JP2010083835A - 機能性生体水 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性が高く美白効果の期待できる抗酸化活性を有する天然物由来の化粧品等に有用な新しい素材を提供する。
【解決手段】 NaCl阻止率が15%以上で50%未満の半透膜を用いた逆浸透膜処理により獣乳(特に牛乳、牛乳の脱脂乳または牛乳のホエー)から得られる希薄側の透過液であって、DPPHラジカル消去能を指標とした抗酸化活性が5%以上である乳由来の機能性生体水による。0.001mg/ml以上の尿酸を含み、乳脂肪および乳蛋白を実質的に含まない。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然物由来の安心・安全で、化粧品素材等として有用な機能性液体を製造する分野に属し、詳細には、機能性の一つとして抗酸化活性を有する、牛乳等の獣乳由来の生体水に関する。
美しくありたいという願望は老若男女を問わないものであり、市場には様々な化粧品が存在する。特に、美白は化粧品の機能として重要なものであり、美白効果をうたった化粧品は多い。美白化粧品は主にしみ・そばかすなどの原因となるメラニン色素の生成防止を目的としている。メラニン色素の生成は酸化酵素であるチロシナーゼを開始とすることから、抗酸化活性成分は美白化粧品にとって重要な成分となっている。したがって、それらには様々な抗酸化活性成分が配合されている。
化粧品に配合される抗酸化活性成分としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE及びそれらの誘導体や抗酸化活性を示す植物抽出エキス等様々なものがある。これらは合成品と天然物に分けることができる。化粧品原料は安全性試験のガイドラインもあり、合成品も安全性が確認されたものが使用されている。しかしながら、化粧品は直接肌につけるものであり、かつ長期間使用するものであることから、合成品は使用が敬遠される傾向にある。このような安全性志向を反映し、現在は天然由来原料が多く使用される傾向にあり、世界中で様々な新規素材が探索されている。しかし、天然物の中には毒性を有するものも多く天然物であるから安全であるとは一概に言い切れない。このため、身近で経験的に安全性が確認されている天然物素材が求められており、抗酸化活性成分もその例外ではない。
身近で経験的に安全性が確立されている天然素材の一例としては、古来より常食してきた食品があげられる。特に牛乳に代表される獣乳は多くの地域で長年の食習慣があるものであり、その安全性については経験的に実証されている。牛乳は栄養面で非常に優れた食品であるが、美容効果についても牛乳風呂をはじめとして古来よりその効果が確認されており、化粧品素材としても安全かつ有用なものである。したがって牛乳およびそれに類する原料より化粧品原料を製造する試みも多く報告されている。
特開昭58−192811(特許文献1)では、乳酸発酵した乳培地より得た乳清から減圧処理により香気成分をのぞいたものを使用した保湿料が紹介されている。特開昭57−54108(特許文献2)では、乳蛋白のひとつであるホエー(乳清)蛋白を含む化粧品処方が紹介されている。特開昭58−198409(特許文献3)では、乳酸発酵した乳培地より得た乳清から分子量6,000以上の高分子量物質を含まない抗酸化剤を調製しそれを含有する化粧品が紹介されており、抗酸化剤は分子量1,000以下のペプチドであるとしている。
この他に、膜処理を使用した技術も報告されている。例えば、特開平3−206027(特許文献4)では乳清を限外ろ過膜により除蛋白した濾液を使用した入浴剤が紹介されており、限外ろ過膜としては分画分子量2万程度が良いとしている。しかし、乳清蛋白の大半は分子量約14,000のα―ラクトアルブミンおよび分子量約18,000のβ−ラクトグロブリンで占められることを考えれば、これらは十分に除去されているとは考えにくく、牛乳アレルギー患者にとってリスクを伴うものと考えられる。また、分子量342の乳糖に至っては全く除去されない。特開昭63−179818(特許文献5)では濃縮乳清ミネラルを有効成分として含有する入浴剤が紹介されている。