JP2010086617A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低湿下でもエラーレートの劣化がない磁気テープを提供する。また、あわせて磁気テープのもとになる塗料製造工程において大量に使用される有機溶剤にかえて環境負荷の小さな水媒体系の磁性塗料を用いた磁気テープを提供する。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面に結合剤と無機粉末を含む中間層の上に少なくとも一層からなる強磁性粉末および結合剤を含む磁性層の厚みが0.1μm以下の磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層中の結合剤は水溶性樹脂を含むことを特徴とする塗布型テープ状の磁気記録媒体。更に、前記磁性層および/または前記中間層中に吸水性樹脂を含んで成ることを特徴とする塗布型テープ状の磁気記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体とくに塗布型の磁気テープに関する。
コンピューターに搭載されたハードディスクに記録されているデータをバックアップするものとして、磁気テープが多く用いられている。データバックアップ用の磁気テープの分野では、ハードディスクの大容量化に伴い、1巻あたり数百GBの記憶容量を有する磁気テープが商品化されている。今後、さらなるハードディスクの大容量化に対応するため、データバックアップ用の磁気テープの高容量化は不可欠であり、1巻あたり10TB以上の容量を有するテープも計画されている。
この高容量化を果たしていくためには、磁気テープの線記録密度を上げることが必須であり、そのために、磁気テープの磁性層表面は極めて平滑に仕上げられている。磁性層の厚み損失を少なくするために現在では、非磁性支持体の上に形成した実質的に非磁性の下塗り層(非磁性支持体と磁性層との間に存在するので中間層ともいうが本発明では便宜上、下層もしくは下層非磁性層と呼称する。)の上に非常に薄い厚みの磁性層を塗布した構造の、いわゆる重層構成をとるテープが主流である。
このような、いわゆる薄層重層型の磁気記録媒体の代表的な成膜方法としては、非磁性塗料を塗布することにより成膜した下層非磁性層が湿潤状態にあるうちに磁性塗料を同時または逐次に塗布する、いわゆるウェット・オン・ウェット方式や下層非磁性層を塗布した後に乾燥処理を行い、記録層である磁性層を積層形成するという、いわゆるウェット・オン・ドライ方式が提案されている。極めて短波長域の信号を記録・再生するために磁性層のわずかな厚み変動も少なくするために、磁性層と非磁性層との界面領域での乱れが生じやすいウエット・オン・ウエットの同時重層塗布方式でなくてウエット・オン・ドライの逐次重層方式による重層媒体が再評価されてきている。
このような磁気テープを用いて記録再生を行う磁気テープ装置(以下ドライブと称する)は、短波長の微小な磁束を検出するために、信号の再生にはMR(magneto resistive)ヘッドが用いられている。高密度記録された磁気テープは、磁束が微小で短波長であるために、再生時に磁気ヘッドの表面に僅かな汚れ(ステイン)が付着するだけでも、磁気ヘッドの表面と磁気テープの磁性層表面との間にスペーシングが発生したり、バイアス磁界の変化により再生出力が低下し、再生エラーが生じてエラーレートが劣化するなどの問題が発生する。その結果、1巻当りの所定の容量が記録できなくなるという実用上の支障が生じる原因となる。このようなエラーレートが劣化する現象は、特に低湿度環境下で顕著に発生し、大きな問題となっている。全ての明確な理由はわからないが、低湿度環境下では磁気テープの研磨能が低下することは認められているのでヘッド表面に付着した僅かな汚れ(ステイン)を研磨して除去する機能が低下することが主な理由の一つとして挙げられる。
よって磁気テープの表面が水分を保持することができれば研磨性は維持できて有効な対策になると考えた。すなわち、磁性層に保湿性をもたすことが考えた。そのためには磁性層の結合剤には親水性の強い水溶性樹脂を含ませて、磁性層および/または中間層に、吸水性や保湿性に優れる材料を含有させることである。
ところで、吸水性や保湿性に優れる材料については化粧品分野(スキンケア・ボディケア・ヘアケア用品)、食品分野(食品添加物・健康食品)、工業分野(塗料の添加剤・コンクリートの硬化剤)、農業・土木資材分野(土壌改良剤・地盤改良剤)、医療分野(薬品・医療基材)、衛生材料分野(紙おむつ・生理用ナプキン)、環境分野(緑化・生分解性包装材料)には吸水性樹脂が使用されている。また、特許文献1のように吸水性樹脂の吸・放湿性を利用した繊維加工品がある。
これらの樹脂を磁気記録媒体に利用する際には次の点を考慮しなければならない。すなわち磁気記録媒体に使用される種々の固形物(特に微粒子の磁性粉末)を良好に分散させる結合剤として用いるか、吸水性や保湿性を付与するために、単に添加して構成材料として用いるかである。結合剤として用いるのは基本的に塗料用の水溶性の熱可塑性樹脂であり、添加して用いるものは必ずしも水を含めた各種溶剤に溶解する材料でなくてもよい。
一般の有機溶剤に比べて極性の大きな水やアルコール類に溶解する親水性熱可塑性樹脂を磁性塗料の磁性粉の結合剤として使用することを考えた。さらにこれらの結合剤を使用した磁性塗料は水系媒体なので,有機溶剤より圧倒的に蒸発速度が遅いので、ウエット・オン・ドライの逐次重層方式で極めて薄い磁性層を塗布したときに、適度の乾燥時間が得られて磁性粉の配向の制御がしやすいという利点もある。
上で述べた吸水性樹脂の記録媒体関連での利用は特許文献2のように磁性層に添加する粒子の表面処理にも用いられた場合とさらに、水分をケース内に放出する調湿材料を含んだ調湿部材を含む記録媒体内蔵カートリッジが提案されている(特許文献3)程度である。磁性層に磁性粉の結合剤として利用した例としては特許文献4や特許文献5がある。
