JP2010081934A - 耐熱性2本鎖特異的核酸分解酵素 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カニ下目(Brachyura)由来の2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組み換えベクター並びに該ベクターを含む形質転換体および形質導入体。該形質転換体または形質導入体を培地で培養し、培養物から2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質の製造方法。該2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を用いる核酸の切断方法および該DSNを用いるRNA検出方法、並びに前記方法に用いる試薬キット。
【選択図】図5
Description
エビおよびカニなどのDecapoda(十脚目)由来のヌクレアーゼは、最初にクダヒゲエビ科のSolenocera melantho(ナミクダヒゲエビ)から肝膵臓由来DNaseとして精製された(非特許文献1)。ナミクダヒゲエビDNaseは、ウシ肝膵臓由来DNaseよりも大きな分子量(約44kDa)を持っていた。ナミクダヒゲエビDNaseは糖鎖を持たないことが確認され、その分子量が大きいのはポリペプチド鎖が長いためであると考えられた。ナミクダヒゲエビDNaseは、金属イオン要求性と至適活性pHはウシ膵臓由来DNaseとよく似ており、RNase(RNA分解酵素)活性は示さなかった。またナミクダヒゲエビDNaseは、トリプシン消化に対する耐性を持つことが示された。アミノ酸組成の解析結果から、ナミクダヒゲエビDNaseは36のCys残基による18のジスルフィド結合によって高度に分子内架橋されていることが示された。
クルマエビ科Penaeus japonicus(クルマエビ)の肝膵臓からも同様な分子量のヌクレアーゼが精製され(非特許文献2)、またそのcDNA配列が明らかにされた(非特許文献3)。クルマエビヌクレアーゼは、DNase活性に加えて、低いレベルのRNase活性を示した。アミノ酸配列の相同性から、クルマエビヌクレアーゼは、ウシDNA分解酵素I様タンパク質(bovine DNase−I−like protein)よりむしろ霊菌(Serratia marcescens)ヌクレアーゼに代表されるDNA/RNA非特異的エンドヌクレアーゼ(DRNSN)のファミリーに属することが示された。クルマエビヌクレアーゼのアミノ酸配列は、402アミノ酸残基あり、381残基の成熟酵素と21残基の推定シグナルペプチドから成る。クルマエビヌクレアーゼは、11のCys残基を持っており、それらのうちの10のCys残基が5つの分子内ジスルフィド結合を形成し、残る1つのCys残基は、分子量500〜700Daと推定されるチオール化合物に結合していた。Wangらは大腸菌中でクローンしたヌクレアーゼ遺伝子を発現させたが、発現したタンパク質はヌクレアーゼ活性を示さなかった(非特許文献3)。
ヤドカリ下目、タラバガニ科Paralithodes camtschaticus(タラバガニ)の肝膵臓からも同様な分子量のヌクレアーゼが精製され(非特許文献4)、またそのcDNA配列が明らかにされた(非特許文献5)。タラバガニヌクレアーゼのアミノ酸配列は、407アミノ酸残基あり、380残基の成熟酵素と27残基の推定シグナルペプチドから成り、クルマエビヌクレアーゼの配列と64%の同一性を有していた。
タラバガニヌクレアーゼ配列もまたDRNSNに共通するNUCドメインを有していたが、精製酵素のキャラクタリゼーションの結果、驚くべきことに、タラバガニヌクレアーゼは2本鎖DNA基質に強い切断選択性を示し、1本鎖DNAにはほとんど活性を示さなかった。またタラバガニヌクレアーゼはRNA基質に対してほとんど切断活性を示さず、DNA−RNA ハイブリッド二重鎖においては、その中のDNA分子のみを効率良く切断した。またミスマッチを含む短い2本鎖DNAに対してほとんど切断活性を示さなかった。ここにタラバガニヌクレアーゼの特徴的な基質特異性が明らかにされ、この酵素は“duplex−specific nuclease”(DSN)と呼ばれた(非特許文献5、非特許文献6)。
コエビ下目、タラバエビ科のPandalus borealis(ホッコクアカエビ)の消化腺から精製されたヌクレアーゼもまた2本鎖DNA基質に対する切断選択性を有し、1本鎖DNAはほとんど分解しないことが示された(特許文献1)。このホッコクアカエビDSNは、耐熱性を有するタラバガニDSNとは対照的に、至適活性温度が25℃であり、70℃、30分間または94℃、2分間の加熱で失活する易熱性の酵素である。
この易熱性を利用したホッコクアカエビDSNの用途として、PCR産物のキャリーオーバーコンタミネーションの除去方法が開示されている(特許文献1)が、ホッコクアカエビDSNのアミノ酸配列およびcDNA配列は開示されていない。
タラバガニDSNのアミノ酸配列と相同性のあるDSNホモログが、いくつかのDecapodaで見つかっている。Molthathongらはクルマエビ科Penaeus
monodon(ブラックタイガーエビ)肝膵臓からDSNホモログをコードするcDNAを単離した。その予測アミノ酸配列は、クルマエビヌクレアーゼの配列と89%の同一性を有していた(非特許文献9)。その他のDSNホモログ配列として、スナガニ科Amphiuca crassipes(ベニシオマネキ)由来のmRNA配列[GenBank DQ862540]およびPalaemonidae sp.(テナガエビ科の一種)由来のmRNA配列[GenBank DQ862538]がGenBank配列データベース中に見出される。タラバガニDSNとその他のDSNホモログを、進化系統樹的な解析から新規なヌクレアーゼのファミリーとして分類する提案もなされた(非特許文献10)。これらのDSNホモログ配列は、いずれもタンパク質の単離および酵素活性についての報告はなく、実際にヌクレアーゼ活性を有するタンパク質として翻訳されているのか否か、また翻訳産物がタラバガニDSNのような2本鎖特的な核酸切断活性を有するかどうか、さらには耐熱性を有するかどうかということは、現在のところ全く不明である。
