.85以下となるのが好ましい。
前記歯付ベルト本体は、好ましくは、熱硬化性エラストマーで形成され、より好ましくは熱硬化性ポリウレタン樹脂で形成されている。
前記帆布の織り構造が、平織り又は綾織りであると好ましい。
前記帆布のベルト周方向の緯糸が、ウーリー糸であるのと好ましい。
前記心線を構成する繊維材料が、カーボン繊維であると好ましい。
本発明によれば、歯元R付近の帆布の厚みt1を0.3mm以上0.6mm以下とし、歯先付近の上記帆布の厚みt2を0.45mm以上1.2mm以下としたことにより、歯先部はクッション性があり、歯元部は圧縮された帆布が存在することによって、耐久性及び耐騒音性が優れる歯付ベルトを得ることができる。また、t1/t2の値を0.85以下と小さくすることで、上記効果が更に発揮される。さらに、伸縮性の高いウーリー糸を帆布の緯糸に使用することで、上記効果が更に発揮される。
実施形態に係る歯付ベルトの一片を示す斜視図である。 実施形態に係る歯付ベルトの一部分を示す縦断面図である。 実施形態に係る歯付ベルトの製造方法を示す第1の説明図である。 実施形態に係る歯付ベルトの製造方法を示す第2の説明図である。 実施形態に係る歯付ベルトの製造方法を示す第3の説明図である。 負荷耐久試験用のベルト走行試験機のプーリレイアウト図である。 騒音試験用のベルト走行試験機のプーリレイアウト図である。 実施例1及び比較例1~3の歯付ベルトの構成を示す図である。 2/2綾織りを拡大して示し、(a)が組織図で、(b)が平面図で、(c)が断面図である。 平織りを拡大して示し、(a)が組織図で、(b)が平面図で、(c)が断面図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は、実施形態に係る歯付ベルトBを示す。実施形態に係る歯付ベルトBは、噛み合い歯付ベルトであり、例えば、工作機械、印刷機械、繊維機械、射出成形機等の高負荷伝動用途に好適に用いられる。実施形態に係る歯付ベルトBのベルト長さは、例えば500mm以上3000mm以下である。ベルト幅は、例えば10mm以上200mm以下である。ベルト厚さ(最大)は、例えば3mm以上20mm以下である。
実施形態に係る歯付ベルトBは、ポリウレタン樹脂で形成されたエラストマー製のエンドレスの歯付ベルト本体11を備える。歯付ベルト本体11は、断面横長矩形の平帯部111と、その内周側に一体に設けられた複数の歯部112とを有する。複数の歯部112は、ベルト長さ方向に一定ピッチで間隔をおいて設けられている。
歯部112の側面視の歯形としては、例えば、両側が外側に円弧状に膨出したSTS歯形や台形歯形等が挙げられる。歯部112の歯数は、例えば30個以上400個以下である。歯幅(ベルト長さ方向の最大寸法)は、例えば2mm以上10mm以下である。歯高さは、例えば2mm以上8mm以下である。配設ピッチは、例えば8mm以上14mm以下である。
歯付ベルト本体11を形成する材料は、熱硬化性エラストマーが好ましい。より好ましくは、熱硬化性ポリウレタン樹脂である。このポリウレタン樹脂は、ウレタンプレポリマーに、硬化剤、可塑剤等の配合剤が配合されたウレタン組成物が加熱及び加圧されて硬化したものである。
ウレタンプレポリマーは、イソシアネート成分とポリオール成分との反応により得られる末端に複数のNCO基を有する比較的低分子量のウレタン化合物である。イソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。ポリオール成分としては、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、単一のウレタン化合物で構成されていても、複数のウレタン化合物が混合されて構成されていても、どちらでもよい。
