JP2010092347A - タッチパネル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチパネル装置のパネル面における複数の押下点の位置を検出できるようにする。
【手段】押下点検出部70は、x軸を選択しているときに電圧測定器67により測定した電圧値Vxを基に押下点と電極25UR,25DRの距離Lx1を求め、電圧測定器67,66により測定した電圧値Vx,Vbbxを基に押下点と電極25UL,25DLの距離Lx2を求め、y軸を選択しているときに電圧測定器67により測定した電圧値Vyを基に押下点と電極25DL,25DRの距離Ly1を求め、電圧測定器67,66が測定した電圧値Vy,Vbbyを基に押下点と電極25UL,25URの距離Ly2を求める。そして、これらの距離Lx1,Lx2,Ly1,Ly2を基に、2つの押下点のうち一方の位置を示す座標値x1,y1と、他方の位置を示す座標値x2,y2を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、アナログ抵抗膜方式のタッチパネル装置に関する。
アナログ抵抗膜方式のタッチパネル装置では、寸法がほぼ同じで抵抗が一様な2つの抵抗膜を、一方が他方の側へ撓んだときだけ両者が接触する程度の隙間をもって対向させることにより、パネル部が構成されている。このアナログ抵抗膜方式のタッチパネル装置は、パネル部の抵抗膜に設けられる電極の総数により、4線式、5線式、8線式に分類することができる。
図4に示すように、4線式のタッチパネル装置では、パネル部における表側(ユーザと対面する側)の抵抗膜1の左右の端に、2つの棒状電極XL,XRが設けられ、裏側の抵抗膜2の上下の端に、2つの棒状電極YU,YDが設けられている(例えば、特許文献1を参照)。このタッチパネル装置では、棒状電極XLおよびXR間に定電圧源の出力電圧Vccを印加する第1の状態と、棒状電極YUおよびYD間に定電圧源の出力電圧Vccを印加する第2の状態とを周期的に切り換える。そして、第1の状態では、棒状電極YUまたはYDの一方と例えば棒状電極XRとの間の電圧Vxを、電圧測定器により測定する。また、第2の状態では、棒状電極XLまたはXRの一方と例えば棒状電極YDとの間の電圧Vyを、電圧測定器により測定する。
ここで、電圧測定器の入力インピーダンスは充分に高いため、この電圧測定器を2枚の抵抗膜1,2の一方に接続して電圧VxまたはVyを測定したとしても、その抵抗膜に電流は殆ど流れず、その抵抗膜の電圧降下は無視することができる。また、両抵抗膜1、2は全面に亘って抵抗が一様であり、第1の状態では、抵抗膜1における棒状電極XLおよびXR間に均一な電位勾配が生じ、第2の状態では、抵抗膜2における棒状電極YUおよびYD間に均一な電位勾配が生じる。このため、抵抗膜1の一点TPが押下され、この押下点TPにおいて2枚の抵抗膜1および2が接触すると、次のような電圧Vx、Vyが第1および第2の状態において測定される。まず、第1の状態においては、抵抗膜1における押下点TPと棒状電極XRとの間の電圧が抵抗膜2を介して電圧測定器に与えられ、これが電圧Vxとして測定される。この電圧Vxは、押下点TPと棒状電極XRとの間の距離xに比例した電圧となる。また、第2の状態においては、抵抗膜2における押下点TPと棒状電極YDとの間の電圧が抵抗膜1を介して電圧測定器に与えられ、これが電圧Vyとして測定される。この電圧Vyは、押下点TPと棒状電極YDとの間の距離yに比例した電圧となる。そこで、4線式のタッチパネル装置では、たとえば下記式(1)、(2)に従い、パネルが押下されている間に検出される電圧VxおよびVyと、電極XLおよびXR間の距離Lxと、電極YUおよびYD間の距離Lyとから、押下点の位置の座標値x,yが算出される。
x=Lx・(Vx/Vcc)…(1)
y=Ly・(Vy/Vcc)…(2)
