JP2010087120A - 電磁波シールド部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】断線がなく、アスペクト比が高く、導電性、電磁波遮蔽性にすぐれ、表示画面の濃淡ムラがほとんどない電磁波シールド部材を提供する。
【解決手段】透明基材1上に形成したプライマー層2上に導電性組成物からなるメッシュパターン層3を積層し、メッシュパターン層3形成部のプライマー層2の厚さTAがメッシュパターン層3非形成部のプライマー層2の厚さTBよりも厚く、且つメッシュパターン層3形成部のプライマー層2とメッシュパターン層3との界面は、プライマー層2とメッシュパターン層3が非直線状に入り組んでいる断面形態、プライマー層2の構成成分とメッシュパターン層3の構成成分が混合している断面形態、及びメッシュパターン層3を構成する導電性組成物中にプライマー層2に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有し、メッシュの開口部面積のバラツキが0.038以下である電磁波シールド部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示装置(ディスプレイ)の前面に配置して、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽する電磁波シールド部材に関するものである。
近年、画像表示装置の大型化、薄型化に伴い、プラズマディスプレイ(PDP)が注目を集めている。
PDPは、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、画像光の透過性は維持した上で、漏洩する電磁波を遮蔽(シールド)するためのフィルム状の電磁波シールド部材を設けるのが一般的である。
プラズマディスプレイの前面などに用いることができる電磁波シールド部材用材料としては、銀スパッタ薄膜、銅メッシュなどがあるが、銀スパッタ薄膜はコストが高く、また全面を被覆しているため可視光(線)透明性と電磁波遮蔽性との両立性に劣る。銅メッシュは開口部分があるため透明性は高いが、銅箔をフォトリソグラフィー法でエッチングしてメッシュ形状を作成するため、捨てる材料が多く低コスト化が難しい。
近年、透明基材の上に導電性ペーストや無電解めっきの触媒を含むインキを凹版印刷などパターン印刷し、その上に銅をめっきで析出させ細線パターンを形成した電磁波シールド部材などが提案されており(特許文献1、2)、銅箔エッチング法などよりも経済性、生産性にすぐれた方法といえる。
しかしながら、導電性インキ(導電性ペースト)のような高粘度のインキを凹版印刷のような凹部を持つ版を用いる方法にて微細パターンで印刷しようとすると、印刷できないことはないがインキの転移性が悪くインキ抜けなどが多発し、断線があって、安定したパターンが形成できないという問題、及び凹版凹部内のインキの転移率が低下するという問題があった。インキ抜けは、凹版上にインキを塗布し、余分なインキをドクターブレードで掻き取った後の凹部内のインキがその上部に凹みを生じることが原因である。この凹みは、凹版上に透明基材を圧着して透明基材上に凹部内のインキを転写する際に、透明基材とインキとの密着を妨げ、透明基材上に、インキの未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生する。また、転移率低下は、高粘度で流動性の悪いインキは、凹版凹部内の全充填インキの一部しか透明基材上に転移しないことが原因である。両者とも、印刷された導電インキパターンの導電率の低下を招き、電磁波遮蔽特性を低下させる。
本願出願人は、かかる凹版印刷法による導電インキのメッシュパターン層を形成する際の諸課題を解決するする手段として、本願発明出願時において未公開のPCT/JP2008/60427を出願した。
該先願においては、導電インキをメッシュ状凹部に充填した凹版上に、液状プライマー層を塗工した基材フィルムをそのプライマー層側が該凹版と接する向きで押圧して該プライマー層と該凹部内の導電インキとを隙間なく密着せしめた後、該プライマー層のみを硬化せしめ(その際、導電インキの方は未硬化)、しかる後、該基材フィルム及び硬化したプライマー層を該凹版から離型すると共に、該導電インキのメッシュパターン層を該硬化プライマー層上に転移する発明が提案された。
しかし、該先願発明においても、なお、該印刷されたメッシュパターン層は、これを透過して観察する画像に濃淡のムラが目立つと云う未解決の課題が残されていた。
本願発明者は、かかる課題の原因を究明した結果、凹版自体のメッシュパターンは全面にわたって均一な線幅及び開口部面積を有していたとしても、これを用いて該印刷法で印刷したメッシュパターンにおいては、線幅のバラツキ(分布)が生じ、これがメッシュ開口部面積の場所によるバラツキとなり、その結果これを透過する画像光に濃淡ムラを生じることが判明した。
そして、更にその線幅バラツキの原因を究明した結果、該凹版印刷法でメッシュパターンの如き非印刷部の面積の極めて大きい(通常85〜95%程度)の細線パターンを印刷する場合、版面上で硬化したプライマー層と該凹版との接触面積が極めて大となるため、硬化したプライマー層と基材フィルムとを該凹版から離型する際に抵抗が大となる。
そのため、基材フィルムを連続して剥離する際に該基材フィルムが振動し、未硬化の導電インキが振動によって凹版によって規定された線の周囲に拡大乃至飛散し、線幅にバラツキが生じ、これが開口部面積のバラツキを引き起こすことが判明した。