特開2003−20572号公報 特開平04−251429号公報 特開2006−294225号公報 特許2767162号公報 特許3054468号公報
しかしながら、上述の特許文献3に開示されている技術では、記録媒体内蔵カートリッジ内部は、所定の湿度範囲内に調湿可能であるために、磁気記録媒体の品質保持や幅寸法の保持には、効果があるものの、上述した低湿環境下での使用に際しての磁気ヘッドの表面に付着する僅かな汚れ(ステイン)の問題に対しては、十分な効果を奏することはできなかった。また、特許文献4や5はいずれも記録媒体が磁気テープでなくカードや切符で、それらの非磁性支持体は紙であり、データバックアップ用の磁気テープのような非磁性支持体が合成樹脂からなるベースフィルムである高密度記録媒体でなく、したがって何らの磁気テープの耐久信頼性についての示唆も開示も全くない。
本発明の目的は、低湿下でもエラーレートの劣化がない磁気テープを提供することである。また、あわせて磁気テープのもとになる塗料製造工程において大量に使用される有機溶剤にかえて環境負荷の小さな水媒体系の磁性塗料を用いた磁気テープを提供することである。
非磁性中間層のうえに厚みが0.1μm以下の磁性層が構成された重層構造をとる磁気テープにおいて、前記磁性層中の結合剤に水溶性樹脂を含ませることであり、より好ましくは前記磁性層および/または前記中間層中に吸水性樹脂を含んで成ることを特徴とする塗布型テープ状の磁気記録媒体である。
コンピューターのデータバックアップ用の重層構成の磁気テープの磁性層に水溶性の結合剤を含み、前記磁性層および/または前記中間層中に調湿機能を有する吸水性樹脂を含むので、磁気テープ表面近傍領域が調湿され、低湿環境下においても、エラーレートの劣化が防止できる。
本発明の磁気テープはいわゆる重層構造をとるが、重層構造を形成する方法は先に述べたウエット・オン・ウエットの同時重層塗布方式でもウエット・オン・ドライの逐次重層方式のいずれでもよいが、磁性層の磁性塗料は結合剤として水溶性樹脂が含まれるからウエット・オン・ウエットの同時重層塗布方式をとる場合は、非磁性層の塗料も水溶性樹脂としなければ水系と非水系(有機溶剤系)の塗料となって、上層の水系塗料の方が比重が大きいので上層塗料が下層にのめりこむような現象が生じて極めて塗布が困難となる。よって一度下層を塗布したあと乾燥させてから上層を形成するウエット・オン・ドライの逐次重層方式の方が上下層とも水系の同一溶剤系にした場合でも、下層を有機溶剤系にした場合でも界面の乱れが生じにくくて好ましい。非磁性支持体が一般には合成樹脂からなるベースフィルムなので塗料との濡れと成膜された層との接着性の点から下層は有機溶剤系の塗料がより好ましい。有機溶剤系に可溶なものは従来公知の多くの樹脂が含まれるので、下層に使用できる結合剤の種類も増える。上層に通常の有機溶剤系の磁性塗料を用いて、水溶性の結合剤と吸水性樹脂を、下層の非磁性層に含ませる考えもあるがこうした場合は、上層に通常の有機溶剤系の磁性塗料が下層の表面を覆うように塗布されることになり、磁気テープ表面近傍領域を調湿する機能が発揮できないと推測され、もっとも好ましいのは上層の磁性層に水溶性の結合剤と調湿機能を有する吸水性樹脂を含ませることである。そのうえで下層に水溶性の結合剤を用いたり、吸水性樹脂を下層の非磁性層に含ませることは何ら排除するものではない。
本発明の磁気テープに用いられる水溶性樹脂や吸水性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の水溶性樹脂や吸水性樹脂が用いられる。なお、本発明でいう結合剤としての水溶性樹脂と添加物として用いる吸水性樹脂は基本構成が同じものであっても、本質的に架橋されてないものを、結合剤として用いる水溶性樹脂という。すなわち、前者の結合剤として用いる水溶性樹脂は磁性塗料にあって磁性粉末を分散する機能が不可欠であるため水主体の溶媒に溶解することが必要であり、後者の添加物として用いる吸水性樹脂は吸水性、保湿性の機能があればよいので水分によって溶解はしないが膨潤する架橋されたものでもよい。換言すると架橋してない吸水性樹脂や水溶性樹脂は物質の構成で区別するより、その使われ方、すなわち分散機能を活かす場合は結合剤であり、保湿機能を活かすために添加される場合は吸水性樹脂として区別することになる。
<水溶性樹脂>
水溶性樹脂としては、例えば、天然高分子および半合成高分子として、デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、ジアルデヒド化デンプン、エステル化デンプンなどの変性デンプン化合物、アルギン酸ソーダ、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸化合物、カゼイン、ゼラチン、プルラン、デキストラン、キチン、キトサン、ゴムラッテクス、アラビアゴム、フノリ、天然ガム、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース化合物などが挙げられる。また、水溶性樹脂として合成高分子を用いることもでき、例えば、完全ケン化又は部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールと多価カルボン酸とのエステル化物、カルボキシ変性化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性化ポリビニルアルコール、オレフィン変性化ポリビニルアルコール、ニトリル変性化ポリビニルアルコール、アミド変性化ポリビニルアルコール、ピロリドン変性化ポリビニルアルコールなどの変性化ポリビニルアルコール化合物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、水溶性アルキド樹脂などを用いることができる。