JP2010094930A - 自動車用途ハンドルの射出成形工法及び自動車用途ハンドル - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストの低減を図ることができると共に、意匠性を損なわず、バリやヒケの問題も解決することができ、場合によっては肉盗み部を形成しなくてもよい自動車用途ハンドルの射出成形工法及び自動車用途ハンドルを提供する。
【解決手段】金型1は、製品キャビティ2が成形されている可動金型部3と、固定金型部4とからなり、固定金型部4には、射出用シリンダー5から注入される溶融樹脂が移動する第1樹脂流路6と、第1の栓体7が進退可能に設置されている第2樹脂流路8と、第2の栓体9が進退可能に設置されている第3樹脂流路10が形成されている。第2樹脂流路8及び第3樹脂流路10の各々に溜まった溶融樹脂は、断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとによって、合成樹脂の相転移温度近傍に保たれる。
【選択図】図1
【解決手段】金型1は、製品キャビティ2が成形されている可動金型部3と、固定金型部4とからなり、固定金型部4には、射出用シリンダー5から注入される溶融樹脂が移動する第1樹脂流路6と、第1の栓体7が進退可能に設置されている第2樹脂流路8と、第2の栓体9が進退可能に設置されている第3樹脂流路10が形成されている。第2樹脂流路8及び第3樹脂流路10の各々に溜まった溶融樹脂は、断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとによって、合成樹脂の相転移温度近傍に保たれる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車ドアの外側または内側に設置される自動車用途ハンドルの射出成形工法及び、自動車用途ハンドルに関するものである。
従来より、自動車用途ハンドルは、原着仕様の他、塗装仕様、メッキ仕様等によって表面処理が行われて、工業生産されている。これら自動車用途ハンドルは、自動車メーカーからの要求性能は厳しく、特に、外観品質要求としては、意匠面にヒケや手掛かり部や機能部位にバリが発生している場合には即、不良品として扱われる場合がある。
図5のアウトサイドハンドル及び図6のインサイドハンドルに例示されるように、これらの自動車用途ハンドルには、旋回機能を果たす為の支点となる軸が挿入される軸穴が形成されており、当該部位は強度を増す必要があることから厚肉が施されている。また、手掛かり部位や指掛かり部位も、その触感、美観及び、強度を増す必要から厚肉が施されている。
一般に、合成樹脂製の射出成形品の厚肉部位にはヒケが発現し易すく、そのヒケは、合成樹脂製の射出成形品の美観を著しく損ない、製品としての価値を低下せしめる。この対策として、合成樹脂の射出成形工法における成形条件上では、一般的に、射出保圧を高めることが通常実施されている。しかしながら、射出保圧を高めるとバリが発生し易く、発生したバリは手作業、機械加工等により取り除かなければならないので、コスト高の要因となっている。
また、バリが金型へダメージを与える模式図として、図6に示すインサイドハンドルのA−A断面を用いて図7(a)に示すように、射出成形金型を構成する製品キャビティへの溶融樹脂充填時には、製品キャビティ及び、この製品キャビティの周囲に発生したバリ部位における、射出圧力と型締め圧力の態様は、一様に高圧型締めが行われているが、製品の冷却固化に伴い、図7(b)に示すように、製品キャビティに接する合成樹脂成形品は体積収縮することにより、製品キャビティと合成樹脂製品との間には、僅かなスキマが生じる様になり、従って、冷却固化したバリ部位にのみ、最大の高圧型締め力が応力集中することとなり、射出成形金型のパーティング面に大きなダメージを与えることになる。そして、ショット毎にダメージが繰り返されることによって、溶接等によるバリ補修にコストや時間を要し、場合により射出成形金型は本来の耐用年数の半分にも満たない年数で廃棄処分されることとなっていた。
また、肉厚を均一にしてヒケの発現を防ぐために、ヒケの発現が予測される射出成形品部位に肉盗み部を形成することもよく行われているが、肉盗み部を形成すると、アンダーカット処理等を行う必要があり、金型にスライドコアやアンギュラピン等の部材を配設することが必須となり、金型の製作に手間が掛かり、金型製作のコストアップの要因となる。
