JP2010080836A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体電解コンデンサ1の製造工程で、表面に陽極酸化皮膜が形成された陽極箔2と陰極箔3にそれぞれリード部6を接続するとともに、陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回した後、これら電極箔2、3との間に固体電解質層を形成してコンデンサ素子10を作製する。次に、弾性封口材7を温度180〜250℃で加熱して弾性封口材7を軟化させた状態で、コンデンサ素子10から導出されたリード部6を、弾性封口材7に形成された貫通孔7aに挿通し、コンデンサ素子10に弾性封口材7を取り付けた後、コンデンサ素子10を有底筒状の外装ケース5に収納し、外装ケース5の開口部を弾性封口材7で封止する。
【選択図】図1
Description
コンデンサ素子は、表面に陽極酸化皮膜が形成された陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して巻回され、陽極箔と陰極箔との間に、固体または液体の電解質が保持された構造を有する。リード部は、陽極箔と陰極箔にそれぞれ接続されている。
このような弾性封口材の変形が生じると、リード部が弾性封口材により外装ケースの外部側へ引っ張られるため、コンデンサ素子に機械的ストレスがかかり、陽極酸化皮膜が破損して漏れ電流特性が悪化するなどの問題が生じる。
そのため、弾性封口材としては、上述したような変形を抑制するために、硬度の高いものを用いることが望ましい。
そのため、弾性封口材として比較的硬度の高い(弾性率の高い)ものを用いた場合、リード部を貫通孔に挿入する際、貫通孔の周囲はリード部の挿入方向に比較的大きい力で引っ張られるため、弾性封口材はその弾性力により、上記挿入方向と逆方向に変形し、弾性封口材とコンデンサ素子とが接触する場合がある。この接触により、コンデンサ素子に機械的ストレスがかかり、陽極酸化皮膜が破損して、漏れ電流特性が悪化し、最悪の場合にはショートを引き起こすことがある。
一方で、近年、低ESR(等価直列抵抗)を特徴とする固体電解コンデンサが注目されているが、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質は、陽極酸化皮膜の修復能力がほとんどないため、エージングで陽極酸化皮膜を十分修復できず、上記の問題が生じていた。
また、たとえ硬度の高い弾性封口材を用いた場合であっても、貫通孔の内壁がリード部によって削られることなく、リード部を貫通孔に挿通することができる。よって、外装ケースの封止が十分に行われ、電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
図1に示すように、本実施形態の固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子10と、弾性封口材7と、外装ケース5とを備える。
また、陰極箔3も、陽極箔2と同様にアルミニウム等で形成され、その表面は粗面化されるとともに自然酸化皮膜3aが形成されている。
弾性封口材7には、2つのリード部6(接続部6a)がそれぞれ貫通される2つの貫通孔7aが形成されている。弾性封口材7に力が作用していない無負荷状態での貫通孔7aの径は、接続部6aの外径よりも若干小さい。
EPT、EPDM、IIRを用いた場合の弾性封口材4の軟化点は、添加物(カーボン等)の配合によって異なるが、150℃程度である。
まず、陽極箔2および陰極箔3を構成する金属箔の表面にエッチング処理を施して粗面化した後、粗面化された陽極箔2の表面に化成処理を施して陽極酸化皮膜2aを形成し、陰極箔3には、耐水性処理および/または熱処理にて自然酸化皮膜3aを形成した(酸化皮膜形成工程)。
そして、これら陽極箔2と陰極箔3とを所定の寸法に裁断後、それぞれにリードタブ(図示省略)を介してリード部6を接続するとともに、これら陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回した(巻回工程)。
このようにして作製された円柱状のコンデンサ素子10に、アジピン酸アンモニウム水溶液で電圧を印加して素子化成を行った後(切り口化成工程)、コンデンサ素子10を加熱して、セパレータ4の炭化処理を行った。
続いて、コンデンサ素子10を所定の温度で一定時間加熱し、含浸された酸化剤とモノマーとを化学重合させて、電極箔2、3の間に、導電性高分子からなる固体電解質層8を形成した(固体電解質層形成工程)。
なお、上記の巻回工程から固体電解質層形成工程までが、本発明のコンデンサ素子作製工程に相当する。
まず、弾性封口材7の貫通孔7aの周囲を、弾性封口材7の軟化点を超える温度(具体的には、180〜250℃)で1〜5秒間加熱し、弾性封口材7を一時的に軟化させた。この状態で、弾性封口材7の貫通孔7aに、コンデンサ素子10から導出されたリード部6を挿通し、コンデンサ素子2に弾性封口材7を取り付けた(取付工程)。