また、図5に示すように、8線式のタッチパネル装置では、4つの棒状電極XL,XR,YU,YDに加えて、各々の近傍に4つの電極DXL,DXR,DYU,DYDがそれぞれ設けられている。そして、このタッチパネル装置では、第1の状態において、定電圧源の出力電圧Vccを棒状電極XLおよびXR間に印加するとき、電極DXLおよびDXR間の電圧Vccxを検出する。そして、前掲の式(1)にVccの代わりにVccxを代入して座標値xを算出する。また、第2の状態において、定電圧源の出力電圧Vccを棒状電極YUおよびYD間に印加するとき、電極DYUおよびDYD間の電圧Vccyを検出する。そして、前掲の式(2)にVccの代わりにVccyを代入して押下点の座標値yを求める。この8線式のタッチパネル装置は、上述した4線式のタッチパネル装置に比べ、定電圧源と棒状電極XL,XR,YL,YRの各々との間の配線の電圧降下に起因した座標値x,yの誤差の発生を防止することができるという利点がある。
図6に示すように、5線式のタッチパネル装置では、パネル部をなす一方の抵抗膜の4隅に、電圧印加用の4つの電極UL,DL,UR,DRが設けられ、他方の抵抗膜に電圧検出用の1つの電極DTが設けられている(たとえば、特許文献2を参照)。このタッチパネル装置では、抵抗膜の左の端に並ぶ2つの電極UL,DLの対とその右の端に並ぶ2つの電極UR,DRの対との間に定電圧源の出力電圧Vccを印加する第1の状態と、抵抗膜の上の端に並ぶ電極UL,URの対と下の端に並ぶ電極DL,DRの対との間に定電圧源の出力電圧Vccを印加する第2の状態とを周期的に切り換える。そして、第1の状態における電極DTの電圧Vxと第2の状態における電極DTの電圧Vyを、抵抗膜の電極DTに接続した電圧測定器により検出する。そして、例えば電圧Vxと定電圧源の出力電圧Vccを前掲の式(1)に代入してパネル面における押下点の座標値xを求め、電圧Vyと定電圧源の出力電圧Vccを前掲の式(2)に代入してパネル面における押下点の座標値yを求める。
特開2001−60143号公報 特開2004−151765号公報
しかしながら、これまでに提案されてきた各種タッチパネル装置は、パネル面における押下点が1つである場合は、その位置を検出できるものの、押下点が2つになった場合は、各々の位置を検出することができない、という問題があった。この理由について、図7に示す4線式のタッチパネル装置の押下例を参照して説明する。棒状電極XLおよびXR間に定電圧源から電圧を印加した状態において、棒状電極XLからの距離が異なる2点TP1,TP2が押下された場合、押下点TP1およびTP2間の電流路として、抵抗膜1を介した電流路のほかに抵抗膜2を介した電流路が形成される。従って、抵抗膜2に電流がほどんど流れないことを前提とした座標値xの検出はできない。さらに、この抵抗膜2を介した電流路には、主として、押下点TP1から棒状電極YUを経由して押下点TP2に至る第1の電流路と、押下点TP1から棒状電極YDを経由して押下点TP2に至る第2の電流路とが含まれる。そして、押下点TP1およびTP2間の電圧が第1の電流路においてどのように分圧され、その分圧が第1の電流路の途中にある棒状電極YUに現れるか、また、押下点TP1およびTP2間の電圧が第2の電流路においてどのように分圧され、その分圧が第2の電流路の途中にある棒状電極YDに現れるかは、押下点TP1およびTP2の各々のY軸方向の位置に依存する。このため、棒状電極YUおよびYDに発生する各電圧から押下点TP1,TP2の座標値xを算出することは極めて困難である。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、タッチパネル装置のパネル面における押下点の数が2つになった場合において、その2つの押下点の位置を個別に検出できるようにすることを目的とする。
本発明は、複数の電極が設けられた第1の抵抗膜と前記第1の抵抗膜よりもシート抵抗が低い第2の抵抗膜とを間隙を挟んで対向させたパネル部と、定電流源と、前記パネル部を含む仮想平面内において互いに交差する複数の仮想的な軸の各々を選択し、前記第1の抵抗膜に設けられた複数の電極のうち、選択した軸の方向に沿って離間した1個または複数の電極のうち一方の1個または複数の電極を第1の給電部、他方の1個または複数の電極を第2の給電部とし、前記第1および第2の給電部間に前記定電流源の出力電流を流しつつ、前記第1の給電部、前記第2の給電部、および、前記第2の抵抗膜の各間の電圧のうち2種類の電圧を測定し、測定した電圧に基づき、選択した軸の方向における前記第2の給電部から押下点までの第1の距離と前記第1の給電部から押下点までの第2の距離を算出し、選択した軸ごとに得られる第1および第2の距離の算出結果に基づいて前記パネル部における1または2つの押下点の位置座標を算出する押下点検出手段とを具備するタッチパネル装置を提供する。