また組換えタンパク質発現技術を用いて容易に製造することができる新規な耐熱性DSNを得ること、およびその製造方法を提供することを課題とした。またBrachyura(カニ下目)に属する生物由来、より詳しくはMajidae(クモガニ科)の生物由来、またより詳しくはChionoecetes属由来の新規なDSN酵素を得ることを課題とした。また新規な耐熱性DSNを用いる核酸の切断方法および該DSNを用いるRNA検出方法、並びに前記方法に用いる試薬キットを提供することを課題とした。
<1> 以下の(a)または(b)のタンパク質;
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1または複数個のアミノ酸が付加、欠損、挿入または置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質。
<2> 以下の(a)または(b)の耐熱性を有する、<1>に記載のタンパク質;
(a)少なくとも約20℃から63℃までの範囲で2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示すことのできる耐熱性、
(b)60℃で30分間の加熱の後に、少なくとも加熱前の約80%の2本鎖特異的核酸分解酵素活性を保持することのできる耐熱性。
<3> 約55℃から63℃までの範囲で2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示すことのできる耐熱性を有する<2>に記載のタンパク質。
<4> SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が42,000〜46,000で、かつ等電点が4.4である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のタンパク質。
<5> Mg2+イオンまたはMn2+イオン存在下において2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示し、Ca2+イオンには非感受性である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のタンパク質。
<6> カニ下目(Brachyura)に属する生物由来である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のタンパク質。
<7> キオノエセテス(Chionoecetes)属の肝膵臓由来である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のタンパク質。
<8> キオノエセテス オピリオ(Chionoecetes opilio)由来である<1>〜<7>のいずれか1項に記載のタンパク質。
<9> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
<10> 以下の(a)または(b)のDNAからなる遺伝子;
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号1に示される塩基配列からなるDNAまたは該DNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質をコードするDNA。
<11> <9>または<10>に記載の遺伝子を含む組換え体ベクター。
<12> <11>に記載の組換え体ベクターを含む形質転換体または形質導入体。
<13> <12>に記載の形質転換体または形質導入体を培地で培養し、培養物から2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質の製造方法。
<14> 昆虫細胞内で2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を発現させることを特徴とする<13>に記載の方法。
<15> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のタンパク質または<13>若しくは<14>に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を用いる核酸の切断方法。
<16> 1本鎖DNAと2本鎖DNAが共存する系で、1本鎖DNAよりも2本鎖DNAを優先的に分解する<15>に記載の方法。
<17> DNA−RNAハイブリッド2本鎖中のDNA鎖を優先的に分解する<15>に記載の方法。
<18> 2本鎖特異的な核酸の切断方法であって、50℃以上の条件下で反応させる<15>〜<17>のいずれか1項に記載の方法。
<19> 60℃以上の条件下で反応させる<18>に記載の方法。
<20> 以下の工程(i)〜(iii)を含むRNA検出方法。
(i)DNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる工程、
(ii)<1>〜<5>のいずれか1項に記載のタンパク質または<10>若しくは<11>に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質で、工程(i)で形成されたDNA−RNAハイブリッド鎖中のDNAを分解する工程、
(iii)工程(ii)におけるDNAの分解を検出することにより、RNAの存在を検出する工程。
<21> 特定のヌクレオチド配列を有するRNAを検出するRNA検出方法であって、前記工程(i)において検出対象とするRNAおよび該RNAに相補的なヌクレオチド配列を有するプローブDNAのDNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる、<20>に記載の方法。
<22> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のタンパク質または<13>若しくは<14>に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質のうち少なくとも1つを含む試薬キット。