なお、PDPは大型画面を特徴としており、例えば、37型、42型、さらに大型サイズもある。このため、電磁波遮蔽用シートのライン数は通常、縦及び横方向に数千本にも及び、該ラインの幅は一定範囲内でなければならず、メッシュの開口部面積のバラツキは小さいことが望ましい。もし、ライン幅のバラツキ、(結果としての)メッシュの開口部面積のバラツキが大きいと、画像に濃淡ムラが発生し、外観上良くなく、また、特に黒と白の点状欠点、線状欠点が発生して画像の視認性が低下するという欠点を生じる。
特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報
本発明の目的は、パターン状の電磁波遮蔽層において断線がなく、アスペクト比が高く、導電性、電磁波遮蔽性にすぐれている電磁波遮蔽フィルタであって、しかもメッシュパターンの線幅及び開口部面積のバラツキによる表示画面の濃淡ムラがほとんどない電磁波シールド部材を提供することである。
本発明に係る電磁波シールド部材は、透明基材と、該基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に導電性組成物からなるメッシュパターン層とがこの順に積層されてなり、該プライマー層のうち、該メッシュパターンが形成されているメッシュパターン層形成部におけるプライマー層の厚さが、該メッシュパターンが形成されていないメッシュパターン層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、且つ該メッシュパターン層形成部におけるプライマー層とメッシュパターン層との界面は、(a)該プライマー層と該メッシュパターン層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)該プライマー層を構成する成分と該メッシュパターン層を構成する成分とが混合している層を有する断面形態、及び、(c)該メッシュパターン層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有する、電磁波シールド部材であって、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savが0.038以下である電磁波シールド部材である。(なお、Smax、Smin、及びSavは、各々開口部面積(S)の最大値、最小値、及び平均値を表わす。)
本発明によれば、メッシュパターン状の電磁波遮蔽層において断線がなく、アスペクト比が高く、電磁波遮蔽性(表面抵抗値)のバラツキがなく、メッシュパターンの線幅及び開口部面積のバラツキによる表示画面の濃淡ムラがほとんどない電磁波シールド部材を提供することができる。
図1は、本発明による電磁波シールド部材の一形態の層構成を示す断面の概念図である。
本発明の電磁波シールド部材は、透明基材1の一方の面に、プライマー層2、導電性組成物からなるメッシュパターン層(以下、単に「メッシュパターン層」ともいう。)3がこの順に形成されている。
なお、プライマー層2の厚みは、メッシュパターン層3が形成されている部分の厚みTAがメッシュパターン層3が形成されていない部分(開口部)の厚みTBよりも厚いという特徴的な形態を有する。こうした形態は、平坦面からなるプライマー層上にメッシュパターン層3が形成されている場合に比べ、プライマー層2とメッシュパターン層3との密着性にすぐれるという形態由来の効果がある。
かかるパターン状の電磁波遮蔽層の特徴的な形態は、プライマー層の流動状態と固化状態を利用した導電性組成物の新規な印刷方法(後述)により実現されるものである。
以下、本発明の電磁波シールド部材の構成につき、詳細に説明する。
[透明基材]
透明基材1は、可視領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、ガラス、セラミックス等の透明無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物でもよい。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな帯状の樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム、樹脂板の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
透明無機物としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、或いはPLZT、石英等の透明セラミックス等である。
透明基材の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択し、フレキシブルな樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。樹脂や透明無機物の板を利用する場合、例えば、500〜5000μm程度である。
なお、透明基材の樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を添加できる。
また、透明基材は、その表面に、コロナ放電処理、易接着剤層塗工処理、火炎処理などの公知の易接着処理を行ったものでもよい。
[プライマー層]
プライマー層2は、その主目的がメッシュパターン層3の印刷形成時に、版から被印刷物(透明基材)へのインキ(導電性組成物)転移性を向上させ、転移後の導電性組成物と被印刷物との密着性を向上させるための層である。すなわち、透明基材及びメッシュパターン層の双方に密着性が良く、また開口部(メッシュパターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。
