JP2010081789A - ラジアルギャップ型回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯状鋼板400を湾曲加工することにより、螺旋巻き帯状鋼板を用いたステータコア又はロータの製造が実現する。帯状鋼板400のうち、互いに理引接する2つの突極部(又はティース)1010の間の中間ヨーク部400Aの径方向内側部分が湾曲される。この湾曲により、中間ヨーク部400Aの径方向内側部分は、軸方向へ突出する。これにより、製造が簡単となる。
【選択図】図5
Description
ラジアルギャップ型回転電機(RGMと略称される)は、広範に採用されている。アキシャルギャップ型回転電機(AGMと呼ばれる)に関する多くの技術提案が存在する。けれども、軸方向の磁気吸引力の問題により、コアタイプのAGMはほとんど実用化されていない。
一般に、RGMのステータコア及びロータコアは、輪板状の多数の電磁鋼板を軸方向に積層することにより形成される。積層電磁鋼板コアは、軟磁性粉末成形コアよりも最大飽和磁束密度、強度及び製造コストの点で優れる。しかしながら、電磁鋼板を輪板状に打ち抜く工程は、多くの材料ロスを発生させる。この問題は、大径モータにおいて特に深刻となる。
分割された軟磁性のコアセグメントを機械的に結合することによりステータコアを実現する分割コア構造は、鋼板ロスを低減する。しかし、分割コア構造は、大きな磁気抵抗と小さい機械強度をもつ。したがって、分割コア構造は、大きな機械的衝撃力が掛かるDD−IWMにおいて採用が容易ではない。
たとえば特許文献2は、リングコイルを使用する横磁束機械(Traverse Flux Macine)を提案している。コイルエンドをもたないリングコイルは、銅使用量を減らす。けれども、軸方向へ延在する多数の軟磁性コアセグメントを機械的に結合して構成されるTFMのステータコアは、複雑な組み立て工程と小さい機械強度をもつ。このため、大きな機械的衝撃力が掛かるDD−IWMにTFMを採用することは、機械的安全性を低下させる。
集中巻きステータコイルはコイルエンドの軸方向長を短縮できるので、モータをコンパクト化し、銅使用量を低減する。この事実は、DD−IWMなどの用途において重要である。
しかし、集中巻きされた電機子コイルは、分布巻きされた電機子コイルに比べて、コイルエンドを構成するコイル導体の密度が高いため、コイルエンド内部のコイル導体の放熱性が悪化する。その結果、コイルエンド内部のコイル導体につながるスロット内部のコイル導体(以下、スロット導体部と呼ばれる)の温度が上昇する。電機子コイルの冷却は、モータが密閉されるDD−IWMのような用途において、特に重要となる。
本発明は、少ない材料により優れたモータ性能をもつラジアルギャップ型回転電機を実現することをその第1の目的としている。本発明は、機械的強度の低下を抑制しつつ積層鋼板使用量を低減可能なラジアルギャップ型回転電機を提供することをその第2の目的としている。
本発明は、ステータの温度上昇を抑制可能なラジアルギャップ型回転電機を提供することをその第3の目的としている。本発明は、優れたスロット占積率をもつラジアルギャップ型回転電機を提供することをその第4の目的としている。本発明は、巻き線作業の簡素化が可能なラジアルギャップ型回転電機を提供することをその第5の目的としている。
上記目的を達成する本発明は、軟磁性のステータコアと、ステータコアに巻装されたステータコイルと、ステータコアに対して径方向へ小ギャップを隔てて回転する軟磁性のロータコアとを有する。ステータコアは、ロータコアに向けて周方向所定ピッチで突出する多数のティースと、周方向に延在して各ティースの基端部を磁気的に結合するヨーク部とを有する。一般に、ステータコアはモータハウジングに固定される。一般に、ロータコアは回転軸に固定される。ただし、ステータコイルが巻かれたステータコアを回転軸に固定し、ロータコアをモータハウジングに固定することもできる。
ステータコアは、軟磁性の帯状鋼板を螺旋状に曲げることにより軸方向へ積層される。ステータコアのヨーク部の径方向内側部分は、ヨーク部の径方向外側部分よりも軸方向へ突出する突出部を有する。ヨーク部の各ターンの突出部は互いに嵌合している。
すなわち、ステータコアは、一定ピッチで幅方向一方側へティース又は突極部が突出する帯状の軟磁性鋼板をリング状に曲げて構成される。この曲げ加工は、隣接する2つのティースの間のヨーク部(中間ヨーク部とも呼ばれる)の径方向内側の辺がその径方向外側の辺よりも軸方向へ突出するように曲げることによりなされる。
このステータコア構造は良好な鋼板の歩留まりをもつ。かつ、その製造は容易である。また、帯状の軟磁性鋼板の径方向外側の辺に突起を設けることにより、その放熱性を改善することも可能である。上記した中間ヨーク部は、湾曲されてもよく、屈曲されてもよく、波状に軸方向へ突出してもよい。
すなわち、この態様は、ステータコアと同様に、ロータコアも帯状鋼板の螺旋巻きにより構成したものである。このロータコアは、ステータコアと同じく、良い歩留まりと容易な製造工程とをもつ。
この態様によれば、ステータコアの軸方向中央部に空隙部分すなわち凹部を設けることができる。この空隙部分に冷却隆流体を導入することにより、ステータコアを良好に冷却することができる。その他、この空隙部分にステータハウジングの突起部を挿入することにより、ステータコアの保持及び冷却が容易となる。
この態様によれば、ロータコアの軸方向中央部に空隙部分すなわち凹部を設けることができる。この空隙部分に冷却隆流体を導入することにより、ロータコアを良好に冷却することができる。その他、この空隙部分にロータハウジングの突起部を挿入することにより、ロータコアの保持及び冷却が容易となる。
好適な態様において、凹凸部は、円筒状のステータハウジングの周面に設けられた凹凸部と嵌合する。その結果、ステータコアは、ステータハウジングに良好に機械的支持されることができる。また、ステータコアの熱は、ステータハウジングに良好に伝達される。