上記樹脂の中で、完全ケン化又は部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールと多価カルボン酸とのエステル化物、カルボキシ変性化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性化ポリビニルアルコール、オレフィン変性化ポリビニルアルコール、ニトリル変性化ポリビニルアルコール、アミド変性化ポリビニルアルコール、ピロリドン変性化ポリビニルアルコール等の変性化ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドが、吸湿性、ガラス転移温度、溶解性等の物性面で優れているため好ましく、特に、完全ケン化又は部分ケン化ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドが好ましい。高密度用の磁性粉は概ね0.1μm以下の微粒子であることから分散性のある結合剤が好ましく、天然高分子や半合成高分子には官能基としては水酸基かカルボキシル基程度しかないのでスルホン基やリン酸基の導入が可能な合成高分子を用いるのが好ましい。
完全ケン化又は部分ケン化ポリビニルアルコールを用いる場合、そのケン化度は、溶解性の観点から80〜100mol%であることが好ましく、更には85〜100mol%、特に90〜100mol%であることが好ましい。完全ケン化又は部分ケン化ポリビニルアルコールとしては、重合度500〜5000の範囲内にあるものを使用することができ、その分子量は、600〜3000であることが好ましく、800〜2000であることが特に好ましい。重合度が500以上であれば、分子量が小さくて母体となる膜であるバルクから低分子量成分が系外へ滲み出させるブルーミング(極端な場合テープ状端面からのブロッキング)等を生じることもなく、5000以下であれば、溶解時の粘度も適度であり、ダイ等の塗布設備を用いて、平滑に磁性層や中間層を塗布することが充分可能である。
ポリエチレンオキサイドとしては、分子量が10000〜1000000の範囲内にあるものを使用することができ、分子量50000〜500000のものを用いることが好ましく、分子量80000〜300000のものを用いることが特に好ましい。分子量が10000以上から、1000000以下が好ましいのはポリビニルアルコ−ルの場合と同様の理由である。
上記水溶性樹脂のガラス転移温度は、30〜120℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃以上であれば、ガラス転移温度が低いために樹脂が軟弱となって生じるブルーミングもなく、120℃以下であれば、テープ状になったときの適度のヘッドコンタクトを得るための柔軟性を備えた機械的強度にも優れている。
<吸水性樹脂>
調湿機能を有する吸水性樹脂としては具体的には下記(1)〜(6)のものが挙げられる。
(1)デンプン又はセルロース等の多糖類や単糖類(イ)と、水溶性単量体及び/若しくは加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂
(2)上記多糖類や単糖類(イ)と単量体(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物等)
(3)上記多糖類や単糖類(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等)
(4)上記単量体(ロ)と架橋剤(ハ)との共重合体
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合体
(6)アミノ酸を単量体としてポリペプチド化した重合体、及びそれの架橋体、及びそれらの塩
以上例示した(1)〜(6)の吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。これらの吸水性樹脂のうち、好ましいものは、(1)、(4)、(6)である。
中和塩の形態の吸水性樹脂である場合の塩の種類及び中和度については特に限定はないが、塩の種類としては好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、酸基(スルホ基、ホスホノ基及びカルボキシル基等の水中で酸性を示す官能基)に対する中和度は、酸基のモル数に対して、好ましくは50〜90モル%であり、より好ましくは60〜80モル%である。
上記(1)、(4)、(6)として例示したものの場合、架橋剤の使用量は、水溶性単量体と架橋剤の合計重量に基づいて、好ましくは0.001〜5重量%であり、より好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。架橋剤の量が0.001重量%より少ない場合は、吸水性樹脂の重要な機能である吸水・保水能力が小さくなり、吸水後のゲルは水可溶性成分を多く含みやすく、残存する水溶性単量体量も多くなる。更に、重合後の含水ゲル状重合体の乾燥性が低下し、生産性が非効率的である。一方5重量%を超える場合、逆に架橋が強くなりすぎ、吸水・保水能力が低下し、吸収速度も遅くなる。
このようにして得られる吸水性樹脂は、その平均粒子径が好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは5〜10μmである。平均粒子径が5μm以上であると、吸水時にいわゆる「ママコ」になりにくく均一に吸水/保水できる。
平均粒子径は重合条件によりコントロールすることもできる。平均粒子径は重量平均粒子径を意味する。
吸水性樹脂の吸水量は好ましくは100〜5000g/gであり、より好ましくは200〜1000g/gである。吸水量が100g/g以上であると吸水後の保水量も十分で周囲環境の湿度の調整が可能となる。上記吸水性樹脂の吸水量は、5000g/g程度が上限である。吸水量は上記の吸水性樹脂の種々の製造条件によりコントロールできる。
