JP2010095959A - 既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法 - Google Patents

既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設コンクリートとセメント混合物の間の付着強度が高く、しかもコストや施工時間の面で優れた、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
【解決手段】既設構造物Cの表面C1にショットブラストにより凹凸面を形成し、この凹凸面に接着剤Rを塗布し、その上に新設コンクリートを敷設することにより、既設コンクリート上にセメント混合物を一体化して敷設できるオーバレイ工法であって、上記接着剤Rとしてエポキシ接着剤が用いられ、上記凹凸面への塗布量が0.4kg/m2以上となる条件下でセメント混合物を敷設する。
【選択図】図1

Description

本願発明は、コンクリート舗装を補修する際に用いられる、付着オーバレイ工法に関するものである。
特開平9−71902号公報 「上面増圧工法設計施工マニュアル」、財団法人高速道路調査会、平成7年11月、P.10−17、59−101
鋼橋RC床版や滑走路等、構造物におけるコンクリート舗装では、供用開始後の交通荷重による繰り返し作用や地盤沈下などで破損した場合に補修が必要となる。この際の補修工法として、スチールファイバーを混入させたコンクリート(SFRC)を用いた床版増厚工法やオーバレイ工法が実施されている。これは、既設コンクリート上に新設コンクリートを敷設するものである。
上記の工法にあっては、既設コンクリートと新設コンクリートとを一体化させ、補修後にこれらを一体挙動させることが構造的に、また耐久性(寿命)の面からも重要である。そこで、既設コンクリートの表面あるいはコンクリート舗装表面を切削したあと、鋼球を打ちつけるショットブラスト処理を行い、その上に新設コンクリートをオーバレイして新しい表面あるいは舗装面を作り上げる方法がとられている(非特許文献1)。
また、高圧水を噴射するウォータージェットで既設コンクリート表面の脆弱部を除去するとともに凹凸面を形成し、さらにショットブラス卜処理で小さな凹凸面を形成して、既設コンクリートと新設コンクリート(オーバレイコンクリート)の接着をさらに高める工法が開発されている(特許文献1)。
既設コンクリートと新設コンクリート(オーバレイコンクリート)の接着を確実とするために、上記のようにショットブラストによる表面処理を施して凹凸面を形成するが、これだけでは十分な付着強度を得られない。そこで、特許文献1に記載の発明のようにウォータージェットを併用すればショットブラスト処理のみに比べると付着強度は高くなるが、施工に当たり多量の水が必要であるとともに、コンクリートガラ(既設コンクリートの破砕片)を含む廃水が多量に発生すること、オーバレイする前に処理表面を乾燥させるための作業が必要であることなど、従来の工法ではコストや施工時間の面で問題がある。
上記の問題に鑑み本願発明は、ウォータージェットの併用が必須ではなく、既設コンクリートと新設コンクリート(オーバレイコンクリート)の間の付着強度が高く、しかもコストや施工時間の面で優れた、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、既設構造物Cの表面C1に凹凸面を形成し、この凹凸面に接着剤Rを塗布し、その上にセメント混合物を敷設することにより、既設コンクリート上に前記セメント混合物を一体化して敷設できるオーバレイ工法であって、上記接着剤Rとしてエポキシ接着剤が用いられ、上記エポキシ接着剤は、水張り条件下での200万回疲労試験において強度低下が無く、圧縮強度50MPa以上、圧縮弾性係数1000MPa以上、曲げ強度35MPa以上、引張せん断強度10MPa以上で、JISK6857処理条件Eの暴露条件における残留引張強度が90%以上あるいは母材破壊するものであって、上記凹凸面への塗布量が0.4kg/m2以上とされことを特徴とする、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
なお、上記の語句「セメント混合物」とは、主にセメント、細骨材、水、混和剤が混合された「モルタル」と、主にセメント、細骨材、粗骨材、水、混和剤が混合された「コンクリート」のいずれも含む概念を示している(以下同じ)。本願発明では、上記従来の工法にて敷設する新設コンクリートに相当するものとして、このセメント混合物を用いる。
また、本願の請求項2に係る発明は、上記接着剤Rの上記凹凸面への塗布後、この接着剤Rが半固化状態にある条件下で上記セメント混合物を敷設するものであり、上記接着剤Rが半固化状態にある条件とは、ボンドのナット引張試験を行ったとすると、先付ナットNaと後付ナットNbの引き上げ力差が5N以下となる条件であり、上記ボンドのナット引張試験が、研掃済みの鉄板P1上に上記塗布量分の接着剤Rを塗布する接着剤塗布工程と、上記塗布工程の直後に、M6の亜鉛メッキを施したナットである先付ナットNaを上記鉄板P上に塗布された接着剤Rに下端面が接するように配置する先付ナット配置工程と、上記先付ナット配置工程から遅れて、上記先付ナットNaと同一の形状及び材質で構成された他のナットである後付ナットNbを、上記鉄板P1上に塗布された接着剤に下端面が接するように配置する後付ナット配置工程と、上記後付ナット配置工程の後、上記の先付ナットNa及び後付ナットNbを引き上げることによって上記の鉄板P1から剥がし、この際に要した引き上げ力を測定する引き上げ力測定工程とを有することを特徴とする、請求項1に記載の既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
なお、上記「既設構造物Cの表面C1」とは、既設構造物Cにおいて元から露出していた表面と、上記ショットブラストに先立って施工される切削加工などにより現れた表面のいずれも含む。
また、本願の請求項3に係る発明は、上記セメント混合物におけるセメントに対する骨材の質量比が0.7以上8.0以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項4に係る発明は、上記接着剤Rの塗布に当たって樹脂散布装置を用いるものであり、この樹脂散布装置は、移動体部1、噴射ノズル部2、制御部3、ミスト吸引部4を備えており、移動体部1は駆動輪11を備え、構造物Cの表面C1上を少なくとも一方向に移動可能とされており、噴射ノズル部2は、上記移動体部1の、移動方向における端部に設けられており、噴射口21から接着剤Rを噴射できるものであって、構造物Cの表面C1に平行であり、かつ、上記移動体部1の移動方向に交わる方向へと移動可能とされており、制御部3は、上記移動体部1及び噴射ノズル部2の移動を制御するものであり、ミスト吸引部4は飛散防止カバー4aを備えており、この飛散防止カバー4aが、上記噴射ノズル部2の噴射口21と上記構造物Cの表面C1との間の空間を覆うものであり、この飛散防止カバー4aには吸引口42aが開口されており、この吸引口42aが、集塵機5に連続する排気路Eの端部とされたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項5に係る発明は、上記樹脂散布装置の駆動輪11が、平行に設けられた二条の無限軌道輪(キャタピラー)が一組とされたものであり、上記移動体部1に、この移動体部1の移動方向と直交する方向に延びるようにしてノズル支持レール6,6が設けられており、このノズル支持レール6,6は支持構造体6aに設けられており、上記支持構造体6aが、3本の横構造材が縦断面視にて三角形状に配位され、かつ、