JP2010083444A - 移動体の慣性制御装置及び方法 - Google Patents

移動体の慣性制御装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】慣性制御装置及び方法において、例えば車両の挙動等の移動体の慣性をより適切且つ簡便に制御することを可能とする。
【解決手段】移動体の慣性制御装置(1)は、移動体(100)において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる一対の回転体(21R、21L)と、移動体に固定されており、一対の回転体の回転状態を夫々変化させる回転手段(10R及び10L)と、移動体の走行状態に応じて、一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、回転手段を制御する制御手段(8等)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両の挙動を制御する車両挙動制御装置等の移動体の慣性制御装置及び方法の技術分野に関する。
この種の移動体の慣性制御装置として、例えば特許文献1や特許文献2等では、コントロールモーメントジャイロ(CMG:Control Moment Gyro)を用いて車両の回転方向、即ち、ヨー方向、ロール方向、ピッチ方向の少なくともいずれか一つの方向における挙動を制御する技術について開示されている。詳細には、これらの特許文献1等では、フライホイールを、車長方向を回転軸として、ロール方向に回転駆動する手段とに加えて、フライホイールを、車幅方向を回転軸として、ピッチ方向に回転駆動する手段を備える。そして、フライホイールをロール方向に回転中に、当該フライホイールをピッチ方向に回転することによって、車高方向を回転軸として、ヨー方向にジャイロモーメントを発生させる。これにより、車両のヨー方向における挙動として、例えばアンダーステア、オーバーステアなどを制御している。
概ね同様にして、フライホイールをヨー方向に回転中に、当該フライホイールをロール方向に回転することによって、ピッチ方向にジャイロモーメントを発生させる。これにより、車両のピッチ方向における挙動として、例えばノーズタイブ、テールスクワットなどを制御している。
また、この種の移動体の慣性制御装置として、特許文献3等には、エネルギー蓄積装置として、車両の挙動に影響を与えないことを目的とした、所謂、2重反転型のフライホイールに関する技術が開示されている。
実開平5−13878号公報 特開2005−80902号公報 特開平10−281050号公報
しかしながら、上述した特許文献1等に開示されている技術では、CMGを利用した慣性制御であるので、ジンバルの構成が複雑になってしまうという技術的な問題点が生じる。更に、一度回転させたジンバルを復帰させるための制御も複雑になってしまうという技術的な問題点が生じる。詳細には、上述した特許文献1等の技術によれば、例えば余分に発生するジャイロモーメントを原理的に打ち消すには、人工衛星で使われるように、複数の回転軸とするジャイロを用いるので、複数の回転軸に対応して、回転方向において複数の自由度を有する分だけ、ジンバル自体やジンバルの周辺の構成に加えて、それらの制御についても複雑になってしまうという技術的な問題点が生じる。
また、ジンバルを含むCMGを移動体に搭載する際に、配置や空間が制約されてしまうという技術的な問題点が生じる。
そこで、本発明は、例えば上記の問題点に鑑みなされたものであり、例えば車両の挙動等の移動体の慣性をより適切且つ簡便に制御することが可能な移動体の慣性制御装置及び方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る移動体の慣性制御装置は、移動体において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる一対の回転体と、前記移動体に固定されており、前記一対の回転体の回転状態(例えば回転速度、回転加速度)を夫々変化させる回転手段(例えば電動発電機)と、前記移動体の走行状態(例えばロール状態、道路環境状態を含む)に応じて、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御する制御手段(例えば電磁ブレーキの制御手段を含む)とを備える。
本発明に係る移動体の慣性制御装置によれば、一対の回転体は、移動体において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる。これにより、一対の回転体において、回転に伴う回転運動エネルギの差を互いに打ち消し可能である。言い換えると、一対の回転体のうちの一方の回転体の回転運動エネルギと、一対の回転体のうちの他方の回転体の回転運動エネルギとの差を、一対の回転体の各々が相互に影響しあうことによって無くす方向に変化可能である。典型的には、一対の回転体の回転方向は異なっていることに加えて、一対の回転体の回転速度又は回転加速度が概ね等しいことが好ましい。尚、回転運動エネルギとは、運動エネルギ量に加えて、力の作用する方向又はジャイロ効果が発生する方向を含む概念を意味してよい。
本発明に係る「回転軸が延びる方向」は、移動体における、高さ方向、幅方向、及び長さ方向等の3次元方向のうちいずれの方向であってもよい。典型的には、例えば、移動体が右方向又は左方向に旋回する場合に、移動体にロール方向の慣性力を発生させる場合、回転軸が延びる方向は、移動体の長さ方向でよい。また、移動体にピッチ方向の慣性力を発生させる場合、回転軸が延びる方向は、移動体の幅方向でよい。また、移動体にヨー方向の慣性力を発生させる場合、回転軸が延びる方向は、移動体の高さ方向でよい。
回転手段は、移動体に固定されており、一対の回転体の回転状態を夫々変化させる。ここに、本発明に係る「移動体に固定されており」とは、移動体に対して何らかの力を伝達可能なように、移動体に支持されていることを意味してよい。典型的には、例えば車体ボデー、アブソーバ、ばね等の弾性力を介して、移動体に対して力を伝達可能なように支持されていることを意味してよい。また、本発明に係る「回転手段」とは、例えば電動機や電動発電機等の回転体を回転させる回転力を付与する手段を意味する。典型的には、ギヤ等の変速手段を介して、一つの回転手段によって一対の回転体の回転状態を夫々変化させてよい。或いは、典型的には、独立制御又は個別制御を行うことが可能な一対の回転手段、即ち、2個の回転手段によって一対の回転体の回転状態を夫々変化させてよい。また、本発明に係る「回転状態」とは、回転体における、例えば回転速度、回転加速度、回転力又は回転トルク等の回転する物体の性質や状態を示す物理量を意味する。また、本発明に係る「一対の回転体の回転状態を夫々変化させる」とは、一対の回転体のうち一方の回転体の回転状態を変化させることに加えて又は代えて、一対の回転体のうち他方の回転体の回転状態を変化させることを意味してよい。典型的には、一方の回転体の回転速度を独立制御又は個別制御で減速させることに加えて又は代えて、他方の回転体の回転速度を独立制御又は個別制御で増速させることを意味してよい。
