JP2010089680A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ランフラット耐久性を改良することができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードである空気入り安全タイヤである。カーボンブラックが、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、詳しくは、より良好なランフラット耐久性を有する空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤ、特にはランフラットタイヤにおいて、サイドウォール部の剛性向上のために、ゴム組成物単独またはゴム組成物と繊維などの複合体からなるサイド補強層を配設することが知られている(例えば、特許文献1)。かかるランフラットタイヤは、パンクなどによりタイヤの内部圧力が低下した状態での走行、いわゆるランフラット走行状態になると、タイヤのサイドウォール部位分の変形が大きくなるにつれ、サイド補強層の変形も大きくなり、発熱が進み、場合によっては200℃以上に達する。このような状態が続くと、サイド補強層が破壊限界を超え、最終的にはタイヤ故障にいたる。
そこで、このような故障に至るまでの時間を稼ぐ手段として、配設するサイド補強層およびビードフィラーの最大厚さを増大するなど、ゴムの体積を増大させるものがある。
また、従来、サイドウォール部の剛性を増すために、主にサイドウォール部のカーカス層の内側に三日月断面形状の補強ゴム層を配置し、更にカーカス層を2〜4層にして、ランフラット走行時の荷重を支える技術が知られている。しかしながら、従来から乗用車用タイヤに多く用いられるポリエチレンテレフタレート(ΡET)コードはランフラット走行時の様々な入力により発熱し易く、高温になるため、耐熱性に優れているといわれるΡETでも高温時のゴムとの接着性が十分でなく、ランフラット走行での故障はΡET/接着層界面での剥離が主なものであるからランフラット走行時の信頼性に問題がある。また、近年では、車輛の低燃費化にともなって、タイヤの質量軽減が強く要請され、タイヤ重量軽減のためにタイヤサイドウォールの薄肉化が益々指向されている。さらに、タイヤの内圧が0kg/cmであるランフラット走行が可能であると同時に内圧充填時の通常走行での性能も当然要求されている。
そこで、特許文献2には、サイドウォール部のカーカス層に、ポリエチレンナフタレート繊維コードを用いる技術が、開示されている。プライコードにポリエチレンテレフタレート(PET)の代替として一定以上の物性を満足するポリエチレンナフタレート(PEN)を使用した場合、ランフラット耐久性がPETを使用した場合と比較して1.09〜1.23倍まで向上することが確認されている。
特開平11−310019号公報 特開平11−227426号公報
しかしながら、上述のゴムの体積を増大させる方法を取ると乗り心地性の悪化、重量の増加および騒音レベルの増大などの好ましくない事態が発生し、乗り心地の悪化の回避および質量を低減するために、配設するサイド補強層およびビードフィラーの体積を減少させるとランフラット時の荷重を支えきれず、ランフラット時にタイヤのサイドウォール部分の変形が非常に大きくなり、ゴム組成物の発熱増大を招き、結果としては、タイヤはより早期に故障にいたるという問題がある。また、内圧ゼロ時走行において、サイド部屈曲により補強ゴムが発熱し、それによりタイヤたわみが上昇してさらに発熱する。その結果、最終的にはサイド部周辺が破壊するため、さらなる改良が望まれている。
また、特許文献2記載の方法は、カーカス層を構成するコードとしてPENを使用することにより、PETを使用した場合と比較してランフラット耐久性を向上することができるが、近年より良好なランフラット耐久性が求められ、さらなる改良が望まれている。
そこで本発明の目的は、このような従来技術の不具合を解消して、より良好なランフラット耐久性を有する空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消するため鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビード部および一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、ビードコアと該ビードコアの径方向外側に配置されたビードフィラーとを含む左右一対の前記ビード部間にトロイド状に延在するカーカス層を骨格として、該カーカス層の内面に沿って一対の前記サイドウォール部に配置されたサイド補強層を備え、前記トレッド部のタイヤ半径方向外側にはベルト層からなるベルトが配置された空気入りタイヤにおいて、
ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、
前記カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることを特徴とするものである。
本発明においては、前記カーボンブラックが、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、また、前記ゴム成分がアミン変性共役ジエン系重合体を含むことが好ましい。
さらに、本発明においては、前記アミン変性共役ジエン系重合体が、プロトン性アミン変性共役ジエン系重合体であることが好ましく、さらにまた、前記アミン変性共役ジエン系重合体が、1級アミン変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。
また、本発明においては、前記1級アミン変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化1級アミン化合物を反応させて得られたものであることが好ましく、さらに、前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものであることが好ましい。
また、本発明においては、前記共役ジエン系重合体が、ポリブタジエンであることが好ましく、さらに、前記保護化1級アミン化合物が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシランであることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記サイド補強層および/または前記ビードフィラーが、前記ゴム組成物からなることが好ましい。
また、本発明においては、撚り係数Rが、下記式、
R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が1200〜1800dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を2本撚り合わせてなることが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が3000〜4000dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を片撚りしてなることが好ましい。
また、本発明においては、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの、50±5℃における1.4gf/d荷重下の伸びが2.7%以下であり、かつ、170±5℃における0.7gf/d荷重下の伸びが1.5〜6.0%であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記ベルト層の外周側に、さらに少なくとも1枚よりなるベルト補強層が前記トレッド部全体に配置されたことが好ましく、さらにまた、前記ビードコア近傍から、前記サイドウォール部と前記カーカス層の外面との間を通り、他方のビードコア近傍に至る間に、さらに少なくとも1枚のダウンカーカス層が配置されたことが好ましい。
