JP2010084261A - 生分解性繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、柔軟性と耐屈曲摩耗性に優れた生分解性繊維であって、毛羽や糸切れ等がなく品位の高い繊維であり、強度の低下の割合が少なく、耐屈曲摩耗性と強度とのバランスに優れた生分解性繊維を提供しようとするものである。
【解決手段】
可塑剤を含有した生分解性ポリマーからなる繊維であって、前記可塑剤が平均重合度1〜12のグリセリン誘導体であり、繊維質量に対し0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする生分解性繊維。
【選択図】なし
Description
本発明は、グリセリン誘導体を含有した生分解性繊維であって、耐屈曲摩耗性に優れた生分解性繊維に関する。
生分解性ポリマーは、微生物由来等の酵素により、自然環境下で容易に分解するため、他の動植物や環境への負荷が少ない素材であるとして、様々な分野で注目を集め、その産業分野での利用に向けて研究開発が進められている。
その中でも、脂肪族ポリエステルからなるポリ乳酸は、植物から抽出した澱粉を発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では力学特性、耐熱性、コストのバランスが最も優れ、使用後には微生物が多数存在する環境下や海水、淡水の存在する環境下に放置すると完全に分解消失する性質を有しており、これを利用した樹脂製品、繊維、フィルム、シート等の開発が急ピッチで行われている。
しかしながら、ポリ乳酸を始めとする生分解性ポリマーは、ポリオレフィン等に比べ柔軟性に乏しく、表面摩擦係数が高いことから耐屈曲摩耗性に劣るという欠点があり、耐摩耗性、耐屈曲摩耗性が要求される分野に参入するにあたっては解決しなければならない課題が多くあり、従来、産業資材、土木資材、衣料、インテリア、車両内装材等の分野への用途展開は十分には進んでいなかった。
ところで、繊維の耐屈曲摩耗性や工程通過性を向上させる手段としては、添加剤や滑剤を添加する手法がいくつか提案されている。例えば特許文献1では、ポリ乳酸繊維に脂肪酸ビスアミド及び/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0質量%含有したポリ乳酸を溶融紡糸し、脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エーテルエステル、シリコーン、鉱物油から選ばれる平滑剤を少なくとも1種類含有する紡糸油剤を付与した繊維が提案されている。特許文献2では、ポリエステルに滑性を付与する方法として、粒径が50μm以下のフッ素樹脂を添加する方法が提案されている。 しかし、これらの方法では、異ポリマーを混練しているため強度が十分に上がらなかったり、耐摩耗性と強度とのバランスが悪いという問題があり、加えて十分な耐屈曲摩耗性を有するには至っていない。
また、特許文献3では、耐屈曲摩耗性を高める方法として、金属粒子を添加する方法が、特許文献4ではポリエステルとナイロンとの芯鞘型複合繊維とする方法が、それぞれ提案されている。これらの方法により得られる繊維は、耐屈曲摩耗性はある程度改善されるものの、ローラー表面等の接触部分が摩耗し、長時間の安定した操業が困難となるという問題点があった。
したがって、これらの手段ではポリ乳酸を始めとする生分解性ポリマーからなる繊維に対して、耐屈曲摩耗性を向上させるための好適な手法はまだ見出されておらず、新たな観点に基づく改善手法の開発が求められている。
本発明は、上記のような問題点を解決し、柔軟性と耐屈曲摩耗性に優れた生分解性繊維であって、毛羽や糸切れ等がなく品位の高い繊維であり、強度の低下の割合が少なく、耐屈曲摩耗性と強度とのバランスに優れた生分解性繊維を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記のような課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の化学構造を持つ可塑剤を所定量含有した生分解性ポリマーを繊維化することで、柔軟性が高く、力学強度と耐屈曲摩耗性とのバランスに優れ、繊維品位の良好な生分解性繊維が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の生分解性繊維は以下の構成を要旨とする。
(a)可塑剤を含有した生分解性ポリマーからなる繊維であって、前記可塑剤が平均重合度1〜12のグリセリン誘導体であり、繊維質量に対し0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする生分解性繊維。
(b)生分解性ポリマーが、ポリ乳酸であることを特徴とする(a)記載の生分解性繊維。