この発明では、第1および第2の給電部間に定電流源の出力電流を流す。第1および第2の給電部間に定電流源の出力電流を流した場合、第2の抵抗膜と第1の給電部の間の電圧は、2つの押下点のうち第1の給電部に近いほうの押下点と第1の給電部との間の抵抗に比例し、第2の抵抗膜と第2の給電部の間の電圧は、2つの押下点のうち第2の給電部に近い方の押下点と第2の給電部との間の抵抗に比例する。また、第1の給電部、第2の給電部、および、第2の抵抗膜の各間の3種類の電圧のうち2種類の電圧を測定した場合、その2種類の電圧から残りの1種類の電圧を求めることができる。本発明では、第1の給電部、第2の給電部、および、第2の抵抗膜の各間の電圧のうち2種類の電圧を測定し、測定した2種類の電圧に基づき、選択した軸の方向における第2の給電部から押下点までの第1の距離と第1の給電部から押下点までの第2の距離を算出し、この距離から押下点の位置座標を算出する。よって、本発明によれば、押下点の数が2つである場合でも、各々の位置を検出することができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態であるタッチパネル装置10の構成を示す図である。図1において、パネル部11は、抵抗膜21と抵抗膜23とをドットスペーサ22を挟んで対向させ、抵抗膜21の上面をPET(Polyethylene Terephthalate)フィルム30により覆い、抵抗膜23の下面をガラス板40の上に載せたものである。利用者は、パネル部11の表面(すなわち、PETフィルム30の上面)の1点または2点を手指などによって押下する。タッチパネル装置10は、パネル部11の表面の1点が押下されたとき、その押下点の位置を検出し、パネル部11の表面の2点が押下されたとき、それらの押下点の各々の位置をそれぞれ検出する。
パネル部11における抵抗膜21,23は、ほぼ同じ寸法の矩形状をなしている。抵抗膜21,23の各々の抵抗は一様であり、抵抗膜21のシート抵抗(Ω/□)は、抵抗膜23のものよりも十分に小さい。ここで、シート抵抗は、抵抗膜の抵抗率を抵抗膜の膜厚により除算した値である。抵抗膜において、電流の方向の長さをL、電流の方向を横切る方向の幅をW,シート抵抗をRsとした場合、抵抗膜の抵抗は、Rs・(L/W)となる。また、抵抗膜23の左上隅、右上隅、左下隅、および右下隅の位置には、電極25UL,25UR,25DL,25DRが設けられ、抵抗膜21には、電極26DTが設けられている。パネル部11の表面の1点または2点が押下されると、その押下点において抵抗膜21が下に撓んで抵抗膜23に接触する。
電流供給部50は、定電流源65と、この定電流源65と抵抗膜23の電極25UL,25UR,25DL,25DRとの間に介在する複数のスイッチの集合体であるスイッチマトリックス51とを有する。スイッチマトリックス51における各スイッチのオン/オフは、押下点検出部70から出力されるスイッチ切換信号によって切り換えられる。
電圧測定部60は、各々の一方の電圧入力端子が共通接続された電圧測定器66,67、および電圧測定器66と抵抗膜23の電極25UL,25UR,25DL,25DRとの間に介在する複数のスイッチの集合体であるスイッチマトリックス61を有する。スイッチマトリックス61における各スイッチのオン/オフは、押下点検出部70から出力されるスイッチ切換信号によって切り換えられる。
電圧測定器67の一方の電圧入力端子は、スイッチマトリックス51を介して電極25UL,25UR,25DLまたは25DRに接続され、その他方の電圧入力端子は、抵抗膜21の電極26DTに接続される。
押下点検出部70は、以下、説明する第1、第2、および第3の役割を果たす。
