JP2010092717A - 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、実用的に十分な発熱抑制機能を有したセパレータを提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有する非水系二次電池用セパレータであり、かかるセパレータは、例えば、耐熱性多孔質層に200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含有せしめることによって得られる。
【選択図】なし
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有する非水系二次電池用セパレータであり、かかるセパレータは、例えば、耐熱性多孔質層に200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含有せしめることによって得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は非水系二次電池用セパレータに関するものであり、特に非水系二次電池の安全性を向上させる技術に関するものである。
非水電解質電池、特に、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、高エネルギー密度であり、携帯電話・ノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。このリチウムイオン二次電池は、更なる高エネルギー密度化が求められているが、安全性の確保が技術的な課題となっている。リチウムイオン二次電池の安全性確保においてセパレータの役割は重要であり、シャットダウン機能を有するという観点から、現状ではポリオレフィン、特にポリエチレン微多孔膜が用いられている。ここで、シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに、微多孔膜の孔が閉塞し電流を遮断する機能のことを言い、電池の熱暴走を食い止める働きがある。
一方、リチウムイオン二次電池は、年々高エネルギー密度化がなされており、安全性確保のためシャットダウン機能に加えて耐熱性も要求されてきている。しかしながら、シャットダウン機能は、ポリエチレンの溶融による孔の閉塞をその作動原理としているので耐熱性と相反するものである。このため、シャットダウン機能が作動した後、さらに電池がシャットダウン機能が作動する温度以上に曝され続けることで、セパレータの溶融(いわゆるメルトダウン)が進行してしまう場合がある。このメルトダウンの結果、電池内部で短絡が生じ、これに伴って大きな熱が発生してしまい、電池は発煙・発火・爆発といった危険に曝されることになる。このため、セパレータにはシャットダウン機能に加えて、シャットダウン機能が作動する温度近傍でメルトダウンが生じない程度の、十分な耐熱性が要求される。
この点において、従来、耐熱性とシャットダウン機能を両立させるために、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面(表面と裏面)に耐熱性多孔質層を被覆させたり、耐熱性繊維からなる不織布を積層させるという技術が提案されている。例えば、ポリエチレン微多孔膜の片面又は両面に、湿式塗工法により芳香族アラミド等の耐熱性高分子からなる耐熱性多孔質層を積層した非水電解質電池セパレータが知られている(特許文献1〜4参照)。
このような非水電解質電池セパレータは、ポリエチレンの融点近傍(140℃程度)でシャットダウン機能が作動すると共に、耐熱性多孔質層が十分な耐熱性を示すことにより200℃以上においてもメルトダウンが発生しないため、優れた耐熱性及びシャットダウン機能を発揮する。
ところで、非水電解質電池の安全性を確保するためには、セパレータのシャットダウン機能と耐熱性は重要な側面であるが、セパレータが発熱抑制機能を有することで、より安全性を高めることができると考えられる。しかしながら、これまで、実用的に十分な発熱抑制機能、そして延いては十分な難燃性を有するセパレータは得られていないのが現状である。そこで本発明者は、耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、優れた発熱抑制機能を有するセパレータを開発するために鋭意研究を行った。
前述のように、耐熱性、シャットダウン機能及び発熱抑制機能という機能を全て満足した実用的なセパレータは得られていないのが現状である。そこで本発明は耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、実用的に十分な発熱抑制機能を有したセパレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
(1) ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有することを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
(2) 前記吸熱量が、前記耐熱性樹脂の融解以外による吸熱であることを特徴とする上記(1)記載の非水系二次電池用セパレータ。
(3) 前記非水系二次電池用セパレータが、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(4) 前記無機フィラーは、前記耐熱性多孔質層に含まれていることを特徴とする上記(3)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(5) 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の前記無機フィラーを含むことを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(6) 前記無機フィラーは、金属水酸化物、硼素塩化合物及び粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上の無機フィラーであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
(7) 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
(8) リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池において、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータを用いることを特徴とする非水系二次電池。
