JP2001102693A - 極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用基板及びその製造方法 - Google Patents

極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用基板及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法でありながら、極めて薄い銅層を
基材に設けることができ、しかも、この銅層はピンホー
ルがなく、該銅層にファインパターンを形成することが
できる極めて実用性に秀れた技術を提供するものであ
る。 【解決手段】 極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント
配線板用基板Aであって、厚さ1〜5μmの極薄銅箔1
とフィルム2とが接着剤層3を介して貼合されているも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極薄銅箔を用いた
フレキシブルプリント配線板用基板及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】樹脂フ
ィルムなどの基材に印刷回路付きの銅層が設けられて成
るフレキシブルプリント配線板用基板(以下、FPCと
いう。)は、エレクトロニクス製品のコンパクト化に伴
って高密度化の要望が年々高まってきており、特に印刷
回路を微細且つファインパターンとする為、ピンホール
の無い極薄銅箔を銅層として用いたFPCが求められて
いる。
【0003】ところで、基材に銅層を設ける方法は種々
あるが、下記の通り従来法では様々な問題点が発生する
為、屈曲性や摺動性を高める為に銅層として厚さ5μm
以下の極薄銅箔が採用されたFPCを製造することがで
きなかった。
【0004】 ラミネート方式、即ち、基材に接着剤
層を介して銅箔を貼合(ラミネート)する方法では、厚
さ9μm未満の銅箔を使用すると、銅箔が薄い為、取り
扱いが困難となり、貼合時に銅箔にシワが発生してしま
うなど、銅箔の貼合を均一に行うことができない。
【0005】 エッチング方式、即ち、基材に厚さ9
μm以上の銅箔を貼合し、この銅箔をSUEP法などの
エッチング方法によりゆっくりと削って厚さ7μm未満
の銅層を形成する方法では、エッチング液の液成分管理
や温度管理や時間管理などを厳密に行う必要があり、均
一なエッチングが厄介である。また、エッチングが不均
一であると銅層にピンホールが発生し易く、通電不良な
どの印刷回路不良のおそれが高い。更に、このようなエ
ッチング方法では、製造コストが高いという問題点もあ
る。
【0006】 ラミネート方式の一種として、厚さ5
μm程度の極薄銅箔にキャリア材としてアルミニウムを
張り合わせた貼合部材を使用し、この貼合部材を基材に
貼合した後、アルミニウムをエッチングして除去するこ
とにより、基材に厚さ5μm程度の極薄銅箔を設ける方
法もあるが、この場合、必須となるアルミニウムのエッ
チングが厄介である。
【0007】 アディティブ方式、即ち、基材上にス
パッタリングや無電解メッキや蒸着などの方法で1μm
以下程度の極薄い銅層を設け、この銅層上に更に電解メ
ッキにより銅を付着せしめて極薄銅層を設ける方法で
は、スパッタリングや無電解メッキや蒸着などを行う為
に基材に特殊な前処理が必要で製造コストが極めて高く
なってしまう。また、メッキ厚(銅層厚)のコントロー
ルが難しく、更に、基材と銅層との接着力が低いという
欠点もある。また、スパッタリングや蒸着を行う場合、
大型真空装置が必要となる。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するもので、
簡単な方法でありながら、極めて薄い銅層を基材に設け
ることができ、しかも、この銅層はピンホールがなく、
該銅層にファインパターンを形成することができる極め
て実用性に秀れた技術を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。
【0010】極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配
線板用基板Aであって、厚さ1〜5μmの極薄銅箔1と
フィルム2とが接着剤層3を介して貼合されていること
を特徴とする極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配
線板用基板に係るものである。
【0011】また、極薄銅箔を用いたフレキシブルプリ
ント配線板用基板Aの製造方法であって、支持材4に剥
離層5を介して厚さ1〜5μmの極薄銅箔1が設けられ
た貼合部材6を用意し、一方、接着剤層3が設けられた
フィルム2を用意し、続いて、この接着剤層3上に前記
極薄銅箔1を当接させるよう前記貼合部材6を重合して
該接着剤層3上に極薄銅箔1を接着し、続いて、極薄銅
箔1上から支持材4を剥離して、厚さ1〜5μmの極薄
銅箔1とフィルム2とが接着剤層3を介して貼合されて
いるフレキシブルプリント配線板用基板Aを得ることを
特徴とする極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線
板用基板の製造方法に係るものである。また、請求項2
記載の極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用
基板の製造方法において、支持材4として金属箔4が採