(a)可塑剤を含有した生分解性ポリマーからなる繊維であって、前記可塑剤が平均重合度1〜12のグリセリン誘導体であり、繊維質量に対し0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする生分解性繊維。
(b)生分解性ポリマーが、ポリ乳酸であることを特徴とする(a)記載の生分解性繊維。
本発明の生分解性繊維は、特定構造のグリセリン誘導体を所定量含有しているため、耐屈曲摩耗性に優れている。すなわち、本発明の生分解性繊維は、繊維内部に含有されるグリセリン誘導体が繊維に柔軟性を付与させ、外部からの衝撃を吸収し、クラックの発生や伝播を抑制することで耐摩耗性を向上させることとなり、これらの相乗効果により耐屈曲摩耗性がより優れたものとなっている。
本発明の生分解性繊維は、可塑剤として特定構造のグリセリン誘導体を含有しているため、生分解性ポリマー、特にポリ乳酸との相溶性に優れ、30質量%もの高濃度に添加した場合であっても、毛羽や糸切れ等を起こすことなく製糸等を行うことができる。
したがって、本発明の生分解性繊維は、力学強度と耐屈曲摩耗性とのバランスに優れた繊維であるため、産業資材用途などのような繰り返し屈曲の係る用途分野においても好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の生分解性繊維としては、生分解性ポリマーを主たる構成成分として溶融紡糸してなる繊維である。
本発明の生分解性繊維としては、生分解性ポリマーを主たる構成成分として溶融紡糸してなる繊維である。
本発明における生分解性ポリマーとしては、バイオマス由来のポリマーであっても、化学的に合成されたポリマーであってもよいが、微生物由来等の酵素による酵素分解あるいは加水分解に引き続く酵素分解を受けやすい熱可塑性ポリマーであることが必要である。具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのポリ−α−ヒドロキシ酸、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリ−(β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸)などのポリ−β−ヒドロキシアルカノエート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−ε−カプロラクトンなどのポリ−ω−ヒドロキシアルカノエートなどが挙げられ、中でも生分解性や耐熱性等の観点から、ポリ乳酸が好ましい。
ここで、本発明におけるポリ乳酸としては、具体的には、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体等を挙げることができる。
そこで、本発明におけるポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の共重合比(モル比)であるL/D又はD/Lが、82/18以上のものが好ましく、中でも90/10以上、さらには95/15以上とすることが好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸としては、得られた繊維の強度等の特性を良好にするために、数平均分子量は高いほど好ましく、5万以上であることが好ましく、中でも10万以上、さらには20万以上であることが好ましい。該数平均分子量が5万よりも低い場合には繊維の強度が低下するため好ましくない。
本発明の生分解性繊維としては、上記のような生分解性ポリマーを主体成分とするものであるが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分をブレンド又は共重合していてもよい。
本発明の生分解性繊維としては、可塑剤として、平均重合度1〜12のグリセリン誘導体を繊維質量に対し0.1〜30質量%含有していることが必要である。また、本発明の生分解性繊維としては、上記のような特定の可塑剤を含有することで柔軟性が向上するものであり、ヤング率が70cN/dtex以下であることが好ましく、60cN/dtexであることがより好ましい。生分解性繊維のヤング率が70cN/dtexを超える場合、繊維は柔軟性に乏しいものとなり、摩耗によって生じたクラック等の欠損部分が伝播し破壊しやすくなるため、耐屈曲摩耗性の向上効果を得にくいものとなり好ましくない。
一般に、生分解性ポリマーは柔軟性に乏しく、表面摩擦係数が高いため、繊維化した場合、摩擦によって繊維の構造要素(分子鎖、結晶、フィブリル等)が表面から逐次損傷、破壊される。破壊で生じたクラック等の欠損部分は、伝播して繊維構造の破断に至る。したがって、生分解性繊維は各種の加工工程によってダメージを受け毛羽が発生し、品位が乏しくなる場合がある。
また、繊維用途においては、従来、良好な可塑剤を見出せていなかったため、可塑剤を添加し上記の問題を改善しようとした場合、逆に毛羽や糸切れ等の多いものとなり、繊維の品位が低下するというものであった。
