JP2010079257A - 反射型投影光学装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料面に向けられた凹面鏡M2と該凹面鏡に対向して配置された凸面鏡M1とを組み合わせてなる対物光学系に、結像倍率を増大させるための付加光学系M3,M4を結合して構成されている。
【選択図】図1
Description
また、顕微鏡では、投影光学装置は、照明光学装置により所望の条件で照明された観察物体の拡大像を像面上に得るように構成される。そして、像面上の拡大像は、適切に構成されたマイクロチャンネルプレート、写真フィルム、写真乾板、ズーミング管、またはCCDセンサのような光電検出器等を用いて観測される。
Δ=0.61λ/NA (1)
で規定される回折による像のボケΔが低減され、10nmから100nm程度の高い空間
分解能が期待できる。ここで、NAは投影光学系の開口数を表す。
この波長域で動作する従来の典型的な顕微鏡の概念図を図12に示す。図に示すように、光源(例えば、レーザー生成プラズマ)からの光を照明光学系を介して試料に照射し、その透過光をシュワルツシルト光学系で拡大して、像を2次元検出器(例えば、CCDカメラ)上に結像させ、試料の透過像を観察する。
このため、10nm程度の高分解能観察時には、2次元検出器として、写真乾板や電子レンズを用いたズーミング管が用いられてきた。しかし、これらの検出器は、空間分解能は高いものの、写真乾板では静止画の観察に限られ、また、電子レンズは集光効率が低く暗い像しか得られないなど、CCDを2次元検出器に用いた場合に比べると、実用上の欠点が存在した。
軟X線用顕微鏡の典型例として、文献:M. Toyoda: Jpn. J. Appl. Phys. 39 1926を参照すると、拡大光学系(シュワルツシルトミラー)の仕様は、
動作波長 λ=13 nm
開口数 NA=0.25
焦点距離 f=19.3 mm
であり、この場合、画素サイズ13μmの典型的な背面照射型CCD(http://www.cornes-dodwell.co.jp/product/p c/back ill ccd.html参照)で、前記(1)式のレーリー条件で決まる回折限界での空間分解能約32nmの解像を可能にするには、少なくとも800倍ないし1000倍程度の結像倍率が拡大光学系に求められる。
1/a + 1/b = 1/f (2)
が成り立つ。このとき光学系の結像倍率mは、
m = a/b (3)
と表すことができるから、上記式(2)及び(3)を用いると、光学系の全長(物体と像間の距離)Lには
L = a + b =[(1+m)2/m ]×f (4)
の関係が成り立つ。本発明が意図する高倍率系では、m>>1であるから、上記(4)式は、近似的に
と変形することができる。つまり、光学系の全長は、焦点距離と拡大倍率の積となる。
通常の実験室環境で設置できる実用的な顕微鏡を実現するには、上記(5)式から明らかなように、焦点距離を短くする必要がある。実用的な仕様としては、全長1m、結像倍率1000倍とすると、f=1mm程度の短い焦点距離を実現する必要がある。
図1は本発明の第1実施例を示す。本実施例は、光学系の短焦点化を図るため、凸面鏡M1と中心部に開口を有する凹面鏡M2とを対向配置させてなる主光学系である従来型のシュワルツシルト光学系の後段に、中心部に開口を有する凹面鏡M3と凸面鏡M4とを対向配置させてなる角倍率γのアフォーカル光学系(ガリレオ式の望遠鏡)を付加して構成されている。このとき、全系の焦点距離f'は、f' = f/γとなり、付加したアフォーカル光学系の角倍率を10乃至50倍程度に選ぶことにより、高倍率対物鏡に好適な光学系を構成することができる。本実施例では、動作波長λ=13 nm、開口数NA=0.25の条件下で発生する諸収差を補正し、マレシャル(Marechal)の条件を満たす回折限界結像が可能である。
なお、本実施例では、焦点距離f' =0.963mmの拡大光学系を構成し、付加光学系は、メリジオナル面内に15mm並進して配置し、凹面鏡M2を非球面とすることで、収差と瞳の遮光を同時に低減させることができる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 706.000000
1 ∞ 250.000000
2 ∞ -70.000000
