JP4459885B2 - ステータおよびモータ - Google Patents
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Description
また、U相、V相、W相からなる3相の各相毎の巻線が周方向で隣り合うティース間を縫うようにして周回させられることで波状に巻装されたステータを備え、このステータによりロータを3相駆動する3相モータが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかも、波巻きにより巻線が巻装されるステータにおいては、隣り合うティース間での巻線占積率を向上させることが困難であり、さらに、コイルエンドの高さを低減してモータの軸線方向の寸法を低減し、車両等への搭載性を向上させることが困難であるという問題が生じる。
このため、ステータの構成を簡略化することで部品点数を削減し、ステータの製造工程を簡略化すると共に、ステータでの巻線占積率を向上させつつコイルエンドの高さを低減してモータの軸線方向の寸法を低減し、車両等へのモータの搭載性を向上させることが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、構成を簡略化することで部品点数を削減し、製造工程を簡略化すると共に、巻線占積率を向上させつつコイルエンドの高さを低減して軸線方向の寸法を低減し、車両等への搭載性を向上させることが可能なステータおよびモータを提供することを目的とする。
さらに、上記構成のステータによれば、2相の環状巻線を所謂電気角で120°の短節巻きとすることによって、3相の回転磁界の分布が電気角で120°毎の位相差となり、通電制御が容易になると共に、環状巻線の1周期(電気角で360°)あたりで必要となるティースの個数が各相毎に単一となって、ステータに具備されるティースの総数が増大してしまうことを抑制することができる。
このため、ロータの永久磁石を軸線方向に対して傾斜させることにより、例えばスロットと永久磁石とが略同等の方向となる状態数が増大した場合には、出力可能な最大トルクを増大させることができ、例えばスロットと永久磁石とが異なる方向に傾斜する状態数が増大した場合には、コギングトルクやトルクリップルの発生を抑制することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のステータによれば、3相のステータリングと2相の環状巻線とを、軸線に平行な方向に沿って順次積み重ねるようにして交互に配置させるだけの単純な作業によってステータを容易に製造することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明のステータによれば、通電時の発熱源である環状巻線の長さ方向に沿って不均一な温度分布が生じることを抑制しつつ、効率の良い冷却を行うことができる。
さらに、請求項6に記載の本発明のステータによれば、2相の各環状巻線に対して、環状巻線の長さ方向に沿って不均一な温度分布が生じることを抑制しつつ、効率の良い冷却を行うことができる。
さらに、請求項8に記載の本発明のステータによれば、例えば周方向で隣り合うティース間のスロットに装着される環状巻線の相数(つまり1相または2相)に拘わらずにティース同士間の間隔を均等に維持した状態で所望の巻線占積率を確保することができる。これにより、例えばロータに対向するティース間の間隔が不均等となることで出力可能な最大トルクが低下したり、コギングトルクやトルクリップルが増大してしまうことを防止しつつ、巻線占積率が低下してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項10に記載の本発明のステータによれば、拡張部を介して磁束短絡が生じてしまうことを防止することができる。
また、請求項11に記載の本発明のモータによれば、例えばスロットと永久磁石とが略同等の方向となる状態数が増大した場合には、出力可能な最大トルクを増大させることができ、例えばスロットと永久磁石とが異なる方向に傾斜する状態数が増大した場合には、コギングトルクやトルクリップルの発生を抑制することができる。