磁性層に含まれる、結合剤として用いる上記水溶性樹脂と吸水性樹脂との比率は、水溶性樹脂100重量部に対して吸水性樹脂が0.3〜5重量部が好ましい、0.5〜2.0重量部がより好ましい。この比率が好ましいのは、吸水性樹脂が0.3重量部より少ないとテープにしたときの保湿性が十分でなく、5重量部を超えると塗料作製中に媒体の水を吸収して体積が膨張して、分散機の分散エネルギーを緩衝することになって、磁性粉や他の添加剤の分散性を損なうからである。
テープの磁性層のための磁性塗料の作製工程のどの工程で吸水性樹脂を添加するかは随意であるが、従来の一般の磁性塗料作製における磁性粉を分散させるのが主要目的の結合剤としての水溶性樹脂の混練工程以後の、分散時、希釈時、粘度調節時などに添加するのが好ましい。
以下簡単に磁気テープ製造について説明する。
<磁気テープの構成>
本発明の磁気テープは、非磁性支持体、非磁性支持体の上に少なくとも1層の磁性層を有する構成で、高密度記録に寄与する磁性層は最上層磁性層である上層磁性層と非磁性支持体の間に下層を設けたいわゆる重層構成の磁気テープとするのが好ましい。また、磁性層形成面(記録面)とは反対の面にバック層を設けるのが好ましい。さらに、最上層磁性層の下に下層を介してサーボ信号を記録する下層磁性層を設けてもよい。
磁気テープの厚さ(磁気テープの総厚)は、8μm未満が好ましく、7μm未満がより好ましい。磁気テープの厚さが8μm以上では、リールに巻回できる磁気テープの全長が短くなって、磁気テープカートリッジ1巻当たりの容量が低下するためである。また、薄い非磁性支持体は得にくいのと、得られても高コストなので、磁気テープの厚さは通常5.5μm以上である。
<磁性塗料の調製>
磁気テープの磁性層には、粒子サイズが80nm以下の超微粒子磁性粉末を用いるのが好ましく、この磁性粉末を塗膜中に高充填化し、かつ高分散させるためには、下記のような工程で、塗料製造を行うのが好ましい。混練工程の前工程として、磁性粉末の顆粒を解砕機で解砕し、その後、混合機でリン酸系の有機酸等や結合剤樹脂と混合し、磁性粉の表面処理、結合剤樹脂との混合を行う工程を設けるのが好ましい。混練工程には、従来公知の混練機が使用できる。
本発明で一般の磁性塗料の調整と大きく異なるのは、結合剤樹脂として水溶性樹脂を含む点である。よって磁性塗料の調整も溶剤として一般の有機溶剤でなく、水もしくは水が90wt%以上を占めるアルコールやエーテルとの混合水を用いることである。したがって設備の塗料と接する表面の部分はすべて錆びない材質でできたものかコーテングされたものを使う必要がある。例えばセラミック材質やフッ素コーテングである。
また、一般に磁性塗料に含有される磁性粉と結合剤以外の構成材料も、無機固形物は水に良く分散するような処理をしたものや分散剤は水に可溶なものを使用することが必要である。
本発明における磁性層の好ましい塗布方法は下層非磁性層を塗布した後に乾燥処理を行い、記録層である磁性層を積層形成するという、いわゆるウェット・オン・ドライ方式である。よって磁性層に含有される磁性粉の配向には、通常の磁性塗料の場合の有機溶剤より乾燥速度の遅い水が主体の溶剤なので、磁性層塗料の乾燥位置と配向との関係から塗布速度を適宜調整して塗布することが重要である。塗布機器としては従来公知のグラビアダイ、ナイフコーター、エクストルージョン型ダイ等使用できるが上層磁性層の塗布はエクストルージョン型ダイで塗布するのが好ましい。
混練工程の後工程として、連続式2軸混練機か他の希釈装置を用いて、少なくとも1回以上の、結合剤樹脂溶液および/または溶媒を加えて混練希釈する工程、サンドミル等の微小メデイア回転型分散装置による分散工程等により塗料分散を行うのが好ましい。
磁気テープの長手方向のヤング率EMDは、5GPa以上が好ましく、7GPa以上がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの長手方向のヤング率は、5GPa未満になると、磁気テープが伸びたり、傷ついたりして、電磁変換特性が劣化する場合があるためである。
<非磁性支持体>
非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナフタレンテレフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等が使用される。
非磁性支持体の厚さは、用途により異なるが、通常2〜7μm、好ましくは2〜5μm、さらに好ましくは2〜4.5μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7μmを超えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
<磁性層>
磁性層は、少なくとも1層の、記録層として設けられる最上層磁性層からなり、この最上層磁性層の厚さは、5〜100nm以下が好ましい。90nm以下がより好まし。また、10nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、5nm未満では乾燥した下層表面上での均一厚さの磁性層形成が難しく、100nmを超えると厚さ減磁により再生出力の低下が起こりやすいためである。また、100nmを超える厚さで水主体系の塗料を塗布すると乾燥時間がかかり生産性効率が劣るからである。
磁気テープの最上層磁性層の残留磁束密度(Br)と厚さδとの積(Br・δ)が0.001μTm以上、0.06μTm以下が好ましい。Br・δは0.004μTm以上、0.04μTm以下がより好ましい。Br・δが0.001μTm未満だと、MRヘッドを使用した場合も再生出力(C)が小さくなり再生出力ノイズ比(C/N)が小さくなり、Br・δが0.06μTmを越えると、MRヘッドが飽和してノイズ(N)が高くなり再生出力ノイズ比(C/N)が小さくなるためである。
<下層>