一方、ヒケの発生は、製品の冷却固化による製品キャビティの体積収縮分を十分に補うことができないことに起因している。この対策として一般に、射出保圧を十分に伝達する為に、ゲートを大きくすることや、スプルーランナー径を太くすることが行われている。しかしながら、ゲートを大きくすることによって、ゲートカット後の痕跡が大きく残るため美観を損なう。また、ゲートカット工程の手間が増大し、コスト高の要因となる。また、スプルーランナー径を太くすれば、列履歴を受けた再生材料は、元来の物性が低下しているが、コスト低減からも再生材の使用は避けられない状況にあり、結果として再生材の混入率が高くなることで、製品強度の低下を招くおそれがある(特許文献1及び特許文献2参照)そこで、ハンドルのヒケ防止対策として、ガスインジェクション工法が提案され、一部工業製品に使用されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記特許文献3に記載のガスインジェクション工法では、中空部を得る為に、高圧の不活性ガス(通常は窒素ガスが使用されている)が必須であるが、これを得る為には、シーケンサー等でプログラム制御されたブースターやバルブ類、配管類等を具備した高価な装置を設置する必要がある。これらの装置を日本国内で使用する場合には、高圧ガス保安法の対象となり、認定機関で合格したもの以外使用できない為、高価なブースター装置が必須であり、射出成形機のランニングコストを増大させ、結果として製品コストをアップさせることにつながっている。
また、ガスインジェクション成形工程において、溶融樹脂中に射出注入された合成樹脂製品の中心部に存在する高圧の不活性ガスは、断熱効果により冷却効率が悪くなり、当該合成樹脂製品の冷却は、飽くまでも合成樹脂製品に接している製品キャビティ(金型)との熱交換のみで行われていることから、一般に、通常の射出成形よりも冷却時間が長くなり、成形サイクルが長くなってコスト高の要因となっている。
さらに、リブ等を有する成形品のヒケを防止する工法として、リブ等の存在する裏面の冷却固化過程における製品と製品キャビティとの間へ不活性ガスを注入する工法が提案されているが(特許文献4及び特許文献5参照)、自動車用途ハンドルはリブ等の存在する裏面にも手掛かり部や指掛かり部が機能している為、採用できない。
また、肉盗み部を形成するためには、上述したように金型を複雑化せざるをえない為、製造コストは増大する。例えば、金型にスライドコアが存在し、コールドランナーを適用する場合であって、1つの金型で射出成形品を多数個成形する為には、製品キャビティ間の距離を必然的に長くしなければならない。即ち、コールドランナーの長さも長くなることから、射出成形品以外の部分が増え、これを再利用すると、射出成形品における再生材の比率が増加していく為、製品の劣化を招くことから採用できない。
本発明は上記点に鑑み、製造コストの低減を図ることができると共に、意匠性を損なわず、バリやヒケの問題も解決することができ、場合によっては肉盗み部を形成しなくてもよい自動車用途ハンドルの射出成形工法及び自動車用途ハンドルを提供することを目的とする。
請求項1の自動車用途ハンドルの射出成形工法の発明は、旋回機能を果たす為の軸穴を有するリンク部と、ドアの開閉の為の指係り部とを備えた自動車用途ハンドルの射出成形工法であって、合成樹脂を原材料として射出成形機に投入し、該射出成形機における射出成形に際して、射出成形金型は、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面と、該意匠面の反対側の面との間に肉盗み形状が無く、前記自動車用途ハンドルを形成する箇所の一部には進退可能な表面又は一部が断熱構造と加熱構造とを備えるように形成された栓体が1以上配設されており、前記射出成形機の加熱筒で前記合成樹脂を可塑化溶融して射出する前の段階では、前記進退可能な栓体は、前記断熱構造と前記加熱構造とによって、前記合成樹脂の相転移温度近傍に保たれつつ、所定の位置まで後退した状態にあり、該栓体と成形品キャビティとの間の空間には、意匠面のヒケに相当する体積収縮分を補う容積の溶融樹脂が充填されており、前記合成樹脂が可塑化溶融されて樹脂ゲート部を経て成形品キャビティ内へ射出注入され成形品表面の略0.01mm〜3mmの表層が固化された状態となった後、即ち、前記栓体が所定の位置まで前進してもバリが発現しない状態で、成形品内部の溶融層が固化層へ至る体積収縮分の容積を補い、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面を美麗に成形可能としたことに特徴を有する。したがって、栓体の表面又は一部が断熱構造と加熱構造にて形成されていることから、意匠面のヒケ分に相当する体積収縮分の溶融樹脂が冷却固化し難くなり、ヒケを防止することができる。