本発明においてDSN(2本鎖特異的核酸分解酵素)とは、DSN活性(2本鎖特異的核酸分解酵素活性)を示す能力を有する酵素のことをいい、該DSN活性とは、2本鎖核酸中に存在するデオキシリボ核酸を優先的に切断または分解する活性のことをいう。該2本鎖核酸には、DNA−DNA2本鎖、DNA−RNA2本鎖および部分的な1本鎖構造と部分的な2本鎖構造を有する核酸分子の中の2本鎖部分が含まれる。該部分的な1本鎖構造とは、例えば、塩基のミスマッチ、バルジ構造、ループ構造、フラップ構造および偽Y構造(pseudo−Y structure)などが含まれる。
例えば、該遺伝子は、Chionoecetes opilio肝膵臓由来のTotal RNAからcDNAとして調製することができる。また、例えば、該遺伝子は開示された配列に基づき本明細書の実施例3に記載の方法によって調製される。
(i)DNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる工程、
(ii)本発明の耐熱性DSNで、工程(i)で形成されたDNA−RNAハイブリッド鎖中のDNAを分解する工程、
(iii)工程(ii)におけるDNAの分解を検出することにより、RNAの存在を検出する工程。
工程(i)において、検出対象とするRNAおよび該RNAに相補的なヌクレオチド配列を有するプローブDNAのDNA−RNAハイブリッド鎖を形成させることにより、特定のヌクレオチド配列を有するRNAを検出することができる。
(i)DNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる工程
この工程は、RNAと該RNAに相補的なヌクレオチド配列を有するDNAとのハイブリッド鎖を形成させる工程である。ここで「ハイブリッド」とは、RNAとDNAとの相補的結合の結果物をいう。RNAとしては、全体が天然型のRNAである場合のほか、RNAをその一部に含む核酸および非天然型のヌクレオチドを含むRNAなどが挙げられる。また、本発明の方法によればRNAの断片も検出可能である。
この工程は、本発明耐熱性DSNを用いて2本鎖特異的に核酸を切断することにより、工程(i)で形成された1本のRNA鎖および1本のDNA鎖からなるDNA−RNAハイブリッド鎖中のDNAを分解する工程である。工程(ii)は、25℃以上、好ましくは35℃以上の条件下で反応を行うことが好ましい。また、90℃以下、好ましくは80℃以下の条件下で反応を行うことが好ましい。
この工程は、工程(ii)におけるDNAの分解を検出することにより、RNAの存在を検出する工程である。DNAの分解は、例えば、次の方法により検出することができる。工程(i)においてDNAの5’末端をレポーターの蛍光色素、3’末端をクエンチャーの蛍光色素で標識したプローブDNAを用いてDNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる。その後、本発明の耐熱性DSNでDNA−RNAハイブリッド鎖中にDNAを分解することにより、プローブDNAに結合しているリポーターの蛍光色素とクエンチャーの蛍光色素が離れ離れになり、リポーターの蛍光色素が検出されるようになる。すなわち、検体中にRNAが存在すれば、リポーターの蛍光色素が検出される。また、例えば、平板ゲル電気泳動、キャピラリーゲル電気泳動およびマススペクトル分析などの当業者に公知の様々な核酸の分析手法によっても検出が可能である。例えば、本発明のDSN酵素を添加する場合と添加しない場合との電気泳動パターンを比較することによりDNAの分解を検出することも可能である。
我々は、ズワイガニの肝膵臓中にDSNが発現していることを見出し、その遺伝子を単離および同定する目的で、まず以下の方法で肝膵臓由来1st strand cDNAを調製した。
鳥取県の網代港で水揚げされた活ズワイガニを購入し、解剖して肝膵臓を採取した。採取した肝膵臓、約100mgを直ちに1.2mlのRNAlater(QIAGEN社製)に浸漬し、4℃で16時間保存した。浸漬した肝膵臓をピンセットで取り出し、新しいエッペンドルフチューブに入れ、使用するまで−80℃で保存した。
−80℃で保存したズワイガニの肝膵臓から、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、Total RNAを抽出した。精製操作の手順は、該精製キットに付属の仕様書に従った。30mgの肝膵臓から、60μgのTotal RNAが得られた。
以下に示す逆転写反応により、1st strand cDNAを合成した。反応は3’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends(Invitrogen社製)に添付の試薬を使用して行った。ズワイガニ肝膵臓から抽出したTotal RNA 1μg(0.5μl)を鋳型として使用した。0.5μlのTotal RNA、1μlのプライマーAP(配列番号16)(10μM)および、10.5μlのRNase Free H2Oを混合し、70℃で10分間熱処理を行い、その後氷上で急冷した。熱処理後の混合液(12μl)に、反応緩衝液として、10倍濃度の緩衝液(10×PCR buffer)を2μl添加した。dNTPは終濃度が各0.5mM、MgCl2は終濃度が2.5mM、そしてDTTが10mMとなるようにそれぞれ添加し、42℃で2分間インキュベートした。逆転写酵素としてSuperScriptTMII Rverse Transcriptaseを200U添加して反応液(全量20 μl)を調製した。反応液を42℃で50分間インキュベート後、70℃で15分間インキュベートし、逆転写反応を終了させた。反応液を氷上で冷却して、RNaseH 2.0Uを添加し、37℃で20分間インキュベートした。この溶液を1st strand cDNA溶液とした。サーマルサイクラーは、Gene Amp PCR System 9600(Perkin Elmer社製)を使用した。
