JP2004282858A - 固定子及びそれを用いた回転機 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子の寸法を小さくし、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【解決手段】複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。この構成をとることにより、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。この構成をとることにより、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転機に関し、特に回転機に用いられる固定子に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電機等の回転機に用いられる固定子は、複数のスロットが設けられた固定子鉄心と、これらスロットに巻き回されるコイルを有して構成される。なおコイルは複数の導体を束ねて構成される束の単位をいう。
【0003】
あるスロットから他のスロットへ巻き回されるコイルの部分はコイルエンドと呼ばれ、スロットに入るコイル同士をつなぐ役割を果たす。
【0004】
しかしながら、コイルエンドが大きくなると▲1▼固定子の寸法の増大、▲2▼コイルの電気抵抗増大による出力低下及び発熱、▲3▼冷却風の循環を妨げることによる冷却効率の低下、を招く。従って、小型・高効率・高出力の発電機等を得るためにはコイルエンドのコイル長を短くしコイルの互いの干渉を避けるように配置し、コイルエンドの回転機回転軸方向の長さ及び固定子半径方向の長さを短くして固定子を小型化することが必要となる。
【0005】
コイルエンドの小型化を図る技術として、▲1▼スロット部分の内側に入っているコイルをコア面に近く、外側に入っているコイルをコア面から離れたところを通るように折り曲げる技術(例えば特許文献1参照)、▲2▼スロット外でコイルを撚り、隣接するコイルと重ねる技術(例えば特許文献2参照)が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−215238号公報(第5頁,第1図)
【特許文献2】
特開2002−44890号公報(第10頁,第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1(特開平9−215238号公報)に記載された技術では、同じ方向にコイルを折り曲げるため、コイルエンド部分を低く抑えることに関して課題を残している。
【0008】
また、上述の特許文献2(特開2002−44890号公報)に記載された技術ではコイルにおいて撚りが施されたコイルが使用されるため、コイルの剛性が高くなった場合にまで適用することには課題がある。
【0009】
以上本発明は、上記の課題を解決するものであり、固定子の寸法を小さくし、小型・高効率・高出力の回転機を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための一手段として、本発明では複数のスロットを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、各スロットにおけるコイルは複数設けられ、かつこれらコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明にかかる固定子の第一の態様としては、複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、スロットの各々におけるコイルは複数設けられ、かつ複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。また第二の態様としては第一の態様に加え、この態様に加え、固定子の半径方向の内方向に曲げられているコイルの数と、外方向に曲げられているコイルの数を均等に振り分けていることを特徴とする。更に、第三の態様としては第二の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする。また第四の態様としては第三の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする。この構成をとることにより、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。また第五の態様としては第一の態様に加え、固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする。この構成により、コイルを常に最小の曲率半径で曲げることが可能となり、コイルの成形効率,コイルの曲げ精度が向上し、コイルエンドの回転機回転軸方向長さを短くすることができる。また、曲げ加工時にスロット端部の角部分にコイルが接することがなくなるため、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことができる。また、コイルエンド部コイルと固定子鉄心の距離が近すぎると漏れ電流が大きくなり、発電機の効率を低下させるが、絶縁板15によりコイルエンド部コイル13と固定子鉄心5の距離を一定量確保できるので漏れ電流を小さくでき、効率を向上させることができる。また第六の態様として、第五の態様に加え、穴の角が丸められていることを特徴とする。穴の角が丸められていることにより、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことをより効率的に行うことができる。また、第七の態様として第一の態様に加え、第六の前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする。