本発明によれば、より良好なランフラット耐久性を有する空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの好適例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する1枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、サイドウォール部2のカーカスプライ4の内側に配置した一対の断面三日月状サイド補強層(補強ゴム層)5とを備える。
また、図示例のタイヤにおいては、ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側にビードフィラー7が配置されており、さらに、カーカスプライ4のトレッド部のタイヤ半径方向外側には2枚のベルト層からなるベルト8が配置されている。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト8を構成する。なお、図示例のベルト8は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト8を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。
さらに、本発明において、ベルト層の外周側に、少なくとも1枚よりなるベルト補強層がトレッド部3全体に配置されていることが好ましい。図示例のタイヤにおいては、ベルト8のタイヤ半径方向外側でベルト8の全体を覆うようにベルト補強層9Aが配置され、さらにまた、該ベルト補強層9Aの両端部のみを覆うように一対のベルト補強層9Bが配置されている。ここで、ベルト補強層9A,9Bは、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト補強層9A、9Bの配設は必須ではなく、別の構造のベルト補強層を配設することもできる。
なお、図示例のカーカスプライ4は、平行に配列された複数の補強コードをコーティングゴムで被覆してなるカーカスプライ1枚から構成され、また、該カーカスプライ4は、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア6間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア6の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカスプライ4のプライ数および構造は、これに限られるものではない。例えば、ビードコア6近傍から、サイドウォール部2とカーカス層の外面との間を通り、他方のビードコア6近傍に至る間に、さらに少なくとも1枚のダウンカーカス層が配置された構造とすることもできる。
本発明の空気入りタイヤは、ゴム成分と、その100質量部に対して、カーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用いること、および、前記カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることが重要である。上記構成とすることで、低発熱性配合サイド補強ゴムは内圧ゼロ時走行において屈曲変形を受けた場合でも、発熱を最小限に抑制することにより飛躍的にランフラット耐久性を向上できる。
まず、本発明に係るゴム組成物について説明する。本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分と、その100質量部に対して、カーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下である。本発明に係るゴム組成物を、特に空気入りタイヤのサイド補強層8および/またはビードフィラー7に用いることにより、本発明の空気入りタイヤは上述の効果をより良好に得ることができる。
本発明に用いるゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴム(NR)およびジエン系合成ゴムが挙げられる。ジエン系合成ゴムとしては、たとえば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)およびこれらの混合ゴムが挙げられる。また、ジエン系合成ゴムの一部または全てが多官能型変性剤、たとえば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているジエン系変性ゴムであることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物としては、ゴム成分として、共役ジエン系重合体をアミン変性したアミン変性共役ジエン系重合体を含むものを好ましく用いることができる。また、このようなアミン変性共役ジエン系重合体を30質量部以上含むことが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。ゴム成分としてアミン変性共役ジエン系重合体を30質量部以上含むことで、得られるゴム組成物は低発熱化し、ランフラット耐久性が向上した空気入りタイヤを得ることができる。
上記アミン変性共役ジエン系重合体としては、分子内に、変性用官能基として、アミン系官能基であるプロトン性アミノ基および/または脱離可能基で保護されたアミノ基を導入したものが好ましく、さらにケイ素原子を含む官能基を導入したものがより好ましい。前記ケイ素原子を含む官能基としては、ケイ素原子にヒドロカルビルオキシ基および/またはヒドロキシ基が結合してなるシラン基を挙げることができる。このような変性官能基は、共役ジエン系重合体の重合開始末端、側鎖および重合活性末端のいずれかに存在すればよいが、好ましくは重合末端、より好ましくは同一重合活性末端にプロトン性アミノ基および/または脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基および/またはヒドロキシ基が結合したケイ素原子、特に好ましくは、1または2個のヒドロカルビルオキシ基および/またはヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有するものである。
上記プロトン性アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基およびそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。一方、脱離可能基で保護されたアミノ基としては、例えば、N,N‐ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基およびN-(トリヒドロカルビルシリル)イミノ基を挙げることができ、充填材の分散が良好になる観点より、好ましくは、ヒドロカルビル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルシリル基を挙げることができ、特に好ましくは、トリメチルシリル基を挙げることができる。脱離可能基で保護された1級アミノ基(保護化1級アミノ基ともいう)の例としては、N,N‐ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された2級アミノ基の例としては、N-(トリメチルシリル)イミノ基を挙げることができる。このN-(トリメチルシリル)イミノ基含有基としては、非環状イミン残基、および環状イミン残基のいずれであってもよい。
上記したアミン変性共役ジエン系重合体のうち、1級アミノ基で変性された1級アミン変性共役ジエン系重合体としては、共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化1級アミン化合物を反応させて得られた、保護化1級アミノ基で変性された1級アミン変性共役ジエン系重合体が好適である。