本実施の形態に係るステータ10は、例えば内燃機関と共に車両の駆動源としてハイブリッド車両に搭載されるクローポール型モータを構成し、例えば内燃機関とクローポール型モータとトランスミッションとを直列に直結した構造のパラレルハイブリッド車両では、少なくとも内燃機関またはクローポール型モータの何れか一方の駆動力は、トランスミッションを介して車両の駆動輪に伝達されるようになっている。
また、車両の減速時に駆動輪側からクローポール型モータに駆動力が伝達されると、クローポール型モータは発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。さらに、内燃機関の出力がクローポール型モータに伝達された場合にもクローポール型モータは発電機として機能して発電エネルギーを発生する。
各蛇行部31,32の周方向Cの幅つまりコイルピッチは、例えば図3に示すように、電気角で120°以下の所定値に設定され、各蛇行部31,32は互いに異なる方向(つまり互いの対向方向であって軸線方向Pの一方および他方)に向かい突出するように設けられ、U相環状巻線14とW相環状巻線15とは、電気角で240°の位相差を有するようにして周方向Cに沿って相対的にずれた位置に配置されている。これにより、2相の各環状巻線14,15は、互いの対向方向に突出する互いの各蛇行部31,32が周方向Cに沿って交互に配列され、互いに交差しないように配置されている。
これにより、周方向Cで隣り合う各ティース22,24または24,26間を縫うようにして配置される2相の各環状巻線14,15は所謂電気角で120°以下の短節巻きをなすように形成されている。
なお、下記数式(1)において、L=−2Mであり、漏れ磁束を無視した。
次に、W相環状巻線15をW相ステータリング13に対して軸線方向Pの一方から他方に向かい相対移動させ、W相環状巻線15の複数の各W相蛇行部32,…,32内にW相ステータリング13の複数の各W相ティース26,…,26を相対的に挿入する。
次に、V相ステータリング12を軸線に対して同軸に配置した状態でW相環状巻線15に対して軸線方向Pの一方から他方に向かい相対移動させ、W相環状巻線15の周方向Cで隣り合うW相蛇行部32,32間にV相ステータリング12の所定数(例えば2つ)のV相ティース24,24を相対的に挿入し、W相ステータリング13のW相ヨーク25とV相ステータリング12のV相ヨーク23とを軸線方向Pに沿って積み重ねるようにして接続する。
次に、U相ステータリング11を軸線に対して同軸に配置した状態でU相環状巻線14に対して軸線方向Pの一方から他方に向かい相対移動させ、U相環状巻線14の複数の各U相蛇行部31,…,31内にU相ステータリング11の複数の各U相ティース22,…,22を相対的に挿入する、V相ステータリング12のV相ヨーク23とU相ステータリング11のU相ヨーク21とを軸線方向Pに沿って積み重ねるようにして接続する。
しかも、2相の各環状巻線14,15の互いの対向方向に突出する互いの各蛇行部31,32が周方向Cに沿って交互に配列されることで、例えば図5に示すように互いの各環状巻線14,15同士が位置的に干渉して交差等が生じてしまうことを防止し、コイルエンドの高さおよびステータ10の軸線方向Pの寸法が増大してしまうことを防止することができる。
さらに、3相の各ステータリング11,12、13と2相の各環状巻線14,15とを、軸線方向PPに沿って順次積み重ねるようにして交互に配置させるだけの単純な作業によってステータ10を容易に製造することができる。
この場合、例えばU相蛇行部31に対して、周方向Cの一方側で隣り合うW相蛇行部32は電気角で240°の位相差を有し、周方向Cの他方側で隣り合うW相蛇行部32は電気角で120°の位相差を有することになる。
例えば、2相の各環状巻線14,15はV相ステータリング12を回転軸線O方向の両側から挟み込むようにして配置され、各2つの冷却管34,35は、各2相の環状巻線14,15と、V相ステータリング12との間に配置されている。
この第2変形例に係るステータ10は、例えば図9(a)に示すように、2相のU相環状巻線14およびW相環状巻線15が装着されるスロット、つまりU相ティース22とW相ティース26とにより形成されたスロットにおいて、互いに周方向で隣接する各環状巻線14,15の厚さW2,W2が、他の位置での各環状巻線14,15の厚さW1,W1よりも薄く(例えば、W2<W1≒2×W2)なるように設定されている。