用されていることを特徴とする極薄銅箔を用いたフレキ
シブルプリント配線板用基板の製造方法に係るものであ
る。
【0012】また、請求項3記載の極薄銅箔を用いたフ
レキシブルプリント配線板用基板の製造方法において、
金属箔4として厚さ35〜70μmの銅箔が採用されて
いることを特徴とする極薄銅箔を用いたフレキシブルプ
リント配線板用基板の製造方法係るものである。
【0013】
【発明の作用及び効果】本発明のフレキシブルプリント
配線用基板Aは、厚さ1〜5μmの極薄銅箔1をフィル
ム2上に貼合したものであり、該極薄銅箔1が厚さ1〜
5μmと極めて薄い為にピンホールがなく、よって、該
極薄銅箔1にエッチング処理などを施してァインな印刷
回路を形成することができる。
【0014】また、極薄銅箔1が厚さ1〜5μmと極め
て薄い為、変形に対応し易くなり、繰り返し屈曲性や摺
動性が高まり、フレキシブルプリント配線用基板Aとし
て秀れた特性を発揮することになる。
【0015】また、この厚さ1〜5μmの極薄銅箔1
は、該極薄銅箔1を支持材4に剥離層5を介して設けた
貼合部材6を用意し、この貼合部材6をフィルム2に接
着し、続いて、支持材4を剥がすという方法により、簡
単にフィルム2上に設けることができる。
【0016】本発明は上述のようにするから、簡単な方
法でありながら極めて薄い銅箔をフィルムに設けること
ができ、しかも、銅箔が薄い為ピンホールがなく、該銅
箔にファインな印刷回路を形成することができ、更に、
銅箔が薄い為、繰り返し摺動性や屈曲性にも秀れた特性
を有する極めて実用性に秀れた極薄銅箔を用いたフレキ
シブルプリント配線板用基板及びその製造方法となる。
【0017】
【発明の実施の形態】図面は本発明の一実施例を図示し
たものであり、以下に説明する。
【0018】本実施例は、厚さ1乃至5μmの極薄銅箔
1とフィルム2とが接着剤層3を介して貼合されている
極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用基板A
に係るものである。
【0019】このフレキシブルプリント配線板用基板A
は以下の方法により製造される。
【0020】極薄銅箔1はシワになり易いなど取り扱い
が厄介な為、該極薄銅箔1を金属箔4に剥離層5を介し
て設けた貼合部材6の状態で取り扱う。
【0021】本実施例では、貼合部材6としてMicr
oThin(商品名、三井金属鉱業(株)製)を採用し
た。
【0022】このMicroThinは、金属箔4とし
て厚さ35乃至70μmの銅箔が採用されており、この
金属箔4には厚さ数10オングストロームの剥離層5が
設けられ、この剥離層5には厚さ1乃至5μmの極薄銅
箔1が設けられ、この極薄銅箔1の接着剤層3と当接す
る側にはアンカー処理が施されている。
【0023】尚、極薄銅箔1は、微細且つファインな印
刷回路を形成する為には、厚さ3μmの極薄銅箔1を採
用することが望ましい。
【0024】一方、フィルム2に接着剤層3を設ける。
【0025】フィルム2としては、公知のフレキシブル
プリント配線板用基板に採用されているフィルムを使用
すれば良いが、本実施例では秀れた繰り返し屈曲性や摺
動性を発揮させる為、ポリイミドフィルムを採用した。
【0026】接着剤層3を形成する接着剤としては、ラ
ミネート方式などの公知のフレキシブルプリント配線板
用基板の製造の際に採用されている接着剤を使用すれば
良いが、本実施例ではエポキシ・ニトリルゴム系の接着
剤を採用した。
【0027】続いて、上面に接着剤層3が設けられたフ
ィルム2上に、前記極薄銅箔1を当接させるよう前記貼
合部材6を重合する。
【0028】続いて、加熱等の適宜な手段により接着剤
層3を硬化させてフィルム2上に接着剤層3を介して極
薄銅箔1を接着する。
【0029】続いて、極薄銅箔1から前記金属箔4を剥
離することにより、厚さ1〜5μmの極薄銅箔1とフィ
ルム2とが接着剤層3を介して貼合されている極薄銅箔
を用いたフレキシブルプリント配線板用基板Aを得る。
【0030】以下、本実施例の効果を確認した実験結果
について詳述する。
【0031】実施例 厚さ12.5μmのポリイミドフィルム(東レデュポン
製品、商品名:カプトン)の片面に接着剤(エポキシ・
ニトリルゴム系)を乾燥後10μmとなるように塗布し
て接着剤層3を形成し、続いて、該接着剤層3上に、M
icroThin(極薄銅箔1の厚さ3μm、銅箔4の
厚さ35μm)を加熱ロール方式を用いて連続的にラミ
ネートし、接着剤層3の硬化後、銅箔4を剥離してフレ
キシブルプリント配線板用基板Aを得た。
【0032】比較例1 前記実施例と同様の方法により、厚さ9μm銅箔が設け
られたフレキシブルプリント配線板用基板を得た。
【0033】比較例2 比較例1により得られたフレキシブルプリント配線板用
基板の銅箔をSUEP法によりエッチングして削り、厚
さ4μmの極薄銅箔が設けられたフレキシブルプリント
配線板用基板を得た。
【0034】実験方法1(摺動屈曲特性) 極薄銅箔1層にJIS C 6471の回路パターンを
作成し、この極薄銅箔1層が外側となるように、曲率
2.5mmR、1500往復/分、ストローク15m
m、室温で繰り返し屈曲を行い(試験機は、信越エンジ
ニアリング製 SEK−31B4Sを使用。)、回路の
抵抗値が20%上昇する回数を測定した。
【0035】実験方法2(ピンホールの有無) 暗室でポリイミドフィルム面より光を当て、40倍の拡
大鏡によりピンホールの有無を観察した。