3 21.05263 -200.000000 反射面
4(非球面)421.05263 200.000000 反射面
K=-0.948238
A=0.000000×10+0 B=0.000000×10+0 C=0.000000×10+0
D=0.000000×10+0
5 ∞ 70.000000
XDE=0.000000 YDE=15.000000 ZDE=0.000000
絞り面 24.28500 -41.473346 反射面
7 65.93500 85.604737 反射面
像 面 ∞ 0.000000
X=(y2/r)/[1 +{1 − (1+K)(y/r)2}1/2]+Ay4+By6+Cy8+Dy10+‥‥
これらは、以下の各実施例においても共通に用いられる。
図2は本発明の第2実施例を示す。本実施例は、実施例1の変形例であり、主光学系と付加光学系の凸面鏡を一致させることで、系を構成する反射鏡の数を4個から3個に削減することができ、簡便且つ安価に投影光学系を構成することができる。本実施例では、光軸上の物点は付加光学系による瞳の遮光により観察することができないものの、図に示すように、軸外物点に対しては、付加光学系に起因する遮光を無くすことができる。市販の光線追跡ソフトを用いて、前述の条件でストレール強度を計算したところ、像面での像高30mmから80mmのドーナツ状の領域で付加光学系による遮光を発生させずに、マレシャル条件を満たす回折限界結像が可能であることが分った。また、付加光学系による偏心収差が発生しないため、付加する凹面鏡M3を作成が容易な球面鏡としても、良好な結像特性を実現することができる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 987.671500
1 24.69519 -234.603948 反射面
2 493.90300 234.603948 反射面
3 24.69519 -39.951443 反射面
4 ∞ 0.022775
絞り面 64.64511 84.682127 反射面
像 面 ∞ 0.000000
図3は本発明の第3実施例を示す。本実施例は、特開2006−267633号の図21に示された如き、試料面を挟んで対向配置された一対の非球面凹面鏡M5, M6を組み合わせてなる合わせ鏡式対物鏡を主光学系とし、その後段に凹面鏡M3と凸面鏡M4からなるガリレオ式の望遠鏡を付加し、焦点距離f'=1.085mmの拡大光学系を構成した。2つの非球面凹面鏡M5とM6で構成した合わせ鏡式対物鏡は、シュワルツシルトミラーと比べ、ミラーのアライメント誤差による分解能の劣化を大幅に緩和させることができる。そのため、本実施例では、温度変化や振動等の外乱下でも、10nmオーダーの回折限界分解能と1000倍程度の結像倍率を両立し、安定した結像特性が得られる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 950.000000
1 ∞ 250.000000
2 ∞ -70.000000
3 21.05263 -200.000000 反射面
4(非球面) 421.05263 200.000000 反射面
K=-0.959507
A=0.000000×10+0 B=0.000000×10+0 C=0.000000×10+0
D=0.000000×10+0
5 ∞ 150.000000
XDE=0.000000 YDE=15.000000 ZDE=0.000000
6(非球面) -49.05263 -112.008041 反射面
K=0.000000
A=-.128203×10-5 B=-.155222×10-8 C=-.786717×10-13
D=0.000000×10+0
絞り面 81.40024 76.320283 反射面
(非球面)
K=0.000000
A=-.161009×10-7 B=-.262860×10-11 C=-.281091×10-15
D=0.000000×10+0
像 面 ∞ 0.000000
図4は本発明の第4実施例を示す。本実施例は、光学系の短焦点化を図るため、2つの反射面で構成される結像倍率mの主光学系の像面近傍に1つの反射面からなる焦点距離f2の反射鏡M7を付加したものである。この場合、全系の焦点距離f'はf'=f 2/mとなり、高倍率対物鏡に好適な短焦点光学系を3つの反射鏡により構成することができる。なお、本実施例では、前述の実施例と同様に、動作波長λ=13nm、開口数NA=0.25の条件下で発生する諸収差を補正し、マレシャルの条件を満たす回折限界結像は可能である。