上記の各横構造材がトラス材で連結されたトラス構造を有するものであり、上記ノズル支持レール6,6に沿って移動可能な横移動ベース部7が設けられており、この横移動ベース部7は、四節リンク構造を有するリンク部72を有し、このリンク部72に設けられたノズル支持部73が上下動可能とされており、上記ノズル支持部73には、上記噴射ノズル部2と上記飛散防止カバー4aとが取り付けられたことを特徴とする、請求項4に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項6に係る発明は、上記樹脂散布装置の飛散防止カバー4aが、内周面の横断面形状が円形とされた側面部43aを有しており、上記飛散防止カバー4aと一体に、上記排気路Eを有する吸引管42が設けられており、この吸引管42が上記吸引口42aを有しており、この吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記吸引口42aにおける、上記側面部43aの径方向Dを基準とした角度θが、径外側を起点として80°〜95°の範囲にあることを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項7に係る発明は、上記樹脂散布装置の飛散防止カバー4aが、内周面の横断面形状が円形とされた側面部43aを有しており、上記飛散防止カバー4aと一体に、上記排気路Eを有する吸引管42が設けられており、この吸引管42が上記吸引口42aを有しており、この吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線と一致することを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項8に係る発明は、上記樹脂散布装置の吸引管42が、飛散防止カバー4aの中心軸を挟んで、軸対称に二箇所以上設けられたことを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項9に係る発明は、上記樹脂散布装置の飛散防止カバー4aが、外筒部43と、この外筒部43の内部に設けられた内筒部44とを有しており、上記吸引口42aが、上記外筒部43と内筒部44との間に設けられたものであって、上記外筒部43と内筒部44との間であり、上記吸引口42aの下方に、案内羽根45が設けられており、この案内羽根45が、上記吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aと平行に設けられたことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
また、本願の請求項10に係る発明は、上記樹脂散布装置の噴射ノズル部2が、移動範囲における一端から移動を開始して同他端で停止し、上記噴射ノズル部2の移動の際にのみ接着剤Rの噴射がなされ、上記移動体部1が、噴射ノズル部2の移動中には停止し、噴射ノズル部2が上記他端で停止した後には、既に接着剤Rを散布した範囲とは逆方向へと移動するものであり、上記制御部3にあらかじめ入力された制御パターンにより、上記の動作が繰り返して自動制御されることを特徴とする、請求項4〜9のいずれかに記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法を提供する。
本願発明に係る工法により、新設コンクリート(セメント混合物)の既設コンクリートとの付着強度を従来工法に比べて大幅に高めることができる。また、ウォータージェットの併用が必須ではないため、コンクリートガラの発生を極力減らすことができる。これらにより、既設コンクリートと一体化した耐久性に富んだ新しい舗装を構築できる。
そして、専用の樹脂散布装置を使用した場合にあっては、円滑な施工が可能である。
以下、本願発明を実施の形態の一例をとりあげつつ説明する。図1は本例にて用いられる樹脂散布装置の側面図であり、図2は同平面図である。図4は飛散防止カバーを示す。図7は施工方法を示す。
なお、以下説明における方向の表記は、図1上の左方を「前方」とし、同右方を「後方」とする。また、図2上の左方を「左方」とし、同右方を「右方」とする。
なお、本願発明において樹脂を散布する対象である構造物Cの表面C1は、水平面でも傾斜面でも良い。また、樹脂散布装置の移動体部1を重力に抗しつつ構造物Cの表面C1との位置関係を保つことができるものであれば、垂直面やそれに近い急な傾斜面であっても良い。また、既設構造物Cの表面C1は平坦面であっても良いし、元から凹凸を有する粗面であっても良い。
本願発明に係る工法では、敷設する(オーバレイする)セメント混合物の既設コンクリートへの接着を確実とするために、既設構造物におけるコンクリート舗装の表面部、特に表面脆弱部に対して、例えばショットブラストで表面処理を行うか、あるいは切削加工を行ったあとに例えばショットブラストで表面処理を行って凹凸面を形成する。このように形成された凹凸面にエポキシ接着剤を塗布し、この接着剤が接着効果を有している条件下(詳細は後述する)で、その上にセメント混合物を敷設して一体化する。こうすることで、必要な場合のみに既設コンクリートを切削すれば良いため、発生するコンクリートガラは少量となり、従来のウォータージェットを用いた場合のように、乾燥のための処理も必要ない。
次に、本願発明に係る工法を工程順に示す。まず、既設コンクリート舗装の表面に例えばショットブラストにより凹凸面を形成する。既設コンクリート表面に軽度のひび割れ等の破損部分がある場合には、その部分を切削除去したあとにショットブラストを施す。なお、ショットブラストでは、粒径2mm程度の鋼球等のショット材料を上記表面に打ちつけて凹凸面を形成し、ショット材料及び研掃によって発生するダストは吸引処理される。
ここで、本願発明における「ショットブラスト」とは、多数の固体を対象面に衝突させ、これら固体が衝突する際の衝撃力によって、対象面を削り取る処理を言う。よって、ショット材料の素材及び大きさは上記例示したものに限定されるものではない。
なお、凹凸面の形成は、上記ショットブラストに限らず、例えばコンクリート舗装の表面部に、刃物などの研磨手段を当てることによっても良い。また、場合によっては、従来のようにウォータージェットを併用しても良い。
その後、上記のように形成された凹凸面に対して、エポキシ接着剤を専用機(後述する樹脂散布装置)で噴射塗布する。なお、本工法で用いるエポキシ接着剤は、水張り条件下での200万回疲労試験において強度低下が無く、圧縮強度50MPa以上、圧縮弾性係数1000MPa以上、曲げ強度35MPa以上、引張せん断強度10MPa以上で、JISK6857処理条件Eの暴露条件における残留引張強度が90%以上あるいは母材破壊するものとする。
また、化学的組成としては、主剤がビスフェノール系エポキシ樹脂、硬化剤が変性脂肪族ポリアミンからなるものが望ましいが、その他の化学的組成からなるものであっても良い。
そして、上記のようにエポキシ接着剤を凹凸面に塗布した上に、アジテータ車によって運搬された生コンクリートなどのセメント混合物を打込んで新たなセメント混合物による表層を形成する。ただしこのセメント混合物の打込みについては、接着剤の塗布後、この接着剤Rが半固化状態にある条件下、つまり、ボンドのナット引張試験を行った場合において、接着剤を塗布した直後に設置したナットを所定時間に引き上げる力(先付引上げ力)と接着剤を塗布してから所定時間後に設置したナットを引き上げる力(後付引上げ力)との差が5N以下、より望ましくは4N以下となる条件下で行う必要がある。
敷設する(オーバレイする)セメント混合物の配合は、下記のようなコンクリートが一例として挙げられる。なお、本願発明で用いられるセメント混合物の配合はこれに限定されるものではない。