本発明の磁気テープにおいては、最上層磁性層の平滑性の向上、耐久性の向上のため、下層を形成するのが望ましい。特に、磁性層厚さが90nm以下の磁気テープにおいては下層形成効果が大きい。また、最上層磁性層の磁気記録信号を乱さないため、通常、下層は非磁性である。
下層の厚さは、0.10〜1.5μmが好ましく、0.10〜1.0μmがより好まし好ましい。0.10μm未満では、非磁性支持体表面の凹凸を下層でマスクするという下層の機能が十分に活かされず、1.5μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなる。
下層の構成材料は、一度乾燥させる工程を経るので、従来の有機溶剤系の塗料に用いられる結合剤や添加剤を用いてもよい。もちろん、支持体との接着性を向上させた水溶性樹脂を採用することを妨げるものではない。上層の磁性塗料が水媒体系であることから、上層を塗布した際に、上下層界面の乱れを極力おさえる目的では溶剤が全く相溶しない有機溶剤系の方が好ましい。以下は下層の塗料が有機溶剤系の場合について述べる。水溶性樹脂や吸水性樹脂を用いる場合は磁性層のところで記述したことと基本的には同様である。
下層には、塗料粘度やテープ剛性の制御の目的で、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどの非磁性粉末を含ませることができる。非磁性の酸化鉄には、針状のほか、粒状または無定形のものがある。針状のものは、平均長軸長50〜150nmが好ましく、粒状または無定形のものは、平均粒径5〜150nmであるのが好ましい。5〜100nmであるのがより好ましい。粒径が上記よりも小さいと均一分散が難しく、また上記よりも大きいと下層の表面の凹凸が影響して磁性層の表面の平滑性を損なう。
下層には、導電性改良の目的で、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックを含ませることができる。
これらのカーボンブラックは、平均粒径が通常5〜150nmであるのが好ましく、より好ましくは10〜100nmである。カーボンブラックは、ストラクチャー構造を持っており、平均粒径が小さすぎるとカーボンブラックの分散が難しくなり、大きすぎると表面平滑性が悪くなる。なお、表面平滑性を損なわない範囲で、平均粒径が前記範囲を超える大粒径のカーボンブラックを含ませることを排除するものではない。この場合、下層へのカーボンブラックの添加量は、両者のカーボンブラックを合わせて、無機粉末100重量部に対して、通常5〜70重量部、とくに15〜50重量部とするのが好ましい。
<水溶性樹脂や吸水性樹脂以外の結合剤>
下層に使用する結合剤には、水溶性樹脂や吸水性樹脂を用いる場合は前述した結合剤と同じものが使用できる。溶剤に有機溶剤系を使用する場合は、磁性層の塗料に使用するものと同様の樹脂が使用できて、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース、エポキシ樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂との組み合わせがある。
とくに、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂とを併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
これらの結合剤は、磁性粉末などの分散性を向上し、充填性を上げるために、官能基を有するものが好ましい。官能基には、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)(Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアミン塩)、OH、NR1R2、NR3R4R5(R1,R2,R3,R4,R5は水素または炭化水素基、通常その炭素数が1〜10である)、エポキシ基などがある。2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SOM基同士の組み合わせが好ましい。
これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましく用いられる。
<潤滑剤>
有機溶剤系の磁性塗料で形成される磁性層には従来公知の潤滑剤を添加できるが、水主体の溶剤系の磁性塗料の場合は、脂肪酸,脂肪酸エステル,アミドなどは基本的に水へのの溶解性が低いので通常の有機溶剤系の場合より少量の添加にするか、グラファイト,モリブデンのような固形潤滑剤を用いるのも好ましい。有機溶剤系を用いた場合の塗料の下層には、従来公知の潤滑剤を添加でき、その添加量も公知の量でよい。例えば、下層にミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸と、ステアリン酸ブチルなどの高級脂肪酸のエステルが使用できる。ただし、ウエット・オン・ドライ方式で磁性層を塗布するうえに上層の磁性層は水系塗料から形成されるので、上下層とも有機溶剤系の塗料でウエット・オン・ウエットで塗布されるテープのような下層の潤滑剤が上層へ供給されて上層のテープ表面まで運ばれるという機能はほとんど期待できない。よってバックコート層に潤滑剤を含ませてテープが巻回されて保存されるときにバックコート層から磁性層表面への潤滑剤の転移による潤滑効果を期待する方法も好ましい。
<分散剤>
