以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るプリント配線板の製造方法の一例を示すものであり、この方法ではまず、図1(a)に示すように、金属材1の表面に転写用回路3を設ける。
ここで、金属材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、厚み0.05mm以上0.3mm未満の平板状のステンレス基材やアルミニウム基材等を用いることができる。
また、転写用回路3は、アディティブ法やサブトラクティブ法により銅回路等として設けることができ、その厚みは例えば5〜35μmに設定するのが好ましい。また転写用回路3は、金属材1の表面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1と転写用回路3との密着性を高めることができ、転写前に転写用回路3が金属材1から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、エッチングにより行うことができる。このエッチングは、塩化第二鉄又は塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含有する処理液等を用いて行うことができ、特に前記処理液に鉄よりもイオン化傾向が小さい金属として銅イオン等が含有されているものを用いて行うのが好ましい。また、エッチングによる粗化処理後の金属材1の表面粗度Raは0.05〜1.00μmであることが好ましく、金属材1と転写用回路3とのピール密着強度は0.1〜2.0N/cmであることが好ましい。
次に図1(b)に示すように、金属材1の表面及び転写用回路3の全面に金属皮膜2を設けることによって転写用基材4を作製する。ここで、金属皮膜2は、電解めっきや無電解めっきにより銅めっき等として設けたり、又は蒸着により銅皮膜等として設けたりすることができる。銅以外の金属としては、ニッケルやニッケル−銅合金等を例示することができる。そしてこのようにして設けられる金属皮膜2の一部は、最終的にはエッチングにより除去されることになるので、可能な限り薄いものであることが好ましく、具体的には金属皮膜2の厚みは2μm以上転写用回路3の厚み未満であることが好ましい。また金属皮膜2は、金属材1の表面及び転写用回路3の全面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1及び転写用回路3と金属皮膜2との密着性を高めることができ、転写前に金属皮膜2が金属材1及び転写用回路3から剥離したり脱落したりするのを防止することができると共に、転写後に転写用回路3が金属皮膜2から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、転写用回路3を設ける前に行ってもよいし、転写用回路3を設けた後に転写用回路3と共に行ってもよい。また転写用回路3及び金属材1の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。
次に図1(c)に示すように、転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせて金属皮膜2を介して転写用回路3を樹脂層5に埋め込む。ここで、樹脂層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成されたプリプレグや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をフィルム状に成形してBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成された接着フィルム等の接着シートを用いることができる。これらの接着シートは必要に応じて複数枚を重ねて使用することができ、また樹脂層5の厚みは例えば20〜1000μmに設定することができる。また金属皮膜2は、その表面を粗化処理した後、樹脂層5に貼り合わせるようにするのが好ましい。このようにすると、金属皮膜2と樹脂層5との密着性を高めることができるものである。なお、金属皮膜2の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。また、粗化処理後の金属皮膜2の表面粗度Raは1.0〜4.0μmであることが好ましく、金属皮膜2と樹脂層5とのピール密着強度は、金属材1と金属皮膜2及び転写用回路3とのピール密着強度よりも強いのが好ましく、具体的には4.0N/cm以上であることが好ましい。
その後、図1(c)のように転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせた状態で加熱乾燥させて樹脂層5をBステージ状態からCステージ状態になるまで完全に硬化させてから、図1(d)(e)に示すように、金属材1を撓ませながら剥離する。
そして、樹脂層5に埋め込まれていない金属皮膜2をエッチングにより除去すると、図1(f)に示すようなプリント配線板、特にフラッシュプリント配線板を得ることができるものである。エッチングは、金属皮膜2を物理的に引き剥がして除去するものではなく、化学的に溶解して除去するものであるから、樹脂層5の転写面に損傷を与えないものである。なお、エッチングは、塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチング液等を用いて行うことができる。