【0013】
また第八の態様としては、ハウジングと、ハウジングに固定される軸受と、軸受に保持される回転軸と、回転軸に固定される回転子と、ハウジングに固定され、前記回転子の外周に配置される固定子と、を有する回転機であって、固定子は複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、前記スロットの各々におけるコイルは複数設けられ、かつ複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。また第九の態様としては第八の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは均等に振り分けられていることを特徴とする。また第十の態様としては第九の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする。第十一の態様としては第十の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする。この構成により、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となり、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【0014】
また、第十二の態様として、第八の態様に加え、固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする。また、第十三の態様としては第十二の態様に加え、穴の角は丸められていることを特徴とする。
【0015】
また、第十四の態様としては第八の態様に加え、回転子は、永久磁石が組み込まれ、かつ磁石カバーにより固定されたものであることを特徴とする。
【0016】
そして、第十五の態様として、複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられており、前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする。この構成により、固定子鉄心の端面(固定子端面)における空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。
【0017】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は実施例1に係る回転機の断面図である。この回転機は、主として、筒形状のハウジング部1Aと略円盤状のハウジング部1Bとをボルト2で互いに連結して構成されたハウジング1と、ハウジング1に固定され回転軸4を固定する軸受3と、回転軸4に固定された回転子6と、回転子6の外周に位置し間隙7を形成しつつハウジング1に固定される固定子8と、を有して構成される。そして回転軸4は、端部がベルトプーリ等を通じてエンジンの出力軸に連結されたり、タービン軸等の回転軸を構成したりする。固定子8は薄いリング状の電磁鋼板が積層されて円筒形状に構成され、コイル9を組み込むための溝であるスロットが複数設けられている。コイル9は絶縁皮膜が形成された銅線束により構成されており、スロットに組み込まれつつ固定子8に巻きつけられている。なおその際コイル9は固定子8の端面近傍のスロット外で折り返され、他のスロットへ入る形で巻き回されている。なおこのコイル9の折り返された部分には加熱により硬化された樹脂11が配置され、コイル9を被覆している。なお本明細書では以降このコイルの折り返された部分をコイルエンド部コイルと呼び、このコイルエンド部コイルとこれを被覆する樹脂11とをコイルエンド12と呼ぶ。また、図1では図示していないが、ハウジング1に設けられる冷却空気吸入口からコイルエンド12とハウジングとの間の空間,回転子6と固定子8の間隙7、を通るように冷却空気が循環し、コイルエンド12及び回転子6等を冷却する。
【0019】
図2は本実施例における固定子8の断面図である。図2は3相同心巻の固定子を示したものである。なお図2では説明のため樹脂を省略し、コイルエンド部コイルが樹脂により被覆されていない状態を示している。
【0020】
各スロットには複数のコイル9が組み込まれており、コイル9の各々は組み込まれたスロットから他のスロットに巻き回される。そのためコイルは折り返され、コイルエンド部コイル13として形成されている。コイルエンド部コイル13は固定子の半径方向内側へ振り分けられたコイルエンド部コイル13Aと、半径方向外側へ振り分けられたコイルエンド部コイル13Bと、により構成されている。そしてこの各コイルエンド部コイルはそれぞれU相コイル9Aと、W相コイル9Bと、V相コイル9Cと、の3層の積層構造となっている。なおU相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に沿って隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。なお本明細書ではこのように3相を一つの束としてコイルを巻きまわす構成を3相同心巻と表現する。
【0021】
図3に本実施例における固定子8のコイルエンド形状を示す。図3は固定子の回転軸長軸側から見た図であり、コイルの振り分け状態を示すものである。
【0022】
固定子8は複数のスロット10を備える固定子鉄心5と、この固定子鉄心5のスロット10に挿入される複数のコイル9を有して構成されている。なお図3においてスロット10は周方向に24個設けられている。
【0023】
スロット10から出たコイル9は曲げられ、コイル9の引き出し位置に対して固定子の半径方向内側方向と外側方向に均等に振り分けられている。
【0024】