第1の役割は、パネル部11を含む仮想平面内において、電極25UR,25DRの対から電極25UL,25DLの対に至るx軸、電極25DL,25DRの対から電極25UL,25URの対に至るy軸、および電極25DRから電極25ULに至るz軸を所定時間ずつ周期的に選択し、x軸、y軸、z軸の方向に沿って離間した電極の対のうち一方を第1の給電部、他方を第2の給電部とし、スイッチマトリックス51の制御を通じて第1および第2の給電部間に定電流源65の出力電流を流しつつ、x軸、y軸、z軸を選択している間における第1および第2の給電部間の電圧と抵抗膜21および第2の給電部の間の電圧とを電圧測定器66,67によって測定する役割である。
この第1の役割において、押下点検出部70は、x軸を選択している間、電極25UL,25DLの対を第1の給電部、電極25UR,25DRの対を第2の給電部とし、第1および第2の給電部間に定電流源65の出力電流が流れるようにスイッチマトリックス51を制御するとともに、第1の給電部となる電極25UL,25DLの対が電圧測定器66の一方の電圧入力端子に接続され、第2の給電部となる電極25UR,25DRの対が電圧測定器66の他方の電圧入力端子に接続されるようにスイッチマトリックス61を制御する。
また、押下点検出部70は、y軸を選択している間、電極25UL,25URの対を第1の給電部、電極25DL,25DRの対を第2の給電部とし、第1および第2の給電部間に定電流源65の出力電流が流れるようにスイッチマトリックス51を制御するとともに、第1の給電部となる電極25UL,25URの対が電圧測定器66の一方の電圧入力端子に接続され、第2の給電部となる電極25DL,25DRの対が電圧測定器66の他方の電圧入力端子に接続されるようにスイッチマトリックス61を制御する。
さらに、押下点検出部70は、z軸を選択している間、電極25ULを第1の給電部、電極25DRを第2の給電部とし、第1および第2の給電部間に定電流源65の出力電流が流れるようにスイッチマトリックス51を制御するとともに、第1の給電部となる電極25ULが電圧測定器66の一方の電圧入力端子に接続され、第2の給電部となる電極25DRが電圧測定器66の他方の電圧入力端子に接続されるようにスイッチマトリックス61を制御する。
第2の役割は、x軸を選択している間に電圧測定器67,66により測定した電圧値Vx,Vbbxに基づいて、x軸の方向における電極25UR,25DRの対から押下点までの距離Lx1とその方向における電極25UL,25DLの対から押下点までの距離Lx2を算出し、y軸を選択している間に電圧測定器67,66により測定した電圧値Vy,Vbbyに基づいて、y軸の方向における電極25DL,25DRの対から押下点までの距離Ly1とその方向における電極25UL,25URの対から押下点までの距離Ly2を算出する役割である。
この第2の役割において、押下点検出部70は、x軸を選択している間に電圧測定器67により測定した電圧値Vxを下記式(3)に入力することにより距離Lx1を求め、その間に電圧測定器67,66により測定した電圧値Vx,Vbbxを下記式(4)に入力することにより距離Lx2を求める。下記式(3),(4)において、Iは、定電流源65の出力電流を示し、rxは、x軸の方向における電極25URおよび25DRの対と電極25ULおよび25DLの対の間の単位長さ当たりの抵抗(Ω/m)を示す。
Lx1=Vx/(I・rx)…(3)
Lx2=(Vbbx−Vx)/(I・rx)…(4)
この2つの式によってLx1,Lx2が求まる理由は以下の通りである。
図2(A)に示すように押下点が1つである場合、その押下点TP1が電極25UR,25DRの対に近いほど押下点TP1と電極25UR,25DRの対の間の抵抗RRIGHTは小さくなり、押下点TP1が電極25UL,25DLの対に近いほど押下点TP1と電極25UL,25DLの対の間の抵抗RLEFTは小さくなる。また、電圧測定器67の入力インピーダンスは充分に高いため、抵抗膜23における電極25UL,25DLの対と電極25UR,25DRの対の間に定電流源65の出力電流Iを流している間に抵抗膜23,21が接触しても、抵抗膜21における電極26DTを介して電圧測定器67に電流が流れることはない。