(1) ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有することを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
(2) 前記吸熱量が、前記耐熱性樹脂の融解以外による吸熱であることを特徴とする上記(1)記載の非水系二次電池用セパレータ。
(3) 前記非水系二次電池用セパレータが、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(4) 前記無機フィラーは、前記耐熱性多孔質層に含まれていることを特徴とする上記(3)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(5) 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の前記無機フィラーを含むことを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の非水系二次電池用セパレータ。
(6) 前記無機フィラーは、金属水酸化物、硼素塩化合物及び粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上の無機フィラーであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
(7) 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
(8) リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池において、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータを用いることを特徴とする非水系二次電池。
本発明によれば、耐熱性、シャットダウン機能及び発熱抑制機能のいずれにも優れた非水系二次電池用セパレータが提供され、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の安全性を向上させるのに有効である。
[非水系二次電池用セパレータ]
本発明は、ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有することを特徴とする非水系二次電池用セパレータである。
本発明は、ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有することを特徴とする非水系二次電池用セパレータである。
本発明において用いられる示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry、DSC)は、吸熱反応や発熱反応といった熱収支を伴う変化を測定することができる熱分析の手法である。例えば、高分子試料の融点やガラス転移点など相転移・融解などの変化や脱水反応性資料の加熱による脱水反応等を検出することができる。そして、吸熱及び発熱挙動は、測定試料の耐熱性又は難燃性に関連すると考えられる。本発明の非水系二次電池用セパレータは、前記のような示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有するものである。
本発明においては、セパレータ自体が200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有していれば、本発明の効果は達成されるものであり、セパレータにそのような特性を付与する方法・手段は特に制限されるものではない。なお、かかる吸熱量は耐熱性樹脂の融解以外による吸熱であることが好ましい。かかる吸熱量が耐熱性樹脂の融解によるものであると、高温下においてセパレータの形状を維持できず、十分な耐熱性が確保できなくなってしまい、耐熱性と発熱抑制機能の両立が困難となるためである。
本発明において好ましい非水系二次電池用セパレータは、セパレータが、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含むものである。この場合、無機フィラーは、自身の吸熱作用によりセパレータに発熱抑制機能を与え、結果的にセパレータの難燃性を向上させる。
無機フィラーとしては、200〜600℃において400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、金属水酸化物、硼素塩化合物、粘土鉱物等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ベーマイト、ドーソナイト等、硼素塩化合物としては、メタ硼酸バリウム、硼酸亜鉛等、粘土鉱物としては、カオリン等が挙げられ、これらは単独若しくは2種以上組合せて用いることができる。
これらの無機フィラーの中でも、吸熱反応性の点で200℃〜600℃の加熱により脱水反応を生じるものであることが好ましく、さらに200℃〜400℃の範囲であればより好ましい。非水系二次電池では正極の分解に伴う発熱が最も危険と考えられており、この分解は300℃近傍で起こる。故に、金属水酸化物の脱水反応の発生温度が200℃〜400℃の範囲であれば、非水系二次電池の発熱を防ぐ上で特に有効である。なお、200℃以上においては、負極はほぼ活性を失っているので、生成した水と反応し発熱反応を引き起こすことはなく安全である。また、無機フィラーの吸熱反応温度が600℃を超える場合、非水系二次電池の発熱を好適に防止できないおそれがあるため好ましくない。例えば、水酸化アルミニウム、ドーソナイトやアルミン酸カルシウムは200〜300℃の範囲において、水酸化マグネシウムや硼酸亜鉛は300〜400℃の範囲において、カオリンクレーは450〜550℃の範囲において脱水反応が起こるため、これらの無機フィラーの少なくともいずれか一種を用いることが好ましい。
本発明の非水系二次電池用セパレータにおいて、前記無機フィラーは、前記耐熱性多孔質層に含まれているのが好ましい。本発明のセパレータ構成において、耐熱性多孔質層はセパレータに耐熱性を付与する機能があるが、この層に前記のような無機フィラーを添加することで、高温時の短絡防止や寸法安定性といった観点から耐熱性多孔質層の耐熱性をより向上させることができる。また、一般的に耐熱性多孔質層で被覆したセパレータは、この耐熱層が強く静電気を帯びる傾向にあり、このような観点からハンドリング性が好ましくないことが多い。ここにおいて、耐熱性多孔質層に無機フィラーを添加した場合は、帯電した電荷の減衰が速くなるため、帯電を低いレベルに保つことが可能となり、ハンドリング性が改善される。このような理由から、耐熱性多孔質層中へこのような無機フィラーを添加することは好適である。