制御手段の制御下で、回転手段は、移動体の走行状態に応じて、一対の回転体の回転状態を夫々変化させる。ここに、本発明に係る走行状態とは、例えば移動体の旋回方向や操舵方向、操舵角、操舵角速度、操舵角加速度、旋回状態や操舵状態、走行速度、移動体の高さ、移動体の重量、又は移動体の車輪の状態等の、走行する移動体の状態に加えて、移動体の運動エネルギに影響を及ぼす移動体の属性や性質を示す物理量や変数を意味する。このことに加えて、本発明に係る走行状態とは、例えば横風の強さ、移動体が走行する道路の舗装状態や路面状態(即ち、路面の摩擦係数、所謂、μ、或いは走行抵抗)、道路の白線の位置、地図上の移動体の走行経路の形状や広さ等の、移動体の運動エネルギに影響を及ぼす移動体の外界や環境における状態や属性や性質を示す物理量や変数を意味する。
これにより、移動体の走行状態に応じて、回転状態を維持しようとする一対の回転体から、例えばロールモーメント等の一対の回転体の回転軸が延びる方向を軸とする慣性力を、回転手段が固定された移動体において発生させることができる。言い換えると、移動体の走行状態に応じて、一対の回転体の回転運動エネルギの増減に起因した反動力を移動体において発生させることができる。
典型的には、回転手段として、一対の回転体の回転状態を夫々変化させる、例えば一対の電動発電機等の一対の回転手段を用いた場合、これらの一対の回転手段のうちの一方の回転手段において電磁ブレーキを掛けるなどして制動力を付与し、右回転している一対の回転体のうちの一方の回転体の回転速度を減速した場合、一方の回転手段が固定された移動体は、一方の回転体が慣性に従って右回転し続けようする慣性力につられて右方向に回転しようとする。これにより、一方の回転手段に電磁ブレーキが掛けられることにより、移動体において右ロールモーメントを発生させることができる。他方、概ね同様にして、一対の回転手段のうちの他方の回転手段においてバッテリ駆動されるなどして回転力を付与し、一方の回転体とは逆回転である左回転している一対の回転体のうちの他方の回転体の回転速度を増速した場合、他方の回転手段が固定された移動体は、左回転の回転速度が増速している他方の回転体から反動力を受けて、言い換えると、左回転する他方の回転体に蹴飛ばされて右方向に回転しようとする。これにより、他方の回転手段によって他方の回転体の回転速度が増速されることによって、移動体において右ロールモーメントを発生させることができる。尚、このようにして、回転状態を維持しようとする一対の回転体に起因して発生する、例えばロールモーメント等の一対の回転体の回転軸が延びる方向を軸とする慣性力を、以下、適宜、「リアクションホイールの原理に基づいた慣性力」と称す。
以上の結果、移動体において、上述した、例えばロールモーメント等のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を、移動体の走行状態に応じて発生させることができるので、移動体の挙動変化を適切且つ簡便に制御することが可能である。
特に、CMGと異なり、リアクションホイールの原理に基づいた慣性力(言い換えると、ジャイロモーメント)が発生する方向が一方向であるため、簡便な構成及び簡便な制御手法によって、移動体の挙動制御を実現可能である。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の一の態様では、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転方向と、前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転方向とは異なり、前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御する。
この態様によれば、所謂、2重反転型のジャイロ回転体に基づいて、一対の回転体における、回転に伴う回転運動エネルギの差を互いに、より効果的且つ簡便に打ち消し可能である。このことに加えて、一つの回転手段、又は、例えば独立制御及び単独制御可能な一対の回転手段によって、一対の回転体の回転状態を夫々独立して夫々変化させる(例えば、夫々独立して夫々減速又は増速させる)ことにより、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を、より効果的に、簡便に、且つ迅速に発生することが可能である。特に、例えば電磁ブレーキを掛けること等によって、一対の回転体の回転速度を夫々独立して夫々減速させることによって、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を、より効果的に、且つより高い応答性で発生させることが可能であるので、実践上大変有利である。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記一対の回転体における重さ、大きさ又は形状は異なることに加えて、前記一対の回転体における慣性モーメントは等しい。
この態様によれば、例えば、板厚を夫々異ならせたり、一方のみをドーナツ型の形状にしたりした場合であっても、一対の回転体における慣性モーメントは等しいので、一対の回転手段における回転速度の制御処理を簡略化することができる。典型的には、回転手段として、一対の回転体の回転状態を夫々変化させる一対の回転手段を用いた場合、これらの一対の回転手段における回転速度の制御処理を概ね同じにすることができる。更に、一対の回転体における重さ、大きさ又は形状は異なるので、移動体に一対の回転体を搭載する際に、配置や設計の自由度をより高くすることができる。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記回転手段として、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる一対の回転手段を備え、前記制御手段は、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度を減速するように前記一対の回転手段のうち一方の回転手段を制御すると共に、前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度を増速するように前記一対の回転手段のうち他方の回転手段を制御する。
この態様によれば、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を、一方の回転体からに加えて、他方の回転体からも発生させることができるので、発生されるリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を2倍にすることができる。
上述した制御手段に係る態様では、前記制御手段は、前記一方の回転体の回転速度を減速する加速度と、前記他方の回転体の回転速度を増速する加速度とを等しくするように前記一対の回転手段を夫々制御するようにしてよい。