変性に用いる共役ジエン系共重合体は、共役ジエン化合物単独重合体であってもよく、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であってもよい。前記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル‐1,3‐ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3‐ブタジエンが特に好ましい。また、共役ジエン化合物との重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、a−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。前記共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエンまたはスチレン−ブタジエン共重合体が好ましく、ポリブタジエンが特に好ましい。
共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化1級アミンを反応させて変性させるには、該共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性または擬似リビング性を有するものが好ましい。このようなリビング性を有する重合反応としては、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させる反応か、あるいは有機溶媒中でランタン系列希土類元素化合物を含む触媒による共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを配位アニオン重合させる反応が挙げられる。前者は、後者に比較して共役ジエン部のビニル結合含有量の高いものを得ることができるので好ましい。ビニル結合量を高くすることによって、耐熱性を向上させることができる。
上述のアニオン重合開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウムおよびリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、リチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えば、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n‐デシルリチウム、フェニルリチウム、2‐ナフチルリチウム、2‐ブチルフェニルリチウム、4‐フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物が挙げられるが、これらの中で、特に、n-ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム‐N‐メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果および重合開始能の観点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特に、リチウムヘキサメチレンイミドおよびリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に2級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−Situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
上記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。また、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合には、上述のランタン系希土類元素化合物を含む触媒を用いた場合に比べ、活性末端を有する共役ジエン系重合体のみならず、活性末端を有する共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合体も効率よく得ることができる。
上記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合をおこなう場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は55質量%以下の範囲が好ましい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系共重合体のミクロ構造の制御、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレンにおける3,4結合の増加等、あるいは、共役ジエン化合物−芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、オキソラニルプロパンオリゴマー類(特に2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパンを含む物等)、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン等のエーテル類および3級アミン等を挙げることができる。また、カリウムtert−アミレート、カリウムtert−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムtert−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は発生圧力下でおこなうことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが好ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合溶媒および重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法でおこなわれる。
本発明においては、上記のようにして得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に変性剤として、保護化1級アミンを反応させることにより1級アミン変性共役ジエン系重合体を製造することができる。上記保護化1級アミン化合物としては、保護化1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物が好適である。当該変性剤として用いられる保護化1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、N,N,−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ、好ましくは、N,N,−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N,−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、または、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
また変性剤としては、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシランなどの保護化2級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物;N−(1,3ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンなどのイミノ基を有するアルコキシシラン化合物;3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジブチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン化合物なども挙げられる。これらの変性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この変性剤は部分縮合物であってもよい。ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものを言う。