更に、このプライマー層2は、流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的な電磁波遮蔽層が形成されたときに固化している層である。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
プライマー層2の厚さ(TB)は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(TB)は、通常は、メッシュパターン層3とプライマー層2との合計値(総厚。図1でいうとメッシュパターン層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1〜50%程度である。
[導電性組成物からなるメッシュパターン層]
本発明における電磁波遮蔽層は、導電性組成物からなるメッシュパターン層3が、プライマー層2上に設けられたものであり、メッシュ(格子乃至網目)形状は、電磁波遮蔽性能と光透過性とを両立させたパターンである。なかでも正方格子形状が代表的であり、この他、格子形状で言えば例えば長方形格子、菱形格子、六角格子、三角格子などがある。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は開口部を区画するライン部(線部又は線条部)となる。ライン部は通常、幅均一でライン状のものであり、また通常は開口部及び開口部間は、全て各々同一形状で同一サイズとなる。
なお、上記パターンは、ディスプレイ用途では、電磁波遮蔽フィルタの画像表示に影響しない四辺周辺部には、接地用導通の為に開口部を設けないベタパターンか、あっても占有面積比率が小さい接地領域を、開口部を有する内部の画像表示領域の周囲に有することがある。
パターンのライン部のライン幅は例えば5〜50μm、本発明の効果がより際立つ点ではより細い5〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。ラインの繰り返し周期であるライン間隔(ピッチ)は例えば100〜500μmである。開口率(電磁波遮蔽パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。
メッシュパターン層3の厚さは、そのメッシュパターン層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波遮蔽性能と該メッシュパターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
表示画面の濃淡ムラがほとんどない電磁波シールド部材を提供するという本発明の効果を奏するためには、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savが0.038以下であることを要する。なお、ここで、Smax、Smin、及びSavは、各々開口部面積Sの最大値、最小値、及び平均値を表わす。かかる開口部面積のバラツキであるためには、正方格子、ライン幅(W)20μm、ライン間隔(P)300μmのメッシュのとき、メッシュパターンのライン部のライン幅(W)の標準偏差の3倍(ΔW3σ)は、3.0μm以下であることを要する。
なお、図2でわかるように、メッシュパターンが通常よく用いられる正方格子で縦横の線幅が一致する場合には、S=(P−W)2 であり、メッシュパターンの単位格子の繰返周期をP、其の平均値をPav、線幅の平均値をWav、その標準偏差の3倍をΔW3σとしたとき、Sav=(Pav−Wav)2 、Smax=(Pav−(Wav−ΔW3σ))2 、Smin=(Pav−(Wav+ΔW3σ))2 である。また、通常、実質上十分な精度で、開口部面積(S)のレンジSmax−Sminは、2ΔS3σで置き換えることができる。そのため、Smax−Smin/Savは開口部面積(S)のバラツキの尺度とすることができる。開口部面積(S)のバラツキはこの式により算出することが簡便である。
なお、開口部面積(S)の値を求めるときの測定データ数(標本数)は、好ましくは10〜100程度である。
このメッシュパターン層3は、導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物を、後述する凹版印刷法によりプライマー層2上に所定のパターンで形成することで得ることができる。
本発明の要件である、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savが0.038以下、即ち、ライン幅(W)の標準偏差の3倍(ΔW3σ)を所定値以下にするには、後述の特定の凹版印刷を用いたメッシュパターン形成方法において、更に、プライマー中に離型剤を添加することで、硬化したプライマー層と該凹版との離型時の抵抗が小となる。
その為、基材フィルムを連続して剥離する際に、該基材フィルムが振動して、未硬化の導電インキが振動によって凹版によって規定された線の周囲に拡大乃至飛散し、線幅にバラツキが生じ、これが開口部面積のバラツキを引き起こすことが防止される。また、導電性組成物の転移性が良くなり、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savを一層容易に0.038以下とすることができる。離型剤としては、ステアリン酸エステルなどの金属石鹸が好適であり、その他、弗素樹脂、珪素樹脂等も使用できる。該離型剤はプライマー量に対し1〜3質量%添加するのが好ましい。