このように構成すれば、一対の回転体のうちの一方の回転体の回転運動エネルギと、一対の回転体のうちの他方の回転体の回転運動エネルギとの差を殆ど又は完全に無くすことができる。これにより、この回転運動エネルギの差に起因して発生する不要又は予期しない力を殆ど又は完全に無くすことができる。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記回転手段として、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる一対の電動発電機を備え、前記制御手段は、電磁ブレーキを掛けること及び回転駆動を行うことのうちいずれか一方を前記一対の電動発電機のうち一方の電動発電機に対して行うと共に、前記電磁ブレーキを掛けること及び前記回転駆動を行うことのうちいずれか他方を前記一対の電動発電機のうち他方の電動発電機に対して行うことにより、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる
この態様によれば、電磁ブレーキ(所謂、回生ブレーキ)を掛けることによって、一対の回転体の回転速度を夫々独立して夫々減速させることができるので、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を、より効果的に、且つより高い応答性で発生させることが可能であるので、実践上大変有利である。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度と前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度とが異なる状態から、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しい状態へ変化させる場合、前記異なる状態における前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度との平均値と前記一対の回転体の回転速度とが夫々等しくなるように前記回転手段を制御する。
この態様によれば、所謂、ジャイロ制御における0点(初期状態)復帰の制御手法に基づいて、一方の回転体の回転運動エネルギと、他方の回転体の回転運動エネルギとの差を殆ど又は完全に無くすことができる。これにより、この回転運動エネルギの差に起因して発生する不要又は予期しない力を殆ど又は完全に無くすことができるので、移動体の挙動変化をより適切且つ的確に制御することが可能である。
上述した制御手段に係る態様では、前記制御手段は、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しくなった後、前記一対の回転体の回転速度が所定値と等しくなるように前記回転手段を制御するようにしてよい。
このように構成すれば、一対の回転体の回転速度を、定常回転状態では、所定値と等しくさせる。ここに、本発明に係る所定値とは、移動体の走行に何らかの影響を殆ど又は完全に与えない一対の回転体の回転速度を意味してよい。典型的には、この所定値は、上述した移動体の走行状態に応じて、可変の値でもよし、移動体の物理的な性質に応じて固定の値でもよい。これにより、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を発生させる一対の回転体の回転制御における、初期値を一定にさせることができるので、一対の回転体の回転制御をより高精度に行うことができる。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度と前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度とが異なる状態から、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しい状態へ変化させる場合、前記一対の回転体の回転速度が所定値と夫々等しくなるように前記回転手段を制御する。
この態様によれば、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を発生させる一対の回転体の回転制御における、初期値を、所定値として、一定にさせることができるので、一対の回転体の回転制御をより高精度に行うことができる。
本発明に係る移動体の慣性制御装置の他の態様では、前記回転軸が延びる方向は、前記移動体における、高さ方向、幅方向、及び長さ方向のうちいずれか一の方向である。
この態様によれば、回転軸が延びる方向が移動体の長さ方向である場合、移動体が右方向又は左方向に旋回する際に、移動体にロール方向の慣性力を発生させることができる。また、回転軸が延びる方向が移動体の幅方向である場合、移動体にピッチ方向の慣性力を発生させることができる。また、回転軸が延びる方向が移動体の高さ方向である場合、移動体にヨー方向の慣性力を発生させることができる。
上記課題を解決するために、本発明に係る移動体の慣性制御方法は、移動体において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる一対の回転体と、前記移動体に固定されており、前記一対の回転体の回転状態(例えば回転速度、回転加速度)を夫々変化させる回転手段(例えば電動発電機)とを備えた移動体の慣性制御方法であって、前記移動体の走行状態(ロール状態、道路環境状態を含む)に応じて、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御する制御工程(例えば電磁ブレーキ工程を含む)とを備える。
本発明に係る移動体の慣性制御方法によれば、上述した本発明に係る移動体の慣性制御装置が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明に係る移動体の慣性制御装置が有する各種態様に対応して、本発明に係る移動体の慣性制御方法も各種態様を採ることが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
(第1の実施形態)
(基本構成)