ここでの濃縮乳清ミネラルは乳清を限外ろ過膜を処理して得られた透過液を濃縮し、乳糖を析出・除去し、活性炭処理して乾燥するものであるが、処理が複雑であり、最終産物中も高濃度の乳糖が含有されている。特許第2951640号(特許文献6)では生乳より限外ろ過膜により分子量10,000以上の物質を除去し活性炭で脱色した組成物とキレート剤及びpH調整剤を含有した透明であることを特徴とした皮膚化粧水が紹介されている。生乳には約5%の乳糖が含まれるが分子量10,000以上の膜処理では除去されず、そのまま残る。また、生乳には水溶性色素として分子量376のリボフラビンが含まれており、それもそのまま残る。したがって脱色するために活性炭処理が必要となっている。
このように限外ろ過膜による透過液では限外ろ過膜の種類によっては乳清蛋白の除去は期待されるものの乳糖やリボフラビンをはじめとした低分子量成分は全く除去されない。したがって、特開平3−206027や特開昭63−179818に示された入浴剤の様な肌に直接塗布するようなものではない用途に限られるか、もしくは特許第2951640号に示された様な低分子量成分を除去するような複雑な後工程が必要となってくる。
上述した従来技術は、いずれも、専ら乳成分そのものを可及的に濃縮または精製することを志向したものと理解される。これに対して、特許第3447247号(特許文献7)は牛乳または乳清を逆浸透膜処理した透過液、すなわち、乳製品の逆浸透膜に際して従来は全く留意されておらず廃棄されていた希薄側の水様の溶液を得るユニークな技術を開示している。得られる水性液は飲用や化粧品等として有用であるが、NaCl阻止率が50%以上という比較的タイトな膜を使用している。したがって、透過液も乳蛋白をはじめ乳糖までも実質的に含まないものであり、浸透圧が10〜30mOsmと規定されているように可溶性成分が非常に少ないものである。それゆえ、牛乳に生来含まれる化粧品としての有効成分の含有量は比較的に少ないものと推察される。特開2002−32045(特許文献8)は牛乳を逆浸透膜処理した透過液を皮膚化粧液とし特許第3447247号に酷似する技術に関するものであり、NaCl阻止率が50%以上の膜を使用するという点で実質的に特許第3447247号と変わるものではなく、実施例に示される浸透圧が10mOsm以下ということから理解されるようにほとんど真水に近いものであり、特許第3447247号よりもさらに化粧品としての有効成分の含有量は少ないと推察される。
加えて、上述の従来技術には特開昭58−198409を除いて抗酸化活性に関する記載はなく、化粧品として、特に、美白効果を期待できるものはない。
特開昭58−192811 特開昭57−54108 特開昭58−198409 特開平3−206027 特開昭63−179818 特許第2951640号 特許第3447247号 特開2002−32045
本発明の目的は、安全性が非常に高く、美白効果が期待できる抗酸化活性を有する天然物由来の化粧品等に有用な新しい素材を提供することにある。
本発明者は、本願出願人と同一人の出願に係る上記特許第3447247号に記載されているような逆浸透膜処理について更に検討を重ねた結果、比較的にルーズな膜を用いることにより、牛乳に代表される獣乳から、化粧品素材等として用いることのできる抗酸化活性を有する水性液体を得ることができることを見出した。
かくして、本発明に従えば、NaCl阻止率が15%以上で50%未満の半透膜を用いた逆浸透膜処理により獣乳から得られる希薄側の透過液であって、DPPHラジカル消去能を指標とした抗酸化活性が5%以上であることを特徴とする乳由来の機能性生体水が提供される。本発明の機能性生体水は、好ましい態様として、0.001mg/ml以上の尿酸を含み、乳脂肪および乳蛋白を含まないことを特徴とする。別の好ましい態様として、本発明の機能性生体水において、獣乳は、牛乳、牛乳の脱脂乳または牛乳のホエー(乳清である。
本発明の機能性生体水に関連して実施される逆浸透膜処理とは、よく知られているように、希薄溶液と半透膜で仕切られた濃縮液側に浸透圧以上の圧力を加えることにより、膜を通って溶媒を濃厚側から希薄側に移行させる膜処理である。本発明の機能性生体水は、獣乳を逆浸透膜処理する場合の水様の溶液であり、乳蛋白等の乳成分が多量に含有されている濃縮側の濃厚溶液ではない。