スランプ:6.5±1.5cm、空気量:4.5±1.5%、W/C=47%、s/a=44.4%
各材料の単位量(kg/m3)の一例:W=157kg、C=334kg、S=797kg、G=1030kg、AE減水剤=C×0.7%
設計基準曲げ強度:5.0N/mm2
(W:水量、C:セメント量、S:細骨材量、G:粗骨材量、W/C:水/セメント比(質量比)、s/a:細骨材率(骨材全体に占める細骨材の体積比))
ここで、上記ボンドのナット引張試験は、特開2007−240215号公報に記載された試験方法を用いる。ただし、本願における試験は上記公報に記載された模擬鋼床版容器を用いず、平板状の鉄板Pを用いて行う。ちなみにここでは、厚さ9mm、縦横300mmのSS400製の平板を用いた。
図8は、試験体となるナットNを示しており、下記のように引き上げ力を測定する際には、このナットNのねじ穴N1に、同径のボルト軸B1を有するアイボルトBがねじ込まれる。このように、試験体としてナットを用いることで、汎用品が安価に使用でき極めて効率的に試験を行うことが可能である。また、このようにナットを用いた試験は、樹脂舗装技術協会から提案されている「ナット引張り試験」においても、樹脂系滑り止め舗装の施工後の交通開放の可否が判断され、多くの実績を有しており、信頼性の高い試験方法でもある。
次に、この試験の実施手順について説明する。図9は、当該試験方法の手順を示す図である。
(1)接着剤塗布工程
図9(a)に示す、表面を研掃済みとした鉄板Pの当該表面に、図9(b)のように接着剤Rを、主剤と硬化剤とを練り混ぜた後に塗布する。単位面積当たりの塗布量は、凹凸面への塗布量と等しくする。ただし、塗布量0.4kg/m2〜1.4kg/m2の範囲ではナットの引き上げ力に実質的な差は出ないため、前記範囲内での塗布量の差は許容できる。
(2)先付ナット配置工程
上記(1)の塗布工程の直後に、図9(c)に示すように、先付ナットNaを、接着剤Rを塗布した鉄板P上に配置する。先付ナットNa及び下記の後付ナットNbとしては、サイズがM6の亜鉛メッキを施した鋼製ナットを使用する。また、この配置は塗布された接着剤Rに先付ナットNaの下端面が接するようになされる。
(3)後付ナット配置工程
上記(2)の先付ナット配置工程から遅れて、先付ナットNaと同一の形状及び材質で構成された他のナットである後付ナットNbを、上記先付ナットNaと同様、図9(d)に示すように、接着剤を塗布した鉄板P上に配置する。
(4)引き上げ力測定工程
上記(3)の後付ナット配置工程の後に、先付ナットNa及び後付ナットNbを鉄板P1から剥がし、この際に要した引き上げ力を測定する。この引き上げ力の測定は、先付ナットNa及び後付ナットNbの各々に、図8で示したアイボルトBをねじ込み、このアイボルトBのフック部分に吊秤Sなどの測定手段を取り付けてアイボルトBを引き上げ、各ナットNa,Nbが剥がれた際の最大引き上げ力を測定する。
先付ナット配置工程と後付ナット配置工程との間の経過時間に対する後付ナットNbの引き上げ力の変化を測定するため、上記(1)から(4)の工程を、上記経過時間を変えて複数回繰り返す。
ただし、測定の効率を上げるため、上記(2)の先付ナット配置工程では、上記経過時間に対する引き上げ力の測定回数分に対応した数のナットNを配置しておき、測定すべき経過時間が経過する度に、上記のナットNを後付ナットNbとして、上記(3)後付ナット配置工程及び上記(4)引き上げ力測定工程を繰り返しても良い。
また、引き上げ力の測定値の信頼性を高めるため、一つの上記経過時間に対して各先付ナットNa及び後付ナットNbの組を複数配置しておき、各組について測定される複数の試験体に係る引き上げ力の値の平均値を算出し、この平均値を上記経過時間における引き上げ力と評価しても良い。
上記のようにしてボンドのナット引張試験を行うが、この試験は実際の施工現場で行っても良いし、施工現場と同条件にてあらかじめなされても良い。つまりこの試験は、本願発明において施工現場での実施は必須ではない。
また、現実の施工にあっては、施工現場周囲の温度、風速を規定しておき、その条件下で上記試験結果を満たす、接着剤Rの塗布後の経過時間を一目で確認できる一覧表や計算式を作成して用いても良い。
次に、各環境温度下にて、上記ボンドのナット引張試験によるナット引上げ力とセメント混合物の付着強度を測定した結果を表1に示す。なお、上記(4)引き上げ力測定工程を行った経過時間は、主剤と硬化剤を混合した時刻を基準とした経過時間で、表中のNo.3が15分、No.4が30分、No.5が60分、No.6が180分、No.7 が330分、No.8が375分、No.9 が180分、No.10が240分、No.11が270分である。
この測定は次の手順で行った(図10参照)。まず、厚さ50mmの既設コンクリート平板を作製してその上面に接着剤Rを塗布し、更にその上にセメント混合物を50mmの高さで打ち重ねる。そして所定期間の養生後、コアマシンで既設コンクリート部に達するように直径100mmの環状の切り込みを入れる。そして、この環状の切り込み部分におけるセメント混合物の上面に接着板を取り付け、建研式引張試験機で毎分6N/mm2の載荷速度で引っ張ることにより付着強度を測定した。
この測定のために用いた既設コンクリートとセメント混合物(コンクリート)の仕様は同一であり、以下の通りとした。
スランプ:8.0±2.5cm、空気量:4.5±1.5%、W/C=38.4%、s/a=41.3%
各材料の単位量(kg/m3):W=173kg、C=451kg、S=686kg、G=998kg、AE減水剤=C×1.0%
(W:水量、C:セメント量、S:細骨材量、G:粗骨材量、W/C:水/セメント比(質量比)、s/a:細骨材率(骨材全体に占める細骨材の体積比))
表中における先付引上げ力とは、上記のように接着剤Rを塗布した直後に設置した先付ナットNaを引き上げる際に要した力で、同後付引上げ力とは接着剤を塗布してから所定時間後に設置した後付ナットNbを引き上げる際に要した力である。敷設する(オーバレイする)セメント混合物の付着強度は、先付引上げ力及び後付引上げ力には関係ないが、後付引上げ力と先付引上げ力との差に依存する。すなわち、先付引上げ力と後付引上げ力の差が5Nを超える場合(表中のNo.8,10,11)では、上記セメント混合物と接着剤界面で破壊してしまい付着強度は低いが、引上げ力の差が5N以下(表中のNo.3-7,9)であれば母材破壊しており、付着強度が十分に得られている。また、前述したことは環境温度の影響を受けない。ナット引張試験における先付け引き上げ力と後付引き上げ力の差が5N以下のときに上記セメント混合物を打ち込むことが効果的であるといえる。引き上げ力差5N以下となる条件下で上記セメント混合物の打込み施工を行うためには、人力施工で接着剤の塗布を行うことは時間的に難しく、また、施工する作業者の個人差から接着剤を均質に塗布することが難しいため、専用の塗布機が必要となる。
ここで、敷設する(オーバレイする)セメント混合物の組成と付着強度との関係についても言及しておく。上記セメント混合物におけるセメントに対する骨材の質量比は0.7以上8.0以下とすることが望ましい。これは、骨材と接着剤Rとの接触面積が大きくなるほど、付着強度が高くなるからであると考えられる。なお、上記の上限値は、骨材間を結合するのに最低限必要なセメントの比率により決まるものである。
このことについての実験を行なったので以下に説明する。敷設する(オーバレイする)セメント混合物としては、モルタルとコンクリートとを用いた。本実験にて配合した細骨材(砂)は表2に示すような粒径分布を有するのものである。