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る車両挙動制御装置の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る車両挙動制御装置を搭載した車両の基本構成を概念的に示した外観斜視図である。尚、本実施形態では、車両挙動制御装置1が車両100の回転方向、即ち、ヨー方向、ロール方向、ピッチ方向のうち、ロール方向における挙動の制御を行う場合について説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示されるように、本実施形態に係る車両挙動制御装置1は、車両100に搭載されている。この車両100は、左右の前輪101R、101Lが駆動軸(ドライブシャフト)103に回転自在に連結されており、左右の後輪102R、102Lが駆動軸104に回転自在に連結されている。駆動軸103、104の少なくともいずれか一方には、図示しない内燃機関や電動機などの駆動源からの駆動力が伝達される。従って、駆動源からの駆動力は、駆動軸103、104の少なくともいずれか一方を介して左右の前輪101R、101Lあるいは左右の後輪102R、102Lに伝達され、路面で伝達される。これにより、車両100は、車長方向に前進或いは後進することができる。また、車両100は、左右の前輪101R、101Lの操舵を行う操舵装置105が搭載されている。操舵装置105は、運転者がステアリングホイール105aを回転操作することで、ステアリングホイール105aの回転操作に連動して左右の前輪101R、101Lの操舵を行うものである。本実施形態に係る車両挙動制御装置1は、車両100の挙動に対応して、リアクションホイールの原理に基づいて、左右方向又は左方向のロールモーメントを発生させる。この詳細原理については、後述される。
車両挙動制御装置1は、2重反転型ジャイロ(以下、適宜「ジャイロ」と称す)2と、車速センサ4と、操舵角センサ5と、回転体センサ6R及び6Lと、電動発電機センサ7R及び7Lと、制御装置8と、電動発電機ドライバ(以下、適宜「ドライバ」と称す)9R及び9Lと、回転軸13R及び13Lを夫々回転させる電動発電機10R及び10Lと、バッテリ11とを備えて構成されている。
ジャイロ2は、回転軸13R及び13Lからの回転力が伝達される回転体21R及び21Lと、車両100に対して回転可能に支持された、当該回転体21R及び21Lにおける図示しない回転軸とを備えて構成されている。尚、回転体21R及び21Lは、図示しないケーシングにより覆われてよい。
電動発電機10R及び10Lは、回転軸13R及び13Lを回転させる。電動発電機10R及び10Lは、車両100に固定されており、回転軸13R及び13Lを介して、回転体21R及び21Lを夫々回転させる。尚、電動発電機10R及び10Lにおける回転軸13R及び13Lと、回転体21R及び21Lにおける回転軸とは所定のギヤ比で回転力を伝達可能に接続されていてよい。或いは、電動発電機10R及び10Lにおける回転軸13R及び13Lと、回転体21R及び21Lにおける回転軸とは直接的に回転力を伝達可能に固定されてよい。特に、電動発電機10Rは、回転軸13Rを右回転させる(言い換えると、右ロール方向に回転させる)ことにより、回転体21Rを右回転させる(言い換えると、右ロール方向に回転させる)。他方、電動発電機10Lは、回転軸13Lを左回転させる(言い換えると、左ロール方向に回転させる)ことにより、回転体21Lを左回転させる(言い換えると、左ロール方向に回転させる)。
電動発電機10R及び10Lは、ドライバ9R及び9Lを介して、制御装置8に夫々接続されており、制御装置8により駆動制御が行われる。特に、制御装置8による電動発電機10R及び10Lの駆動制御には、(i)ドライバ9R及び9Lによりバッテリ11から電力が供給されることで回転体21R及び21Lを回転するモータ(即ち、電動機)として動作する回転駆動制御と、(ii)ドライバ9R及び9Lにより回転体21R及び21Lに回転方向と反対方向の制動力を与える、言い換えると、電磁ブレーキ(所謂、回生ブレーキ)を掛けることで発電するジェネレータ(即ち、発電機)として動作する発電駆動制御がある。つまり、電動発電機10R及び10Lは、モータジェネレータであり、本発明に係る回転手段の一具体例である。特に、電動発電機10R及び10Lは、後述される増速と電磁ブレーキによる制動とを迅速に行えることが、車両100における、より適切な挙動制御を実現する観点で好ましい。
回転体21Rは、上述した車長方向に沿って延びる(或いは、このことに加えて、車両100が走行する地面に対向するように延びる)回転軸13Rにより右ロール方向に回転可能なように支持されている。また、回転体21Lは、上述した車長方向に沿って延びる(或いは、このことに加えて、車両100が走行する地面に対向するように延びる)回転軸13Lにより左ロール方向に回転可能なように支持されている。尚、回転体21R及び21Lの半径及び質量は、車両100に要求されるロールモーメントの大きさに応じて予め設定されてよい。また、上述したように回転軸13R及び13Lは、基本的に車長方向に平行に配置されているので、回転体21R及び21Lは、基本的にロール方向に回転することができる。
車速センサ4は、本発明に係る速度検出手段の一具体例であり、車両100の車速を検出する。車速センサ4は、制御装置8に接続されており、検出された車両100の車速Vが制御装置8に出力される。ここで、車速センサ4は、例えば駆動軸103に対向して配置され、駆動軸103の軸周りの変位量を光学的又は力学的に検出する。また、車速センサ4は、各車輪に設けられた車輪速度センサであって良い。この場合は、制御装置8が、各車輪に設けられた車速センサ4である車輪速度センサからの各車輪の速度に関する信号に基づいて、車両100の車速Vを算出する。
操舵角センサ5は、本発明に係る操舵量検出手段の一具体例であり、車両100における、操舵量を検出する。操舵角センサ5は、本実施形態では、車両100の操舵量として、操舵角、操舵角速度及び操舵角加速度のうち少なくても一の値を検出する。操舵角センサ5は、制御装置8に接続されており、検出された車両100の操舵量である車両100の操舵角θが制御装置8に出力される。ここで、操舵角センサ5は、例えば操舵装置105のステアリングアーム105aに対向して配置され、ステアリングアームの軸周りの変位量を光学的又は力学的に検出してよい。
回転体センサ6R及び6Lは、回転体21R及び21Lの回転速度を検出する。回転体センサ6R及び6Lは、制御装置8に接続されており、検出された回転体21R及び21Lの回転速度が制御装置8に出力される。ここで、回転体センサ6R及び6Lは、例えば回転体21R及び21Lにおける回転軸に対向して配置され、この回転軸の周りの変位量を光学的又は力学的に検出する。
電動発電機センサ7R及び7Lは、電動発電機10R及び10Lの回転速度(言い換えると、電動発電機10R及び10Lの回転軸13R及び13Lの単位時間当たりの回転数)を検出する。電動発電機センサ7R及び7Lは、制御装置8に接続されており、検出された電動発電機10R及び10Lの回転速度が制御装置8に夫々出力される。ここで、電動発電機センサ7R及び7Lは、例えば回転軸13R及び13Lに対向して配置され、回転軸13R及び13Lの周りの変位量を光学的又は力学的に検出する。
(詳細構成)
次に、図2を参照して、本実施形態に係る車両挙動制御装置の詳細構成について説明する。ここに、図2は、本実施形態に係る車両挙動制御装置の制御装置に入出力される各種の制御信号の流れに着目した車両挙動制御装置の一部の詳細構成を図式的に示したブロック図である。