また、高価な装置を必要としないことから、自動車用途ハンドルの製造コストを抑えることも可能となる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、栓体の進退の駆動は、射出成形機のエジェクタ機能、或いは、個別の流体シリンダー、若しくは、個別のサーボモーターで制御することに特徴を有する。したがって、栓体を最良のタイミングで動作させることができ、ヒケの発生を確実に防ぐことができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、樹脂ゲート部の切断は、金型の内部で行う、サブマリンゲート方式の型内ゲートカットであることに特徴を有する。したがって、型内ゲートカットであることから、射出成形後にカットする作業を必要とせず、コスト低減を図ることができる。また、サブマリンゲート方式を採用することによって、ヒケの問題を解決することができ、いわゆる肉盗み部を必要としないので、金型代のコスト低減を図ることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、樹脂ゲート部の切断面は、切断面以外の面に対して同一平面又は凹面であることに特徴を有する。したがって、樹脂ゲート部の切断面が凸面でないことから、自動車用途ハンドルのドアへの組付け作業時に作業員が凸面で指に怪我をするのを防止することができる。また、自動車用途ハンドル使用時の指触り感を向上させることができる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、指係り部の意匠面には、中心線平均粗さ略1×10-6m乃至1×10-4mの範囲のシボ加工を付与したことに特徴を有する。したがって、安価な製造コストで、シボ加工の高級感を出すことができる。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された射出成形工法を使用して製作された自動車用途ハンドルに特徴を有する。したがって、低コストで高品質の自動車用途ハンドルを提供することができる。
請求項1の発明では、自動車用途ハンドルの成形時にヒケが発生するのを防止することができる。また、高価な装置を必要としないことから、自動車用途ハンドルの製造コストを抑えることができる。また、請求項2の発明では、栓体を最良のタイミングで動作させることができるので、ヒケの発生を確実に防ぐことができる。また、請求項3の発明では、金型代も含めた製造コスト低減を図ることができる。また、請求項4の発明では、作業員が凸面で指に怪我をするのを防止することができると共に、自動車用途ハンドル使用時の指ざわり感を向上させることができる。また、請求項5の発明では、安価な製造コストで、シボ加工の高級感を出すことができる。さらに、請求項6の発明では、低コストで高品質の自動車用途ハンドルを提供することができる。
図1は、本発明に使用する射出成形機のシリンダーと金型の一例を示す説明図であり、旋回機能を果たす為の軸穴を有するリンク部と、ドアの開閉の為の指係り部とを備えたアウトサイドハンドルを成形する為の金型1を用いている。この図に示すように、金型1は、製品キャビティ2が成形されている可動金型部3と、固定金型部4とからなり、固定金型部4には、射出用シリンダー5から注入される溶融樹脂が移動する第1樹脂流路6と、第1の栓体7が進退可能に設置されている第2樹脂流路8と、第2の栓体9が進退可能に設置されている第3樹脂流路10が形成されている。したがって、射出成形機の加熱筒で可塑化溶融され、射出用シリンダー5から注入される溶融樹脂は、第1樹脂流路6を通過して、第1ゲート部13から製品キャビティ2内に流入する。さらに、第2樹脂流路8及び第3樹脂流路10の各々に溜まった溶融樹脂は、断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとによって、合成樹脂の相転移温度近傍に保たれつつ、前記第1の栓体7と第2の栓体9とは所定の位置まで後退した状態にある。そして、成形品表面の略0.01mm〜3mmの表層が固化された状態となった後に、流体シリンダー18a、18bが作動して、前記第1の栓体7、第2の栓体9が所定の位置まで前進する。この時、第1の栓体7、第2の栓体9と製品キャビティ2との間の空間に充填された溶融樹脂は、第2ゲート部14及び、第3ゲート部15の各々から、製品キャビティ2内に再度流入するのである。これにより、成形品内部の溶融層が固化層へ至る体積収縮分の容積を補い、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面を美麗に成形することができるのである。