なお、導電性組成物からなるメッシュパターン上に更に金属膜を電解メッキする場合、もし、導電性組成物のメッシュパターンの線部に突起、突出部があると、そこに電気力線が集中し、析出量が増える結果、線幅の広狭差、線部端縁の突起はより強調され、その結果、開口部面積のバラツキは一層拡大することになる。しかるに、本発明においては、メッシュパターンの線部自体の線幅は極小化されるため、その上に金属を電解メッキした場合においてもなお開口部面積(S)のバラツキは收束される。より一層、開口部面積(S)のバラツキを収束させるためには、さらに、電流密度、浴撹拌条件、添加剤の種類及び添加量などの電解メッキ条件を調整する必要がある。
導電性組成物を構成する導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、無機粒子等の表面が金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子等を好ましく挙げることができ、形状も球状、回転楕円体状、正多面体状、截頭多面体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。導電性粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粒子の場合には粒子の平均粒子径が0.1〜10μm程度のものを用いることができる。導電性組成物中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜充填剤や増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤などを添加してもよい。
(メッシュパターン層の形成方法)
所定のパターンの導電性組成物からなるメッシュパターン層3を形成するには、導電性組成物を次のように凹版印刷する。本凹版印刷方法及びその結果物は、特定のプライマーを使用した新規なものであり、本願出願人により、PCT/JP2008/060427として出願されたものである。
例えば、凹版の凹部のみにドクターブレードなどを利用して導電性組成物を充填し、これに液状プライマー層を片面に形成済みの透明基材を、該プライマー層が凹版に接する向きで加圧ローラで圧着するなどして該プライマー層を接触させて、接触している状態でプライマー層を液状から固体状に固化させた後、透明基材を凹版から離して離版させることで、透明基材上の固化したプライマー層上に導電性組成物を転移させて、印刷することができる。
印刷後、つまり離版後、まだ液状であるメッシュパターン層3に対しては、乾燥操作、加熱操作、冷却操作、化学反応操作などを適宜行い、固化せしめて導電性のメッシュパターン層3を完成させる。例えば、乾燥操作は、導電性組成物中の溶剤など不要な揮発成分を除去するため、加熱操作は、該乾燥や導電性組成物の熱硬化などの必要な化学反応を促進させるため、冷却操作は、加熱熔融した熱可塑性樹脂の導電性組成物やプライマー層の固化促進のため、化学反応操作は、加熱によらない電離放射線照射などのその他の手段による導電性組成物やプライマー層の化学反応を進行させるために行う。
また、導電性組成物は、版上で半硬化固化させ離版後に完全硬化させてもよいが、特に本願発明固有の効果である、硬化プライマー層を凹版から離版時(離型時)の基材振動による導電性組成物飛散を抑制し、更に飛散に起因する線幅及び開口部面積のバラツキを極小化する効果を奏する上で有利なのは、離版時には導電性組成物は未硬化(完全未硬化又は不完全硬化状態)とし、離版後に導電性組成物を硬化完了させる形態である。
また、導電性組成物の固化は凹版接触中に行ってもよい。版接触中に導電性組成物を固化させるときは、凹版は導電性組成物に対しても賦形型として機能し、プライマー層も含めて凹版は完全な賦形型として用いることになる。この際、導電性組成物の固化方法はプライマー層で採用する固化方法と同じ方法でもよく、異なる方法でもよい。ただし、例えば電離放射線照射など同じ方法を採用すれば、プライマー層と導電性組成物とを版面上で同時に硬化可能な為、装置・工程的に簡素化でき、また類似の化学反応を採用すれば密着性の点でも有利である。
本発明では、このようにして印刷することで、凹版凹部内に充填された導電性組成物の上部にドクターブレード等で掻き取り時に窪み(凹み)が生じても、液状で流動性のプライマー層を介して印刷するので、印刷中にプライマー層を該窪みに流し込み隙間なく密着させた状態にでき、その後、プライマー層を固化させてから透明基材を凹版から離すので、透明基材上に固化したプライマー層2を介して所定パターンのメッシュパターン層3を、細線でも、転移不足による断線や形状不良、インキ密着性不足などの印刷不良の発生なく形成できる。凹版印刷工程において、かくの如く凹版凹部内に充填されたインキの表面に生じる窪みをプライマー層が流入、充填する結果、得られた本発明の光学フィルタは、プライマー層の厚みが、前記メッシュパターン層が形成されている部分の厚みTAが、前記メッシュパターン層が形成されていない部分の厚みTBよりも厚くなる。勿論、このような、本発明特有のプライマー層の厚みにおけるメッシュパターン層形成との関係が得られる方法であれば、上記の特定の凹版印刷方法以外の方法によってもよい。
(メッシュパターン層とプライマー層の界面の断面形態)