そして、本実験で用いたセメント混合物における、セメントに対する骨材の質量比S/C(骨材・セメント質量比)は、0(セメントペースト)、0.1、0.5,0.75、1、1.5、2、2.4、4.4、5.5の10種である。このうちS/Cが0.1から4.4までのものはセメントと細骨材とが混合されたモルタルであり、S/Cが5.5のものは、セメントと細骨材と粗骨材とが混合されたコンクリートである。このコンクリートの細骨材率(s/a)は44.4%である。
上記10種のセメント混合物を用いて、以下の要領で円柱状の供試体を作成し、荷重測定して付着強度を算出した。
この測定の供試体における既設コンクリート部分は、直径100mmのコンクリート製円柱をまず作製し、その後、この円柱を高さ50mmに切断したものとした。この既設コンクリート部分を直径100mmの型枠内に配置し、上記による切断面に接着剤Rを塗布する。その後、塗布された接着剤Rの上からセメント混合物を50mmの高さで打設し、直径100mm、高さ100mmの供試体を得た。この供試体を7日以上養生した後に荷重測定を行った。
荷重測定は、上記供試体の軸方向における両端部分に治具を装着し、軸方向に毎分0.4N/mm2の載荷速度で引っ張って行った。これにより測定された最大荷重を破断時の断面積で除して付着強度を求めた。
本実験の結果を表3に示す。S/Cが0.5以下の場合と0.75以上の場合で付着強度に顕著な差が現れることが確認できた。
そして、S/Cが4.4のものと5.5のものとの間で付着強度の差がほとんどなかった。また、本願の発明者らは、上記とは別に細骨材率を40〜50%の間で変化させて付着強度を測定してみたところ、ほとんど差が出ないという結果を得ている。これらのことから、本実験の結果はモルタルの場合にもコンクリートの場合にも当てはまるものとと考えられる。
次に、本願発明で用いられる樹脂散布装置について例を挙げて説明する。これは、図1等に示すように、移動体部1、噴射ノズル部2、制御部3、ミスト吸引部4を備えている。
移動体部1は本体フレーム12に駆動輪11を備えたものであり、既設構造物Cの表面C1上を少なくとも一方向に移動可能とされている。ここで示す例(以下「本例」と表記)における駆動輪11は、図2に示す電動機13の動力が減速機14及び駆動軸15を介して伝達されることにより駆動されるもので、平行に設けられた二条の無限軌道輪(キャタピラー)が一組とされたものであり、前進・後進が可能となっている。この無限軌道輪(キャタピラー)は直進性に優れるという利点を有しており望ましいが、駆動輪11をこのような無限軌道輪(キャタピラー)とはせずに、一般的な車輪としても良い。また、本例ではゴムキャタピラーが用いられているが、金属製のキャタピラーが用いられたものであっても良く、種々に変更し得る。
また、構造物Cの表面C1が垂直面やそれに近い急な傾斜面である場合、例えば構造物Cの表面C1に沿うようにして設けられた、仮設のレールあるいはラックに沿い、移動体部1を重力に抗した状態で移動させることができる車輪や歯車を移動体部1に備えたものとすることで適用が可能である。
移動体部1には他にアーム部16及び集塵機5が設けられている。これらの機能については後述する。
移動体部1には、移動体部1の移動方向と直交する方向に延びるようにしてノズル支持レール6が設けられている。本例に係るノズル支持レール6は図2に示すように、移動体部1の後端部に左右方向に延びる支持構造体6aに設けられたものである。この支持構造体6aは、3本の横構造材(本例では構造用鋼管)が縦断面視にて三角形状に配位され(図1参照)、かつ、上記の各横構造材がトラス材で連結されたトラス構造を有することにより、軽量でありながら高い剛性を有している。そのため、施工範囲の左右方向寸法に応じた寸法で支持構造体6aを形成することが容易であり、これにより大規模施工が可能である。なお、本例に係る支持構造体6aの左右方向寸法は4.5mとされている。
この支持構造体6aは、エレバーターハンドル61を回転させることにより、構造物Cの表面C1からの高さを変更することができるようになっており、これにより、噴射ノズル2を最適な位置とすることができる。
上記のノズル支持レール6には横移動ベース部7が設けられている。この横移動ベース部7は、ノズル支持レール6に沿って回転する車輪71、四節リンク構造を有するリンク部72、噴射ノズル部2を取り付ける部分であるノズル支持部73、駆動用電動機74、ギアボックス75を備えている。リンク部72は電動シリンダーが備えられたことにより上下動可能となっており、構造物Cの表面C1に対して適切な高さに噴射ノズル部2を配置することができる。ギアボックス75の回転軸の先端には駆動用ギア(図示していない)が設けられており、駆動用電動機74の動力は、このギアボックス75を介してこの駆動用ギアに伝達される。駆動用ギアは、ノズル支持レール6に平行に移動体部1に設けられたラックに噛み合うものであって、これにより駆動用電動機74の回転に伴い、横移動ベース部7をノズル支持レール6に沿って左右方向に移動させることができる。
本例では、ノズル支持レール6の1組につき1台の横移動ベース部7が設けられているが、2台以上の横移動ベース部7が設けられたものとし、各々の横移動ベース部7毎に施工範囲を分担するものとしても良い。
また、本願発明においてこのノズル支持レール6は必須のものではなく、横移動ベース部7が、移動体部1の移動方向(本例では前後方向)に交わる方向(本例では左右方向)へと移動可能とされたものであれば良い。一例として、移動体部1にアーム、チェーン、ベルトによって支持されることが考えられるが、その他種々の手段を採用し得る。
噴射ノズル部2は、上記のようにノズル支持レール6を介して、移動体部1の移動方向における端部(本例では後端部)に設けられている。具体的には、上記横移動ベース部7のノズル支持部73に、噴射口21が下方を向くようにして取り付けられている。この噴射ノズル部2は噴射口21から接着剤Rを噴射できるものであって、ノズル支持レール6に沿って上記横移動ベース部7が移動することにより、構造物Cの表面C1に平行であり、かつ、上記移動体部1の移動方向に交わる方向へと移動可能とされている。つまり、噴射ノズル部2はこのノズル支持レール6に沿って移動する。
本例における噴射ノズル2から噴射される接着剤Rの噴射パターンSPは、図3に示すように前後方向に細長いものとされている。図示のように、各噴射パターンSPは、前後方向両端部において先細りの形状となっており、接着剤Rの噴射量が少なくなる。よって、施工範囲全体で接着剤Rを均等に散布するために、後述のように、接着剤Rの噴射パターンSPの前後方向の両端部がオーバーラップするようにして順次施工する。
噴射ノズル部2には樹脂供給ホース8が接続されている。本例における樹脂供給ホース8は、樹脂散布装置とは別に施工場所の周辺に配置された高圧ポンプ車P(図示しない)に接続されており、この高圧ポンプ車Pから、圧縮空気及び接着剤Rが供給される。本例では接着剤Rとして、主剤と硬化剤の二液式のものが用いられるため、二本の樹脂供給ホース8が噴射ノズル部2に接続されて二液が別々に供給される。そして、噴射ノズル部2の内部で圧縮空気と接着剤Rとが混合された状態で噴射口21から構造物Cの表面C1に高圧で噴出される。なお、本例のように、高圧ポンプ車Pから接着剤Rなどを供給するものではなく、移動体部1に樹脂タンク、コンプレッサー、ポンプの一式が搭載されたものであっても良い。
上記噴射ノズル部2には、接着剤Rの流路を開閉できる開閉弁22が備えられている。この開閉弁22は、本例では後述の制御部3によって制御されており、上記噴射ノズル部2が上記ノズル支持レール6に沿って移動している際にのみ開放される。具体的には、図7(A)に示す、区間W1〜W5の各々である。この開閉弁22は、移動体部1に設けられたコンプレッサー(図示しない)により供給された圧縮空気により操作される。このように開閉弁22が噴射ノズル部2の移動中にのみ開放されることにより、図7に示すように、一方向への施工区間と逆方向への施工区間とを後方にずらせつつ施工範囲をカバーしていく際において、各施工区間の端部において接着剤Rの散布量が多くなることがなく、均一な施工が可能である。