前記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同使用量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは、2〜50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時または製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、充填材、特にカーボンブラックの分散性に優れ、加硫後の耐破壊特性、低発熱性が改良される。なお、前記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。また、変性剤は、重合開始末端や重合終了末端以外に重合体主鎖や側鎖のいずれに結合させることもできるが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低発熱性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
本発明では、上記した変性剤として用いる保護化1級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、縮合促進剤を用いることが好ましい。このような縮合促進剤としては、第3級アミノ基を含有する化合物、または周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族および15族のうちいずれかの属する元素を1種以上含有する有機化合物を用いることができる。さらに、縮合促進剤として、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)およびスズ(Sn)よりなる群から選択される少なくとも1種以上の金属を含有するアルコキシド、カルボン酸塩、またはアセチルアセトナート錯塩であることが好ましい。
ここで用いる縮合促進剤は、上記変性反応前に添加することもできるが、変性反応の途中および/または終了後に変性反応系に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端に保護された第1アミノ基を有するヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
縮合促進剤としては、具体的に、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラ−n−プロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウムオリゴマー、テトラ−sec−ブトキシチタニウム、テトラ−tert−ブトキシチタニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)チタニウム、ビス(オクタンジオレート)ビス(2−エチルヘキシル)チタニウム、テトラ(オクタンジオレート)チタニウム、チタニウムラクテート、チタニウムジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリブトキシステアレート、チタニウムトリプロポキシステアレート、チタニウムエチルヘキシルジオレート、チタニウムトリプロポキシアセチルアセトネート、チタニウムジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリプロポキシエチルアセトアセテート、チタニウムプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリブトキシアセチルアセトネート、チタニウムトリブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリブトキシエチルアセテート、チタニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタニウムオキサイド、ビス(ラウレート)チタニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)チタニウムオキサイド、ビス(ステアレート)チタニウムオキサイド、ビス(オレエート)チタニウムオキサイド、ビス(リノレート)チタニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタニウム、テトラキス(ラウレート)チタニウム、テトラキス(ナフテネート)チタニウム、テトラキス(ステアレート)チタニウム、チタニウム(オレエート)チタニウム、テトラキス(リノレート)チタニウム等のチタニウムを含む化合物を挙げることができる。
また、縮合促進剤としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
また、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
上述の重合促進剤のうち、チタン化合物が好ましく、チタン金属のアルコキシド、チタン金属のカルボン酸塩、またはチタン金属のアセチルアセトナート錯塩が特に好ましい。この縮合促進剤の使用量としては、前記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤としての使用量を上記範囲にすることによって、縮合反応が効率よく進行する。
本発明における縮合反応は、上記の縮合促進剤と、水蒸気または水の存在下で進行する。水蒸気の存在下の場合として、スチームストリッピングによる脱溶媒処理が挙げられ、スチームストリッピング中に縮合反応が進行する。また、縮合反応を水溶液中で行ってもよく、縮合反応温度は85〜180℃が好ましい。さらに好ましくは。100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。縮合反応時の温度を上記範囲にすることで、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
なお、縮合反応時間は、通常5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。縮合反応を水溶液中で行う場合の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても多段連続式反応器等の装置を用いて連続的に行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行ってもよい。
本発明の変性共役ジエン系重合体の変性剤由来の1級アミノ基は、上述のように脱保護処理を行うことによって生成する。上述したスチームストリッピング等の水蒸気を用いる脱溶媒処理以外の脱保護処理の好適な具体例を以下に詳述する。すなわち、1級アミノ基上の保護基を加水分解することによって遊離した1級アミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、1級アミノ基を有する変性共役ジエン系重合体を得ることができる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護された1級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