よって、この場合、電極25UL,25DLの対と電極25UR,25DRの対の間に定電流源65の出力電流Iを流しているときに電圧測定器67によって測定される電圧値Vxは、押下点TP1と電極25UR,25DRの対の間の抵抗RRIGHTにおける電圧降下量に相当する。また、電圧測定器66によって測定される電圧値Vbbxは、電極25UL,25DLの対と電極25UR,25DRの対の間の抵抗RLEFT+RRIGHTにおける電圧降下量に相当し、この電圧値Vbbxから電圧Vxを減じた値は、電極25UL,25DLの対と押下点TP1の間の抵抗RLEFTおける電圧降下量に相当する。
また、図2(B)に示すように、押下点が2つであり、それらの各々の押下点TP1,TP2がx軸方向に沿って離間しておらず、y軸方向に沿って離間している場合、押下点TP1,TP2は等電位になる。
以上の理由により、図2(A),図2(B)に示す距離Lx1は、電圧値Vxを式(3)に入力することによって求まり、図2(A),図2(B)に示す距離Lx2は、電圧値Vx,Vbbxを式(4)に入力することによって求まる。
図2(C)に示すように、押下点が2つであり、それらの各々の押下点TP1,TP2がx軸方向に沿って離間している場合、2つの押下点TP1,TP2のうち電極25UR,25DRの対の側の押下点TP1がその対に近いほど両者の間の抵抗RRIGHTは小さくなり、電極25UL,25DLの対の側の押下点TP2がその対に近いほど両者の間の抵抗RLEFTは小さくなる。
この場合において、電極25UL,25DLの対と電極25UR,25DRの対の間に定電流源65の出力電流Iを流しているときに電圧測定器67によって測定される電圧値Vxは、押下点TP1と電極25UR,25DRの対の間の抵抗RRIGHTにおける電圧降下量に相当する。また、2つの押下点TP1,TP2間の抵抗膜23が抵抗膜23よりも低抵抗の抵抗膜21により短絡され、その2つの押下点TP1,TP2間の抵抗RCENTERによる電圧降下はほとんど発生しない。このため、電圧測定器66によって測定される電圧値Vbbxは、押下点TP1と電極25UR,25DRの対の間の抵抗RRIGHTにおける電圧降下量と、電極25UL,25DLの対と押下点TP2の間の抵抗RLEFTにおける電圧降下量の和に相当し、この電圧値Vbbxから電圧Vxを減じた値は、抵抗RLEFTおける電圧降下量に相当する。
以上の理由により、図2(C)に示す距離Lx1は、電圧値Vxを式(3)に入力することによって求まり、図2(C)に示す距離Lx2は、電圧値Vx,Vbbxを式(4)に入力することによって求まる。
また、第2の役割において、押下点検出部70は、y軸を選択している間に電圧測定器67により測定した電圧値Vyを下記式(5)に入力することにより距離Ly1を求め、その間に電圧測定器67,66により測定した電圧値Vy,Vbbyを下記式(6)に入力することにより距離Ly2を求める。下記式(5),(6)において、Iは、定電流源65の出力電流を示し、ryは、y軸の方向における電極25DL,25DRの対と電極25UL,25URの対の間の単位長さ当たりの抵抗(Ω/m)を示す。
Ly1=Vy/(I・ry)…(5)
Ly2=(Vbby−Vy)/(I・ry)…(6)
この2つの式によってLy1,Ly2が求まる理由は、前掲の式(3)、(4)によってLx1,Lx2が求まる理由と同じであるため、再度の説明を割愛する。
第3の役割は、距離Lx1とLx2の和が電極25UR,25DRの対から電極25UL,25DLの対までの距離LxMAX未満であるかを判定するとともに、距離Ly1とLy2の和が電極25DL,25DRの対から電極25UL,25URの対までの距離LyMAX未満であるかを判定し、その判定結果を基に、x軸の方向における2つの距離Lx1,Lx2とy軸の方向における2つの距離Ly1,Ly2とにより得られる組み合わせのうち1つまたは2つを選び、その組み合わせを基に押下点の座標位置を算出する役割である。