好適な態様において、凹凸部は、円筒状のロータハウジングの周面に設けられた凹凸部と嵌合する。その結果、ロータコアは、ロータハウジングに良好に機械的支持されることができる。また、ロータコアの熱は、ロータハウジングに良好に伝達される。
ティースに集中巻きされるこのテープ状導体の各ターンの厚さ方向は、ティースから遠ざかる方向とされる。テープ状導体の幅方向は、スロットの深さ方向とされる。この集中巻きモータは、ステータコイルの温度上昇を良好に低減することができる。この効果が更に詳しく説明される。
必要なインダクタンスを実現するために、スロット内には多数のターンのコイル導体が収容される。従来のコイル導体は、一般に丸形断面又は正方形断面をもつ。このため、多数層のコイル導体層がスロットの深さ方向に形成される。
スロット内のコイル導体の熱は、ステータコアのティース又はヨークに伝達される。これにより、スロット内のコイル導体の温度上昇は抑制される。けれども、スロットの周方向及び深さ方向にそれぞれ多数のコイル導体が収容される従来の集中巻きコイルでは、スロット内にてティース及びヨークから離れた位置のコイル導体の放熱性が悪化する。
スロット内で互いに隣接する各コイル導体の間には隙間が存在する。この隙間は大きな熱抵抗をもつ。更に、コイル導体の表面の樹脂膜も大きな熱抵抗を発生する。結局、コイルエンドでの放熱能力が悪い集中巻きモータにおいて、スロット内でティース及びヨークから離れた位置のコイル導体の冷却が最も厳しい問題となる。
コイル導体が、スロット深さ方向が幅方向となるテープ状導体により構成するので、各コイル導体とヨークとの間に介在する上記隙間や樹脂膜のスロット深さ方向の長さは最小となる。結局、各テープ状導体は、ヨークに良好に放熱することができるので、集中巻きモータされた各テープ状導体の温度上昇は抑制される。
好適な態様において、ステータコイルは、ティースから遠ざかる向きに順番に巻かれた所定ターン数のコイル導体により構成されるコイルエンドを有する。コイルエンドは、第N(Nは自然数)番目のターンのテープ状導体と、第N+1番目のターンのテープ状導体との間に位置してコイルエンドを略径方向に貫通する冷却領域を有する。冷却領域は、第N番目のターンのテープ状導体と、第N+1番目のターンのテープ状導体から吸収した熱を外部に排出する。この態様によれば、テープ状導体は、冷却領域に広く接触するので良好に冷却される。以下、更に詳しく説明される。
更に、この冷却領域は、コイルエンドの軸方向長さを増大する。しかし、既述されたようにテープ状導体は小さい曲率半径で曲げることができるので、コイルエンドの最も内側のテープ状導体とティースの端面との間の軸方向ギャップの幅を短縮することができる。したがって、コイルエンドの大型化を防止することができる。
好適な態様において、冷却領域は、コイルエンドを構成するテープ状導体の2つの主面の一方に隣接し、互いに隣接する2つのテープ状導体の2つの主面の他方は、互いに密着している。これにより、各テープ状導体の放熱性を確保しつつ、コイルエンドの軸方向長さの増大を抑制することができる。
更に、冷却流体が径方向内側からコイルエンドの流体通路に入る時、冷却流体は、テープ状導体の厚さの分だけ流体通路の断面積を絞られるため、ノズル効果により増速する。したがって、流体通路内の高速の冷却流体とテープ状導体との間の境界層が薄くなるので、冷却流体とテープ状導体との間の熱抵抗は更に低減される。好適には、コイルエンドを構成する全てのテープ状導体の両側に流体通路が形成される。これにより、コイルエンドの冷却効果は更に向上する。
金属プレートは、両側のテープ状導体に広く接触するため、テープ状導体から金属プレートへの伝熱性能は大幅に向上される。金属プレートは、略径方向へ延在してモータハウジングに放熱することができる。又は、金属プレートは、コイルエンドの径方向外側で冷却流体に広く接触して冷却流体に良好に放熱する。又は、金属プレートは、モータ外部で冷却流体に放熱する。その結果、コイルエンドは、良好に冷却される。 好適には、コイルエンドを構成する全てのテープ状導体の両側に金属プレートが配置される。これにより、コイルエンドの冷却効果は更に向上する。
好適な態様において、コイルエンドの軸方向外端面に近接する内端面をもつモータハウジングを有し、モータハウジングの内端面は、互いに周方向に隣接する2つのティースコイルの間に位置してステータコア側へ突出する突条を有する。この突条は、軸方向ステータコア向きに突出する。突条の周方向幅は先端に向いて狭くなっている。これにより、ティースコイルの最も外側のテープ状導体とこの突条との間の熱抵抗を低減することができる。更に、冷却流体がコイルエンドの冷却流体通路を略径方向に貫通する時、多量の冷却流体がモータハウジングの内端面とティースコイルの最も外側のテープ状導体との間のギャップを流れるのを阻止することができる。その結果、コイルエンド内の冷却流体通路を流れる冷却流体の流量が増大するので、コイルエンドのテープ状導体(コイル導体)の冷却が促進される。
このようにすれば、冷却領域の数を減らすことができる。好適には、コイルエンドの全てのテープ状導体の一主面が冷却領域に接触する。これにより、コイルエンド冷却効果を良好に維持しつつコイルエンドの軸方向突出長を短縮することができる。
更に説明すると、ラジアルギャップモータのスロットに上記したテープ状導体を巻く場合、ティースの延在方向と平行なスロット深さは、ティースから遠ざかるにつれて小さくなる。この態様は、この問題を、ティースに集中巻きされるテープ状導体の外側のターンが、その内側のターンよりも小さい幅をもつことにより解決する。これにより、テープ状導体利用の上記効果を確保しつつ、スロット占積率を簡単に向上することができる。
集中巻きされたテープ状導体からなるティースコイルは、既述した多くの利点を有する。けれども、集中巻きされたテープ状導体の両端部(特に内端部)をティースの軸方向端面から引き出すことは、容易ではない。これは、ティースの幅がテープ状導体の幅よりも小さくなるためである。
ただし、ティースの周方向幅が、略ティース長さに等しいテープ状導体の幅よりも狭いと、テープ状導体を折り曲げても引き出せない。この場合には、テープ状導体の内端部の幅をティースの周方向幅以下に狭くしたり、あるいは、テープ状導体の内端部を複数部分に分けて各部分を別々に折り曲げたり、複数のテープ状導体をティースの長さ方向に同時に並列に巻けばよい。