本発明の機能性生体水は、NaCl阻止率が15%以上で50%未満の半透膜を用いた獣乳の逆浸透膜処理によって得られ、抗酸化活性があり化粧品素材等として有用なものである。NaCl阻止率が50%以上になると生体水は充分な抗酸化活性を有さず、他方、NaCl阻止率が15%より低いと、後にも記述するように、生体水中に過剰の乳糖等が含有されるので好ましくない。かくして、本発明に従う逆浸透膜処理において用いられる半透膜は、そのNaCl阻止率が15%以上で50%未満であり、実用面からNaCl阻止率が20%〜45%のものが好ましい。
本発明の機能性生体水は抗酸化活性を有する。現在、様々な抗酸化活性の評価方法が紹介されているが、本発明の機能性生体水はDPPH(1,1−diphenyl−2−pycrylhydrazyl)ラジカル消去能で評価するとき、5%以上のラジカル消去能を示す。一般に、用いる半透膜のNaCl阻止率が低い程、抗酸化活性の高い生体水が得られることが見出されているが、既述のように、NaCl阻止率が低すぎると過剰の乳糖等を含有するので好ましくない。この点から実用上、本発明の機能性生体水は、DPPHラジカル消去能で評価すると、上限として約60%以下の抗酸化活性を有する。なお、DPPHラジカル消去能の測定は、後述の実施例1に記載の方法により行われるものである。
抗酸化能(抗酸化活性)を簡便かつ定量的に測定できる点において、DPPHラジカル消去能の測定が適しているが、本発明の機能性生体水およびこれと比較する液体の抗酸化能はこの測定法によってのみ評価されるとするものではない。すなわち、DPPHラジカル消去能のほかにもフェリシアン化カリウム還元能、DNA損傷防止能、赤血球膜ゴースト酸化防止能、電子スピン共鳴(ESR)O ラジカル消去能等の測定によっても抗酸化能を確認することが可能であり、必要に応じてそれらの各種の手法により得られた測定結果をDPPHラジカル消去能の測定によるものに換算することにより、抗酸化活性を評価することができる。
本発明者は、如上の本発明の生体水には尿酸が含有されていることを見出しており、これが抗酸化活性の主要な成分と考えられる。尿酸が抗酸化活性を有することは既に知られている。また、尿酸は人体にもごく普通に存在する物質であり、毒性が低いことから、は虫類や鳥類では尿酸を最終窒素代謝物としている。古来より美白素材として知られているウグイスの糞にも尿酸が含まれている。
本発明の機能性生体水は0.001mg/ml以上の尿酸を含有することを特徴とする。一般に、逆浸透膜処理に用いた半透膜のNaCl阻止率が低い程、尿酸の含有量は多くなるが、既述のように、NaCl阻止率が低すぎると生体水に過剰の乳糖等が含有されるので好ましくない。この点から本発明の機能性生体水中の尿酸の含有量は、通常約0.016mg/ml以下となる。
本発明に従う逆浸透膜処理のための半透膜としては、一般的に知られた逆浸透膜(RO膜)も使用できるが、所謂ナノフィルトレーション膜と称される膜が好ましく用いられる。RO膜は純水製造を目的として1価イオンの除去が可能な膜であり、性能評価の指標としてNaCl阻止率が用いられる。一方、ナノフィルトレーション膜は膜孔がRO膜よりもやや大きく、ルーズROとも呼ばれる膜である。主に2価イオンの除去を目的としており、性能評価の指標としてはNaCl阻止率も用いられるが、NaClよりも分子の大きいCaClやMgSO阻止率も用いられる。既述のように、本発明において使用するナノフィルトレーション膜などの半透膜はNaCl阻止率が15%以上で50%未満であり、好ましくは20%〜45%である。半透膜の素材や構造は各メーカーに様々であるが上記NaCl阻止率の範囲であれば、違いは問わない。本発明に用いられるのに好適な膜の例としては、NF270(Dow Chemical製、NaCl阻止率31〜38%)、DS−5DL(GE−Osmonics製、NaCl阻止率29〜42%)などを挙げることができる。
本発明の生体水の原料としては、牛乳以外の獣乳、例えば、山羊乳、およびそれらの脱脂乳、ホエー(乳清)も使用することができるが、特に好ましいのは、牛乳、牛乳の脱脂乳または牛乳のホエー(乳清)である。本発明の生体水を得るための逆浸透膜処理は、牛乳に代表される獣乳またはその脱脂乳に直接適用することもでき、これによっても上記のような抗酸化活性を有する機能性生体水が得られるが、操作時間が長くなる。この点から、限外ろ過等の手段で予め乳脂肪や乳蛋白の大部分を除去したホエー(乳清)を原料として用いることが好ましい。