制御装置8は、車両挙動制御装置1を制御するものであり、特に、電動発電機10R及び10Lの回転速度を制御すると共に、回転軸13R及び13Lを介して、回転体21R及び21Lの回転速度を制御する。具体的には、図2に示されるように、制御装置8は、車両挙動制御装置1が搭載された車両100の各所に取り付けられたセンサから、各種の入力信号が入力される。入力信号としては、例えば、車速センサ4により検出された車両100の車速、操舵角センサ5により検出された車両100の操舵量としての、操舵角、操舵角速度及び操舵角加速度、回転体センサ6R及び6Lにより検出された回転体21R及び21Lの回転速度、電動発電機センサ7R及び7Lにより検出された電動発電機10R及び10Lの回転速度などに関する信号がある。
制御装置8は、これら入力信号と、記憶部85に格納されている電磁ブレーキを掛ける時間(所謂、ブレーキ時間)と車速と操舵量との相関関係を示した制御マップ、又は、電動発電機の回転速度と車速と操舵量(又は舵角量)との相関関係を示した制御マップに基づいて、各種の出力信号を出力する。尚、これらの制御マップの詳細については後述される。出力信号としては、例えば、ドライバ9R及び9Lを介した電動発電機10R及び10Lの駆動制御を行う駆動制御信号などがある。
また、制御装置8は、上記の入力信号や出力信号の入出力を行う入出力部(即ち、I/O部:Input Output部)81と、処理部82と、上述した制御マップなどの各種マップなどを格納する記憶部85とにより構成されている。処理部82は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。処理部82は、少なくとも電動発電機回転制御部83R及び83Lと、電動発電機回転速度算出部84R及び84Lとを有している。処理部82は、車両挙動制御装置1による車両挙動制御方法などに基づくプログラムをメモリにロードして実行することにより、車両挙動制御装置1による車両挙動制御方法などを実現させるものであっても良い。また、記憶部85は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、ROM(Read Only Memory)のような読み出しのみが可能なメモリ、或いはRAM(Random Access Memory)のような読み出しに加えて書き込みが可能なメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
電動発電機回転速度算出部84R及び84Lは、電動発電機10R及び10Lの回転速度を夫々算出する。電動発電機回転速度算出部84R及び84Lは、検出された車両100の車速、操舵量、制御マップに基づいて、右操舵又は左操舵された場合に、電磁ブレーキを掛けるブレーキ時間、電磁ブレーキによる電動発電機の回転速度の目標値、又は、増速による電動発電機の回転速度の目標値を、電動発電機10R及び10L毎に夫々算出する。特に、これらの値は、車速及び操舵量に加えて、車両100において発生するロールモーメントの大小も更に考慮して、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等に基づいて、個別具体的に決定してよい。
電動発電機回転制御部83R及び83Lは、上記の電動発電機回転速度算出部84R及び84Lにより算出された回転速度に基づいて、電動発電機10R及び10Lを夫々駆動制御する。具体的には、電動発電機回転制御部83Rは、ドライバ9Rを介して、算出された回転速度と電動発電機センサ7Rより検出された現在の回転速度とに基づいて、電動発電機10Rの回転駆動制御又は発電駆動制御のうちいずれか一方を行う。概ね同様にして、電動発電機回転制御部83Lは、ドライバ9Lを介して、算出された回転速度と電動発電機センサ7Lにより検出された現在の回転速度とに基づいて、電動発電機10Lの回転駆動制御又は発電駆動制御のうちいずれか一方を行う。
ドライバ9R及び9Lは、電動発電機10R及び10Lの駆動を行う。ドライバ9R及び9Lは、電動発電機10R及び10Lと、制御装置8と、バッテリ11とに接続されている、ドライバ9R及び9Lは、電動発電機10R及び10Lとバッテリ11との接続状態を制御装置8の駆動制御により切り替えるものである。ドライバ9R及び9Lは、制御装置8により電動発電機10R及び10Lの回転駆動制御が行われる場合は、バッテリ11から電動発電機10R及び10Lへ電力を供給することで、電動発電機10R及び10Lに回転軸13R及び13Lを回転させ、モータとして動作する。他方で、ドライバ9R及び9Lは、制御装置8により電動発電機10R及び10Lの発電駆動制御が行われる場合は、電動発電機10R及び10Lの回転軸13R及び13Lに回転方向と反対方向の制動力を与える(言い換えると、電磁ブレーキ(所謂、回生ブレーキ)を掛ける)ことで発電させ、発電した電力をバッテリ11に蓄電し、ジェネレータとして動作する。尚、本実施形態に係る車両挙動制御装置1では、回転体21R及び21Lに制動力を付与する手段として電動発電機10R及び10Lを用いたがこれに限定されるものではなく、油圧ブレーキなどのブレーキ装置であっても良い。
バッテリ11は、車両100に搭載されるものである。バッテリ11は、車両100に駆動源として電動機が搭載されている場合に、電動機に電力を供給するバッテリであっても良い。
(動作原理)
次に、図3から図6を参照して、本実施形態に係る車両挙動制御装置の動作原理について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る車両挙動制御装置を統括制御する制御装置による挙動制御処理の流れを示したフローチャートである。尚、この挙動制御処理は、例えば数μ秒乃至数十μ秒等の所定周期で繰り返し行われる。図4は、本実施形態に係る車両挙動制御装置を統括制御する制御装置による挙動制御処理のサブルーチンである直進中の回転速度制御の流れを示したフローチャートである。図5は、本実施形態に係る車両に固定された電動発電機において、リアクションホイールの原理に基づいて、右及び左ロールモーメントが発生する原理を図式的に示した模式図(図5(a)及び図5(b))である。図6は、本実施形態に係る回転体の減速率若しくは増速率と、車速と、舵角量との相関関係を定量的及び定性的に示したグラフである。
尚、この挙動制御処理は、図1に示されるように、車両挙動制御装置1による挙動制御の一例として、車両100が右旋回Rすることで、車両100の左右のロール方向のうち、旋回方向と反対方向(反時計回り)に車両100が慣性に従って左方向にロールしてしまう場合について説明する。特に、この場合の挙動制御処理として、本実施形態では、車両100が慣性に従ってロールする左方向を打ち消すためにこの左方向のロールと反対方向(即ち、時計回り)に、リアクションホイールに基づいた右方向のロールモーメントを発生させる挙動制御処理について説明する。ここに、本実施形態に係る「リアクションホイールに基づいたロールモーメント」とは、回転状態を維持しようとする回転体21R及び21Lに起因して発生する、回転体21R及び21Lの回転軸が延びる方向を軸とする慣性力を意味してよい。