実施例1の方法で調製したズワイガニ肝膵臓由来1st strand cDNAを鋳型として用い、まずDSN遺伝子の内部配列を取得した後、得られた内部配列を元に3’領域配列を決定し、次に5’配列領域を決定し、最終的にズワイガニDSN遺伝子の全長cDNAの塩基配列決定に至った(配列番号20)。図1はズワイガニDSN遺伝子の部分配列および全長配列のクローニングの概要を示すもので、用いたプライマーの位置の模式図とそれぞれのPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動像を示した(レーンM;DNAサイズマーカー、レーン6;プライマーGSP6−2およびAUAPによるPCR増幅産物、レーンI;プライマーMi1およびMi2によるPCR増幅産物、レーン3’;プライマーM3R2およびAUAPによるPCR増幅産物、レーン5’;プライマーM5R2およびAUAPによるPCR増幅産物、レーンF;プライマーMWF1およびMWR1のPCR増幅産物)。
種々の甲殻類由来のヌクレアーゼ遺伝子間でよく保存されている領域を参考にして、プライマーMGSP6(配列番号3)、MGSP6−2(配列番号4)、Mi1(配列番号5)、Mi2(配列番号6)を作製した。
以下のPCRによって、ズワイガニDSN遺伝子の内部配列を増幅した。1st strand cDNA 2μlを鋳型として反応液(全量50μl)に添加した。DNAポリメラーゼとして、TaKaRa Taq(タカラバイオ社製)2.5Uを反応液に添加した。反応緩衝液として、10倍濃度の緩衝液(10×PCR buffer)を5μl添加した。プライマーとして、MGSP6(配列番号3)およびAUAP(配列番号14)をそれぞれ終濃度0.2μMになるように反応液に添加した。dNTPは終濃度が各0.2mM、MgCl2は終濃度が1.5mMとなるようにそれぞれ反応液に添加した。サーマルサイクラーは、Gene Amp PCR System 9600(Perkin Elmer社製)を使用した。94℃で2分間の熱処理を1回、続いて94℃で60秒間、45℃で30秒間、72℃で3分間の温度サイクルを35回繰り返し、増幅産物〈A〉を得た。
取得したズワイガニDSN遺伝子の内部配列をもとにプライマーM3R1(配列番号7)、M3R2(配列番号8)を作製した。以下のPCRによって、ズワイガニDSN遺伝子の3’領域配列を増幅した。1st strand cDNA 2μlを鋳型として反応液(全量50μl)に添加した。DNAポリメラーゼとして、TaKaRa Taq(タカラバイオ社製)2.5Uを反応液に添加した。反応緩衝液として、10倍濃度の緩衝液(10×PCR buffer)を5μl添加した。プライマーとして、M3R1(配列番号7)およびAUAP(配列番号14)をそれぞれ終濃度0.2μMになるように反応液に添加した。dNTPは終濃度が各0.2mM、MgCl2は終濃度が1.5mMとなるようにそれぞれ反応液に添加した。サーマルサイクラーは、Gene Amp PCR System 9600(Perkin Elmer社製)を使用した。94℃で2分間の熱処理を1回、続いて94℃で60秒間、55℃で30秒間、72℃で3分間の温度サイクルを35回繰り返し、増幅産物〈C〉を得た。
以下に示す5’RACE法により、ズワイガニDSN遺伝子5’領域の塩基配列を解読した。反応は5’RACE Systemfor Rapid Amplification of cDNA Ends,Version 2.0(Invitrogen社製)に添付の試薬を用いて行った。取得したズワイガニDSN遺伝子の内部配列をもとに、M5RT(配列番号9)、M5R1(配列番号10)、M5R2(配列番号11)を作製した。
以下に示す逆転写反応により、cDNAを合成した。ズワイガニ肝膵臓から抽出したTotal RNA 1μg(0.5μl)を鋳型として使用した。0.5μlのTotal RNA、2.5μlのプライマーM5RT(配列番号9)(1μM)および、12.5μlのRNase Free H2Oを混合し、70℃で10分間インキュベート後、氷上で急冷した。熱処理後の混合液(15.5μl)に、反応緩衝液として、10倍濃度の緩衝液(10×PCR buffer)を2μl添加した。dNTPは終濃度が各0.4mM、MgCl2は終濃度が2.5mM、そしてDTTが10mMとなるようにそれぞれ添加し、42℃で1分間インキュベートした。逆転写酵素としてSuperScriptTM II Rverse Transcriptaseを200U添加して、反応液(全量25 μl)を調製した。反応液を42℃で50分間インキュベート後、70℃で15分間インキュベートし、逆転写反応を終了させた。この反応液に、RNase mix 1μlを添加し37℃で30分間インキュベート後、該キットに添付のS.N.A.P.カラムを用いて合成したcDNAを精製し、滅菌超純水50μlで溶出した。精製操作の手順は、該キットに付属の仕様書に従った。
実施例2によってズワイガニDSNのmRNAの塩基配列からcDNAの塩基配列(配列番号20)を決定した我々は、この配列に基づきプライマーMWF1(配列番号12)およびMWR1(配列番号13)を設計し、これによってズワイガニDSN全長遺伝子(配列番号1)をクローンした。全長遺伝子の電気泳動像は図1(e)に示した。
逆転写およびPCR反応は、ReverTra−Plus−TM(東洋紡社製)を用いて行った。まず以下に示す逆転写反応により、cDNAを合成した。ズワイガニ肝膵臓から抽出したTotal RNA 1μg(0.5μl)を鋳型として使用した。0.5μlのTotal RNA、5μlのOligo(dT)20プライマー(配列番号17)(10μM)および、6.5μlのRNase Free H2Oを混合し、65℃で5分間熱処理を行い、その後氷上で急冷した。熱処理後の混合液(12μl)に、反応緩衝液として、5倍濃度の緩衝液(5×RT buffer )を4μl添加した。RNase Inhibitorを1μl、10mM dNTPsを2μl、逆転写酵素としてReverTra Ace(東洋紡社製)を1μl、それぞれ添加して反応液(全量20μl)を調製した。反応液を42℃で60分間インキュベート後、85℃で5分間インキュベートし、逆転写反応を終了させた。この溶液を逆転写cDNA溶液とした。