また、弾性封口材7の加熱方法として、熱風ヒータから供給される熱風を、貫通孔7aの内径よりも外径が小さいノズルから吹き付け、貫通孔7a内部を加熱する方法を用いた。
また、予め、80〜150℃の予備加熱を行ってもよい。
そのため、このような弾性封口材7の変形に起因するコンデンサ素子10への機械的ストレスが低減でき、その結果、漏れ電流特性が安定するとともに、ショートの発生を防止できる。
例えば、弾性封口材7を取り付ける前のコンデンサ素子10を外装ケース5に収納した後、加熱により軟化した弾性封口材7の貫通孔7aにリード部6を挿通して、コンデンサ素子10に弾性封口材7を取り付けてから、外装ケース5の開口部を弾性封口材7で封止してもよい。
表1に示すEPT、IIRの封口ゴム材料を用い、硬度70、85Hsとした弾性封口材を、熱風ヒータから供給される熱風を、弾性封口材の貫通孔の内径よりも外径が小さいノズルから吹き付けることにより、温度180、220、250℃で、1〜5秒間、貫通孔内部を加熱し軟化させた。この状態で、弾性封口材の貫通孔にリード部を挿通して、コンデンサ素子に弾性封口材を取り付け、表1に示す実施例1−1〜1−6、実施例2−1〜2−6の固体電解コンデンサ試料を各20個作製した。
なお、固体電解質層を構成する導電性高分子としては、PEDOTを使用し、各固体電解コンデンサは、定格電圧4.0V、静電容量100μF(サイズ:φ5×6L(mm))とした。
表1に示すEPT、IIRの封口ゴム材料を用い、硬度70、85Hsとした弾性封口材を、温度170、260℃とした以外は、上記実施例と同様にして、コンデンサ素子に取り付け、表1に示す比較例1−1〜1−4、2−1〜2−4の固体電解コンデンサ試料を各20個作製した(上限、下限を超える場合の比較)。
表1に示すEPT、IIRの封口ゴム材料を用い、硬度70、85Hsとした弾性封口材を、加熱による軟化を行わなかった以外は、上記実施例と同様にして、固体電解コンデンサ試料を各20個作製した。
また、ゴム硬度が85Hsの実施例1−4〜1−6、2−4〜2−6、および比較例1−3、2−3については、リード部を弾性封口材の貫通孔に挿入した際の、貫通孔の内壁の削れの有無を確認した。その結果も表1に示す。
よって、弾性封口材の加熱温度は180℃以上とするのが好ましい。180℃を下回ると弾性封口材を十分軟化させることができず、コンデンサ素子に機械的ストレスによる漏れ電流特性悪化が生ずる。また、250℃を超えると弾性封口材の変質、劣化が生じるので好ましくない。よって、弾性封口材の加熱温度は180〜250℃とするのが好ましく、より好ましくは、220〜250℃である。
そして、弾性封口材の加熱時間は加熱温度より適宜選択すればよいが、生産性を考慮すれば短時間の方が好ましく、1〜5秒とするのがより好ましい。
また、実施例1−4〜1−6、2−4〜2−6の固体電解コンデンサは、比較例1−B、2−Bの固体電解コンデンサと比較して、弾性封口材の削れを抑えることができる。
2 陽極箔
2a 陽極酸化皮膜
3 陰極箔
3a 自然酸化皮膜
4 セパレータ
5 外装ケース
5a 巻き締め部
6 リード部
6a 接続部
6b リード線
7 弾性封口材
7a 貫通孔
8 固体電解質層
10 コンデンサ素子
Claims (4)
- 表面に陽極酸化皮膜が形成された陽極箔と陰極箔にそれぞれリード部を接続するとともに、前記陽極箔と前記陰極箔とをセパレータを介して巻回した後、前記陽極箔と前記陰極箔との間に導電性高分子からなる固体電解質層を形成して、コンデンサ素子を作製するコンデンサ素子作製工程と、
前記コンデンサ素子から導出された前記リード部を、弾性封口材に形成された貫通孔に挿通し、前記コンデンサ素子に前記弾性封口材を取り付ける取付工程と、
前記コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納する収納工程と、
前記外装ケースの開口部を、前記弾性封口材で封止する封止工程と、
を備えた固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記取付工程において、
前記弾性封口材を180〜250℃で加熱して前記弾性封口材を軟化させ、前記貫通孔に前記リード部を挿通することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記弾性封口材の加熱手段として、熱風ヒータから供給される熱風を、弾性封口材に吹き付けて加熱することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記取付工程において、
前記弾性封口材の前記貫通孔の周囲のみを加熱することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記弾性封口材の加熱手段として、熱風ヒータから供給される熱風を、弾性封口材に形成された貫通孔の内径よりも外径が小さいノズルから吹き付け、貫通孔内部を加熱することを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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