硬化剤としては、例えば、1,4-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノトルエン、1,5-ナフタレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などのアミン化合物等が挙げられる。硬化剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。アミン化合物の硬化剤は、硬化剤中のNH基のモル数のウレタンプレポリマー中のNCO基のモル数に対する比であるα値(NH基/NCO基)が0.70以上1.10以下となるように配合されていることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)やジオクチルフタレート(DOP)などのジアルキルフタレート;ジオクチルアジペート(DOA)などのジアルキルアジペート;ジオクチルセバケート(DOS)などのジアルキルセバケート等が挙げられる。可塑剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。可塑剤の配合量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して例えば3質量部以上20質量部以下である。
なお、その他の配合剤としては、例えば、着色剤、消泡剤、安定剤等が挙げられる。
歯付ベルト本体11を形成するポリウレタン樹脂の硬度は、89°以上100°以下である。このポリウレタン樹脂の硬度は、JIS K7312:1996(デュロメータAタイプ)に基づいて測定される。
実施形態に係る歯付ベルトBは、歯付ベルト本体11の平帯部111に埋設されたカーボン繊維製の心線12を備える。心線12の外径は、高負荷伝動での優れた耐久性を得る観点から、好ましくは0.6mm以上2.2mm以下、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
心線12を構成するカーボン繊維は、高負荷伝動での優れた耐久性を得る観点から、PAN系カーボン繊維であることが好ましい。カーボン繊維のフィラメント径は、同様の観点から、好ましくは4μm以上9μm以下、より好ましくは6μm以上8μm以下である。
心線12を構成するカーボン繊維の総フィラメント本数は、高負荷伝動での優れた耐久性を得る観点から、好ましくは6000本(6K)以上48000本(48K)以下、より好ましくは9000本(9K)以上18000本(18K)、更に好ましくは12000本(12K)である。心線12を構成するカーボン繊維の繊度は、同様の観点から、好ましくは400tex以上3200tex以下、より好ましくは600tex以上1200tex以下、更に好ましくは800texである。
心線12は、高負荷伝動での優れた耐久性を得る観点から、撚り糸であることが好ましい。心線12を構成する撚り糸としては、片撚り糸、諸撚り糸、及びラング撚り糸が挙げられる。撚り糸の心線12は、同様の観点から、カーボン繊維のフィラメント束を一方向に撚った片撚り糸であることが好ましい。片撚り糸の心線12の撚り数は、同様の観点から、好ましくは4回/10cm以上12回/10cm以下、より好ましくは6回/10cm以上10回/10cm以下である。片撚り糸の心線12には、S撚り糸が用いられても、Z撚り糸が用いられても、それらの両方が用いられても、いずれでもよい。
心線12は、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられている。心線12は、S撚り糸及びZ撚り糸の2本で構成され、それらが二重螺旋を形成するように設けられていてもよい。心線12は、ベルト幅方向に間隔をおいて並行に延びるように配置されることとなるが、このとき、心線12のベルト幅10mm当たりの本数は、高負荷伝動での優れた耐久性を得る観点から、好ましくは6本/10mm以上10本/10mm以下、より好ましくは7本/10mm以上9本/10mm以下である。
心線12には、成形前に予め液状の接着剤に浸漬した後に乾燥させる等の接着処理が施されていることが好ましい。
実施形態に係る歯付ベルトBは、歯付ベルト本体11におけるベルト厚さ方向の心線12の埋設位置よりも内周側にベルト長さ方向に沿って埋設された不織布15を備える。不織布15は、一枚で構成されていても、複数枚で構成されていても、どちらでもよい。
不織布15は、歯付ベルト本体11を形成するポリウレタン樹脂を含んで、側面視において層を形成するように設けられている。不織布15の歯部112に対応する部分は、側面視において内周側に膨出するように歯部112に入り込んでベルト厚さ方向に厚く広がっている。不織布15の歯部112間に対応する部分は、心線12に接触してベルト厚さ方向に薄く圧縮されている。