本発明における生分解性繊維は、特定構造のグリセリン誘導体である可塑剤を含有することによって、毛羽や糸切れ等を生じることなく、従来の生分解性繊維に比べて柔軟性が向上し、摩耗による外部からの衝撃を吸収しやすくなることでクラック等の欠損部分の発生を抑制でき、これにより優れた耐屈曲摩耗性を有することとなる。
本発明における可塑剤としては、具体的には、モノグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン等のグリセリン重合体、またはこれらの脂肪族エステル等の誘導体が挙げられ、例えばトリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、トリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビス−チオグリコレート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノリシノレートトリアセテート、グリセリンモノアセトモノモンタネート、ポリオキシエチレングリセリントリアセテート、ジグリセリンテトラアセテート、ポリグリセリンモノラウレートアセテート、C8,C10アセチル化モノグリセリドが挙げられる。これらは単独もしくは任意の組み合わせの混合物として使用する事ができる。
本発明における可塑剤としては、上記のような成分からなるものであるが、その平均重合度は、1〜12であることが必要であり、2〜6であることが好ましく、2〜4であることが更に好ましい。当該可塑剤の平均重合度が13を超える場合、得られた生分解性繊維は柔軟性に乏しいものとなり、硬くて脆いものとなってしまう。
また、これらの可塑剤は、従来の可塑剤に比べ優れた効果を発現させるものであるが、その含有量によっては、最終製品の結晶化度、柔軟度、耐熱性等に影響を及ぼすものとなる。例えば、添加量が多過ぎると、可塑剤がブリードアウトしたり、結晶化度及び耐熱性が低下する傾向となり、また少なすぎると十分な柔軟性が得られない傾向となる。
このような観点から、本発明における可塑剤の含有量としては、繊維質量に対し0.1〜30質量%含有していることが必要であり、1〜10質量%含有されていることが好ましい。当該可塑剤の含有量が0.1質量%未満の場合、生分解性ポリマーが十分に可塑化されないため、得られた生分解性繊維は柔軟性に乏しく、ヤング率が70cN/dtexを超えたものとなる。一方、可塑剤の含有量が30質量%を超える場合、繊維化後に可塑剤がブリードアウトしてしまい、糸条同士のブロッキングにより解舒不能となり、製品として使用が困難になってしまう。
本発明の生分解性繊維としては、繊維構造として特に限定されるものではなく、グリセリン誘導体を含有した生分解性ポリマーのみから構成される単繊維や中空繊維、あるいは本発明におけるグリセリン誘導体を含有しない他のポリマーとの複合繊維等のいずれの形態を選択することもできる。例えば、複合繊維とした場合、グリセリン誘導体を含有した生分解性ポリマーを鞘成分とした芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、海島型複合繊維、あるいは他の異形断面複合繊維など、適宜選択することができる。また、複合繊維を紡糸するにあたっては、通常の手法を選択して行うことができる。
また、複合繊維とした場合、繊維表面でのグリセリン誘導体の耐屈曲摩耗性への寄与を効果的に発現させるために、本発明の生分解性繊維としては、上記のグリセリン誘導体を含有した生分解性ポリマーが、繊維表面の少なくとも一部で露出しているように配されていることが好ましい。具体的には、繊維表面の25%以上を該生分解性ポリマーが露出して配されていることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、最も好ましくは全繊維表面を該生分解性ポリマーが占めている場合である。これにより、本発明の生分解性繊維は、外部との接触する面が当該生分解性ポリマーとなる頻度が高くなるため、全体としての耐屈曲摩耗性が効果的に向上することとなる。これらの場合においても、生分解性繊維において、グリセリン誘導体を0.1〜30質量%含有していることが必要である。
また、本発明の生分解性繊維が複合繊維である場合、グリセリン誘導体を含有した生分解性ポリマーとともに用いる他の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではないが、得られた繊維が生分解性を有するためには、生分解性ポリマーであることが好ましい。