下層や磁性層に含まれる非磁性粉末やカーボンブラック、磁性粉末は、結合剤(バインダ樹脂)による分散性を良くするため、適宜の分散剤で表面処理することができる。また、上記各粉体を含む下層、磁性層を形成するための塗料中に適宜の分散剤を添加してもよい。分散剤としては、リン酸系分散剤、カルボン酸系分散剤、アミン系分散剤、キレート剤、各種シランカップリング剤などが好適なものとして用いられる。これらの分散剤は、混練前処理工程、混練工程や初期分散工程の後に配合するのが好ましい。リン酸系分散剤としては、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチルなどのアルキルリン酸エステル類、フエニルホスホン酸、モノオクチルフエニルホスホン酸などの芳香族リン酸類などが挙げられる。また、カルボン酸系分散剤としては、炭素数12〜18個の脂肪酸、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸などが用いられる。また、上記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、上記脂肪酸のアミド、上記脂肪酸のエステルまたはこれにフッ素を含ませた化合物、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩、銅フタロシアニン、安息香酸、フタル酸、テトラカルボキシルナフタレン、ジカルボキシルナフタレン、炭素数12〜22の脂肪酸などが挙げられる。アミン系分散剤としては炭素数8〜22の脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン、アルコキシアルキルアミン等がある。さらに、キレ―ト剤としては、1,10−フエナントロリン、EDTA、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、グリシン、ジチアゾン、ニトリロ三酢酸などが挙げられる。これらは、単独でも組み合わせて使用してもよい。なお、本発明の磁性塗料には水主体の溶剤にも可溶なリン酸系分散剤を使用するのが好ましい。 分散剤は、いずれの層においても結合剤100重量部に対して通常、0.5〜10重量部の範囲で添加するのが好ましい。結合剤100重量部に対して1.0〜8重量部の範囲で添加するのがより好ましい。上記の範囲が好ましいのは0.5重量より少ないと分散剤の効果があらわれず、20重量部を超えて添加するとテープ化後に表面にブリードアウトしたり、ヘッドに貼りついたりするからである。
<バック層>
本発明の磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的として、バック層を形成するのが望ましい。
バックコート層としては、カーボンブラックとバインダ樹脂からなるバックコート層が一般的である。このようなバックコート層の厚さとしては、0.2〜0.8μmが好ましい。また、表面粗さRaとしては、3〜10nmが好ましく、4〜8nmがより好ましい。
バックコート層に含ませるカーボンブラックには、従来公知のアセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等の小粒径カーボンブラックと、少量の大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックの数平均粒子径は5〜100nmで、大粒径カーボンブラックの数平均粒径200〜400nmである。
バックコート層のバインダ樹脂としては、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂を使用するのが好ましい。また、バインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物等の架橋剤を用いるのが好ましい。
本発明のバックコート層には、先に述べたように磁性層表面にバックコート層からの転移を期待して、バックコート層中のカーボンブラックおよび無機粉末の合計量100重量部に対して、0.5〜8.0重量部の潤滑剤を含むようにするのが好ましい。
潤滑剤の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸ブチル、
ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イ
ソオクチル、ミリスチン酸オクチルなどが挙げられる。
<下層およびバックコート塗料の調整>
下層塗料、バックコート塗料の調製にあたり、従来から公知の塗料製造装置および方法が採用でき、とくにニーダなどによる混練工程や一次分散工程を併用するのが好ましい。一次分散工程では、サンドミルを使用すると、充填剤、カーボンブラックなどの分散性の改善とともに、表面性状を制御できるので、望ましい。
また、非磁性支持体上に、下層塗料、バックコート塗料を塗布する際には、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージヨン塗布などの従来から公知の塗布方法が用いられる。
<有機溶剤>
本発明の塗布型磁気テープ用の、下層塗料、バックコート層塗料に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用でき、さらにトルエンなどと混合して使用することもできる。
水溶性樹脂を含む磁性塗料に使用する有機溶剤としては水に可溶のアセトン、エーテル、アルコール類が好ましい。水との混合においては水溶性樹脂が溶解可能であるならば溶剤の添加比率に制限はないが、塗布後の乾燥で環境に負荷を与えないように大気中に蒸発させることから全混合溶剤中15wt%以下が好ましい。10wt%がより好ましい。

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<下層塗料成分>
(1)成分
非磁性針状酸化鉄粉末(平均粒径:100nm、軸比:5) 68部
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 8部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