このように半径方向内側と外側方向に均等に振り分けることで半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。なお、本実施例における各スロットに設けられた複数のコイルは半径方向外側と半径方向内側に夫々沿って割り振られているが、コイルを均等に割り振ることにより上記の効果を達成できる限りにおいて、半径方向に沿わない巻きまわしも可能である。但し、半径方向に沿わせて巻きまわすことで、図3で示すようにより対称的な配置が可能となり、コイル設計が容易になる。
【0025】
以上、本実施例における固定子を用いることで寸法が小さくなり、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【0026】
(比較例1)
図4に比較例1に係る回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンド部分以外はほぼ実施例1と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0027】
図4では各スロットから引き出されたコイルエンド部コイル13B全てが固定子の半径外側に引き回されており、コイルエンド部コイルはU相コイル9Aが2列、W相コイル9Bが2列、V相コイル9Cが2列、更にU相コイル9Aが2列、W相コイル9Bが2列、V相コイル9C、合計6層積層されたものとなっている。尚U相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。
【0028】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH2、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW2とし、実施例1における固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH1、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW1として比較する(図5参照)と、W2はW1とほぼ同様であるものの、H2はH1の2倍となる。この差は、複数のスロットから巻き回されるコイルが重畳される箇所において特に顕著となる。また、半径方向一方向(図4では固定子外径側)にのみコイルが折り曲げられているため、固定子内径側にはコイルが存在せず、空間をうまく使うことができていない。即ち、比較例1は実施例1に比べてコイルエンドの回転機の回転軸方向長さが長くなり、またコイル引き出し位置近傍の空間をうまく利用できないため固定子の寸法が大きくなってしまう。
【0029】
以上、比較例1の回転機は実施例1の回転機に比べ冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0030】
(比較例2)
図6に比較例2における回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンド部分以外はほぼ実施例1と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0031】
図6では各スロットから引き出されたコイルエンド部コイル13B全てが固定子の半径外側(固定子外径側)に引き回されており、コイルエンド部コイルはU相コイル9Aが4列、W相コイル9Bが4列、V相コイル9Cが4列、合計4層積層された構成となっている。尚U相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。
【0032】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH3、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW3とし、比較例1において比較したように実施例1におけるH1,W1(図5参照)と比較すると、H3はH1とほぼ同じであるが、コイルエンドの幅W3がW1に比べて2倍となる。即ち、比較例2ではコイルの幅を2倍広く設定する必要があるため、スロットに対して固定子の半径外側のスペースが多く必要となる。つまり結果として実施例1に比べてコイルエンドの回転機の固定子の半径方向長さを長くすることとなり固定子の外形が大きくなってしまう。
【0033】
以上、比較例2に係る回転機では固定子の外径が大きくなり冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0034】
(比較例3)
図7に比較例2における回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンドにおけるコイルエンド部コイルが固定子の半径方向内側(固定子内径側)へ全て引き出されている点以外はほぼ比較例2と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0035】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH4、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW4とし、比較例2において比較したように実施例1におけるH1,W1(図5参照)と比較すると、H4はH1とほぼ同じであるが、コイルエンドの幅W4がW1に比べて2倍となる。即ち、比較例3は実施例1に比べて固定子の半径内側のスペースが多く必要となり(面積で約2倍)、結果として回転機の固定子の半径方向長さが長くなり、固定子の外形が大きくなってしまうこととなる。なおこれは内径側への引き出しであるため比較例2よりもより顕著となる。
【0036】