先ず、図3に示されるように、制御装置8は、車両100のイグニションスイッチ(IG)が運転者によって「On」されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、車両100のイグニションスイッチが運転者によって「On」されたと判定される場合(ステップS101:Yes)、制御装置8は、車速V、操舵角θを取得し、記憶部85に格納する(ステップS102)。ここでは、制御装置8は、車速センサ4により検出された車速V及び操舵角センサ5により検出された操舵角θを取得する。
次に、制御装置8は、回転体21R及び21Lによって構成されるジャイロ2を回転駆動する(ステップS103)。即ち、制御装置8の処理部82に含まれる電動発電機回転制御部83R及び83Lの制御下で、電動発電機ドライバ9R及び9Lにバッテリ11の電力が供給され、電動発電機10R及び10Lが回転駆動されると共に、電動発電機10R及び10Lの回転力が、回転軸13R及び13Lを介して、ジャイロ2を構成する回転体21R及び21Lに伝達され、回転体21R及び21Lが回転駆動する。
次に、制御装置8によって、回転体センサ6R及び6Lによって検出された回転速度に基づいて、全ての回転体、即ち、回転体21R及び21Lの回転速度が所定値以上であるか否かが判定される(ステップS104)。ここに、本実施形態に係る所定値とは、車両100の走行に何らかの影響を殆ど又は完全に与えない回転体21R及び21Lの回転速度を意味してよい。典型的には、この所定値は、車両100の速度等の走行状態に応じて、可変の値でもよし、移動体の物理的な性質に応じて固定の値でもよい。
このステップS104の判定の結果、制御装置8によって、全ての回転体、即ち、回転体21R及び21Lの回転速度が所定値以上であると判定される場合(ステップS104:Yes)、更に、制御装置8によって、車両100が旋回状態であるか否か、言い換えると、車両100が直進状態でないか否かが判定される(ステップS105)。ここで、制御装置8によって、車両100が旋回状態である、言い換えると、車両100が直進状態でないと判定される場合(ステップS105:Yes)、例えば、取得された操舵角及び車速に加えて、図6に示された制御マップM1に基づいて、車両100のロール状態量として、回転体21R又は21Lの回転速度における目標となる減速率(単位は「m/秒/秒」、即ち「m/秒2」)である目標減速率と、回転体21R又は21Lの回転速度における目標となる増速率(単位は「m/秒/秒」)である目標増速率とが制御装置8に取得される(ステップS106)。典型的には、目標減速率は、電磁ブレーキを掛けるブレーキ時間の目標値でよい。
具体的には、図6に示されるように、目標減速率又は目標増速率は、取得された車速V及び操舵角θに基づいて、一義的に決定されてよい。典型的には、例えば電磁ブレーキを掛けるブレーキ時間等の回転体21R又は21Lの回転速度における目標減速率は、車速Vがより高速になるに従って大きくなると共に、操舵角θが大きくなるに従って大きくなるようにしてよい。また、回転体21R又は21Lの回転速度における目標増速率は、車速Vがより高速になるに従って大きくなると共に、操舵角θが大きくなるに従って大きくなるようにしてよい。このように、車両100の車速がより高速であるほど、又は、車両100の操舵角や操舵角速度や操舵角加速度が大きくなるほど、回転体21R又は21Lにおいて、急ブレーキを掛けて減速率を大きくさせたり、増速率を大きくさせたりすることによって、リアクションホイールに基づいた慣性力をより大きく発生させることが可能である。
次に、制御装置8によって、取得された目標増速率が、電動発電機10R及び10Lの回転駆動可能な許容範囲内であり、当該目標増速率を設定することができるか否かが判定される(ステップS107)。典型的には、取得された目標増速率が、図6に示された、例えば点P1における増速率より小さい値の範囲等の電動発電機10R及び10Lにおいて、増速側に回転駆動可能な許容範囲内にあるか否かが判定される。
このステップS107の判定の結果、取得された目標増速率が、電動発電機10R及び10Lの回転駆動可能な許容範囲内であり、当該目標増速率を設定することができると判定される場合(ステップS107:Yes)、制御装置8は、この設定可能な目標増速率と絶対値の等しい値を目標減速率として設定する(ステップS108)。
他方、上述したステップS107の判定の結果、取得された目標増速率が、電動発電機10R及び10Lの回転駆動可能な許容範囲内になく、言い換えると許容範囲外であり、当該目標増速率を設定することができないと判定される場合(ステップS107:Yes)、制御装置8は、目標増速率を、図6に示された点P1に対応される上限値Maxに設定すると共に、この上限値Maxと絶対値の等しい値を目標減速率として設定する(ステップS109)。
(右操舵の場合)
次に、制御装置8によって、車両100が右旋回しているか否かが判定される(ステップS110)。ここで、車両100が右旋回していると判定される場合(ステップS110:Yes)、制御装置8によって、電動発電機10R(言い換えると、右モータ)において、目標減速率で減速するように、例えば電磁ブレーキを掛けるブレーキ時間が設定されると共に、電動発電機10L(言い換えると、左モータ)において、目標増速率で増速するようにドライバ9Lの駆動条件が設定される(ステップS111)。これにより、電動発電機10R及び10Lにおいて、回転駆動又は電磁ブレーキによる制動が行われた場合、リアクションホイールの原理により、車両100において、右方向のロールモーメントが発生する。
具体的には、このリアクションホイールの原理においては、図5(a)に示されるように、電動発電機10Rが、右回転している回転軸13Rに電磁ブレーキを掛け減速した場合、電動発電機10Rが固定された車両100は、回転体21R及び回転軸13Rが慣性に従って右回転しようする慣性力につられて右ロール方向に回転しようとする。これにより、電動発電機10Rに電磁ブレーキが掛けられ減速させることにより、車両100に右ロールモーメントを発生させることができる。
他方、このリアクションホイールの原理においては、概ね同様にして、図5(b)に示されるように、電動発電機10Lが、左回転している回転軸13Lを増速した場合、電動発電機10Lが固定された車両100は、回転体21L及び回転軸13Lにおいて増速された左回転力から反動力を受けて、言い換えると、左回転が増速している回転体21L及び回転軸13Lに蹴飛ばされて右ロール方向に回転しようとする。これにより、電動発電機10Lが増速されることによって、車両100に右ロールモーメントを発生させることができる。
(左操舵の場合)
他方、上述したステップS110の判定の結果、車両100が右旋回していると判定されない場合、即ち、左旋回していると判定される場合(ステップS110:No)、制御装置8によって、電動発電機10R(言い換えると、右モータ)において、目標増速率で増速するようにドライバ9Rの駆動条件が設定されると共に、電動発電機10L(言い換えると、左モータ)において、目標減速率で減速するように、例えば電磁ブレーキを掛けるブレーキ時間が設定される(ステップS112)。これにより、電動発電機10R及び10Lにおいて、回転駆動又は電磁ブレーキによる制動が行われた場合、上述したリアクションホイールの原理により、車両100において、左方向のロールモーメントが発生する。