これら複数のテープ状導体を巻く前に、各テープ状導体の内端部は、それぞれ折り曲げられてティースの軸方向端面に沿いつつ径方向に引き出される。これにより、ティース幅が狭く、ティース長さが長い場合でも、単一のテープ状導体により集中巻きコイルを実現することができる。
更に詳しく説明される。爪付きのティースにテープ状導体を集中巻きすることにより、高いスロット占積率を実現することは簡単ではない。そこで、この第2の特徴では、ティースの先端部が爪部をもつ場合に、巻き線作業が困難となるコイル導体(特にテープ状導体)の集中巻き作業を容易とするために、予めティースコイルが集中巻きされた軟磁性の角形筒部をティースの主部に嵌め込む。角形筒部は径方向へ押し込まれる。
この発明の第1の特徴は、帯状鋼板を螺旋巻きすることにより軸方向に積層する軟磁性コアにおいて、帯状鋼板の径方向内側部分を軸方向へ突出させる点にその特徴がある。
この発明の第2の特徴は、ステータコアのティースにテープ状のコイル導体を集中巻きする点にその特徴がある。
この発明の第3の特徴は、ティースに嵌め込まれた爪付きの角形筒部に、ステータコイルを集中巻きした点にその特徴がある。
この発明の第4の特徴は、鍔部(爪部)をもつティースと爪部をもたないティースとを交互に設ける点にその特徴がある。コイルは、各ティースに集中巻きされる。
本発明の第2、第3及び第4の特徴は、本発明の第1の特徴と一緒に実施されることが好適であるが、第1の特徴とは独立に実施されることもできる。
実施例1が図1及び図2を参照して説明される。図1はアウターロータ構造を有するラジアルギャップ型モータの模式軸方向部分断面図である。このモータは、好適には、DD−IWMとして図略のホィールに内蔵されている。図2は、このモータの模式径方向側面図である。図2は、このモータの詳細構造を図示しない。
図3において、6ターンの帯状鋼板400が図示されている。図3は、互いに軸方向に隣接する6個のコアバック1009を図示している。図3は、互いに軸方向に隣接する6個の突極部1010を図示している。6個のコアバック1009は、互いに軸方向に隣接する中間ヨーク部400A、400B、400C、400D、400E及び400Fをもつ。中間ヨーク部400A、400B、400C、400D、400E及び400Fは、コアバック1009のうち、ス突極部1010の軸方向外側に位置しない部分を言う。
つまり、帯状鋼板400により形成されるロータ1002のコアバック1009の径方向外端の周方向長さと、その径方向内端の周方向長さとの差は、中間ヨーク部400A、400B、400C、400D、400E及び400Fを湾曲させて略部分円錐面状に軸方向一端側へ突出させることにより吸収されている。
ステータコア1004のティース1007の径方向内側に位置する部分及びティース1007は、軸方向へ突出していない。
図5は、湾曲加工後の状態を示す帯状鋼板400の部分正面図である。図6は、湾曲加工後の帯状鋼板400を厚さ方向と平行に見た部分平面図である。
まず、帯状鋼板400を打ち抜くことにより、突極部1010が形成される。次に、ロータ1002のコアバック1009のうち、互いに隣接する2つの突極部1010の間の部分である中間ヨーク部400Aが湾曲される。この湾曲は、中間ヨーク部400Aの径方向内側部分をその厚さ方向へ曲げることによりなされる。この実施形態では、中間ヨーク部400Aの径方向外端辺は湾曲されない。この湾曲加工により、帯状鋼板400は、円筒形状に螺旋加工される。
まず、帯状鋼板400を打ち抜くことにより、ティース1007とスロットSとが帯状鋼板400の長手方向へ交互に形成される。次に、ステータコア1004のコアバック1008のうち、スロットSに隣接する部分である中間ヨーク部1008Aが湾曲される。この湾曲は、中間ヨーク部1008Aの径方向内側部分をその厚さ方向へ曲げることによりなされる。この実施形態では、中間ヨーク部1008A径方向外端辺は湾曲されない。この湾曲加工により、帯状鋼板400は、円筒形状に螺旋加工される。
変形態様が図10を参照して説明される。この変形態様は、中間ヨーク部400Aの径方向内側部分を帯状鋼板400の厚さ方向(T)の一方側へ突出させるとともに、突極部1010の径方向内側部分を帯状鋼板400の厚さ方向(T)の他方側へ突出させる湾曲加工を行う点をその特徴としている。このようにすれば、中間ヨーク部の軸方向突出量を減らすことができる。その他、中間ヨーク部の径方向内側部分を波状に湾曲しても良い。
軸方向に突出する上記湾曲部は、軸方向に突出しない部分よりも大きい軸方向厚さをもつ。このことは、たとえば互いに隣接するティース1007や突極部1010の間に径方向に貫通する隙間部が形成されることを意味する。この隙間部は、種々の用途に採用されることができる。たとえば、この隙間部に、軟磁性粉末が混合された樹脂層を設けることができる。ロータ1002又はステータコア1004の隙間部の径方向内端を閉鎖することにより、この隙間部を冷却液体通路とすることができる。凹部1012も冷却液体通路とすることができる。その他、凹部1012に軟磁性粉末が混合された樹脂層を設けることもできる。
変形態様が図11及び図12を参照して説明される。ただし、符号は、いままでの符号と異なっている。図11は、インナーロータ構造を有するラジアルギャップ型モータのステータコア31の模式部分正面図である。図12は、ステータコア31を構成する軟磁性鋼板の模式軸方向断面図(A−A線)である。図12は、2枚の軟磁性鋼板だけを示す。この変形態様は、実施形態は、図13に示される帯状鋼板400を螺旋状に曲げて軸方向に積層することにより円筒状のステータコア31を形成する点にその特徴がある。
この微小な径方向隙間に樹脂液を注入することができる。この径方向隙間を冷却空気流の通路としてもよい。その他、軸方向に隣接する2枚のティース311の間に形成されるこの径方向隙間に軟磁性鉄板を挿入したり、軟磁性鉄粉が混入された樹脂シートを挟んでもよい。たとえば、軟磁性鉄粉が混入された樹脂液にステータコアを漬けることにより、上記微小な径方向隙間に軟磁性鉄粉層が形成される。