本実施例では、結像倍率m=−50のシュワルツシルトミラーを主光学系とし、その後段に焦点距離f 2=19.2mmの凹面鏡M7を付加し、全系の焦点距離f'をf'=0.385mmとした。これにより、全長(物体面と付加凹面鏡7の頂点間の距離)約1mで2000倍を超える拡大倍率を実現することができる。本実施例では、光軸の物点は検出器による遮光のため観察できないものの、図に示すように、軸外物点に対しては遮光を生じることなく検出器を配置することができる。市販の光線追跡ソフトを用いて上述の条件でストレール強度を計算したところ、像面での像高30mmから240mmのドーナツ状の領域でマレシャルの条件を満たす回折限界結像が可能であることが分った。また、本実施例は、全て球面鏡で構成できるため、反射鏡の作成が容易であるという利点がある。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.000000
1 ∞ -900.000000
2 38.44675 19.682000 反射面
3 ∞ 956.106400
4 24.28573 -41.627000 反射面
絞り面 65.93504 85.599680 反射面
像 面 ∞ 0.000000
図5は本発明の第5実施例を示す。本実施例は、特開2006−267633号の図21に示された如き、試料面を挟んで対向配置された一対の非球面凹面鏡M5、M6を組み合わせてなる合わせ鏡式対物鏡を主光学系とし、その後段にf 2=19.2mmの凹面鏡7を付加し、全系の焦点距離f'をf'=0.384mmとした。これにより、全長(物体面と凹面鏡7の頂点間の距離)約1mで2000倍を超える拡大倍率を実現できる。本実施例も、上述の実施例と同様に、光軸上の物点は検出器による遮光のため観察できないが、図に示すように、軸外物点に対しては、遮光を生じることなく検出器を配置することができる。市販の光線追跡ソフトを用いて上述の条件でストレール強度を計算したところ、像面での像高30mmから110mmのドーナツ状の領域でマレシャルの条件を満たす回折限界結像が可能であることが分った。また、本実施例で用いる合わせ鏡対物鏡は、シュワルツシルトミラーに比べ、ミラーのアライメント誤差による分解能の劣化を大幅に緩和することができる。そのため、本実施例は、温度変化や振動等の外乱下でも、10nmオーダーの回折限界分解能と2000倍を超える結像倍率を両立させることができ、安定した結像性能が得られる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.000000
1 ∞ -900.000000
2 38.44680 19.682000 反射面
3 ∞ 1041.670000
4(非球面)-49.60405 -115.740000 反射面
K=0.000000
A=-.128203×10-5 B=-.155222×10-8 C=-.786717×10-13
D=0.000000×10+0
絞り面 81.40024 74.075123 反射面
(非球面)
K=0.000000
A=-.161009×10-7 B=-.262860×10-11 C=-.281091×10-15
D=0.000000×10+0
像 面 ∞ 0.000000
図6は本発明の第6実施例を示す。本実施例は、実質上、図4に示した第4実施例と同等な凹・凸・凹の三つの球面鏡からなる拡大光学系の後段に凹面鏡M8を付加した点で、第6実施例と異なる。本実施例は、付加した凹面鏡M8により射出瞳を略無限遠に投影することができ、その結果、像側でのフレネル数を略∞(N >>1000)とすることが可能となる。これにより、結像系はアイソプラナチックとなり、物体―像間の結像特性をフーリエ結像論により記述することが可能となる。本実施例では、光軸上の物体は凹面鏡M7による遮光のため観察することができないものの、図示のように軸外物点に対しては遮光を生じることなく拡大像を観察することができる。市販の光線追跡ソフトを用い、作動波長λ=13.4nm、開口数NA=0.25の条件でストレール強度を計算したところ、像高約10mm〜100mmのドーナツ状の領域でマレシャルの条件を満たす回折限界結像が可能であることが分かった。