本発明における導電性組成物からなるメッシュパターン層3とプライマー層2の界面は図2〜4に示すような3つの態様の断面形態をとり得るものであり、メッシュパターン層3とプライマー層2との界面が交互に入り組んだり、或いは該界面において、両層の材料が相互に拡散し合って混在し、この界面の断面形態(界面形態ともいう。)が密着性、導電性組成物の転移性の点で好ましい結果を与えている。
界面形態の第1態様は、図3に示すように、プライマー層2とメッシュパターン層3との界面11が、プライマー層2側とメッシュパターン層3側とに交互に非直線状に入り組んだ形態である。
なお、この界面形態の第1態様において、入り組んだ界面は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。
こうした界面形態の第1態様は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上にメッシュパターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面11が入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2とメッシュパターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第2態様は、図4に示すように、プライマー層2とメッシュパターン層3との界面11の近傍に、プライマー層に含まれるプライマー成分と、メッシュパターン層を構成する成分とが混合する領域21(混合層)が存在している形態である。図4では界面が明確に現れているが、実際には、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、図4では混合領域21は、界面11を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層中のプライマー成分とメッシュパターン層3中の任意の成分とが両層内に相互に侵入する場合である。なお、混合領域21は界面11の上側(透明基材とは反対側)に存在しても下側(透明基材側)に存在してもよい。混合領域21が界面11の上側に存在する場合としては、プライマー層中のプライマー成分がメッシュパターン層内に侵入し、メッシュパターン層中の成分がプライマー層内に侵入しない場合であり、一方、混合領域21が界面11の下側に存在する場合としては、メッシュパターン層中の任意の成分がプライマー層内に侵入し、プライマー層中のプライマー成分がメッシュパターン層内に侵入しない場合である。
こうした界面形態の第2態様も上記第1態様の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上にメッシュパターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面11近傍に混合領域21を有するので、プライマー層2とメッシュパターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第3態様は、図5に示すように、メッシュパターン層3中に広く、プライマー層2に含まれるプライマー成分31が存在している形態である。図5ではプライマー成分31が界面11付近で多く、頂部に向かって少なくなって態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されない。プライマー成分31は、メッシュパターン層3の頂部から検出される程度にメッシュパターン層3内に侵入していてもよいし、主として界面近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3態様において、特に、プライマー成分31がメッシュパターン層内に存在している領域が界面11の近傍に局在化している場合が、上記第2態様において混合領域が界面11の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした界面形態の第3態様も上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上にメッシュパターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のようにプライマー成分31がメッシュパターン層3に侵入しているので、プライマー層2とメッシュパターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
本発明における導電性組成物からなるメッシュパターン層3とプライマー層2の界面11は、上記の第1〜第3態様の界面形態の特徴を少なくとも1つ有しているが、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、3つの全てを有していてもよい。
(金属層)
本発明における電磁波遮蔽層は、導電性組成物からなるメッシュパターン層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるために、金属層を、必要に応じ形成することができ、メッシュパターン層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、メッシュパターン層3への給電はメッシュパターン層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、メッシュパターン層3が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は導電性組成物からなるメッシュパターン層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、導電性組成物からなるメッシュパターン層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