ステアリン酸 2.0部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SONa基:1×10−4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SONa基:1×10−4当量/g)
シクロヘキサノン 25部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 10部
(2)成分
吸水性樹脂(住友精化アキアキープ) 0.14部
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 20部
(3)成分
ポリイソシアネート 1.4部
シクロヘキサノン 10部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 10部
上記の下層塗料成分のうち、(1)成分を回分式ニーダで混練したのち、(2)成分を加えて、攪拌後、サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)成分を加えて、攪拌、ろ過したのち、非磁性下層塗料とした。
<磁性塗料成分>
(1)混練工程成分
Fe−Co系金属磁性粉末A:100重量部
(長軸長0.1μm、Co/Fe=30atm%、比表面積=47m/g、
飽和磁化=150Am/kg、保磁力=184kA/m) 100部
水溶性ポリエステル(互応化学社製プラスコート) 17.5部
メチルアシッドホスフェート 2部
水 20部
エチレングリコールモノエチルエーテル(EC) 2部
(2)希釈工程成分
パルミチン酸アミド 1部
ステアリン酸n−ブチル 0.7部
水/EC(重量で9:1) 350部
吸水性樹脂(住友精化アキアキープ) 0.18部
(3)別分散スラリー成分
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 10部
水溶性ポリエステル(互応化学社製プラスコート) 1部
水/EC(重量で9:1) 15部
(4)配合工程成分
イソシアネート 1.5部
水/EC(重量で9:1) 29部
(1)の混練工程成分中、磁性粉末全量と樹脂および溶剤の所定量を予め高速撹拌混合しておき、その混合粉末を(1)の混練工程成分となるように調整したのち、連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)の希釈工程成分を加えて、連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで分散メディアとして直径0.5mmのジルコニアビ−ズを用いて、滞留時間を45分として分散した。これに(3)の別分散スラリー成分をサンドミルで滞留時間を40分として分散したものを加え、さらに(4)の配合工程成分を加えて、撹拌、ろ過したのち、磁性塗料とした。
<バックコート層用塗料成分>
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒径:350nm) 10部
粒状酸化鉄粉末(平均粒径:50nm) 10部
ミリスチン酸 0.6部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂(SONa基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
上記バックコート層用塗料成分を、サンドミルで滞留時間45分として分散したのち、ポリイソシアネート15部を加えて、ろ過したのち、バックコート層用塗料を調製した。
厚さ6μmのポリエステルフイルムの一方の主面上に、まず、上記の非磁性下層塗料を塗布し、乾燥処理及びカレンダ処理を行って、厚さ1.0μmの非磁性層を形成した。つぎに、この非磁性層表面上に上記磁性塗料を塗布し、乾燥処理及びカレンダ処理を行って、厚さ80nmの磁性層を形成した。次に、ポリエステルフイルムの他方の主面に、上記のバックコート層用塗料を塗布し、乾燥処理及びカレンダ処理を行って、厚さ0.6μmのバックコート層を形成した(ジャンボロール)。その後、ジャンボロールを1/2インチ幅に裁断してパンケーキを形成し、磁性層にサーボライターを用いてサーボ信号を記録して、LTOカートリッジ用の磁気テープを作製した。この磁気テープをLTOカートリッジに組み込み、評価用磁気テープカートリッジとした。
(実施例2)
下層塗料成分から吸水性樹脂(住友精化アキアキープ)を省いた以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(実施例3)
磁性塗料成分の希釈工程成分から吸水性樹脂(住友精化アキアキープ)を省いた
以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(実施例4)
磁性塗料成分の希釈工程成分および下層塗料成分から吸水性樹脂(住友精化アキアキープ)を省いた以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(実施例5)
水溶性ポリエステル(互応化学社製プラスコート)を水溶性のエチレンビニルアルコール(日本合成化学製EVA)に変えた以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(実施例6)
水溶性ポリエステル(互応化学社製プラスコート)を水溶性ポリウレタン(第一工業製薬製エラストロン)に変えた以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッ
ジを作製した。
(実施例7)
下層用塗料の成分を以下のように変えた以外は実施例6と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
<下層塗料成分>
(1)成分
非磁性針状酸化鉄粉末(平均粒径:100nm、軸比:5) 68部
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 8部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