本発明では前記耐熱性多孔質層において無機フィラーの重量分率は、特に限定されるものではないが、無機フィラーの重量分率を制御することで本発明のセパレータの吸熱量を調整することができる。重量分率としては50〜95重量%であることが好ましく、更に50〜85重量%であることが好ましい。無機フィラーの重量分率が50%より低いと、高温における寸法安定性といった耐熱性にかかわる特性や発熱抑制効果が不十分となる。また、95重量%より高いと、耐熱性多孔質層の強度が不足し粉落ちの問題からハンドリング性が不良となったり、成形性が困難となったりという不具合が生じ好ましくない。
本発明では前記耐熱性多孔質層において無機フィラーの平均粒子径は特に限定されるものではないが、0.01〜1μmの範囲が好ましい。無機フィラーの平均粒子径が1μmを超えると耐熱性多孔質層の高温時の耐短絡性が低下し好ましくない。更に、耐熱性多孔質層を適切な厚みで成形する上で支障をきたすといった不具合もある。また、無機フィラーの平均粒子径が0.1μmより小さくなると塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じるだけでなく、このように小さいものを用いることはコスト上の観点から実質的に困難である。
本発明で用いられる耐熱性樹脂は、融点200℃以上のポリマーあるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマーが適当であり、好ましくは、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上ものである。特に、耐高温酸化性及び耐久性の観点から芳香族ポリアミドが好適であり、多孔質層を形成し易いという観点から、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等のメタ型全芳香族ポリアミドがさらに好適である。
本発明の非水系二次電池用セパレータの膜厚は25μm以下が好ましく、さらに20μm以下が好ましい。セパレータの膜厚が25μmを超えると、これを適用した電池のエネルギー密度や出力特性が低下し好ましくない。非水系二次電池用セパレータの物性としては、ガーレ値(JIS・P8117)が10〜1000sec/100cc、好ましくは100〜400sec/100ccである。ガーレ値が10sec/100cc未満である場合は、微多孔膜のガーレ値が低過ぎであり、シャットダウン機能の低下が著しく実用的でない。ガーレ値が1000sec/100ccを超えると、イオン透過性が不十分となり、セパレータの膜抵抗が増加して電池の出力低下を招くという不具合が生じる。膜抵抗は0.5〜10ohm・cm2、好ましくは1〜5ohm・cm2である。突き刺し強度は10〜1000g、好ましくは200〜600gの範囲のものである。
本発明において、耐熱性樹脂にて形成される耐熱性多孔質層とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった層を意味する。この耐熱性多孔質層の空孔率は、60〜90%の範囲が好適である。耐熱性多孔質層の空孔率が90%を超えると、耐熱性が不十分となる傾向にあり好ましくない。また、60%より低いとサイクル特性や保存特性、放電性が低下する傾向となり好ましくない。なお、耐熱性多孔質層は、主として、即ち、約90重量%以上が耐熱性樹脂からなるものであれば良く、約10重量%以下の、電池特性に影響を与えない他の成分を含んでいても良い。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂が微多孔膜に用いられる。ポリオレフィンの中でも好ましいのはポリエチレンである。本発明で用いられるポリエチレンは、特に限定されるものではないが、高密度ポリエチレンや、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物が好適である。また、例えば、ポリエチレン以外に、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の他のポリオレフィンを混合して用いても良い。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。なお、微多孔膜は、主として、即ち、約90重量%以上がポリオレフィン樹脂からなるものであれば良く、約10重量%以下の、電池特性に影響を与えない他の成分を含んでいても良い。
ポリエチレン等の微多孔膜の膜厚は、5μm以上であることが好ましい。この微多孔膜の膜厚が5μmより薄いと、引張強度や突刺強度といった機械物性が不十分となり好ましくない。また、耐熱性多孔質層の厚みは2μm以上が好適である。耐熱性多孔質層の厚みが2μmより薄くなると十分な耐熱性を得ることが困難となる。また、耐熱性多孔質層の厚み、即ち、塗工量を制御することで吸熱量を調整することができる。
微多孔膜の空孔率は20〜60%のものが好ましい。微多孔膜の空孔率が20%未満となると、セパレータの膜抵抗が高くなり過ぎ、電池の出力を顕著に低下させるため好ましくない。また、60%を超えると、シャットダウン特性の低下が顕著となり好ましくない。この微多孔膜のガーレ値(JIS・P8117)は、10〜500sec/100cc以下が好ましい。微多孔膜のガーレ値が500sec/100ccより高いと、イオン透過性が不十分となりセパレータの抵抗が高くなるという不具合が生じる。微多孔膜のガーレ値が10sec/100ccより低いと、シャットダウン機能の低下が著しく実用的でない。
本発明において前記耐熱性多孔質層は、前記微多孔膜の少なくとも一方の面に形成すればよいが、ハンドリング性、耐久性及び熱収縮の抑制効果の観点から、表裏両面に形成した方がより好ましい。
[非水系二次電池用セパレータの製造方法]
本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(i)〜(iv)の工程を経て製造することが可能である。即ち、(i)主として耐熱性樹脂の水溶性有機溶剤溶液に、無機フィラーを分散させ、塗工用スラリーを作製する工程と、(ii)得られた塗工用スラリーを、主としてポリオレフィン樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に塗工する工程と、(iii)塗工された前記微多孔膜を、水又は水と前記有機溶剤の混合液からなる凝固液中に浸漬して耐熱性樹脂を凝固させる工程と、(iv)この凝固工程後の前記微多孔膜を、水洗し乾燥する工程と、を実施することからなる製造方法である。