実施例2のステータコアが図14及び図15を参照して説明される。このステータコアは、インナーロータ構造を有するラジアルギャップ型モータに採用される。図14は帯状鋼板400の曲げ加工前の状態を示す正面図を示す。図15は、帯状鋼板400の曲げ加工後の状態を示す径方向部分正面図を示す。この実施形態は、実施例1で説明した帯状鋼板螺旋巻き方式のステータコアの他の構造を示す。
破線L4は、その外端P4を固定した状態で、その内端P3を軸方向へ移動する。これにより、領域S5及び領域S6は、領域S3及び領域S4に対して斜めに延在する。なお、破線L1と破線L4とは軸方向反対側に変位してもよく、軸方向同じ側に変位してもよい。結局、帯状鋼板400は、図15に示される多角形の筒状に形成されるので、螺旋巻きされた帯状鋼板400がステータコア31となる。
図14に示される破線L5及び破線L6は、図15に示される破線の位置に変更されてもよい。これにより、領域S3及び領域S4は、スロットからステータコア31の径方向外側への冷却空気の排出経路を構成することができる。その他、帯状鋼板400は、破線L1、L2、L3、L4、L5及びL6の部位で緩やかに湾曲されることもできる。上記説明した螺旋巻きコアは、ロータコアの製造に採用されることもできる。
実施例3のモータが図16及び図17を参照して説明される。図16はインナーロータ構造を有するラジアルギャップ型モータのステータ及びロータの模式軸方向断面図である。図17は、図16に示されるモータのコイルエンド近傍を示す周方向部分展開図である。この実施例は、帯状鋼板400を螺旋巻きしてなる螺旋巻きコアを用いたモータを示す。
実施例4のモータが図18を参照して説明される。図18は帯状鋼板400の曲げ加工前の状態を示す正面図を示す。この実施形態は、帯状鋼板螺旋巻き方式のステータコアの他の構造を示す。
帯状鋼板400は、ティース311とヨーク312とをもつ。ヨーク312は、ティース311とティース311との間に中間ヨーク部312mをもつ。ヨーク312は、図18に示される破線L4、L7及びL8の位置で折り曲げられるか、又は、強く湾曲される。
実施例5のモータが図19を参照して説明される。図19は帯状鋼板400の曲げ加工前の状態を示す正面図を示す。この実施形態は、帯状鋼板螺旋巻き方式のステータコアの他の構造を示す。
帯状鋼板400は、ティース311とヨーク312とをもつ。ヨーク312は、ティース311とティース311との間に中間ヨーク部312mをもつ。ヨーク312は、図19に示される破線L4、L5及びL6の位置で折り曲げられるか、又は、強く湾曲される。
図19において、破線L4での強い湾曲又は屈曲を省略した変形例を図20に示す。図20は帯状鋼板400の曲げ加工前の状態を示す正面図を示す。その結果、図19に示されるヨーク領域S5及びS6は、破線L6から破線L5へ連続的に湾曲する。その結果、中間ヨーク部312mに形成されるヨーク領域S9は、ほぼ円錐形状となる(図21参照)。図21は帯状鋼板400の曲げ加工後の状態を示す。
更に、図20では、破線L5及び破線L6が離れて配置されるため、ヨーク領域S9は、辺L9をもつ。この辺L9も小さく湾曲される。このため、製造が容易となる。
図20に示されるヨーク領域S9を波形に湾曲させた例を図22に示す。図22において、破線L5及びL6は、図20と同じく湾曲(又は屈曲)が開始されるラインである。破線L10及びL11は略円錐状又は略角錐状の稜線となるラインである。破線L5、L11、L10及びL5により、ヨーク領域S10、S11及びS12が中間ヨーク部312mに形成される。ヨーク領域S11は、ヨーク領域S10及びS12と軸方向反対向きに突出する。
実施例6のモータが図23、図24及び図25を参照して説明される。図23は、このモータのモータ1の軸方向半断面を示す模式図である。図24は、ステータコアの一つのティース近傍を示す径方向部分断面図である。図25は、図23のA−A線矢視断面図である。図25は、ステータコイルのコイルエンド近傍を示す周方向部分展開図である。
モータ1の全体構造が図23に示されている。モータ1のロータ33は回転軸2に嵌着されている。ステータ3の内周面が、小ギャップgを隔ててロータ33の外周面に対面している。ステータ3は、ステータコア31に巻かれたステータコイル32を有する。ロータ33及びステータコア31は、軟磁性鋼板を軸方向に積層することにより形成されている。ステータコア31は、前ハウジング34及び後ハウジング35の内周面に固定されている。回転軸2は、前ハウジング34及び後ハウジング35に支持された軸受け(36及び37)により回転自在に支持されている。前ハウジング34及び後ハウジング35はステータコア31のヨーク312を軸方向に挟持している。ステータコイル32は、星形接続された3つの相コイルにより構成されている。ラジアルファン38及びラジアルファン39は、ロータ33の前端面及び後端面に別々に固定されている。
前ハウジング34及び後ハウジング35は、端壁部に空気吸入孔341をもつ。前ハウジング34及び後ハウジング35は、周壁部に空気排出孔342をもつ。このモータ1は、一般的なインナーロータ構造をもつラジアルギャップモータであるため、これ以上の説明は省略する。
ステータコイル32が更に詳しく説明される。ステータコイル32は、絶縁樹脂層が表面に形成された銅テープをコイル導体320Aとして採用している。比較的に厚さが大きい銅テープからなるコイル導体320Aは、ステータコア31のスロットの深さとほぼ等しい幅をもつ。すなわち、この実施例のステータコイル32は、ステータコア31のスロットの深さ方向において、一つのコイル導体320Aをもつ。
各ティースコイル321は、スロット内に収容されて軸方向へ延在するコイル導体であるスロット導体部321Aと、ステータコア31の軸方向外側に配置されてステータコア31の各ティースの端面を覆うコイルエンド321Bとに区分される。スロット導体部321A及びコイルエンド321Bとは交互に連続している。互いに連続する2つのスロット導体部321A及び2つのコイルエンド321Bが、ティースコイル321の1つのターンを構成している。