不織布15を構成する繊維材料としては、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリケトン繊維、カーボン繊維等が挙げられる。不織布15は、単一種の繊維で形成されていても、また、複数種の繊維で形成されていても、どちらでもよい。
不織布15には、成形前に予め液状の接着剤に浸漬した後に乾燥させる等の接着処理が施されていることが好ましい。
歯付ベルト本体11におけるベルト厚さ方向の不織布15の埋設位置よりも内周側には、帆布113がベルト長さ方向に沿うと共に歯部112において歯先側へ膨出するように配されて一体に設けられている。帆布113は、一枚で構成されていても、また、複数枚で構成されていても、どちらでもよい。
帆布113は、歯付ベルト本体11を形成するポリウレタン樹脂を含んで、側面視において凹凸のある連続する層を形成するように設けられている。
帆布113の歯底部13に対応する部分は、不織布15に接触してベルト厚さ方向に圧縮されている。帆布113の歯底部13に対応する部分の厚さは、歯付ベルト本体11の歯底から歯先までを歯高さhとしたときに、高さが0以上0.2h以下の歯元R付近の帆布16の厚みt1が0.3mm以上0.6mm以下である(0.3mm≦t1≦0.6mm)。帆布113の歯底部13に対応する部分は、ポリウレタン樹脂を含むものの、不織布15が存在するためにその含浸度合いが低く、その結果、歯底部13には、帆布113の織目に起因して形成された凹凸面が構成されている。歯底部13には、帆布113が表面に露出していても、また、帆布113が表層に埋設されていても、どちらでもよい。
従来のポリウレタン樹脂製の歯付ベルトは、特許文献1~4に開示された歯付ベルト本体に不織布が埋設された構成であっても、また、特許文献5に開示された歯付ベルト本体における歯部を有する内周側表面を被覆するように帆布が設けられた構成であっても、歯部間の歯底部では、製造時に未硬化のポリウレタン樹脂が不織布又は帆布に含浸して染み出す結果、不織布又は帆布が歯付ベルト本体の表層に埋設された形態となり、表面に硬いポリウレタン樹脂が露出することとなる。そのため、ベルト走行時において、硬い歯部がプーリに接触する際に発生する打撃音に、硬い歯底部がプーリに接触する際に発生する打撃音が重畳して大きな騒音を発するという問題がある。なお、歯付ベルトを設けた部分をカバーで覆って騒音を遮蔽する対策も考えられるが、その場合、ベルト温度の上昇により歯付ベルト本体を形成するポリウレタン樹脂が劣化してベルト寿命が短くなってしまう虞がある。
しかしながら、実施形態に係る歯付ベルトBによれば、このように歯底部13に帆布113の織目に起因して形成された凹凸面が構成されているので、この歯底部13の凹凸面がクッションとなり、歯底部13がプーリに接触する際の打撃音を抑制することができる。また、歯底部13の凹凸面があるので、歯部112のプーリへの噛み合い時に歯付ベルトBとプーリとの隙間で生じる共鳴音(気柱共鳴音)を低減することもできる。なお、心線12の撚り戻りやベルト走行初期の伸びを低く抑えるために、後述の製造時において、心線12を巻き付ける際に心線12に付与する張力を例えば49~294Nの範囲で非常に高く設定する場合であっても、心線12と帆布113との間に不織布15が介設されるので、心線12による圧縮が緩和され、帆布113の凹凸が潰されてしまうことはない。つまり、心線12の撚り戻りやベルト走行初期の伸びを低く抑えて耐久性を高めつつ、歯底部13がプーリに接触する際の打撃音の抑制効果及び歯部112のプーリへの噛み合い時の共鳴音の低減効果を得ることができる。
歯底部13の凹凸面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは5~25μm、より好ましくは10~25μmである。凹凸面における平面視における凸部及び凹部の大きさ(最大径)は、好ましくは0.3~1.2mm、より好ましくは0.5~1.0mmである。ここで、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601に基づいて測定される値である。