なお、金属層を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、保護層を設けてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示でき、また、保護層は、単にメッシュパターン層表面を被覆し保護する層である。例えばアクリル系の光硬化性樹脂を用いて形成することができる。メッシュパターン層や金属層に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、クロメート処理等の一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねてもよい。
[光学フィルタ]
こうして得られた電磁波シールド部材に光学調整層を設けて電磁波遮蔽機能と光学機能との両機能を具備する光学フィルタとして利用することができる。光学調整層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層を挙げることができる。又、必要に応じて、該光学フィルタには、更に、光学機能以外の機能を発現する層を複合することができる。かかる層としては耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、及び防汚層等を挙げることができる。
ここで、メッシュパターン層を形成した透明基材に反射防止層などの光学調整層を直接形成すると、メッシュパターン層と(プライマー層被覆)透明基材との凹凸により、反射防止層などの塗りムラや気泡の混入が起こり、気泡が画像光を散乱して画質低下をもたらし、反射防止効果なども不十分となる。この問題を解決するために、メッシュパターン層と(プライマー層被覆)透明基材との凹凸を埋めて平坦化するための透明な平坦化層を設け、その上面に反射防止層などの光学調整層を設けることが好ましい。なお、平坦化層に用いる樹脂へ、近赤外線吸収剤、ネオン光吸収剤、紫外線吸収剤などを添加することもできる。
そして、本発明の電磁波シールド部材又は電磁波シールド部材を有する光学フィルタはメッシュ開口部面積のバラツキが少なく、これを透過して画像を観察した際の画像ムラを実用上問題のない程度に抑えたため、これをプラズマ表示装置(PDP)、ブラウン管(CRT;陰極線管)表示装置、電場発光(EL)表示装置等のディスプレイパネルの画像表示面(前面)に装着することにより、ディスプレイ装置とすることができる。
また、本発明の電磁波シールド部材は、その他各種用途に適用可能である。例えば、住宅、事務所、病院、店舗等の建築物の窓、車両、船舶、航空機等乗り物の窓、電子レンジ、複写機、各種計器類等の画像表示装置以外の家電製品、事務機器、電気製品等の窓乃至光学的開口部等の可視光線透過製を要求される部位の電磁波を遮蔽する部材として用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例により何ら限定されるものではない。
なお、「表示画面の濃淡ムラ」の評価法は以下のとおりである。
キーエンス製マイクロスコープ透過光をサンプルに照射し光をさえぎる部分の井桁に写る線上部を線幅モードにて500倍率に設定し線幅を測定する。なお、該測定は、測定対象の電磁波シールド部材について、無作為に選定した縦横各々位置10箇所において、線幅(W)、周期(P)を測定した。該測定値を基に、Sav=(Pav−Wav)2 、Smax=(Pav−(Wav−ΔW3σ))2 、Smin=(Pav−(Wav+ΔW3σ))2 を経て、開口部面積のバラツキ(Smax−Smin)/Savを算出した。
また、「表示画面の濃淡ムラ」の官能評価は、無彩色の最低濃度(完全な白)の画像データを、PDP(パイオニア社製、品名「PDP−435HDL(42インチ)」、画像品質(明るさ、及びコントラスト、)を「標準」モードに設定)で表示し、その前面に各実施例及び各比較例の当該フィルタを載置して、目視で当該パターンの濃淡のムラがはっきり見えるように感じるか否かで、良否を判断した。
また、転移欠点は、得られた電磁波シールド部材の平面視形状を透過型電子顕微鏡で拡大観察し、断線及び未転移部の有無を評価した。
また、転移量の評価は、得られた電磁波シールド部材の断面形状を透過型電子顕微鏡で拡大観察し、メッシュパターン凸部の最大高さを凹版版深で除した比として評価した。
また、プライマー層とメッシュパターン層との界面の形態は、得られた電磁波シールド部材の断面形状を透過型電子顕微鏡で拡大観察した。
[実施例1]