第3の役割において、押下点検出部70は、Lx1とLx2の和がLxMAX未満であるか、または、Ly1とLy2の和がLyMAX未満であるとの判定結果を得た場合、押下点の数が2つであるとみなし、Lx1とLx2の和がLxMAXと等しく且つLy1とLy2の和がLyMAXと等しいとの判定結果を得た場合、押下点の数が1つであるとみなす。その上で、以下のようにして押下点の位置を求める。
a.Lx1とLx2の和がLxMAX未満であり、Ly1とLy2の和がLyMAX未満である場合
図3(A)に示すように、この場合、パネル部11の表面における2つの押下点は、電極25UR,25DRの対からの距離がLx1となり電極25DL,25DRの対からの距離がLy1となる点TP1−aと、電極25UL,25DLの対からの距離がLx2となり電極25UL,25URの対からの距離がLy2となる点TP2−aにあるか、または、電極25UR,25DRの対からの距離がLx1となり電極25UL,25URの対からの距離がLy2となる点TP1−bと、電極25UL,25DLの対からの距離がLx2となり電極25DL,25DRの対からの距離がLy1となる点TP2−bにあるかのいずれかである。
この場合、押下点検出部70は、z軸を選択している間に電圧測定器67,66により測定した電圧値Vz,Vbbzを基にz軸の方向における電極25DRから押下点までの距離Lz1を算出し、点TP1−aおよびTP2−aの組み合わせと点TP1−bおよびTP2−bの組み合わせのうち一方をこのLz1を基に選び、その選んだ組み合わせを基に2つの押下点の位置座標x1,y1およびx2,y2を求める。
より詳細に説明すると、押下点検出部70は、電圧値Vzを下記式(7)に入力することにより距離Lz1を求め、点TP1−aから電極25UR,25DRの対までの距離Lx1と点TP1−aから電極25DL,25DRの対までの距離Ly1を下記式(8)に入力することにより距離Lz1’を求める。下記式(7)において、Iは、定電流源65の出力電流を示し、rzは、z軸の方向における電極25DRと電極25ULの間の単位長さ当たりの抵抗(Ω/m)を示す。
Lz1=Vz/(I・rz)…(7)
Lz1’=(Lx1+Ly11/2 …(8)
式(7)によってLz1が求まる理由は、前掲の式(3)によってLx1が求まる理由と同じであるため、再度の説明を割愛する。
ここで、仮に、図3(A)に示す点TP1−aに押下点が位置していた場合、前掲の式(7)により求まるLz1は、前掲の式(8)により求まる距離Lz1’と等しくなるはずである。
よって、押下点検出部70は、Lz1とLz1’が等しい場合、点TP1−aを含む方の組み合わせを選択した上で、距離Lx1,Lx2,Ly1,Ly2を、電極25DRを原点とする座標値に変換する。すなわち、一方の押下点TP1のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,Ly1とし、他方の押下点TP2のx軸およびy軸の座標値を、LxMAX−Lx2,LyMAX−Ly2とする。また、押下点検出部70は、Lz1とLz1’が等しくない場合、点TP1−aを含まない方の組み合わせを選択した上で、距離Lx1,Lx2,Ly1,Ly2を、電極25DRを原点とする座標値に変換する。すなわち、一方の押下点TP1のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,LyMAX−Ly2とし、他方の押下点TP2のx軸およびy軸の座標値を、LxMAX−Lx2,Ly1とする。
b.Lx1とLx2の和がLxMAXと等しく、Ly1とLy2の和がLyMAX未満である場合
図3(B)に示すように、この場合、パネル部11の表面における2つの押下点は、x軸の方向の位置を同じくし、y軸の方向の位置を異にする2つの点TP1−a,TP2−aにある。この場合、押下点検出部70は、一方の押下点TP1のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,Ly1とし、他方の押下点TP2のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,LyMAX−Ly2とする。