実施例3によって単離されたズワイガニDSN cDNAを用い、バキュロウイルス−昆虫細胞系による組換えDSN酵素の発現と精製を行った。
以下に示すPCRにより、ズワイガニDSN cDNAを増幅させた。ズワイガニDSN cDNAを昆虫細胞発現用ベクターpVL1393に挿入するために、プライマーMEPF(配列番号18)およびMEPR−His(配列番号19)を作製した。ズワイガニDSNをC末端His−tag融合タンパク質として発現させるために、MEPR−His(配列番号19)の5’末端側に、6×ヒスチジンをコードする塩基配列を付加した。
以下の手順に従い組換えズワイガニDSNの発現および精製を行った。作製した3rd組換えウイルス 1mlを、1.0×106cells/ml(全量100ml)でベントキャップ付き三角フラスコ(コーニング社製)に準備したSf9細胞に添加し、28℃で振とうしながら、4日間インキュベーションした。同様の条件で、さらに2本の該フラスコ(計300ml)で感染を行った。ウイルス感染培養液(全量300ml)を2,500×rpmで10分間遠心分離した。沈殿した細胞を、緩衝液A(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、10mM イミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール、0.2% NP40)20mlに懸濁し、氷上で1時間静地した。この懸濁液を、超音波破砕処理した後、7,000rpm×20分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清にプロテイナーゼK(タカラバイオ社製)を終濃度20μg/mlになるように添加し、37℃で30分間インキュベートし、上清中に含まれる昆虫細胞およびバキュロウイルス由来のタンパク質を分解した。この処理液を7,000×rpmで20分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清から、TALON metal affinity resin(クローンテック社製)を用いて、ズワイガニDSNを精製した。このとき緩衝液として、緩衝液B(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、10mMイミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール)をTALONの洗浄に使用し、緩衝液C(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、500mM イミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール)を溶出に使用した。得られた溶出画分について、SDS−PAGEを行った。この結果を図3に示す。図3中、各レーンは次のサンプルを示す:レーンM;分子量マーカー、レーン1;細胞破砕上清、レーン2;細胞破砕沈殿、レーン3;プロテイナーゼK処理上清、レーン4;プロテイナーゼK処理沈殿、レーン5;TALON非吸着画分、レーン6;TALON洗浄画分1、レーン7;TALON洗浄画分2、レーン8;イミダゾール溶出画分。この結果、ズワイガニDSNの予測分子量に一致する単一のタンパク質バンドが観察されることを確認した(図3レーン8、ズワイガニDSNと考えられるバンドを矢印で示した)。以上のような精製操作により、300mlのウイルス感染培養液から、約50μgの高純度酵素が得られた。
ズワイガニDSNの精製純度に及ぼすプロテイナーゼK処理および熱処理の効果を調査した。以下の手順に従って、精製純度を比較した。実施例4(1)で作製した2nd組換えウイルス 1mlを、1.0×106cells/ml(全量50ml)でベントキャップ付き三角フラスコ(コーニング社製)に準備したexpresSF+細胞に添加し、28℃で振とうしながら、4日間インキュベーションした。ウイルス感染培養液(全量50ml)を2,500×rpmで10分間遠心分離した。沈殿した細胞を、緩衝液A(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、10mMイミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール、0.2% NP40)4mlに懸濁し、氷上で1時間静地した。この懸濁液を、超音波破砕処理した後、7,000rpm×20分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清を2mlずつ別の容器に回収した。1つの容器に、プロテイナーゼK(タカラバイオ社製)を終濃度20μg/mlになるように添加し、37℃で30分間インキュベート後、60℃で15分間処理した。この処理液を15,000×rpmで20分間遠心分離し、上清を回収した(処理上清)。もう一方の容器は、これらの処理を行わなかった(未処理上清)。処理上清および未処理上清それぞれから、TALON metal affinity resin(クローンテック社製)を用いて、ズワイガニDSNを精製した。このとき緩衝液として、緩衝液B(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、10mM イミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール)をTALONの洗浄に使用し、緩衝液C(20mM NaH2PO4(pH7.4)、500mM NaCl、500mM イミダゾール、10% グリセロール、5mM 2−メルカプトエタノール)を溶出に使用した。
(1)ズワイガニDSNのDNA分解活性