本発明の生分解性繊維としては、複数本の単糸からなるマルチフィラメントであってもよく、単糸1本からなるモノフィラメントのいずれであってもよい。ここで、生分解性繊維がマルチフィラメントの場合、単糸繊度が1〜200dtexであることが好ましく、総繊度は30〜3000dtexであることが好ましい。また、生分解性繊維がモノフィラメントの場合は、150〜10000dtexであることが好ましい。さらに、本発明の生分解性繊維は、長繊維としても短繊維としてもよい。
本発明の生分解性繊維がモノフィラメントの場合、単糸の断面形状としては、丸断面の他、異形断面、中空断面でもよい。また、複合繊維の場合、その横断面構造は芯鞘型や貼り合わせ型のほか、並列型(サイドバイサイド)、多重並列型(縞状)、分割型、多層型、放射状型、海島型等の複合断面でもよい。
また、本発明の生分解性繊維としては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加することができる。
次に、本発明の生分解性繊維(マルチフィラメント、長繊維)の製造方法について、ポリL−乳酸の場合を一例として説明する。
まず、ポリL−乳酸の製造については、例えば、L−乳酸を原料として、一旦環状二量体であるラクチドを生成させ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法を採用することができる。あるいは、L−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法であっても製造できる。
まず、ポリL−乳酸の製造については、例えば、L−乳酸を原料として、一旦環状二量体であるラクチドを生成させ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法を採用することができる。あるいは、L−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法であっても製造できる。
また、紡糸工程については通常の手法を採ることができる。例えば単繊維の場合、特定構造のグリセリン誘導体を予め高濃度に含有したポリ乳酸チップを製造(マスターチップ化)しておき、製糸時に、これとポリ乳酸チップとを、特定構造のグリセリン誘導体の濃度が所定の範囲になるように混合するか、又は直接特定構造のグリセリン誘導体とポリ乳酸チップを混合し、これを用いて溶融紡糸を行う。溶融紡糸した後、糸条を冷却し、油剤を付与し、一旦未延伸糸として巻取った後、又は一旦巻取ることなく引き続いて延伸を施す。このとき、延伸倍率は2〜8倍とし、加熱ローラーを用いて、120〜180℃での熱延伸、巻取り操作を連続して行い、目的とする生分解性繊維を得る。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
(1)相対粘度
フェノールと四塩化エタンの混合物(質量比;1/1)を溶媒とし、試料濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
(2)融点
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichir AL 0A 6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(4)引張強度、ヤング率(cN/dtex)
得られた繊維について、島津製作所社製オートグラフ AG−1型を用い、試料長25cm、引張速度25cm/min、初荷重を0.05g/dtexとして測定した。引張強度については、比較例1の乳酸繊維(可塑剤無添加)のとの対比において60%以上であれば合格とした。
(1)相対粘度
フェノールと四塩化エタンの混合物(質量比;1/1)を溶媒とし、試料濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
(2)融点
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichir AL 0A 6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(4)引張強度、ヤング率(cN/dtex)
得られた繊維について、島津製作所社製オートグラフ AG−1型を用い、試料長25cm、引張速度25cm/min、初荷重を0.05g/dtexとして測定した。引張強度については、比較例1の乳酸繊維(可塑剤無添加)のとの対比において60%以上であれば合格とした。
(5)耐屈曲摩耗性(回)
フィラメントに150gの荷重をかけ、SIANOR#1600のサンドペーパーを巻きつけた直径20mmの丸断面金属棒に、90度の角度で接触させ、トラバース速度6.7mm/min、ストローク速度35回/minの速度条件で往復摩擦させ、フィラメントが破断に至るまでの回数を測定し、以下の4段階で評価した。(400回以上で合格とした。)
×:399回以下、△:400〜500回、○:501〜1000回以下、◎:1001回以上