コイルエンド321Bよりも径方向内側を回転するラジアルファン38及びラジアルファン39は、前ハウジング34及び後ハウジング35の吸入孔341から吸入した冷却風を径方向外側へ吹き出す。この冷却風は、空隙部320Cを通過してコイルエンド321Bの外側に排出される。その後、冷却風は、前ハウジング34及び後ハウジング35に設けられた排出孔342から外部に排出される。
次に、前ハウジング34の形状が図25を参照して説明される。前ハウジング34の内端面34Cは、互いに周方向に隣接する2つのティースコイル321のコイルエンド321Bの間へ突出する略三角形の突条34Dを有する。径方向に延在している突条34Dは、コイルエンド321Bと前ハウジング34との間の空隙部320Cの断面積を減らすので、コイルエンド321Bに沿って径方向へ流れる冷却風を高速化することができる。その結果、冷却風は、コイルエンド321Bを良好に冷却する。後ハウジング35も前ハウジング34と同じように複数の突条34Dを周方向一定ピッチでもつ。
この実施例は、集中巻きされたティースコイル321の各ターンをコイルエンド321Bにおいて緩く巻くことにより、コイルエンド321Bを構成する各ターンのコイル導体320Aの間に径方向へ貫通する冷却流体通路を構成するという技術思想を採用している。更に、各ティース311に集中巻きされた各ティースコイル321は、ほぼスロットの深さ方向に等しい幅をもつテープ状のコイル導体320Aにより構成されている。
ただし、ティースの径方向内側の半分に巻かれた小ティースコイルと、ティースの径方向外側の半分に巻かれた小ティースコイルとを互いに並列又は直列に接続することにより、上記したティースコイルを構成することもできる。ただし、径方向内側の小ティースコイルの各ターンと、径方向外側の小ティースコイルの各ターンは、コイルエンド321Bにおいて、軸方向及び周方向に略同じ位置に配置される。これにより、これら2つの小ティースコイルの表面により、滑らかな冷却領域(冷却流体通路)が形成される。
実施例7のモータが図26、図27及び図28を参照して説明される。図26は、このモータ1の軸方向部分断面を示す模式図である。図27は、ティースコイル321の一つのコイルエンド321Bを示す周方向部分展開図である。図28は、コイルエンド321Bの部分を構成するコイル導体320Aの部分展開図である。図28の文字(L)は、コイル導体320Aの長手方向を示す。
この実施例のコイルエンド321Bは、4ターンのコイル導体320Aにより構成されている。コイルエンド321Bの位置において、空隙部320Cが、互いに隣接するコイル導体320Aの間に形成されている。
この実施例の特徴は、図26に示されるように、各ターンのコイル導体320Aが、コイルエンド321Bの部分において、径方向の幅が大きい広幅部325をもつ点にある。広幅部325は、図26及び図28に示されるように、径方向外側に突出している。広幅部325の周方向幅は、ティース311の周方向幅にほぼ等しい。もちろん、広幅部325は、ティース311よりも大きい周方向幅をもつことができる。
実施例8のモータが図29を参照して説明される。図29は、このモータ1の軸方向部分断面を示す模式図である。この実施例のコイルエンド321Bは、図26に示されるコイルエンド321Bを前ハウジング34とステータコア31とにより密閉された空間Spに収容されている点にある。
ただし、コイルエンド321Bを構成する各ターンのコイル導体320Aのうち、ステータコア31側から数えて奇数ターンのコイル導体320Aだけが広幅部325をもつ。コイルエンド321Bを構成する各ターンのコイル導体320Aのうち、ステータコア31側から数えて偶数ターンのコイル導体320Aは広幅部325をもたない。コイルエンド321Bを構成する各ターンのコイル導体320Aは、広幅部325を除いて互いに密着している。
前ハウジング34は、コイルエンド321Bの径方向内側に配置された円筒壁部321Pをもつ。円筒壁部321Pは、前ハウジング34から軸方向に突出している。円筒壁部321Pの先端面は、ステータコア31の前端面に密着している。熱伝導性のゲル(点線で示される)が、空間Spに充填されている。又は、オイルなどの冷却流体が空間Spに流れる。
この実施例において、広幅部325が、コイルエンド321Bを構成する8ターンのコイル導体320Aのうち、半分のコイル導体320Aに設けられているため、広幅部325と冷却流体又は熱伝導性ゲル(又は樹脂)との間の伝熱抵抗を低減することができる。その結果、ステータコイル32を良好に冷却することができる。
実施例9のモータが図30及び図31を参照して説明される。図30は、このモータ1の軸方向部分断面を示す模式図である。図31は、コイルエンド321Bの周方向部分展開図である。
この実施例のコイルエンド321Bは、図23及び図25に示されるコイルエンド321Bにおいて、コイル導体320Aに隣接する空隙部(冷却領域)320Cに熱伝導シート320Dを挿入した点にその特徴がある。
熱伝導シート320Dは、陽極酸化膜により被覆されたアルミニウムプレートからなる。すなわち、熱伝導シート320Dは、アルマイト板からなる。熱伝導シート320Dは、公知の他の熱伝導板により構成されることも可能である。5枚の熱伝導シート320Dは、互いに隣接する2つのコイル導体320Aの間の空隙部320Cに配置されてコイル導体320Aに密着している。1枚の熱伝導シート320Dは、最も内側のターンのコイル導体320Aに密着して配置されている。6枚の熱伝導シート320Dは、径方向に延在している。各熱伝導シート320Dは、前ハウジング34の貫通孔343を貫通して外部に突出している。熱伝導性のスペーサ34Cが貫通孔343に充填されている。スペーサ34Cと熱伝導シート320Dとは交互に配置されている。
実施例10のモータが図32及び図33を参照して説明される。図32は、このモータ1の軸方向部分断面を示す模式図である。図33は、コイルエンド321Bの周方向部分展開図である。