【0036】実験結果を下記表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】この実験結果から、本実施例は、繰り返し
屈曲性及び摺動性に秀れ、且つ、ピンホールもなく、フ
レキシブルプリント配線板用基板として秀れた特性を発
揮することが判明した。
【0039】実施例と比較例1との摺動回数の差は、回
路を形成する銅箔の厚さの差に起因するものと考えられ
る。
【0040】また、比較例1の摺動回数が非常に少ない
のは、エッチングの際に銅箔が不均一に削られたからで
はないかと考えられる。更に、銅箔が不均一に削られた
ことによってピンホールが発生したのではないかと考え
られる。
【0041】尚、比較例3として厚さ7μmの極薄銅箔
をフィルムに貼合(ラミネート)する方法も試みたが、
この方法では貼合が極めて厄介で極薄銅箔にシワが発生
してしまい、その後の回路形成に支障が生じるなど、実
用性に乏しいフレキシブルプリント配線板用基板が得ら
れた。
【0042】本実施例は上述のように構成したから、ピ
ンホールが存在せず、繰り返し屈曲性や摺動性に秀れた
実用性に秀れたフレキシブルプリント配線板用基板とな
る。また、極薄銅箔1は貼合部材6の状態で取り扱うか
ら、該極薄銅箔1を良好にフィルム2に貼合することが
できる実用性,生産性に秀れたフレキシブルプリント配
線板用基板の製造方法となる。
【0043】また、極薄銅箔1は単にフィルム2に貼合
されただけであるから、従来のようにエッチングを必要
とする方法と違い、該極薄銅箔1にピンホールが発生し
たりするおそれがなく、微細且つファインな印刷回路を
良好に形成することができる実用性,生産性に秀れたフ
レキシブルプリント配線板用基板の製造方法となる。ま
た、フィルム2に貼合部材6を重合する工程は、従来の
ラミネート方式と同様の工程であるから、既存の製造装
置を使用して該重合を行うことができる実用性,生産性
に秀れたフレキシブルプリント配線板用基板の製造方法
となる。
【0044】また、フィルム2に貼合部材6を重合した
後、該フィルム2上に極薄銅箔1のみを残す工程は、貼
合部材6の金属箔4を剥離するだけで良いから、それだ
け生産性に秀れたフレキシブルプリント配線板用基板の
製造方法となる。
【0045】尚、図面はフィルム2の片面に極薄銅箔1
を設ける場合を図示したが、フィルム2の両面に極薄銅
箔1を設ける場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の説明図である。
【図2】本実施例の説明図である。
【図3】本実施例のフレキシブルプリント配線板用基板
Aの説明図である。
【符号の説明】
A フレキシブルプリント配線板用基板 1 極薄銅箔 2 フィルム 3 接着剤層 4 金属箔 5 剥離層 6 貼合部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E351 AA01 AA16 BB01 BB24 BB30 DD04 DD54 GG01 4F100 AB17A AB33A AK01B AK27G AK49 AK49B AK53G AN02G BA02 CB00 EC182 EH012 EJ19 GB43 JA20A JK04 JK14 JK16 JL02 JM02A YY00A 5E338 AA12 AA16 AA18 BB75 CC01 EE23 EE24 EE31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント
    配線板用基板であって、厚さ1〜5μmの極薄銅箔とフ
    ィルムとが接着剤層を介して貼合されていることを特徴
    とする極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用
    基板。
  2. 【請求項2】 極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント
    配線板用基板の製造方法であって、支持材に剥離層を介
    して厚さ1〜5μmの極薄銅箔が設けられた貼合部材を
    用意し、一方、接着剤層が設けられたフィルムを用意
    し、続いて、この接着剤層上に前記極薄銅箔を当接させ
    るよう前記貼合部材を重合して該接着剤層上に極薄銅箔
    を接着し、続いて、極薄銅箔上から支持材を剥離して、
    厚さ1〜5μmの極薄銅箔とフィルムとが接着剤層を介
    して貼合されているフレキシブルプリント配線板用基板
    を得ることを特徴とする極薄銅箔を用いたフレキシブル
    プリント配線板用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の極薄銅箔を用いたフレキ
    シブルプリント配線板用基板の製造方法において、支持
    材として金属箔が採用されていることを特徴とする極薄
    銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板用基板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の極薄銅箔を用いたフレキ
    シブルプリント配線板用基板の製造方法において、金属
    箔として厚さ35〜70μmの銅箔が採用されているこ
    とを特徴とする極薄銅箔を用いたフレキシブルプリント
    配線板用基板の製造方法。
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