ここで、第1の栓体7と、第2の栓体9の近傍の固定金型部4側には、各々に断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとが備えられている。加熱構造部17a、17bには、電熱線等にヒータが設置されており、所望の合成樹脂の相転移温度近傍まで加熱することができるようになっている。また、断熱構造部16a、16bでは、加熱構造部17a、17bによって加熱された温度を保つことによって、断熱構造部16a、16bと接触する第2樹脂流路8又は第3樹脂流路10内の溶融樹脂を相転移温度近傍の状態に保温している。
図2は、本発明に使用する射出成形機のシリンダーと金型の他例を示す説明図であり、旋回機能を果たす為の軸穴を有するリンク部と、ドアの開閉の為の指係り部とを備えたインサイドハンドルを成形するための金型31を用いており、この金型31には前記リンク部又は前記指係り部の意匠面と、該意匠面の反対側の面との間に肉盗み形状が無い。この図に示すように、金型31は、製品キャビティ32が成形されている可動金型部33と、固定金型部34とからなり、固定金型部34には、射出用シリンダー35の第1樹脂流路36から注入される溶融樹脂が移動する第2樹脂流路38に栓体37が進退可能に設置されている。したがって、射出成形機の加熱筒で可塑化溶融され、射出用シリンダー35から注入される溶融樹脂は、第1樹脂流路36を通過して、第2樹脂流路38から製品キャビティ32内に流入する。また、第2樹脂流路38に溜まった溶融樹脂は、断熱構造部40と加熱構造部39とによって、合成樹脂の相転移温度近傍に保たれつつ、栓体37は所定の位置まで後退した状態にある。そして、成形品表面の略0.01mm〜3mmの表層が固化された状態となった後に、流体シリンダー41が作動して、前記栓体37が所定の位置まで前進する。この時、栓体37と製品キャビティ32との間の空間に充填された溶融樹脂は、製品キャビティ32内に流入するのである。これにより、成形品内部の溶融層が固化層へ至る体積収縮分の容積を補い、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面を美麗に成形することができるのである。ここで、樹脂ゲート部の切断は、金型の内部で行う、サブマリンゲート方式の型内ゲートカットを採用している。また、樹脂ゲート部の切断面は、切断面以外の面に対して同一平面又は凹面となるようにしてある。さらに、前記指係り部の意匠面には、中心線平均粗さ略1×10-6m乃至1×10-4mの範囲のシボ加工がなされるようになっている。
ここで、栓体37の近傍の固定金型部34側には、断熱構造部40と加熱構造部39とが備えられている。加熱構造部39には、電熱線等にヒータが設置されており、所望の合成樹脂の相転移温度近傍まで加熱することができるようになっている。また、断熱構造部40では、加熱構造部39によって加熱された温度を保つことによって、第2樹脂流路38内の溶融樹脂を相転移温度近傍の状態に保温している。
図3は、本発明の加熱構造部に使用するノズルヒータ17a(17b)の断面図である。この図に示すように、ノズルヒータ17a(17b)は、直径の異なる内パイプ20と外パイプ21との間に、巻き加工したマイクロヒータ22を挿入したものである。このマイクロヒータ22の加熱温度は、所望の合成樹脂に適用出来るように、任意の温度に設定することができる。
また、図4に示すように、断熱構造部16a(16b)の内部に加熱構造部であるノズルヒータ17a(17b)を内蔵する構造とすることもできる。このように構成することによって、断熱構造部16a(16b)が直接溶融樹脂と触れることになり、溶融樹脂の溶融温度を一定に保つことができると共に、ノズルヒータ17a(17b)の外パイプ21のさらに外側に、断熱構造部16a(16b)である保温材で成形された断熱パイプ23が設置されているので、マイクロヒータ22からの熱が、図1で示した固定金型部4の外部に奪われるのを防いでいる。
尚、本発明の射出成形工法に適用できる樹脂は特に制限されるものではない。射出成形が可能な合成樹脂、詳しくは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、これらのアロイや、熱硬化性樹脂でもよく、更には、これらの樹脂と公知の安定剤等の添加剤、フィラー、ガラス繊維等の繊維強化材との配合物も用いることができるが、特に、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、これらのアロイ、これらの樹脂と公知の安定剤等の添加剤、フィラー、繊維強化材等との配合物を用いることが好ましい。