帆布113の歯部112に対応する部分は、両側の歯部112に対応する部分に連続して、側面視において、不織布15の外郭に沿った軌跡を形成している。帆布113の歯部112に対応する部分の、高さが0.8h以上1.0h以下の歯元R付近の上記帆布の厚みt2が0.45mm以上1.2mm以下である(0.45mm≦t1≦1.2mm)。前記t1とt2の比t1/t2が、0.85以下(t1/t2≦0.85)となるのが好ましい。帆布113の歯部112に対応する部分は不織布15と非接触、つまり、帆布113の歯部112に対応する部分と不織布15との間にはポリウレタン樹脂の層が存在することが好ましい。また、帆布113の歯部112に対応する部分は、歯部112の表面に露出せずに埋設されていることが好ましい。帆布113の歯部112に対応する部分は、歯部112の補強効果を高める観点から、歯部112側の最先端の位置が平均して歯部高さHの好ましくは60%以上の位置、より好ましくは80%以上の位置であることが好ましい((H"/H)×100)。
帆布113は、例えば、図7に示すような経糸16a及び緯糸16bで形成された2/2綾織り帆布、図8に示すような経糸16a及び緯糸16bで形成された平織り帆布、図示しない朱子織り帆布等で構成されている。経糸16a及び緯糸16bの繊度は、好ましくは44~933dtex、より好ましくは44~235dtexである。経糸16a及び緯糸16bの糸密度は、好ましくは74~430本/5cm幅、より好ましくは132~174本/5cm幅である。帆布113の目付量は、好ましくは90~600g/m2、より好ましくは300~450g/m2である。帆布113の目付量は、歯部112及び歯元部14の補強効果を高める観点から、不織布15の目付量の好ましくは30~170%、より好ましくは70~130%であり、更に好ましくは100%である。つまり、不織布15の目付量と同一であってもよい。
帆布113は、例えば、経糸16a又は緯糸16bがベルト長さ方向に一致するように設けられていることが好ましい。緯糸16bが仮撚り加工糸等の伸縮加工糸で構成されている場合には、帆布113は、伸縮特性について異方性を有することとなるが、ベルト長さ方向に伸縮特性が高くなるように、緯糸16bがベルト長さ方向に一致するように設けられることが好ましい。
帆布113を構成する繊維材料としては、例えば、ナイロン6,6繊維、ナイロン4,6、ナイロン6などのナイロン繊維、ポリケトン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等の化学繊維や綿等の天然繊維が挙げられる。帆布113は、単一種の繊維で構成されていても、また、複数種の繊維で構成されていても、どちらでもよい。帆布113を構成する繊維材料は、歯部112及び歯元部14の補強効果を高める観点から、不織布15を構成する繊維材料と同一であってもよい。帆布のベルト周方向の緯糸が、ウーリー糸であってもよい。ウーリー糸は伸縮性に優れるからである。帆布113には、成形前に予め例えばエポキシ系接着剤に浸漬した後に乾燥させる等の接着処理が施されていてもよい。
以上の構成の実施形態1に係る歯付ベルトBによれば、不織布15がポリウレタン樹脂を含んで歯元部14自体を広範囲で高弾性化すると共に、帆布113が歯元部14の表面乃至表面に近い位置においてクラックの発生及び進展を規制することから、それらの不織布15及び帆布113の積層構造によって歯元部14が補強されるので、耐歯欠け寿命を著しく改善することができる。
実施形態に係る歯付ベルトBは、例えば一対のプーリに巻き掛けられ、駆動源からの動力を従動側に伝達する。ここで、プーリの外径は例えば20~700mmである。また、ベルト走行速度は例えば10~2000m/minであり、伝達容量は例えば0.1~600KWである。
次に、実施形態に係る歯付ベルトBの製造方法について説明する。
まず、図3Aに示すように、円柱状の内金型31に筒状に加工した帆布113及び不織布15を順に被せ、その上から心線12を螺旋状に巻き付ける。内金型31の外周には、断面が歯部112に対応した形状の軸方向に延びる凹溝32が周方向に間隔をおいて一定ピッチで設けられている。このとき、帆布113として、内金型31の周長よりも長いものを用い、帆布113を各凹溝32内で歯先側に向かって膨出するように設けることが好ましい。また、不織布15として、帆布113の上から被せた際に周方向にやや張力が付与される程度の長さのものを用いることが好ましい。