本実施例では、付加した凹面鏡M8により主光線を光軸と平行にし、射出瞳を無限遠に投影した。しかし、射出瞳の位置は必ずしも無限遠にする必要はなく、レーリー条件Δ=
0.61λ/NA (Δはボケ、λは波長、NAは投影光学系の開口数)で定義されるフレネル数Nが大きく(例えば、N>10)なる条件下で射出瞳の位置を設定してもよい。この場合、光学系の全長を実用的な値とするには、付加した凹面鏡M8の曲率半径は、400mm〜4000mmとすることが望ましい。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.0000
1 ∞ 500.0000
2 -910.27425 -467.5000 反射面
3 24.28573 666.0000 反射面
4 ∞ 0.0000
5 24.28573 -41.7000 反射面
絞り面 65.93504 85.5898 反射面
像 面 ∞ 0.0000
図7は本発明の第7実施例を示す。本実施例は、図5に示した第5実施例と略同等な二面凹非球面鏡(合わせ鏡対物鏡)と凹球面鏡M7からなる三面拡大光学系の後段に、もう一つの凹面鏡M8を付加して、四面反射光学系としたものである。付加した凹面鏡M8により射出瞳を略無限遠に投影することができ、その結果、像側でのフレネル数を略∞(N>>1000)とすることが可能となった。これにより、結像系はアイソプラナチックとなり、物体―像間の結像特性を、フーリエ結像論により記述することが可能となる。本実施例では、光軸上の物体は凹面鏡による遮光により拡大像を観察することができないものの、図示のように軸外物点に対しては遮光を生じることなく拡大像を観察することができる。市販の光線追跡ソフトを用いて上述の条件でストレール強度を計算したところ、像高約10mm〜60mmのドーナツ状の領域でマレシャルの条件を満たす回折限界結像が可能であることが分かった。
本実施例では、付加した凹面鏡M8により主光線を光軸と平行にし、射出瞳を無限遠に投影した。しかし、射出瞳の位置は必ずしも無限遠とする必要はなく、レーリー条件Δ=
0.61λ/NA (Δはボケ、λは波長、NAは投影光学系の開口数)で定義されるフレネル数Nが十分に大きく(例えば、N > 10)なる条件下で射出瞳の位置を設定してもよい。この場合、光学系の全長を実用的な値とするには、付加した凹面鏡M8の曲率半径は、400mm〜4000mmとすることが望ましい。
また、本実施例で用いた合わせ鏡式対物鏡は、従来の球面対物鏡(例えば、シュワルツシルトミラー)に比べ、反射鏡の設置誤差に起因する分解能の劣化を大幅に緩和することができる。このため、本実施例では、温度変化や振動等の外乱の下でも安定した結像特性が得られる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.0000
1 ∞ 500.0000
2 -910.00000 -467.35000 反射面
3 24.28600 0.00000 反射面
4 ∞ 740.31290
5(非球面) -49.60405 -115.74000 反射面
K=0.000000
A=-.122090×10-5 B=-.151903×10-8 C=-.359035×10-12
絞り面(非球面) 81.40024 74.25741 反射面
K=0.000000
A=-.160848×10-7 B=-.26350×10-11 C=-.311562×10-15
像 面 ∞ 0.0000
図8は本発明の第8実施例を示す。本実施例は、第7実施例における凹球面鏡M7を、略曲率半径の等しい凸球面鏡M9に置き換えたものである。これにより、全て凹面鏡で構成した第7実施例と比べ全系のペッツバール和が低減でき、より広い視野を得ることができる。本実施例では、光軸上の物体は凹面鏡による遮光により観察できないものの、図に示すように、軸外物点に対しては遮光することなくその拡大像を観察することができる。市販の光線追跡ソフトを用いて、作動波長λ=13.4nm、開口数NA=0.25の条件でストレール強度を計算したところ、像高約10mm〜66mmのドーナツ状の領域でマレシャルの条件を満たす回折限界結像が可能であることが分かった。