本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(i)〜(iv)の工程を経て製造することが可能である。即ち、(i)主として耐熱性樹脂の水溶性有機溶剤溶液に、無機フィラーを分散させ、塗工用スラリーを作製する工程と、(ii)得られた塗工用スラリーを、主としてポリオレフィン樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に塗工する工程と、(iii)塗工された前記微多孔膜を、水又は水と前記有機溶剤の混合液からなる凝固液中に浸漬して耐熱性樹脂を凝固させる工程と、(iv)この凝固工程後の前記微多孔膜を、水洗し乾燥する工程と、を実施することからなる製造方法である。
耐熱性樹脂として、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとから得られる芳香族ポリアミドを用いる場合には、前記工程(i)で、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンを、生成するポリアミドに対し良溶剤である有機溶剤(水溶性有機溶剤)中で反応せしめて芳香族ポリアミドを製造(溶液重合)し、直接、塗工液を製造することができる。
上記いずれの場合も、耐熱性樹脂の水溶性有機溶剤溶液に、好ましくは、重量分率で50〜95重量%の無機フィラーを分散させ、塗工用スラリー(塗工液)を作製すれば良い。無機フィラーの分散性が良好でない場合は、無機フィラーをシランカップリング剤等で表面処理し、分散性を改善する手法も適用可能である。そして、得られた塗工用スラリーを、前記微多孔膜の片面又は両面に塗工すれば良い。
前記工程(i)において、ポリアミドに対し良溶剤である有機溶剤又は水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には極性溶剤が好ましく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。また、これらの極性溶剤に耐熱性樹脂に対して貧溶剤となる溶剤も、一部混合して用いることもできる。このような溶剤を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性多孔質層を形成する上で多孔化が容易となる。貧溶剤としては、アルコールの類が好適であり、特にグリコールのような多価アルコールが好適である。
工程(ii)では、微多孔膜の少なくとも一方の表面に耐熱性樹脂の塗工液を塗工する。本発明においては、微多孔膜の両面に塗工するのが好ましい。塗工液の濃度は4〜9重量%が好ましい。塗工する方法は、ナイフコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法、マイヤーバー法、ダイコーター法、リバースロールコーター法、インクジェット法、スプレー法、ロールコーター法などが挙げられる。塗膜を均一に塗布するという観点において、特にリバースロールコーター法が好適である。より具体的には、例えば、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性樹脂の塗工液を塗工する場合は、一対のマイヤーバーの間を通してポリエチレン微多孔膜の両面に過剰に塗工液を塗布し、これを一対のリバースロールコーターの間を通し、過剰な塗工液を掻き落すことで精密計量するという方法が挙げられる。
工程(iii)では、塗工された微多孔膜を、耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液中に浸漬することで、耐熱性樹脂を凝固させ、多孔質層を成形する。凝固の方法としては、凝固液をスプレーで吹き付ける方法や、凝固液の入った浴(凝固浴)中に浸漬する方法などが挙げられる。凝固液は、耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に限定されないが、水又は塗工液に用いた有機溶剤に水を適当量混合させたものが好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40〜80重量%が好適である。水の量が40重量%より少ないと耐熱性樹脂を凝固するのに必要な時間が長くなったり、凝固が不十分になるという問題が生じる。また、80重量%より多いと溶剤回収においてコスト高となったり、凝固液と接触する表面の凝固が速すぎ、表面が十分に多孔化されないという問題が生じる。
工程(iv)は、工程(iii)に引き続き、得られたセパレータから水洗で凝固液を除去し、次いで乾燥する工程である。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥温度は50〜80℃が適当であり、高い乾燥温度を適用する場合は、熱収縮による寸法変化が起こらないようにするためにロールに接触させるような方法を適用することが好ましい。
[非水系二次電池]
非水系二次電池用セパレータが、前記のようなポリオレフィン樹脂を主として形成された微多孔膜と、その片面又は両面に積層された前記のような耐熱性樹脂を主として形成された耐熱性多孔質層とからなるものである限り、本発明の非水系二次電池用セパレータは、公知のいかなる構成の非水系二次電池にも適用することができ、安全性に優れた電池が得られる。
非水系二次電池用セパレータが、前記のようなポリオレフィン樹脂を主として形成された微多孔膜と、その片面又は両面に積層された前記のような耐熱性樹脂を主として形成された耐熱性多孔質層とからなるものである限り、本発明の非水系二次電池用セパレータは、公知のいかなる構成の非水系二次電池にも適用することができ、安全性に優れた電池が得られる。
適用される非水系二次電池の種類や構成は、何ら限定されるものではないが、本発明の非水系二次電池用セパレータは、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池に好適に応用することができる。中でも、リチウムイオン二次電池への適用が好ましい。