樹脂として、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PVC樹脂、メタアクリル樹脂、含フッ素樹脂等で例示される、所謂汎用熱可塑性樹脂はもとより、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等で例示されるエンジニアリングプラスチックスを例示することができる。
(実施例)
以下、図1を参照して本発明を好ましい実施例を説明する。図示しない金型から得られる自動車用途向けのアウトサイドハンドル(図5参照)は、アウトサイドハンドル旋回機能を果たす為の軸穴を有する2箇所のリンク部に、図1に示すように、第1の栓体7が進退可能に設置されている第2樹脂流路8と、第2の栓体9が進退可能に設置されている第3樹脂流路10が形成されている。また、第1の栓体7と、第2の栓体9とには、各々に断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとが備えられており、この加熱構造部17a、17bには、電熱線等のヒータが設置されており、実施例に適用したポリアセタール樹脂の相転移温度近傍の140℃で加熱している。
以下、図1を参照して本発明を好ましい実施例を説明する。図示しない金型から得られる自動車用途向けのアウトサイドハンドル(図5参照)は、アウトサイドハンドル旋回機能を果たす為の軸穴を有する2箇所のリンク部に、図1に示すように、第1の栓体7が進退可能に設置されている第2樹脂流路8と、第2の栓体9が進退可能に設置されている第3樹脂流路10が形成されている。また、第1の栓体7と、第2の栓体9とには、各々に断熱構造部16a、16bと加熱構造部17a、17bとが備えられており、この加熱構造部17a、17bには、電熱線等のヒータが設置されており、実施例に適用したポリアセタール樹脂の相転移温度近傍の140℃で加熱している。
予め、ポリアセタール樹脂(耐候性グレード、カーボンブラック:含有量0.5wt%)を射出成形機の射出用シリンダー5にて樹脂温度200℃に可塑化、溶融し、金型温度は80℃の温水で加熱している。次に、高圧型締めを行い、溶融したポリアセタール樹脂を射出圧力100Mpaで、第一樹脂流路6を経て、製品キャビティ2内に満たした後、更に、溶融したポリアセタール樹脂は、第2ゲート部14又は、第3ゲート部15を経て、第2樹脂流路8又は、第3樹脂流路10内へ流入し、第2樹脂流路8又は、第3樹脂流路10内を満たす。
この時の第1の栓体7と、第2の栓体9とは、後退した態様で保持されており、且つ、流入したポリアセタール樹脂は、第2樹脂流路8内、第3樹脂流路10内で、相転移点近傍の140℃で保温された状態であり、その後、射出保持圧力(80MPa)をゲートシール時間である20秒の直近の15秒で、即ち、射出注入され成形品表面の略0.01mm〜3mmの表層が固化された状態となった後に、第1の栓体7及び、第2の栓体9とが所定の位置まで前進して、成形品内部の溶融層が固化層へ至る体積収縮分の容積を補い、ヒケを抑制し、リンク部の意匠面を美麗に成形することが出来た。
(比較例)
第2樹脂流路8又は、第3樹脂流路10内の第1の栓体7又は、第2の栓体9が前進した態様で、且つ、第2樹脂流路8及び、第3樹脂流路10の加熱をせず、その他は、上記実施例と同様の態様で、ゲートシール時間である処の20秒間、射出保持圧力(80Mpa)を加えて、即ち、通常の射出成形の態様で、比較例を実施したが、リンク部意匠面のヒケが目立ち、商品価値の頗る低製品が得られた。
第2樹脂流路8又は、第3樹脂流路10内の第1の栓体7又は、第2の栓体9が前進した態様で、且つ、第2樹脂流路8及び、第3樹脂流路10の加熱をせず、その他は、上記実施例と同様の態様で、ゲートシール時間である処の20秒間、射出保持圧力(80Mpa)を加えて、即ち、通常の射出成形の態様で、比較例を実施したが、リンク部意匠面のヒケが目立ち、商品価値の頗る低製品が得られた。
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。上記実施例では、アウトサイドハンドルについて説明しているが、本発明は、図2を用いて説明したように、インサイドハンドルに関しても適用することができるものである。また、図1、図2で示した第1の栓体7、第2の栓体9及び栓体37を進退させる駆動は、個別の流体シリンダーに限らず、射出成型機のエジェクタ機能や個別のサーボモーターでも制御することができる。また、本発明は、金属調色された合成樹脂製インサイドハンドル、アウトサイドハンドルの製造に際して適用することができる。これに関する製造方法の一例として、金属調色の美麗な外観を得る為に、アルミニウム粉末等を含有した合成樹脂を原材料として射出成形機に投入し、この射出成形機における射出成形に際して、リンク部又は指係り部の意匠面とは反対側の面に樹脂ゲート部を配設する製造方法を挙げることができる。