この実施例のコイルエンド321Bは、図23及び図25に示されるコイルエンド321Bにおいて、N(Nは自然数)番目のターンのコイル導体320Aと、N+1番目のターンのコイル導体320Aとが軸方向において密着して配置されている点にその特徴がある。
コイルエンド321Bにおいて、N+1番目のターンのコイル導体320Aと、N+2番目のターンのコイル導体320Aとの間には、空隙部320Cが設けられている。これにより、コイルエンド321Bを構成する各ターンのコイル導体320Aの厚さが薄くても、コイルエンド321Bの機械的な剛性を増加することができる。更に、コイルエンド321Bを構成するすべてのコイル導体320Aは、空隙部320Cを径方向に流れる空気流に接触することができるので、コイルエンド321Bの冷却を良好に確保することができる。
なお、図33では、実施例4で説明された熱伝導シート320Dが、空隙部320Cに挿入されている。更に、各ターンのコイル導体320Aは、実施例2で説明された広幅部325をもつことができる。
実施例11のモータが図34を参照して説明される。図34は、ステータ3のティース311近傍を示す径方向部分断面図である。
ティースコイル321のスロット導体部321Aは、ステータコア31のスロット313に収容されている。
この実施例では、8ターンのコイル導体320Aにより構成されたティースコイル321がティース311に集中巻きされている。この実施例の特徴は、略径方向における各ターンのコイル導体320Aの幅が、変更されていることである。
内側のターンのコイル導体320Aは、外側のターンのコイル導体320Aよりも広幅に形成されている。各ターンのコイル導体320Aの厚さは、一定で、テープ状に形成されている。これにより、複雑な形状の径方向断面形状をもつスロット313に、高いスロット占積率にてティースコイル321の各ターンのコイル導体320Aを収容することができる。角度θは、1ティースピッチに相当する。
実施例12のモータが図35及び図36を参照して説明される。図35は、ステータ3のティース311近傍を示す模式径方向部分断面図である。図36は、爪部315付きの角形筒部314及びステータコア31の周方向断面を示す模式周方向部分展開断面図である。モータ1の全体構造は、たとえば図1に示される形状をもつ。理解を簡単とするために、ステータコア31及びロータ33の断面ハッチングは省略される。ステータコア31は、軟磁性鋼板を軸方向に積層して構成されているが、後述する螺旋巻き軟磁性鋼板により製造されることもできる。
予めティースコイルが集中巻きされた角形筒部314がティース311に嵌められている。軟磁性の角形筒部314は、径方向内側から径方向外側へ挿入される。角形筒部314は、角形筒部314の径方向内端部からスロット313の開口316を狭窄する向きに突出する爪部315をもつ。角形筒部314は、磁気的にティース311の一部を構成している。爪部315をもつ角形筒部314は、バインダ樹脂が混ぜられた軟磁性粉末の成形により形成されている。角形筒部314は、軟磁性粉末の焼結により形成されることができる。
スロット充填部3140が、スロット313内のうちスロット導体部323Aが占有していない空隙部に充填されている。スロット充填部3140は、非磁性で電気絶縁性のフィラー入りの液状樹脂をスロット313に注入し、固化することにより形成されている。
図35では図示されていないが、軸方向爪部が角形筒部314の径方向内端部から軸方向前方及び軸方向後方へ突出している。この軸方向爪部は、爪部315と一体に連続している。ロータ33のロータコアは、この軸方向爪部の軸方向長さだけステータコア31よりも延長されている。これにより、ロータコアとステータコア31との対面面積が増大するので、両者間の磁気抵抗を低減することができる。
各スロットのスロット充填部3140の成形と同時に、スロット充填部3140と同じ熱伝導樹脂材料がコイルエンドに注入されてもよい。これにより、ステータコイル32のコイルエンドの熱も良好に前ハウジング34及び後ハウジング35に伝達される。更に、ステータコア31の剛性を向上することができる。スロット充填部3140及びコイルエンドを囲包する熱伝導樹脂材料の注入は、金型を用いて容易に行うことができる。
なお、ステータコアのティースの径方向内側部分が湾曲されて軸方向へ突出する形状をもつ場合、角形筒部314はティースの形状に合わせた形状をもつ。
実施例13のモータが図37を参照して説明される。図37は、ステータコア31のティース311近傍を示す模式径方向部分断面図である。この実施例は、ステータコイル32のコイル導体を構成する銅テープ323Cの端部をヨーク312の端面に沿って径方向外側に取り出す方法を示す。理解を簡単とするために、ステータコア31の断面ハッチングは省略される。ステータコア31は、軟磁性鋼板を軸方向に積層して構成されているが、後述する螺旋巻き軟磁性鋼板により製造されることもできる。
銅テープ323Cの巻き初め端すなわち内端部は、幅方向へ2つに分割されて下半部321及び上半部322が形成されている。下半部321及び上半部322の幅は、ティース311の周方向幅よりも小さくされている。下半部321及び上半部322は、それぞれ直角に折り曲げられる。折り曲げられた下半部321及び上半部322が、図38に示されている。
銅テープ323Cは、図39に示されるように略台形断面を有することができる。323Dは銅テープ323Cの径方向内端部である。323Eは銅テープ323Cの径方向外端部である。径方向内端部323Dは、径方向外端部323Eよりも狭く形成されている。
実施例14のモータが図40及び図41を参照して説明される。図40はステータコア31の径方向模式断面図である。図41は、ステータコア31の径方向外側部分の部分軸方向断面図である。周壁部30は、ステータコア31の外周面を覆うモータハウジングの一部である。ステータコア31は、径方向幅が狭いヨーク312Aをもつ第1の軟磁性鋼板318と、径方向幅が広いヨーク312Bをもつ第2の軟磁性鋼板319とを交互に軸方向へ積層して形成されている。ヨーク312Bは、ヨーク312Aよりも径方向外側に広がっている。