(直進中の回転速度制御)
他方、上述したステップS105の判定の結果、制御装置8によって、車両100が旋回状態でない、言い換えると、車両100が直進状態であると判定される場合(ステップS105:No)、車両100が直進中における、回転体21R又は21Lの回転速度制御の流れを示した図4中のサブルーチンへと進む(ステップS150)。
図4に示されるように、次に、制御装置8によって、回転体21Rの回転速度と、回転体21Lの回転速度とが異なるか否かが判定される(ステップS151)。ここで、回転体21Rの回転速度と、回転体21Lの回転速度とが異なると判定される場合(ステップS151:Yes)、制御装置8は、2つの異なる回転体21Rの回転速度と、回転体21Lの回転速度との平均値を、回転体21R及び21Lの目標となる目標回転速度に夫々設定する(ステップS152)。これにより、所謂、ジャイロ制御における0点(初期状態)復帰の制御手法に基づいて、回転体21Rの回転運動エネルギと、回転体21Lの回転運動エネルギとの差を殆ど又は完全に無くすことができる。これにより、この回転運動エネルギの差に起因して発生する不要又は予期しない力を殆ど又は完全に無くすことができるので、車両100の挙動変化をより適切且つ的確に制御することが可能である。
次に、制御装置8は、目標増速率を、上述した図6に示された点P1に対応される上限値Maxに設定すると共に、この上限値Maxと絶対値の等しい値を目標減速率として設定する(ステップS153)。
他方、上述したステップS151の判定の結果、回転体21Rの回転速度と、回転体21Lの回転速度とが異なると判定されない場合、言い換えると、回転体21Rの回転速度と、回転体21Lの回転速度とが同じであると判定される場合(ステップS151:No)、制御装置8は、上述した所定値を、回転体21R及び21Lの目標となる目標回転速度に夫々設定する(ステップS154)。これにより、上述のリアクションホイールの原理に基づいた慣性力を発生させる回転体21R及び21Lの回転制御における、初期値を一定にさせることができるので、回転体21R及び21Lの回転制御をより高精度に行うことができる。
次に、制御装置8は、目標増速率を、上述した図6に示された点P1に対応される上限値Maxに設定すると共に、この上限値Maxと絶対値の等しい値を目標減速率として設定する(ステップS155)。
(回転駆動又は制動)
次に、再び、図3に戻って、制御装置8によって、電動発電機10R及び10Lにおいて、回転駆動又は電磁ブレーキによる制動が行われる(ステップS113)。
次に、制御装置8は、車両100のイグニションスイッチが運転者によって「Off」されたか否かを判定する(ステップS114)。ここで、車両100のイグニションスイッチが運転者によって「Off」されたと判定される場合(ステップS114:Yes)、上述した一連の挙動制御処理は終了する。
他方、ステップS114の判定の結果、車両100のイグニションスイッチが運転者によって「Off」されたと判定されない場合(ステップS114:No)、上述したように、再度、制御装置8によって、回転体センサ6R及び6Lによって検出された回転速度に基づいて、全ての回転体、即ち、回転体21R及び21Lの回転速度が所定値以上であるか否かが判定される(ステップS104)。
(第2及び第3の実施形態)
次に、図7を参照して、第2及び第3の実施形態に係る車両挙動制御装置の基本構成について説明する。ここに、図7は、第2及び第3の実施形態に係る車両挙動制御装置の構成の一部を概念的に夫々示した外観斜視図(図7(a)及び図7(b))である。尚、第2及び第3の実施形態においては、上述した実施形態と概ね同様の構成には、同一の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7(a)に示されるように、第2の実施形態に係る車両挙動制御装置においては、上述した実施形態に係る回転体21Rは、車両100の車幅方向に沿って延びる(或いは、このことに加えて、車両100が走行する地面に対向するように延びる)回転軸13Rにより一のピッチ方向に回転可能なように支持されている。
概ね同様にして、回転体21Lは、車両100の車幅方向に沿って延びる(或いは、このことに加えて、車両100が走行する地面に対向するように延びる)回転軸13Lにより他のピッチ方向に回転可能なように支持されている。
図7(b)に示されるように、第3の実施形態に係る車両挙動制御装置においては、上述した実施形態に係る回転体21Rは、車両100の車高方向に沿って延びる回転軸13Rにより一のヨー方向に回転可能なように支持されている。
概ね同様にして、回転体21Lは、車両100の車高方向に沿って延びる回転軸13Lにより他のヨー方向に回転可能なように支持されている。
この結果、第2及び第3実施形態によれば、回転体21R及び21Lの配置の自由度をより大きくさせることができる。以上の結果、挙動制御をより効果的に実現できる位置に、回転体21R及び21Lを配置することが可能である。
尚、上述した本実施形態に係る車両挙動制御装置1による挙動制御方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述したように、本実施形態に係る挙動制御処理は、図1に示されるように、車両挙動制御装置1による挙動制御の一例として、車両100が右旋回Rすることで、車両100の左右のロール方向のうち、旋回方向と反対方向(反時計回り)に車両100が慣性に従って左方向にロールしてしまう場合に、この左方向を打ち消すために、右方向のロールモーメントを発生させる挙動制御処理について説明した。この場合の挙動制御処理として、車両100が慣性に従ってロールする左方向を補助するためにこの左方向のロールと同一方向(即ち、反時計回り)に、リアクションホイールに基づいた左方向のロールモーメントを発生させてよい。この場合、車両100が左旋回する際のロール方向に積極的にロールモーメントを発生させるので、右前輪101R及び右後輪102Rの接地圧を増加することができ、旋回性を向上させることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う移動体の慣性制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る車両挙動制御装置を搭載した車両の基本構成を概念的に示した外観斜視図である。 本実施形態に係る車両挙動制御装置の制御装置に入出力される各種の制御信号の流れに着目した車両挙動制御装置の一部の詳細構成を図式的に示したブロック図である。 本実施形態に係る車両挙動制御装置を統括制御する制御装置による挙動制御処理の流れを示したフローチャートである。 本実施形態に係る車両挙動制御装置を統括制御する制御装置による挙動制御処理のサブルーチンである直進中の回転速度制御の流れを示したフローチャートである。 本実施形態に係る車両に固定された電動発電機において、リアクションホイールの原理に基づいて、右及び左ロールモーメントが発生する原理を図式的に示した模式図(図5(a)及び図5(b))である。 本実施形態に係る回転体の減速率若しくは増速率と、車速と、舵角量との相関関係を定量的及び定性的に示したグラフである。 第2及び第3の実施形態に係る車両挙動制御装置の構成の一部を概念的に夫々示した外観斜視図(図7(a)及び図7(b))である。