さらに、面取り部36を有するコーナー部に対して軸線方向で隣り合うコーナー部に設けた拡張部37は、例えば湾曲した各環状巻線14、15の外周側の形状に沿う形状を有するようにして、一方のコーナー部から離間することに伴い、周方向の突出量が増大傾向に変化するように形成されている。これにより、ティース表面の磁路面積を拡大することができる。
この第4変形例に係るステータ10では、例えば図12および図13(a)に示すように、2相のU相環状巻線14およびW相環状巻線15は、コイルピッチが電気角で120°となるようにして、複数の各U相蛇行部31,…,31およびW相蛇行部32,…,32を備え、各蛇行部31,32は、例えば所定鈍角に屈曲する4つの屈曲部35,…,35を備え、軸線周りの周面内で互いに対称な2つの斜辺(例えば、軸線方向Pに対して所定角度θだけ傾斜する斜辺)を有するように形成されている。
これに伴い、U相蛇行部31に挿入されるU相ティース22およびW相蛇行部32に挿入されるW相ティース26は、径方向Rに対する断面形状が略台形状に形成され、U相環状巻線14の周方向Cで隣り合うU相蛇行部31,31間およびW相環状巻線15の周方向Cで隣り合うW相蛇行部32,32間に挿入されるV相ティース24は、径方向Rに対する断面形状が略平行四辺形状に形成されている。
なお、2相のU相環状巻線14およびW相環状巻線15が装着されるスロット、つまりU相ティース22とW相ティース26とにより形成されたスロットにおいて、互いに周方向で隣接する各環状巻線14,15の厚さW2,W2が、他の位置での各環状巻線14,15の厚さW1,W1よりも薄く(例えば、W2<W1≒2×W2)なるように設定されている。
すなわち、図13(a),(b)に示すように、周方向Cに沿った各環状巻線14,15の長さ(a+b),(A+B)と、各ティース22,24,26間での各環状巻線14,15の長さd,Dとにより、蛇行する各環状巻線14,15に対して、1極分の長さは(A+B+2×D)であり、クランク状に蛇行する各環状巻線14,15に対して、1極分の長さは(a+b+2×d)である。
ここで、d=D×cosθ、かつ、a+b=A+B+2×D×sinθ、かつ、
(0°<θ<90°)であるから、
(a+b+2×d)=A+B+2×D×(sinθ+cosθ)>(A+B+2×D)となる。
各永久磁石42は、例えば径方向に磁化されており、周方向で隣り合う永久磁石42,42の磁化方向が互いに反対方向となるように、すなわち外周側がN極とされた永久磁石42には、外周側がS極とされた他の永久磁石42が隣接するように配置されている。
なお、各永久磁石42の外周面上には、ステータ10の各ティース22,24,26の先端部に対向する対向面をなす表面ヨーク44が設けられている。
このクローポール型モータ40によれば、ステータ10全体としてスロットと永久磁石42とが異なる方向に傾斜する状態数が増大することで、コギングトルクやトルクリップルの発生を抑制することができる。
この第5変形例に係るクローポール型モータ40によれば、ステータ10全体としてスロットと永久磁石42とが略同等の方向となる状態数が増大し、出力可能な最大トルクを増大させることができる。
この参考技術に係るステータ50において、上述した第1実施形態に係るステータ10と異なる点は、U相環状巻線54およびW相環状巻線55が各U相蛇行部31およびW相蛇行部32を備えていない点である。
なお、以下において上述した第1実施形態と同一部分については説明を簡略または省略する。
参考技術に係るステータ10は、例えば図17および図18に示すように、U相およびV相およびW相からなる3相の各相毎のU相ステータリング51と、V相ステータリング52と、W相ステータリング53と、U相およびW相からなる2相のU相環状巻線54およびW相環状巻線55とを備えて構成されている。
そして、U相爪状誘導極62は、例えば、周方向に対する断面形状が略L字状かつ径方向に対する断面形状が、少なくとも電気角で180°以下の所定の周方向幅(例えば電気角で120°に相当する幅)Cuを有する略長方形状に形成されている。
そして、V相爪状誘導極64は、例えば、周方向に対する断面形状が略T字状かつ径方向に対する断面形状が、少なくとも電気角で180°以下の所定の周方向幅(例えば電気角で120°に相当する幅)Cvを有する略長方形状に形成されている。