本実施例では、付加した凹面鏡M8により主光線を光軸と平行にし、射出瞳を無限遠に投影した。しかし、射出瞳の位置は必ずしも無限遠とする必要はなく、レーリー条件Δ=
0.61λ/NA (Δはボケ、λは波長、NAは投影光学系の開口数)で定義されるフレネル数Nが十分に大きく(例えば、N > 10)なる条件下で射出瞳の位置を設定してもよい。この場合、光学系の全長を実用的な値とするには、付加した凹面鏡M8の曲率半径は、400mm〜4000mmとすることが望ましい。
また、本実施例で用いた合わせ鏡式対物鏡は、従来の球面対物鏡(例えば、シュワルツシルトミラー)に比べ、反射鏡の設置誤差に起因する分解能の劣化を大幅に緩和することができる。このため、本実施例では、温度変化や振動等の外乱の下でも安定した結像特性が得られる。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.0000
1 ∞ 500.0000
2 -910.00000 -442.85700 反射面
3 - 24.28600 0.00000 反射面
4 ∞ 740.31290
5(非球面) -49.60405 -115.74000 反射面
K=0.000000
A=-.122589×10-5 B=-.160898×10-8 C=-.170865×10-11
絞り面(非球面) 81.40024 74.23758 反射面
K=0.000000
A=-.160996×10-7 B=-.259233×10-11 C=-.357902×10-15
像 面 ∞ 0.0000
図9は本発明の第9実施例を示す。本実施例は、上述の各実施例に好適な、試料上の照度均一性に優れた照明光学系を提供するもので、照明光学系の結像倍率を従来の1/4程度から等倍に増大させることにより、より広い試料面積を照明することができ、照度均一性の向上が期待できる。なお、本実施例では、光源に直径0.5mm程度のレーザープラズマ光源を想定し、また、同時に使用する投影光学系の開口数はNA=0.25としている。
本実施例では、等倍の照明系を実現するため、同一の曲率半径を持つ2つの凹面鏡M10及びM11を向かい合わせに配置している。これにより、投影光学系の開口数と一致した照明光を生成することができる。
なお、本実施例では、凹面鏡に作成の容易な球面鏡を用いたが、開口数の増加による試料面上での収差が問題となる場合には、凹面鏡を放物面鏡としても良い。
面番号 曲率半径 面間隔 硝材
物体面 ∞ 0.000000
1 ∞ 200.000000
絞り面 -400.00000 -120.000000 反射面
3 400.00000 198.006599 反射面
像 面 ∞ 0.000000
Δ=0.61λ/NA (1)
で規定される回折による像のボケΔが低減され、10nm〜100nm程度の高い空間分
解能が期待できる。ここで、NAは投影光学系の開口数を表す。典型的な設計例(M. Toyoda: Jpn. J. Appl. Phys. 39 1926.参照)として、λ=13nm、NA=0.25の条件では、上記(1)式より顕微鏡で得られる最良分解能は32nmとなる。この波長域では、結像面上の二次元検出器として、量子効率が高く実時間読み出しが可能な背面照射型CCDが広く用いられる。http://www.cornes-dodwell.co.jp/product/p c/back ill ccd.htmlによれば、前記CCDの最小ピクセル径は10μm程度であり、この場合、上記(1)式で決まる回折限界での空間分解能約32nmの解像を可能とするには、少なくとも800乃至1000倍程度の結像倍率が拡大光学系に求められる。
W <λ/14 (6)
を満足する必要がある。例えば、波長λ=13nmで回折限界分解能を実現するには、光学系に許容される波面収差Wは1nm以下となる。この種光学系で発生する波面収差は大きく分けて、光学設計に起因するもの、反射鏡の形状誤差に起因するもの、及び反射鏡の設置誤差(ミスアライメント)に起因するものである。この種光学系を作製容易な球面鏡のみで構成した場合には、反射鏡の設置誤差に起因する波面収差が著しく大きくなることが知られている(Y. Horikawa: Proc. SPIE 1720 217 参照)。