このように、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、図1(c)のように金属材1と樹脂層5とは直接貼り合わされていないので、図1(d)のように金属材1を剥離しても樹脂層5の転写面に物理的な損傷が生じないのは明らかであり、また図1(e)(f)のように樹脂層5に貼り合わされた金属皮膜2のうち樹脂層5に埋め込まれていないものは、物理的な引き剥がしにより除去されるのではなく、エッチングにより除去されるので、樹脂層5の転写面が損傷するのを防止することができるものである。なお、転写用回路3の一部、具体的には樹脂層5の表面から突出している部分はエッチングにより除去される。
図2は本発明に係るプリント配線板の製造方法の他の一例を示すものであり、この方法ではまず、図2(a)に示すように、金属材1の表面に転写用回路3を設ける。
ここで、金属材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、厚み0.05〜1.5mmの平板状のステンレス基材やアルミニウム基材等を用いることができる。
また、転写用回路3は、アディティブ法やサブトラクティブ法により銅回路等として設けることができ、その厚みは例えば5〜35μmに設定するのが好ましい。また転写用回路3は、金属材1の表面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1と転写用回路3との密着性を高めることができ、転写前に転写用回路3が金属材1から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、エッチングにより行うことができる。このエッチングは、塩化第二鉄又は塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含有する処理液等を用いて行うことができ、特に前記処理液に鉄よりもイオン化傾向が小さい金属として銅イオン等が含有されているものを用いて行うのが好ましい。また、エッチングによる粗化処理後の金属材1の表面粗度Raは0.05〜1.00μmであることが好ましく、金属材1と転写用回路3とのピール密着強度は0.1〜2.0N/cmであることが好ましい。
次に図2(b)に示すように、金属材1の表面及び転写用回路3の全面に金属皮膜2を設けることによって転写用基材4を作製する。ここで、金属皮膜2は、電解めっきや無電解めっきにより銅めっき等として設けたり、又は蒸着により銅皮膜等として設けたりすることができる。銅以外の金属としては、ニッケルやニッケル−銅合金等を例示することができる。そしてこのようにして設けられる金属皮膜2の一部は、最終的にはエッチングにより除去されることになるので、可能な限り薄いものであることが好ましく、具体的には金属皮膜2の厚みは2μm以上転写用回路3の厚み未満であることが好ましい。また金属皮膜2は、金属材1の表面及び転写用回路3の全面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1及び転写用回路3と金属皮膜2との密着性を高めることができ、転写前に金属皮膜2が金属材1及び転写用回路3から剥離したり脱落したりするのを防止することができると共に、転写後に転写用回路3が金属皮膜2から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、転写用回路3を設ける前に行ってもよいし、転写用回路3を設けた後に転写用回路3と共に行ってもよい。また転写用回路3及び金属材1の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。
次に図2(c)に示すように、転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせて金属皮膜2を介して転写用回路3を樹脂層5に埋め込む。ここで、樹脂層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成されたプリプレグや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をフィルム状に成形してBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成された接着フィルム等の接着シートを用いることができる。これらの接着シートは必要に応じて複数枚を重ねて使用することができ、また樹脂層5の厚みは例えば20〜1000μmに設定することができる。また金属皮膜2は、その表面を粗化処理した後、樹脂層5に貼り合わせるようにするのが好ましい。このようにすると、金属皮膜2と樹脂層5との密着性を高めることができるものである。なお、金属皮膜2の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。また、粗化処理後の金属皮膜2の表面粗度Raは1.0〜4.0μmであることが好ましく、金属皮膜2と樹脂層5とのピール密着強度は、金属材1と金属皮膜2及び転写用回路3とのピール密着強度よりも強いのが好ましく、具体的には4.0N/cm以上であることが好ましい。