そして、W相爪状誘導極66は、例えば、周方向に対する断面形状が略L字状かつ径方向に対する断面形状が、少なくとも電気角で180°以下の所定の周方向幅(例えば電気角で120°に相当する幅)Cwを有する略長方形状に形成されている。
この場合、各ステータリング51,52,53は、互いに電気角で180°以下の所定の位相差(例えば、図17および図18に示すステータ50では、電気角で120°の位相差)を有することになる。
また、各ステータ10,50を各相毎に複数のステータ片を備えて構成し、所定の相対配置状態の2相の環状巻線14,15または54,55に対して、複数のステータ片を所定位置に装着し、固定することによって、各相毎に環状のステータ部材を形成してもよい。
11 U相ステータリング(ステータ部材)
12 V相ステータリング(ステータ部材)
13 W相ステータリング(ステータ部材)
14 U相環状巻線(環状巻線)
15 W相環状巻線(環状巻線)
31 U相蛇行部(蛇行部)
32 W相蛇行部(蛇行部)
34,35 冷却管
36 面取り部
37 拡張部
38 溝部
40 クローポール型モータ
41 ロータ
42 永久磁石
51 U相ステータリング(ステータ部材)
52 V相ステータリング(ステータ部材)
53 W相ステータリング(ステータ部材)
54 U相環状巻線(環状巻線)
55 W相環状巻線(環状巻線)
Claims (11)
- 2相の環状巻線を備える3相のステータであって、
前記環状巻線は蛇行部を備え、
前記2相の環状巻線は、互いの対向方向に突出する互いの前記蛇行部が周方向に沿って交互に配列され、互いに交差しないように配置されてなり、
前記2相の環状巻線は、コイルピッチが電気角で120°であり、互いに電気角で120°の位相差を有することを特徴とするステータ。 - 3相のステータ部材を備え、該ステータ部材と前記環状巻線とは、軸線方向に積み重ねるようにして交互に配置可能であることを特徴とする請求項1に記載のステータ。
- 前記ステータ部材は、複数のステータ片に分割可能であることを特徴とする請求項2に記載のステータ。
- 前記環状巻線とステータ本体との間に冷却媒体を流通させる冷却管を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステータ。
- 前記冷却管は前記環状巻線の形状に沿った環状形状を有することを特徴とする請求項4に記載のステータ。
- 少なくとも2つの前記冷却管を備え、
前記ステータ本体は3相のステータ部材を備え、
前記2相の環状巻線は1相の前記ステータ部材を両側から挟み込むようにして配置され、
各前記2つの前記冷却管は、各前記2相の環状巻線と、前記1相のステータ部材との間に配置されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のステータ。 - 前記蛇行部は鈍角に屈曲する屈曲部を備え、前記環状巻線は複数の前記蛇行部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステータ。
- 前記2相の環状巻線は、互いに周方向で隣接する部分の厚さが他の部分の厚さよりも薄くなるように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステータ。
- 前記蛇行部に装着されるティースのコーナー部に対し、前記環状巻線の軸線に平行な軸線方向で隣り合う一方の前記コーナー部は面取り形状とされ、他方の前記コーナー部は周方向に突出する拡張部を備え、
該拡張部は、前記一方の前記コーナー部から離間することに伴い、周方向の突出量が増大傾向に変化するように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステータ。 - 前記他方の前記コーナー部と、前記拡張部との間に溝部を備えることを特徴とする請求項9に記載のステータ。
- 請求項7に記載のステータと、永久磁石を具備するロータとを備えるモータであって、
前記永久磁石は、前記環状巻線の軸線に平行な軸線方向に対して傾斜していることを特徴とするモータ。
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