以上のようにして得られる本発明の機能性生体水は尿酸以外にも有機物としてオロチン酸、乳糖等、無機物として、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等を含有する。オロチン酸は牛乳中に含まれる物質で、ビタミンB13ともよばれ、サプリメントや美白製剤にも配合されている。オロチン酸は分子量が尿酸に近いため(分子量156)、尿酸と挙動を共にして膜透過する。吸収スペクトル分析した場合、オロチン酸は紫外部280nmに吸収を持ち、本発明の機能性生体水も280nmに吸収を持つことから、その存在が確認されている。
本発明の生体水に含有される上記の成分は、原料および使用する膜のNaCl阻止率にもよるが、一般に以下のような含量を示す。オロチン酸は0.01〜0.07mg/ml、乳糖は0.5〜10mg/ml、カリウムは400〜1,800mg/l、ナトリウムは100〜500mg/l、マグネシウムは1〜65mg/l、カルシウムは3〜200mg/l。乳糖の含量は、化粧品等として使用した場合、べたつきを起こさない程度のものである。また、阻止率の低いナノフィルトレーション膜などの半透膜を使用した際、乳糖とほぼ同じ分子量を有するリボフラビン(ビタミンB2)も乳糖同様若干透過することがあり、その際はわずかに黄色に着色する。しかしながら、化粧品として許容出来る範囲であり、機能性生体水として使用するのに差し支えない。上記原料にはこれら以外にアミノ酸、有機酸も微量ながら存在するが、それらが膜に阻止されない分子量であるなら当然のごとく透過し、機能性生体水中に存在する。さらに、それ以外の低分子量成分も同様に透過することは容易に推定できる。
本発明の機能性生体水のその他の特性として、30mOsm以上の浸透圧を示す。NaCl阻止率の低い半透膜を用いる程、浸透圧は高くなるが既述のNaCl阻止率15%以上の膜を用いる場合、浸透圧の上限は、一般に、約150mOsmである。一方で、本発明の機能性生体水は、乳脂肪、乳蛋白といった高分子量成分は含まない。乳蛋白を含まないことは、牛乳アレルギー患者にとってアレルギーを引き起こす危険性がないことを示すものである。
本発明に従い膜処理の原料となる牛乳等の乳は血液から作られていることから、透過液を構成する水は生体由来の水である。かくして、抗酸化活性を有し無色無臭でベタつきがなく外観が水のような獣乳由来の本発明に従う透過液は機能性生体水と呼べるものである。なお、本発明の機能性生体水およびこれと比較する液体における如上の各種の組成(含量)や物性は、一般に、膜処理圧力として20kg/cm、液温25℃で逆浸透膜処理を行った場合の値である。
以下実施例の結果を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
機能性生体水の調製
限外ろ過膜により、乳脂肪およびカゼインが除去された乳清を原料とし、ナノフィルトレーション膜であるNF270(Dow Chemical製、MgSO阻止率:>97%、NaCl阻止率:32%、)を透過させて、機能性生体水を得た。膜処理は圧力:20kg/cm、流量8L/分、液温:25℃で行った。このときの各成分、抗酸化活性等を表1中の実施例に示した。
〔比較例〕
比較水性液の調製
特許第3447247号に示された方法に従って、逆浸透膜であるNTR−729HG(日東電工製、NaCl阻止率93%)およびNTR−7410HG(日東電工製、NaCl阻止率10%)を用いて透過液を調製した。このときの各成分、抗酸化活性等を表1中の比較例1および比較例2にそれぞれ示した。
Figure 2010083835
浸透圧は全自動浸透圧計(Fiske社)を用いて測定した。固形分は常圧加熱乾燥法によって測定した。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムは原子吸光光度法によって測定した。乳蛋白はカラムとしてTSK−GEL