その後、図2(c)のように転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせた状態で加熱乾燥させて樹脂層5をBステージ状態からCステージ状態になるまで完全に硬化させてから、図2(d)(e)に示すように、金属材1を剥離する。このとき、金属材1の厚みが0.3mm以上であって厚くて撓ませることができない場合には、樹脂層5を撓ませながら金属材1を剥離せざるを得ないが、たとえ金属材1の厚みが0.3mm未満であって薄くて撓ませることができる場合であっても、樹脂層5を撓ませながら金属材1を剥離するのが好ましい。特に金属材1の厚みが薄い場合には、一旦金属材1を撓ませてしまうと、元の平板状に戻すのが困難であり、転写用基材4の材料としての再利用が不可能となるおそれがある。しかし、上記のように樹脂層5を撓ませるようにすれば、金属材1を撓ませる必要がなくなり、たとえ金属材1の厚みが薄い場合であっても、金属材1を転写用基材4の材料として再利用することができるものである。
そして、樹脂層5に埋め込まれていない金属皮膜2をエッチングにより除去すると、図2(f)に示すようなプリント配線板、特にフラッシュプリント配線板を得ることができるものである。エッチングは、金属皮膜2を物理的に引き剥がして除去するものではなく、化学的に溶解して除去するものであるから、樹脂層5の転写面に損傷を与えないものである。なお、エッチングは、塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチング液等を用いて行うことができる。
このように、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、図2(c)のように金属材1と樹脂層5とは直接貼り合わされていないので、図2(d)のように金属材1を剥離しても樹脂層5の転写面に物理的な損傷が生じないのは明らかであり、また図2(e)(f)のように樹脂層5に貼り合わされた金属皮膜2のうち樹脂層5に埋め込まれていないものは、物理的な引き剥がしにより除去されるのではなく、エッチングにより除去されるので、樹脂層5の転写面が損傷するのを防止することができるものである。なお、転写用回路3の一部、具体的には樹脂層5の表面から突出している部分はエッチングにより除去される。
図3は本発明に係るプリント配線板の製造方法の他の一例を示すものであり、この方法ではまず、図3(a)に示すように、金属材1の表面に転写用回路3を設ける。
ここで、金属材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、厚み0.05〜1.5mmの平板状のステンレス基材やアルミニウム基材等を用いることができる。
また、転写用回路3は、アディティブ法やサブトラクティブ法により銅回路等として設けることができ、その厚みは例えば5〜35μmに設定するのが好ましい。また転写用回路3は、金属材1の表面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1と転写用回路3との密着性を高めることができ、転写前に転写用回路3が金属材1から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、エッチングにより行うことができる。このエッチングは、塩化第二鉄又は塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含有する処理液等を用いて行うことができ、特に前記処理液に鉄よりもイオン化傾向が小さい金属として銅イオン等が含有されているものを用いて行うのが好ましい。また、エッチングによる粗化処理後の金属材1の表面粗度Raは0.05〜1.00μmであることが好ましく、金属材1と転写用回路3とのピール密着強度は0.1〜2.0N/cmであることが好ましい。
次に図3(b)に示すように、金属材1の表面及び転写用回路3の全面に金属皮膜2を設けることによって転写用基材4を作製する。ここで、金属皮膜2は、電解めっきや無電解めっきにより銅めっき等として設けたり、又は蒸着により銅皮膜等として設けたりすることができる。銅以外の金属としては、ニッケルやニッケル−銅合金等を例示することができる。そしてこのようにして設けられる金属皮膜2の一部は、最終的にはエッチングにより除去されることになるので、可能な限り薄いものであることが好ましく、具体的には金属皮膜2の厚みは2μm以上転写用回路3の厚み未満であることが好ましい。また金属皮膜2は、金属材1の表面及び転写用回路3の全面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1及び転写用回路3と金属皮膜2との密着性を高めることができ、転写前に金属皮膜2が金属材1及び転写用回路3から剥離したり脱落したりするのを防止することができると共に、転写後に転写用回路3が金属皮膜2から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、転写用回路3を設ける前に行ってもよいし、転写用回路3を設けた後に転写用回路3と共に行ってもよい。また転写用回路3及び金属材1の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。
また金属皮膜2は、図3(b)に示すように、金属材1の表面のみならず、金属材1の側面にも設ける。金属材1は後の工程で金属皮膜2から剥離することになるが、金属材1の側面にも金属皮膜2が設けてあると、金属皮膜2の端部を容易につまんでめくることができ、金属材1を容易に剥離することができるものである。