実施例4で取得したズワイガニDSN精製酵素のDNA分解活性を測定した。基質としてウシ胸腺由来のDNA(和光純薬社製)を用いた。活性測定はKunitz法(Kunitz、M.,J.Gen.Physiol.,33,349−362,1950)に従い行った。反応基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH8.0)、7mM MgCl2に、ウシ胸腺由来のDNAが終濃度40μg/mlになるように添加して調製した。調製した反応基質溶液(990μl)を石英セルに添加し、25℃で平衡化した。精製酵素10μlを添加し、すばやく攪拌した後に、波長260nmの吸光度を5秒毎に測定した。1分間に波長260nmの吸光度を0.001上昇させる酵素活性を1Uとした。この結果、精製酵素の活性は1313U/mlであることが示された。
ズワイガニDSNの2本鎖特異的切断活性を評価した。2本鎖DNA基質としてλDNA(ニッポンジーン社製)を、1本鎖DNA基質としてM13 mp18 single strand DNA(タカラバイオ社製)を用いた。基質溶液は、50mM Tris−HCl (pH8.0)、7mM MgCl2に、λDNAとM13 mp18 single strand DNAを、終濃度がそれぞれ21μg/mlと10μg/mlになるように添加して調製した。また、基質DNAをそれぞれ単独で添加した基質溶液も調製した。基質溶液9μlにズワイガニDSN精製酵素 1μl(0.5U)を添加して、反応液を調製した。別に、酵素の代わりに、実施例4の緩衝液Bを1μl添加したサンプルを陰性コントロールとして調製した。調製した反応液を60℃で3分間インキュベートした。反応終了後、反応液10μlについて1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、SYBR Green II(タカラバイオ社製)で染色した後、UV照射下で、各基質バンドの有無および濃淡を比較した。その電気泳動像を図5に示した。図5中、レーンMはλ/Hind III digest DNAサイズマーカー(東洋紡社製)、酵素を含むサンプルがレーン1〜3(Zuwai DSN+)、酵素を含まないサンプルがレーン4〜6(Zuwai DSN −)であり、各レーン番号の上に反応液中に添加した基質DNAを示した(M13、λ、およびM13+λ)。また図5中、白抜き矢印はλDNA、黒矢印はM13 DNAの、それぞれ無傷の分子量の位置を示す。
(1)熱処理後の残存活性
ズワイガニDSNの熱安定性を以下の方法で評価した。基質としてウシ胸腺由来のDNA(和光純薬社製)を用いた。活性測定はKunitz法(Kunitz,M.,J.Gen.Physiol.,33,349−362,1950)に従い行った。反応基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH8.0)、7mM MgCl2に、ウシ胸腺由来のDNAが終濃度40μg/mlになるように添加して調製した。
調製した反応基質溶液(990μl)を石英セルに添加し、25℃で平衡化した。実施例4で得られたズワイガニDSN精製酵素を、50℃、60℃、63℃、70℃、80℃の各温度で、5、10、15、20、30分間インキュベーションした後、そのうちの10μlを反応基質溶液に添加し、すばやく攪拌した。波長260nmの吸光度を5秒毎に測定した。1Uの活性は、1分間に波長260nmの吸光度を0.001上昇させる酵素量とした。
ズワイガニDSNの様々な温度におけるDNA分解活性を以下の方法で評価した。基質としてウシ胸腺由来のDNA(和光純薬社製)を用いた。反応基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH8.0)、7mM MgCl2に、ウシ胸腺由来のDNAが終濃度40μg/mlになるように添加して調製した。
調製した反応基質溶液(990μl)を石英セルに添加し、20℃〜70℃の範囲の各活性測定温度で平衡化した。活性測定には、溶液の蒸発を防ぐために蓋付きの石英セルを使用した。波長260nmの吸光度の値が安定した後、実施例4で取得したズワイガニDSN精製酵素を10μl添加し、すばやく攪拌した。波長260nmの吸光度を5秒毎に測定した。1Uの活性は、1分間に波長260nmの吸光度を0.001上昇させる酵素量とした。
測定結果を図7に示した。図7は、各温度において(a)測定された活性(U/ml)および(b)相対活性(%)のグラフを示す。この結果から、ズワイガニDSNが、少なくとも約20℃(789U/ml)から63℃(50250U/ml)までの範囲で高い活性を示し、その至適活性温度は約60℃であり、約55℃から63℃までの範囲で最大活性の70%以上の活性を示すことが分かった。
ズワイガニDSNの金属イオン要求性を以下の方法で評価した。基質としてウシ胸腺由来のDNA(和光純薬社製)を用いた。活性測定はKunitz法(Kunitz,M.,J.Gen.Physiol.,33,349−362,1950)に従い行った。反応基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH7.0)に、MgCl2、MnCl2、CaCl2をそれぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、40、50、100mM添加し、この溶液にウシ胸腺由来のDNA が終濃度40μg/mlになるように添加して調製した。
ズワイガニDSNの1本鎖DNA分解に対する反応温度の影響を評価した。1本鎖DNA基質としてM13 mp18 single strand DNA(タカラバイオ社製)を用いた。基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH8.0)、7mM MgCl2に、M13 mp18 single strand DNAを、終濃度が10μg/mlになるように添加して調製した。基質溶液9μlにズワイガニDSN精製酵素 1μl(0.5U)を添加して、反応液を調製した。調製した反応液を30℃、40℃、50℃、60℃の各温度で、0、10、20、30分間インキュベートした。反応終了後、反応液10μlについて1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、SYBR Green II(タカラバイオ社製)で染色した後、UV照射下で、各基質バンドの有無および濃淡を比較した。