c.Lx1とLx2の和がLxMAX未満であり、Ly1とLy2の和がLyMAXと等しい場合
図3(C)に示すように、この場合、パネル部11の表面における2つの押下点は、x軸の方向の位置を異にし、y軸の方向の位置を同じくする2つの点TP1−a,TP2−aにある。この場合、押下点検出部70は、一方の押下点TP1のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,Ly1とし、他方の押下点TP2のx軸およびy軸の座標値を、LxMAX−Lx2,Ly1とする。
d.Lx1とLx2の和がLxMAXと等しく、Ly1とLy2の和がLyMAXと等しい場合
この場合、押下点検出部70は、パネル部11の表面における唯一の押下点TP1のx軸およびy軸の座標値を、Lx1,Ly1とする。
以上説明した本実施形態では、押下点検出部70は、x軸を選択している間、第1の給電部である電極25UL,25DLと第2の給電部である電極25UR,25DRの間に定電流源65の出力電流を流し、y軸を選択している間、第1の給電部である電極25UL,25URと第2の給電部である電極25DL,25DRの間に定電流源65の出力電流を流す。その上で、押下点検出部70は、x軸を選択しているときに電圧測定器67により測定した電圧値Vxを基に、押下点と第2の給電部の間の距離Lx1を求め、電圧測定器67,66により測定した電圧値Vx,Vbbxを基に、押下点と第1の給電部の間の距離Lx2を求める。さらに、押下点検出部70は、y軸を選択しているときに電圧測定器67により測定した電圧値Vyを基に、押下点と第2の給電部の間の距離Ly1を求め、電圧測定器67,66により測定した電圧値Vy,Vbbyを基に、押下点と第1の給電部の間の距離Ly2を求める。そして、押下点検出部70は、これらの距離Lx1,Lx2,Ly1,Ly2を基に、2つの押下点のうち一方の位置を示す座標値x1,y1と、他方の位置を示す座標値x2,y2を求める。これにより、パネル部11の表面の2点が押下された場合でも、その各々の位置を個別に検出することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば、以下の通りである。
(1)上記実施形態において、押下点検出部70は、Lx1とLx2の和がLxMAXと等しく且つLy1とLy2の和がLyMAXと等しい場合に、押下点の数が1つであるとみなし、Lx1とLx2の和がLxMAX未満であるか、または、Ly1とLy2の和がLyMAX未満である場合に、押下点の数が2つであるとみなした。しかし、第1の給電部と第2の給電部の間の距離LxMAX(LyMAX)と、その間の単位長さ当たりの抵抗rx(ry)と、定電流源65の出力電流Iの積により求まる電圧値VxMAX(VyMAX)と、電圧測定器66が測定した電圧値Vbbx(Vbby)が等しい場合に、押下点の数が1つであるとみなし、電圧値VxMAX(VyMAX)よりも電圧値Vbbx(Vbby)が小さい場合に、押下点の数が2つであるとみなしてもよい。
(2)上記実施形態において、押下点検出部70は、電圧測定器66により第1および第2の給電部間の電圧値Vbbx(Vbby)を測定し、電圧測定器67により抵抗膜21と第2の給電部の間の電圧値Vx(Vy)を測定した。そして、電圧値Vbbx(Vbby)を基に距離Lx1(Ly1)を算出し、電圧値Vbbx(Vbby)と電圧値Vx(Vy)を基に距離Lx2(Ly2)を算出した。しかし、第1および第2の給電部間の電圧、抵抗膜21と第1の給電部の間の電圧、抵抗膜21と第2の給電部の間の電圧のうち2種類の電圧が得られれば、その2種類の電圧から残りの1種類の電圧を求めることができる。よって、電圧測定器66,67によって、これらの3種類の電圧の中から、上記実施形態のものと異なる2種類の電圧を測定し、その2種類の電圧を基に距離Lx1(Ly1),Lx2(Ly2)を算出するようにしてもよい。