次いで、図3Bに示すように、内金型31を円筒状の外金型34の中に収容する。このとき、内金型31と外金型34との間に歯付ベルト本体成形用のキャビティCが構成される。
続いて、図3Cに示すように、密閉したキャビティCにウレタンプレポリマーに配合剤を配合したウレタン組成物を注入して充填すると共に加熱する。このとき、ウレタン組成物が流動して硬化することにより、凹溝32において歯部112及び凸条33において歯底部13がそれぞれ形成されることにより歯付ベルト本体11が構成される。また、ウレタン組成物が不織布15に含浸して硬化することにより、不織布15は、ポリウレタン樹脂を含んでベルト長さ方向に沿うように配されて歯付ベルト本体11に埋設される。更に、ウレタン組成物が帆布113に含まれて硬化することにより、帆布113は、ポリウレタン樹脂を含んでベルト長さ方向に沿うと共に歯部112において歯先側へ膨出するように配されて歯付ベルト本体11に一体に設けられる。歯底部13では、帆布113は、ポリウレタン樹脂を含むものの、不織布15が存在するためにその含浸度合いが低く、その結果、帆布113の織目に起因して形成された凹凸面が構成される。歯部112においては、帆布113は、不織布15が膨らんでいるのと同様に、歯先側へ膨出する。帆布113からウレタン樹脂がしみこんでくるので、帆布113は、ポリウレタン樹脂に埋設されている。以上のようにして、歯付ベルト本体11、心線12、不織布15、及び帆布113が一体化して円筒状のスラブが成形される。なお、成形条件は、例えば、成形温度が170℃、成形圧力12MPa及び成形時間が20分である。
最後に、内金型31及び外金型34からスラブを脱型し、それを輪切りすることにより実施形態1に係る歯付ベルトBを得ることができる。
(歯付ベルト)
実施例1及び比較例1~3の歯付ベルトを作製した。それぞれの構成は図6に示す。
<実施例1>
上記実施形態と同様の構成のSTS歯形の歯付ベルトを実施例1とした。
実施例1の歯付ベルトは、ベルト長さが800mm、ベルト厚さ(最大)が4.8mmで、ベルト幅が8mmのものと10mmのものを用意した。歯部は、ISO13050:2014(E)で規定されるS8Mで、配設ピッチが8mmであった。
歯付ベルト本体を形成するためのウレタン組成物には、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、硬化剤の3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン13質量部及び可塑剤のジオクチルフタレート10質量部を配合したものを用いた。歯付ベルト本体を形成するポリウレタン樹脂のJIS K7312に基づいて測定したJIS-A硬度は90°であった。
心線には、フィラメント本数が12000本のカーボン繊維(Tenax-J UTS50 F22 帝人社製、12K、800tex、フィラメント径:7.0μm)のフィラメント束を、長さ10cm当たりの撚り数を6回/10cmとして一方向に撚った片撚り糸を用いた。片撚り糸の心線は、S撚り糸及びZ撚り糸を準備し、それらには、接着剤に浸漬した後に乾燥させる接着処理を施した。S撚り糸及びZ撚り糸の片撚り糸の心線は、それらがベルト幅方向に交互に並んで二重螺旋を形成するように設けた。心線のベルト幅10mm当たりの本数は8本とした。心線の外径は0.90mmで、CLDは、0.85あった。なお、CLDとはセンターラインデファレンシャルのことで、ベルト断面から計測した心線中央からベルト歯底までの距離を意味する。但し、測定方法はベルト歯底断面から心線径(縦方向):dと心線下からベルト歯底までの距離:Lを測定し、CLD=d/2+Lである。
不織布として、ニードルパンチ法により無加圧で製造されたナイロン繊維製のものを用いた。不織布には、接着処理を施さなかった。