以上、比較例3に係る回転機では固定子の外径が大きくなり冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0037】
(実施例2)
図8は実施例2に係るマイクロガスタービン用の高速発電機の断面図である。実施例2に係る発電機は実施例1の回転子6に永久磁石14を組み込み、磁石カバー17で固定したものである。これ以外の点は実施例1とほぼ同様である。
【0038】
マイクロガスタービンは、タービンと発電機を一体化したタービンジェネレータを毎分数万回転という超高速で回転させ、数kHzもの高周波で発電することで小型化、かつ高出力を実現している。この発電機は高出力・高効率を達成する意味でも近年著しい発展を遂げている希土類永久磁石を回転子6に用いている。希土類永久磁石は高温になると磁気特性が悪くなり発電効率が低下するため、発熱源となる固定子のコイル9の発熱を効率よく放熱することが必要である。このため、図8では図示していないが、ハウジング1に設けられる冷却空気吸入口からコイルエンド12とハウジングとの間の空間,回転子6と固定子8の間隙7、を通るように冷却空気が循環し、コイルエンド12及び回転子6等を冷却する。
【0039】
以上、本実施例に示すコイルエンド形状により、コイルエンドの高さを低くし小型化が実現ができる。これにより永久磁石を用いた回転子の温度上昇を防ぐことができるので、高出力,高効率な回転機が実現できる。
【0040】
(実施例3)
図9(a)は実施例3に係る固定子を示す図である。実施例3に係る固定子端面には絶縁板が設けられている。これ以外の点はほぼ実施例1と同様である。なお図9(b)は図9(a)におけるコイルエンドの部分拡大図である。
【0041】
実施例3における絶縁板には固定子鉄心5のスロット10に対応して穴16が設けられており、穴16の形はスロットと同寸法になっている。なお穴16の周囲のコーナー部には角が丸められている。なお実施例3において絶縁板の厚さは8mmであり、穴16の周囲のコーナー部分の角は半径8mmで丸められている。絶縁板15の材質は、コイルの曲げ加工時の外力に耐え得る強度を有する絶縁体であればよく、例えばエポキシ樹脂,フッ化エチレン樹脂(四フッ化エチレン等),ガラスとエポキシ樹脂の複合材が挙げられる。
【0042】
この構成により、コイルを常に最小の曲率半径で曲げることが可能となり、コイルの成形効率,コイルの曲げ精度が向上し、コイルエンドの回転機軸方向長さを短くすることができる。また、曲げ加工時にスロット端部の角部分にコイルが接することがなくなるため、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことができる。また、コイルエンド部コイルと固定子鉄心の距離が近すぎると漏れ電流が大きくなり、発電機の効率を低下させるが、絶縁板15によりコイルエンド部コイル13と固定子鉄心5の距離を一定量確保できるので漏れ電流を小さくでき、効率を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上、本発明により固定子の寸法を小さくし、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る回転機の概要を示す図。
【図2】実施例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図3】実施例1に係る回転機を回転軸長軸方向から見た図。
【図4】比較例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図5】実施例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図6】比較例2に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図7】比較例3に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図8】実施例2に係る発電機の概要を示す図。
【図9】(a)実施例3に係る回転機の概要を示す図、(b)実施例3に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【符号の説明】
1…ハウジング、1A…筒形状のハウジング部、1B…略円盤状のハウジング部、3…軸受、4…回転軸、5…固定子鉄心、6…回転子、7…間隙、8…固定子、9…コイル、9A…U相コイル、9B…W相コイル、9C…V相コイル、10…スロット、11…樹脂、12…コイルエンド、13,13A,13B…コイルエンド部コイル、14…永久磁石、15…絶縁板、16…穴、17…磁石カバー。
【発明の属する技術分野】
本発明は回転機に関し、特に回転機に用いられる固定子に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電機等の回転機に用いられる固定子は、複数のスロットが設けられた固定子鉄心と、これらスロットに巻き回されるコイルを有して構成される。なおコイルは複数の導体を束ねて構成される束の単位をいう。
【0003】
あるスロットから他のスロットへ巻き回されるコイルの部分はコイルエンドと呼ばれ、スロットに入るコイル同士をつなぐ役割を果たす。
【0004】
しかしながら、コイルエンドが大きくなると▲1▼固定子の寸法の増大、▲2▼コイルの電気抵抗増大による出力低下及び発熱、▲3▼冷却風の循環を妨げることによる冷却効率の低下、を招く。従って、小型・高効率・高出力の発電機等を得るためにはコイルエンドのコイル長を短くしコイルの互いの干渉を避けるように配置し、コイルエンドの回転機回転軸方向の長さ及び固定子半径方向の長さを短くして固定子を小型化することが必要となる。
【0005】