噴射ノズル部2は、種々の形態で実施可能である。例えば、1台の横移動ベース部7に複数の噴射ノズル部2〜2が設けられたものであっても良い。また、一つの噴射ノズル部2に複数の噴射口21が設けられたものであっても良い。複数の噴射ノズル部2〜2が設けられた場合においては、横一列に噴射口が配列されたものであっても良いし、平面視において多角形状に配列されたものであっても良い。また、噴射口21から噴出された接着剤Rの噴射パターンについても、本例のもの以外に、円形、楕円形、長円形など、種々な形状とすることができる。
本例においては、移動体部1に制御部3が設けられている。この制御部3が、移動体部1の無限軌道輪(キャタピラー)11、横移動ベース部7の駆動用電動機74、噴射ノズル部2の開閉弁22を統一的に制御することにより、均一に接着剤Rを散布することができ、高い精度の施工が可能である。この制御部3にはマイクロコンピュータ(「プログラム・コントローラー」と称する)が内蔵されており、あらかじめ入力された制御パターンにより、上記各部を自動制御(全自動プログラム運転制御)できる。この制御部3は上記マイクロコンピュータの他に、各部を操作するためのスイッチ、インバータ、リレーなどを備えている。なお、調整・位置合わせの際や本装置の移動時においては、上記制御部3による制御を切って、手動操作を行うこともできる。
上記制御パターンの入力は、制御部3と別体であるパーソナルコンピュータ上で専用のソフトウェアを用いて作成した制御パターンを、上記マイクロコンピュータに転送することにより行われる。具体的な運転制御の内容については後述する。
ミスト吸引部4は、移動体部1に設けられた集塵機5が構造物Cの表面C1上に定着しなかった接着剤Rの飛沫(ミスト)を吸い出して回収し、樹脂散布装置の周囲に飛散させないために設けられる。
このミスト吸引部4は飛散防止カバー4aを備えており、この飛散防止カバー4aが噴射ノズル部2の噴射口21と構造物Cの表面C1との間の空間を覆うものである。飛散防止カバー4aの内周面の横断面形状は円形とされている。本例における飛散防止カバー4aの形状は、図4に示すように、上方が略円錐形状で下方が円筒形状とされ、内部が中空とされたものである。形状はこれに限られず、円筒形状(図5参照)、円錐形状、半球形状、釣鐘形状など、種々の形状で実施することができる。
飛散防止カバー4aの上部には取付ベース41が設けられており、この取付ベース41は横移動ベース部7のノズル支持部73に固定されている。そして、飛散防止カバー4aの上部に噴射ノズル部2が貫通しており、噴射ノズル部2の噴射口21が飛散防止カバー4a内に設けられている。
また、本例における飛散防止カバー4aの下端部には、ゴム板からなるスカート部46が設けられており、構造物Cの表面C1との間に生じる隙間ができるだけ小さくなるようにされている。本例のスカート部46の下端部分は、図示のように周方向に細かく分割されており、施工時に構造物Cの表面C1をこすった場合であっても抵抗が小さくなるようになされている。
飛散防止カバー4aの内面には、図4(A)に示すように吸引口42aが開口されている。この吸引口42aが、図1に示すように移動体部1に設けられた集塵機5に接続された排気路Eの端部とされている。本例では、飛散防止カバー4aと一体に吸引管42が4箇所設けられており、これら4箇所の吸引管42の各々に4本のダクトホース47が取り付けられている。そして、図2に示すように、本体フレーム12に対して移動可能とされたアーム部16の先端に集合チャンバー48が設けられており、上記4本のダクトホース47がこの集合チャンバー48にてまとめられ、この集合チャンバー48と集塵機5とが1本の連結ホース49により結ばれている。本例における上記の排気路Eとは、飛散防止カバー4aから、ダクトホース47、集合チャンバー48、連結ホース49の各々を経て集塵機5に至る空気流路である。
上記のアーム部16は、本体フレーム12に対して回動可能とされた基端側アーム16aと、上記基端側アーム16aに対して回動可能とされた先端側アーム16bとを備えたものであり、各アーム16a,16bの回動可能な範囲内において上記集合チャンバー48を移動させることができ、排気路Eを横移動ベース部7の左右方向への動作に追随させることができる。これにより施工範囲内のどの位置に飛散防止カバー4aが存在していても、後述する接着剤Rの飛沫の回収を確実になすことができる。
吸引口42aは、飛散防止カバー4aの内部空間を浮遊する、構造物Cの表面C1上に定着しなかった接着剤Rの飛沫を吸い出し、飛散防止カバー4aの内部を施工中において負圧に保つためのものであって、この飛沫は集塵機5で回収される。これにより、施工中においても樹脂散布装置から、構造物Cの表面C1上に定着しなかった接着剤Rの飛沫が飛散してしまうことがほとんどない。飛散防止カバー4aにて吸引口42aが設けられる位置は特に問わないが、下記のように旋回流Fを発生させることができるような位置関係に設けることが望ましい。
本例における吸引管42は、図4に示すように、飛散防止カバー4aのうち上方である円錐形状部分の下端部分に沿うようにして、斜め上方約40°の角度で突出して設けられている。この吸引管42のうち、少なくとも根元部分(飛散防止カバー4aとの接続部分)における突出方向は、図6(A)に示すように、吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線と一致するものとされている。
なお、図6(B)(C)は、他の例として飛散防止カバー4aを円筒状とした場合を示しており、そのうち図6(B)は、吸引管42が円筒状体の側面部43aに設けられた場合を示し、図6(C)は、図5に示すように吸引管42が円筒状体の上端面43bに設けられた場合を示している。いずれの場合においても、本例と同様、吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線と一致するものとされている。
上記のように吸引管42が構成されたことにより、図4に示すように、飛散防止カバー4aの内部に、側面部43aの内周面に沿うようにして旋回流Fを発生させることができ、効果的に飛散防止カバー4aの内部空間に存在する飛沫を吸い出すことができる。
ここで本願発明は、本例のように軸線Aの水平方向成分が上記側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線と一致するものに限らず、この軸線Aの水平方向成分が、吸引口42aにおける、上記側面部43aの径方向Dを基準とした角度θが、径外側を起点として80°〜95°の範囲にあれば、上記と同様に旋回流Fを発生させることができるため許容される(図4(B)参照)。なお、このことを上記仮想面Xの水平方向の接線を基準として言い換えると、吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線に対して、上記側面部43aの径内方向寄りに5°、同径外寄りに10°の振れまでは許容されることとなる。
なお、吸引管42は、本例では飛散防止カバー4aの外部にのみ突出するものであるが、逆に飛散防止カバー4aの内部にのみ突出して設けても良く、また、飛散防止カバー4aの内部と外部とを貫通するものとしても良い。