次に図3(c)に示すように、転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせて金属皮膜2を介して転写用回路3を樹脂層5に埋め込む。ここで、樹脂層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成されたプリプレグや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をフィルム状に成形してBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成された接着フィルム等の接着シートを用いることができる。これらの接着シートは必要に応じて複数枚を重ねて使用することができ、また樹脂層5の厚みは例えば20〜1000μmに設定することができる。また金属皮膜2は、その表面を粗化処理した後、樹脂層5に貼り合わせるようにするのが好ましい。このようにすると、金属皮膜2と樹脂層5との密着性を高めることができるものである。なお、金属皮膜2の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。また、粗化処理後の金属皮膜2の表面粗度Raは1.0〜4.0μmであることが好ましく、金属皮膜2と樹脂層5とのピール密着強度は、金属材1と金属皮膜2及び転写用回路3とのピール密着強度よりも強いのが好ましく、具体的には4.0N/cm以上であることが好ましい。
その後、図3(c)のように転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせた状態で加熱乾燥させて樹脂層5をBステージ状態からCステージ状態になるまで完全に硬化させてから、図3(d)(e)に示すように、金属材1を剥離する。このとき、金属材1の厚みが0.3mm以上であって厚くて撓ませることができない場合には、樹脂層5を撓ませながら金属材1を剥離せざるを得ないが、たとえ金属材1の厚みが0.3mm未満であって薄くて撓ませることができる場合であっても、樹脂層5を撓ませながら金属材1を剥離するのが好ましい。特に金属材1の厚みが薄い場合には、一旦金属材1を撓ませてしまうと、元の平板状に戻すのが困難であり、転写用基材4の材料としての再利用が不可能となるおそれがある。しかし、上記のように樹脂層5を撓ませるようにすれば、金属材1を撓ませる必要がなくなり、たとえ金属材1の厚みが薄い場合であっても、金属材1を転写用基材4の材料として再利用することができるものである。
そして、樹脂層5に埋め込まれていない金属皮膜2をエッチングにより除去すると、図3(f)に示すようなプリント配線板、特にフラッシュプリント配線板を得ることができるものである。エッチングは、金属皮膜2を物理的に引き剥がして除去するものではなく、化学的に溶解して除去するものであるから、樹脂層5の転写面に損傷を与えないものである。なお、エッチングは、塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチング液等を用いて行うことができる。
このように、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、図3(c)のように金属材1と樹脂層5とは直接貼り合わされていないので、図3(d)のように金属材1を剥離しても樹脂層5の転写面に物理的な損傷が生じないのは明らかであり、また図3(e)(f)のように樹脂層5に貼り合わされた金属皮膜2のうち樹脂層5に埋め込まれていないものは、物理的な引き剥がしにより除去されるのではなく、エッチングにより除去されるので、樹脂層5の転写面が損傷するのを防止することができるものである。なお、転写用回路3の一部、具体的には樹脂層5の表面から突出している部分はエッチングにより除去される。
図4は本発明に係るプリント配線板の製造方法の他の一例を示すものであり、この方法ではまず、図4(a)に示すように、金属材1の表面に転写用回路3を設ける。
ここで、金属材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、厚み0.05mm以上0.3mm未満の平板状のステンレス基材やアルミニウム基材等を用いることができる。
また、転写用回路3は、アディティブ法やサブトラクティブ法により銅回路等として設けることができ、その厚みは例えば5〜35μmに設定するのが好ましい。また転写用回路3は、金属材1の表面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1と転写用回路3との密着性を高めることができ、転写前に転写用回路3が金属材1から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、エッチングにより行うことができる。このエッチングは、塩化第二鉄又は塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含有する処理液等を用いて行うことができ、特に前記処理液に鉄よりもイオン化傾向が小さい金属として銅イオン等が含有されているものを用いて行うのが好ましい。また、エッチングによる粗化処理後の金属材1の表面粗度Raは0.05〜1.00μmであることが好ましく、金属材1と転写用回路3とのピール密着強度は0.1〜2.0N/cmであることが好ましい。