コイルエンドの小型化を図る技術として、▲1▼スロット部分の内側に入っているコイルをコア面に近く、外側に入っているコイルをコア面から離れたところを通るように折り曲げる技術(例えば特許文献1参照)、▲2▼スロット外でコイルを撚り、隣接するコイルと重ねる技術(例えば特許文献2参照)が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−215238号公報(第5頁,第1図)
【特許文献2】
特開2002−44890号公報(第10頁,第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1(特開平9−215238号公報)に記載された技術では、同じ方向にコイルを折り曲げるため、コイルエンド部分を低く抑えることに関して課題を残している。
【0008】
また、上述の特許文献2(特開2002−44890号公報)に記載された技術ではコイルにおいて撚りが施されたコイルが使用されるため、コイルの剛性が高くなった場合にまで適用することには課題がある。
【0009】
以上本発明は、上記の課題を解決するものであり、固定子の寸法を小さくし、小型・高効率・高出力の回転機を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための一手段として、本発明では複数のスロットを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、各スロットにおけるコイルは複数設けられ、かつこれらコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明にかかる固定子の第一の態様としては、複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、スロットの各々におけるコイルは複数設けられ、かつ複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。また第二の態様としては第一の態様に加え、この態様に加え、固定子の半径方向の内方向に曲げられているコイルの数と、外方向に曲げられているコイルの数を均等に振り分けていることを特徴とする。更に、第三の態様としては第二の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする。また第四の態様としては第三の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする。この構成をとることにより、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。また第五の態様としては第一の態様に加え、固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする。この構成により、コイルを常に最小の曲率半径で曲げることが可能となり、コイルの成形効率,コイルの曲げ精度が向上し、コイルエンドの回転機回転軸方向長さを短くすることができる。また、曲げ加工時にスロット端部の角部分にコイルが接することがなくなるため、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことができる。また、コイルエンド部コイルと固定子鉄心の距離が近すぎると漏れ電流が大きくなり、発電機の効率を低下させるが、絶縁板15によりコイルエンド部コイル13と固定子鉄心5の距離を一定量確保できるので漏れ電流を小さくでき、効率を向上させることができる。また第六の態様として、第五の態様に加え、穴の角が丸められていることを特徴とする。穴の角が丸められていることにより、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことをより効率的に行うことができる。また、第七の態様として第一の態様に加え、第六の前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする。
【0013】
また第八の態様としては、ハウジングと、ハウジングに固定される軸受と、軸受に保持される回転軸と、回転軸に固定される回転子と、ハウジングに固定され、前記回転子の外周に配置される固定子と、を有する回転機であって、固定子は複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、前記スロットの各々におけるコイルは複数設けられ、かつ複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする。また第九の態様としては第八の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは均等に振り分けられていることを特徴とする。また第十の態様としては第九の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする。第十一の態様としては第十の態様に加え、固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする。この構成により、半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となり、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【0014】
また、第十二の態様として、第八の態様に加え、固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする。また、第十三の態様としては第十二の態様に加え、穴の角は丸められていることを特徴とする。
【0015】
また、第十四の態様としては第八の態様に加え、回転子は、永久磁石が組み込まれ、かつ磁石カバーにより固定されたものであることを特徴とする。