上記のように吸引管42を設けただけでも飛散防止カバー4a内に旋回流Fを発生させることが可能であるが、本例の飛散防止カバー4aでは、図4に示すように、外筒部43と、この外筒部43の内部に設けられた内筒部44とを有した二重構造とされており、吸引口42aが、外筒部43と内筒部44との間に設けられたものであって、外筒部43と内筒部44との間であり、吸引口42aの下方に、案内羽根45が設けられたものとされている。
この案内羽根45は、吸引管42の吸引口42aにおける軸線Aと平行に設けられている。このようにして案内羽根45が設けられたことにより、飛散防止カバー4a内の空気がこの案内羽根45に導かれるため、旋回流Fがより発生しやすく、吸引効率を高めることができる。
なお、場合によっては、この吸引管42の根元部分の飛散防止カバー4aに対する突出方向について、吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が上記の条件を満たさないものであり、専ら上記案内羽根45により旋回流Fを発生させるものであっても良い。
本例では図4(B)に示すように、この吸引管42が、飛散防止カバー4aの中心軸(垂直方向の仮想軸)を挟んで、軸対称に4箇所設けられている。つまり、周方向に90°毎に吸引管42が設けられている。このように吸引管42を複数設けることにより、上記の旋回流Fをより効果的に発生させることができ、飛沫の吸い出しをより効率的に行うことができる。なお、この吸引管42は飛散防止カバー4aの一つ当たりに、2箇所(図5参照)や5箇所以上に設けても良い。
ここで、本装置に関連する従来技術について説明しておく。このような、構造物の表面上に液状樹脂を散布するための樹脂散布装置として、例えば特開平5−33310号公報に記載された発明「排水性舗装の強化剤散布装置」が存在する。
この発明は、自走式トラクタに、樹脂液主剤及び硬化剤を混合して散布する樹脂混合物散布装置と硅砂散布装置とを設け、両装置の散布ノズルを横行装置の横行台に設けた装置を提供するものである。この構成により、舗装面における砕石がはがれて飛散するのを防止し、排水性、吸音性が優れ、滑り止めを兼ねた排水性舗装を得ることができる。
ところがこの装置では、自走式トラクタの制御と各散布装置の制御とが統一して行われていなかったため、高い精度での施工を行うことが難しかった。そして、この装置は、道路上に樹脂などを散布するものであって、装置自体には樹脂などの飛散防止の措置が特に取られていなかった。
これに対し、施工場所によっては樹脂が周囲に飛散すると困る場合がある。例えば空港施設における路面に対して施工を行う場合、航空機に樹脂が誤って付着してしまった場合、航空機の運行上深刻な危険を及ぼす可能性があり、施工者に補償が求められる恐れがあった。
このように、樹脂の飛散が厳しく制限される施工場所においては、施工範囲の周囲に仮設壁を設けたり、周囲に養生シートを敷き詰めたりしなければならず非効率である。そして、本来の施工範囲の周辺まで上記のような対策を施さなければないため、施工場所における日常業務に影響が及ぶことがある。
このような問題に対して本願発明で用いられる樹脂散布装置は、吸引口42aが開口された飛散防止カバー4aを備え、この吸引口42aが集塵機5に連続する排気路Eの端部とされたことにより、構造物Cの表面C1上に定着しなかった接着剤Rの飛沫(ミスト)を吸い出し、この飛沫を集塵機5で回収することができる。このことから、周囲に樹脂を極力飛散させることがない。
更に、本願発明で用いられる樹脂散布装置は、排気路Eを有する吸引管42が設けられ、この吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、上記吸引口42aにおける、上記側面部43aの径方向Dを基準とした角度θが、径外側を起点として80°〜95°の範囲にあることにより、飛散防止カバー4aの内部に旋回流Fを発生させることができ、効果的に飛散防止カバー4aの内部空間に存在する飛沫を吸い出すことができる。
あるいは、排気路Eを有する吸引管42が設けられ、この吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aの水平方向成分が、側面部43aの内周面と同心である仮想面Xの水平方向の接線と一致することにより、飛散防止カバー4aの内部に旋回流Fを発生させることができ、効果的に飛散防止カバー4aの内部空間に存在する飛沫を吸い出すことができる。
あるいは、吸引管42が、飛散防止カバー4aの中心軸を挟んで、軸対称に二箇所以上設けられたことから、飛沫の吸い出しをより効率的に行うことができる。
そして、本願発明で用いられる樹脂散布装置は、上記に加え、飛散防止カバー4aが、外筒部43と、この外筒部43の内部に設けられた内筒部44とを有し、上記外筒部43と内筒部44との間であり、吸引口42aの下方に案内羽根45が設けられており、この案内羽根45が、上記吸引管42の上記吸引口42aにおける軸線Aと平行に設けられたことにより、飛散防止カバー4a内の空気がこの案内羽根45に導かれて旋回流Fがより発生しやすく、吸引効率を高めることができる。
上記より、本願発明で用いられる樹脂散布装置は、特開平5−33310号公報に記載された発明の有する問題点を克服することができている。
次に、図7とともに、本例に係る樹脂散布装置を用いた接着剤Rの塗布方法について説明する。本装置は手動制御することも可能ではあるが、本願発明に係る工法において必要な、均一な接着剤Rの塗布量を実現するために、通常は制御部3にあらかじめ入力された制御パターンにより、動作が自動制御(全自動プログラム運転制御)される。
まず、施工開始前に各部の調整を行う。本装置を手動にて施工開始位置に設置する。そして、ノズル支持レール6が構造物Cの、上記のように凹凸面が形成された表面C1と平行になるように、エレベーターハンドル61を回転させて左右の高さを調節する。次に、リンク部72を上下動させて噴射ノズル部2及び飛散防止カバー4aの高さを調節する。そして、ノズル支持レール6上での噴射ノズル部2の左右方向の移動範囲、つまり、接着剤Rの噴射がなされる区間の始点及び終点を設定する。この設定は、制御部3上にて、あるいはノズル支持レール6に取り付けられたクランプなどの位置を調整することによって行われる。
上記のように各部を調整した後、図7(A)に示すように装置の自動運転が開始される。制御部3に設けられた自動運転始動ボタンを操作担当者が押すことにより、上記噴射ノズル部2が、上記のようにあらかじめ設定された左右方向の移動範囲における一端から移動を開始し、一定速度で移動して同他端で停止する(図7における区間W1、W3、W5(W5は移動途中を図示)、なお、図中の実線は噴射ノズル2の軌跡を示す)。開閉弁22は上記のように噴射ノズル部2が移動する際にのみ開放され、噴射ノズル2が停止すると閉鎖される。開閉弁22が開放されている間は、噴射口21から構造物Cの表面C1に向けて接着剤Rの噴射がなされる。なお、噴射ノズル部2の移動速度は、目的の塗布量に応じ、制御部3において任意に調整しておくことができる。
移動体部1は、上記のように噴射ノズル部2が移動する際においては停止している。そして、この移動体部1が、噴射ノズル部2が上記他端で停止した後に前進する(図7における区間B1、B3、なお、図中の破線は噴射ノズル2の軌跡を示す)。つまり、移動体部1が、既に樹脂を散布した範囲とは逆方向に移動する。この際、図3に示したように、既に樹脂を散布した範囲における、噴射ノズル2の噴射パターンSP1と、下記のように次に樹脂を散布する範囲における、同噴射パターンSP2とが、わずかにオーバーラップするようにして移動体部1が前進し、施工範囲において均一に接着剤Rを散布することができる。なお、この際のオーバーラップ幅OWは、噴射幅SWである、噴射ノズル2の噴射パターンSPに関する、前後方向の両端部における接着剤Rの噴射量の減少をカバーし、前後方向において均一な噴射量となる距離とされる。