G2000SWXL(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラフ法によって測定した。そのときのクロマトグラムを図1に示した。乳糖はカラムとしてIonpakKS−801(昭和電工社製)を用いた高速液体クロマトグラフ法によって測定した。その時のクロマトグラムを図2に示した。尿酸およびオロチン酸はカラムとしてAtlantis
dC18(ウォーターズ社製)を用いた高速液体クロマトグラフ法によって測定した。その時のクロマトグラムを図3に示した。紫外部280nmにおける吸収は分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。また、その時の200nmから320nmにおけるスペクトルを図4に示した。紫外線は日焼けの原因であり、UV−A(320〜380nm)、UV−B(280〜320nm)、UV−C(200〜280nm)に分けられている。皮膚への悪影響度はA、B、Cの順に強くなる。現在、オゾン層の破壊によってUV−Bが多く降り注ぐ傾向にあり、今後もその傾向は強まると予想される。実施例は280nm付近に吸収を持つことからUV−Bのカット効果が期待できる。
抗酸化活性は以下に示したDPPHラジカル消去能によって測定した。250μMDPPHエタノール溶液、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)、実施例または比較例を0.5:0.025:0.475で混合した。このとき、実施例または比較例の代わりに蒸留水を用いたものを対照とした。室温遮光下で30分放置したのち、517nmの吸光度を測定した。DPPHラジカル消去能は以下の式によって求めた。DPPHラジカル消去能(%)=(対照の吸光度−実施例または比較例の吸光度)/対照の吸光度×100。なお、この方法で得られた尿酸濃度とDPPHラジカル消去能との関係を図5に示した。図5によれば、0.001mg/mlの尿酸は5%のDPPHラジカル消去能を示す。
すべての測定項目において実施例は比較例1よりも高い値を示し、比較例1とは大きく異なるものであることが明らかとなった。比較例2は、尿酸や抗酸化活性等において高い値を示すが、乳糖の含有量においても非常に高く化粧品の素材としては不適当であることが理解される。
なお、乳脂肪は、エーテル抽出法により測定した。
リンゴ褐変防止効果
実施例1で調製された機能性生体水(以下、単に実施例1という)を抗酸化活性(DPPHラジカル消去能)が異なるよう蒸留水で希釈し、試料とした。リンゴ果肉に試料を等量加え、ホモジナイザーで粉砕し、リンゴホモジネートを調製した。表2に、ホモジネート調製時の褐変速度や褐変度を外観により評価した結果を示した。褐変速度については、ホモジネート中のDPPHラジカル消去能が1.25%以下のときは非常に速く、ホモジネート調製時に褐変が生じた。一方、2.5%以上では褐変速度が遅くなる傾向が見られたが5%以上で明らかに遅くなる傾向がみられた。褐変度については、ホモジネート中のDPPHラジカル消去能が2.5%以下の時は非常に強かった。一方、5%以上では明らかに褐変が抑制される傾向が見られ、活性が高くなるに従って抑制される傾向が見られた。
次にこれらホモジネートの褐変を安定させるため室温に3時間放置した後、これらの遠心上清を調製した。上清は蒸留水で5倍希釈し、500nmにおける吸収を測定することにより、褐変度を定量的に評価した。結果は図6に示した。表2のホモジネート調製時における褐変度の結果と同様、DPPHラジカル消去能が5%以上で褐変抑制効果が認められ、活性が高くなるに従って、抑制効果も高くなった。
リンゴ褐変は皮膚のメラニン色素生成と同様、チロシナーゼによって引き起こされる。このことから、機能性生体水はメラニン色素生成を抑制する美白化粧品として有用であると推察される。また、DPPHラジカル消去能を5%以上有していれば、十分な効果が期待できるものと推察される。
Figure 2010083835
塗布時の官能評価
実施例1は1.4mg/ml(0.14%)の乳糖を含むが、牛乳が約5%の乳糖を含むことからするとその含量はかなり少ない。既述の比較例2(特許第3447247号に記載された比較例に相当)は多量の乳糖を含み、それゆえ、肌につけたときに過度のべとつきがある点から好ましくない。一般に糖類はべとつきがあるものの保湿性も期待出来ることから保湿成分として糖類を配合した化粧品も多く市販されている。それゆえ、その濃度が重要となる。