透明基材としての2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)の帯状フィルム(製造元;東洋紡績、商品名;A4300)上に、プライマー層として、離型剤であるステアリン酸エステルを1%添加した未硬化状態で液状の紫外線硬化型樹脂(アクリレート系プレポリマー)を斜線版のグラビアリバース方式で5μm厚で全面にコーティングしたものを用意し、一方、版パターンが線幅20μm、ピッチ300μm、版深10μmである正方格子のメッシュパターン状凹部である凹版版胴の該凹部内に導電性組成物である銀ペーストインキ(組成;熱可塑性樹脂バインダー中に鱗片状の銀粒子を分散させ、有機溶剤で希釈、製造元;藤倉化成、商品名;FA333)を充填し、凸部の余剰の導電性組成物をドクターブレードで掻き取ったものを用意した。なお、この時、凹部内に充填された該導電性組成物の表面には凹陥部が形成されていた。次いで、該透明基材を該プライマー層側が該凹版の導電性組成物充填面側に接するように、押圧ロールにて押圧し、該凹陥部も含めた導電性組成物と液状プライマー層とを空隙なく密着せしめた。この状態で該透明基材側から、高圧水銀灯により紫外線を照射して紫外線硬化樹脂プライマー層を硬化させた(この時、導電性組成物は未硬化)。次いで、該透明基材、該硬化プライマー層、及びメッシュパターン上に形成された未硬化導電性組成物を、剥離ロールを介して該凹版から離型(離版)した。しかる後、該メッシュパターンに形成された導電性組成物の希釈溶剤を乾燥させて、これを硬化(固化)せしめた。かくの如くすることでPETフィルムに上記版胴表面の版パターンを転写させて電磁波シールド部材を製造した。なお、帯状透明基材の走行速度である印刷速度は10m/minでロール・トゥ・ロール方式にて連続加工した。
紫外線硬化型樹脂に離型剤を添加することで版面上で硬化したプライマー層の凹版印刷版からの離型性が向上して、離版時の透明基材の振動は発生せず、その結果、導電性材料の離版時の周囲への飛散りによる線幅バラツキも軽減した。また、凹版凹部に内充填された導電性組成物上部の凹陥部はプライマー層で空隙なく充填、密着されているため、導電性組成物の転移量が向上し、転移後の導電性組成物メッシュパターンの高さは9μmであり転移率は90%であった。また、転移した該メッシュパターンには断線等の転移欠点も認められなかった。
更に、プライマー層とメッシュパターン層との界面の形態は、図3の如く非直線状に交互に入り組んだ構造を有すると共に、図4の如く界面近傍に、両層の成分が混合した混合領域が認められた。
得られたメッシュパターンは、メッシュのライン幅の標準偏差の3倍ΔW3σが2.4μmであり、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savが0.03であり、面ムラは外観上認識されず問題はなく、また、電磁波遮蔽性の支障となるレベルの表面電気抵抗値のバラツキもなかった。また、目視で観察したところ、メッシュパターン開口部内の気泡に起因する白濁も認められなかった。
[比較例1]
実施例1において、PETフィルム上にプライマー層を塗布しない以外は実施例1と同様にしてメッシュを作製した。
得られたメッシュパターンは、メッシュのラインに断線が多発し、ライン幅の標準偏差の3倍ΔW3σは3.4μm、メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savは0.048であり、外観的にも目視で面ムラが目立ち、また表面抵抗値が大きくばらつき、電磁波遮蔽性は実施例1の場合に比べて低下した。
本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電磁波シールド部材の一例の表面についての模式図である。 メッシュパターン層とプライマー層との界面形態が第1態様である本発明の電磁波シールド部材における電磁波遮蔽層の模式的な断面図である。 メッシュパターン層とプライマー層との界面形態が第2態様である本発明の電磁波シールド部材における電磁波遮蔽層の模式的な断面図である。 メッシュパターン層とプライマー層との界面形態が第3態様である本発明の電磁波シールド部材における電磁波遮蔽層の模式的な断面図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電性組成物からなるメッシュパターン層
11 プライマー層とメッシュパターン層との界面
21 混合領域
31 プライマー成分
TA メッシュパターン層が形成されている部分の厚さ
TB メッシュパターン層が形成されていない部分の厚さ
S 開口部面積
W ライン幅
P ライン間隔(ピッチ)

Claims (2)

  1. 透明基材と、該基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に導電性組成物からなるメッシュパターン層とがこの順に積層されてなり、
    該プライマー層のうち、該メッシュパターンが形成されているメッシュパターン層形成部におけるプライマー層の厚さが、該メッシュパターンが形成されていないメッシュパターン層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、
    且つ該メッシュパターン層形成部におけるプライマー層とメッシュパターン層との界面は、(a)該プライマー層と該メッシュパターン層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)該プライマー層を構成する成分と該メッシュパターン層を構成する成分とが混合している層を有する断面形態、及び、(c)該メッシュパターン層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有する、電磁波シールド部材であって、
    メッシュの開口部面積(S)のバラツキ(Smax−Smin)/Savが0.038以下であることを特徴とする電磁波シールド部材。(なお、Smax、Smin、及びSavは、各々開口部面積(S)の最大値、最小値、及び平均値を表わす。)
  2. 導電性組成物からなるメッシュパターン層の表面が金属膜で覆われている請求項1に記載の電磁波シールド部材。
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