このようにして得られた、アミン変性ジエンゴムはムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度が10未満である場合は耐破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、一方、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。また、上記アミン変性ジエンゴムを配合した本発明に係る未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,130℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは30〜100である。
本発明に係るゴム組成物に用いられる変性共役ジエン系ゴム重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)、すなわち、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であることが好ましく、1.1〜2.7であることがより好ましい。変性共役ジエン系ゴム重合体の分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることで、該変性共役ジエン系ゴム重合体をゴム組成物に配合しても、ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
また、本発明に係るゴム組成物に用いられる変性共役ジエン系ゴム重合体は、数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であることが好ましく、150,000〜300,000であることがさらに好ましい。変性共役ジエン系ゴム重合体の数平均分子量を上記範囲とすることで加硫物の弾性率の低下、ヒステリシスロスの上昇を抑えて優れた耐破壊特性を得るとともに、該変性共役ジエン系ゴム重合体を含むゴム組成物の優れた混練り作業性が得られる。本発明に係るゴム組成物に用いられる変性共役ジエン系ゴム重合体は1種類でもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物においては、カーボンブラックが、ゴム成分100質量部に対して55質量部以上含むことを要する。カーボンブラックの含有量が55質量部未満であると、十分な補強効果を発揮することができず、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性において、後述する100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上にならない場合がある。一方、カーボンブラックの含有量が多すぎると、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性において、後述する正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下にならない場合がある。したがって、カーボンブラックの好ましい量は、55〜70質量部であり、より好ましくは60〜70質量部である。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、得られるゴム組成物の加硫ゴム物性が、上記の加硫ゴム物性を満たすためには、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、特に、低発熱を達成する上でFEF級グレードが好適である。
本発明に係るゴム組成物は、加硫ゴム物性として、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上であることを要する。この弾性率(M100)が10MPa未満では、ランフラット走行時のタイヤの撓み保持が不十分となり、タイヤのランフラット耐久性が低下する。好ましいM100は10.5MPa以上であり、その上限は特に制限されないが、通常は13MPa程度である。
また、正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であることを要する。このtanδ(28〜150℃)のΣ値が6.0を超えると、ランフラット走行時のタイヤ発熱が大きく、タイヤのランフラット走行耐久性が低下する。tanδ(28〜150℃)のΣ値の下限には特に制限はないが、通常5程度である。なお、上記100%伸張時弾性率(M100)、tanδ(28〜150℃)のΣ値は以下の方法で測定した値である。
(100%伸張時弾性率(M100)の測定方法)
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫処理して得られた厚さ2mmのスラブシートについて、JIS K 6251に基づき、100%伸張時弾性率を測定する。
(tanδ(28〜150℃)の測定方法)
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫処理して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所社製スペクトロメーターを用い、チャック間隔10mm、初期歪200μm動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25〜200℃の測定条件にて正接損失tanδを測定し、図2に示すように、温度とtanδとの関係をグラフ化し、斜線部分の面積を求め、その値をtanδ(28〜150℃)のΣ値とする。
なお、本発明に係るゴム組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により通常ゴム業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐磨耗性、低発熱性が低下するおそれがある。一方、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
本発明で使用できる加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、DPC(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系、あるいは、TOT(テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド)等のチウラム系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、硫黄分として0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明に係るゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐磨耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系またはパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
さらに、本発明に係るゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば、3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3.0質量部である。
本発明に係るゴム組成物は、上記配合により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることにより得られ、成型加工後、加硫を行い、図1における空気入りタイヤのサイド補強部8および/またはビードフィラー7に用いられる。
続いて、本発明の空気入りタイヤのカーカス層を構成する繊維コードについて説明する。
本発明に係る繊維コードは、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることが重要である。これにより、サイドウォール内側および外側の変形を高弾性率繊維(ΡEN)で、抑制できるため、ランフラット走行時のタイヤサイド部の発熱も減らし、コードとゴムの接着も改善できる。また、発熱した場合でも本発明のΡEN繊維コードは従来のΡET繊維コードよりも高温時の接着を良好にできる。