帆布として、繊度が太さ235dtexのナイロン繊維の繊維束1本の緯糸に対し、繊度が同じく太さ235dtexの繊維束3本の経糸で形成された2/2綾織り帆布(図7参照)を用い、緯糸がベルト長さ方向に一致するように設けた。帆布には、接着処理を施さなかった。帆布は、厚さが1.2mm、経糸の糸密度が113本/5cm幅、緯糸の糸密度が120本/5cm幅、並びに目付量が385g/m2であった。帆布の歯部に対応する部分は、歯部側の最先端の位置が平均して歯部高さHの80%の位置であった((H"/H)×100)。従って、帆布の歯部に対応する部分は、不織布と非接触であり、また、歯部の表面に露出せずに歯部に埋設されていた。歯元R付近の帆布の厚みt1が0.35mmで、歯先付近の帆布の厚みt2が0.53mmで、t1/t2が0.66である。
<比較例1>
比較例1の歯付ベルトは、帆布が異なること及びCLDが0.70であること以外の構成は上記実施例1と同じである。
帆布として、繊度が太さ235dtexのナイロン繊維の繊維束1本の緯糸に対し、繊度が同じく太さ235dtexの繊維束2本の経糸で形成された2/2綾織り帆布を用い、緯糸がベルト長さ方向に一致するように設けた。帆布には、接着処理を施さなかった。帆布は、厚さが1.0mm、経糸の糸密度が165本/5cm幅、緯糸の糸密度が132本/5cm幅、並びに目付量が333g/m2であった。歯元R付近の帆布の厚みt1が0.2mmで、歯先付近の帆布の厚みt2が0.4mmで、t1/t2が0.5である。
<比較例2>
比較例2の歯付ベルトは、帆布が異なること及びCLDが1.00であること以外の構成は上記実施例1と同じである。
帆布として、繊度が太さ756dtexのナイロン繊維の繊維束1本の緯糸に対し、繊度が同じく太さ140dtexの繊維束2本を撚り合わせ、その繊維束を3本合わせた経糸で形成された2/2綾織り帆布を用い、緯糸がベルト長さ方向に一致するように設けた。帆布には、接着処理を施さなかった。帆布は、厚さが1.4mm、経糸の糸密度が74本/5cm幅、緯糸の糸密度が70本/5cm幅、並びに目付量が416g/m2であった。歯元R付近の帆布の厚みt1が0.7mmで、歯先付近の帆布の厚みt2が1.3mmで、t1/t2が0.54である。
<比較例3>
比較例3の歯付ベルトは、帆布が異なること及びCLDが0.90であること以外の構成は上記実施例1と同じである。
帆布として、繊度が太さ200dtexのナイロン繊維の繊維束1本の緯糸に対し、繊度が同じく太さ1100dtexの繊維束2本の経糸で形成された平織り帆布(図8参照)を用い、緯糸がベルト長さ方向に一致するように設けた。帆布には、接着処理を施さなかった。帆布は、厚さが1.2mm、経糸の糸密度が52本/5cm幅、緯糸の糸密度が78本/5cm幅、並びに目付量が398g/m2であった。歯元R付近の帆布の厚みt1が0.45mmで、歯先付近の帆布の厚みt2が0.5mmで、t1/t2が0.9である。
(試験評価方法)
<負荷耐久試験>
図4は、負荷耐久試験用のベルト走行試験機のプーリレイアウト20を示す。
このベルト走行試験機20は、歯数が22で且つ外径が54.65mmの駆動プーリ21及び歯数が33で且つ外径が82.66mmの従動プーリ22が横方向に間隔をおいて配設されており、従動プーリ22には、側方に軸荷重(SW)を負荷できるように構成されている。
実施例1並びに比較例1~3のそれぞれのベルト幅8mmの歯付ベルトについて、上記ベルト走行試験機20の駆動プーリ21及び従動プーリ22に巻き掛け、従動プーリ22に608Nの軸荷重(SW)と共に34.24N・mのトルクを負荷した。軸荷重(SW)は、ロードセルによる軸荷重で設定した。設定時は、目標張力に設定後、プーリを手回しでベルト3周回し、再度目標張力に合わせて設定した。そして、雰囲気温度60°で、駆動プーリ21を回転数4212rpm、従動プーリ22を回転する2808rpmで回転させてベルト走行させた。そして、定期的にベルト走行を停止して目視観察しながら、歯部欠けや歯部摩耗の故障が生じるまでベルト走行を継続した。
<騒音試験>
図5は、騒音試験用のベルト走行試験機のプーリレイアウト40を示す。
このベルト走行試験機40は、各々、歯数が24で且つ外径が59.74mの駆動プーリ41及び従動プーリ42が横方向に間隔をおいて配設されており、従動プーリ42には、側方に軸荷重(SW)を負荷できるように構成されている。マイクは、駆動プーリ41の中央から手前50mm、右に50mm、高さはプーリ中央と同じ位置に配置した。