実施例15のモータが図43及び図44を参照して説明される。図43はステータコア31の模式部分径方向正面図である。図44はヨーク312の模式部分周方向展開図である。
周壁部30は、ステータコア31の外周面を覆うモータハウジングの一部である。ステータコア31は、多数のティース311と、ヨーク312とを有している。ティース311は、周方向所定ピッチで径方向内側へ突出する。ヨーク312は、周方向に延在して各ティース311の基端部を磁気的に結合する。
軸方向に隣接する2枚の軟磁性鋼板312Eは、周方向に所定角度だけずれている(図44参照)。これにより、螺旋状の環状通路312Cが、周方向に隣接する2つの突部312Dの間に形成される。環状通路312Cを流れる冷却流体(たとえば冷却空気流)と突部312Dとの接触面積は大幅に増大する。なお、軸方向に隣接する2枚の軟磁性鋼板312Eは、1つのティースピッチだけ周方向へずらされる。突部312Dの他の利点は、ステータコア31の磁気抵抗を低減できる点にある。
その他、各軟磁性鋼板312Eの突部312Dは、周方向同じ位置に配置されることができる。これにより、冷却流体が流れる冷却流体通路は、ステータコア31の外周面に沿いつつ軸方向へ形成される。この場合には、突部312Dの周方向幅は狭く形成されることが好ましい。
その他、互いに軸方向に隣接する複数枚の軟磁性鋼板312Eを1つの軟磁性鋼板群とし、互いに隣接する軟磁性鋼板群の突部312Dが周方向へ1つのティースピッチだけ周方向へずらされてもよい。
変形態様が、図45を参照して説明される。この変形態様は、螺旋状に延在するか又は軸方向へ延在する環状通路312Cへ流す冷却流体の形成方法に関する。
ロータ33の端面に設けられたラジアルファン38は、径方向外側へ流れる冷却空気流(CW)を形成する。図45において矢印により示される冷却空気流は、コイルエンド320を貫通し、前ハウジング34の排出孔34Bを貫通して、前ハウジング34の周壁部30内の環状通路312C(又は冷却流体通路)に流れ込む。このようにすれば、冷却空気流を有効利用することができる。
この実施例では、前ハウジング34の前端壁の外周部3400が斜め後方に傾斜しているので、コイルエンド320を出た冷却風(CW)が軸方向後側へ円滑に流れることができる。
実施例16のモータが図46を参照して説明される。図46は、インナーロータ型モータのステータ600を示す模式径方向部分断面図である。ステータ600は、ステータコア601とステータコイル602とからなる。ステータコア601は、奇数番目のティース603と、偶数番目のティース606とを有しており、ティース(603及び606)は、リング状のヨーク605の内周面から径方向内側に突出している。604は、ティース603とティース606との間に設けられたスロットである。コイル607が、ティース603に集中巻きされている。コイル608が、ティース606に集中巻きされている。
コイル(607及び608)の巻装方法が以下に説明される。
最初に、スロット開口Sを通じてコイル607がスロット604内に収容される。コイル607のワインディングは、あらかじめ巻いたコイルを2つのスロットに挿入し、その2つのスロット導体部間の周方向幅を減らしてティース603に密着させることにより実施される。その他、スロット開口Sから巻き線用のノズルを挿入して直接に集中巻きしてもよい。スロット開口Sの周方向幅が広いため、コイル607の巻装作業は容易である。
(変形態様)
図23乃至図48に示される実施例6乃至実施例16において、ステータコア又はロータコアは、実施例1乃至実施例5に示される帯状鋼板の湾曲加工により形成されることが有効である。
実施例17が図49及び図50を参照して説明される。図49はインナーロータ構造を有するラジアルギャップ型モータの模式軸方向部分断面図である。円筒形状のステータ1000の外周面は、非磁性金属製のステータハウジング1001の内周面1001Aに固定されている。円筒形状のロータ1002は、回転軸1200に固定されている。
Claims (23)
- 軟磁性のステータコアと、前記ステータコアに巻装されたステータコイルと、前記ステータコアに対して径方向へ小ギャップを隔てて回転する軟磁性のロータコアとを有し、
前記ステータコアは、前記ロータコアに向けて周方向所定ピッチで突出する多数のティースと、周方向に延在して前記各ティースの基端部を磁気的に結合するヨーク部とを有するラジアルギャップ型回転電機において、
前記ステータコアは、軟磁性の帯状鋼板を螺旋状に曲げることにより軸方向へ積層され、
前記ステータコアのヨーク部の径方向内側部分は、前記ヨーク部の径方向外側部分よりも軸方向へ突出する突出部を有し、
前記ヨーク部の各ターンの前記突出部は、互いに嵌合していることを特徴とするラジアルギャップ型回転電機。 - 前記ロータコアは、前記ステータコアに向けて周方向所定ピッチで突出する多数の突極部と、周方向に延在して前記各突極部の基端部を磁気的に結合するヨーク部とを有し、
前記ロータコアは、軟磁性の帯状鋼板を螺旋状に曲げることにより軸方向へ積層され、
前記ロータコアのヨーク部の径方向内側部分は、前記ロータコアのヨーク部の径方向外側部分よりも軸方向へ突出する突出部を有し、