図19において、1は軟X線を発生する周知のレーザー生成プラズマ光源、2は図9に示した如き構成の照明光学系、3は球面波生成用のピンホール3Aと透過像観測用試料ホルダー3Bを照明光学系2の集光点位置に二者択一的に挿脱可能で且つピンホール3A及び試料ホルダー3Bを三次元方向に移動せしめ得るように支持した周知構造の試料ステージ3Cを含む試料ユニット、4は望ましくは図6乃至8に示した如く試料面に向けられた凹面鏡4Aと該凹面鏡に対向して配置された凸面鏡4Bとから構成され且つ結像倍率を増大させるため対向配置された一対の凹面鏡4C,4Dを組み合わせてなるアフォーカル反射光学系を付加したフレネル数の増大が可能な高倍率対物鏡、5は高倍率対物鏡の結像位置に配置されたCCD等の撮像素子5Aと該撮像素子に接続されていて該撮像素子上に結像した軟X線像を読み出すことのできる読み出し及び演算用のパーソナルコンピュータ5Bを含む二次元検出器ユニット、6は凹面鏡4Aを三次元方向に移動せしめ得るように支持した反射鏡ステージである。この場合、コンピュータ5Bを除く各構成要素は真空槽7内に収納されている。試料ステージ3Cは精密調整用モータ等を用いて外部から遠隔操作できるように構成されており、また、反射鏡ステージ6も試料ステージ3Cと同様に構成されていてコンピュータ5Bのキー操作により反射鏡4Aを三次元方向へ移動し得るようになっている。
φ < λ/NA (7)
の関係を満たすように作製される。ここで、λは波長、NAは対物鏡の物体側の開口数である。使用される高倍率対物鏡4はフレネル数が十分大きく、その結像特性は平面波展開を基とするフーリエ結像論により表現することができる。特に、上記式(7)を満足する微小ピンホールが像面上に作る点像強度分布I(y, z)は、対物鏡で生じる波面収差をW(ξ, η)とすると次式に示すフラウンホーファー(Fraunhofer)の回折積分で表現することができる。
I(y, z) = C|∬ W(ξ, η) exp[-ik(yξ+zη)]dξdη|2 (8)
ここで、Cは定数を示し、(y, z)及び(ξ, η)はそれぞれ像面座標及び瞳座標を示す。上記式(8)から明らかなように、対物鏡のフレネル数Nを増大させることができる(例えば、N >100)本例では、点像強度分布Iは波面収差Wをフーリエ変換することにより、簡便に計算することができる。このため、像面上の点像強度分布Iの実測値を基に、ゲルヒベルク-ザクストン(Gerchberg-Saxton)アルゴリズム等の位相回復手法により波面収差Wを推定することができる(例えば、J. Maeda: App. Opt. 20 274参照)。
手順1: 試料ステージ3Cを駆動して、ピンホール3Aを視野内に導入する。
手順2: 軟X線光源1を発光させ、ピンホールの二次元像を撮像素子5Aで受像
する。
手順3: 撮像素子5Aで生じた電荷をコンピュータ5Bに転送しA/D変換して、
定量化した二次元強度分布Iを得る。
手順4: 手順3で得た二次元強度分布Iをゲルヒベルク-ザクストンアルゴリズム により解析し、対物鏡4で生じた波面収差Wを得る。
手順5: 試料ステージ3Cを駆動して、観察用試料3Bを視野内に導入する。
手順1: 波面収差Wをゼルニケ(Zernike)直交多項式に展開する。
手順2: 得られたゼルニケ係数を基に、反射鏡ステージ6の駆動量をコンピュータ
5Bにより計算する。一般に直入射型の軟X線顕微鏡では、反射鏡の設置 誤差により発生する波面収差の大部分は、軸上コマ収差と球面収差である が、これらの収差項は、例えば、渋谷真人、大木裕史「回折と結像の光学 」(朝倉)3.3章に記載のフリンジ・ゼルニケ(FRINGE Zernike)多項 式を用い、コマ収差は(Z7,Z8)で、球面収差はZ9で表現でき、こ れらの収差係数を用いて、ステージ6の駆動量は次式で算出することがで きる。
ここで、x,y,zはステージ6の三軸についてのそれぞれの駆動量、z 7,z8,z9はコマ収差及び球面収差の収差係数、Aは3×3の正方行 列で、対物鏡の設計値を基にステージ6に連結された反射鏡4Aに設置誤 差が生じた場合に発生する収差の計算値より算出することができる。
手順4: 得られた駆動量を基に、コンピュータ5Bのキーを操作して反射鏡ステー ジ6を駆動する。
手順5: 前記の波面計測により、対物鏡4で生じる波面収差を求める。
手順6: 波面収差Wの値が許容値以下であれば終了。そうでなければ手順2に戻る 。波面収差の許容値は、例えばマレシャルの条件を基に算出する。