(3)上記実施形態において、押下点検出部70は、Lx1とLx2の和がLxMAX未満であり、Ly1とLy2の和がLyMAX未満である場合、z軸を選択したときに電圧測定器67により測定した電圧値Vzを基に、z軸の方向における電極25DRから押下点までの距離Lz1を算出し、点TP1−aおよびTP2−aの組み合わせと点TP1−bおよびTP2−bの組み合わせのうちこのLz1と整合するものを選択した。しかし、z軸を選択したときに電圧測定器67により測定した電圧値Vbbzを基に、z軸の方向における電極25ULから押下点までの距離Lz2を算出し、このLz2と整合するものを選んでもよい。また、Lz1およびLz2を求め、それらの両者と整合するものを選んでもよい。
(4)上記実施形態では、抵抗膜23の左上隅、右上隅、左下隅、および右下隅の位置に、4つの電極25UL,25UR,25DL,25DRをそれぞれ設けた。しかし、抵抗膜23の電極の数を、2つ、3つ、または、5つ以上にしてもよい。電極の数を5つ以上にする場合、矩形の辺上や頂点を形成する位置に、それらの各々を設けるようにするとよい。
この発明の一実施形態であるタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。 図1に示すタッチパネル装置のパネル部の表面における押下点とその抵抗膜の抵抗を模式的に示す図である。 図1に示すタッチパネル装置のパネル部を含む仮想平面と、その仮想平面内における押下点の位置の例を示す図である。 4線式の従来のタッチパネル装置の構成を示す図である。 8線式の従来のタッチパネル装置の構成を示す図である。 5線式の従来のタッチパネル装置の構成を示す図である。 従来のタッチパネル装置の問題点を説明するための図である。
符号の説明
10…タッチパネル装置、11…パネル部、21,23…抵抗膜、22…ドットスペーサ、25,26…電極、30…PETフィルム,40…ガラス板、70…押下点検出部、50…電流供給部、51,61…スイッチマトリックス、60…電圧測定部、65…定電流源、66,67…電圧測定器。

Claims (3)

  1. 複数の電極が設けられた第1の抵抗膜と前記第1の抵抗膜よりもシート抵抗が低い第2の抵抗膜とを間隙を挟んで対向させたパネル部と、
    定電流源と、
    前記パネル部を含む仮想平面内において互いに交差する複数の仮想的な軸の各々を選択し、前記第1の抵抗膜に設けられた複数の電極のうち、選択した軸の方向に沿って離間した1個または複数の電極のうち一方の1個または複数の電極を第1の給電部、他方の1個または複数の電極を第2の給電部とし、前記第1および第2の給電部間に前記定電流源の出力電流を流しつつ、前記第1の給電部、前記第2の給電部、および、前記第2の抵抗膜の各間の電圧のうち2種類の電圧を測定し、測定した電圧に基づき、選択した軸の方向における前記第2の給電部から押下点までの第1の距離と前記第1の給電部から押下点までの第2の距離を算出し、選択した軸ごとに得られる第1および第2の距離の算出結果に基づいて前記パネル部における1または2つの押下点の位置座標を算出する押下点検出手段と
    を具備することを特徴とするタッチパネル装置。
  2. 前記押下点検出手段は、ある軸を選択した場合に算出される第1および第2の距離の和が所定値未満である場合に、2つの押下点の位置座標を算出することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
  3. 前記押下点検出手段は、前記複数の仮想的な軸として、互いに直交するx軸およびy軸と、前記x軸およびy軸の各々と斜めに交差するz軸の各軸を各々選択し、x軸を選択したときに第1の距離Lx1および第2の距離Lx2が得られ、y軸を選択したときに第1の距離Ly1および第2の距離Ly2が得られ、z軸を選択したときに第1の距離Lz1および第2の距離Lz2のうち少なくとも一方が得られたとき、距離Lz1およびLz2のうち少なくとも一方に基づき、距離Lx1,Lx2,Ly1,Ly2の中から2つの押下点の各々のx座標値およびy座標値の算出に用いる距離の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル装置。




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