ステアリン酸 2.0部
水溶性ポリエステル(互応化学社製プラスコート) 13.2部
水 70部
EC 6部
(2)成分
ステアリン酸ブチル 1部
水/EC (重量で9:1) 140部
(3)成分
イソシアネート 1.5部
水/EC(重量で9:1) 10部
(実施例8)
磁性層の乾燥後の厚みが80nm、非磁性層の乾燥後の厚みが1.0μmとなるように調節してウエット・オン・ウエットの同時重層した以外は実施例7と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(比較例1)
磁性層用磁性塗料を下記の様に変更した以外は実施例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
<磁性塗料成分>
(1)混練工程成分
Fe−Co系金属磁性粉末A:100重量部
(長軸長0.1μm、Co/Fe=30atm%、比表面積=47m/g、
飽和磁化=150Am/kg、保磁力=184kA/m) 100部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体
(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g) 13部
メチルアシッドホスフェート 2部
ポリエステルポリウレタン樹脂
(含有−SONa基:1.0×10−4当量/g) 4.5部
メチルアシッドホスフェート 2部
テトラヒドロフラン 20部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 9部
(2)希釈工程成分
パルミチン酸アミド 1.5部
ステアリン酸n−ブチル 1部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 350部
(3)別分散スラリー成分
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 10部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 1部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 15部
(4)配合工程成分
ポリイソシアネート 1.5部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 29部
(比較例2)
比較例1において、非磁性層と磁性層をウエット・オン・ウエットで同時重層塗布した以外は比較例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(比較例3)
比較例1において、下層非磁性層を実施例7の非磁性塗料に変えた以外は比較例1と同様にして評価用磁気テープカートリッジを作製した。
(参考例)
実施例1における上層用磁性塗料(溶剤が水系)と下層用非磁性塗料(有機溶剤系)を用いて同時重層塗布方式での層形成を実行したが、上層塗料が下層塗料より比重が大きく、下層中に上層塗料が沈みこむ現象となって塗布による成膜そのものができずに重層構成のテープがえられなかった。
以下本発明の評価方法を述べる。
<耐久性の評価>
20℃,10%RHの環境下で磁気テープにおけるデータ記録可能領域の全てにデータを書き込み、磁気テープに書き込んだデータを読み出すのを1サイクルとして、100サイクル走行(100回の録再を繰り返す)を行った。各サイクルごとに、エラーレート劣化に伴う記録容量の推移を求めた。エラーレートが増加し、使用できる領域の容量(記録容量)の低下量で耐久性を評価した。各実施例と比較例の試料はn=3巻で行った。その評価結果を次のようにした。記録容量の低下量が0の場合を「○」、記録容量の低下量が10%未満の場合を「△」、記録容量の低下量が10%以上の場合を「×」とした。コンピュータのバックアップ用磁気テープとしては、100サイクル走行後で記録容量の低下量が10%未満の場合の「△」評価であれば実用上問題ないレベルである。
表1、2に低湿度環境下での耐久性試験の結果を示す。それらの各々のテープが初めて△または×の評価となったときのサイクル数をまとめた。△や×表示で終わってるテープは100サイクルまでそのレベルを維持したことを示す。
Figure 2010086617
Figure 2010086617
表1、2の結果から明らかなように、20℃,10%RHという低湿度環境下での耐久性試験において、上層の磁性層中に結合剤として水溶性樹脂を含み、磁性層および/または中間層(下層)中に保湿機能を有する吸水性樹脂を含んだ実施例1から5の磁気テープは、いずれも従来の樹脂を使用した比較例1から3の磁気テープに比べて記録容量の低下が極めて少ないことがわかる。また、予想されたように下層非磁性層に水溶性樹脂と、調湿機能を有する吸水性樹脂を含ませても、その上に従来の樹脂を結合剤として使用した有機溶剤系の塗料を用いた場合(比較例3)は、磁性層の表面は従来と変わらないので下層の保湿機能や親水性機能は上層によってマスキングされたことになって効果はほとんどないことがわかる。

Claims (2)

  1. 非磁性支持体の一方の面に結合剤と無機粉末を含む中間層の上に少なくとも一層からなる強磁性粉末および結合剤を含む磁性層の厚みが0.1μm以下の磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層中の結合剤は水溶性樹脂を含むことを特徴とする塗布型テープ状の磁気記録媒体。
  2. 前記磁性層および/または前記中間層中に吸水性樹脂を含んで成ることを特徴とする請求項1に記載の塗布型テープ状の磁気記録媒体。
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