次に図4(b)に示すように、金属材1の表面及び転写用回路3の全面に金属皮膜2を設けることによって転写用基材4を作製する。ここで、金属皮膜2は、電解めっきや無電解めっきにより銅めっき等として設けたり、又は蒸着により銅皮膜等として設けたりすることができる。銅以外の金属としては、ニッケルやニッケル−銅合金等を例示することができる。そしてこのようにして設けられる金属皮膜2の一部は、最終的にはエッチングにより除去されることになるので、可能な限り薄いものであることが好ましく、具体的には金属皮膜2の厚みは2μm以上転写用回路3の厚み未満であることが好ましい。また金属皮膜2は、金属材1の表面及び転写用回路3の全面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1及び転写用回路3と金属皮膜2との密着性を高めることができ、転写前に金属皮膜2が金属材1及び転写用回路3から剥離したり脱落したりするのを防止することができると共に、転写後に転写用回路3が金属皮膜2から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、転写用回路3を設ける前に行ってもよいし、転写用回路3を設けた後に転写用回路3と共に行ってもよい。また転写用回路3及び金属材1の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。
次に図4(c)に示すように、転写用基材4の金属皮膜2が樹脂層5からはみ出すようにして、転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせて金属皮膜2を介して転写用回路3を樹脂層5に埋め込む。金属材1は後の工程で金属皮膜2から剥離することになるが、金属皮膜2が樹脂層5からはみ出していると、金属皮膜2の端部を樹脂層5側にめくることができるので、金属材1を容易に剥離することができるものである。ここで、樹脂層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成されたプリプレグや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をフィルム状に成形してBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成された接着フィルム等の接着シートを用いることができる。これらの接着シートは必要に応じて複数枚を重ねて使用することができる。また転写用回路3は、所定の型(図示省略)に入れた樹脂層5に転写用基材4を押し付けて金属皮膜2を介して埋め込むようにしてもよい。また樹脂層5の厚みは例えば20〜1000μmに設定することができる。また金属皮膜2は、その表面を粗化処理した後、樹脂層5に貼り合わせるようにするのが好ましい。このようにすると、金属皮膜2と樹脂層5との密着性を高めることができるものである。なお、金属皮膜2の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。また、粗化処理後の金属皮膜2の表面粗度Raは1.0〜4.0μmであることが好ましく、金属皮膜2と樹脂層5とのピール密着強度は、金属材1と金属皮膜2及び転写用回路3とのピール密着強度よりも強いのが好ましく、具体的には4.0N/cm以上であることが好ましい。
その後、図4(c)のように転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせた状態で加熱乾燥させて樹脂層5をBステージ状態からCステージ状態になるまで完全に硬化させてから、図4(d)(e)に示すように、金属材1を撓ませながら剥離する。
そして、樹脂層5に埋め込まれていない金属皮膜2をエッチングにより除去すると、図4(f)に示すようなプリント配線板、特にフラッシュプリント配線板を得ることができるものである。エッチングは、金属皮膜2を物理的に引き剥がして除去するものではなく、化学的に溶解して除去するものであるから、樹脂層5の転写面に損傷を与えないものである。なお、エッチングは、塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチング液等を用いて行うことができる。
このように、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、図4(c)のように金属材1と樹脂層5とは直接貼り合わされていないので、図4(d)のように金属材1を剥離しても樹脂層5の転写面に物理的な損傷が生じないのは明らかであり、また図4(e)(f)のように樹脂層5に貼り合わされた金属皮膜2のうち樹脂層5に埋め込まれていないものは、物理的な引き剥がしにより除去されるのではなく、エッチングにより除去されるので、樹脂層5の転写面が損傷するのを防止することができるものである。なお、転写用回路3の一部、具体的には樹脂層5の表面から突出している部分はエッチングにより除去される。
図5は本発明に係るプリント配線板の製造方法の他の一例を示すものであり、この方法ではまず、図5(a)に示すように、金属材1の表面に転写用回路3を設ける。
ここで、金属材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、厚み0.05mm以上0.3mm未満の平板状のステンレス基材やアルミニウム基材等を用いることができる。