29才、31才、32才、33才の女性に対し、洗顔後、実施例1を塗布してもらったところ、全員からしっとり感が持続したとの評価が得られた。また、べとつき等の不快感も感じないとの評価も得られた。実施例は保湿性を有することが明らかとなったが、含まれる乳糖量も化粧品として適確なものであることが明らかになった。
また、乳糖を蒸留水に希釈したものを同様に評価してもらった結果を表3に示した。1.5%では不快なべたつきが感じられるものの1%では気になるものではなく、0.5%ではべたつきが感じられないとの評価が得られた。したがって、1%までは直接塗布することに問題はないことが明らかとなった。
Figure 2010083835
本発明は天然物由来の安心・安全な抗酸化活性成分を有する機能性生体水を簡便な手法で製造することが可能にしたものである。
本発明の機能性生体水は以下の特性を有し、天然物由来で安全性が保障され、美白効果が期待できる化粧品の開発を導くものである。1.抗酸化活性は皮膚メラニン産生抑制が期待できる。2.抗酸化活性成分である尿酸およびその他成分は経験的に安全性が確認されている牛乳由来である。3.膜処理によって乳蛋白も実質的に含まないことから、牛乳アレルギーの人に対するリスクもない。4.適量の乳糖を含んでおり、しっとり感が得られる。
本発明は、使用するナノフィルトレーション膜等の半透膜を変更することにより、容易にこれら成分の調整を行うことが可能であり、目的に応じた化粧品開発を導くものである。たとえばNaCl阻止率が低めのナノフィルトレーション膜を用いれば、尿酸、オロチン酸濃度を高めることが可能である。
本発明により得られる機能性生体水は低分子量成分より構成されるため安定性が高く、濃縮または乾燥処理によって高濃度化も可能である。したがって、このような処理を加えることにより幅広い化粧品開発も導かれる。
実施例1において、乳清蛋白が実質的に含まれないことを示した高速液体クロマトグラム。条件は、カラム:TSK−GELG2000SWXL(東ソー社製)、移動相:45%アセトニトリルを含む0.1%トリフロロ酢酸水溶液、試料:20μl、流速:0.5ml/分、検出:紫外部210nm。原料である乳清には乳清蛋白が確認されるが、実施例では乳清蛋白は確認されないことを示す。 実施例1において、乳糖が1.4mg/ml含まれることを示した高速液体クロマトグラム。条件は、カラム:IonpakKS−801(昭和電工社製)、移動相:水、試料:15μl、流速:0.7ml/分、検出:示差屈折率。標準品として用いた2mg/ml乳糖に対し、実施例1は1.4mg/mlの乳糖を含むことを示す。 実施例1において、オロチン酸、尿酸が含まれることを示した高速液体クロマトグラム。条件は、カラム:AtlantisdC18(ウォーターズ社製)、移動相:0.05%トリフロロ酢酸から、10%アセトニトリル含有0.05%トリフロロ酢酸へ20分かけて直線的に移行、試料:10μl、流速:1.0ml/分、検出:紫外部210nm。実施例1は4.1分にオロチン酸、7.0分に尿酸のピークが確認されることを示す。 実施例1の紫外部200〜320nm(UV−B、Cに相当)のスペクトル。実施例は280nmに吸収があることを示す。 尿酸濃度とDPPHラジカル消去能との関係を示したグラフ。0.001mg/mlの尿酸が5%のDPPHラジカル消去能を有することを示す。 実施例1によるリンゴ褐変抑制効果。リンゴホモジネート中DPPHラジカル消去能が5%以上で褐変抑制効果を示す。

Claims (3)

  1. NaCl阻止率が15%以上で50%未満の半透膜を用いた逆浸透膜処理により獣乳から得られる希薄側の透過液であって、DPPHラジカル消去能を指標とした抗酸化活性が5%以上であることを特徴とする乳由来の機能性生体水。
  2. 0.001mg/ml以上の尿酸を含み、乳脂肪および乳蛋白を実質的に含まないことを特徴とする請求項1の機能性生体水。
  3. 獣乳が牛乳、牛乳の脱脂乳または牛乳のホエーであることを特徴とする請求項1または請求項2の機能性生体水。
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