ズワイガニDSNの1本鎖DNA分解に対する反応温度の影響を、2本鎖DNAが共存する条件下で評価した。1本鎖DNA基質としてM13 mp18 single strand DNA(タカラバイオ社製)を、2本鎖DNA基質としてλDNA(ニッポンジーン社製)を用いた。基質溶液は、50mM Tris−HCl(pH8.0)、7mM MgCl2に、λDNAとM13 mp18 single strand DNAを、終濃度がそれぞれ21μg/mlと10μg/mlになるように添加して調製した。基質溶液9μlにズワイガニDSN精製酵素 1μlを添加して、反応液を調製した。調製した反応液を25℃または60℃の各温度で、0、3、10、30分間インキュベートした。
反応終了後、反応液10μlについて1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、SYBR Green II(タカラバイオ社製)で染色した後、UV照射下で、各基質バンドの有無および濃淡を比較した。
ズワイガニDSNのRNA分解活性を評価した。RNA基質として昆虫細胞由来のTotal RNAを用いた。5×106個のSf9細胞から、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、Total RNAを抽出した。精製操作の手順は、該精製キットに付属の仕様書に従った。5×106個のSf9細胞から、5.4μgのTotal RNAが得られた。2本鎖DNA基質としてλDNA(ニッポンジーン社製)を、RNA基質として上記で調製した昆虫細胞由来Total RNAを用いた。基質溶液は、40mM Tris−HCl(pH7.5)、8mM MgCl2、5mM DTTに、λDNAとTotal RNAを、終濃度がそれぞれ10μg/mlと9μg/mlになるように添加して調製した。基質溶液 9μlにズワイガニDSN精製酵素 1μl(5U)を添加して、反応液を調製した。別に、酵素の代わりに、実施例4の緩衝液Bを1μl添加したサンプルを陰性コントロール、および、RNase HおよびRNase T1の混合液であるRNase mix(Invitrogen社製)を1μl添加したサンプルを陽性コントロールとして調製した。調製した各反応液を37℃で30分間インキュベートした。反応終了後、反応液10μlについて1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、SYBR Green II(タカラバイオ社製)で染色した後、UV照射下で、各基質バンドの有無および濃淡を比較した。その電気泳動像を図10に示した。図10中、レーンMはλ/Hind III digest DNAサイズマーカー(東洋紡社製)、レーン1はRNase mix、レーン2はズワイガニDSN精製酵素、レーン3は実施例4の緩衝液Bを添加した反応液である。
ズワイガニDSNのDNA−RNAハイブリッド鎖の分解活性を評価した。DNA−RNAハイブリッド鎖を調製するために、RNA鎖としてPoly A(Roche社製)を、DNA鎖として5’末端をFAM、3’末端をEclipse Dark Quencher (Q)で修飾したオリゴDNA(5’−FAM−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−Q−3’)(配列番号21)を用いた。基質溶液は、40mM Tris−HCl(pH7.5)、8mM MgCl2、5mM DTTに、Poly AとDNAプローブを、終濃度がそれぞれ12.5nmol/mlと0.5nmol/mlになるように添加して調製した。別に、DNAプローブを単独で添加した基質溶液も調製した。DNA−RNAハイブリッド鎖を調製するために、基質溶液を室温で30分間放置し、ハイブリダイゼーションを行った。次に、該基質溶液 19μlにズワイガニDSN精製酵素 1μl(2.5U)を添加して、反応液を調製した。別に、酵素の代わりに、DCPC処理水を1μl添加したサンプルを陰性コントロールとして調製した。調製した反応液を37℃でインキュベートし、30秒おきに蛍光値を測定し、50分間まで測定を行った。蛍光値の測定は、DNA Engine Opticon System(MJ Research社製)を用いて行った。測定結果を図12に示した。Poly A、DNAプローブおよびDSNを添加したサンプルは、反応開始直後から急激に相対蛍光強度(RFU)値が増加した。一方、DSNを添加していないサンプル、および、DSNとDNAプローブのみを添加したサンプルのRFU値の増加量は、Poly A、DNAプローブおよびDSNを添加したサンプルと比較して、顕著に少なかった。
配列番号4:甲殻類由来のヌクレアーゼ遺伝子間で保存された領域を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号5:甲殻類由来のヌクレアーゼ遺伝子間で保存された領域を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号6:甲殻類由来のヌクレアーゼ遺伝子間で保存された領域を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号7:ズワイガニDSN遺伝子内部配列を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号8:ズワイガニDSN遺伝子内部配列を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号9:ズワイガニDSN遺伝子内部配列を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号10:ズワイガニDSN内部遺伝子配列を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号11:ズワイガニDSN内部遺伝子配列を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号12:配列番号20を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号13:配列番号20を基にしたプライマーの塩基配列