また、転写用回路3は、アディティブ法やサブトラクティブ法により銅回路等として設けることができ、その厚みは例えば5〜35μmに設定するのが好ましい。また転写用回路3は、金属材1の表面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1と転写用回路3との密着性を高めることができ、転写前に転写用回路3が金属材1から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、エッチングにより行うことができる。このエッチングは、塩化第二鉄又は塩化第二鉄及び塩化第一鉄を含有する処理液等を用いて行うことができ、特に前記処理液に鉄よりもイオン化傾向が小さい金属として銅イオン等が含有されているものを用いて行うのが好ましい。また、エッチングによる粗化処理後の金属材1の表面粗度Raは0.05〜1.00μmであることが好ましく、金属材1と転写用回路3とのピール密着強度は0.1〜2.0N/cmであることが好ましい。
次に図5(b)に示すように、金属材1の表面及び転写用回路3の全面に金属皮膜2を設けることによって転写用基材4を作製する。ここで、金属皮膜2は、電解めっきや無電解めっきにより銅めっき等として設けたり、又は蒸着により銅皮膜等として設けたりすることができる。銅以外の金属としては、ニッケルやニッケル−銅合金等を例示することができる。そしてこのようにして設けられる金属皮膜2の一部は、最終的にはエッチングにより除去されることになるので、可能な限り薄いものであることが好ましく、具体的には金属皮膜2の厚みは2μm以上転写用回路3の厚み未満であることが好ましい。また金属皮膜2は、金属材1の表面及び転写用回路3の全面を粗化処理した後、この粗化面に設けるようにするのが好ましい。このようにすると、金属材1及び転写用回路3と金属皮膜2との密着性を高めることができ、転写前に金属皮膜2が金属材1及び転写用回路3から剥離したり脱落したりするのを防止することができると共に、転写後に転写用回路3が金属皮膜2から剥離したり脱落したりするのを防止することができるものである。なお、金属材1の粗化処理は、転写用回路3を設ける前に行ってもよいし、転写用回路3を設けた後に転写用回路3と共に行ってもよい。また転写用回路3及び金属材1の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。
次に図5(c)に示すように、樹脂層5が転写用基材4からはみ出してその側面を覆うようにして、転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせて金属皮膜2を介して転写用回路3を樹脂層5に埋め込む。ここで、樹脂層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成されたプリプレグや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をフィルム状に成形してBステージ状態になるまで加熱乾燥させて形成された接着フィルム等の接着シートを用いることができる。これらの接着シートは必要に応じて複数枚を重ねて使用することができる。また転写用回路3は、所定の型(図示省略)に入れた樹脂層5に転写用基材4を押し付けて金属皮膜2を介して埋め込むようにしてもよい。また樹脂層5の厚みは例えば20〜1000μmに設定することができる。また金属皮膜2は、その表面を粗化処理した後、樹脂層5に貼り合わせるようにするのが好ましい。このようにすると、金属皮膜2と樹脂層5との密着性を高めることができるものである。なお、金属皮膜2の粗化処理は、黒色酸化処理(黒化処理)、サンドブラスト処理、アルカリ−亜塩素酸系黒化処理、ホーニング処理、過酸化水素−硫酸系エッチング処理等により行うことができる。また、粗化処理後の金属皮膜2の表面粗度Raは1.0〜4.0μmであることが好ましく、金属皮膜2と樹脂層5とのピール密着強度は、金属材1と金属皮膜2及び転写用回路3とのピール密着強度よりも強いのが好ましく、具体的には4.0N/cm以上であることが好ましい。
その後、図5(c)のように転写用基材4を樹脂層5に貼り合わせた状態で加熱乾燥させて樹脂層5をBステージ状態からCステージ状態になるまで完全に硬化させてから、図5(d)(e)に示すように、金属材1を撓ませながら剥離する。
そして、樹脂層5に埋め込まれていない金属皮膜2をエッチングにより除去すると共に、樹脂層5の出っ張りを研削や切断等により除去すると、図5(f)に示すようなプリント配線板、特にフラッシュプリント配線板を得ることができるものである。エッチングは、金属皮膜2を物理的に引き剥がして除去するものではなく、化学的に溶解して除去するものであるから、樹脂層5の転写面に損傷を与えないものである。なお、エッチングは、塩化第二鉄エッチング液、塩化第二銅エッチング液、アルカリエッチング液等を用いて行うことができる。
このように、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、図5(c)のように金属材1と樹脂層5とは直接貼り合わされていないので、図5(d)のように金属材1を剥離しても樹脂層5の転写面に物理的な損傷が生じないのは明らかであり、また図5(e)(f)のように樹脂層5に貼り合わされた金属皮膜2のうち樹脂層5に埋め込まれていないものは、物理的な引き剥がしにより除去されるのではなく、エッチングにより除去されるので、樹脂層5の転写面が損傷するのを防止することができるものである。なお、転写用回路3の一部、具体的には樹脂層5の表面から突出している部分はエッチングにより除去される。