実施例1並びに比較例1~3のそれぞれのベルト幅10mmの歯付ベルトについて、上記ベルト走行試験機40の駆動プーリ41及び従動プーリ42に巻き掛け、従動プーリ42に300Nの軸荷重(SW)を負荷した。そして、常温下、30秒間で駆動プーリ41の回転数を200rpmから5000rpmまで立ち上げてベルト走行させ、トラッキングにて測定し、3000rpmのオーバーオール値(dB(A))を読み取った。ベルト無しでの騒音は、56dB(A)であった。
(試験評価結果)
図6に負荷耐久試験及び騒音試験の結果を示す。
実施例1は、帆布113の厚みが適正であることから、負荷耐久時間が231hと耐久性が高く、騒音レベルが73dB(A)と、騒音も小さかったことがわかる。
比較例1は帆布が薄すぎ、負荷耐久時間が121hで、騒音レベルが80dB(A)と、耐久性及び耐騒音性が実施例1に比べて悪くなった。
比較例2では、帆布が厚すぎ、噛み合いが悪化し、負荷耐久時間が60hで、騒音レベルが85dB(A)と、耐久性及び耐騒音性が実施例1に比べて悪化した。
比較例3では、帆布の厚みが均一に近く、歯先部で圧縮された堅い帆布が存在することになり、負荷耐久時間は202時間と高いが、プーリと歯先の打撃音が発生し、騒音レベルが82dB(A)となって、実施例1に比べて耐騒音性が悪化した。
なお、上記実施形態では、帆布113は、歯付ベルト本体11に埋設されているが、帆布113は歯付ベルト本体11の表面に設置(露出)されてもよく、不織布15は無くてもよい。
B 歯付ベルト
C キャビティ
S ベルトスラブ
11 歯付ベルト本体
12 心線
13 歯底部
14 歯元部
15 不織布
16 帆布
16a 経糸
16b 緯糸
20 ベルト走行試験機
21 駆動プーリ
22 従動プーリ
31 内金型
32 凹溝
33 凸条
34 外金型
40 ベルト走行試験機
41 駆動プーリ
42 従動プーリ
111 平帯部
112 歯部
113 帆布

Claims (7)

  1. エラストマー製の歯付ベルト本体と、前記歯付ベルト本体に埋設されるとともにベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられた心線と、
    前記歯付ベルト本体におけるベルト厚さ方向の前記心線の埋設位置よりも内周側に、前記歯付ベルト本体を形成する材料を含んでベルト長さ方向に沿うと共に歯部において歯先側へ膨出するように配されて埋設された帆布と、を備えた歯付ベルトであって、
    前記歯付ベルト本体の歯底から歯先までを歯高さhとしたときに、高さが0以上0.2h以下の歯元R付近の上記帆布の厚みt1が0.3mm以上0.6mm以下で、高さが0.8h以上h以下の歯先付近の上記帆布の厚みt2が0.45mm以上1.2mm以下である歯付ベルト。
  2. 請求項1に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記t1と前記t2の比t1/t2が、0.85以下となる歯付ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記歯付ベルト本体が、熱硬化性エラストマーで形成されている歯付ベルト。
  4. 請求項3に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記歯付ベルト本体が、熱硬化性ポリウレタン樹脂で形成されている歯付ベルト。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記帆布の織り構造が、平織り又は綾織りである歯付ベルト。
  6. 請求項5に記載された歯付ベルトにおいて、
    前記帆布のベルト周方向の緯糸が、ウーリー糸である歯付ベルト。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載された歯付ベルトにおいて、
    前記心線を構成する繊維材料が、カーボン繊維である歯付ベルト。
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