本発明は、自動車ドアの外側または内側に設置される自動車用途ハンドルの射出成形工法及び、自動車用途ハンドルとして利用される。
1 金型
2 製品キャビティ
3 可動金型部
4 固定金型部
5 射出用シリンダー
6 第1樹脂流路
7 第1の栓体
8 第2樹脂流路
9 第2の栓体
10 第3樹脂流路
13 第1ゲート部
14 第2ゲート部
15 第3ゲート部
16a、16b 断熱構造部
17a、17b 加熱構造部(ノズルヒータ)
20 内パイプ
21 外パイプ
22 マイクロヒータ
23 断熱パイプ
2 製品キャビティ
3 可動金型部
4 固定金型部
5 射出用シリンダー
6 第1樹脂流路
7 第1の栓体
8 第2樹脂流路
9 第2の栓体
10 第3樹脂流路
13 第1ゲート部
14 第2ゲート部
15 第3ゲート部
16a、16b 断熱構造部
17a、17b 加熱構造部(ノズルヒータ)
20 内パイプ
21 外パイプ
22 マイクロヒータ
23 断熱パイプ
Claims (6)
- 旋回機能を果たす為の軸穴を有するリンク部と、ドアの開閉の為の指係り部とを備えた自動車用途ハンドルの射出成形工法であって、合成樹脂を原材料として射出成形機に投入し、該射出成形機における射出成形に際して、射出成形金型は、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面と、該意匠面の反対側の面との間に肉盗み形状が無く、前記自動車用途ハンドルを形成する箇所の一部には進退可能な表面又は一部が断熱構造と加熱構造とを備えるように形成された栓体が1以上配設されており、前記射出成形機の加熱筒で前記合成樹脂を可塑化溶融して射出する前の段階では、前記進退可能な栓体は、前記断熱構造と前記加熱構造とによって、前記合成樹脂の相転移温度近傍に保たれつつ、所定の位置まで後退した状態にあり、該栓体と成形品キャビティとの間の空間には体積収縮分を補う容積の溶融樹脂が充填されており、前記合成樹脂が可塑化溶融されて樹脂ゲート部を経て成形品キャビティ内へ射出注入され成形品表面の略0.01mm〜3mmの表層が固化された状態となった後に、前記栓体が所定の位置まで前進して、成形品内部の溶融層が固化層へ至る体積収縮分の容積を補い、前記リンク部又は前記指係り部の意匠面を美麗に成形可能としたことを特徴とする自動車用途ハンドルの射出成形工法。
- 栓体の進退の駆動は、射出成形機のエジェクタ機能、或いは、個別の流体シリンダー、若しくは、個別のサーボモーターで制御することを特徴とする請求項1に記載の自動車用途ハンドルの射出成形工法。
- 樹脂ゲート部の切断は、金型の内部で行う、サブマリンゲート方式の型内ゲートカットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用途ハンドルの射出成形工法。
- 樹脂ゲート部の切断面は、切断面以外の面に対して同一平面又は凹面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用途ハンドルの射出成形工法。
- 指係り部の意匠面には、中心線平均粗さ略1×10-6m乃至1×10-4mの範囲のシボ加工を付与したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用途ハンドルの射出成形工法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された射出成形工法を使用して製作された自動車用途ハンドル。
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JP (1) | JP2010094930A (ja) |
Cited By (1)
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WO2024098554A1 (zh) * | 2022-11-10 | 2024-05-16 | 浙江赛豪实业有限公司 | 一种注塑模具的保压收缩补偿机构 |
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2008
- 2008-10-20 JP JP2008269287A patent/JP2010094930A/ja active Pending
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