JP2010084153A - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の異なる材料からなる蒸発源のそれぞれに対して、複数の蒸発用圧力勾配型Arプラズマガンからのプラズマビームを照射して、蒸発源を粒子として蒸発・プラズマ化し、所望の成分組成、均質性、結晶形態、密着性、強度・硬度等を備えた物理蒸着膜を基板表面に成膜する。
【選択図】 図1
Description
また、成膜室にプラズマビームを供給する圧力勾配型プラズマガンと、材料蒸発源、材料蒸発源にプラズマビームを導くハースとを備え、ハースと基板の距離を一定に保ったままで、ハースとプラズマガン間の距離を変化させて成膜する技術(特許文献2参照)も知られており、そして、この成膜技術によれば、蒸着膜特性に影響する蒸発粒子の発生率や蒸発粒子のイオン化率をほとんど変化させずに、成膜粒子のエネルギーのみを制御できることが知られている。
そこで、本発明は、物理蒸着膜に要求される各種特性(成分組成、均質性、結晶形態、密着性、強度・硬度等)に的確に応えるべく、複数の蒸発源に対して複数の圧力勾配型Arプラズマガンからのプラズマビームを照射することにより、所望特性を備えた物理蒸着膜を簡易に成膜するための成膜方法及び成膜装置を提供することを目的とする。
しかし、本発明者らは、基体温度、バイアス電圧、プラズマガン放電電力、雰囲気ガス等の諸条件を調整しつつ、複数の異なる材料からなる複数の蒸発源のそれぞれに対して、複数の蒸発用の圧力勾配型Arプラズマガン(以下、蒸発用プラズマガンという)からプラズマビームを照射し、蒸発源を粒子として蒸発・プラズマ化し、基板表面に物理蒸着膜を成膜した場合には、所望の膜特性(成分組成、均質性、結晶形態、密着性、強度・硬度等)を備えた物理蒸着膜が簡易に成膜されることを見出した。
この成膜装置は、反応ガスの導入口、排出口を備え、基板にバイアスを印加するための直流バイアス電源を備え、成膜装置の内部上方には、基板を加熱するヒーター及び基板を垂直軸周りに回転可能な状態に保持する基板ホルダーを配置し、一方、成膜装置の内部下方には、複数の異なる材料からなる複数の蒸発源を収納した複数の蒸発源収納容器を配置し、該複数の蒸発源のそれぞれにプラズマビームを指向・照射する複数の蒸発用の圧力勾配型Arプラズマガンを配置している。
そして上記成膜装置において、基体温度、バイアス電圧、プラズマガン放電電力、雰囲気ガス等の諸条件を調整しつつ成膜することによって、所望の膜特性(成分組成、均質性、結晶形態、密着性、強度・硬度等)を備えた物理蒸着膜を簡易に成膜することができる。
「(1) 物理蒸着膜を基板表面に成膜する方法において、複数の圧力勾配型Arプラズマガンからのプラズマビームを、成膜装置の内部下方に配置され複数の蒸発源収納容器に収納された複数の異なる材料からなる蒸発源に照射し、蒸発源を粒子として蒸発・プラズマ化し、物理蒸着膜を成膜装置上方に設置した基板表面に成膜することを特徴とする成膜方法。
(2) 蒸発用のArプラズマガンからのプラズマビームを蒸発源に照射し、蒸発源を蒸発・プラズマ化し、物理蒸着膜を基板表面に成膜する成膜装置において、
成膜装置は、反応ガスを装置内へ導入する導入口、装置外へ排出する排出口を備え、成膜装置の外部には基板にバイアスを印加するための直流バイアス電源を備え、成膜装置の内部上方には、基板を所定温度に加熱するためのヒーター及び基板を垂直軸周りに回転可能な状態に保持する基板ホルダーを配置し、成膜装置の内部下方には、複数の異なる材料からなる複数の蒸発源を収納した複数の蒸発源収納容器を配置し、成膜装置には、複数の蒸発源収納容器に収納された複数の蒸発源のそれぞれにプラズマビームを指向・照射する複数の蒸発用の圧力勾配型Arプラズマガンを配置したことを特徴とする成膜装置。」
に特徴を有するものである。
図1(a)は、本発明装置の一具体例である成膜装置の正面図、また、図1(b)は、上記本発明装置の一具体例である成膜装置の平面図を示す概略説明図であるが、図1の本発明成膜装置においては、窒素ガス等の反応ガスを装置内へ導入する導入口(図示せず)と反応後の反応ガスを装置外へ排出する排出口(図示せず)を設け、さらに、成膜装置の外部には基板にバイアスを印加するための直流バイアス電源を設け、成膜装置の内部上方には、基板を所定温度に加熱するためのヒーター及び基板を垂直軸周り(あるいは必要によりさらに水平軸周り)に回転可能な状態に保持する基板ホルダーを配置し、成膜装置の内部下方には、複数の異なる材料A,B(例えば、材料AはTi−Si合金,材料Bは金属Al)からなる複数の蒸発源(例えば、蒸発源A、蒸発源B)を収納した複数の蒸発源収納容器(例えば、蒸発源収納容器A、蒸発源収納容器B)を配置し、成膜装置には、複数の蒸発源収納容器に収納された複数の蒸発源のそれぞれにプラズマビームを指向・照射する複数の蒸発用の圧力勾配型Arプラズマガン(例えば、蒸発用プラズマガンA、蒸発用プラズマガンB)を配置する。