フィラメントに150gの荷重をかけ、SIANOR#1600のサンドペーパーを巻きつけた直径20mmの丸断面金属棒に、90度の角度で接触させ、トラバース速度6.7mm/min、ストローク速度35回/minの速度条件で往復摩擦させ、フィラメントが破断に至るまでの回数を測定し、以下の4段階で評価した。(400回以上で合格とした。)
×:399回以下、△:400〜500回、○:501〜1000回以下、◎:1001回以上
(実施例1)
L体とD体の比率(L/D比)が98.5/1.5であるポリ乳酸(PLA)(融点170℃、相対粘度2.10)に、平均重合度2のジグリセロールテトラアセテート(理研ビタミン社製、PL−710)を加えて溶融混練した後にペレット化し、濃度50%のマスターチップを作製した。
L体とD体の比率(L/D比)が98.5/1.5であるポリ乳酸(PLA)(融点170℃、相対粘度2.10)に、平均重合度2のジグリセロールテトラアセテート(理研ビタミン社製、PL−710)を加えて溶融混練した後にペレット化し、濃度50%のマスターチップを作製した。
ポリ乳酸チップに、前記マスターチップを可塑剤濃度が繊維質量に対して1.0質量%になるようにブレンドして、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、溶融混練した。紡糸口金(面径230mmφ、孔径0.35mmφ、孔数140ホール)より、紡糸温度225℃で紡出した後、糸条を冷却し紡糸油剤を付与した。続いて一旦巻取ることなく、延伸温度130〜150℃、延伸倍率6.8倍で熱延伸を施し、繊度1100dtex、強度5.80cN/dtexのマルチフィラメントを得た。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
実施例1において、可塑剤の平均重合度並びに繊維中の可塑剤濃度を表1に示した値となるように、可塑剤の種類並びにマスターチップの添加量を変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例1において、可塑剤の平均重合度並びに繊維中の可塑剤濃度を表1に示した値となるように、可塑剤の種類並びにマスターチップの添加量を変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
表1から明らかなように、本発明における特定構造のグリセリン誘導体を所定量含有させた生分解性繊維では、実施例1〜6のいずれの場合においても、繊維強度の大きな低下はなく、柔軟性に富み(ヤング率が低い)、耐屈曲摩耗性に優れたものとなった。
一方、本発明における可塑剤を含まない比較例1では、耐屈曲摩耗性に乏しく、可塑剤の含有量が多すぎる比較例2では、可塑剤のブリードアウトが発生し、得られた繊維の解舒はできなかった。また、平均重合度が所定値以上である可塑剤を使用した比較例3では、逆に得られた繊維は硬くて脆いものとなり、物性測定には耐えないものであった。
Claims (2)
- 可塑剤を含有した生分解性ポリマーからなる繊維であって、前記可塑剤が平均重合度1〜12のグリセリン誘導体であり、繊維質量に対し0.1〜30質量%含有されていることを特徴とする生分解性繊維。
- 生分解性ポリマーが、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1記載の生分解性繊維。
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WO2017099169A1 (ja) * | 2015-12-08 | 2017-06-15 | Bioworks株式会社 | ポリ乳酸樹脂繊維、ポリ乳酸長繊維、ポリ乳酸短繊維およびポリ乳酸繊維 |
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WO2017099169A1 (ja) * | 2015-12-08 | 2017-06-15 | Bioworks株式会社 | ポリ乳酸樹脂繊維、ポリ乳酸長繊維、ポリ乳酸短繊維およびポリ乳酸繊維 |
JPWO2017099169A1 (ja) * | 2015-12-08 | 2018-09-27 | Bioworks株式会社 | ポリ乳酸樹脂繊維、ポリ乳酸長繊維、ポリ乳酸短繊維およびポリ乳酸繊維 |
US10550495B2 (en) | 2015-12-08 | 2020-02-04 | Bioworks Corporation | Polylactic acid resin fiber, polylactic acid long fiber, polylactic acid short fiber, and polylactic acid fiber |
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