【0016】
そして、第十五の態様として、複数のスロットを有する固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられており、前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする。この構成により、固定子鉄心の端面(固定子端面)における空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。
【0017】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は実施例1に係る回転機の断面図である。この回転機は、主として、筒形状のハウジング部1Aと略円盤状のハウジング部1Bとをボルト2で互いに連結して構成されたハウジング1と、ハウジング1に固定され回転軸4を固定する軸受3と、回転軸4に固定された回転子6と、回転子6の外周に位置し間隙7を形成しつつハウジング1に固定される固定子8と、を有して構成される。そして回転軸4は、端部がベルトプーリ等を通じてエンジンの出力軸に連結されたり、タービン軸等の回転軸を構成したりする。固定子8は薄いリング状の電磁鋼板が積層されて円筒形状に構成され、コイル9を組み込むための溝であるスロットが複数設けられている。コイル9は絶縁皮膜が形成された銅線束により構成されており、スロットに組み込まれつつ固定子8に巻きつけられている。なおその際コイル9は固定子8の端面近傍のスロット外で折り返され、他のスロットへ入る形で巻き回されている。なおこのコイル9の折り返された部分には加熱により硬化された樹脂11が配置され、コイル9を被覆している。なお本明細書では以降このコイルの折り返された部分をコイルエンド部コイルと呼び、このコイルエンド部コイルとこれを被覆する樹脂11とをコイルエンド12と呼ぶ。また、図1では図示していないが、ハウジング1に設けられる冷却空気吸入口からコイルエンド12とハウジングとの間の空間,回転子6と固定子8の間隙7、を通るように冷却空気が循環し、コイルエンド12及び回転子6等を冷却する。
【0019】
図2は本実施例における固定子8の断面図である。図2は3相同心巻の固定子を示したものである。なお図2では説明のため樹脂を省略し、コイルエンド部コイルが樹脂により被覆されていない状態を示している。
【0020】
各スロットには複数のコイル9が組み込まれており、コイル9の各々は組み込まれたスロットから他のスロットに巻き回される。そのためコイルは折り返され、コイルエンド部コイル13として形成されている。コイルエンド部コイル13は固定子の半径方向内側へ振り分けられたコイルエンド部コイル13Aと、半径方向外側へ振り分けられたコイルエンド部コイル13Bと、により構成されている。そしてこの各コイルエンド部コイルはそれぞれU相コイル9Aと、W相コイル9Bと、V相コイル9Cと、の3層の積層構造となっている。なおU相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に沿って隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。なお本明細書ではこのように3相を一つの束としてコイルを巻きまわす構成を3相同心巻と表現する。
【0021】
図3に本実施例における固定子8のコイルエンド形状を示す。図3は固定子の回転軸長軸側から見た図であり、コイルの振り分け状態を示すものである。
【0022】
固定子8は複数のスロット10を備える固定子鉄心5と、この固定子鉄心5のスロット10に挿入される複数のコイル9を有して構成されている。なお図3においてスロット10は周方向に24個設けられている。
【0023】
スロット10から出たコイル9は曲げられ、コイル9の引き出し位置に対して固定子の半径方向内側方向と外側方向に均等に振り分けられている。
【0024】
このように半径方向内側と外側方向に均等に振り分けることで半径方向外側と半径方向内側の空間をうまく利用することができ、固定子端面でコイルを複雑に巻きまわすことなくコイルエンドの回転機回転軸方向長さと固定子半径方向長さを短くすることが可能となる。なお、本実施例における各スロットに設けられた複数のコイルは半径方向外側と半径方向内側に夫々沿って割り振られているが、コイルを均等に割り振ることにより上記の効果を達成できる限りにおいて、半径方向に沿わない巻きまわしも可能である。但し、半径方向に沿わせて巻きまわすことで、図3で示すようにより対称的な配置が可能となり、コイル設計が容易になる。
【0025】
以上、本実施例における固定子を用いることで寸法が小さくなり、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【0026】
(比較例1)
図4に比較例1に係る回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンド部分以外はほぼ実施例1と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0027】
図4では各スロットから引き出されたコイルエンド部コイル13B全てが固定子の半径外側に引き回されており、コイルエンド部コイルはU相コイル9Aが2列、W相コイル9Bが2列、V相コイル9Cが2列、更にU相コイル9Aが2列、W相コイル9Bが2列、V相コイル9C、合計6層積層されたものとなっている。尚U相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。