移動体部1が上記のように前進した後、噴射ノズル2が、上記他端から上記一端まで上記とは逆方向に一定速度で移動し、接着剤Rの散布がなされる(図7における区間W2、W4)。そして、移動体部1が再び前進する(図7における区間B2、B4)。
施工範囲の接着剤Rの散布が終了するまで、上記パターンの動作が自動的に繰り返し行われる。上記のように、この樹脂散布装置は、広い範囲を高い精度で施工可能である。
なお、本例では、移動体部1は、上記のように噴射ノズル部2が移動する際においては停止するように制御がなされているが、これに限らず、移動体部1と噴射ノズル部2が同時に移動し、斜め方向に接着剤Rが散布されるように制御されたものであっても良い。
ここで、本願発明に係る工法に応じて作成した、既設コンクリート舗装供試体にオーバレイしたセメント混合物(コンクリート)の付着強度を表4に示す。供試体は上記に説明したのと同じ要領で円柱状のものを作成し、上記に説明したのと同じ要領で、両端引張で荷重測定して付着強度を算出した。既設コンクリート供試体の表面をショットブラスト処理した場合(表4中のNo.1-2)では1.0〜1.5MPaの付着密度である。これに対してエポキシ接着剤を併用した場合(表4中のNo.3-9)では、塗布量0.4kg/m2ではショットブラスト処理のみ(同一投射密度としたもの)に仕べると2.6倍、塗布量0.7
kg/m2ではショットブラスト処理のみ(同一投射密度としたもの)に仕べると3倍であり、このことから塗布量0.4kg/m2以上、より好ましくは塗布量0.7kg/m2以上で十分な付着強度が得られることがわかる。塗布量0.2kg/m2の場合(表4中のNo.3)では付着強度は1.72MPaと小さく、エポキシ接着剤を使用してもその効果はほとんどない。接着剤の塗布作業を人力施工する場合、作業者の個人差から接着剤を均質に塗布することは難しく、部分的に塗布量が少ない箇所では十分な付着強度を得られないと思われる。塗布量0.7kg/m2以上(表4中のNo.5-9)では、塗布量を増やしても付着強度はほとんど変わらないことから、この強度付近がエポキシ接着剤を使用した場合の付着強度の限界と考えられる。逆に、接着剤の必要以上な多量の塗布はその分コストがかかるだけで、有益ではないとも言える。接着剤塗布後のダレ発生時の膜厚確保についての考慮や、コスト面との兼ね合いから、塗布量は2.0kg/m2以下とすることが望ましい。
次に、幅員3.5m、延長30mの既設コンクリート舗装において試験施工を行った。既設コンクリート舗装には、セメントと膨張材に対する水の質量比(W/B)を39%とした膨張コンクリートを用い、材齢8ヶ月で下記施工を行った。
まず、既設コンクリート舗装の表面を投射密度150kg/m2でショットブラスト処理(表5中のNo.1-3)、あるいは表面を20mm切削した後に投射密度150kg/m2でショットブラスト処理し(表5中のNo.4-6)、上記の樹脂散布装置を用いてエポキシ接着剤を塗布し、その上にセメント混合物(コンクリート)をオーバレイした。オーバレイ厚さは、表5中のNo.1-3では50mm、表5中のNo.4-6では70mmとした。
オーバレイしたセメント混合物(コンクリート)は以下の2種である。表5中のNo.1-2,5-6においては膨張コンクリートを用いた。仕様は以下の通りである。
スランプ(打ち込み直前):6.5±1.5cm、空気量(打ち込み直前):4.5±1.5%、W/B=40%、s/a=42.1%
各材料の単位量(kg/m3):W=162kg、C=385kg、EX=20kg、S=723kg、G=1030kg
設計基準曲げ強度:5.0N/mm2
(W:水量、C:セメント量、EX:膨張材量、S:細骨材量、G:粗骨材量、W/B:水/セメント・膨張材比(質量比)、s/a:細骨材率(骨材全体に占める細骨材の体積比))
また、表5中のNo.3-4においてはプレーンコンクリートを用いた。仕様は以下の通りである。
スランプ(打ち込み直前):6.5±1.5cm、空気量(打ち込み直前):4.5±1.5%、W/C=47%、s/a=44.4%
各材料の単位量(kg/m3):W=157kg、C=334kg、S=797kg、G=1030kg
設計基準曲げ強度:5.0N/mm2
(W:水量、C:セメント量、S:細骨材量、G:粗骨材量、W/B:水/セメント・膨張材比(質量比)、s/a:細骨材率(骨材全体に占める細骨材の体積比))
接着剤の塗布量については、150mm四方のポリエチレンシートに不織布を貼り付けた板を用い、この板を既設コンクリート舗装の接着剤を塗布する面における測定箇所(各4箇所)に置き、塗布前後の質量変化から塗布量を算出し、設定量との差を確認した。ただし、表5中のNo.3,6においてはこの塗布量の確認を行わなかった。
付着強度は、オーバレイ後8ヶ月で施工現場から直径100mm、高さ90mm(既設コンクリート部が45mm、オーバレイ部が45mm)の供試体を切り出し、その更に2ヵ月後に荷重測定を行って算出した。荷重測定は既に説明したのと同要領であり、上記供試体の軸方向における両端部分に治具を装着し、軸方向に毎分0.4N/mm2の載荷速度で引っ張って行った。これにより測定された最大荷重を破断時の断面積で除して付着強度を求めた。
接着剤の塗布量の測定結果及び付着強度の測定結果を表5に示す。いずれの測定箇所においても、塗布量は設定値に近く、樹脂散布装置によって接着剤を均質に散布でき、十分な付着強度が得られることがわかる。また、既設コンクリート舗装表面の切削の有無は付着強度にほとんど影響を与えないことがわかる。
上記のとおり、本願発明に係る工法により、ショットブラスト処理した凹凸面にエポキシ接着剤を塗布して、ボンドのナット引張試験による引き上げ力差が5N以下となる条件下でセメント混合物をオーバレイすることによって、セメント混合物の既設コンクリートとの付着強度を従来工法に比べて大幅に高めることができる。また、コンクリートガラの発生を極力減らすことができるとともに専用の樹脂散布装置を使用して円滑な施工が可能である。これらにより、既設コンクリートと一体化した耐久性に富んだ新しい舗装を構築できる。
本願発明で用いられる樹脂散布装置の一例を示す側面図である。 同樹脂散布装置の平面図である。 同樹脂散布装置における、液状樹脂の噴射パターンを示す概略図である。 同樹脂散布装置における飛散防止カバーを示し、(A)は側面図、(B)は平面図である。 他の例に係る飛散防止カバーを示す斜視図である。 上記樹脂散布装置における飛散防止カバーの吸引管の位置関係を示す概略図であり、(A)は一例、(B)(C)はその他の例であって、各図上段は側面視、同下段は平面視におけるものである。 上記樹脂散布装置を用いた施工方法を示す説明図であり、(A)は平面視におけるもの、(B)は側面視におけるものである。 本願発明のボンドのナット引張試験に使用される試験体等を説明する図である。 本願発明のボンドのナット引張試験の手順を示す図である。 付着強度の試験要領の説明図である。
符号の説明
1 移動体部
11 駆動輪
2 噴射ノズル部
21 噴射口
3 制御部
4 ミスト吸引部
4a 飛散防止カバー
42 吸引管
42a 吸引口
43 外筒部
43a 側面部
44 内筒部
45 案内羽根
5 集塵機
6 ノズル支持レール
6a 支持構造体
7 横移動ベース部
72 リンク部
73 ノズル支持部
A 軸線
C 構造物
C1 構造物の表面
D 側面部の径方向
E 排気路
R 液状樹脂
X 仮想面
θ 軸線の側面部の径方向を基準とした角度

Claims (10)

  1. 既設構造物(C)の表面(C1)に凹凸面を形成し、この凹凸面に接着剤(R)を塗布し、その上にセメント混合物を敷設することにより、既設コンクリート上に前記セメント混合物を一体化して敷設できるオーバレイ工法であって、