また、本発明においては、撚り係数Rが、下記式、
R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、上記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85であることが、高弾性率と高温接着性を達成する点で好ましい。撚り係数Rが0.70未満では、弾性率を向上させることができるが接着性が低下するため、ランフラット耐久性が劣るおそれがあり、一方、撚り係数Rが0.85を越えると接着性には有利に働くが弾性率が低下してしまうため、タイヤのサイドウォールのたわみが大きくなり、ランフラット耐久性が悪化するおそれがある。
さらに、本発明においては、上記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が1200〜1800dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を、2本または3本撚り合わせてなることが好ましく、2本撚り合わせてなることがより好ましい。例えば、上記ポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いでこれを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。ポリエチレンナフタレート繊維コードに用いるフィラメント束の繊度が1200dtex未満では、弾性率・熱収縮応力共に不十分であり、1800dtexを超えると、コード径が太くなり、打ち込みを密にできない。
あるいは、上記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が3000〜4000dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を片撚りしてなることが好ましい。例えば、上記ポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束1本に下撚り、または上撚りをかけることで、片撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。ポリエチレンナフタレート繊維コードに用いるフィラメント束の繊度が3000dtex未満では、弾性率・熱収縮応力共に不十分であり、4000dtexを超えると、コード径が太くなり、打ち込みを密にできない。
空気入りタイヤをSUV(スポーツ用多目的車)に使用する場合、ランフラット走行時には荷重が大きくかかるため、ランフラット時の耐久性を大幅に向上させる必要があるが、ポリエチレンナフタレート繊維コードを上記いずれかの撚り構造とすることで、ランフラット耐久性が大幅に向上することができる。
また、上記ポリエチレンナフタレート繊維コードの、50±5℃における1.4gf/d荷重下の伸びが2.7%以下であり、かつ、170±5℃における0.7gf/d荷重下の伸びが1.5〜6.0%であることが好ましい。本発明においては、サイドウォール部内側に高硬度のサイド補強層5を配置しているので、タイヤ全体の剛性がサイド補強層5を備えないタイヤに比べて高くなり、通常走行において突起等を乗り越した場合にロードノイズの点から好ましく。そこで、上記のように弾性率が比較的大きい物性を有するコードを用いることによって、ロードノイズを改良することができる。
本発明の空気入りタイヤは、カーカス4のカーカスプライに上記ポリエチレンナフタレート繊維コードを適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例に基づき具体的に説明する。
下記表1に示すA〜Cの配合組成を有する8種類のゴム組成物を調製し、それぞれの加硫ゴム物性、すなわち、M100およびtanδの28〜150℃におけるΣ値を求めた。次に、下記表2〜5に示す材質、コード構造、撚り数、撚り係数および配合組成でコードを作製した。なお、1級アミン変性ポリブタジエンは以下の手順で調製した。
<製造例1 1級アミン変性ポリブタジエンの製造>
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3−ブタジエン250g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン(0.0285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn−ブチルリチウム(Bu-Li)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合をおこなった。1,3−ブタジエンの反応転化率はほぼ100%であった。この重合溶液を、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒をし、110℃のロールで乾燥して、ポリブタジエンを得た。得られたポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。その結果、ビニル結合量は14%、Mwは150,000、Mw/Mnは1.1であった。
得られた重合体溶液を、重合触媒を失活させることなく、温度50℃に保ち、1級アミノ基が保護されたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)を加えて、変性反応を15分間おこなった。最後に反応後の重合溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒および保護された1級アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、1級アミン変性ポリブタジエンを得た。得られた変性ポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および第1級アミノ基含有量を測定した。その結果、ビニル結合量は14%、Mwは150,000、Mw/Mnは1.2、1級アミノ基含有量は4.0mmol/kgであった。なお、ミクロ構造の分析は赤外法(モレロ法)により、Mn、Mw、Mw/Mnについては、GPC(東ソー社製:HLC−8020)により検出器として屈折計を用いて測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。カラムはGMHXL(東ソー社製)で、溶離液はテトラヒドロフランである。
<1級アミノ基含有量の測定>
まず、重合体をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中に沈殿させることにより重合体に結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施した重合体を試料として、JIS K 7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量した。続けて、前記処理を施した重合体を試料として「アセチルアセトンブロックド法」により、2級アミノ基および3級アミノ基を定量した。試料を溶解させる溶媒には、o−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酢酸溶液で電位差滴定をおこなった。全アミノ基含有量から2級アミノ基および3級アミノ基の含有量を引いて1級アミノ基含有量(mmol)を求め、分析に使用したポリマー質量で割ることにより重合体に結合した1級アミノ基含有量(mmol/kg)を求めた。
<製造例2 DMBTESPA変性ポリブタジエンの製造>
製造例1において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)をN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン3.364mmolに変更した以外は、製造例1と同様にして、DMBTESPA変性ポリブタジエンを得た。