一般に非水系二次電池とは、負極と正極がセパレータを介して対向している電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造となっているものをいう。負極は、負極活物質、導電助剤、バインダーからなる負極合剤が集電体(銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔等)上に成形された構造となっている。負極活物質としては、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料、例えば、炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズかが用いられる。正極は、正極活物質、導電助剤、バインダーからなる正極合剤が集電体上に成形された構造となっている。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn0.5Ni0.5O2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiMn2O4、LiFePO4が用いられる。電解液は、リチウム塩、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4を非水系溶媒に溶解した構成である。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。外装材は金属缶またはアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型などがあるが、本発明のセパレータはいずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下、実施例により本発明を詳述する。各種の物性値及び性能の測定方法は以下のとおりである。
[吸熱量の測定方法]
TAs Instrument社製のDSC2920を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で600℃まで加熱し測定を行った。
TAs Instrument社製のDSC2920を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で600℃まで加熱し測定を行った。
[膜厚]
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm2の荷重が印加されるような条件で測定した。
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm2の荷重が印加されるような条件で測定した。
[透気度]
透気度(秒/100cc)はJIS・P8117に従い測定した。
透気度(秒/100cc)はJIS・P8117に従い測定した。
[空孔率]
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g・cm2)であり、それぞれの真密度がda、db、dc…、dn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
より求めた。
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g・cm2)であり、それぞれの真密度がda、db、dc…、dn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
より求めた。
[シャットダウン(SD)特性]
まず、セパレータをΦ19mmに打ち抜き、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)の3重量%メタノール溶液中に浸漬して風乾する。そしてセパレータに電解液を含浸させSUS板(Φ15.5mm)に挟んだ。ここで電解液は1M LiBF4 プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を用いた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に振幅10mV、1kHzの周波数の交流を印加することでセルの抵抗を測定し、抵抗値が上昇することでシャットダウン機能の有無を○×で評価した。諸性能はまとめて表1に示した。
まず、セパレータをΦ19mmに打ち抜き、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)の3重量%メタノール溶液中に浸漬して風乾する。そしてセパレータに電解液を含浸させSUS板(Φ15.5mm)に挟んだ。ここで電解液は1M LiBF4 プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を用いた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に振幅10mV、1kHzの周波数の交流を印加することでセルの抵抗を測定し、抵抗値が上昇することでシャットダウン機能の有無を○×で評価した。諸性能はまとめて表1に示した。
[実施例1]
ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィンとデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチレン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)である。このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却して、60℃で8分、95℃で15分乾燥し、ゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを縦延伸、横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理することでポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチレン微多孔膜の物性は、膜厚12.0μm、空孔率36%、透気度301秒/100cc、26秒/100cc・μmであった。
ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィンとデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチレン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)である。このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却して、60℃で8分、95℃で15分乾燥し、ゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを縦延伸、横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理することでポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチレン微多孔膜の物性は、膜厚12.0μm、空孔率36%、透気度301秒/100cc、26秒/100cc・μmであった。
メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)とドーソナイト(200〜600℃に950J/gの吸熱量を有する)が重量比で25:75となるように調整し、これらをメタ型全芳香族ポリアミド濃度が5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し塗工用スラリーを得た。
一対のマイヤーバー(番手#6)を20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことでポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを塗工した。これを重量比で水:DMAc:TPG=50:25:25で40℃となっている凝固液中に浸漬した。次いで水洗・乾燥を行い、該ポリエチレン微多孔膜の表裏に耐熱性多孔質層を形成し、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータの膜厚は18.4μmで、耐熱性多孔質層の厚みは6.4μm、空孔率は72%、透気度335秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は、390J/gであった。
[実施例2]
メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)とアルミン酸カルシウム(200〜600℃に850J/gの吸熱量を有する)が重量比で25:75となるように調整し、これらをメタ型全芳香族ポリアミド濃度が5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し塗工用スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は19.0μmで、耐熱性多孔質層の厚みは7.0μm、空孔率は73%、透気度325秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は350J/gであった。
メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)とアルミン酸カルシウム(200〜600℃に850J/gの吸熱量を有する)が重量比で25:75となるように調整し、これらをメタ型全芳香族ポリアミド濃度が5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し塗工用スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は19.0μmで、耐熱性多孔質層の厚みは7.0μm、空孔率は73%、透気度325秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は350J/gであった。
[実施例3]
メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)と硼酸亜鉛(200〜600℃に600J/gの吸熱量を有する)が重量比で25:75となるように調整し、これらをメタ型全芳香族ポリアミド濃度が5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し塗工用スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は19.5μmで、耐熱性多孔質層の厚みは7.5μm、空孔率は69%、透気度340秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は250J/gであった。
メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)と硼酸亜鉛(200〜600℃に600J/gの吸熱量を有する)が重量比で25:75となるように調整し、これらをメタ型全芳香族ポリアミド濃度が5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し塗工用スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は19.5μmで、耐熱性多孔質層の厚みは7.5μm、空孔率は69%、透気度340秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は250J/gであった。
[実施例4]
無機フィラーを水酸化アルミニウム(200〜600℃に1100J/gの吸熱量を有する)。に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は18.0μmで、耐熱性多孔質層の厚みは6.0μm、空孔率は71%、透気度310秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は415J/gであった。
無機フィラーを水酸化アルミニウム(200〜600℃に1100J/gの吸熱量を有する)。に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は18.0μmで、耐熱性多孔質層の厚みは6.0μm、空孔率は71%、透気度310秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は415J/gであった。
[実施例5]
無機フィラーを水酸化マグネシウム(200〜600℃に1280J/gの吸熱量を有する)に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は22.1μmで、耐熱性多孔質層の厚みは10.1μm、空孔率は69%、透気度320秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は530J/gであった。
無機フィラーを水酸化マグネシウム(200〜600℃に1280J/gの吸熱量を有する)に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は22.1μmで、耐熱性多孔質層の厚みは10.1μm、空孔率は69%、透気度320秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有し、セパレータの200〜600℃における吸熱量は530J/gであった。
[比較例1]
無機フィラーをアルミナ(200〜600℃にはなだらかな吸熱を示すが、明瞭な吸熱ピークを示さない)に変更した以外は、実施例1と同様にして非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は20.2μmで、耐熱性多孔質層の厚みは8.2μm、空孔率は74%、透気度365秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有したが、セパレータの200〜600℃における吸熱量は、メタ型全芳香族ポリアミドの融解による40J/gであった。
