JP2010089680A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードである空気入り安全タイヤである。カーボンブラックが、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、
前記カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることを特徴とするものである。
R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85であることが好ましい。
図1は、本発明の空気入りタイヤの好適例の部分断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する1枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、サイドウォール部2のカーカスプライ4の内側に配置した一対の断面三日月状サイド補強層(補強ゴム層)5とを備える。
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫処理して得られた厚さ2mmのスラブシートについて、JIS K 6251に基づき、100%伸張時弾性率を測定する。
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫処理して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所社製スペクトロメーターを用い、チャック間隔10mm、初期歪200μm動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25〜200℃の測定条件にて正接損失tanδを測定し、図2に示すように、温度とtanδとの関係をグラフ化し、斜線部分の面積を求め、その値をtanδ(28〜150℃)のΣ値とする。
本発明に係る繊維コードは、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることが重要である。これにより、サイドウォール内側および外側の変形を高弾性率繊維(ΡEN)で、抑制できるため、ランフラット走行時のタイヤサイド部の発熱も減らし、コードとゴムの接着も改善できる。また、発熱した場合でも本発明のΡEN繊維コードは従来のΡET繊維コードよりも高温時の接着を良好にできる。
R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、上記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85であることが、高弾性率と高温接着性を達成する点で好ましい。撚り係数Rが0.70未満では、弾性率を向上させることができるが接着性が低下するため、ランフラット耐久性が劣るおそれがあり、一方、撚り係数Rが0.85を越えると接着性には有利に働くが弾性率が低下してしまうため、タイヤのサイドウォールのたわみが大きくなり、ランフラット耐久性が悪化するおそれがある。
下記表1に示すA〜Cの配合組成を有する8種類のゴム組成物を調製し、それぞれの加硫ゴム物性、すなわち、M100およびtanδの28〜150℃におけるΣ値を求めた。次に、下記表2〜5に示す材質、コード構造、撚り数、撚り係数および配合組成でコードを作製した。なお、1級アミン変性ポリブタジエンは以下の手順で調製した。
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3−ブタジエン250g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン(0.0285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn−ブチルリチウム(Bu-Li)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合をおこなった。1,3−ブタジエンの反応転化率はほぼ100%であった。この重合溶液を、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒をし、110℃のロールで乾燥して、ポリブタジエンを得た。得られたポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。その結果、ビニル結合量は14%、Mwは150,000、Mw/Mnは1.1であった。
まず、重合体をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中に沈殿させることにより重合体に結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥した。本処理を施した重合体を試料として、JIS K 7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量した。続けて、前記処理を施した重合体を試料として「アセチルアセトンブロックド法」により、2級アミノ基および3級アミノ基を定量した。試料を溶解させる溶媒には、o−ニトロトルエンを使用、アセチルアセトンを添加し、過塩素酢酸溶液で電位差滴定をおこなった。全アミノ基含有量から2級アミノ基および3級アミノ基の含有量を引いて1級アミノ基含有量(mmol)を求め、分析に使用したポリマー質量で割ることにより重合体に結合した1級アミノ基含有量(mmol/kg)を求めた。
製造例1において、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)をN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン3.364mmolに変更した以外は、製造例1と同様にして、DMBTESPA変性ポリブタジエンを得た。
各供試タイヤ(タイヤサイズ215/45R17の乗用車ラジアルタイヤ)を常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き、内圧を大気圧として、荷重4.17kN(425kgf)、速度89km/h、室内温度38℃の条件でドラム走行テストを行った。各供試タイヤの故障発生までの走行距離を測定し、比較例1の走行距離を100として、次式、
ランフラット耐久性(指数)=(供試タイヤの走行距離/比較例1のタイヤの走行距離)
により、指数表示した。指数が大きいほどランフラット耐久性は良好である。
※2 未変性BR:未変性ポリブタジエン(JSR社製BR01)
※3 変性BR1:1級アミン変性ポリブタジエン(製造例1で得られたもの)
※4 変性BR2:DMBTESPA変性ポリブタジエン(製造例2で得られたもの)
※5 カーボンブラック:FEF(N550)(旭カーボン社製、旭#60)
※6 プロセスオイル:アロマティックオイル(富士興産社製、アロマックス#2)
※7 老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、ノクラック6C)
※8 加硫促進座剤DZ:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、ノクセラーDZ)
※9 加硫促進座剤TOT:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製、ノクセラーTOT−N)
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
5 サイド補強層(補強ゴム層)
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層
Claims (18)
- 左右一対のビード部および一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、ビードコアと該ビードコアの径方向外側に配置されたビードフィラーとを含む左右一対の前記ビード部間にトロイド状に延在するカーカス層を骨格として、該カーカス層の内面に沿って一対の前記サイドウォール部に配置されたサイド補強層を備え、前記トレッド部のタイヤ半径方向外側にはベルト層からなるベルトが配置された空気入りタイヤにおいて、
ゴム成分と、その100質量部に対してカーボンブラックを55質量部以上含み、かつ加硫ゴム物性において、100%伸張時弾性率(M100)が10MPa以上および正接損失tanδの28〜150℃におけるΣ値が6.0以下であるゴム組成物を用い、
前記カーカス層を構成するコードが、ポリエチレンナフタレート繊維コードであることを特徴とする空気入り安全タイヤ。 - 前記カーボンブラックが、FEF級グレード、FF級グレード、HAF級グレード、ISAF級グレードおよびSAF級グレードよりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム成分がアミン変性共役ジエン系重合体を含む請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
- 前記アミン変性共役ジエン系重合体が、プロトン性アミン変性共役ジエン系重合体である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記アミン変性共役ジエン系重合体が、1級アミン変性共役ジエン系重合体である請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記1級アミン変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の活性末端に、保護化1級アミン化合物を反応させて得られたものである請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物単独、または共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものである請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記共役ジエン系重合体が、ポリブタジエンである請求項7に記載の空気入りタイヤ。
- 前記保護化1級アミン化合物が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシランである請求項6〜8のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイド補強層が、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードフィラーが、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイド補強層および前記ビードフィラーが、前記ゴム組成物からなる請求項1〜9のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 撚り係数Rが、下記式、
R=N×(0.125×D/ρ)1/2×10−3
(式中、Nはコードの撚り数(回/10cm)、Dはコードの総デシテックス数、ρはコードの密度を示す)で定義されるとき、前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの撚り係数Rが0.70〜0.85である請求項1〜12のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。 - 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が1200〜1800dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を2本撚り合わせてなる請求項1〜13のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードが、繊度が3000〜4000dtexのポリエチレンナフタレートからなるフィラメント束を片撚りしてなる請求項1〜13のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記ポリエチレンナフタレート繊維コードの、50±5℃における1.4gf/d荷重下の伸びが2.7%以下であり、かつ、170±5℃における0.7gf/d荷重下の伸びが1.5〜6.0%である請求項1〜15のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層の外周側に、さらに少なくとも1枚よりなるベルト補強層が前記トレッド部全体に配置された請求項1〜16のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードコア近傍から、前記サイドウォール部と前記カーカス層の外面との間を通り、他方のビードコア近傍に至る間に、さらに少なくとも1枚のダウンカーカス層が配置された請求項1〜16のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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