先に作製したコードを用いて、図1に示すタイプのランフラットタイヤを作製した。得られたそれぞれの供試タイヤについて、ランフラット耐久性を評価した。評価方法は以下の通りである。なお、サイド補強層の最大厚みを補強ゴムゲージとして求め、表2〜5に示した。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤ(タイヤサイズ215/45R17の乗用車ラジアルタイヤ)を常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き、内圧を大気圧として、荷重4.17kN(425kgf)、速度89km/h、室内温度38℃の条件でドラム走行テストを行った。各供試タイヤの故障発生までの走行距離を測定し、比較例1の走行距離を100として、次式、
ランフラット耐久性(指数)=(供試タイヤの走行距離/比較例1のタイヤの走行距離)
により、指数表示した。指数が大きいほどランフラット耐久性は良好である。
Figure 2010089680
※1 天然ゴム:TSR20
※2 未変性BR:未変性ポリブタジエン(JSR社製BR01)
※3 変性BR1:1級アミン変性ポリブタジエン(製造例1で得られたもの)
※4 変性BR2:DMBTESPA変性ポリブタジエン(製造例2で得られたもの)
※5 カーボンブラック:FEF(N550)(旭カーボン社製、旭#60)
※6 プロセスオイル:アロマティックオイル(富士興産社製、アロマックス#2)
※7 老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、ノクラック6C)
※8 加硫促進座剤DZ:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、ノクセラーDZ)
※9 加硫促進座剤TOT:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTOT−N)
Figure 2010089680
Figure 2010089680
Figure 2010089680
Figure 2010089680
上記表2〜5より、本発明に係る空気入りタイヤはランフラット耐久性を改良をすることができることが確認された。
本発明の空気入りタイヤの片側断面図である。 ゴム組成物の加硫物性におけるtanδ(28〜150℃)を求めるための説明図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
5 サイド補強層(補強ゴム層)
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層

Claims (18)

  1. 左右一対のビード部および一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、ビードコアと該ビードコアの径方向外側に配置されたビードフィラーとを含む左右一対の前記ビード部間にトロイド状に延在するカーカス層を骨格として、該カーカス層の内面に沿って一対の前記サイドウォール部に配置されたサイド補強層を備え、前記トレッド部のタイヤ半径方向外側にはベルト層からなるベルトが配置された空気入りタイヤにおいて、
    ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、
    前記カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることを特徴とする空気入り安全タイヤ。
  2. 前記カーボンブラックが、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム成分がアミン変性共役ジエン系重合体を含む請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記アミン変性共役ジエン系重合体が、プロトン性アミン変性共役ジエン系重合体である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記アミン変性共役ジエン系重合体が、1級アミン変性共役ジエン系重合体である請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記1級アミン変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化1級アミン化合物を反応させて得られたものである請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものである請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記共役ジエン系重合体が、ポリブタジエンである請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記保護化1級アミン化合物が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシランである請求項6〜8のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記サイド補強層が、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記ビードフィラーが、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記サイド補強層および前記ビードフィラーが、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  13. 撚り係数Rが、下記式、
    R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
    (式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85である請求項1〜12のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が1200〜1800dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を2本撚り合わせてなる請求項1〜13のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が3000〜4000dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を片撚りしてなる請求項1〜13のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  16. 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの、50±5℃における1.4gf/d荷重下の伸びが2.7%以下であり、かつ、170±5℃における0.7gf/d荷重下の伸びが1.5〜6.0%である請求項1〜15のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記ベルト層の外周側に、さらに少なくとも1枚よりなるベルト補強層が前記トレッド部全体に配置された請求項1〜16のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
  18. 前記ビードコア近傍から、前記サイドウォール部と前記カーカス層の外面との間を通り、他方のビードコア近傍に至る間に、さらに少なくとも1枚のダウンカーカス層が配置された請求項1〜16のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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