符号の説明
1 車両挙動制御装置
2 2重反転型ジャイロ(ジャイロ)
4 車速センサ
5 操舵角センサ
6R及び6L 回転体センサ
7R及び7L 電動発電機センサ
8 制御装置
9R及び9L 電動発電機ドライバ(ドライバ)
10R及び10L 電動発電機
11 バッテリ
13R、13L 回転軸
21R、21L 回転体
81 入出力部(即ち、I/O部:Input Output部)
82 処理部
83R及び83L 電動発電機回転制御部
84R及び84L 電動発電機回転速度算出部
85 記憶部
100 車両
101R、101L 前輪
103 駆動軸(ドライブシャフト)
102R、102L 後輪
104 駆動軸
105 操舵装置
105a ステアリングホイール。

Claims (11)

  1. 移動体において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる一対の回転体と、
    前記移動体に固定されており、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる回転手段と、
    前記移動体の走行状態に応じて、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする移動体の慣性制御装置。
  2. 前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転方向と、前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転方向とは異なり、
    前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体の慣性制御装置。
  3. 前記一対の回転体における重さ、大きさ又は形状は異なることに加えて、前記一対の回転体における慣性モーメントは等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体の慣性制御装置。
  4. 前記回転手段として、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる一対の回転手段を備え、
    前記制御手段は、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度を減速するように前記一対の回転手段のうち一方の回転手段を制御すると共に、前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度を増速するように前記一対の回転手段のうち他方の回転手段を制御することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の移動体の慣性制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記一方の回転体の回転速度を減速する加速度と、前記他方の回転体の回転速度を増速する加速度とを等しくするように前記一対の回転手段を夫々制御することを特徴とする請求項4に記載の移動体の慣性制御装置。
  6. 前記回転手段として、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる一対の電動発電機を備え、
    前記制御手段は、電磁ブレーキを掛けること及び回転駆動を行うことのうちいずれか一方を前記一対の電動発電機のうち一方の電動発電機に対して行うと共に、前記電磁ブレーキを掛けること及び前記回転駆動を行うことのうちいずれか他方を前記一対の電動発電機のうち他方の電動発電機に対して行うことにより、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の移動体の慣性制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度と前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度とが異なる状態から、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しい状態へ変化させる場合、前記異なる状態における前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度との平均値と前記一対の回転体の回転速度とが夫々等しくなるように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の移動体の慣性制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しくなった後、前記一対の回転体の回転速度が所定値と等しくなるように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の移動体の慣性制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記一対の回転体の回転状態を、前記一対の回転体のうち一方の回転体の回転速度と前記一対の回転体のうち他方の回転体の回転速度とが異なる状態から、前記一方の回転体の回転速度と前記他方の回転体の回転速度とが等しい状態へ変化させる場合、前記一対の回転体の回転速度が所定値と夫々等しくなるように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の移動体の慣性制御装置。
  10. 前記回転軸が延びる方向は、前記移動体における、高さ方向、幅方向、及び長さ方向のうちいずれか一の方向であることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の移動体の慣性制御装置。
  11. 移動体において、回転可能に支持され且つ回転軸が延びる方向に沿って互いに向かい合いように配置されると共に、回転方向が互いに異なる一対の回転体と、前記移動体に固定されており、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させる回転手段とを備えた移動体の慣性制御方法であって、
    前記移動体の走行状態に応じて、前記一対の回転体の回転状態を夫々変化させるように、前記回転手段を制御する制御工程と
    を備えることを特徴とする移動体の慣性制御方法。
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