なお、この発明の実施例としては、基板(工具基体)表面に硬質な物理蒸着膜を成膜することによって、優れた切削性能を備えた表面被覆切削工具を製造する場合について述べるが、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、例えば、透明導電膜等の各種の物理蒸着膜の成膜方法および成膜装置としても適用可能なものである。
その結果を、表5、表6に示す。
表5、表6に示される結果から、本発明蒸着膜1〜20では、ほぼ目標どおりの組成が得られるとともに、比較蒸着膜1〜20に比して、膜の均質性に優れていることがわかる。
即ち、30×50μmの領域を、0.1μm/stepの間隔で、前記研磨面の法線に対して、硬質蒸着膜を構成する結晶粒の結晶面である{100}、{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜55度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより、図2に示される傾斜角度数分布グラフを作成し、結晶粒全面積に占める、法線方向に対して0〜15度の範囲内の傾斜角区分に結晶方位<100>、<111>が存在する結晶粒の面積割合を求めた。
また、同様の領域において、すべての結晶粒界について、それを構成する隣り合う結晶粒のなす角を測定し、図3に示されるような該なす角とそれぞれの割合を示すグラフを作成し、全結晶粒界に占める、結晶粒界相互の傾斜角度が0〜15度の範囲内である小角粒界の割合を求めた。
その結果を、表5、表6に示す。
また、本発明蒸着膜8についても同様に、法線方向に対して0〜15度の範囲内に、結晶方位<111>が存在する結晶粒の面積割合は結晶粒全面積の73%であり、しかも、結晶粒界相互の傾斜角が15°以下である小角粒界の割合が全結晶粒界の72%であって、結晶粒界相互の傾斜角も小さく、結晶配向性が非常に高いことがわかる。
本発明被覆インサート1〜8および比較被覆インサート1〜8については、
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 250 m/min.、
切り込み: 3.0 mm、
送り: 0.28 mm/rev.、
切削時間: 3 分、
の条件(切削条件イという)での合金鋼の乾式断続重切削加工試験(通常の切り込み及び送りは、それぞれ、1.5mm、0.2mm/rev.)を行った。
また、本発明被覆インサート9〜14および比較被覆インサート9〜14については、
被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 280 m/min.、
切り込み: 2.0 mm、
送り: 0.20 mm/rev.、
切削時間: 3 分、
の条件(切削条件ロという)での炭素鋼の乾式断続重切削加工試験(通常の切り込み及び送りは、それぞれ、1.5mm、0.10mm/rev.)を行った。
さらに、本発明被覆インサート15〜20および比較被覆インサート15〜20については、
被削材:JIS・SCM415の浸炭焼入れ鋼(HRC 60)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 220 m/min.、
切り込み: 0.18 mm、
送り: 0.23 mm/rev.、
切削時間: 3 分、
の条件(切削条件ハという)での合金鋼の焼入れ材の乾式断続重切削加工試験(通常の切り込み及び送りは、それぞれ、0.10mm、0.10mm/rev.)を行った。
上記いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
この測定結果を表7に示した。
Claims (2)
- 物理蒸着膜を基板表面に成膜する方法において、複数の圧力勾配型Arプラズマガンからのプラズマビームを、成膜装置の内部下方に配置され複数の蒸発源収納容器に収納された複数の異なる材料からなる蒸発源に照射し、蒸発源を粒子として蒸発・プラズマ化し、物理蒸着膜を成膜装置上方に設置した基板表面に成膜することを特徴とする成膜方法。
- 蒸発用のArプラズマガンからのプラズマビームを蒸発源に照射し、蒸発源を蒸発・プラズマ化し、物理蒸着膜を基板表面に成膜する成膜装置において、成膜装置は、反応ガスを装置内へ導入する導入口、装置外へ排出する排出口を備え、成膜装置の外部には基板にバイアスを印加するための直流バイアス電源を備え、成膜装置の内部上方には、基板を所定温度に加熱するためのヒーター及び基板を垂直軸周りに回転可能な状態に保持する基板ホルダーを配置し、成膜装置の内部下方には、複数の異なる材料からなる複数の蒸発源を収納した複数の蒸発源収納容器を配置し、成膜装置には、複数の蒸発源収納容器に収納された複数の蒸発源のそれぞれにプラズマビームを指向・照射する複数の蒸発用の圧力勾配型Arプラズマガンを配置したことを特徴とする成膜装置。
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