【0028】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH2、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW2とし、実施例1における固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH1、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW1として比較する(図5参照)と、W2はW1とほぼ同様であるものの、H2はH1の2倍となる。この差は、複数のスロットから巻き回されるコイルが重畳される箇所において特に顕著となる。また、半径方向一方向(図4では固定子外径側)にのみコイルが折り曲げられているため、固定子内径側にはコイルが存在せず、空間をうまく使うことができていない。即ち、比較例1は実施例1に比べてコイルエンドの回転機の回転軸方向長さが長くなり、またコイル引き出し位置近傍の空間をうまく利用できないため固定子の寸法が大きくなってしまう。
【0029】
以上、比較例1の回転機は実施例1の回転機に比べ冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0030】
(比較例2)
図6に比較例2における回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンド部分以外はほぼ実施例1と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0031】
図6では各スロットから引き出されたコイルエンド部コイル13B全てが固定子の半径外側(固定子外径側)に引き回されており、コイルエンド部コイルはU相コイル9Aが4列、W相コイル9Bが4列、V相コイル9Cが4列、合計4層積層された構成となっている。尚U相コイル9A,W相コイル9B,V相コイル9Cの固定子半径方向に隣接しているコイルは夫々すべて同一相のコイルである。
【0032】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH3、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW3とし、比較例1において比較したように実施例1におけるH1,W1(図5参照)と比較すると、H3はH1とほぼ同じであるが、コイルエンドの幅W3がW1に比べて2倍となる。即ち、比較例2ではコイルの幅を2倍広く設定する必要があるため、スロットに対して固定子の半径外側のスペースが多く必要となる。つまり結果として実施例1に比べてコイルエンドの回転機の固定子の半径方向長さを長くすることとなり固定子の外形が大きくなってしまう。
【0033】
以上、比較例2に係る回転機では固定子の外径が大きくなり冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0034】
(比較例3)
図7に比較例2における回転機のコイルエンドの部分断面図を示す。コイルエンドにおけるコイルエンド部コイルが固定子の半径方向内側(固定子内径側)へ全て引き出されている点以外はほぼ比較例2と同様である。なお図4におけるコイルエンドにおいて樹脂による被覆は説明のために省略する。
【0035】
ここにおいて、固定子端面からコイルエンド部コイル上面までの回転機の回転軸の長軸方向長さをH4、コイル引き出し位置の中心からコイルエンド部コイル13B側面までの幅をW4とし、比較例2において比較したように実施例1におけるH1,W1(図5参照)と比較すると、H4はH1とほぼ同じであるが、コイルエンドの幅W4がW1に比べて2倍となる。即ち、比較例3は実施例1に比べて固定子の半径内側のスペースが多く必要となり(面積で約2倍)、結果として回転機の固定子の半径方向長さが長くなり、固定子の外形が大きくなってしまうこととなる。なおこれは内径側への引き出しであるため比較例2よりもより顕著となる。
【0036】
以上、比較例3に係る回転機では固定子の外径が大きくなり冷却空気の循環を妨げてしまうこととなる。
【0037】
(実施例2)
図8は実施例2に係るマイクロガスタービン用の高速発電機の断面図である。実施例2に係る発電機は実施例1の回転子6に永久磁石14を組み込み、磁石カバー17で固定したものである。これ以外の点は実施例1とほぼ同様である。
【0038】
マイクロガスタービンは、タービンと発電機を一体化したタービンジェネレータを毎分数万回転という超高速で回転させ、数kHzもの高周波で発電することで小型化、かつ高出力を実現している。この発電機は高出力・高効率を達成する意味でも近年著しい発展を遂げている希土類永久磁石を回転子6に用いている。希土類永久磁石は高温になると磁気特性が悪くなり発電効率が低下するため、発熱源となる固定子のコイル9の発熱を効率よく放熱することが必要である。このため、図8では図示していないが、ハウジング1に設けられる冷却空気吸入口からコイルエンド12とハウジングとの間の空間,回転子6と固定子8の間隙7、を通るように冷却空気が循環し、コイルエンド12及び回転子6等を冷却する。
【0039】
以上、本実施例に示すコイルエンド形状により、コイルエンドの高さを低くし小型化が実現ができる。これにより永久磁石を用いた回転子の温度上昇を防ぐことができるので、高出力,高効率な回転機が実現できる。
【0040】
(実施例3)
図9(a)は実施例3に係る固定子を示す図である。実施例3に係る固定子端面には絶縁板が設けられている。これ以外の点はほぼ実施例1と同様である。なお図9(b)は図9(a)におけるコイルエンドの部分拡大図である。
【0041】
実施例3における絶縁板には固定子鉄心5のスロット10に対応して穴16が設けられており、穴16の形はスロットと同寸法になっている。なお穴16の周囲のコーナー部には角が丸められている。なお実施例3において絶縁板の厚さは8mmであり、穴16の周囲のコーナー部分の角は半径8mmで丸められている。絶縁板15の材質は、コイルの曲げ加工時の外力に耐え得る強度を有する絶縁体であればよく、例えばエポキシ樹脂,フッ化エチレン樹脂(四フッ化エチレン等),ガラスとエポキシ樹脂の複合材が挙げられる。