ライメント誤差が増大し波面収差が劣化しても、波面収差の実測値を基に反射鏡ステージ
7を適切に駆動し、波面収差を打ち消すことができる。その結果、温度変化や振動等の外
乱が存在する環境下においても、対物鏡の結像特性を長時間良好に保つことができる。
M2、M3、M7、M9、4A、4C、4D 凹面鏡
M5、M6、M8 非球面凹面鏡
1 軟X線光源
2 照明光学系
3 試料ユニット
3A 球面波生成用ピンホール
3B 試料ホルダー
3C 試料ステージ
4 高倍率対物鏡
5 二次元検出器ユニット
5A 撮像素子
5B パーソナルコンピュータ
6 反射鏡ステージ
7 真空槽
Claims (18)
- 試料面に向けられた凹面鏡と該凹面鏡に対向して配置された凸面鏡とを組み合わせてなる対物光学系に、結像倍率を増大させるための付加光学系を結合してなる反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、対向配置された凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせてなるアフォカル反射光学系である請求項1に記載の反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、対向配置された一対の凹面鏡を組み合わせてなるアフォカル反射光学系である請求項1に記載の反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、凹面鏡と前記凸面鏡を対向させて組み合わせた反射光学系である請求項1に記載の反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、前記対物光学系の像面近傍に配置した1つの反射面からなる反射光学系である請求項1に記載の反射型投影光学装置。
- 前記対物光学系の合成焦点距離が5mmよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の反射型投影光学装置。
- 試料面を挟んで対向配置された一対の凹面鏡を組み合わせてなる対物光学系に、結像倍率を増大させるための付加光学系を結合してなる反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、対向配置された凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせてなるアフォカル反射光学系である請求項7に記載の反射型投影光学装置。
- 対向配置された前記凹面鏡と凸面鏡のうち最終反射面となるべき凹面鏡の曲率半径が400乃至4000mmであることを特徴とする請求項8に記載の反射型投影光学装置。
- 前記付加光学系が、対向配置された一対の凹面鏡を組み合わせてなるアフォカル反射光学系である請求項7に記載の反射型投影光学装置。
- 前記一対の凹面鏡のうち最終反射面となるべき凹面鏡の曲率半径が400乃至4000mmであることを特徴とする請求項3又は10に記載の反射型投影光学装置。
- 前記対物光学系の合成焦点距離が5mmよりも大きいことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の反射型投影光学装置。
- 一対の凹面鏡を対向配置して、光源からの光を、請求項1乃至12の何れかに記載の反射型投影光学装置の前記試料面に照射し得るように構成した照明光学装置。
- 前記光源と前記試料面間の結像倍率がほぼ等倍であることを特徴とする請求項13に記載の照明光学装置。
- 請求項13又は14に記載の照明光学装置を付設してなる請求項1乃至12の何れかに記載の反射型投影光学装置。
- 前記凹面鏡又は前記凸面鏡の反射面のうち、1つ以上が非球面であることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の反射型投影光学装置。
- 作動波長が300nm以下であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか又は請求項15又は16に記載の反射型投影光学装置。
- 作動波長が300nm以下であることを特徴とする請求項13又は14に記載の照明光学装置。
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