    上記接着剤(R)としてエポキシ接着剤が用いられ、
    上記エポキシ接着剤は、水張り条件下での200万回疲労試験において強度低下が無く、圧縮強度50MPa以上、圧縮弾性係数1000MPa以上、曲げ強度35MPa以上、引張せん断強度10MPa以上で、JISK6857処理条件Eの暴露条件における残留引張強度が90%以上あるいは母材破壊するものであって、
    上記凹凸面への塗布量が0.4kg/m2以上とされたことを特徴とする、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  2. 上記接着剤(R)の上記凹凸面への塗布後、この接着剤(R)が半固化状態にある条件下で上記セメント混合物を敷設するものであり、
    上記接着剤(R)が半固化状態にある条件とは、ボンドのナット引張試験を行ったとすると、先付ナット(Na)と後付ナット(Nb)の引き上げ力差が5N以下となる条件であり、
    上記ボンドのナット引張試験が、
    表面を研掃済みとした鉄板(P1)上に上記塗布量分の接着剤(R)を塗布する接着剤塗布工程と、
    上記塗布工程の直後に、M6の亜鉛メッキを施したナットである先付ナット(Na)を上記鉄板(P)上に塗布された接着剤(R)に下端面が接するように配置する先付ナット配置工程と、
    上記先付ナット配置工程から遅れて、上記先付ナット(Na)と同一の形状及び材質で構成された他のナットである後付ナット(Nb)を、上記鉄板(P1)上に塗布された接着剤に下端面が接するように配置する後付ナット配置工程と、
    上記後付ナット配置工程の後、上記の先付ナット(Na)及び後付ナット(Nb)を引き上げることによって上記の鉄板(P1)から剥がし、この際に要した引き上げ力を測定する引き上げ力測定工程とを有することを特徴とする、請求項1に記載の既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  3. 上記セメント混合物における、セメントに対する骨材の質量比が0.7以上8.0以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  4. 上記接着剤(R)の塗布に当たって樹脂散布装置を用いるものであり、
    この樹脂散布装置は、移動体部(1)、噴射ノズル部(2)、制御部(3)、ミスト吸引部(4)を備えており、
    移動体部(1)は駆動輪(11)を備え、構造物(C)の表面(C1)上を少なくとも一方向に移動可能とされており、
    噴射ノズル部(2)は、上記移動体部(1)の、移動方向における端部に設けられており、噴射口(21)から接着剤(R)を噴射できるものであって、構造物(C)の表面(C1)に平行であり、かつ、上記移動体部(1)の移動方向に交わる方向へと移動可能とされており、
    制御部(3)は、上記移動体部(1)及び噴射ノズル部(2)の移動を制御するものであり、
    ミスト吸引部(4)は飛散防止カバー(4a)を備えており、
    この飛散防止カバー(4a)が、上記噴射ノズル部(2)の噴射口(21)と上記構造物(C)の表面(C1)との間の空間を覆うものであり、
    この飛散防止カバー(4a)には吸引口(42a)が開口されており、この吸引口(42a)が、集塵機(5)に連続する排気路(E)の端部とされたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  5. 上記樹脂散布装置の駆動輪(11)が、平行に設けられた二条の無限軌道輪(キャタピラー)が一組とされたものであり、
    上記移動体部(1)に、この移動体部(1)の移動方向と直交する方向に延びるようにしてノズル支持レール(6,6)が設けられており、
    このノズル支持レール(6,6)は支持構造体(6a)に設けられており、
    上記支持構造体(6a)が、3本の横構造材が縦断面視にて三角形状に配位され、かつ、上記の各横構造材がトラス材で連結されたトラス構造を有するものであり、
    上記ノズル支持レール(6,6)に沿って移動可能な横移動ベース部(7)が設けられており、
    この横移動ベース部(7)は、四節リンク構造を有するリンク部(72)を有し、このリンク部(72)に設けられたノズル支持部(73)が上下動可能とされており、
    上記ノズル支持部(73)には、上記噴射ノズル部(2)と上記飛散防止カバー(4a)とが取り付けられたことを特徴とする、請求項4に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  6. 上記樹脂散布装置の飛散防止カバー(4a)が、内周面の横断面形状が円形とされた側面部(43a)を有しており、
    上記飛散防止カバー(4a)と一体に、上記排気路(E)を有する吸引管(42)が設けられており、
    この吸引管(42)が上記吸引口(42a)を有しており、
    この吸引管(42)の上記吸引口(42a)における軸線(A)の水平方向成分が、上記吸引口(42a)における、上記側面部(43a)の径方向(D)を基準とした角度(θ)が、径外側を起点として80°〜95°の範囲にあることを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  7. 上記樹脂散布装置の飛散防止カバー(4a)が、内周面の横断面形状が円形とされた側面部(43a)を有しており、
    上記飛散防止カバー(4a)と一体に、上記排気路(E)を有する吸引管(42)が設けられており、
    この吸引管(42)が上記吸引口(42a)を有しており、
    この吸引管(42)の上記吸引口(42a)における軸線(A)の水平方向成分が、上記側面部(43a)の内周面と同心である仮想面(X)の水平方向の接線と一致することを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  8. 上記樹脂散布装置の吸引管(42)が、飛散防止カバー(4a)の中心軸を挟んで、軸対称に二箇所以上設けられたことを特徴とする、請求項4または5に記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  9. 上記樹脂散布装置の飛散防止カバー(4a)が、外筒部(43)と、この外筒部(43)の内部に設けられた内筒部(44)とを有しており、
    上記吸引口(42a)が、上記外筒部(43)と内筒部(44)との間に設けられたものであって、
    上記外筒部(43)と内筒部(44)との間であり、上記吸引口(42a)の下方に、案内羽根(45)が設けられており、
    この案内羽根(45)が、上記吸引管(42)の上記吸引口(42a)における軸線(A)と平行に設けられたことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
  10. 上記樹脂散布装置の噴射ノズル部(2)が、移動範囲における一端から移動を開始して同他端で停止し、
    上記噴射ノズル部(2)の移動の際にのみ接着剤(R)の噴射がなされ、
    上記移動体部(1)が、噴射ノズル部(2)の移動中には停止し、噴射ノズル部(2)が上記他端で停止した後には、既に接着剤(R)を散布した範囲とは逆方向へと移動するものであり、
    上記制御部(3)にあらかじめ入力された制御パターンにより、上記の動作が繰り返して自動制御されることを特徴とする、請求項4〜9のいずれかに記載の、既設コンクリート舗装の付着オーバレイ工法。
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