【0042】
この構成により、コイルを常に最小の曲率半径で曲げることが可能となり、コイルの成形効率,コイルの曲げ精度が向上し、コイルエンドの回転機軸方向長さを短くすることができる。また、曲げ加工時にスロット端部の角部分にコイルが接することがなくなるため、コイルの絶縁皮膜の損傷を防ぐことができる。また、コイルエンド部コイルと固定子鉄心の距離が近すぎると漏れ電流が大きくなり、発電機の効率を低下させるが、絶縁板15によりコイルエンド部コイル13と固定子鉄心5の距離を一定量確保できるので漏れ電流を小さくでき、効率を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上、本発明により固定子の寸法を小さくし、小型・高効率・高出力の回転機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る回転機の概要を示す図。
【図2】実施例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図3】実施例1に係る回転機を回転軸長軸方向から見た図。
【図4】比較例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図5】実施例1に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図6】比較例2に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図7】比較例3に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【図8】実施例2に係る発電機の概要を示す図。
【図9】(a)実施例3に係る回転機の概要を示す図、(b)実施例3に係る回転機のコイルエンドの説明図。
【符号の説明】
1…ハウジング、1A…筒形状のハウジング部、1B…略円盤状のハウジング部、3…軸受、4…回転軸、5…固定子鉄心、6…回転子、7…間隙、8…固定子、9…コイル、9A…U相コイル、9B…W相コイル、9C…V相コイル、10…スロット、11…樹脂、12…コイルエンド、13,13A,13B…コイルエンド部コイル、14…永久磁石、15…絶縁板、16…穴、17…磁石カバー。
Claims (15)
- 複数のスロットを有する固定子鉄心と、
前記固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、
前記スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする固定子。 - 前記固定子の半径方向の内方向に曲げられているコイルの数と、外方向に曲げられている前記コイルの数が均等に振り分けられていることを特徴とする請求項1記載の固定子。
- 前記固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする請求項2記載の固定子。
- 前記固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする請求項3記載の固定子。
- 前記固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の固定子。
- 前記穴の角は丸められていることを特徴とする請求項5記載の固定子。
- 前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする請求項1記載の固定子。
- ハウジングと、
該ハウジングに固定される軸受と、
該軸受に保持される回転軸と、
該回転軸に固定される回転子と、
前記ハウジングに固定され、前記回転子の外周に配置される固定子と、を有する回転機であって、
前記固定子は複数のスロットを有する固定子鉄心と、前記固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有し、前記スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられていることを特徴とする回転機。 - 前記固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは均等に振り分けられていることを特徴とする請求項8記載の回転機。
- 前記固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは3相同心巻であることを特徴とする請求項9記載の回転機。
- 前記固定子の半径方向の内方向及び外方向に曲げられているコイルは2列かつ3層の積層構造であることを特徴とする請求項10記載の回転機。
- 前記固定子鉄心の端面には前記スロットに対応した穴が形成された絶縁板が設けられていることを特徴とする請求項8記載の回転機。
- 前記穴の角は丸められていることを特徴とする請求項12記載の回転機。
- 前記回転子は、永久磁石が組み込まれ、かつ磁石カバーにより固定されたものであることを特徴とする請求項8記載の回転機。
- 複数のスロットを有する固定子鉄心と、
前記固定子鉄心のスロットに組み込まれるコイルと、を有する固定子であって、
前記スロットの各々における前記コイルは複数設けられ、かつ前記複数のコイルは前記固定子の半径方向の内方向と外方向にそれぞれ曲げられており、前記スロットの各々に設けられる前記複数のコイルは、同一の他の前記スロットに巻き回されていることを特徴とする固定子。
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