無機フィラーをアルミナ(200〜600℃にはなだらかな吸熱を示すが、明瞭な吸熱ピークを示さない)に変更した以外は、実施例1と同様にして非水系二次電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は20.2μmで、耐熱性多孔質層の厚みは8.2μm、空孔率は74%、透気度365秒/100ccであった。セパレータはシャットダウン特性を有したが、セパレータの200〜600℃における吸熱量は、メタ型全芳香族ポリアミドの融解による40J/gであった。
[実施例と比較例で得られたセパレータを用いた非水系二次電池の性能の評価]
(1)非水系二次電池の試作
コバルト酸リチウム(LiCoO2;日本化学工業社製)粉末89.5重量部、アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名デンカブラック)4.5重量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学社製)6重量部となるようにN−メチル−2ピロリドン溶媒を用いてこれらを混練し、スラリーを作製した。得られたスラリーを厚さが20μmのアルミ箔上に塗布乾燥後プレスし、100μmの正極を得た。
(1)非水系二次電池の試作
コバルト酸リチウム(LiCoO2;日本化学工業社製)粉末89.5重量部、アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名デンカブラック)4.5重量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学社製)6重量部となるようにN−メチル−2ピロリドン溶媒を用いてこれらを混練し、スラリーを作製した。得られたスラリーを厚さが20μmのアルミ箔上に塗布乾燥後プレスし、100μmの正極を得た。
メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB:大阪瓦斯化学社製)粉末87重量部、アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名デンカブラック)3重量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学社製)10重量部となるようにN−メチル−2ピロリドン溶媒を用いてこれらを混練し、スラリーを作製した。得られたスラリーを厚さが18μmの銅箔上に塗布乾燥後プレスし、90μmの負極を得た。
上記正極及び負極を、セパレータを介して対向させた。これに電解液を含浸させアルミラミネートフィルムからなる外装に封入して、非水系二次電池を作製した。ここで、電解液には1M・LiPF6・エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)(キシダ化学社製)を用いた。
(2)釘刺試験
実施例、比較例のセパレータを用いて、上記の方法に従い非水系二次電池を作製した。得られた電池を1Cで電池電圧が4.2Vになるまで充電した後、その電圧で3時間定電圧充電し満充電状態にした。充電した電池を2.5mmΦの鉄製釘を貫通させた。比較例のセパレータを用いた電池では、内部短絡によるラミネートフィルムの開封が確認された。実施例のセパレータを用いた電池では、ラミネートフィルムの開封は認められなかった。ラミネートフィルムの開封が認められない場合を○、認められる場合を×として表1に示した。上記観察結果から、実施例のセパレータは発熱抑制効果に優れるため、内部短絡に対する安全性が高いことが分かる。
実施例、比較例のセパレータを用いて、上記の方法に従い非水系二次電池を作製した。得られた電池を1Cで電池電圧が4.2Vになるまで充電した後、その電圧で3時間定電圧充電し満充電状態にした。充電した電池を2.5mmΦの鉄製釘を貫通させた。比較例のセパレータを用いた電池では、内部短絡によるラミネートフィルムの開封が確認された。実施例のセパレータを用いた電池では、ラミネートフィルムの開封は認められなかった。ラミネートフィルムの開封が認められない場合を○、認められる場合を×として表1に示した。上記観察結果から、実施例のセパレータは発熱抑制効果に優れるため、内部短絡に対する安全性が高いことが分かる。
Claims (8)
- ポリオレフィン微多孔膜と、耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水系二次電池用セパレータであって、
示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に100J/g以上の吸熱量を有することを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。 - 前記吸熱量が、前記耐熱性樹脂の融解以外による吸熱であることを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記非水系二次電池用セパレータが、示差走査熱量分析(DSC)測定において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したとき、200〜600℃に400J/g以上の吸熱量を有する無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記無機フィラーは、前記耐熱性多孔質層に含まれていることを特徴とする請求項3記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の前記無機フィラーを含むことを特徴とする請求項3又は4記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記無機フィラーは、金属水酸化物、硼素塩化合物及び粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上の無機フィラーであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池において、請求項1〜7のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータを用いることを特徴とする非水系二次電池。
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