前記ロータコアのヨーク部の各ターンの前記突出部は、互いに嵌合している請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記ステータコアは、前記突出部が軸方向前側へ突出する軸方向前側部分と、前記突出部が軸方向後側へ突出する軸方向後前側部分と、前記軸方向前側部分の後部と前記軸方向後前側部分との間に形成されて前記突出部に対して軸方向に隣接する空隙部分とを有する請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ロータコアは、前記突出部が軸方向前側へ突出する軸方向前側部分と、前記突出部が軸方向後側へ突出する軸方向後前側部分と、前記軸方向前側部分の後部と前記軸方向後前側部分との間に形成されて前記突出部に対して軸方向に隣接する空隙部分とを有する請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ステータコアを構成するための前記帯状鋼板は、前記ティースと周方向重なる位置にて、前記小ギャップ側と反対側に設けられた凹凸部を有する請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記凹凸部は、円筒状のステータハウジングの周面に設けられた凹凸部と嵌合する請求項5記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ロータコアを構成するための前記帯状鋼板は、前記突極部と周方向重なる位置にて、前記小ギャップ側と反対側に設けられた凹凸部を有する請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記凹凸部は、円筒状のロータハウジングの周面に設けられた凹凸部と嵌合する請求項7記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ステータコイルは、線状導体からなるコイル導体を前記多数のティースに別々に集中巻きされる多数のティースコイルを接続して構成され、
前記コイル導体は、厚さの4倍以上の幅をもつ絶縁被覆金属導体板からなるテープ状導体により構成され、
前記テープ状導体は、前記テープ状導体の厚さ方向が前記ティースから遠ざかる方向に一致し、かつ、前記テープ状導体の幅方向が前記スロットの深さ方向にほぼ一致する姿勢で、前記ティースに集中巻きされている請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記テープ状導体は、前記スロットの径方向深さに略等しい最大幅を有する請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ステータコイルは、前記ティースから遠ざかる向きに順番に巻かれた所定ターン数のコイル導体により構成されるコイルエンドを有し、
前記コイルエンドは、第N(Nは自然数)番目のターンの前記テープ状導体と、第N+1番目のターンの前記テープ状導体との間に位置して前記コイルエンドを略径方向に貫通する冷却領域を有し、
前記冷却領域は、前記第N番目のターンのテープ状導体と、前記第N+1番目のターンのテープ状導体から吸収した熱を外部に排出する請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記冷却領域は、前記コイルエンドを構成する各ターンの前記テープ状導体の間にそれぞれ形成されている請求項11記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記冷却領域は、前記コイルエンドを構成する前記テープ状導体の2つの主面の一方に隣接し、
互いに隣接する2つの前記テープ状導体の2つの主面の他方は、互いに密着している請求項11記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記冷却領域は、冷却流体が前記コイルエンドを略径方向に貫通する流体通路からなる請求項11記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記冷却領域は、前記第N番目のターンのテープ状導体と、前記第N+1番目のターンのテープ状導体との間に挿入されて略径方向に延在する良熱伝導性の金属プレートにより形成されている請求項11記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記コイルエンドの前記コイル導体は、前記スロット内の前記テープ状導体よりも径方向外側へ幅広に形成されている請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記コイルエンドの軸方向外端面に近接する内端面をもつモータハウジングを有し、
前記モータハウジングの内端面は、互いに周方向に隣接する2つの前記ティースコイルの間に位置して前記ステータコア側へ突出する突条を有する請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記スロット内の前記テープ状導体の幅は、前記ティースから離れるにつれて狭くなっている請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記テープ状導体の少なくとも内端部は、前記ティースの軸方向端面に隣接する位置にて折り曲げられて径方向に延在する請求項9記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記ティースは、径方向各部の周方向幅が略等しい主部と、前記主部に嵌め込まれる軟磁性の角形筒部とを有し、
前記角形筒部は、端部から周方向外側へ突出して前記スロットの開口部を狭窄する軟磁性の爪部とを有し、
前記爪部は、前記角形筒部と一体に形成され、
前記ステータコイルは、前記角形筒部に集中巻きされている請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記角形筒部及び前記爪部の両方は、軟磁性の粉末を成形してなる軟磁性粉末成形体からなる請求項20記載のラジアルギャップ型回転電機。
- 前記各ティースは、前記ヨークと一体に形成され、
奇数番目の前記ティースの先端部は、周方向両側に突出する鍔部を有し、
偶数番目の前記ティースの先端部は、前記鍔部をもたないか又は前記奇数番目の鍔部よりも周方向突出量が小さい鍔部をもち、
前記ステータコイルは、前記各ティースに集中巻きされたティースコイルを相ごとに接続して構成されている請求項1記載のラジアルギャップ型回転電機。 - 前記ステータコイルは、電気角2π/3だけ離れたU、V、W相の前記ティースコイルからなり、
前記3相のティースコイルは、前記各ティースに(U、−V、W、−U、V、−W及びU)の順番で巻かれる請求項22記載のラジアルギャップ型回転電機。
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