配列番号14:RACE法に用いたアブリッジドユニバーサルアンプリフィケーションプライマーの塩基配列
配列番号15:5’−RACE法に用いたアブリッジドアンカープライマーの塩基配列
配列番号16:3’−RACE法に用いたアダプタープライマーの塩基配列
配列番号17:オリゴヌクレオチドの配列
配列番号18:配列番号20のcDNAを昆虫細胞発現用ベクターpVL1393に挿入するためのプライマーの塩基配列
配列番号19:配列番号20のcDNAを昆虫細胞発現用ベクターpVL1393に挿入するためのプライマーの塩基配列
Claims (22)
- 以下の(a)または(b)のタンパク質;
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1または複数個のアミノ酸が付加、欠損、挿入または置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質。 - 以下の(a)または(b)の耐熱性を有する、請求項1に記載のタンパク質;
(a)少なくとも約20℃から63℃までの範囲で2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示すことのできる耐熱性、
(b)60℃で30分間の加熱の後に、少なくとも加熱前の約80%の2本鎖特異的核酸分解酵素活性を保持することのできる耐熱性。 - 約55℃から63℃までの範囲で2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示すことのできる耐熱性を有する請求項2に記載のタンパク質。
- SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が42,000〜46,000で、かつ等電点が4.4である請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
- Mg2+イオンまたはMn2+イオン存在下において2本鎖特異的核酸分解酵素活性を示し、Ca2+イオンには非感受性である請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質。
- カニ下目(Brachyura)に属する生物由来である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質。
- キオノエセテス(Chionoecetes)属の肝膵臓由来である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質。
- キオノエセテス オピリオ(Chionoecetes opilio)由来である請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
- 以下の(a)または(b)のDNAからなる遺伝子;
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号1に示される塩基配列からなるDNAまたは該DNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 請求項9または10に記載の遺伝子を含む組換え体ベクター。
- 請求項11に記載の組換え体ベクターを含む形質転換体または形質導入体。
- 請求項12に記載の形質転換体または形質導入体を培地で培養し、培養物から2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質の製造方法。
- 昆虫細胞内で2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を発現させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項13若しくは14に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質を用いる核酸の切断方法。
- 1本鎖DNAと2本鎖DNAが共存する系で、1本鎖DNAよりも2本鎖DNAを優先的に分解する請求項15に記載の方法。
- DNA−RNAハイブリッド2本鎖中のDNA鎖を優先的に分解する請求項15に記載の方法。
- 2本鎖特異的な核酸の切断方法であって、50℃以上の条件下で反応させる請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 60℃以上の条件下で反応させる請求項18に記載の方法。
- 以下の工程(i)〜(iii)を含むRNA検出方法。
(i)DNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる工程、
(ii)請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10若しくは11に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質で、工程(i)で形成されたDNA−RNAハイブリッド鎖中のDNAを分解する工程、
(iii)工程(ii)におけるDNAの分解を検出することにより、RNAの存在を検出する工程。 - 特定のヌクレオチド配列を有するRNAを検出するRNA検出方法であって、前記工程(i)において検出対象とするRNAおよび該RNAに相補的なヌクレオチド配列を有するプローブDNAのDNA−RNAハイブリッド鎖を形成させる、請求項20に記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項13若しくは14に記載の方法によって製造された2本鎖特異的核酸分解活性を有するタンパク質のうち少なくとも1つを含む試薬キット。
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